JP2010182682A - 多孔質電極基材の製造方法 - Google Patents

多孔質電極基材の製造方法 Download PDF

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Mitsuo Hamada
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Kazushige Mihara
和茂 三原
Kazuhiro Sumioka
和宏 隅岡
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Abstract

【課題】 従来技術の問題点を克服し、安価でありながら、ガス透過性、曲げ強度に優れた多孔質電極基材の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維が、樹脂炭化物によって互いに結着してなる多孔質電極基材であって、指標Kが1.1×105(MPa・m/sec・MPa)以上である多孔質電極基材であり、炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙に炭素繊維1質量部に対し、3〜8質量部の樹脂を付着し、熱硬化性樹脂を硬化し、次いで炭素化する孔質炭素電極基材の製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、多孔質電極基材およびその製造方法に関する。
多孔質電極基材は、固体高分子型燃料電池中で、セパレーターと触媒層の間に位置する部材で、セパレーターと触媒層間の電気伝達体としての機能だけでなく、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層に分配する機能と触媒層で発生する水を吸収して外部に排出する機能を併せ持つことを求められ、現在のところ一般的に炭素質が有効とされている。
特許文献1には、安価な多孔質電極基材の製造方法が記載されている。この多孔質電極基材中でウェブが厚み方向にも配向しているため、厚み方向の導電性やガス透過性は優れているが、機械強度が弱く、繊維が厚み方向に配向した繊維が電解質膜と接合する際膜を突き破ってしまうなど取り扱いの面で課題があった。
WO01/004980号公報
本発明は、上記のような問題点を克服し、安価でありながら、ガス透過性、曲げ強度に優れた多孔質電極基材およびこの多孔質電極基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙に炭素繊維1質量部に対し、3〜8質量部の炭素前駆体樹脂を付着し、炭素前駆体樹脂を硬化し、次いで炭素化する孔質炭素電極基材の製造方法にある。
上記全工程が連続的に行なわれることが好ましい。また、炭素前駆体樹脂を炭素化炉で完全硬化することが好ましい。さらには炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂を付着したのち、加熱により、炭素繊維紙表面を平滑にする工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、安価でありながら、ガス透過性、曲げ強度に優れた多孔質電極基材を低コストで生産することができる。
<炭素短繊維>
本発明で用いる炭素短繊維の原料である炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれであって良いが、ポリアクリロニトリル系炭素繊維が好ましく、特に用いる炭素繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維のみからなることが多孔質炭素電極基材の機械的強度が比較的高くすることができるので好ましい。
炭素短繊維の繊維長は、後述のバインダーとの結着性や分散性の点から、2〜12mmが好ましい。
<分散>
本発明において、「実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散(する)」とは、炭素短繊維がおおむね一つの面を形成するように横たわっているという意味である。これにより炭素短繊維による短絡や炭素短繊維の折損を防止することができる。
<樹脂炭化物>
本発明において、樹脂炭化物は、炭素前駆体樹脂を炭化してできた、炭素短繊維同士を結着する物質である。炭素前駆体樹脂としては、フェノール樹脂など炭素繊維との結着力が強く、炭化時の残存質量が大きいものが好ましいが特に限定はされない。
この樹脂炭化物は、炭素前駆体樹脂の種類や炭素繊維紙への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化物として残る割合が異なる。多孔質電極基材を100質量%とした時に、その中の樹脂炭化物が50〜90質量%であることが好ましく、更に好ましい下限及び上限は、それぞれ60質量%及び80質量%である。
