JP4801354B2 - 固体高分子型燃料電池用電極基材およびその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極基材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用電極基材、特に固体高分子型燃料電池用電極基材の製造方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材は、固体高分子型燃料電池においてセパレーターと触媒層の間に位置するもので、セパレーターと触媒層間の電気伝達体としてのはたらきだけでなく、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層に分配する機能と触媒層で発生する水を吸収して外部に排出する機能を有するものである。
このため、固体高分子型燃料電池用の電極基材には、電極反応で発生する電子の伝達、反応ガスの触媒層への分配、反応系中の水分管理等の機能が求められている。
更に、固体高分子型燃料電池は、長時間の酸性雰囲気下での運転に耐えうることが必須条件であるため、炭素繊維紙や炭素繊維織物といった炭素材料を用いた固体高分子型燃料電池用電極基材が主流となっている。
特に炭素繊維紙を用いた電極基材は、炭素繊維織物を用いたものより硬いため、セパレーターや固体高分子電解質膜(イオン交換膜)との接合等の取り扱いがしやすい。しかしながら、一方でセパレーターの流路出口付近に水が貯まり、セル性能を著しく低下させてしまうフラッディング現象を頻繁に引き起こしてしまうなどの問題があった。
フラッディングを防止するには、乾燥したガスを流すなど燃料電池の運転条件を制御することで可能であるが、乾燥した条件でガスを流すと、セパレーターの流路入口付近で固体高分子膜が乾燥し、セル性能が低下してしまう。
これに対して、特許文献1には、一端から他端へ向かって触媒層側の面の気孔面積を大きくすることにより、上記問題を解決する方法が開示されている。このような方法に依れば、ガス流路出口側のフラッディングを減少させることができるが、触媒層と電極基材の接合面の接合状態を製造のロット間で一定にコントロールすることが難しいため量産には適さない。
また電極基材のセパレーターと接している面は直接流路と接していないため、反応ガスが流れにくい。そのため、電極基材全面にガスが行き渡らず、性能を十分に発揮しきれていないなどの問題点もある。
特開2002−319411号公報
本発明は、上記のような問題点を克服し、電極基材全面にガスが広がり、流路出口付近のフラッディングを解決できる燃料電池用電極基材を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、ポリアクリロニトリル系炭素短繊維を主成分として炭素繊維紙を抄紙したのち、フェノール樹脂を含浸し、得られた炭素繊維紙を2枚以上張り合わせて加熱プレスによりフェノール樹脂を硬化し、さらにこれを焼成して多孔質電極基材を製造する方法において、該炭素繊維紙を抄紙する際に直径30〜150μmで炭化収率20%以下の繊維(以下、低炭化収率繊維ともいう)を含むことを特徴とする炭素質多孔質電極基材の製造方法である。
本発明により電極基材全面にガスが広がり、流路出口付近のフラッディングを解決できる固体高分子型燃料電池用電極基材の提供が可能となった。
本発明によれば、炭素短繊維に対し、直径30〜150μmという太い低炭化収率繊維、特にビニロン繊維を混抄し、炭素化時に該低炭化収率繊維(ビニロン)が分解することで、面方向に大きな孔を形成することができる。これにより電極基材全面にガスが拡散しやすい構造となる。また、樹脂の付着量を適正化しているので機械強度とガス透過性のバランスがとりやすくなる。
[抄紙工程]
炭素繊維紙を作製する抄紙方法としては、液体の媒体中に炭素繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素繊維を分散させて降り積もらせる乾式法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。
<ポリアクリロニトリル系炭素繊維>
本発明で用いる炭素短繊維の原料である炭素繊維は、強度の観点からポリアクリロニトリル系炭素繊維であることが必須である。ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを使用して電極基材を製造した場合、繊維同士の絡みが弱くなることにより弱い荷重でも破断するため好ましくない。また本製造にて炭素短繊維と混抄する低炭化収率繊維の繊維径が直径30〜150μmと太いため、抄紙後炭素繊維が起毛しやすくなる。プレス成型時に起毛した炭素短繊維を押さえつけるが、このときにポリアクリロニトリル系炭素繊維を使用した場合は、強度が強いため繊維を破断することなく面方向に寝かせることができる。
