JP4266699B2 - 固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材は、固体高分子型燃料電池においてセパレーターと触媒層の間に配されるもので、セパレーターと触媒層間の電気伝達体としての働きだけでなく、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層に分配する機能と触媒層で発生する水を吸収して外部に排出する機能とを有するものである。
【0003】
固体高分子型燃料電池用の電極基材には、リン酸型燃料電池用の電極基材と比較して、反応ガスの拡散・透過性、柔軟性、電極製造時や電極を組んだときの圧縮に耐える機械的強度が必要とされる。
【0004】
更に、固体高分子型燃料電池は、リン酸型燃料電池に比べて小型のものが要求されているため、電極基材もより薄いものが必要とされている。このような状況のもとで、炭素短繊維紙や炭素繊維織物を用いた固体高分子型燃料電池用電極基材が主流となっている。
【0005】
特に炭素短繊維紙を用いた電極基材は、炭素繊維織物を用いたものより表面の凹凸が少ない点で優れている。繊維径の小さい炭素繊維を用いた炭素短繊維紙は、表面が平滑で、電極基材表面に塗布する触媒の量を大幅に軽減することができるとともに触媒層との接触を密にすることができるが、電極基材の平均孔径が小さくなり、ガスの透過性が悪くなる欠点があった。そのため、固体高分子型燃料電池に組み入れた際、触媒層で発生する水の排出経路が確保できず、「フラッティング」と呼ばれる、発生した水がガスの流れを阻害する現象が発生し、これにより著しく発電量を低下させるという問題が起きていた。
【0006】
一方、繊維径の大きい炭素繊維からなる炭素短繊維紙を用いた場合は、触媒層との接触が疎となり、反応ガスを触媒層の各場所へ均一に提供することが困難なため性能が低下してしまう欠点があった。
【0007】
特許文献1には、電極基材の触媒層と接する面を平滑とするため、その面に導電性の粉体や繊維状物を塗布することが記載されている。しかし、粉体や繊維状物として粒径が細かいものを用いるため、触媒層で発生する水を電極基材が十分吸収することができず、吸収した水を外部に排出できないという課題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−299113号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を克服し、触媒層との接触が密で、反応ガスと水の流路とを確保することができ、機械的強度にも優れた燃料電池用電極基材及びこの電極基材の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記課題は、本発明の第一の主要な構成である、実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめられた、直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなる第1の多孔質電極基材(1)と、実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめられた、直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなる第2の多孔質電極基材(2)とが重ね合わされ、両者が炭素によって一体となっている多孔質電極基材により解決される。
【0011】
また上記課題は、本発明の第二の主要な構成である、直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた炭素短繊維紙と直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた炭素短繊維紙とに炭素前駆体樹脂を含浸した後、両者を重ね合せ、炭素前駆体樹脂を硬化した後、更に炭素化する多孔質電極基材の製造方法により解決される。
【0012】
<炭素短繊維>
本発明で用いる炭素短繊維の原料である炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれであっても良いが、機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が好ましく、特に用いる炭素繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維のみからなることが好ましい。
【0013】
<第1の多孔質電極基材(1)>
本発明の多孔質電極基材は、第1の多孔質電極基材(1)と第2の多孔質電極基材(2)とが重ね合わされ、両者が炭素によって一体となっている多孔質電極基材であることが必須である。
【0014】
第1の多孔質電極基材(1)は、触媒層で発生する水を効果的に吸収するという観点から必須である。水の吸収しやすさを示す尺度としては、付着水分重量測定により規定することができる。
【0015】
