JP2007269624A - 多孔質炭素電極基材およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素電極基材およびその製造方法 Download PDF

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誠 中村
Shigeru Tagami
茂 田上
Kazuhiro Sumioka
和宏 隅岡
Kotaro Ikeda
耕太郎 池田
Masaki Ando
雅樹 安藤
Keiichi Nakada
圭一 中田
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Abstract

【課題】電極基材全面に反応ガスが広がり、触媒層に反応ガスを効率よく供給でき、かつガス流路出口付近のフラッディング現象を防止できる電極基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸して、樹脂含浸炭素繊維紙を得る工程と、前記樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層した積層体を得る工程と、前記積層体を加熱プレスすることで前記炭素前駆体樹脂(A)を硬化し、さらに焼成する工程と、を有する方法により多孔質炭素電極基材を製造する。このような多孔質炭素電極基材は、炭素短繊維が炭素によって互いに結着して構成され、平面方向において実質的に等方性である層(1)と、炭素により構成され、平面方向に貫通する空孔を有する層(2)と、を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池の電極基材として好適な多孔質炭素電極基材の製造方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池における電極基材は、セパレーターと触媒層の間に配置されるもので、セパレーターと触媒層間の電気伝達体としての働きだけでなく、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層に分配する機能と触媒層で発生する水を吸収して外部に排出する機能を有するものである。したがって、固体高分子型燃料電池用電極基材には、電極反応で発生する電子の伝達、反応ガスを触媒層への分配、反応系中の水分管理等の機能が求められている。
更に、固体高分子型燃料電池は、長時間の酸性雰囲気下での運転に耐えうることが必須条件であるため、炭素繊維紙や炭素繊維織物といった炭素材料を用いた固体高分子型燃料電池用電極基材が主流となっている。
ここで、炭素繊維紙を用いた電極基材は、炭素繊維織物を用いた電極基材よりも硬いため、セパレーターやイオン交換膜との接合等において取り扱いやすい。一方で、セパレーターのガス流路出口付近に水が貯まり、セル性能を著しく低下させてしまうフラッディング現象を頻繁に引き起こしてしまうなどの問題があった。乾燥した反応ガスを流すなど燃料電池の運転条件を制御することでフラッディング現象を防止することも可能ではあるが、乾燥した反応ガスを流すとセパレーターのガス流路入口付近において固体高分子膜が乾燥し、セル性能が低下してしまうという問題も発生してしまう。
特許文献1には、一端から他端へ向かって触媒層側の面の気孔面積を大きくすることにより、上記問題を解決する方法が開示されている。
特開2002−319411号公報
特許文献1の方法によっても、ガス流路出口側のフラッディング現象を防止することも可能ではあるが、触媒層と電極基材の接合面の接合状態を製造のロット間で一定にコントロールすることが難しいため、量産には適さない。また、電極基材のセパレーターと接している面が直接ガス流路と接していないため、反応ガスが流れにくい。そのため電極基材全面に反応ガスが行き渡らず、セル性能を十分に発揮しきれていないなどの問題点もある。
本発明は、上記のような問題点を克服し、電極基材全面に反応ガスが広がり、触媒層に反応ガスを効率よく供給でき、かつガス流路出口付近のフラッディング現象を防止できる電極基材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸して、樹脂含浸炭素繊維紙を得る工程と、
前記樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層した積層体を得る工程と、
前記積層体を加熱プレスすることで前記炭素前駆体樹脂(A)を硬化し、さらに焼成する工程と、
を有する方法により多孔質炭素電極基材を製造する。特に、前記積層体を得る工程において、前記樹脂含浸炭素繊維紙と、有機繊維シートと、前記樹脂含浸炭素繊維紙とをこの順に積層して、多孔質炭素電極基材を製造する。
このような多孔質炭素電極基材は、
炭素短繊維が炭素によって互いに結着して構成され、平面方向において実質的に等方性である層(1)と、
炭素により構成され、平面方向に貫通する空孔を有する層(2)と、
を有する。