<低炭化収率繊維>
本発明においては、炭素繊維紙を抄紙する際に炭化収率20%以下の繊維が炭素繊維紙に含まれていなければならない。本発明における炭化収率とは、不活性ガス雰囲気下、2000℃で焼成したときの焼成後の質量を焼成前の質量で割った値である。炭化収率20%以下の繊維は炭素化時に分解されるため、炭素化後、該繊維が存在していた部分に空孔が形成される。炭化収率が20%より大きい場合は、炭素化後に形成される孔があまり大きくないため、ガスを十分に面方向に拡散させるのが困難である。より大きな孔を形成するためには、炭素化時に分解してなくなる繊維の炭化収率は18%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。
炭化収率20%以下の繊維としては、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、アラミド繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ノボロイド繊維などが用いられるが、これらに限定されるものではない。しかし抄紙、フェノール樹脂含浸、フェノール樹脂硬化の各工程を経ても繊維形状を保持できるもの、すなわち水やフェノール樹脂溶液に不溶であり、熱によって変形されにくいものである必要がある。以上の点からビニロン繊維が好ましい。また、使用する繊維の形態は、特に限定されるものではないが、断面形状が円状であるものが、ガス流路を確保することができるためより好ましい。
<低炭化収率繊維直径>
本発明で使用する炭化収率20%以下の繊維の直径は30〜150μmであることが必須である。本発明における繊維直径とは、断面の一端から他端を直線で結んだとき、その面でとりうることができる最大距離のことである。例えば、楕円形状の場合は、長径がその直径であると定義する。繊維直径が30μmより小さい場合は製造される電極基材の孔が大きくないため、反応ガスを電極基材全面に拡散させるのが困難となるため好ましくない。一方、繊維直径が150μmより大きい場合は、電極基材の表面が非常に粗くなり、とくに接合する際、イオン交換膜などの固体高分子電解質膜にダメージを与えやすくなるため好ましくない。
<ビニロン繊維>
炭化収率20%以下の繊維の中でもビニロン繊維は、耐熱性・吸湿性に優れている点で好ましい。ビニロン繊維はフェノール樹脂を熱硬化させる際、熱によって変形しないだけでなく、発生する水を一時的に吸収している役目も果たしており、他の繊維を混抄した場合より成型加工性にも優れている。また、フェノール樹脂との親和性が炭素繊維より高いため、ビニロン繊維の回りに優先的に樹脂が付着する。炭素化によりビニロン繊維は分解してなくなるが、ビニロン繊維の周りに付着したフェノール樹脂の形状はそのまま残り、樹脂炭化物がネット構造を形成する。
<低炭化収率繊維混合比>
本発明で使用する低炭化収率繊維の混合比は炭素繊維100質量部に対し、150〜250質量部含まれていることが好ましい。本発明に使用している低炭化収率繊維は炭素繊維と比較して繊維直径が大きいため、低炭化収率繊維の比率が大きいほど大きな孔を形成することができる。低炭化収率繊維の混合比が150質量部より少ない場合は、反応ガスを電極基材全面に拡散させるのが困難となる場合があり、好ましくない。一方、低炭化収率繊維の混合比が250質量部より多く含まれた場合は、大きな孔を形成することができるが、炭素繊維不足により、セルを形成するのに十分な機械強度を発現することができなくなる場合があり、好ましくない。
<炭素繊維カット長>
本発明で使用する炭素短繊維のカット長は3〜12mmであることが好ましい。カット長が3mmより短くなると、製造後、基材の表面から繊維が脱落しやすくなる傾向がある。脱落した繊維は、燃料電池セルを組む際に接合される固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に突き刺さり、セル性能を著しく低下させるため好ましくない。カット長が12mmより長くなると、炭素短繊維の分散が困難となり、反応ガスの均一な分配ができず、反応ガスが供給されない部分が発生する場合がある。またガスの分配を安定させるため、電極基材には厚みムラが小さいものが求められているが、分散が悪いと厚みムラが極端に大きくなることからも好ましくない。
<炭素繊維径>