樹脂炭化物が50質量%未満の場合は、原料コスト及び機械強度、ガス透過性の両立が困難であるという観点から好ましくない。逆に90質量%を超える場合は、炭化の際の収縮に耐えられず、形状を保持するのが困難であることから好ましくない。
<曲げ強度>
本発明における曲げ強度とは、JIS規格K−6911に準拠した方法よって求められる値で、曲げに対する強さを表す。本発明の多孔質電極基材の好ましい曲げ強度は、歪み速度10mm/min、支点間距離2cm、試験片幅1cmの条件下で、10MPa以上、さらに好ましくは40MPa以上である。10MPa未満であると、取り扱いが困難になり、多孔質電極基材をロール上に巻き取る際に割れやすい。
また、曲げ強度を10MPa以上とすることにより、電極基材の曲げの際に亀裂が生じないものとすることができる。曲げ強度を強くする方法としては、密度を高くする、炭素繊維の目付を増やすなどの方法が挙げられるが、あまり増やしすぎるとガスがとおりにくくなり、セルに組んだときの性能が低下するため好ましくない。
<ガス透過度>
本発明におけるガス透過度とは、JIS規格P−8117に準拠した方法によって求められる値で、多孔質電極基材のガスの抜けやすさを表す。多孔質電極基材の試験片を3mmφの孔を有するセルに挟み、孔から1.29kPaの圧力で200mlのガスを流し、ガスが透過するのにかかった時間を測定することで算出できる。
本発明の多孔質電極基材の好ましいガス透過度は、1400m/sec・MPa以上で、さらに好ましくは、2000m/sec・MPa以上である。ガス透過度が1400m/sec・MPa以上の場合は、セルの使用条件によるが、特に高密度電流にて発電しようとすると発生した水がセル外部に排出できなくなり、発電能力が著しく低下するフラッディングと呼ばれる現象が起こりにくく好ましい。ガス透過度を大きくする方法としては、曲げ強度を強くするのと逆で、密度を低くする、炭素繊維の目付を減らすなどの方法が挙げられるが、この場合もあまり減らしすぎると機械強度が低下するため好ましくない。
<指標K>
本発明における指標Kとは、多孔質電極基材の曲げ強度、ガス透過性を合わせた性能の総合的に評価するための指標である。一般的に、多孔質電極基材の機械強度を横軸に、ガス透過度を縦軸に取り、同じ組成の多孔質電極基材の厚み、目付、嵩密度等の物性をかえたものの曲げ強度に代表される機械強度とガス透過性の評価結果をグラフにプロットすると、図1のような反比例直線に近い挙動を示す。指標Kは、同じ組成であればほぼ一定となる。
本発明においては、指標Kが1.1×105(MPa・m/sec・MPa)以上であることが必要である。
これは、多孔質電極基材のロール上への巻き取りやプレスなどの工程に耐えうる機械強度を持ち、燃料電池セルに組み込み高電流密度で発電したとき、フラッディングを起こさない、十分なガス透過性をもつための必須条件である。指標Kが1.1×105(MPa・m/sec・MPa)未満の場合は、機械強度、ガス透過性の両方を満足するものは得られない。
<細孔分布>
本発明では、水銀圧入法で測定したとき、細孔径が10μm以下の細孔と細孔径が50μm以上の細孔をともに有することが好ましい。
多孔質電極基材には、反応ガスを反応部(触媒層)に効率よく送り届ける機能だけでなく、反応ガスに含まれている水分や発電により発生する水分を効率よく排出する機能が求められる。反応ガスを効率よく反応部(触媒層)に送り届けるためには、50μm以上の細孔を有することが好ましく、効率よく水を排出するためには、大量に水分が発生した時に水分を一時的に取り込むための孔として10μm以下の細孔を有することが好ましい。前記のような細孔を有する多孔質電極基材の製造方法としては、炭素繊維紙を抄紙する段階で直径5μm以下の炭素短繊維と直径7μm以上の炭素短繊維を混合する方法や炭素繊維と繊維径の異なる合成繊維を混合する方法などが挙げられる。多孔質電極基材に含まれる樹脂炭化物の比率が高いほど細孔径が10μm以下の細孔と細孔径が50μm以上の細孔の、それぞれの数が増える傾向にある。
<ネット状構造>
本発明の多孔質電極基材においては、曲げ強度とガス透過性を両立させるという観点から、樹脂炭化物が炭素繊維と結着していない部分でネット状構造が形成されていることが好ましい。樹脂炭化物が炭素繊維と結着していない部分でネット状構造が形成されている様子を図2に示す。樹脂炭化物が炭素繊維と炭素繊維を結着させることによってその強度を維持しているが、図2のように接触していない炭素繊維間に樹脂炭化物がネット状構造を張ることにより、一層強度を向上させることができる。この場合、樹脂炭化物のネットが炭素繊維と同様な役目を果たすため、多孔質電極基材に含まれる炭素繊維の比率を減らすことができ、低コストで多孔質電極基材を提供することができる。ガス透過性を維持したまま曲げ強度を向上する方法としては、繊維長を長くする方法も挙げられるが、均一分散性が問題となる可能性がある。
<製造方法>