好ましい付着水分重量としては70g/m2 以上である。付着水分重量が下限である60g/m2 未満の場合には、触媒層で発生する水の排出経路が確保できず、「フラッディング」と呼ばれる、発生した水がガスの流れを阻害する現象が発生し、これにより著しく発電量が低下する。
【0016】
第1の多孔質電極基材(1)は、後述するように、炭素短繊維の形状及び寸法から同時に平滑性にも優れるので、触媒層と電極基材との接触を密にし、触媒層への電気伝達を良好にする。ここで、面の平滑性を表す尺度としては、表面粗さ測定により規定することができる。
【0017】
第1の多孔質電極基材(1)は、実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散された、直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜6mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなることが必要である。
【0018】
本発明において、「実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散させる」とは、炭素短繊維がおおむね一つの面を形成するように横たわっているという意味である。これにより炭素短繊維による短絡や炭素短繊維の折損を防止することができる。
【0019】
第1の多孔質電極基材(1)を構成する炭素短繊維の直径は0.1〜5μmであることが必要であり、その好ましい下限及び上限は、それぞれ1μm及び4.5μmである。好ましい直径の範囲では吸水性の高い繊維を均一に分散させることができるため、さらに効率よく安定した発生水の排出が可能となる。
【0020】
炭素短繊維の直径が0.1μm未満の場合は、炭素短繊維の分散が困難となり、分散性を良好にするため繊維長を短くすることが必要になる。繊維長を短くすると繊維同士の絡みが小さくなり、機械的強度を充分な範囲に保てなくなる。逆に炭素短繊維の直径が5μmを超える場合は、水を吸収する能力が低下するとともに電極基材の表面を平滑に保つことが困難になる。
【0021】
第1の多孔質電極基材(1)を構成する炭素短繊維の繊維長は、0.2〜9mmであることが必須であり、その好ましい下限及び上限は、それぞれ1mm及び5mmである。好ましい繊維長の範囲では均一でかつ形態安定性が特に優れている。
【0022】
繊維長が0.2mm未満の場合は、繊維同士の結着点が減り、機械的強度が小さくなるとともに、吸収した水を外部に排出する能力が低下する。逆に9mmを超える場合は、炭素短繊維の分散が困難となり、電極基材の表面の平滑性は著しく悪くなる。
【0023】
第1の多孔質電極基材(1)の平均細孔径は、0.1〜15μmであることが好ましい。本発明における平均細孔径は水銀圧入法により算出されるものである。
【0024】
平均細孔径が0.1μm未満の場合は、反応ガス及び水の排出路の確保が困難な場合がある。逆に、平均細孔径が20μmを超える場合は、電解質膜や触媒層の保水が困難になるため好ましくない。
【0025】
第1の多孔質電極基材(1)の表面粗さは、0.1〜5μmであることが好ま
しい。
本発明における表面粗さとは、触針をサンプルの上で縦方向及び横方向に動かし、その軌跡から輪郭曲線を記載させ、算出される輪郭曲線の算術平均高さの値である。第1の多孔質電極基材(1)の表面粗さは、触媒層と電極基材との接触に大きな影響を与え、その接触の疎密が導電性に大きく影響するため、第1の多孔質電極基材(1)の表面粗さは特に重要である。この多孔質電極基材(1)の表面粗さが5μmを超える場合は、触媒層と電極基材との接触が疎となり、導電性や触媒層から必要以上に水が電極基材に吸収される影響が見られるため好ましくない。
【0026】
<第2の多孔質電極基材(2)>
一方、第2の多孔質電極基材(2)は、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層の各部に均一に分配(以下、ガス分散能ともいう。)し、触媒層で発生した水を外部に効率よく排出する。
【0027】
ガス分散能が低い場合、反応ガスが触媒層の各部に分配できなかったり、水が排出されずフラッティングを起こしたりするなどの問題が発生する。本発明に関するガス分散能とは、ガス透過の流路の確保されている度合いを示すもので、細孔径の測定により規定できる。
【0028】
第2の多孔質電極基材(2)も、第1の多孔質電極基材(1)と同様に実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散されていることが必要である。
【0029】
また、この第2の多孔質電極基材(2)は、直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなることが必須である。
炭素短繊維の直径は6〜20μmであることが必要であり、その好ましい下限及び上限は、それぞれ6μm及び12μmである。好ましい直径の範囲ではガス透過性及びセパレ−ターへの導電性の両方のバランスが特に優れている。
【0030】