本発明で使用する炭素短繊維の繊維直径は6〜8μmであることが好ましい。本発明における繊維直径は、製造に使用される炭素短繊維の平均径のことである。炭素短繊維の繊維直径が6μmより小さくなると、炭素短繊維の分散が困難になる場合がある。また製造した電極基材の細孔径が小さくなる傾向にあるため、ガス分散能が低下してしまい好ましくない。また炭素短繊維の製造コストは、繊維直径が8μmより大きくなると急に高くなるため、8μm以下のものを使用するのがコスト的には有利である。
<ポリビニルアルコール繊維・混合比>
湿式法で抄紙する場合、炭素繊維同士を結着させるバインダーとして、少量混ぜるだけで紙の形状を保持できる点でポリビニルアルコール繊維を混合することが好ましい。本発明で使用するポリビニルアルコールは、ビニロンのアセタール化を省略した水溶性ビニロンのことであり、先述したビニロン繊維とは異なる。本発明で使用するポリビニルアルコールは炭素繊維100質量部に対し、50〜80質量部含まれていることが好ましい。ポリビニルアルコールが多いほど、抄紙後の強度は強くなるが、一方で孔を小さくし、ガスの分配能を低下させる原因となる。ポリビニルアルコールの混合比が50質量部より小さい場合は、抄紙後炭素繊維が脱落しやすくなり、添加する効果が得られず、80質量部より多く含まれるとガスの分配能が低下するため好ましくない。
<炭素繊維目付>
本発明の途中段階で得られる炭素繊維紙の紙目付は75〜130g/m2で、その紙に含まれる炭素繊維目付は25〜35g/m2であることが好ましい。炭素繊維紙の目付が大きいほど、貫通方向のガスの透過性は悪くなるが、面全体にガスが広がるようになる。紙目付が75g/m2より小さいかまたは炭素繊維目付が25g/m2より小さい場合は、ガスを面全体に広げるには目付が小さすぎるため好ましくない。また、紙目付が130g/m2より大きいかまたは炭素繊維目付が35g/m2より大きい場合は、各工程において巻き取りが困難となるため好ましくない。
[含浸工程]
<フェノール樹脂・量>
フェノール樹脂は、常温において粘着性、或いは流動性を示す物でかつ炭素化後も導電性物質として残存する物質であり、炭素前駆体樹脂として最適である。特にアンモニア系触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂が燃料電池の耐久性を著しく下げる金属分を含まない点で好ましい。フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。これらはフェノール樹脂として市販品を利用することも可能である。
炭素繊維紙にフェノール樹脂を含浸する方法としては、炭素繊維紙にフェノール樹脂を含浸させることができればよく、本発明による特段の制限はないが、コーターを用いて炭素繊維紙表面に樹脂を均一にコートする方法、絞り装置を用いるdip−nip方法、もしくは炭素繊維紙と樹脂フィルムを重ねて樹脂フィルムを炭素繊維紙に転写する方法が、連続的に行うことができ、生産性および長尺ものも製造できるという点で好ましい。
フェノール樹脂の混合量としては、炭素繊維100質量部に対しフェノール樹脂150〜350質量部であることが必須である。ビニロン繊維を混抄しない従来品の場合、炭素繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を同程度混合させるのが、ガス透過性と機械強度のバランスが取れていて良かったが、本発明のように炭素繊維よりも多くビニロン繊維を混合する場合は、ビニロン繊維に樹脂をつけて繊維構造を形成するため、より多くの樹脂が必要となる。そのためフェノール樹脂の混合量が150質量部より少ない場合は、繊維間をつなぐ樹脂が不足し、表面から炭素短繊維が脱落しやすくなり好ましくない。一方、350質量部より多い場合は、成型後の電極基材の細孔が小さくなり、ガスを十分に拡散させることができなくなるため好ましくない。
[張り合わせ・熱プレス工程]
樹脂を含浸した炭素繊維紙が2枚以上重ねられて樹脂硬化されることは好ましい。炭素繊維紙が1枚である場合、薄膜型の電極基材が得られるが、炭素繊維紙の表面と裏面の地合の差異が影響して焼成後の収縮に差が生じ、反りが生じる場合があり、好ましくない。また、2枚以上重ねることで、それぞれの炭素繊維紙の分散性を良好なものにすることができ、均一性に優れた基材を得ることができる。炭素化前の基材の厚みとしては、無加圧で0.3〜0.8mmが好ましい。基材が0.3mmより薄い場合は、最終製品も厚みが薄いため、面全体にガスが広がりにくくなる傾向がある。一方、0.8mmより厚い場合は、貫通方向の抵抗が高くなり発電特性の低下につながる。炭素化前の基材の厚みを上記厚みに制御するためには炭素繊維紙の積層枚数を2〜4枚程度にすることがより好ましい。積層枚数が多すぎる場合は製造工程が複雑になりすぎる、または炭素繊維紙1枚の強度が弱くなるなどの問題がある。