本発明における多孔質電極基材の製造方法は、炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙に、炭素繊維1質量部に対し、3〜8質量部の炭素前駆体樹脂を付着し、次いで炭素前駆体樹脂を炭素化する多孔質炭素電極基材の製造方法である。製造コストの低下ができるという点から全工程にわたり多孔質電極基材の製造が連続的に行なわれることが好ましい。
<合成繊維>
本発明で用いる合成繊維は、炭素化により分解してなくなるが、合成繊維の周りに付着した炭素前駆体樹脂の形状はそのまま残り、樹脂炭化物がネット構造を形成する。
そのため、ガス透過性を維持したまま、曲げ強度の高い多孔質電極基材を製造する上で合成繊維は必須である。
合成繊維の種類は、特に限定されないが、樹脂炭化物の前駆体である炭素前駆体樹脂との親和性が高く、その炭素前駆体樹脂との接触により分解、劣化しないものが好ましい。また、炭素繊維や合成繊維などを抄紙して炭素繊維紙にする場合は、分散媒である液体に不要であることが好ましい。
合成繊維の繊度は、特に限定されないが、0.05〜1.5dtexのものが好ましい。繊度が0.05dtex未満の場合は、合成繊維一本あたりの炭素前駆体樹脂の付着が十分でなく、焼成後、多孔質電極基材から樹脂炭化物が剥離してしまう場合がある。逆に、繊度が1.5dtexより大きい場合は、多孔質電極基材表面が粗くなり、多孔質電極基材と周辺部材との接触があまりよくない場合がある。合成繊維の長さも特に限定されないが、同時に用いる炭素短繊維と同程度のものが好ましい。バインダーとの結着性や分散性の点から、2〜12mmが好ましい。
合成繊維は、炭素繊維と一緒に分散することで、炭素繊維の再収束を防止する役割も果たす。そのため、水との親和性にも優れているものが好ましい。本発明に好適に用いられる合成繊維としてはビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ノボロイド繊維などが挙げられる。
炭素繊維紙中の合成繊維の質量比率は、10〜80質量%であることが好ましい。
合成繊維が10質量%未満の場合は、合成繊維により形成されるネット構造が疎で、曲げ強度とガス透過性の両立の効果が分かりにくい。
一方、合成繊維が80質量%を超える場合は、炭素繊維に付着する炭素前駆体樹脂の量が少なくなるため、多孔質電極基材の形態を保つのが困難となる場合がある。
合成繊維の形態としては、短繊維状が好ましい。また、短繊維とは繊維糸または繊維のトウを所定の長さにカットして得られるものである。
<有機高分子化合物>
有機高分子化合物は、炭素繊維紙中で各成分をつなぎとめるバインダーとしてはたらく。有機高分子化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、などを用いることができる。その中でも、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリ酢酸ビニル等が好ましく用いられる。特にポリビニルアルコールは抄紙工程での結着力に優れるため、炭素短繊維の脱落が少なくバインダーとして好ましい。本発明では、有機高分子化合物を繊維状として用いることも可能である。
<炭素繊維紙の抄紙>
炭素繊維紙の抄紙方法としては、液体の媒体中に炭素繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素繊維を分散させて降り積もらせる乾式法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。また、前述したように炭素繊維同士の開繊、再収束を防止する役割を果たす合成繊維を適当量、および炭素繊維同士を結着させるバインダーとして適当量の有機高分子物質を混ぜることが好ましい。
これらの合成繊維および有機高分子化合物を炭素繊維に混入する方法としては、炭素繊維とともに水中で攪拌分散させる方法と、直接混ぜ込む方法があるが、均一に分散させるためには水中で拡散分散させる方法が好ましい。このように有機高分子化合物を混ぜることにより、炭素繊維紙の強度を保持し、その製造途中で炭素繊維紙から炭素繊維が剥離したり、炭素繊維の配向が変化したりするのを防止することができる。また、抄紙は連続で行なう方法やバッチ式で行なう方法があるが、本発明において行なう抄紙は、特に目付のコントロールが容易であるという点と生産性および機械的強度の観点から連続抄紙が好ましい。
<炭素前駆体樹脂>
本発明で炭素前駆体樹脂として用いる樹脂は、常温において粘着性、あるいは流動性を示す物でかつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ピッチ等を単体もしくは混合物として用いることができる。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂を用いることができる。
又、レゾールタイプのフェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。これらはフェノール樹脂として市販品を利用することも可能である。