本発明によれば、電極基材全面に反応ガスが広がり、触媒層に反応ガスを効率よく供給でき、かつガス流路出口付近のフラッディング現象を防止できる電極基材およびその製造方法を提供できる。
本発明の多孔質炭素電極基材は、炭素短繊維が炭素によって互いに結着して構成され、平面方向において実質的に等方性である層(1)と、炭素により構成され、平面方向に貫通する空孔を有する層(2)と、を有する。このように、面全体へ効率よく反応ガスを分配する機能を有する層(2)と、分配された反応ガスを均一に触媒層の細かい範囲へ分散させる機能を有する層(1)の両方が存在することにより、反応ガスを電極反応部に均一に供給することができる。
燃料電池に使用される電極基材は、反応ガスを電極反応部(触媒層)に効率よく供給するために反応ガスの流路となりうる孔を有し、かつ電流を流すための電気伝導度があり、電極反応の系内で発生する酸(水素イオン)によって腐食されない材料が用いられる。そこで、多孔質炭素材料が使用される。
層(1)は、反応ガスを触媒層の細部にまで供給する機能と、触媒層との接合が全面で均一に行われる機能との両方を有する。そのため、炭素短繊維が炭素によって互いに結着して構成され、平面方向において実質的に等方性である層とする。すなわち、炭素短繊維がおおむね平面方向に均一にかつランダムな方向を向いて分散していることで、炭素短繊維が導電パスとなると同時に、炭素短繊維間にできる隙間が反応ガスの流路となる。
層(1)に含まれる炭素短繊維としては、例えば炭素繊維をランダムに分散できる長さにカットしたものが使用できる。炭素短繊維の長さは特に限定されないが、平均繊維長で3〜12mmが好ましい。炭素短繊維の平均繊維径は、6〜8μmが好ましいが、例えば3〜5μmであってもよい。炭素短繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれであって良い。機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が含まれていることが好ましく、ポリアクリロニトリル系炭素繊維のみからなることがより好ましい。
炭素短繊維を結着する炭素は、炭素短繊維が電極基材から剥離することを防止するものである。例えば、炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸した樹脂含浸炭素繊維紙を炭化させることで、炭素短繊維が炭素によって互いに結着した状態を形成することができる。炭素前駆体樹脂(A)としては特に限定されるものではないが、炭化させたのちも炭素繊維と強く結着するものが好ましい。例えば、フェノール樹脂などは炭素短繊維との結着力が強く、炭化時の残存質量が大きいため、炭素前駆体樹脂(A)として好適である。
層(2)は、反応ガスを電極基材全面に広げる機能を有する。そのため、炭素により構成され、平面方向に貫通する空孔を有する層とする。層(2)を構成する炭素は、酸に腐食されず導電性の高いものであれば、特に限定されるものではないが、セルスタックを組んだときに電極基材が圧縮されても空孔容積の減少を防止できる、すなわち圧縮しても収縮や破壊が進まない材質であることが好ましい。
層(2)が有する平面方向に貫通する空孔は、反応ガスを電極基材全面に広げる機能を有する。平面方向に貫通する空孔を有していない場合は、平面方向への反応ガスの透過性が不十分であるため、発生する水ならびに反応ガスの排気が不十分となり、セルの性能が著しく低下する。反応ガスの排気を十分に行うために反応ガスの吸入量を増やすと、発電効率が低下する。ところが、平面方向に貫通する空孔を有している場合は、平面方向への反応ガスの透過性が十分になり、発生する水ならびに反応ガスの排気を十分に行うことができ、セルの性能が向上する。
層(2)が有する平面方向に貫通する空孔は、ランダムな方向を向いていても、互いに垂直な二方向に引き揃えられていてもよく、一方向にのみ引き揃えられていてもよい。空孔が一方向にのみ引き揃えられている場合は、反応ガスを入口が出口に向かって高効率で運搬できるメリットがある。また、連続的に電極基材を製造する場合に、モノフィラメントを引き揃えて加熱プレスする方法を採ることができ、織物や不織布を用いるより低コスト化を図ることができる。
本発明の多孔質炭素電極基材において、層(1)と層(2)との配置は任意であるが、周辺部材との接触を十分に行い、かつ反応ガスを均一に分散させるという点から、層(1)、層(2)、層(1)の順に積層されている構成が好ましい。層(2)には面内を貫通する空孔が存在するため、層(1)と比較して厚みムラが生じやすい。また、層(2)は、空孔を反応ガス流路として確保するために層(1)よりも硬く構成されることが多い。そのため、層(2)を直接他の周辺部材と接着させると接触不良が起こりやすく、電気の伝達を効率よく行うことができない場合がある。また、ガス流量のムラが生じやすい。層(1)を層(2)の両面に配置することで、周辺部材との接触が良好になる。さらに、層(1)、層(2)、層(1)と厚み方向に対称な構造になっていることで、多孔質炭素電極基材が反りにくくなるという利点もある。
