JP2016012474A - 多孔質電極基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体高分子型燃料電池のガス拡散電極基材として用いる十分なガス拡散性と導電性および表面平滑性を有するとともに、生産コストを低減した多孔質電極基材の製造方法が求められていた。
【解決手段】 炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)からなる多孔質電極基材前駆体シートを連続的に乾燥させる方法において、前記前駆体のシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上となる多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池に用いられる多孔質電極基材の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性の高分子電解質膜を用いることを特徴としており、水素等の燃料ガスと酸素等の酸化ガスを電気化学的に反応させることにより起電力を得る装置である。固体高分子型燃料電池は、自家発電装置や自動車等の移動体用の発電装置として利用可能である。
このような固体高分子型燃料電池は、水素イオン(プロトン)を選択的に伝導する高分子電解質膜を有する。また、この燃料電池は、貴金属系触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層とガス拡散電極基材とを有する2組のガス拡散電極が、その各触媒層側を内側にして、高分子電解質膜の両面に接合された構造を有する。
このような高分子電解質膜と2組のガス拡散電極からなる接合体は膜−電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。また、MEAの両外側には、燃料ガスまたは酸化ガスを供給し、かつ生成ガスおよび過剰ガスを排出することを目的とするガス流路を形成したセパレーターが設置されている。
ガス拡散電極基材は、電気的な接触抵抗を低減し、かつセパレーターから供給される燃料ガスまたは酸化ガスの燃料電池外への漏出を抑制することを目的として、セパレーターによって数MPaの荷重で締結されるため、機械的強度が必要とされる。
また、ガス拡散電極基材は、主に次の3つの機能を持つ必要があることから、通常は、多孔質構造を有する多孔質電極基材である。ガス拡散電極基材に要求される第一の機能は、その外側に配置されたセパレーターに形成されたガス流路から触媒層中の貴金属系触媒に均一に燃料ガスまたは酸化ガスを供給する機能である。第2の機能は、触媒層での反応により生成した水を排出する機能である。第3の機能は、触媒層での反応に必要な電子または触媒層での反応により生成される電子をセパレーターへ導電する機能である。そして、これらの機能を付与するため、一般的に、ガス拡散電極基材は炭素質材料であることが有効とされている。
ガス拡散電極基材は、一般的に、炭素質材料から構成されており、以下に示すガス拡散電極基材が提案されている。
炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙に炭素繊維1 質量部に対し、3〜8質量部の樹脂を付着し、熱硬化性樹脂を硬化し、次いで炭素化する孔質炭素電極基材の製造方法が提案されている。(特許文献1参照)。
2枚以上の炭素短繊維紙がフェノール樹脂炭化物を介して積層されてなる、炭素短繊維の繊維配向度が2〜5である多孔質炭素電極基材の製造方法であって、(1)炭素短繊維とバインダーとを含む紙料を抄紙する工程、(2)前記抄紙後の紙料を連続して抄紙用フェルトの間に挟んで0〜0.05MPaの圧力で押圧し、水分率を80〜85%とした後、乾燥して炭素短繊維紙を得る工程、(3)前記炭素短繊維紙にフェノール樹脂を含浸し、フェノール樹脂を含浸した2枚以上の炭素短繊維紙を積層する工程、(4)前記積層した炭素短繊維紙を、加熱しながら5〜18MPaの圧力でプレスして前記フェノール樹脂を硬化した後、炭素化する工程を有する方法が提案されている。(特許文献2参照)。
特開2006−4858号公報 特許5398297号公報
特許文献1に開示されている炭素繊維、合成繊維および有機高分子化合物からなる炭素繊維紙は湿式抄紙法で作製され、その乾燥方法はドライヤーで乾燥したと記載されているのみである。炭素繊維紙中の炭素繊維は耐熱性が高く熱膨張係数が非常に小さいが、炭素繊維紙のバインダーとして用いられる合成繊維および有機高分子化合物は炭素繊維と比較し、耐熱性が低く熱膨張(熱収縮)係数が大きいため、高温乾燥するとシートが収縮してしまうため、シート乾燥効率を高め、製造コストを低減することが困難であった。
特許文献2に開示されている炭素短繊維紙は水分率を80〜85%とした後、乾燥することが示されており、その乾燥方法として連続的に熱ロールに接触させることで、水分を蒸発させる方法が示されているが、特許文献1と同様に炭素繊維紙中の炭素繊維は耐熱性が高く熱膨張係数が非常に小さいが、炭素繊維紙のバインダーとして用いられる合成繊維および有機高分子化合物は炭素繊維と比較し、耐熱性が低く熱膨張(熱収縮)係数が大きいため、高温乾燥するとシートが収縮してしまうため、シート乾燥効率を高め、製造コストを低減することが困難であった。
本発明は、固体高分子型燃料電池のガス拡散電極基材として用いる十分なガス拡散性と導電性を有するとともに、乾燥時の熱収縮によるシートのうねりを低減しかつ生産コスト低減に優れた多孔質電極基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題が、以下の発明[1]〜[4]によって解決されることを見出した。
[1] 炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)からなる多孔質電極基材前駆体シートを連続的に乾燥させる方法において、前記前駆体のシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上となる多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
[2] 炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および炭素化可能な樹脂からなる多孔質電極基材前駆体シートを連続的に乾燥させる方法において、前記前駆体のシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上となる多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
[3] 前記前駆体シートが交絡処理されている上記[1]または[2]に記載の多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質電極基材前駆体シートを600℃を超える温度の不活性雰囲気の炉を通過させて炭素化する多孔質電極基材の製造方法。