加熱プレス工程は、樹脂炭化物の炭素化時の気化を抑制し、電極基材の強度向上のために不可欠な工程であり、電極基材に均等に加熱できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。その例としては、上下両面から剛板にて加熱する方法や連続ベルト装置を用いる方法が挙げられる。生産性の観点から、炭素繊維紙の全長にわたって連続して行う連続ベルト装置を用いる方法が好ましい。また加熱プレスに先立って予熱を行うことが好ましい。この予熱工程において、熱硬化性樹脂を軟化させ、その後に続く加熱プレス工程にて、プレスにより電極基材の厚みを良好にコントロールできる。
[焼成工程(炭素化)]
本発明においては、熱硬化性樹脂を炭化させ、ガス拡散層の導電性を高めるために、不活性ガス中で炭素化することが必要である。炭素化は、炭素繊維紙の全長にわたって連続で行うことが好ましい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程の電解質膜電極接合体(MEA)製造も連続で行うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。
具体的には、炭素化は不活性処理雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で、炭素繊維紙の全長にわたって連続して焼成処理することが好ましい。本発明の炭素化においては、不活性雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で焼成する炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行っても良い。
[燃料電池アセンブリ]
このようにして得た炭素電極基材2枚を使用して、炭素電極基材−触媒層−高分子電解質膜−触媒層−炭素電極基材をこの順序になるよう層状に配置して高分子電解質膜を両側から挟み込み、熱プレスを行う。これによりMEAを得ることができる。触媒層としては、公知のものが使用でき、例えば、白金触媒とカーボンブラックを混練してペーストを調製し、このペーストを炭素電極基材に塗布するなどの方法で形成すればよい。
高分子電解質膜としては、通常の燃料電池に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、各種イオン交換膜(例えば、デュポン社製商標名「ナフィオン」)や、イオン交換膜を不織布や多孔質フィルムなどで補強した膜等を用いることができる。
最後に、ガス流路を形成したセパレーターをMEAの両面に配置して燃料電池が完成する。
セパレーターの一方には酸化性ガスとして空気を流通させ、もう一方のセパレーターには燃料ガスとして水素を流通させる。本発明では、電極基材の面方向のガス透過性が著しく改善されることで、乾燥したガスを流通する必要がなく、フラッディングによる電池性能の劣化も抑制できるものである。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
実施例中の各物性等は以下の方法で測定した。
1)面方向のガス透過度
加圧部の外形が30mmφ、ガス流通部の径が10mmφの円筒状の圧縮治具(圧縮部面積6.28cm2)に36mmφに切り出した電極基材を挟み、1MPaの加圧を加える。円筒の上方から200ml/minの流速でガスを流したときの基材内側と基材外側の圧力差を測定し、以下の式より算出した。
ガス透過度(ml/min/Pa)
=流速(ml/min)/基材内側と基材外側の圧力差(Pa)
2)貫通方向のガス透過度
面方向のガス透過度と同様の方法で電極基材を挟み、ガス流路を変え、円筒の上方から200ml/minの流速でガスを流したときの基材上部と基材下部の圧力差を測定し、以下の式より算出した。
ガス透過度(ml/min/Pa)
=流速(ml/min)/基材上部と基材下部の圧力差(Pa)
実施例1
平均繊維径が7μmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。次にこの短繊維束100質量部に対し、ビニロン繊維200質量部を水中で解繊し(解繊後のビニロン繊維の直径は100μm)、十分に分散したところにバインダーであるポリビニルアルコール(PVA)の短繊維を60質量部となるように均一に分散させ、標準角形シートマシンを用いてJIS P−8222法に準拠して抄紙を行った。得られた炭素繊維紙は単位面積当たりの質量が90g/m2であった。