また、層(2)の一方又は両方に層(1)を複数積層することも好ましい。層(1)を複数積層した表面では、層(2)の凹凸の影響を受けにくくなり、他の周辺部材と接触させる場合の接触抵抗をさらに低減できる。層(1)を複数積層する場合の層数は、2〜4が好ましい。
本発明の多孔質炭素電極基材は、
炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸して、樹脂含浸炭素繊維紙を得る工程と、
前記樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層した積層体を得る工程と、
前記積層体を加熱プレスすることで前記炭素前駆体樹脂(A)を硬化し、さらに焼成する工程と、
を有する方法により好適に製造することができる。このような方法により多孔質炭素電極基材を製造することで、反応ガスが触媒層全面に行き渡り、かつ細部まで分配することが可能な多孔質炭素電極基材が得られる。以下、具体的に説明する。
まず、炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸して、樹脂含浸炭素繊維紙を得る。樹脂含浸炭素繊維紙は、焼成することで層(1)の機能を発揮するものを選択する。
炭素短繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを使用することができる。機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が含まれていることが好ましく、ポリアクリロニトリル系炭素繊維のみからなることがより好ましい。
炭素短繊維の平均繊維長は、3〜12mmであることが好ましい。炭素短繊維の平均繊維長が3mmより短くなると、電極基材の表面から炭素短繊維が脱落しやすくなる。脱落した炭素短繊維は、燃料電池セルを組む際に接合される固体高分子電解質膜(イオン交換膜)に突き刺さり、セル性能を低下させることがある。炭素短繊維の平均繊維長が12mmより長くなると、炭素短繊維の均一な分散が困難となり、反応ガスの均一な分配ができず、反応ガスが供給されない部分が発生する場合がある。また、反応ガスの分配を安定させるため、電極基材には厚みムラが小さいものが求められているが、炭素短繊維の分散が悪いと、厚みムラが大きくなりやすい。炭素短繊維の平均繊維長は、3〜8mmであることがより好ましい。
炭素短繊維の平均繊維径は、6〜8μmであることが好ましい。炭素短繊維の平均繊維径が6μmより小さくなると、炭素短繊維の分散が困難になる場合がある。また、電極基材の細孔径が小さくなりやすく、反応ガスの分散能が低下することがある。炭素短繊維の平均繊維径が8μmより大きくなると製造コストが高くなるため、平均繊維径が8μm以下の炭素短繊維を使用するのがコスト的に有利である。炭素短繊維の平均繊維径は、6.5〜7.5μmであることがより好ましい。
ただし、平均繊維径が小さい炭素短繊維を用いることで、有機繊維シートの凹凸の影響を低減できる。すなわち、平均繊維径が小さい炭素短繊維を用いた樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層して炭素電極基材を形成することで、樹脂含浸炭素繊維紙を配置した方の表面では、有機繊維シートの凹凸の影響を受けにくくなり、他の周辺部材と接触させる場合の接触抵抗を低減できる。その観点から、炭素短繊維の平均繊維径は3〜5μmであってもよい。
炭素短繊維を有する炭素繊維紙は、上記の炭素短繊維を抄紙することで得ることができる。抄紙にあたっては、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリ酢酸ビニル等のバインダーを使用することができる。バインダーの使用量は、炭素短繊維100質量部に対して10〜100質量部が好ましい。
炭素繊維紙の紙目付は、15〜30g/m2であることが好ましい。また、炭素繊維紙の炭素短繊維目付は、5〜15g/m2であることが好ましい。層(1)には平面方向に貫通する空孔が含まれないため、層(1)に含まれる炭素の割合が大きいほど反応ガスを平面方向に広げる機能が低下しやすい。そのため、層(1)を形成する炭素繊維紙の目付は、小さいほど平面方向のガス透過性が大きくなる。ただし、炭素繊維紙の強度の観点から、炭素繊維紙の目付は大きい方が好ましい。炭素繊維紙の紙目付は、17〜25g/m2であることがより好ましい。炭素繊維紙の炭素繊維目付は、6〜12g/m2であることがより好ましい。
炭素繊維紙に含浸する炭素前駆体樹脂(A)は、焼成することで炭化し、炭素繊維紙に含まれる炭素短繊維を互いに結着するための物質である。炭素前駆体樹脂(A)としては特に限定されるものではないが、炭化させたのちも炭素繊維と強く結着するものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、アラミド樹脂、ピッチなどは炭素短繊維との結着力が強く、炭化時の残存質量が大きいため、炭素前駆体樹脂(A)として好適である。
炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸する方法としては、例えば、炭素繊維紙を炭素前駆体樹脂(A)の溶液中に浸漬し、引き上げる方法が挙げられる。得られる樹脂含浸炭素繊維紙は、炭素短繊維100質量部に対して炭素前駆体樹脂(A)を50〜150質量部含有することが好ましい。この範囲とすることで、ガス透過性と機械強度のバランスを良好に取ることができる。炭素前駆体樹脂(A)が50質量部より少ない場合は、炭素短繊維間を結着する樹脂成分が不足し、表面から炭素短繊維が脱落しやすくなる。一方、炭素前駆体樹脂(A)が150質量部より多い場合は、成型後の電極基材の細孔が小さくなり、反応ガスを十分に拡散できない場合がある。樹脂含浸炭素繊維紙は、炭素短繊維100質量部に対して炭素前駆体樹脂(A)を70〜130質量部含有することがより好ましい。
次に、上記の樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層した積層体を得る。有機繊維シートは、有機繊維を有し、焼成することで層(2)の機能を発揮するものを選択する。すなわち、焼成することで低炭化収率の有機繊維の分解により平面方向に貫通する空孔が形成され、平面方向のガス透過性が向上する。具体的には、有機繊維シートとして、有機繊維が焼成により焼失し、電極基材としたときに平面方向に貫通する空孔を形成可能なもの、有機繊維は焼成後も炭化物として構造を形成するが、焼成前から有する空孔により平面方向に貫通する空孔を形成可能なもの、のいずれでもよい。
有機繊維シートが有する有機繊維は、炭化収率20質量%以下であることが好ましい。ここで、炭化収率とは、不活性ガス雰囲気下、2000℃で1時間焼成したときの焼成後の質量を焼成前の質量で割った値である。炭化収率20質量%以下の有機繊維は、焼成時に分解されるため、有機繊維が存在していた部分が空孔となり、層(2)が有する平面方向に貫通した空孔を形成することができる。このような空孔は、炭化収率20質量%以下の有機繊維を製織してなる有機繊維布帛(後述)により効果的に形成できる。有機繊維の炭化収率は0〜5質量%であることがより好ましい。
このような有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アセテート繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、などが用いられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、ポリエステル繊維が好ましい。
有機繊維は、複数本の有機繊維を束ねてなるマルチフィラメントでも、モノフィラメントでもよく、この有機繊維が焼失することで平面方向に貫通した空孔は形成できる。後述するように炭素前駆体樹脂(B)を含浸する場合、この炭素前駆体樹脂(B)の焼成体が平面方向に貫通した空孔を主に支える柱となるが、マルチフィラメントであると、繊維束の内部まで炭素前駆体樹脂(B)が含浸されてしまい、反応ガスの流路となる部分にも炭素が存在しガス透過度は低くなる傾向にある。したがって、モノフィラメントの方が好ましい。また、モノフィラメントの織物の方が、マルチフィラメントの織物より熱による収縮されにくいという点から、モノフィラメントで製織されていることが好ましい。
有機繊維シートは、加熱プレスにより樹脂含浸炭素繊維紙と適切に接着するため、熱により収縮しないものが好ましい。具体的には、100〜200℃で収縮せず、樹脂含浸炭素繊維紙と張り合わせることが可能な有機繊維シートが好ましい。
有機繊維シートとしては、シート状の有機繊維そのものを使用することができる。例えば、織物・編物・不織布・フェルトなどのシート状の有機繊維布帛が挙げられる。ただし、有機繊維そのものは、炭化すると強度が低下する場合が多い。そこで、有機繊維が炭素前駆体樹脂(B)で結着された樹脂含浸有機繊維布帛を使用することが好ましい。例えば、有機繊維布帛に炭素前駆体樹脂(B)を含浸したものや、有機繊維を一方向に引き揃えた状態で炭素前駆樹脂(B)を含浸したものが挙げられる。炭素前駆体樹脂(B)を含有することにより、炭化後も強度(特に、MEAやセルスタックを形成するときにかかる圧力に耐えうる強度)を十分に保持できる。
炭素前駆体樹脂(B)としては特に限定されるものではないが、炭化させた後に強度を十分に保持できるものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、アラミド樹脂、ピッチなどは炭化時の残存質量が大きく強度が保持されやすいため、炭素前駆体樹脂(B)として好適である。
