JP2004363018A - 固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維と、フィブリル部を有する分割繊維とを含み、該炭素短繊維が該分割繊維により結着されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材は、固体高分子型燃料電池においてセパレーターと触媒層の間に位置するもので、セパレーターと触媒層間の電気伝達体としてのはたらきだけでなく、セパレーターから供給される水素や酸素などの反応ガスを触媒層に分配する機能と触媒層で発生する水を吸収して外部に排出する機能を有するものである。
【0003】
固体高分子型燃料電池用の電極基材には反応ガスの拡散・透過性、耐酸性、電極製造時や電極を組んだときの圧縮に耐える機械的強度が要求され、炭素繊維紙や炭素繊維織物を用いたものが主流となっている。
【0004】
特に炭素繊維紙を用いた電極基材は、炭素繊維織物を用いたものより表面の凹凸が少ない点で優れている。炭素繊維紙においては、炭素短繊維に樹脂を含浸させ、ホットプレスしたのち再焼成して得られるC/Cコンポジットタイプのものが主流であったが、多段階の工程を必要とするためコストが高くなる傾向にある。そのため、炭素繊維紙を再焼成することなく性能を発揮するものが注目されている。
【0005】
再焼成しないタイプの炭素繊維紙においては、炭素短繊維間を結合するバインダーの役割が重要であり、汎用のバインダーを使用すると導電性だけでなく機械強度も低下するため、性能を維持する手段として特に撥水物質を用いることで機械強度だけでなく反応ガス中に含まれる水分の排水性を向上させたものが多く開発されている。その例として特許文献1や特許文献2に記載のものが挙げられる。
【0006】
特許文献1には、フッ素樹脂繊維と導電性繊維からなる電極基材が提案されている。しかしながらフッ素樹脂繊維は、導電性繊維と比較して導電性が極めて低いため、導電性繊維より繊維径が太いものや繊維長が長いものを用いると導電性繊維がフッ素樹脂繊維に分断され、導電性が低下する。
【0007】
特許文献2には、炭素繊維紙などの多孔質炭素基材に粒状フッ素樹脂のディスパージョン液内に含浸させるなどの方法で粒状フッ素樹脂が含浸された基材が提案されている。しかしながらこのような場合、多孔質炭素基材があらかじめ別の方法で炭素繊維を結着したものでないと、フッ素樹脂を付着させる時に繊維の脱落が生じやすくなる。フッ素樹脂の形状が粒状であるため、バインダーとして有効に働く部分が少なく機械強度が低下しやすい。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−204114号公報
【特許文献2】
特開2002−352807号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少ない工程数で製造でき、機械的強度に優れる燃料電池用電極機材を提供することを目的とする。さらに優れた導電性や撥水性を容易に付与することのできる燃料電池用電極基材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維と、フィブリル部を有する分割繊維とを含み、該炭素短繊維が該分割繊維により結着されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材(以下、場合によりフィブリル結着多孔質電極基材という。)が提供される。
【0011】
前記炭素短繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維であり、その平均繊維長が3mm以上12mm以下であることが好ましい。
【0012】
前記分割繊維が、直径2μm以下のフィブリル部、及び、直径100μm以下の芯部を有する分割繊維であることが好ましい。
【0013】
前記分割繊維と前記炭素短繊維との含有質量比が1/3〜5/1であることが好ましい。
【0014】
前記分割繊維の少なくとも一部が、体積抵抗率が10Ω・cm以下の分割繊維である導電性分割繊維であることが好ましい。
【0015】
前記導電性分割繊維が、炭素微粒子を含有することが好ましい。
【0016】
前記分割繊維の少なくとも一部が、水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含む分割繊維である撥水性分割繊維であることが好ましい。
【0017】
前記撥水性分割繊維が、非プロトン性溶媒に可溶なポリマーを含有することが好ましい。
【0018】
前記分割繊維の体積抵抗率が10Ω・cm以下であり、かつ該分割繊維が水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含むことが好ましい。
【0019】