本発明は、固体高分子型燃料電池のガス拡散電極基材として用いる十分なガス拡散性と導電性および表面平滑性を有するとともに、生産コストを低減した多孔質電極基材の製造方法を提供することができる。
<多孔質電極基材前駆体シート>
多孔質電極基材前駆体シートは、後述する炭素短繊維(A)を分散させたものであり、後述する前駆体繊維(b)やシート化バインダーとあわせて分散させてもよい。またこの多孔質電極基材前駆体シートは3次元交絡構造を形成しても形成していなくても良い。3次元交絡構造を形成するための交絡処理に関しては後述する。
<多孔質電極基材>
本発明により得られる多孔質電極基材は、(1)炭素短繊維(A)同士が、後述する網目状炭素繊維(B)によって接合された構造、(2)炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着されかつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが十分に結着された構造、のいずれかの構造を有する。
多孔質電極基材の形状は、燃料電池の分野で公知の形状から必要に応じて選択することができ、例えば、平板状、渦巻き状等の形状をとることができる。シート状の多孔質電極基材の目付は、ガス透気度とハンドリング性の観点から15g/m以上、100g/m以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極基材の空隙率は、ガス透気度と導電性の観点から50%以上、90%以下が好ましい。さらに、シート状の多孔質電極基材の厚みは、ガス透気度、導電性とハンドリング性の観点から50μm以上、300μm以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極基材のうねりは、5mm未満が好ましい。
多孔質電極基材のガス透気度は、500ml/hr/cm/mmAq以上、2000
0ml/hr/cm/mmAq以下であることが好ましい。
また、多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、50mΩ・cm
下であることが好ましい。なお、多孔質電極基材のガス透気度および貫通方向抵抗の測定方法は、後述する。
<炭素短繊維(A)>
前駆体シートに分散させた炭素短繊維(A)は、本発明の多孔質電極基材を構成する繊維の1つとなる。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と称する。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を所定の繊維長に切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素短繊維(A)の平均繊維長は、分散性の点から、2mm以上12mm以下とすることが好ましく、2mm以上9mm以下とすることがより好ましい。なお、平均繊維長は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。
また、炭素短繊維(A)の平均繊維径は、炭素短繊維の生産コストおよび分散性の面から、3μm以上9μm以下とすることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4μm以上8μm以下とすることがより好ましい。なお、平均繊維径は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。
多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素短繊維(A)は、多孔質電極基材中において分散している。ここで、「多孔質電極基材中において分散」とは、炭素短繊維(A)が、シート状の多孔質電極基材の表面に略平行に存在していても、多孔質電極基材の厚み方向に存在していても良いことを意味する。
また、このシート状の多孔質電極基材の表面に対して略平行な炭素短繊維(A)の配向方向は、実質的にランダムであっても良く、特定方向への配向性が高くなっていても良い。
炭素短繊維(A)は、多孔質電極基材中においてほぼ直線状を保って存在している。また、多孔質電極基材中において、炭素短繊維(A)同士は直接結合しておらず、網目状炭素繊維(B)によって接合されている。
<網目状炭素繊維(B)>
網目状炭素繊維(B)は、前駆体シート中に分散させた前駆体繊維(b)が炭素化処理されたものである。
網目状炭素繊維(B)は、炭素短繊維(A)同士を接合する繊維であり、接合部において屈曲状または湾曲状になっている状態で存在する。それにより網目構造を形成する。多孔質電極基材における網目状炭素繊維(B)の含有率は、多孔質電極基材の適度な機械的強度を容易に保つため、10質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、15質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
<前駆体繊維(b)>
前駆体繊維(b)としては、炭素繊維前駆体短繊維(b1)およびフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)の一方、もしくは両方を用いることができる。好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)である。
炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)との混合比は、炭素短繊維(A)100質量部に対して、前駆体繊維(b)が50質量部以上300質量部以下であることが好ましい。前駆体繊維(b)を50質量部以上とすることで、形成される網目状炭素繊維(B)の量が適度に多くなるため、多孔質電極基材シートの強度を容易に向上させることができる。前駆体繊維(b)を300質量部以下とすることで、炭素化時の前駆体繊維(b)の収縮を抑制する炭素短繊維(A)が少ないことに起因するシートの収縮を容易に抑制でき、多孔質電極基材シートの強度を容易に向上させることができる。
<炭素繊維前駆体短繊維(b1)>
炭素繊維前駆体短繊維(b1)は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)を用いて作製した長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。炭素繊維前駆体短繊維(b1)の平均繊維長は、分散性の点から、2mm以上20mm以下が好ましい。なお、平均繊維長は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。炭素繊維前駆体短繊維(b1)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b1)の平均直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制する観点から、5μm以下であることが好ましい。なお、平均繊維径(直径)は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により測定することができる。