炭素短繊維の直径が6μm未満の場合は、多孔質電極基材(2)の孔径が小さくなり、反応ガスの流路確保が困難となる。逆に炭素短繊維の直径が20μmより大きい場合は、電極基材の柔軟性が悪くなり取り扱いが困難になるとともに、その表面が粗くなり、セパレーターや面が平滑な多孔質電極基材と重ね合わせるときの隙間が大きくなる。
【0031】
炭素短繊維の繊維長は、3〜20mmであることが必須であり、その好ましい下限及び上限は、それぞれ5mm及び15mmである。好ましい繊維長の範囲ではより均一にガスを分散することができ、かつ機械的強度に優れた基材を提供することが可能となる。
【0032】
繊維長が3mm未満の場合は、繊維同士の結着点が減り、機械的強度が小さくなる。逆に20mmを超える場合は、炭素短繊維の分散が困難となり、反応ガスの均一な分配ができず、反応ガスが供給されない部分が発生する。
【0033】
第2の多孔質電極基材(2)の平均細孔径は、15〜100μmであることが好ましい。この多孔質電極基材(2)の平均細孔径は、第1の多孔質電極基材(1)の平均細孔径に比して特に重要である。平均細孔径が1 5μm未満の場合は、反応ガスの透過性が低下するため好ましくない。逆に平均細孔径が100μmを超える場合は、反応ガスを触媒層に均一に供給することが困難となるため好ましくない。
【0034】
第2の多孔質電極基材(2)の表面粗さは、0.1〜20μmであることが好ましい。この多孔質電極基材(2)の表面粗さが20μmを超える場合は、セパレーターと電極基材との接触が疎となり、両者の間の導電性が低下するため好ましくない。
【0035】
<炭素>
本発明においては、第1の多孔質電極基材(1)の炭素含有率が10〜80質量%であり、第2の多孔質電極基材(2)の炭素含有率が3〜60質量%であることが好ましい。ここで記載した炭素とは、電極基材を構成している炭素繊維分以外の炭素であり、特に限定はされないが一般的には炭素前駆体樹脂を炭化してできた炭素短繊維同士を結着する物質である。
【0036】
この炭素前駆体樹脂は、その種類や炭素短繊維紙への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化物として残る割合が異なる。多孔質電極基材(1)を100質量%としたときに、炭素含有率が10〜80質量%であることが好ましく、更に好ましい下限及び上限は、それぞれ15質量%及び60質量%である。
【0037】
炭素含有率が10質量%未満の場合は、表面の平滑性を維持することや電解質膜および触媒層を保水状態に保つことが困難となるため好ましくない。逆に炭素含有率が80質量%を超える場合は、反応ガス・排水管理が困難となる。
【0038】
一方、第2の多孔質電極基材(2)を100質量%としたときに、炭素含有率が3〜60質量%であることが好ましく、更に好ましい下限及び上限は、それぞれ5質量%及び30質量%である。
【0039】
炭素含有率が3質量%未満の場合は、電極基材としての形態を保持することが困難である好ましくない。逆に炭素含有率が60質量%を超える場合は、柔軟性・成型加工性が低下するため好ましくない。吸湿性を有する多孔質電極基材の炭素含有率がガス分散能の高い多孔質電極基材の炭素含有率より多い方が反応ガスおよび水分管理の観点から好ましいが、特に規定はされない。
【0040】
第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)は、上述した炭素短繊維が実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散され炭素によって互いに結着されていることが必要である。
【0041】
また、上記第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)は、炭素によって一体化されていることが必須であるが、ここでも、炭素とは、炭素原子を構成元素の主成分とするものである。その形状・生成方法は特に限定されない。一体化の方法は、特に限定されないが、第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)をそれぞれ構成する第1及び第2の炭素短繊維紙を重ねたのちに、炭素前駆体樹脂(後に詳述する。)を含浸し、その後、炭素前駆体樹脂を硬化、炭素化する方法、或いは第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)を構成する第1及び第2の炭素短繊維紙A、Bのそれぞれに炭素前駆体樹脂を含浸した後、重ねて一体化し、炭素前駆体樹脂を硬化、炭素化する方法が好ましい方法として挙げられる。
【0042】
<第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)を一体化した本発明の多孔質電極基材>
=反り=
本発明の多孔質電極基材は、上記第1及び第2の多孔質電極基材(1)、(2)からなるが、その多孔質電極基材のうち、3点曲げ試験において、第1の多孔質電極基材(1)側を上にしたときの撓みの値をx(mm)、第2の多孔質電極基材(2)側を上にしたときの撓みの値をy(mm)とした場合、x/yが0.6〜1.5となることが好ましい。
