JP6277653B2 - 多孔質電極基材の製造方法 - Google Patents
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Description
多孔質電極基材前駆体シートは、後述する炭素短繊維(A)を分散させたものであり、後述する前駆体繊維(b)やシート化バインダーとあわせて分散させてもよい。またこの多孔質電極基材前駆体シート3次元交絡構造を形成しても形成していなくても良い。3次元交絡構造を形成するための交絡処理に関しては後述する。
本発明により得られる多孔質電極基材は、(i)炭素短繊維(A)同士が、後述する樹脂炭化物(C)によって接合された構造、(ii)炭素短繊維(A)同士が、後述する網目状炭素繊維(B)によって接合された構造、(iii)炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着されかつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが十分に結着された構造、のいずれかの構造を有する。
0ml/hr/cm2/mmAq以下であることが好ましい。
前駆体シートに分散させた炭素短繊維(A)は、本発明の多孔質電極基材を構成する繊維の1つとなる。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と称する。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を所定の繊維長に切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
網目状炭素繊維(B)は、前駆体シート中に分散させた前駆体繊維(b)が炭素化処理されたものである。
前駆体繊維(b)としては、炭素繊維前駆体短繊維(b1)およびフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)の一方、もしくは両方を用いることができる。好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)である。
炭素繊維前駆体短繊維(b1)は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)を用いて作製した長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。炭素繊維前駆体短繊維(b1)の平均繊維長は、分散性の点から、2mm以上20mm以下が好ましい。なお、平均繊維長は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。炭素繊維前駆体短繊維(b1)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b1)の平均直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制する観点から、5μm以下であることが好ましい。なお、平均繊維径(直径)は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。
アクリル系ポリマーとしては、アクリロニトリルの単独重合体であっても、アクリロニトリルとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)としては、例えば以下のものを用いることができる。直径100μm以下の繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する炭素前駆体繊維(b2−1)や、叩解によってフィブリル化した炭素前駆体短繊維(b2−2)を用いることができる。なお、以下、この2つのフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)をそれぞれ、繊維(b2−1)および繊維(b2−2)と称することがある。
する傾向がある。
繊維(b2−1)に用いられるポリマーは、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度、および後述する加熱加圧成型する工程で熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)同士を接着できる点を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。アクリル系ポリマーとしては炭素繊維前駆体短繊維(b1)と同様のものを用いることができる。
化するものが好ましい。このような繊維(b2−1)を用いることにより、芯部の太さの段階的な変化により段差の部分が弱くなることを容易に防ぐことができ、強度が低下することを容易に防ぐことができる。なお、上記方法で繊維(b2−1)を製造した場合、水蒸気がランダムに飛び散ることにより芯部の太さを一定に保つことが困難な場合があり、芯部の太さが変化することがある。しかし、芯部の太さの段階的な変化は、噴射する水蒸気が冷えて液滴状になった場合に見られる傾向があるため、水蒸気の噴出圧および温度を高くするなどの方法で芯部の太さが段階的に変化することを容易に防止することができる。
<繊維(b2−2)>
繊維(b2−2)は、長繊維状の易割繊性海島複合繊維を適当な長さにカットしたものを、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化したものであることができる。長繊維状の易割繊性海島複合繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造することができ、少なくとも1種類のポリマーが、炭素化処理工程における残存質量20質量%以上であることが好ましい。易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。中でも、紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度、および後述する加熱加圧成型する工程で熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)同士を接着できる点を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。アクリル系ポリマーとしては炭素繊維前駆体短繊維(b1)と同様のものを用いることができる。