前記分割繊維が、炭素微粒子と非プロトン性溶媒に可溶なポリマーとを含有し、該炭素微粒子と該ポリマーとの質量比が1/99〜40/60であることが好ましい。
【0020】
引張強さが10kN/m以上で、かつ30秒間水面上に浮かばせた後の付着水分質量が多孔質電極基材の乾燥質量の2倍以下である多孔質電極基材が好ましい。
【0021】
貫通抵抗が0.8Ω・cm2以下でかつ面比抵抗が1Ω・cm以下である多孔質炭素電極基材が好ましい。
【0022】
上記フィブリル結着多孔質電極基材と、炭素短繊維を基材とする炭素繊維紙とが積層された固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材が好ましい。
【0023】
上記フィブリル結着多孔質電極基材が複数積層された固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材が好ましい。この電極基材において、複数の多孔質電極基材の分割繊維が、炭素微粒子と非プロトン性溶媒に可溶なポリマーとを含有し、少なくとも1つの多孔質電極基材と、他の少なくとも1つの多孔質電極基材とが、該分割繊維の含有量、該炭素微粒子の含有量および該ポリマーの含有量から選ばれる少なくとも1つにおいて相異なることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材は、実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維が、フィブリル部を有する分割繊維で結着した多孔質電極基材である。
【0025】
フィブリル部を有する分割繊維は、水中に均一に分散し、かつ炭素短繊維を結着することができる。炭素短繊維を結着させる方法としては、抄紙時に炭素短繊維と接着性・粘着性の高いバインダーを混合させる方法や、炭素短繊維の表面を接着性の高い材料でコートしたものを分散させる方法があるが、いずれの場合も後加工により撥水性・導電性を付与させることが困難である。そのため、抄紙後撥水性物質や導電性物質を分散させた浴槽に浸漬させコートするなど別の工程にて撥水性材料や導電性材料を含ませる必要があり、コストアップにつながってしまう。フィブリル部を有する分割繊維は、抄紙時に水中でフィブリル部が炭素繊維に絡み着くことができるため、その組成が撥水性物質や導電性物質であっても炭素短繊維とともに分散させた場合結着剤として機能する。本発明においては、ワンステップで撥水性材料や導電性材料を多孔質電極基材に含ませることができる。
【0026】
実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維は、面方向から見ると炭素短繊維が、互いに交差しあっているが、厚み方向からみると繊維が平行に並んだ状態になっているものである。炭素繊維紙、炭素繊維不織布も含まれるが、バインダーなどにより形態が保持されていない段階のものも含まれる。
【0027】
フィブリル部を有する分割繊維は、繊維との絡みをよくするフィブリル部とバインダーとしての強度を発現するための芯部から構成されているため、他の繊維と強く結着することができる繊維である。
【0028】
固体高分子型燃料電池は、プロトン移動が固体高分子膜を媒体に行なわれる燃料電池である。稼動温度が低いことから小型化が可能であり、特に最近では自動車の駆動電源として期待されている。
【0029】
多孔質電極基材は、固体高分子型燃料電池で使用される反応ガスおよび発生ガスの触媒層への均一拡散および電子の運搬に必要なキーマテリアルである。
【0030】
<炭素短繊維>
本発明で用いる炭素短繊維の原料である炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれであって良いが、機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が好ましく、特に用いる炭素繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維のみからなることが好ましい。ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、原料として、アクリロニトリルを主成分とするポリマーを用いて製造されるものである。
【0031】
ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、その前駆体(プレカーサ)であるアク
リロニトリル系繊維を紡糸する製糸工程、200〜400℃の空気雰囲気中で該繊維を加熱焼成して酸化繊維に転換する耐炎化工程、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中でさらに300〜2500℃に加熱して炭化する炭化工程を経て得ることができ、複合材料強化繊維として使用される。バインダーとの接着性を高めるため、炭素繊維の表面積は広いほうが好ましく、断面形状は強度発現と基材の空孔を大きくすると言う観点から円形状のものが好ましい。