<樹脂量>
炭素繊維紙に付着する炭素前駆体樹脂の樹脂量は、炭素繊維1質量部に対し、3〜8質量部の炭素前駆体樹脂を付着させる。前述した、曲げ強度、ガス透過性に優れた電極基材を製造するには、樹脂炭化物の比率が50〜90質量%になるように炭素前駆体樹脂を付着しておく必要があるため、少なくとも3質量部付着させる必要がある。一方8質量部を超えて多く炭素前駆体樹脂を付着させるためには、高濃度で高粘度の樹脂溶液が必要となり、この場合は、炭素前駆体樹脂を均一に塗布するのが困難となるため樹脂量は8質量部以下とする。
<炭素前駆体樹脂付着方法>
炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂を含浸する方法としては、炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂を含浸させることができればよく、本発明による特段の制限はないが、コーターを用いて炭素繊維紙表面に炭素前駆体樹脂を均一にコートする方法、絞り装置を用いるdip−nip方法、もしくは炭素繊維紙と炭素前駆体樹脂フィルムを重ねて、炭素前駆体樹脂を炭素繊維紙に転写する方法が、連続的に行なうことができ、生産性および長尺ものも製造できるという点で好ましい。
<硬化、炭素化>
硬化工程は、樹脂炭化物の炭素化時の気化を抑制し、多孔質電極基材の強度向上のために不可欠な工程であり、電極基材に均等に加熱できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。その例としては、上下両面から剛板にて加熱する方法や上下両面から熱風を吹き付ける方法、また連続ベルト装置や連続熱風炉を用いる方法が挙げられる。また、本発明においては、炭素前駆体樹脂を炭化し、多孔質電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で炭素化することが必要である。炭素化は、炭素繊維紙の全長にわたって連続で行なうことが好ましい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMembrane Electrode Assembly(MEA)製造も連続で行なうことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。
炭素化は、不活性処理雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で、炭素繊維紙の全長にわたって連続して焼成処理することが好ましい。本発明の炭素化においては、不活性雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で焼成する炭素化処理の前に行われる、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行っても良い。
多孔質電極基材が炭素前駆体樹脂を炭素化炉で完全硬化することは、製造コストを下げられるという観点で好ましい。多孔質電極基材を炭素化炉に入れる前に硬化させる場合も高温で長時間硬化させる必要があり、多大な電力を消費する。炭素化炉に入る前に炭素前駆体樹脂の硬化が完全に進行していない場合でも性能の低下が見られないため、炭素化炉に炭素繊維紙を導入する前には、熱による炭素前駆体樹脂の移動が起こらない程度に固まっていれば良い。あまり硬化が進行していない場合は、炭素化炉内で発生する排ガス量が増えるので、あらかじめ炉材を強化する、不活性ガスの流量を増やすなどの処置が必要となる。
炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂を付着したのち、加熱により、炭素繊維紙表面を平滑にする工程を含んでいることが好ましい。炭素繊維表面を平滑する方法としては、特に限定されないが、上下両面から平滑な剛板にて熱プレスする方法や連続ベルトプレス装置を用いて行なう方法がある。中でも連続ベルトプレス装置を用いて行なう方法が、長尺の電極基材ができるという点で好ましい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLY(MEA)製造も連続で行なうことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。表面を平滑にする工程がない場合も電極基材としても強度、ガス透過性ともに良好なものが得られるが、基材に起伏があるため、セルを組むときの周辺基材との接触性があまり良くない。