炭素繊維前駆体短繊維(b1)は、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるポリマーを用いることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、後述する交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度、および後述する加熱加圧成型する工程で熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)同士を接着できる点を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b1)は、1種類であってもよく、繊維直径、ポリマー種が異なる複数種類であってもよい。これらの炭素繊維前駆体短繊維(b1)や後述するフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)の種類や炭素短繊維(A)との混合比などによって最終的に得られる多孔質電極基材中に網目状炭素繊維(B)として残る割合を調整することができる。
<炭素繊維前駆体短繊維(b1)に用いるアクリル系ポリマー>
アクリル系ポリマーとしては、アクリロニトリルの単独重合体であっても、アクリロニトリルとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万以上100万以下であることが好ましい。アクリル系ポリマーの重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。アクリル系ポリマーの重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
<フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)>
フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)としては、例えば以下のものを用いることができる。直径100μm以下の繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する炭素前駆体繊維(b2−1)や、叩解によってフィブリル化した炭素前駆体短繊維(b2−2)を用いることができる。なお、以下、この2つのフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)をそれぞれ、繊維(b2−1)および繊維(b2−2)と称することがある。
これらのフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)を用いることにより、前駆体シート中で炭素短繊維(A)とフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)が良く絡み合い、ハンドリング性と機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が小さいフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上するが、多孔質電極基材のガス透気度が低下
する傾向がある。
フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)としては、繊維(b2−1)1種類、または繊維(b2−2)を1種類使用してもよく、また濾水度、繊維直径、ポリマー種等が異なるこれら繊維を複数種類併用してもよい。
以下に、この2つのフィブリル状炭素前駆体繊維(b2)について詳しく説明する。
<繊維(b2−1)>
繊維(b2−1)に用いられるポリマーは、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度、および後述する加熱加圧成型する工程で熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)同士を接着できる点を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。アクリル系ポリマーとしては炭素繊維前駆体短繊維(b1)と同様のものを用いることができる。
繊維(b2−1)の製造方法は特に限定されないが、濾水度のコントロールが容易な噴射凝固法を用いて製造することが好ましい。噴射凝固法による繊維(b2−1)は例えば以下の方法で製造できる。
まず、アクリロニトリル系共重合体を溶媒に溶解させて紡糸原液を調製する。この溶媒としては、例えば、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどを用いることができる。ついで、この紡糸原液を紡糸吐出口に通して混合セル内に吐出すると同時に、水蒸気を紡糸原液の吐出線方向に対して0度以上、90度未満の角度で混合セル内に噴出し、混合セル内でこのアクリロニトリル系共重合体を剪断流速の下で凝固させる。形成された凝固体を前記溶媒と水蒸気と共に混合セルから凝固液中に排出することで繊維(b2−1)が得られる。凝固液としては水または、水と前記溶媒との混合液を用いることができる。
このようにして得られた繊維(b2−1)は、繊維径の細い繊維が集合したフィブリル部と水蒸気にあまり触れることなく凝固した繊維径の太い芯部(幹)を有している。繊維(b2−1)のフィブリル部は炭素短繊維Aや繊維(b2−1)のフィブリル部同士との絡みを良好とし、繊維(b2−1)の芯部はバインダーとしての強度を発現することができる。
繊維(b2−1)のフィブリル部の繊維径は混合する炭素短繊維との絡みを良好にするため、2μm以下が好ましい。
芯部は、多孔質電極基材の均質化の観点から直径100μm以下であることが好ましい。直径を100μm以下とすることにより、繊維(b2−1)が偏在することを容易に抑制でき、比較的少量の繊維(b2−1)によって容易に炭素短繊維Aを結着することができる。また、強度を発現する観点から、芯部の直径は10μm以上であることが好ましい。
繊維(b2−1)が炭素短繊維Aに絡む機能の観点から、一つの芯部に対して繊維(b2−1)のフィブリル部が複数存在することが好ましく、一つの芯部に対してフィブリル部が多いほど好ましいと考えられる。
一本の繊維(b2−1)において、芯部の太さは、一定であるか、あるいは無段階に変