【0032】
炭素短繊維の平均繊維長は、繊維同士の結着点の減少を抑え、電極基材の優れた機械的強度を得る観点から3mm以上が好ましく、炭素短繊維の分散を容易にし、電極基材の反応ガス分配性を優れたものにし、燃料電池における反応ガスの供給均一性を優れたものにする観点から12mm以下であることが好ましく、さらに好ましい下限及び上限は、それぞれ4mm及び9mmである。
【0033】
炭素繊維の平均繊維径は、ガス透過性を満足させるという観点から2μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましく、機械強度および触媒層との接触性を良くするという観点から9μm以下であることが好ましく、7μm以下がより好ましい。
【0034】
<分割繊維>
フィブリル部を有する分割繊維が、表面フィブリル化繊維を分割して得られる繊維であることが好ましい。表面フィブリル化繊維は、例えば以下の方法で製造できる。分割繊維の原料(例えば撥水性物質および導電性物質)を溶媒に溶解もしくは分散媒に分散させた紡糸原液を紡糸吐出口に通して混合セル内に吐出すると同時に、水蒸気を紡糸原液の吐出線方向に対して0度以上、90度未満の角度で混合セル内に噴出し、混合セル内で分割繊維原料を剪断流速の下で凝固させる。形成された凝固体を前記溶媒もしくは分散媒と水蒸気と共に混合セルから凝固液中に排出することで表面フィブリル化繊維が得られる。凝固液としては水または、水と前記溶媒もしくは分散媒との混合液を用いることができる。
【0035】
このようにして得られた表面フィブリル化繊維は、他の繊維との結着面積を広くすることができる細繊維が集合したフィブリル部と水蒸気にあまり触れることなく凝固した繊維径の太い芯部を有している。表面フィブリル化繊維を分割して得られる分割繊維も繊維との絡みをよくするフィブリル部とバインダーとしての強度を発現するための芯部から構成されているため、他の繊維と強く結着することができる。
【0036】
フィブリル部の直径は混合する炭素繊維との絡みを良好にするため、2μm以下が好ましい。
【0037】
芯部は、多孔質電極基材の均質化の観点から直径100μm以下であることが好ましい。直径が100μm以下とすることにより、分割繊維が偏在することを優れて抑制でき、比較的少量の分割繊維によって炭素短繊維を結着することができる。また、強度を発現する観点から、芯部の直径は10μm以上であることが好ましい。
【0038】
炭素繊維に絡む機能の観点から、一つの芯部に対してフィブリル部が複数存在することが好ましく、一つの芯部に対してフィブリル部が多いほど好ましいと考えられる。
【0039】
一つの分割繊維において、芯部の太さは、一定であるか、あるいは無段階に変化するものが好ましい。上記方法でフィブリルを製造した場合、水蒸気がランダムに飛び散るため太さを一定に保つのは困難な場合が多く、このような場合芯部の太さが変化してしまう。このとき、太さが段階的に変化すると、段差の部分が弱くなり、強度が低下する傾向があるという点で不利である。段階的な変化は、噴射する水蒸気が冷えて粒状になった場合に見られるが、水蒸気の噴出圧および温度を高くするなどの方法で太さが段階的に変化することを防止することができる。
【0040】
<分割繊維と炭素短繊維の混合比率>
フィブリル部を有する分割繊維と炭素短繊維との混合比率(分割繊維質量/炭素短繊維質量)は、電極基材の導電性および強度の観点から1/3〜5/1であることが好ましい。分割繊維と炭素短繊維との混合比率が5/1を超える場合、すなわち分割繊維の混合量が多い場合、導電性・ガス透過性が低くなり電極基材としての機能が低下する傾向があるという点で不利である。一方、分割繊維と炭素短繊維との混合比率が1/3未満である場合、炭素繊維を結着する度合いが低下し、強度が低下する傾向があるという点で不利である。
【0041】
<導電性>
フィブリル部を有する分割繊維の体積抵抗率は、10Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が10Ω・cm以下とすることにより、電極基材の抵抗が高くなってしまい燃料電池の性能が低下してしまうことを優れて防止できる。また、電極基材の抵抗を下げるためにフィブリル部を有する分割繊維の混合量を減らす必要がなく、従って機械的強度に優れた電極基材を得ることができる。(以下、体積抵抗率が10Ω・cm以下の分割繊維を導電性分割繊維という)。
【0042】
ここでの体積抵抗率は、分割繊維を構成する素材をシート状に加工したものの単位体積当たりの抵抗値であり、シート状物の面方向の抵抗を測定することで規定する。
【0043】