【0043】
なお、本発明における撓みとは、3点曲げ強度試験装置において試験片に荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの移動距離である。反りが小さいほどx/yが1に近くなり、大きいほどx/yが1から遠くなる。
【0044】
x/yが0.6未満の場合又は1.5を超える場合は、反りが大きいため、触媒層や電解質膜が剥離しやすく、セルスタックを組むとき等の燃料電池組立時の加工性が悪くなるなどの問題が生じるため好ましくない。
【0045】
=捲取可能=
本発明の多孔質電極基材のうち、長尺のままで、外径150mm以下のロールに巻取り可能であるものが好ましい態様として挙げられる。
【0046】
電極基材が長尺のまま連続してロールに巻き取ることができれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)製造も連続で行うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。このためにも、少なくとも外径150mm以下、さらに好ましくは100mm以下のロールに巻き取り可能な程度に柔軟であることが好ましい。150mm以下のロールに巻き取り可能な炭素電極基材は柔軟性に優れ、この後工程であるMEA製造工程通過性が良く、好ましい。さらに、150mm以下のロールに巻き取ることができれば、炭素電極基材としての製品形態をコンパクトにでき、梱包や輸送コストの面でも有利である。
【0047】
=厚み・嵩密度・曲げ強度=
本発明の多孔質電極基材のうち、厚さが0.05〜0.5mm、嵩密度が0.3〜0.8g/cm3及び曲げ強度が10MPa以上であるものを好ましい態様として挙げることができる。
【0048】
多孔質電極基材の厚みは、抵抗値の観点から、0.05〜0.5mmである必要があり、好ましい下限及び上限は、それぞれ0.1mm及び0.3mmである。
厚みが0.05mm未満であると、厚み方向の強度が弱くなり、セルスタックを組んだときのハンドリングに耐えられなくなる。逆に0.5mmを越えるとその電気抵抗が高くなり、スタックを積層した際にトータルの厚みが大きくなる。
【0049】
嵩密度は0.3〜0.8g/cm3であることが必要であり、好ましい下限及び上限は、それぞれ0.35g/cm3及び0.7g/cm3である。
嵩密度が0.3g/cm3未満の場合は、電気抵抗が高くなるうえ、満足できる柔軟性も得られない。逆に0.8g/cm3を越えて高くなるとガス透過性が悪くなり、燃料電池の性能が低下する。
【0050】
本発明の多孔質電極基材の曲げ強度は、歪み速度10mm/min、支点間距離2cm、試験片幅1cmの条件下で、10MPa以上、好ましくは40MPa以上である。10MPa未満であると、取り扱いが困難になり、例えばロールに巻き取る際に割れやすい。また、曲げ強度を10MPa以上とすることにより、電極基材の曲げの際に亀裂が生じないものとすることができる。さらに、曲げの際の撓みは1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、曲げ弾性率は25GPa以下、より好ましくは20GPa以下であり、連続的にロールに巻き取る際も割れにくく、長尺の電極基材に対しても作製しやすく取り扱いやすい。
【0051】
=撥水処理=
多孔質電極基材が撥水剤により撥水処理されているものも好ましい。撥水処理により吸収した水分を効率よく排出することができるという点から撥水剤により撥水処理されていることが好ましい。
【0052】
特に吸湿性を有する多孔質電極基材は、外部に水が排出されないとガス流路が狭くなり、ガスを触媒層に伝達することが困難になるため撥水処理する必要がある。撥水剤としては特に限定されないが、耐熱性、耐酸性に優れているという点からポリテトラフルオロエチレン系ポリマーが好ましい。
【0053】
ここでポリテトラフルオロエチレン系ポリマーとはポリテトラフルオロエチレンのほか、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の共重合体、その他その誘導体をも含む。撥水処理の方法としては、電解処理後、シランカップリング剤等で撥水化する方法や表面フッ素化によるフッ化黒鉛を生成する方法などが挙げられるが、コストの観点から撥水剤のディスパージョンを含浸させた後、熱処理をすることにより撥水化する方法が好ましい。撥水剤のディスパージョンのカーボンペーパーへの含浸法としては、ディスパージョンへの浸漬やディスパージョンをカーボンペーパーへスプレーする方法、印刷法等が挙げられる。
【0054】
=炭素微粒子=
本発明においては、多孔質電極基材の第1の多孔質電極基材(1)側に、粒径が1 nm〜5μmの炭素微粒子を含むことが好ましい。
【0055】
第1の多孔質電極基材(1)側に炭素微粒子を含ませることにより、吸湿性を有する第1の多孔質電極基材(1)側の表面を緻密化することで触媒層との接触性を向上させることができ、保湿性を向上させるなどの効果が見込まれる。
【0056】