化するものが好ましい。このような繊維(b2−1)を用いることにより、芯部の太さの段階的な変化により段差の部分が弱くなることを容易に防ぐことができ、強度が低下することを容易に防ぐことができる。なお、上記方法で繊維(b2−1)を製造した場合、水蒸気がランダムに飛び散ることにより芯部の太さを一定に保つことが困難な場合があり、芯部の太さが変化することがある。しかし、芯部の太さの段階的な変化は、噴射する水蒸気が冷えて液滴状になった場合に見られる傾向があるため、水蒸気の噴出圧および温度を高くするなどの方法で芯部の太さが段階的に変化することを容易に防止することができる。
<繊維(b2−2)>
繊維(b2−2)は、長繊維状の易割繊性海島複合繊維を適当な長さにカットしたものを、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化したものであることができる。長繊維状の易割繊性海島複合繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造することができ、少なくとも1種類のポリマーが、炭素化処理工程における残存質量20質量%以上であることが好ましい。易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。中でも、紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度、および後述する加熱加圧成型する工程で熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)同士を接着できる点を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。アクリル系ポリマーとしては炭素繊維前駆体短繊維(b1)と同様のものを用いることができる。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうちの1種類に、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であるポリマーとして、上述するアクリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとしては、そのアクリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解し、両ポリマーを溶解した紡糸原液が安定に存在することが望まれる。すなわち、他のポリマーは、アクリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解した場合に、アクリル系ポリマーに対して非相溶であり、紡糸の際に海島構造を形成できる程度の混和性を有することが望まれる。これにより、紡糸原液とした際に、2種のポリマーの非相溶性の度合いが大きい場合に生じる繊維の不均質性を容易に防ぐとともに、紡糸時における糸切れを容易に防ぐことができ、さらに、繊維賦形を容易にすることができる。また、他のポリマーは水に難溶性であることが望まれ、これにより、湿式紡糸する場合に、凝固槽、および洗浄槽において他のポリマーが水に溶解して脱落が起こることを容易に防ぐことができる。
これらの要望を満足する他のポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、酢酸セルロース、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、前述した要望のバランスの点で、好ましい。他のポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
繊維(b2−2)に用いる易割繊性海島複合繊維は、通常の湿式紡糸法で製造することができる。先ず、アクリル系ポリマーと他のポリマーとを溶剤に溶解して紡糸原液を調製する。または、アクリル系ポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液と、他のポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液とを、スタティックミキサー等で混合して紡糸原液としてもよい。溶剤としては、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどを用いることができる。これらの紡糸原液を紡糸機に供給してノズルより紡糸し、湿熱延伸、洗浄、乾燥および乾熱延伸を施こすことで、易割繊性海島複合繊維を得ることができる。
易割繊性海島複合繊維の断面形状は、特に限定されない。分散性、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、易割繊性海島複合繊維の繊度は、1dtex以上10dtex以下であることが好ましい。易割繊性海島複合繊維の平均繊維長は、叩解後の分散性の観点から、1mm以上20mm以下が好ましい。
易割繊性海島複合繊維は、機械的外力により相分離界面の剥離により叩解して、その少なくとも一部分が割繊し、フィブリル化する。叩解方法は、特に限定されないが、例えば、リファイナーやパルパー、ビーター、または加圧水流の噴射(ウオータージェットパンチング)によりフィブリル化することが可能である。易割繊性海島複合繊維を機械的外力により相分離界面の剥離により叩解する際には、叩解方法、叩解時間に依存して、フィブリル化の状態は変化する。フィブリル化の度合いを評価する方法として、濾水度評価(JIS P8121(パルプ濾水度試験法:カナダ標準型))を用いることができる。繊維(b2−2)の濾水度は特に限定されない。
<樹脂炭化物(C)>
樹脂炭化物は、炭素短繊維(A)間および/または、炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着する炭化物であり、後述する炭素化可能な樹脂(c)を加熱によって炭素化して得られる炭素材を用いることができる。
多孔質電極基材における樹脂炭化物(C)の含有率は、10〜90質量%であることが好ましい。多孔質電極基材の導電性と機械的強度を十分なものに保つため、樹脂炭化物(C)の含有率は、15〜80質量%であることがより好ましい。
<炭素化可能な樹脂(c)>
加熱によって炭素化可能な樹脂(c)としては、炭素化した段階で炭素短繊維(A)間および/または炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、樹脂(c)としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際の炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。フェノール樹脂としては、アルコールやケトン類の溶媒に溶解したフェノール樹脂溶液や、水などの分散媒に分散したフェノール樹脂分散液などを用いることができる。