フィブリル部を有する分割繊維の導電性が、その内部に含有された炭素微粒子によって発現されることが好ましい。分割繊維さらには電極基材の導電性を保つためには導電性微粒子を含ませるのが好ましいが、導電性微粒子が金属である場合、燃料電池の反応系中で発生する酸により腐食される場合があるが、炭素微粒子は腐食さるおそれがない。炭素微粒子としては、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ミルドファイバー、カーボンナノファイバーなどが挙げられる。アセチレンブラックは、溶媒への均一分散性の観点から特に好ましい。また、カーボン粒子が触媒担持カーボンの場合も多孔質炭素電極基材からのガスと電気の受け渡しが容易になるという観点から好ましい。炭素微粒子の粒径は5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。粒径が5μmより大きい場合は、分割繊維を製造する際、吐出口が詰り易くなる、触媒層との接触が悪化するという傾向があるという点で不利である。
【0044】
なお、触媒担持カーボンは、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する触媒がカーボン粒子やカーボンナノチューブに担持されたもので、電極の触媒層を形成する部材である。
【0045】
<撥水性>
分割繊維が、水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含むことが好ましい。(以下、水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含む分割繊維を撥水性分割繊維という)。
【0046】
水に対する接触角が80°以上の撥水性物質としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;シリコン系樹脂;パラフィン系樹脂、などがあるが、耐久性を付与することができるフッ素系樹脂が好ましい。
【0047】
フィブリル部を有する分割繊維に水に対する接触角が80°以上の上記撥水性物質が含まれていることにより、電極基材の中に燃料電池反応ガス中に含まれている水や発生水を吸収し、この水が電極基材の流路を遮断してしまうことを優れて防止できる。なお、撥水性を表す基準として水に対する接触角を測定するが、この際に用いられる撥水性物質は、分割繊維ではなく撥水性物質が平板に加工されたものを使用する。
【0048】
フィブリル部を有する撥水性分割繊維により炭素短繊維が結着されていることが好ましい。撥水性物質がフィブリル部を有する分割繊維ではなく、粒状のものや繊維状物の場合、強度を保持させるために撥水性が小さいバインダー(水酸基、アミノ基など水分子と水素結合しやすい官能基を多く有する物質から形成されるバインダー)が多く必要となってしまい、結果的に発生水の排出が困難となる。フィブリル部を有する撥水性分割繊維は、電極基材の撥水性だけでなく機械的強度を保持するという観点からも好ましい。
【0049】
フィブリル部を有する撥水性分割繊維と炭素短繊維を水中で分散させて混合する場合、炭素短繊維の分散性が悪くなることがあるが、そのような場合は適宜水中に界面活性剤を混入することで分散性を良好にすることができる。
【0050】
電極基材に撥水性分割繊維と導電性分割繊維が含まれているものが好ましい。電極基材には、撥水性、導電性、形状を保持する機械的強度などが要求され、撥水性分割繊維と導電性分割繊維の両方を混入するとさらなる性能向上につながるため好ましい。また、撥水性分割繊維でありかつ導電性分割繊維である分割繊維を電極基材に用いることも好ましい。導電性物質と撥水性物質の両者を分割繊維に含有させることにより撥水性・導電性両方を有する分割繊維が得られる。
【0051】
フィブリル部を有する分割繊維の撥水性が、その内部に含有された非プロトン性溶媒に可溶なポリマーにより発現していることが好ましい。撥水性のポリマーを非プロトン性溶媒に溶解し、これを水により凝固することが、フィブリル部を有する分割繊維を得るのに極めて好適である。非プロトン性溶媒に可溶なポリマーで撥水性を発現させるものとしては、例えば電極基材の耐久性の観点からポリフッ化ビニリデンが好ましい。その他、ポリマーとしては2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3、3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート等が挙げられる。ポリマーの分子量(重量平均)は、機械強度を保持するという観点から、10万以上が好ましく、強度発現のためには高ければ高いほど好ましい。
【0052】
非プロトン性溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などその他多く挙げられるが特に限定されるものではない。