樹脂炭化物は、炭素短繊維(A)間および/または、炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着する炭化物であり、後述する炭素化可能な樹脂(c)を加熱によって炭素化して得られる炭素材を用いることができる。
加熱によって炭素化可能な樹脂(c)としては、炭素化した段階で炭素短繊維(A)間および/または炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、樹脂(c)としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際の炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。フェノール樹脂としては、アルコールやケトン類の溶媒に溶解したフェノール樹脂溶液や、水などの分散媒に分散したフェノール樹脂分散液などを用いることができる。
シート化バインダーは有機高分子化合物からなり、このシート化バインダーは、炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とを含む前駆体シート中で、各成分をつなぎとめるバインダー(糊剤)としての役割を有する。このシート化バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル等を用いることができる。抄紙工程での結着力に優れ、炭素短繊維の脱落が少ないことから、ポリビニルアルコール、また、前駆体シートを後述する加熱加圧成型する工程した際に熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)を接着することができるポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。本発明では、このシート化バインダーを繊維形状や、パルプ形状にして用いることも可能である。
本発明は、以下の工程を有する。
複数枚重ねた多孔質電極基材前駆体シートは、幅方向の片方または両方の端部が、接合一体化されていることが好ましい。
工程(7)は、工程(1)の前に位置する。工程(3)を有している場合、工程(3)の前であっても、工程(3)の後であってもよい。
工程(1)により、前駆体繊維(b)は、炭素短繊維(A)と融着し、かつ前駆体繊維(b)は炭素化され、網目状炭素繊維(B)となる。また炭素化可能な樹脂(c)は、炭炭素短繊維(A)間および/または炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着する樹脂炭化物(C)となる。これにより、得られる多孔質電極基材の機械的強度および導電性が向上する。
工程(1)の後に、複数枚重ねた多孔質電極基材前駆体シートの幅方向の片方または両方の端部を接合一体化した多孔質電極基材前駆体シートを炭素化した多孔質電極基材の接合一体化された端部を切り落とし、複数枚に分割する工程(2)は、幅方向の片方または両方の端部が接合一体化された多孔質電極基材の端部をロール刃などにより連続的にスリットし、複数枚に分割し、さらに分割された多孔質電極基材をそれぞれ連続的に巻き取ることが生産コスト低減の観点より好ましい。連続的にスリットし、切り落とす多孔質電極基材の幅は、接合一体化された部分と同等の幅以上であれば良く、歩留まりを向上させ、生産コストを低減する観点より、接合一体化された部分と同等が好ましい。
多孔質電極基材が、構造体中に分散された炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着された構造体、または炭素短繊維(A)同士が、樹脂炭化物(C)によって十分に結着された構造体、または構造体中に分散された炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着されかつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが十分に結着された構造体、とし、かつ多孔質電極基材の厚みムラを低減させるために、前駆体シートを250℃未満の温度で加熱加圧成型することが好ましい。加熱加圧成型は、前駆体シートを均等に加熱加圧成型できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、前駆体シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法や、連続ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。
合わせて一体化するように成型しても良い。
加熱加圧成型し接合一体化する工程(4)は複数の前駆体シートを加熱加圧成型し接合一体化する工程であり、接合一体化された複数の前駆体シートは実質的に一枚の成型されたシート状物であり、炭素化処理する工程において、炉内に投入および炉内から取り出す際に単一の前駆体シートとして取り扱うことができる。
前駆体シートの製造方法としては、液体の媒体中に炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを分散させて抄造する湿式法、空気中に炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを分散させて降り積もらせる乾式法、などのシート化方法を適用できる。しかし、シートの均一性が高いという観点から湿式法を用いることが好ましい。
前駆体シート中の炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とを交絡させる交絡処理は、交絡構造が形成される方法であればよく、公知の方法で実施できる。例えば、ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、或いはこれらの組み合わせによる方法を用いることができる。交絡工程での炭素短繊維(A)の破断を容易に抑制でき、かつ適度な交絡性が容易に得られるという点から、高圧液体噴射法が好ましい。以下、この方法について詳しく説明する。