樹脂炭化物中には導電性をさらに向上させるため導電性物質を混合することも好ましい。導電性物質としては、導電性、耐酸性の観点より炭素質ミルド繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛粉などの炭素質材料が好ましい。加熱によって炭素化可能な樹脂(c)中の導電性物質を混合量は、樹脂に対して、1〜10質量%が好ましい。混合量が1質量%未満であると導電性改善の効果が小さいという点で不利であり、10質量%を越えると導電性改善の効果が飽和する傾向にあり、またコストアップの要因となるという点で不利である。
<シート化バインダー>
シート化バインダーは有機高分子化合物からなり、このシート化バインダーは、炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とを含む前駆体シート中で、各成分をつなぎとめるバインダー(糊剤)としての役割を有する。このシート化バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル等を用いることができる。抄紙工程での結着力に優れ、炭素短繊維の脱落が少ないことから、ポリビニルアルコール、また、前駆体シートを後述する加熱加圧成型する工程した際に熱可塑性を示し、炭素短繊維(A)を接着することができるポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。本発明では、このシート化バインダーを繊維形状や、パルプ形状にして用いることも可能である。
また、このシート化バインダーは、後述する炭素化工程において、炭素質として残存する割合が10質量%以下と低く、たとえ炭素質として残存したとしても、炭素化工程前の形状を保持することができず、多孔質電極基材中の炭素短繊維(A)同士および網目状炭素繊維(B)間とを結着するのに十分な強度を有しない。
<多孔質電極基材の製造方法>
本発明は、以下の工程を有する。
<前駆体シートを製造する工程(1)>
前駆体シートの製造方法としては、液体の媒体中に炭炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを分散させて抄造する湿式法、空気中に炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを分散させて降り積もらせる乾式法、などのシート化方法を適用できる。しかし、シートの均一性が高いという観点から湿式法を用いることが好ましい。
湿式法において、炭素短繊維(A)単体または、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーを分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなどの媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
炭素短繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止するために、前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーを使用することが好ましい。
炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを混合する方法としては、水中で攪拌分散させる方法、これらを直接混ぜ込む方法が挙げられるが、均一に分散させる観点から、水中で拡散分散させる方法が好ましい。炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーとを混合し、抄紙して前駆体シートを製造することにより、前駆体シートの強度が向上する。また、その製造途中で、前駆体シートから炭素短繊維(A)が剥離し、炭素短繊維(A)の配向が変化することを防止することができる。
湿式法において、炭素短繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止し、さらに炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とが絡み合ってシート強度を向上させ実質的にシート化バインダーを用いずにシート化するために、フィブリル状炭素前駆体繊維(b2)を使用して、製造することが好ましい。
前駆体シートは、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、前駆体シートの生産性および機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。
前駆体シートの目付は、前駆体シートのハンドリング性および多孔質電極基材としたときのガス透過性、導電性、ハンドリング性の観点から10g/m以上、200g/m以下であることが好ましい。また、前駆体シートの厚みは、20μm以上、400μm以下であることが好ましい。
前駆体シートに用いる前駆体繊維(b)は、その種類や炭素短繊維(A)との混合比、酸化処理の有無によって、最終的に得られる多孔質電極基材中に網目状炭素繊維(B)として残る割合を調整することができる。
前駆体シートを構成する炭素短繊維(A)のシート中での質量比は、多孔質電極基材のシート強度発現および導電性発現の観点より、繊維物質全量に対して40%以上100%以下が好ましい。
本発明において「繊維物質全量」とは、シート中に存在する全ての繊維状物質の量をいう。例えば、シート化バインダーとして有機高分子化合物を繊維形状にして用いた場合は、当該繊維状バインダーの質量も繊維物質として加えて、炭素短繊維(A)の繊維物質全量に対する質量比を求める。
また本発明では、上述したように、工程(1)の後に、前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造とする工程(2)を用いることができる。この形態では、交絡処理工程を含むため、乾燥前および乾燥後の前駆体シートおよび多孔質電極基材のハンドリンク性が向上する。さらに、交絡処理により多孔質電極基材の厚み方向の導電性が向上する。以下に、交絡処理工程について詳しく説明する。
<交絡処理して3次元交絡構造とする工程(2)>
前駆体シート中の炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とを交絡させる交絡処理は、交絡構造が形成される方法であればよく、公知の方法で実施できる。例えば、ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、或いはこれらの組み合わせによる方法を用いることができる。交絡工程での炭素短繊維(A)の破断を容易に抑制でき、かつ適度な交絡性が容易に得られるという点から、高圧液体噴射法が好ましい。以下、この方法について詳しく説明する。