連続ベルト装置におけるプレス方法としては、ロールプレスによりベルトに線圧で圧力を加える方法と液圧ヘッドプレスにより面圧でプレスする方法があるが、後者の方がより平滑なサンプルが得られるという点で好ましい。効果的に表面を平滑にするためには、樹脂が最も軟化する温度にてプレスし、その後加熱または冷却により樹脂を固定する方法が最も良い。本発明における電極基材に含まれる樹脂の比率が多いため、プレス圧が低くても平滑になる。逆にプレス圧が高すぎると緻密になりすぎる、激しく変形するなどの問題が生じるのであまり好ましくない。プレス圧が高く緻密になりすぎた場合は、焼成時に発生するガスが排出されず基材を壊してしまうこともある。本工程を実施する時は、あらかじめ剛板やベルトに樹脂が付着しないように剥離剤を塗っておくか、間に離型紙を挟んで行なうことが好ましい。
(実施例)
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は以下の方法で測定した。
1)電極基材の曲げ強度
電極基材のMDが試験片の長辺になるように、80×10mmのサイズに10枚切り取る。曲げ強度試験装置を用いて、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/minで荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を10枚の試験片に対し、測定し次式より求めた。
曲げ強度(MPa)=3PL/2Wh
ここで、P:破断荷重(N)、L:支点間距離(mm)、W:試験片の幅(mm)、h:試験片の厚み(mm)である。
2)ガス透過度
先述したとおり、JIS規格P−8117に準拠した方法によって求められる。多孔質電極基材の試験片を3mmφの孔を有するセルに挟み、孔から1.29kPaの圧力で200mlのガスを流し、ガスが透過するのにかかった時間を測定することで以下の式より算出できる。
ガス透過度(m/sec・MPa)
=気体透過量(m)/気体透過孔面積(m2)/透過時間(sec)/透過圧(MPa)
3)電極基材の平均細孔径
公知の水銀圧入法により、細孔容積と細孔半径の細孔分布を求め、その50%の細孔容積を示す時の半径を電極基材の平均細孔径とした。なお、水銀ポロシメーターはQuantachrome社製 Pore Master−60を用いた。
4)厚み、嵩密度
厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ7321(ミツトヨ製)を使用し、測定した。なお、このときの測定子の大きさは、直径10mmで測定圧力は1.5kPaで行った。
実測した厚みを用いて、以下の式により算出した。
嵩密度(g/cm)=坪量(g/m)/厚み(mm)/1000
5)面抵抗
電極基材のMDが試験片の長辺になるように、100×20mmのサイズに切り取る。電極基材の片面に2cmの間隔をあけて銅線をのせ、10mA/cmの電流密度で電流を流した時の抵抗を測定した。
6)貫通抵抗の測定
電極基材の厚さ方向の貫通抵抗は試料を銅板にはさみ、銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通抵抗(Ω・cm2)=測定抵抗値(Ω)×試料面積(cm2
炭素短繊維として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用意した。
有機高分子化合物として、ポリビニルアルコール(PVA)の短繊維(クラレ株式会社製VPB105−1カット長3mm)を用意した。さらに合成繊維として、ビニロン短繊維(1.1dtex、カット長5mm)を用意した。
炭素短繊維を湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクで水中に均一に分散解繊し、十分に分散したところにPVA短繊維およびビニロン短繊維を炭素短繊維100質量部に対して、それぞれ18質量部、32質量部となるように均一に分散し、送り出した。
送り出されたウェブを短網板に通し、ドライヤー乾燥後、坪量33g/m2、長さ100mの炭素繊維紙Aを得た(各組成の坪量は表1に記載、以下同じ)。分散状態は良好であった。
次に炭素繊維紙Aをフェノール樹脂(フェノライトJ−325・大日本インキ化学株式会社製)の40質量%メタノール溶液が付着したローラーに炭素繊維紙を均一に片面ずつ接触させた後、連続的に熱風を吹きかけ乾燥した。坪量113g/m2の樹脂付着炭素繊維紙Bを得た。このとき炭素繊維紙100質量部に対し、フェノール樹脂を240質量部付着した。(炭素繊維100質量部に対しは、フェノール樹脂量は360質量部となる。)
次に、この樹脂付着炭素繊維紙Bを図3に示した一対のエンドレスベルトを備えた連続式加熱プレス装置(ダブルベルトプレス装置:DBP)にて連続的に加熱し、表面が平滑化されたシートCを得た。(シート厚み:270μm)このときの予熱ゾーンでの予熱温度は150℃、予熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は予熱ゾーンと同じ150℃、プレス方式は液圧プレス方式でプレス圧力は面圧2.0MPaであった。なお、シートCがベルトに貼り付かないように2枚の離型紙の間に挟んで通した。