樹脂含浸有機繊維布帛の作製は、例えば、有機繊維布帛や一方向に引き揃えられた有機繊維を炭素前駆体樹脂(B)の溶液中に浸漬し、引き上げることで行うことができる。得られる樹脂含浸有機繊維布帛は、有機繊維100質量部に対して炭素前駆体樹脂(B)を30〜100質量部含有することが好ましい。この範囲とすることで、ガス透過性と機械強度のバランスを良好に取ることができる。炭素前駆体樹脂(B)が30質量部より少ない場合は、加圧した際に電極基材が破壊されてしまう危険性がある。炭素前駆体樹脂(B)が100質量部より多い場合は、反応ガスの流路が狭くなりガス透過性が低下する場合がある。樹脂含浸有機繊維布帛は、有機繊維100質量部に対して炭素前駆体樹脂(B)を40〜80質量部含有することがより好ましい。
有機繊維を一方向に引き揃えた状態で炭素前駆樹脂(B)を含浸した樹脂含浸有機繊維布帛を使用すると、電極基材の層(2)における空孔が一方向にのみ引き揃えられることから、反応ガスを入口が出口に向かって高効率で運搬できるメリットがある。また、連続的に電極基材を製造する場合に、モノフィラメントを引き揃えて加熱プレスする方法を採ることができ、織物や不織布を用いるより低コスト化を図ることができる。
有機繊維シートは、表面が平滑なものことが好ましい。例えば、有機繊維布帛であるモノフィラメントのポリエステル繊維織物のように表面に凹凸がある場合には、炭素前駆体樹脂(B)を含浸した後、加熱プレスにより表面を平滑にすることができる。有機繊維シートの表面が平滑でない場合は、樹脂含浸炭素繊維紙との接着面積が小さくなることから、樹脂含浸炭素繊維紙が含有する炭素前駆体樹脂(A)をより多くする必要が生じ、結果的に反応ガスの透過性が悪くなる場合がある。
有機繊維シートは、ガス透過度と電極基材の厚みのバランスから、有機繊維目付が50〜300g/m2であることが好ましい。有機繊維目付が50g/m2以上であれば、反応ガスを電極基材全面に広げるためのガス透過度を十分に確保できる。有機繊維目付が300g/m2以下であれば、電極基材の厚みが薄い状態にでき、セルスタックにした場合もよりコンパクトにできる。有機繊維シートの有機繊維目付は100〜200g/m2であることがより好ましい。
有機繊維シートは、ガス透過度と均一拡散性のバランスから、繊維径50〜400μmの有機繊維を有し、その目開きが100〜1500μmであることが好ましい。有機繊維シートにおける有機繊維の目開きは、電極基材の細孔径、および焼成後厚み方向のガス透過度に影響を与える。一方、有機繊維シートにおける有機繊維の繊維径は、電極基材の細孔径、および焼成後の平面方向のガス透過度に影響を与える。目開きおよび繊維径が大きいほど、反応ガスの透過性が良くなる。ただし、目開きおよび繊維径が大きすぎる場合は、ガスの流れやすい部分と流れにくい部分のムラが大きくなり、全体としてガス透過度は高くなるが、電極反応の効率は低下する場合がある。有機繊維シートは、150〜350μmの有機繊維を有することがより好ましい。また、有機繊維シートの有機繊維目開きは300〜1200μmであることがより好ましい。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は以下の方法で測定した。
1)目付、厚み
目付は、20cm×30cmのサンプルの質量を測定し、算出した。厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ7321(商品名、ミツトヨ製)を使用し、測定した。なお、このときの測定子の大きさは、直径10mmで測定圧力は1.5kPaで行った。
2)平面方向のガス透過度
加圧部の外径が30mmφ、ガス流通部の径が10mmφの円筒状の圧縮治具(圧縮部面積6.28cm2)に、36mmφに切り出した電極基材を挟み、1MPaの加圧を加える。この状態で、円筒状の圧縮治具の上方から200ml/minの流速でガスを流したときのガスの供給部(電極基材内側)とガスの排出部(電極基材外側)の圧力差を測定し、以下の式より算出した。
平面方向のガス透過度(ml/min/Pa)
={流速(ml/min)}/{電極基材内側と電極基材外側の圧力差(Pa)}
3)厚み方向のガス透過度
平面方向のガス透過度と同様の方法で電極基材を挟み、ガス流路を変え、円筒の上方から200ml/minの流速でガスを流したときのガスの供給部(電極基材上部)とガスの排出部(電極基材下部)の圧力差を測定し、以下の式より算出した。
厚み方向のガス透過度(ml/min/Pa)
={流速(ml/min)}/{電極基材上部と電極基材下部の圧力差(Pa)}
<実施例1>
平均繊維径が7μmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの炭素短繊維を得た。次にこの炭素短繊維100質量部に対し、十分に分散したところにバインダーであるポリビニルアルコール(PVA)の短繊維を60質量部となるように均一に分散させ、標準角形シートマシンを用いてJIS P−8222法に準拠して抄紙を行った。得られた炭素繊維紙は、単位面積当たりの紙の質量(紙目付)が18g/m2、単位面積当たりの炭素繊維の質量(炭素繊維目付)が11.25g/m2であった。