以外なら何でもよいが、通常は水或いは温水を用いることが好ましい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、十分な交絡効果を得る観点から、0.06mm以上1.0mm以下が好ましく、0.1mm以上0.3mm以下がより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5cm以上5cm以下が好ましい。液体の圧力は、1MPa以上が好ましく、1.5MPa以上がより好ましい。交絡処理は、1列でもよく複数列で行ってもよい。複数列で行なう場合、1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理の圧力を高めることが有効である。
本発明においては、上述した加熱加圧成型する工程(3)の前に、炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーからなる前駆体シートに炭素化可能な樹脂(c)を含浸する工程(7)を実施し、その後加熱加圧成型する工程(3)により炭素化可能な樹脂(c)も硬化・成型し、炭素化することにより燃料電池用多孔質電極基材とすることができる。また、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーからなる前駆体シートを用い、前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーが熱可塑性を有する場合は、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーからなる前駆体シートを加熱加圧成型した工程(3)の後に、炭素化可能な樹脂(c)を含浸する工程(7)を実施し、その後、炭素化することにより燃料電池用多孔質電極基材とすることもできる。
多孔質電極基材のガス透気度は、JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透気度(ml/hr/cm2/mmAq)を算出した。
多孔質電極基材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極基材を挟み、銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流
を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm2)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm2)。
網目状炭素繊維(B)または樹脂炭化物(C)および網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の含有率は、得られた多孔質電極基材の目付と、使用した炭素短繊維(A)の目付とから、次式より算出した。
網目状炭素繊維(B)または樹脂炭化物(C)および網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の含有率(%)=[多孔質電極基材目付(g/m2)−炭素短繊維(A)目付(g/m2)]÷多孔質電極基材目付(g/m2)×100。
(実施例1)
以下の繊維を用意した。
・炭素短繊維(A):平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維。
・炭素繊維前駆体短繊維(b1):平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)。
・繊維(b2−2)の作製に用いる易割繊性海島複合繊維:叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)。
前記炭素短繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
前記炭素繊維前駆体短繊維(b1)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb1)とした。
前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して叩解および離解処理し、離解スラリー繊維(Sb2−2)とした。
炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b1)と繊維(b2−2)とが、質量比50:30:20で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb1)、離解スラリー繊維(Sb2−2)、希釈水を計量し、スラリー供給タンクに調製した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22mPa・s(センチポイズ)の抄紙用スラリーを調製した。
ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。
前記処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズル(ノズル1〜3)を備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
ノズル2:孔径φ0.15mm×501孔、幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm。
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002孔、幅方向孔間ピッチ1.5mm、3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm。
次に、この前駆体シートを、連続式加熱ロールプレス装置(由利ロール社製:電気加熱式エンボス機)を用いて線圧3×104N/m、ロール温度200℃、速度2.0m/minで前駆体シートの幅方向の全面を連続的に成型した。成型後の表面観察より、炭素短繊維(A)の加圧による破断がなく、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)、さらに前駆体繊維(b)同士が効果的に融着していることが確認できた。加熱加圧成型後の前駆体シートの厚みを表1に示した。