【0053】
<導電性物質と撥水性物質の混合比>
分割繊維に導電性物質と撥水性物質を混合する場合、導電性物質として炭素微粒子を用い、撥水性物質として非プロトン性溶媒に可溶なポリマーを用い、これらの混合比率(炭素微粒子の質量/このポリマーの質量)を1/99〜40/60とすることが好ましい。導電性物質がない場合も炭素短繊維をつなぐバインダーとしての機能し、ガス透過性に優れた電極基材として役割を果たす。導電性物質を混合する場合、上記混合比率が1/99より少ないとき、導電性を良好にする効果よりガス透過性を悪化させる効果が大きくなる傾向があるという点で不利である。一方、上記混合比率が40/60を越えると、紡糸原液に分散できない導電性物質が析出し、紡糸原液を吐出する吐出口が詰る傾向があるという点で不利である。また、電極基材からの導電性物質脱落が発生する傾向があるという点で不利である。
【0054】
<引張強さ>
多孔質電極基材の引張強度は、取り扱いの容易さ、例えばロールに巻き取る際の破れにくさの観点から、10kN/m以上であることが好ましく、より好ましくは20kN/m以上である。また、曲げ強度を10MPa以上とすることにより、電極基材を燃料電池に組み込む際、亀裂が入ることを優れて防止できる。なお、分割繊維以外のバインダーを混抄する方法や、炭素短繊維と分割繊維を抄紙した後ホットプレスにより熱圧着する方法などにより、引張強度をより強くすることができる。
【0055】
<吸水度>
電極基材の撥水性の指標として、試験片を30秒間水面上に浮かばせた後の付着水分質量を測定し、水分付着質量の小さいものほど撥水性が強いと判断することができる。撥水性のバインダーを使用して形成した電極基材は、水をほとんど吸収しないため、JIS規格等の吸水度測定法が適用できないことがある。そのため、撥水度を測定する目安として上記方法にて撥水性を測定する。なお、測定に用いる試験片の大きさは、例えば2cm×2cmとすることができる。
【0056】
電極基材は、30秒間水面上に浮かばせた後の付着水分質量が自重(乾燥状態の電極基材の質量)の2倍以下であることが好ましい。更に好ましくは、1.5倍以下である。付着水分質量が自重の2倍以上である場合、付着または吸着した水が細孔の間に貯まり、燃料電池において特に高電流密度で発電させた場合にフラッディング現象を起こす可能性が高くなる傾向があるという点で不利である。
【0057】
<抵抗>
電極基材の貫通抵抗は、0.8Ω・cm2以下でかつ面比抵抗が1Ω・cm以下であることが好ましい。貫通抵抗が0.8Ω・cm2より大きい場合もしくは、面比抵抗が1Ω・cmより大きい場合、燃料電池単セルを組んだときのセル全体の抵抗に影響を及ぼし、起電力低下の原因となる傾向があるという点で不利である。
【0058】
<多層構造>
多孔質電極基材は上記フィブリル結着多孔質電極基材が一枚のみからなるものであってもよいが、フィブリル結着多孔質電極基材を複数積層して電極基材として用いることもできるし、一枚あるいは複数枚のフィブリル結着多孔質電極基材に加えて、別種の多孔質電極基材を積層して電極基材として用いることもできる。
【0059】
例えば、前記導電性分割繊維や撥水性分割繊維で結着した多孔質電極基材と、炭素短繊維を基材とする炭素繊維紙とを積層してなる多層構造の多孔質電極基材が高電流密度領域でも優れた電池性能を維持できるという点で好ましい。
【0060】
フィブリル結着多孔質電極基材を単独で使用した場合でも、少なくとも低電流密度領域では優れた電極の機能を得ることができる。高電流密度領域でもより優れた電極性能を得るためには、電極反応により大量に発生する水分を外部に排出する機能を強化することが有効である。このために、本発明における導電性フィブリルや撥水性フィブリルで結着した多孔質電極基材を、別の炭素短繊維を基材とする炭素繊維紙と積層することができ、これにより厚み方向への水の流れを制御することが可能となり、高電流密度領域で大量に水が発生した場合も電池性能を維持することができる。
【0061】
厚み方向への水の流れを効果的に制御するための方法としては、積層する電極基材の嵩密度の差を大きくする方法が一般的である。セパレータ側に電極基材の嵩密度の小さい層を配備することで反応部へのガスの流れを良くし、一方電極基材の嵩密度の高い層を触媒層と接触させることで電解質膜内部の水や発生する水を内側に保持することが可能となる。積層例としては、上記撥水性分割繊維で結着した多孔質電極基材をより緻密な炭素繊維紙と積層したものや、導電性分割繊維で結着した多孔質電極基材をより多孔質な炭素繊維紙と積層したものなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0062】