この炭素繊維紙をフェノール樹脂(商品名「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の10質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、炭素短繊維100質量部に対しフェノール樹脂を100質量部付着させた。その後、熱風で乾燥して、樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
有機繊維布帛として市販のポリエステルメッシュ(商品名「PET−500」、SEFAR社製、目開き500μm、繊維径220μm、炭化収率0.1質量%、有機繊維目付150g/m2)を使用した。なお、このポリエステルメッシュをフェノール樹脂(商品名「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の40質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステルメッシュ100質量部に対しフェノール樹脂を67質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置いて、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸有機繊維布帛を得た。
樹脂含浸炭素繊維紙、樹脂含浸有機繊維布帛、及び樹脂含浸炭素繊維をこの順で積層し、バッチプレス装置にて180℃、0.5MPaの条件下に5分間置いて、フェノール樹脂を硬化させた中間基材を得た。続いて、中間基材を窒素ガス雰囲気中バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。
得られた電極基材の断面写真を図1に、その模式図を図2に示すように、樹脂含浸炭素繊維紙の焼結体2が層(1)を、樹脂含浸有機繊維布帛の焼結体3が層(2)を形成し、層(1)、層(2)、層(1)の順に積層された多孔質炭素電極基材1を構成している。層(1)の厚さは、1層あたり40μmであった。層(2)には、有機繊維布帛があった部分が焼成により焼失し、150〜200μmの平面方向に貫通する空孔4が形成され、樹脂含浸有機繊維布帛にあった有機繊維間の隙間5も空孔として残存している。この空孔の存在により従来の電極基材よりはるかに平面方向に反応ガスが拡散しやすくなる。層(1)の炭素繊維紙は、焼成しても熱収縮されにくいため、層(2)の両面から挟み込むことによって層(2)の構造を保持することが可能となる。
得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。平面方向、厚み方向のいずれのガス透過度も非常に高く、ガス透過性が優れていた。すなわち、電極基材全面に反応ガスが広がり、触媒層に反応ガスを効率よく供給でき、かつガス流路出口付近のフラッディング現象を防止できる。
さらに2MPaの荷重を加えても電極基材が破壊しないことを確認した後、1MPaの加圧下で平面方向のガス透過度を測定したが、引き続きガス透過性は優れていた。
<実施例2>
有機繊維布帛として市販のポリエステルメッシュ(商品名「PET−1000」、SEFAR社製、目開き1mm、繊維径320μm)を使用した。このポリエステルメッシュをフェノール樹脂(商品名「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の40質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステルメッシュ100質量部に対しフェノール樹脂を60質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、8MPaの条件下に5分間置いて、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸有機繊維布帛を得た。
この樹脂含浸有機繊維布帛を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極基材を作製した。得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。実施例1より空孔の径が大きいタイプの電極基材が得られ、平面方向のガス透過性がさらに優れたものとなった。
<実施例3>
有機繊維布帛として市販のポリエステルメッシュ(商品名「PET−300HD」、SEFAR社製、目開き300μm、繊維径205μm)を使用した。このポリエステルメッシュをフェノール樹脂(商品名:「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の40質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステルメッシュ100質量部に対しフェノール樹脂を45質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置いて、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸有機繊維布帛を得た。