炭素粒子としてはアセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ミルドファイバー、カーボンナノファイバーなどが挙げられる。アセチレンブラックは、多孔質電極基材への均一分散性の観点から特に好ましい。また、カーボン粒子が触媒担持カーボンの場合も多孔質電極基材からのガスと電気の受け渡しが容易になるという観点から好ましい。粒径は5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。粒径が5μmより大きい場合は、触媒層との接触が悪化する、ガスの流路が狭くなるという観点から好ましくない。
【0057】
<多孔質電極基材の製造方法>
本発明における多孔質電極基材の製造方法は、直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第1炭素短繊維紙Aと直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第2炭素短繊維紙Bとを、重ね合わせた状態で炭素前駆体樹脂を含浸し、又は単独で炭素前駆体樹脂を含浸してから重ね合せ、炭素前駆体樹脂を加熱プレス硬化した後、更に炭素化し炭素によって両者を一体化することにより多孔質電極基材を製造方法であることが必須である。
【0058】
=炭素短繊維紙の抄紙=
炭素短繊維紙A、Bを作製する抄紙方法としては、液体の媒体中に炭素繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素繊維を分散させて降り積もらせる乾式法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。また、炭素繊維同士を結着させるバインダーとして、液体中に適当量のパルプ状物或いは短繊維からなる有機高分子物質を混ぜることが好ましい。
【0059】
これらの有機高分子化合物のパルプ状物或いは短繊維を炭素繊維に混入する方法としては、炭素繊維とともに水中で攪拌分散させる方法と、直接混ぜ込む方法とがあるが、均一に分散させるためには水中で拡散分散させる方法が好ましい。
このように有機高分子化合物を混ぜることにより、炭素短繊維紙A、Bの強度を保持し、その製造途中で炭素短繊維紙A、Bから炭素繊維が剥離したり、炭素繊維の配向が変化したりするのを防止することができる。また、抄紙は連続で行う方法やバッチ式で行う方法があるが、本発明において行う抄紙は特に目付のコントロールが容易であるという点と生産性及び機械的強度の観点とから連続抄紙であることが好ましい。
【0060】
=炭素前駆体樹脂=
ここで用いる炭素前駆体樹脂は常温において粘着性、或いは流動性を示すもので、かつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ピッチ等を用いることができる。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂を用いることができる。
【0061】
また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。
【0062】
フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを単独であいは混合物として用いることができる。これらにフェノール樹脂として市販品を利用することも可能である。
【0063】
=樹脂含浸方法=
炭素短繊維紙A、Bに炭素前駆体樹脂を含浸する方法としては、炭素短繊維紙A、Bに炭素前駆体樹脂が含浸できればよく、本発明による特段の制限はないが、絞り装置を用いるディップニップ(dip−nip)法、コーターを用いて炭素繊維紙表面に樹脂を均一にコートする方法、もしくは炭素短繊維紙A、Bと樹脂フィルムを重ねて樹脂フィルムを炭素短繊維紙A、Bに転写する方法等が、連続的に行うことができ、生産性及び長尺ものも製造できるという点で好ましい。
【0064】
ディップニップ法は、樹脂溶液もしくは樹脂とメタノール、エタノール等のアルコール類との混合液中に炭素短繊維紙A、Bを浸し、絞り装置で取込み液が紙全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置のロール間隔を変えることにより調節する方法である。比較的粘度が低い場合、コーターや樹脂フィルムを転写する方法を用いると、より均一に樹脂を含浸することができるが、粘度が低い場合に加熱プレスによると炭素短繊維紙A、Bの内部までは浸透しにくくなり、樹脂の粘度により適当な含浸方法で行う必要がある。
【0065】
=加熱プレスによる前駆体樹脂の硬化=
加熱プレス硬化工程は、電極基材の強度向上のために不可欠な工程であり、電極基材に熱および圧力を加えることができる技術であれば、いかなる技術も適用できる。その例としては、上下両面から剛板にてプレスする方法や金型に嵌めて成形する方法、或いは連続ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。これらはいずれも加熱しながら行う。また、本発明においては、熱硬化性樹脂を炭化させ、ガス拡散層の導電性を高めるために、不活性ガス中で炭素化することが必要である。