その後、30cm幅で100m得られたこのシートCを、窒素ガス雰囲気中にて500℃の連続焼成炉にて5分間フェノール樹脂の硬化処理および前炭素化したのち、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において5分間加熱し、炭素化することで長さ100mの電極基材を連続的に得て、外径30cmの円筒型紙管に巻き取った。炭素繊維の分散は取り扱いやすく、曲げ強度およびガス透過性に優れた電極基材であった。評価結果を表に示した。
実施例2
炭素短繊維として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を使用した以外は実施例1と同様の方法で電極基材を得た。表面が平滑な電極基材であった。評価結果を表に示した。
実施例3
実施例1で得た樹脂付着炭素繊維紙Bを一対のエンドレスベルトを備えた連続式加熱プレス装置(ダブルベルトプレス装置:DBP)にて連続的に加熱加圧し、樹脂硬化炭素繊維紙を得た。(シート厚み:140μm)このときの予熱ゾーンでの予熱温度は150℃、予熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は250℃、プレス圧力は線圧1.0×10N/mであった。なお、樹脂付着炭素繊維紙がベルトに張り付かないように2枚の離型紙の間に挟んで通した。
その後、30cm幅で100m得られたこの樹脂硬化炭素繊維紙Eを、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において10分間加熱し、炭素化することで長さ100mの炭素電極基材を連続的に得て、外径30cmの円筒型紙管に巻き取った。取り扱いやすく、曲げ強度およびガス透過性に優れた電極基材であった。評価結果を表に示した。
実施例4
実施例2と同じ炭素繊維を使用し、実施例3と同じ方法で加熱プレスおよび炭素化をした。ガス透過性が少し悪くなった分、曲げ強度が強くなった。評価結果を表に示した。
実施例5
実施例2で得た樹脂付着炭素繊維紙を連続式加熱プレス装置を使用せず、直接窒素ガス雰囲気中にて500℃の連続焼成炉にて5分間フェノール樹脂の硬化処理および前炭素化した。その後、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において5分間加熱し、炭素化した。得られた電極基材は、実施例2よりガス透過性に優れたものが得られた。
実施例6
実施例1で、ビニロン繊維の添加量を炭素短繊維100質量部に対して77質量部としたほかは、実施例1と同様にして、坪量43g/m、長さ100mの炭素繊維紙Eを得た。分散状態は良好であった。次に、実施例1と同様にして樹脂付着炭素繊維紙Gを得た。このとき炭素繊維紙100質量部に対し、フェノール樹脂を185質量部付着した。(炭素繊維100質量部に対しは、フェノール樹脂量は360質量部)これ以降は、実施例1と同様の方法にて電極基材を得た。
比較例1
実施例1において、ビニロン繊維の添加量を0とするほかは、実施例1と同様にして、坪量26g/m、長さ100mの炭素繊維紙Hを得た。分散状態は良好であった。次に、実施例1と同様にして樹脂付着炭素繊維紙Iを得た。このとき炭素繊維紙100質量部に対し、フェノール樹脂を150質量部付着した。これ以降は、実施例1と同様の方法にて電極基材を得た。ガス透過性には優れているが、脆く、繊維の脱落が見られた。
比較例2
比較例1と同じ樹脂付着炭素繊維シートIを実施例5と同様連続式加熱装置を使用せずに焼成し、電極基材を得た。比較例1よりもさらに脆いものとなった。
ガス透過度と曲げ強度の関係を示したグラフである。 本発明の多孔質電極基材表面の電子顕微鏡写真である。 連続ベルト方式の液圧ヘッドプレスの一例を示した概念図である。
1 炭素前駆体樹脂を付着した炭素繊維紙
2 離型剤をコーティングした基材
3a,3b 連続ベルト装置
4 加熱装置
5 液圧ヘッドプレス装置

Claims (5)

  1. 炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙に炭素繊維1質量部に対し、3〜8質量部の炭素前駆体樹脂を付着し、炭素前駆体樹脂を硬化し、次いで炭素化する孔質炭素電極基材の製造方法。
  2. 全工程が連続的に行なわれる請求項1載の製造方法。
  3. 炭素前駆体樹脂を炭素化炉で完全硬化する請求項1または2記載の製造方法。
  4. 炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂を付着したのち、加熱により、炭素繊維紙表面を平滑にする工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 炭素繊維紙表面を平滑にする工程を、連続ベルトプレス装置を用いて行なう請求項4に記載の製造方法。
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