この樹脂含浸有機繊維布帛を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極基材を作製した。得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。実施例1より空孔の数が多いタイプの電極基材が得られ、ガス透過性も優れていた。
<実施例4>
繊維径220μmのポリエステル繊維を500μm間隔で引き揃えた状態で、フェノール樹脂(商品名:「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の60質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステル繊維100質量部に対しフェノール樹脂を45質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸有機繊維布帛を得た。
この樹脂含浸有機繊維布帛を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極基材を作製した。得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。空孔が1方向にのみ存在しているタイプの電極基材が得られ、ガス透過性も優れていた。
さらに、空孔と同じ方向とそれに垂直な方向に分けてガス透過度を測定したところ、ガス透過度の比が、空孔と同じ方向:それに垂直な方向=8:1であった。空孔方向のガス透過度は、2MPa加圧下でも高い状態で維持されていた。
<実施例5>
バッチプレス装置によるフェノール樹脂の硬化を行わず、表面が平滑化されていない樹脂含浸有機繊維布帛を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極基材を作製した。得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。樹脂含浸炭素繊維紙と樹脂有機繊維布帛を張り合わせる際、フェノール樹脂が平面方向に広がるため、厚み方向のガス透過度は実施例1より低下するが、平面方向のガス透過度は高い状態で維持されていた。本例も樹脂有機繊維布帛を事前に硬化されるプロセスを省略した低コストな方法として有効であると考えられる。
<実施例6>
樹脂含浸炭素繊維紙2枚、樹脂含浸有機繊維布帛1枚、及び樹脂含浸炭素繊維紙1枚をこの順で積層した(いずれも実施例1で得たものである。)以外は、実施例1と同様に操作して、電極基材を得た。
得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。平面方向、厚み方向のいずれのガス透過度も非常に高く、ガス透過性が優れていた。そして、有機繊維布帛の凹凸が樹脂含浸炭素繊維紙2枚積層した方の表面では、ほとんど問題とならず、この面にセパレーターを重ねた場合には、接触抵抗が低減できる。
さらに2MPaの荷重を加えても電極基材が破壊しないことを確認した後、1MPaの加圧下で平面方向のガス透過度を測定したが、引き続きガス透過性は優れていた。
<実施例7>
樹脂含浸炭素繊維紙4枚、樹脂含浸有機繊維布帛1枚、及び樹脂含浸炭素繊維紙1枚をこの順で積層した(いずれも実施例1で得たものである。)以外は、実施例1と同様に操作して、電極基材を得た。
得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。平面方向、厚み方向のいずれのガス透過度も非常に高く、ガス透過性が優れていた。そして、有機繊維布帛の凹凸が樹脂含浸炭素繊維紙4枚積層した方の表面では、全く問題とならず、この面にセパレーターを重ねた場合には、接触抵抗が低減できる。
さらに2MPaの荷重を加えても電極基材が破壊しないことを確認した後、1MPaの加圧下で平面方向のガス透過度を測定したが、引き続きガス透過性は優れていた。
<実施例8>
炭素繊維紙に用いる炭素短繊維を平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素短繊維に代えて、実施例1と同様にして炭素繊維紙[単位面積当たりの紙の質量(紙目付)19g/m2、単位面積当たりの炭素繊維の質量(炭素繊維目付)が10g/m2]を得た。この炭素繊維紙を用いて実施例1と同様な操作により樹脂含浸炭素繊維紙(炭素短繊維100質量部に対しフェノール樹脂を120質量部付着させた)を得た。
この樹脂含浸炭素繊維紙1枚、実施例1で得られた樹脂含浸有機繊維布帛1枚、及び実施例1で得られた樹脂含浸炭素繊維1枚をこの順で積層した以外は、実施例1と同様に操作して、電極基材を得た。
得られた電極基材の目付、厚み、及びガス透過度の結果を表1に示す。平面方向、厚み方向のいずれのガス透過度も非常に高く、ガス透過性が優れていた。そして、有機繊維布帛の凹凸は、平均繊維径が4μmの炭素短繊維を用いた樹脂含浸炭素繊維紙を積層した方の表面では、全く問題とならず、この面にセパレーターを重ねた場合には、接触抵抗が低減できる。