【0066】
=連続プレスによる前駆体樹脂の硬化(図1)=
本発明における加熱プレス硬化工程は、生産性の観点から、第1及び第2の樹脂含浸炭素短繊維紙C,Dの全長にわたって連続して行うことが好ましい。また加熱プレスに先立って予熱を行うことが好ましい。この予熱工程において、炭素前駆体樹脂を軟化させ、その後に続く加熱プレス工程にて、プレスにより電極基材の厚みを良好にコントロールできる。予熱した樹脂含浸炭素繊維紙C,Dを予熱温度より50℃以上高い温度でプレスすることで所望の厚み、密度の電極基材を得ることができる。
【0067】
前記した加熱プレスは、連続式加熱ロールプレス装置あるいは一対のエンドレスベルトを備えた連続式加熱プレス装置を用いて行うことが好ましい。後者の連続式加熱プレス装置は、ベルトで基材を送り出すことになるので、基材にはほとんど張力はかからない。したがって、製造中の基材の破壊は生じにくく、工程通過性に優れる。また、前者の連続加熱式ロールプレス装置は構造が単純であり、ランニングコストも低い。以上、2つの加熱プレス方式は連続で樹脂を硬化するのに適した方法であり、本発明の電極基材の製造に用いることが好ましい。
【0068】
=炭素化方法=
本発明において、加熱プレスの後に続く炭素化を樹脂硬化炭素短繊維紙Eの全長にわたって連続で行うことが好ましい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMEA製造も連続で行うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。
【0069】
具体的には、炭素化は不活性処理雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で、樹脂硬化炭素短繊維紙Eの全長にわたって連続して焼成処理することが好ましい。本発明の炭素化においては、不活性雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で焼成する炭素化処理の前に行われる、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行っても良い。
【0070】
=樹脂含浸率=
本発明における直径0.1〜5μmの炭素短繊維からなる第1炭素短繊維紙への炭素前駆体樹脂の樹脂含有率は、炭素化後の炭素含有率を1 0〜80質量%の範囲に入れるため、20〜90質量%であることが好ましい。
【0071】
直径6〜20μmの炭素短繊維からなる第2炭素短繊維紙への炭素前駆体樹脂の樹脂含有率も前記と同等の観点から8〜80質量%であることが好ましい。
【0072】
直径0.1〜5μmの第1炭素短繊維紙へ含浸させる炭素前駆体樹脂と直径6〜20μmの第2炭素短繊維紙へ含浸させる炭素前駆体樹脂は、必ずしも同じである必要はないが、硬化プレスの際に樹脂が混合することや樹脂により炭素化の際の残存率が異なることなどを考慮しなければならない。
【0073】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態について代表的な実施例に基づき更に具体的に説明する。
実施例中の各物性値等は以下の方法で測定した。
【0074】
1)炭素繊維直径
炭素繊維の直径は、JIS R−7601記載のヘリウム−ネオンレーザーによる測定(Anritsu社製、SLB DIA MEASURING SYSTEM)を行った。 100本の炭素繊維について前記測定を行い、その平均値をもって炭素繊維の平均直径とした。
【0075】
2)電極基材の平均細孔径
公知の水銀圧入法により、細孔容積と細孔半径の細孔分布を求め、その50%の細孔容積を示すときの半径を電極基材の平均細孔径とした。なお、水銀ポロシメーターはQuantachrome社製のPore Master−60を用いた。
【0076】
3)表面粗さ測定
サーフテストSJ−402を使用し、触針(針径5μmダイヤモンドチップ)を6cm×6cmの大きさに切ったサンプルの上で縦方向及び横方向に動かし、その軌跡から輪郭曲線を記載させ、算出される輪郭曲線の算術平均高さRaを読み取り、表面粗さの度合いを確認した。
【0077】
4)付着水分重量
電極基材の試験片の重量を測定し、あらかじめ用意した水槽の上に試験片を30秒浮かばせ、付着した水分が落ちないよう重量を測定し、試験片の元の重量を引いた値を付着水分重量とした。
【0078】
5)厚み、嵩密度
厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ7321(ミツトヨ製)を使用して、測定した。なお、このときの測定子の大きさは直径10mmとして、測定圧力は1.5kPaで行った。
実測した厚みを用いて、以下の数式1により算出した。
【0079】
【数式1】
【0080】
6)電極基材の曲げ強度・弾性率