高圧液体噴射処理法とは、実質的に表面平滑な支持部材上に前駆体シートを載せ、例えば、1MPaの圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、前駆体シート中の炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)とを交絡させる処理方法である。ここで、実質的に表面平滑な支持部材としては、支持部材の模様が得られる交絡構造体に形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものから必要に応じて選択して用いることができる。その具体例としては30〜200メッシュの金網又はプラスチックネット或いはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で前駆体シートを製造した後、高圧液体噴射処理することが、交絡構造前駆体シートを連続的に製造でき、生産性の観点から好ましい。
高圧液体噴射処理に用いる液体としては、前駆体シートを構成する繊維を溶解する溶剤
以外なら何でもよいが、通常は水或いは温水を用いることが好ましい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、十分な交絡効果を得る観点から、0.06mm以上1.0mm以下が好ましく、0.1mm以上0.3mm以下がより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5cm以上5cm以下が好ましい。液体の圧力は、1MPa以上が好ましく、1.5MPa以上がより好ましい。交絡処理は、1列でもよく複数列で行ってもよい。複数列で行なう場合、1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理の圧力を高めることが有効である。
前駆体シートの高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、前駆体シートに高圧液体噴射処理を行った後、更に前駆体シートを積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、出来つつある交絡構造前駆体シートを裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
交絡構造前駆体シートを連続的に製造する場合、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させことにより、シート化方向にシートの疎密構造の形成に由来する筋状の軌跡パターンが形成されることを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向の機械的強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより交絡構造前駆体シートに現れる周期的な模様を抑制することもできる。
<加熱加圧成型する工程(3)>
多孔質電極基材が、構造体中に分散された炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着された構造体、または構造体中に分散された炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって十分に結着されかつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが十分に結着された構造体とし、かつ多孔質電極基材の厚みムラを低減させるために前駆体シートを300℃未満の温度で加熱加圧成型することが好ましい。加熱加圧成型は、前駆体シートを均等に加熱加圧成型できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、前駆体シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法や、連続ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。
連続的に製造された前駆体シートを加熱加圧成型する場合には、連続ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置を用いる方法が好ましい。これによって、炭素化処理を連続で行うことができる。連続ロールプレス装置におけるプレス方法は、線圧で圧力を加える方法があり、連続ベルトプレス装置におけるプレス方法としては、ロールプレスによりベルトに線圧で圧力を加える方法、液圧ヘッドプレスにより面圧でプレスする方法などが挙げられる。
加熱加圧成型時の温度は、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)および樹脂(c)の接合を十分なものとし、かつ多孔質電極基材前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、300℃未満が好ましく、120〜290℃がより好ましい。
加熱加圧成型時の圧力は特に限定されないが、20kPa〜10MPa程度が好ましい。このとき必要以上にプレス圧を高くすると、加熱加圧成型時に炭素短繊維(A)が破壊
されるという問題や、多孔質電極基材の組織が緻密になりすぎるという問題等が生じる可能性がある。
加熱加圧成型の時間は、例えば1秒〜10分とすることができる。前駆体シートを剛板に挟む、または連続ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧成型する時は、剛板またはロールやベルトに前駆体繊維(b)および/また樹脂(c)などが付着しないように、あらかじめ剥離剤を塗っておくことや、前駆体シートと剛板またはロールやベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
加熱加圧成型する際に1枚の前駆体シートを成型しても、複数枚の前駆体シートを重ね
合わせて一体化するように成型しても良い。
前駆体繊維(b)としてアクリル系ポリマーを用いた場合は、熱可塑挙動を示すアクリル系ポリマーの融着により成型が容易に可能となり、装置構造がシンプルなロールプレス装置を用いるのに適している。
<炭素化可能な樹脂(c)を含浸させる工程(4)>
本発明においては、上述した加熱加圧成型する工程(3)の前に、前駆体シートに炭素化可能な樹脂(c)を含浸する工程(7)を実施し、さらに、後述する乾燥する工程(5)を実施し、その後加熱加圧成型する工程(3)により炭素化可能な樹脂(c)も硬化・成型し、炭素化することにより燃料電池用多孔質電極基材とすることができる。また前駆体シートを加熱加圧成型した工程(3)の後に、炭素化可能な樹脂(c)を含浸する工程(4)を実施し、さらに後述する乾燥する工程(5)を実施し、その後、炭素化することにより燃料電池用多孔質電極基材とすることもできる。