分割繊維で結着された多孔質電極基材に積層される炭素短繊維を基材とする炭素繊維紙は、特に限定されないが、炭素短繊維同士が導電性や撥水性などの機能有するバインダーで結着されているものが電池性能を維持するという観点から好ましく、導電性分割繊維や撥水性分割繊維で結着した多孔質電極基材を積層したもの同じ観点から好ましい。
【0063】
<積層基材の組成>
フィブリル結着多孔質電極基材を複数枚積層する場合、それぞれのフィブリル結着多孔質電極基材において、分割繊維が導電材料(例えば炭素微粒子)と撥水性材料(例えば、非プロトン性溶媒に可溶なポリマー)とを含有し、かつ、少なくとも1つの多孔質電極基材と、他の少なくとも1つの多孔質電極基材とが、分割繊維の含有量、導電材料の含有量および撥水性材料の含有量から選ばれる少なくとも1つにおいて相異なることが水分管理を効率よくするという観点から好ましい。ここで、分割繊維が導電材料と撥水性材料とを含有するとは、一部の分割繊維が導電材料を含み他の一部の分割繊維が撥水性材料を含む場合も、少なくとも一部の分割繊維が導電材料と撥水性材料との両者を含む場合も、いずれをもいう。
【0064】
分割繊維、導電材料および撥水性材料の含有量がいずれも全く同じものを積層する場合、積層されていないものと電池性能において大きな差は見られない。これらのうちの少なくとも一つが異なるものを組み合わせることにより、層間で撥水性に差が生じる。これにより層間の水の移動がスムーズになり、効率よく水を排出することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
【0066】
実施例中の各物性値等は以下の方法で測定した。
【0067】
1)厚み、嵩密度
厚み測定装置(ミツトヨ製、商品名:ダイヤルシックネスゲージ7321)を使用し、測定した。なお、このときの測定子の大きさは、直径10mmで測定圧力は1.5kPaで行った。
【0068】
実測した厚み(mm)と坪量(g/m2)を用いて、以下の式により算出した。
【0069】
【数1】
【0070】
2)引張強さ
JIS−P8113に準拠し、電極基材を縦方向及び横方向について幅15mm、長さ25cmに裁断し、テンシロン測定装置を用いて破断時の荷重を測定し、引張強度とした。なお、サンプルがチャックにより損傷するのを防ぐため、サンプルの上下2.5cmに厚紙を両面に貼ってチャックした。
【0071】
3)引張弾性率
JIS−P8113に準拠し、上記同様、テンシロン測定装置を用いて破断するまでに示した最大引っ張りひずみ率を測定し、引張弾性率とした。
【0072】
4)付着水分質量
電極基材の試験片の質量を測定し、あらかじめ用意した水槽の上に試験片を30秒浮かばせ、付着した水分が落ちないよう質量を測定し、試験片の元の質量を引いた値を付着水分質量とした。
【0073】
5)面抵抗
電極基材の片面に2cmの間隔をあけて銅線をのせ、10mA/cm2の電流密度で電流を流した時の抵抗を測定した。
【0074】
6)貫通抵抗の測定
電極基材の厚さ方向の貫通抵抗は試料を銅板にはさみ、銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
【0075】
【数2】
【0076】
7)ガス透気度
JIS−P8117に準拠し、ガーレー式デンソメーターを使用し、200mm3の気体が通過する時間を測定し、算出した。
【0077】
8)表面粗さ測定
表面粗さ計(ミツトヨ製、商品名:サーフテストSJ−402)を使用し、触針(針径5μmダイヤモンドチップ)を6cm×6cmの大きさに切ったサンプルの上で縦方向横方向に動かし、その軌跡から輪郭曲線を記載させ、算出される輪郭曲線の算術平均高さRaを読み取り、表面粗さの度合いを確認した。
【0078】
〔実施例1〕
(分割繊維Aの作成)
ポリフッ化ビニリデン(ATOFINA社製、商品名:KYNAR9000)466g、アセチレンブラック(電気化学(株)製、商品名:デンカブラック)200gをN,N−ジメチルアセトアミド4460gに混合し、ポリフッ化ビニリデン9質量%、アセチレンブラック4質量%のジメチルアセトアミド混合液を分割繊維製造用の紡糸原液として調整した。次いで得られた混合液を0.1MPaの窒素加圧下で押し出し、ギアポンプを用いて図1に示したノズルの流路1へ定量供給を行なうと同時に水蒸気を流入口3から水蒸気流路4に供給した。水蒸気供給量は減圧弁により供給圧力を規定することにより行なった。水蒸気量は図1に示すノズルより水蒸気量の増分を求めることにより測定した。直径が0.5mmの溶液吐出口2、直径が2mm、長さが10mmの円筒状の混合セル5、水蒸気流路4がスリット状で開度を390μmに調整し、溶液流路の中心線Aとスリットの中心線Bとのなす角度Cが60度になるように製作したノズルを用い、混合液の供給量を50ml/min、水蒸気の供給圧を3.0kg/cm2(0.29MPa)とし、混合セル出口6から温度30℃の水中へ噴出した。凝固浴中に浮遊したポリフッ化ビニリデンおよびアセチレンブラックの混合凝固体を捕集し、更に60℃の温水で一晩洗浄を行い、40℃の熱風で乾燥し、分割繊維Aを得た。この得られた分割繊維Aを走査型電子顕微鏡を用いて、繊維側面の形態を観察した。得られた分割繊維Aは、太さ0.1〜5μm、長さ数十μm〜数百μmのパルプ状を呈する集合体であった。JIS P8121のパルプ濾水度試験法(1)カナダ標準型で測定したところ、濾水度が390mlの繊維状物であった。