電極基材のMDが試験片の長辺になるように、80×10mmのサイズに10枚切り取る。曲げ強度試験装置を用いて、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/minで荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を10枚の試験片に対し測定し、以下の数式2により求めた。
【0081】
【数式2】
【0082】
7)電極基材の撓み
上記5)と同様に、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/minで荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断した時の加圧くさびの移動距離測定によって求めた。
【0083】
8)面抵抗
電極基材の片面に2cmの間隔をあけて銅線をのせ、10mA/cm2 の電流密度で電流を流した時の抵抗を測定した。
【0084】
9)貫通抵抗の測定
電極基材の厚さ方向の貫通抵抗は試料を銅板にはさみ、銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通抵抗( Ω・cm2)=測定抵抗値(Ω)×試料面積(cm2)
【0085】
(実施例1)
平均繊維径が7μm、平均繊維長が6mmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の短繊維束を湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクで水中に均一に分散させ、解繊し、十分に分散したところにバインダーであるポリビニルアルコール(PVA)の短繊維(クラレ株式会社製VBP105−1 カット長3mm)を炭素繊維とPVAとの合計量に対して14質量%となるように均一に分散させ、送り出した。送り出されたウェブを短網板に通し、ドライヤー乾燥後、坪量30g/m2、長さ20mの第2炭素短繊維紙Bを得た。分散状態は良好であった。
【0086】
別途平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の短繊維束を上記と同様の方法にて均一に分散させ、坪量30g/m2、長さ20mの第1炭素短繊維紙Aを得た。分散状態は良好であった。
【0087】
次に、第1炭素短繊維紙Aにディップニップ法により炭素前駆体樹脂を含浸させた。同炭素短繊維紙Aをフェノール樹脂(フェノライトJ−325・大日本インキ化学(株)製)の20質量%メタノール溶液のトレイに、連続的に送り込み、絞り装置にて樹脂を絞り、連続的に熱風を吹きかけ乾燥させ、第1樹脂含浸炭素繊維紙Cを得た。このとき第1炭素短繊維紙B100質量部に対し、フェノール樹脂を60質量部付着した。
【0088】
第2炭素短繊維紙Bについてもディップニップ法により炭素前駆体樹脂を含浸させた。第2炭素短繊維紙Bをフェノール樹脂(フェノライトJ−325・大日本インキ化学(株)製)の10質量%メタノール溶液のトレイに、連続的に送り込み、絞り装置にて樹脂を絞り、連続的に熱風を吹きかけ乾燥させ、第2樹脂含浸炭素繊維紙Dを得た。このとき第2炭素短繊維紙B100質量部に対し、フェノール樹脂を85質量部付着した。
【0089】
次に、第1及び第2の樹脂含浸炭素短繊維紙C、Dを、図1に示した一対のエンドレスベルト4a,4bを備えた公知の連続式加熱プレス装置(ダブルベルトプレス装置:DBP)に導入して連続的に加熱加圧し、樹脂硬化炭素短繊維紙Eを得た。すなわち、上記樹脂含浸炭素短繊維紙Dを下方ロール1から、上記樹脂含浸炭素繊維紙Cを上方ロール2から送り出し、これを離型剤コーティング基材3a,3bで挟んだ状態で連続ベルト装置4a、4bの間に送り、予熱ゾーン5、引き続いて加熱プレスゾーン6にて一体化させた。その後、離型剤コーティング基材2を取り除き、得られた樹脂硬化炭素短繊維紙Eをロール状に巻き取った。このときの予熱ゾーンでの予熱温度は150℃、予熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は250℃、プレス圧力は線圧1.5×104N/mであった。
【0090】
その後、30cm幅で20m得られたこの樹脂硬化炭素短繊維紙Eを、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において10分間加熱し、炭素化することで長さ20mの炭素電極基材を連続的に得て、外径30cmの円筒型紙管に巻き取った。炭素繊維の分散は均一であり、反りのない電極基材であった。評価結果を表1に示した。
【0091】
(比較例1)
上記樹脂含浸炭素短繊維紙Cと上記樹脂含浸炭素繊維Dを重ねる代わりに上記樹脂含浸炭素短繊維紙Dを2枚重ねた以外は、実施例1と全く同様の方法で電極基材を作製した。両面とも表面平滑性に優れていない電極基材であった。評価結果を表1に示した。
【0092】
(比較例2)
上記樹脂含浸炭素短繊維紙Cと上記樹脂含浸炭素繊維Dを重ねる代わりに上記樹脂含浸炭素短繊維紙Cを2枚重ねた以外は、実施例1と全く同様の方法で電極基材を作製した。平均細孔径が約3μmと孔径の小さい電極基材であった。評価結果を表1に示した。
【0093】
【表1】
【0094】