燃料電池用多孔質電極基材の導電性向上させる点、および、炭素化工程での炭素化可能な樹脂(c)の体積収縮を抑制する観点より、炭素化可能な樹脂(c)に導電性物質を混合することも好ましい。導電性物質としては、導電性、耐酸性の観点より炭素質ミルド繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛粉などの炭素質材料が好ましい。
炭素化可能な樹脂(c)または炭素化可能な樹脂(c)と導電性物質の混合物を前駆体シートに含浸する方法としては、絞り装置を用いる方法もしくは炭素化可能な樹脂(c)フィルムを炭素シートに重ねる方法が好ましい。絞り装置を用いる方法は樹脂溶液もしくは混合液中に前駆体シートを含浸し、絞り装置で取り込み液が前駆体シート全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置のロール間隔を変えることで調節する方法である。比較的粘度が低い場合は滴下法やスプレー法等も用いることができる。
樹脂フィルムを用いる方法は、まず炭素化可能な樹脂(c)を離型紙に一旦コーティングし、炭素化可能な樹脂(c)フィルムとする。その後、前駆体シートに前記フィルムを積層して加熱加圧処理を行い、炭素化可能な樹脂(c)を転写する方法である。
<乾燥する工程(5)>
乾燥する工程(5)は前駆体シートを製造する工程(1)の後、交絡処理して3次元交絡構造とする工程(2)の後、および炭素化可能な樹脂(c)を含浸させる工程(4)の後に実施することができる。
炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)からなる前駆体シートから分散媒および交絡処理した後の前駆体シートから分散媒、交絡処理液を取り除き、前駆体シートを乾燥させる方法において、前駆体シートのシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上とすることが、前記体シート中の炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーによるシート収縮を抑制し、かつ高温で乾燥よることによって乾燥効率を高め、生産コストを低減できる点で好ましい。
また炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)および炭素化可能な樹脂からなる前駆体シートから、分散媒および炭素化可能な樹脂の溶媒および分散媒を取り除き、前駆体シートを乾燥させる方法において、前駆体シートのシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上とすることが、前記体シート中の炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダー、さらに炭素可能な樹脂の乾燥時の収縮および、硬化時の収縮によるシート収縮を抑制し、かつ高温で乾燥よることによって乾燥効率を高め、生産コストを低減できる点で好ましい。
なお、シート幅方向の担持幅はシート両端の担持体の幅を計測することによって求めることができる。
さらに前記体シートの生産性を高め製造コストを低減するためには連続シートを用いることが好ましい。
前駆体シートの乾燥を行う際に加える熱源および乾燥炉としては、高温ヒーターを用いた雰囲気炉タイプ、赤外線ヒーターを用いたIR炉タイプ、マイクロ波を用いたマイクロ波炉タイプ、熱風を循環・供給する熱風炉タイプなどの非接触タイプの乾燥設備を使用しても、加熱ロールまたは熱板などと直接接触させて乾燥させる接触タイプの乾燥設備を使用することができる。さらに乾燥効率を高めるため、これらの熱源を組み合わせることも有効である。乾燥速度を高くするという観点より、炉内の雰囲気を強制的に排気する方法を用いることが好ましい。また前駆体シートの両面から熱を同様に加えても、片方へ多く加えてもよい。炭素化可能な樹脂(c)を含まない前駆体シートの場合は、非接触タイプの乾燥設備を使用しても、接触タイプの乾燥設備を用いてもよいが、炭素化可能な樹脂(c)を含む前駆体シートの場合は、炭素化可能な樹脂(c)が熱源へ接触し付着する観点より、非接触タイプの乾燥設備を使用することが好ましい。
乾燥温度は乾燥させる分散媒などの沸点以上であることが好ましい。シート化および交絡処理工程で水を用いた場合は100℃以上であることが好ましい。炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはシート化バインダーのガラス転移温度および融点以上であっても前駆体シートのシート幅方向を担持しているため、シートの収縮を抑制できる。
前駆体シートのシート幅方向の担持方法は特に限定されないが、シート両端を一定間隔でクリップやピンで担持するテンターや、シート両端をコンベヤ式のベルトで担持する方法などがあげられる。前駆体シート担持時のたわみを吸収し、さらに局所的な収縮斑を低減する観点より乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.05以上とすることが好ましい。さらに乾燥時のシートの過剰な伸びを抑制し、前駆体シートのうねりや目付斑を低減するという観点より、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.20以下とすることが好ましい。
<炭素化処理する工程(6)>
工程(6)により、前駆体繊維(b)は、炭素短繊維(A)と融着し、かつ前駆体繊維(b)は炭素化され、網目状炭素繊維(B)となる。また炭素化可能な樹脂(c)は、炭炭素短繊維(A)間および/または炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とを結着する樹脂炭化物(C)となる。これにより、得られる多孔質電極基材の機械的強度および導電性が向上する。
炭素化処理は、得られる多孔質電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で行なうことが好ましい。炭素化処理は、通常600℃以上の温度で行なわれる。炭素化処理する温度範囲は、600〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。また、炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行なうことができる。
製造コスト低減化の観点から、連続的に製造された前駆体シートを600℃超える温度の不活性雰囲気の炉を通過させ、前駆体シートの全長にわたって連続で炭素化処理を行なうことが好ましい。多孔質電極基材を長尺にすれば、多孔質電極基材の生産性をさらに高くすることができ、かつその後のMEA(Membrane Electrode Assembly)製造も連続で行なうことができるので、燃料電池の製造コストを容易に低減できる。また、多孔質電極基材や燃料電池の生産性および製造コスト低減化の観点から、製造された多孔質電極基材を連続的に巻き取ることが好ましい。