【0079】
(電極基材作成)
平均繊維径が4μmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。次にこの短繊維束を水中で解繊し、十分に分散したところに前記分割繊維Aを全質量比(全電極基材材料の合計質量を基準とする。ただし溶剤は除く。以下同じ。)30質量%となるように均一に分散させ、標準角形シートマシンを用いてJIS P−8209法に準拠して抄紙を行った。得られた炭素繊維紙は単位面積当たりの質量が49g/m2であった。
【0080】
得られた炭素繊維紙を離型剤が表面にコートされた紙の間にはさみ、バッチプレス装置にて170℃、15MPaの条件下に5分間置き、ポリフッ化ビニリデンが軟化することで炭素繊維同士の結着を強めた。導電性、撥水性に優れた多孔質電極基材を得た。
【0081】
各実施例、比較例における電極基材の組成を表1に、電極基材の評価結果を表2に示す。
【0082】
〔実施例2〕
(分割繊維Bの作成)
ポリフッ化ビニリデン(ATOFINA社製、商品名:KYNAR9000)600gをN,N−ジメチルアセトアミド3400gに溶解し、ポリフッ化ビニリデン15質量%のジメチルアセトアミド溶液を調整した。次いで得られた溶液を0.1MPaの窒素加圧下で押し出し、ギアポンプを用いて図1に示したノズル部へ定量供給を行なうと同時に水蒸気を供給した。水蒸気供給量は減圧弁により供給圧力を規定することにより行なった。水蒸気量は図1に示すノズルより水蒸気量の増分を求めることにより測定した。直径が0.2mmの溶液吐出口、直径が2mm、長さが10mmの円筒状の混合セル、水蒸気流路がスリット状で開度を390μmに調整し、溶液流路の中心線とスリットの中心線とのなす角度が60度になるように製作したノズルを用い、混合液の供給量を40ml/min、水蒸気の供給圧を3.0kg/cm2(0.29MPa)とし、温度30℃の水中へ噴出した。凝固浴中に浮遊したポリフッ化ビニリデン凝固体を捕集し、更に60℃の温水で一晩洗浄を行い、40℃の熱風で乾燥し、分割繊維Bを得た。この得られた分割繊維Bを走査型電子顕微鏡を用いて、繊維側面の形態を観察した。得られたバインダーBは、太さ0.1〜5μm、長さ数十μm〜数百μmのパルプ状を呈する集合体であった。JIS P8121のパルプ濾水度試験法(1)カナダ標準型で測定したところ、濾水度が790mlの繊維状物であった。
【0083】
(電極基材作成)
前記分割繊維Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて抄紙、プレスを行い、電極基材を得た。機械強度、撥水性が高い良好なものとなった。
【0084】
〔実施例3〕
(電極基材作成)
抄紙の際に、分割繊維Aが全質量比15質量%、ポリビニルアルコール(PVA)が全質量比15質量%とになるように混合した以外は、実施例1と同様の方法にて抄紙、プレスを行い、電極基材を得た。機械強度が実施例1よりさらに高く、導電性も良好なものとなった。
【0085】
〔実施例4〕
(電極基材作成)
抄紙の際、分割繊維Bが全質量比15質量%、ポリビニルアルコール(PVA)が15質量%とになるように混合した以外は、実施例2と同様の方法にて抄紙、プレスを行い、電極基材を得た。機械強度がさらに高い良好なものとなった。
【0086】
〔実施例5(2層サンプル)〕
(電極基材作成)
炭素短繊維と分割繊維AとPVAの比率が1:3:1で混合されたスラリーを使用して抄紙し、炭素繊維紙Aを実施例1と同様の方法で得た。得られた炭素繊維紙Aの単位面積当たりの質量が15g/m2であった。
【0087】
一方、炭素短繊維と分割繊維Bの比率が1:1で混合されたスラリーを使用して抄紙し、炭素繊維紙Bを実施例2と同様の方法で得た。得られた炭素繊維紙Bの単位面積当たりの質量が45g/m2であった。
【0088】
得られた炭素繊維紙Aと炭素繊維紙Bを積層し、離型剤が表面にコートされた紙の間に挟み,バッチプレス装置にて170℃、15MPaの条件下に5分間ホットプレスした。厚み方向で緻密性・撥水性が異なる電極基材となった。
【0089】
〔比較例1〕
(電極基材作成)