表1からも理解できるように、本発明によれば既述したような従来技術の問題点を克服し、触媒層との接触が密で、反応ガスと水の流路を確保することができ、機械的強度にも優れかつ長尺の状態でロールに巻き取ることの可能な燃料電池用電極基材及び同電極基材の製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材の製造工程の一形態を模式的
に示した工程説明図である。
【符号の説明】
1,2 (第1及び第2の樹脂含浸炭素短繊維紙)巻きロール
3a,3b 離型剤コーティング基材
4a,4b エンドレスベルト
5 予熱ゾーン
6 加熱(ロール)プレスゾーン
(1)、(2) 第1及び第2の多孔質電極基材
A、B 第1及び第2の炭素短繊維紙
C、D 第1及び第2の樹脂含浸炭素短繊維紙
E 樹脂硬化炭素短繊維紙
Claims (12)
- 実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめられた、直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなる第1の多孔質電極基材(1)と、
実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめられた、直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を炭素によって互いに結着してなる第2の多孔質電極基材(2)と、
が重ね合わされ、
両者が炭素によって一体化されてなることを特徴とする多孔質電極基材。 - 第1の多孔質電極基材(1)の平均細孔径が0.1〜15μm
であり、第2の多孔質電極基材(2)の平均細孔径が20〜100μmである請求項1記載の多孔質電極基材。 - 第1の多孔質電極基材(1)の表面粗さが0.1〜5μmであり、第2の多孔質電極基材(2)の表面粗さが0.1〜20μm以下である請求項1又は2記載の多孔質電極基材。
- 3点曲げ試験において、第1の多孔質電極基材(1)側を上にしたときのたわみの値をx(mm)、第2の多孔質電極基材(2)側を上にしたときのたわみ値をy(mm)とした場合、x/yが0.6〜1.5である請求項1〜3のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 長尺で、外径150mm以上のロールに巻き取り可能であり、厚さが0.05〜0.5mm、嵩密度が0.3〜0.8g/cm3、曲げ強度が10MPa以上でかつ撓みが1.5mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質電極基材。
- 第1の多孔質電極基材(1)の炭素含有率が10〜80質量%であり、第2の多孔質電極基材(2)の炭素含有率が3〜60質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質電極基材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質電極基材が撥水剤により撥水処理されている多孔質電極基材。
- 多孔質電極基材に含まれる第1の多孔質電極基材(1)に粒径が5nm〜5μmの炭素微粒子を含んでなる請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質電極基材。
- 直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第1の炭素短繊維紙と直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第2の炭素短繊維紙とに炭素前駆体樹脂を含浸した後、両者を重ね合せ、炭素前駆体樹脂を加熱プレス硬化した後、更に炭素化して、炭素によって両者を一体化することを特徴とする多孔質電極基材の製造方法。
- 直径0.1〜5μm、繊維長0.2〜9mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第1の炭素短繊維紙と直径6〜20μm、繊維長3〜20mmの炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散せしめた第2の炭素短繊維紙とを重ね合わせたのち、炭素前駆体樹脂を含浸し、炭素前駆体樹脂を加熱プレス硬化した後、更に炭素化して、炭素によって両者を一体化することを特徴とする多孔質電極基材の製造方法。
- 炭素前駆体樹脂の加熱プレス硬化を、炭素短繊維紙の全長にわたって連続して行う請求項9又は10に記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 直径0.1〜5μmの炭素短繊維からなる第1の炭素短繊維紙への炭素前駆体樹脂の樹脂含有率が20〜90質量%であり、直径6〜20μmの炭素短繊維からなる第2の炭素短繊維紙への炭素前駆体樹脂の樹脂含有率が8〜80質量%である、請求項9又は10に記載の多孔質電極基材の製造方法。
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