この炭素繊維紙をフェノール樹脂(「フェノライトJ−325」、商品名、大日本インキ化学(株)製)の10質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて炭素繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を200質量部付着させ、熱風で乾燥した後、2枚重ねて離型紙に挟んで、バッチプレス装置にて180℃、1.3MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。
続いて、上記中間基材を、窒素ガス雰囲気中バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。表1に示すように面方向のガス透過性が良好であった。
実施例2
実施例1と同じ方法にて炭素繊維紙を得た後、フェノール樹脂(「フェノライトJ−325」、商品名、大日本インキ化学(株)製)の15質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて炭素繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を300質量部付着させ、熱風で乾燥した後、2枚の炭素繊維紙を重ねて離型紙に挟んで、バッチプレス装置にて180℃、0.65MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。
続いて、上記中間基材を、窒素ガス雰囲気中バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。表1に示すように面方向のガス透過性が良好であった。
比較例1
実施例1では、炭素繊維の短繊維束100質量部に対し、直径100μmのビニロン繊維200質量部を混ぜて抄紙したが、これを混ぜず、炭素繊維とポリビニルアルコールのみで抄紙した。それ以外、すなわち炭素繊維目付、樹脂目付、プレス条件、炭素化条件は実施例1と同じになるように調整して電極基材を作製した。表1に示すように、貫通方向のガス透過度に比べて面方向のガス透過度が小さく、ガスを電極基材全面に広げることができない。
比較例2
実施例1で炭素繊維の短繊維束100質量部に対し、直径100μmのビニロン繊維200質量部を混ぜて抄紙したが、直径100μmのビニロン繊維の代わりに直径9μmのビニロン繊維を200質量部混ぜて抄紙した。それ以外、すなわち炭素繊維目付、樹脂目付、プレス条件、炭素化条件は実施例1と同じになるように調整して電極基材を作製した。表1に示すように、貫通方向のガス透過度に比べて面方向のガス透過度が小さい。
比較例3
実施例1で炭素繊維の短繊維束100質量部に対し、直径100μmのビニロン繊維200質量部を混ぜて抄紙したが、直径100μmのビニロン繊維の代わりに直径200μmのポリエステル繊維を200質量部混ぜて抄紙した。繊維が太すぎるため、ポリエステル繊維同士が重なったところに大きな空洞が形成された。基材として最後まで製作することができなかった。
Figure 0004801354

Claims (6)

  1. ポリアクリロニトリル系炭素短繊維を含む炭素繊維紙を抄紙したのち、フェノール樹脂を含浸し、得られた炭素繊維紙を2枚以上張り合わせて加熱プレスによりフェノール樹脂を硬化し、さらにこれを焼成して多孔質電極基材を製造する方法において、抄紙された炭素繊維紙直径30〜150μmで炭化収率20%以下のビニロン繊維を含むことを特徴とする炭素質多孔質電極基材の製造方法。
  2. 炭素繊維紙を抄紙する際に混合する直径30〜150μmのビニロン繊維が、炭素短繊維100質量部に対し、150〜250質量部含まれている請求項記載の炭素質多孔質電極基材の製造方法。
  3. 炭素繊維紙を抄紙する際に使用されるポリアクリロニトリル系炭素短繊維は、繊維直径が6〜8μmで、カット長が3〜12mmである請求項1又は2記載の炭素質多孔質電極基材の製造方法。
  4. 抄紙により得られる炭素繊維紙の炭素繊維目付が25〜35g/m2、紙目付が75〜130g/m2である請求項1〜いずれか1項記載の炭素質多孔質電極基材の製造方法。
  5. フェノール樹脂を炭素繊維紙に含浸させる際、炭素繊維100質量部に対しフェノール樹脂150〜350質量部を含浸させる請求項1〜いずれか1項記載の炭素質多孔質電極基材の製造方法。
  6. 加熱プレスによるフェノール樹脂の硬化を、炭素繊維紙の全長にわたって連続して行う請求項1〜いずれか1項記載の炭素質多孔質電極基材の製造方法。
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