さらに2MPaの荷重を加えても電極基材が破壊しないことを確認した後、1MPaの加圧下で平面方向のガス透過度を測定したが、引き続きガス透過性は優れていた。
<比較例1>
樹脂含浸有機繊維布帛を使用せず、樹脂含浸炭素繊維紙を2枚積層したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極基材を作製した。厚さ方向のガス透過度に比べて平面方向のガス透過度が非常に小さく、反応ガスを電極基材全面に広げることができない。
<比較例2>
樹脂含浸炭素繊維紙の積層枚数を6枚にした以外は、比較例1と同じ方法で電極基材を作製した。厚みを厚くした分比較例1と比較して平面方向にも反応ガスが流れやすくなっているが、厚み方向のガス透過度に比べて平面方向のガス透過度が未だ非常に小さい。
本発明の多孔質炭素電極基材の一例の断面写真である。 本発明の多孔質炭素電極基材の一例の模式図である。
符号の説明
1:多孔質炭素電極基材
2:樹脂含浸炭素繊維紙の焼成体
3:樹脂含浸有機繊維布帛の焼成体
4:平面方向に貫通する空孔
5:有機繊維間の隙間

Claims (15)

  1. 炭素短繊維を有する炭素繊維紙に炭素前駆体樹脂(A)を含浸して、樹脂含浸炭素繊維紙を得る工程と、
    前記樹脂含浸炭素繊維紙と有機繊維シートとを積層した積層体を得る工程と、
    前記積層体を加熱プレスすることで前記炭素前駆体樹脂(A)を硬化し、さらに焼成する工程と、
    を有する多孔質炭素電極基材の製造方法。
  2. 前記積層体を得る工程において、前記樹脂含浸炭素繊維紙と、前記有機繊維シートと、前記樹脂含浸炭素繊維紙とをこの順に積層する請求項1記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  3. 前記有機繊維シートが、一方向に引き揃えられている有機繊維を有する請求項1または2記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  4. 前記有機繊維シートが、有機繊維を有する有機繊維布帛に炭素前駆体樹脂(B)を含浸した樹脂含浸有機繊維布帛である請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  5. 前記樹脂含浸有機繊維布帛は、その表面が平滑なものである請求項4記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  6. 前記樹脂含浸有機繊維布帛が、前記有機繊維100質量部に対して前記炭素前駆体樹脂(B)を30〜100質量部含有する請求項4または5記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  7. 前記有機繊維布帛がポリエステル繊維で構成され、前記炭素前駆体樹脂(B)がフェノール樹脂である請求項4〜6のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  8. 前記有機繊維シートは、炭化収率20質量%以下の製織された有機繊維を有し、その有機繊維目付が50〜300g/m2である請求項1〜7のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  9. 前記有機繊維シートは、繊維径50〜400μmの有機繊維を有し、その目開きが100〜1500μmである請求項1〜8のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  10. 前記炭素繊維紙が、平均繊維径6〜8μm、平均繊維長3〜12mmのポリアクリロニトリル系炭素短繊維を抄紙したものである請求項1〜9のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  11. 前記炭素繊維紙は、紙目付が15〜30g/m2であり、炭素短繊維目付が5〜15g/m2である請求項1〜10のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  12. 前記樹脂含浸炭素繊維紙が、前記炭素短繊維100質量部に対して前記炭素前駆体樹脂(A)を50〜150質量部含有する請求項1〜11のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項記載の多孔質炭素電極基材の製造方法により製造される多孔質炭素電極基材。
  14. 炭素短繊維が炭素によって互いに結着して構成され、平面方向において実質的に等方性である層(1)と、
    炭素により構成され、平面方向に貫通する空孔を有する層(2)と、
    を有する多孔質炭素電極基材。
  15. 前記層(1)と、前記層(2)と、前記層(1)とがこの順に積層されている請求項14記載の多孔質炭素電極基材。
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