抄紙の際、ポリビニルアルコール(PVA)が炭素繊維比15質量%とになるように混合した以外は、実施例1と同様の方法にて抄紙、プレスを行い、電極基材を得た。大量の水を吸収してしまうものとなった。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、特定形状の分割繊維により炭素短繊維を結着できるため、分割繊維の材料によらず導電性を低下させることなく、少ない工程数で製造でき、機械的強度に優れる電極基材を得ることができる。分割繊維の材料選択に自由度があるため、さらに所望の導電性、撥水性を実現できる材料を分割繊維に用いることができ、導電性、撥水性、機械的強度に優れ、しかも安価な燃料電池用電極基材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィブリル部を有する分割繊維を製造するために用いることのできるノズルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:分割繊維製造用紡糸原液の流路
2:分割繊維製造用紡糸原液の吐出口
3:水蒸気の流入口
4:スリット状水蒸気流路
5:混合セル部
6:混合セル部の出口
A:分割繊維製造用紡糸原液の吐出線
B:水蒸気の噴射線
C:AとBのなす角
Claims (15)
- 実質的に二次元平面内においてランダムな方向に分散した炭素短繊維と、フィブリル部を有する分割繊維とを含み、該炭素短繊維が該分割繊維により結着されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材。
- 前記炭素短繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維であり、その平均繊維長が3mm以上12mm以下である請求項1記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維が、直径2μm以下のフィブリル部、及び、直径100μm以下の芯部を有する分割繊維である請求項1または2記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維と前記炭素短繊維との含有質量比が1/3〜5/1である請求項1〜3のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維の少なくとも一部が、体積抵抗率が10Ω・cm以下の分割繊維である導電性分割繊維である請求項1〜4のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 前記導電性分割繊維が、炭素微粒子を含有する請求項5記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維の少なくとも一部が、水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含む分割繊維である撥水性分割繊維である請求項1〜6のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 前記撥水性分割繊維が、非プロトン性溶媒に可溶なポリマーを含有する請求項7記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維の体積抵抗率が10Ω・cm以下であり、かつ該分割繊維が水に対する接触角が80°以上の撥水性物質を含む請求項1〜8のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 前記分割繊維が、炭素微粒子と非プロトン性溶媒に可溶なポリマーとを含有し、該炭素微粒子と該ポリマーとの質量比が1/99〜40/60である請求項9記載の多孔質電極基材。
- 引張強さが10kN/m以上で、かつ30秒間水面上に浮かばせた後の付着水分質量が多孔質電極基材の乾燥質量の2倍以下である請求項1〜10のいずれか一項記載の多孔質電極基材。
- 貫通抵抗が0.8Ω・cm2以下でかつ面比抵抗が1Ω・cm以下である請求項1〜11のいずれか一項記載の多孔質炭素電極基材。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載の多孔質電極基材と、炭素短繊維を基材とする炭素繊維紙とが積層された固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載の多孔質電極基材が複数積層された固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材。
- 該複数の多孔質電極基材の分割繊維が、炭素微粒子と非プロトン性溶媒に可溶なポリマーとを含有し、
少なくとも1つの多孔質電極基材と、他の少なくとも1つの多孔質電極基材とが、該分割繊維の含有量、該炭素微粒子の含有量および該ポリマーの含有量から選ばれる少なくとも1つにおいて相異なる請求項14記載の多孔質電極基材。
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