ついで、この前駆体シートを2枚重ね合わせた後、前駆体シートの幅方向の両端から3cmの幅のみを連続式加熱ロールプレス装置(由利ロール社製:電気加熱式エンボス機)を用いて線圧3×104N/m、ロール温度200℃、速度2.0m/minで加熱成型することで、2枚の前駆体シートが接合一体化された前駆体シートを得た。
その後、この接合一体化された前駆体シートを300℃から900℃の窒素ガス雰囲気下での前処理を行ってから、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において3分間加熱し、炭素化処理を行い、接合一体化された多孔質電極基材を得た。
接合一体化された多孔質電極基材のシート幅方向の端部から3.5cmの部分を連続的なスリット装置を用いて切り落とし、多孔質電極基材の厚み方向に2枚に分割された多孔質電極基材を得た。
接合一体化する加熱加圧成型処理を実施せず、(VII))で得られた前駆体シートを2枚重ねて炭素化処理し、さらに複数枚に分割せずに、2枚の多孔質電極基材を得たこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
交絡処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
実施例1の加熱加圧成型された前駆体シートに対し、炭素化可能な樹脂(c)として水分散フェノール樹脂(商品名:PR−9800D、住友ベークライト(株)製)を含浸させ、室温で十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を質量比60%付着させたフェノール樹脂含浸シートを得た。さらに、このフェノール樹脂が含浸された前駆体シ-トを実施例1と同様の方法で、接合一体化する加熱加圧成型処理、炭素化処理、複数枚に分割する処理を行なうことで、多孔質電極基材を得た。
実施例1の前駆体シートに対し、炭素化可能な樹脂(c)として水分散フェノール樹脂(商品名:PR−55464、住友ベークライト(株)製)を含浸させ、室温で十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を質量比60%付着させたフェノール樹脂含浸シートを得た。さらに、このフェノール樹脂が含浸された前駆体シ-トの幅方向の両端の端部から3.5cm残すように実施例1と同様の装置を用い、加熱加圧成型処理を行った。さらに、実施例1と同様の方法で、接合一体化する加熱加圧成型処理、炭素化処理、複数枚に分割する処理を行なうことで、多孔質電極基材を得た。
フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)として、繊維状の幹より直径3μm以下のフィブリルが多数分岐したポリアクリロニトリル系パルプ(b2−1)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして前駆体シートおよび多孔質電極基材を得た。
前駆体シートを3枚重ねて接合一体化したこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
シート化バインダーとして、平均繊維長が3mmのポリビニルアルコール(PVA)短繊維(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を用意した。
シート化バインダーとしてポリエチレンパルプ(商品名:SWP、三井化学株式会社製)を用いたこと以外は実施例8と同様にして多孔質電極基材を得た。
実施例9の前駆体シート用いたこと以外は実施例4と同様にして多孔質電極基材を得た。
接合一体化する加熱加圧成型処理を実施せず、(VII))で得られた前駆体シート1枚のみを炭素化処理し、1枚の多孔質電極基材を得たこと以外は実施例2と同様にして多孔質電極基材を得た。
Claims (8)
- 複数枚重ねた多孔質電極基材前駆体シートであって、幅方向の片方または両方の端部が接合一体化されている多孔質電極基材前駆体シートを、全長にわたって連続で600℃より高い温度の不活性雰囲気の炉を通過させて炭素化し、得られた多孔質電極基材の接合一体化された端部を切り落とし、複数枚に分割する工程(2)を有する多孔質電極基材の製造方法。
- 複数枚重ねた多孔質電極基材前駆体シートを炭素化する前に、多孔質電極基材前駆体シートを250℃未満の温度で加熱加圧成型する工程(3)を有する請求項1に記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 工程(3)と炭素化との間に、複数枚重ねた多孔質電極基材前駆体シートの幅方向の片方または両方の端部を250℃未満の温度で加熱加圧成型し接合一体化する工程(4)を有する請求項2に記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 多孔質電極基材前駆体シートの接合一体化部分の幅の長さW1と、多孔質電極基材前駆体シートの幅方向の長さW2との比が、20%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 炭素化する前であって、工程(3)を有する場合は工程(3)の前に、炭素短繊維(A)を平面方向に分散させて多孔質電極基材前駆体シートを製造する工程(5)を有する請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 工程(5)において、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)とを平面方向に分散させて多孔質電極基材前駆体シートを製造する請求項5に記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 工程(5)と炭素化との間であって、工程(3)を有する場合は工程(5)と工程(3)の間に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造とする工程(6)を有する請求項5または6に記載の多孔質電極基材の製造方法。
- 炭素化の前に、多孔質電極基材前駆体シートに炭素化可能な樹脂(c)を含浸させる工程(7)を有する請求項2〜7のいずれかに記載の多孔質電極基材の製造方法。
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