また炭素化工程を連続的に行う際には、前駆体シートは炉内の投入される前の室温から炉内の最高温度まで昇温されるが、急激な温度変化による炭素化する前駆体繊維(b)や樹脂(c)の急激な構造変化を抑制し、得られる多孔質電極基材の機械的強度および導電性を発現させる観点より、このときの昇温速度は2000℃/min以下が好ましい。また、得られる多孔質電極基材の機械的強度および導電性を発現させる観点より、炉内の最高温度での滞在時間は15秒〜1時間程度が好ましい。さらに、連続的に製造する際の製造コスト低減の観点より、炉内の最高温度での滞在時間は15秒〜2分がより好ましい。
さらに、連続的な炭素化の生産性を向上させ、かつ低コストで実現するためには、急激な温度上昇を抑制し、かつ、炉内の最高温度での十分な炭素化を実施するために、600℃を超える温度の不活性雰囲気の炉を通過させ炭素化する際に、複数枚重ねた前駆体シートを用いることも好ましい。前駆体シートの枚数は、重ね合わせた厚み方向の伝熱を十分におこない、複数枚の前駆体シートが同様の炭素化が行われる観点より、2枚〜6枚が好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は、以下の方法で測定した。「部」は「質量部」を意味する。
(1)ガス透気度
多孔質電極基材のガス透気度は、JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透気度(ml/hr/cm/mmAq)を算出した。
(2)厚み
多孔質電極基材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
(3)貫通方向抵抗
多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極基材を挟み、銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cmの電流密度で電流
を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm)。
(4)網目状炭素繊維(B)または樹脂炭化物(C)および網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の含有率
網目状炭素繊維(B)または樹脂炭化物(C)および網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の含有率は、得られた多孔質電極基材の目付と、使用した炭素短繊維(A)の目付とから、次式より算出した。
網目状炭素繊維(B)または樹脂炭化物(C)および網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の含有率(%)=[多孔質電極基材目付(g/m)−炭素短繊維(A)目付(g/m)]÷多孔質電極基材目付(g/m)×100。
(実施例1)
以下の繊維を用意した。
・炭素短繊維(A):平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維。
・炭素繊維前駆体短繊維(b1):平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)。
・繊維(b2−1):噴射凝固によって製造した、濾水度が130mlのフィブリルが多数分岐した構造を有するポリアクリロニトリル系パルプ
・繊維(b2−2)の作製に用いる易割繊性海島複合繊維:叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)。
以下の(1)〜(10)の操作によって前駆体シート及び交絡構造前駆体シートを連続的に製造した。
(1)炭素短繊維(A)の離解
前記炭素短繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、攪拌機にて離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)炭素繊維前駆体短繊維(b1)の離解
前記炭素繊維前駆体短繊維(b1)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、攪拌機にて離解処理し、離解スラリー繊維(Sb1)とした。
(3)繊維(b2−1)の作製および離解
前記濾水度が130mlのフィブリルが多数分岐した構造を有するポリアクリロニトリル系パルプを、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させ攪拌機にて離解処理し、離解スラリー繊維(Sb2−1)とした。
(4)繊維(b2−2)の作製および離解
前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して叩解および離解処理し、離解スラリー繊維(Sb2−2)とした。この叩解によってフィブリル化する炭素繊維前駆体短繊維(b2−2)の濾水度は60mlであった。
(5)抄紙用スラリーの調整
炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b1)と繊維(b2−1)と繊維(b2−2)とが、質量比50:30:10:10で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb1)、離解スラリー繊維(Sb1−2)、離解スラリー繊維(Sb2−2)、希釈水を計量し、スラリー供給タンクに調製した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して抄紙用スラリーを調製した。
(6)前駆体シートの製造
ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。
前記抄紙用スラリーを定量ポンプにより前記平織メッシュ上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により脱水し、湿紙ウエッブ(前駆体シート)を得た。
(7)前駆体シートの交絡処理
前記処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズル(ノズル1〜3)を備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
ノズル1:孔径φ(直径)0.15mm×501孔、幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm。
ノズル2:孔径φ0.15mm×501孔、幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm。
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002孔、幅方向孔間ピッチ1.5mm、3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm。
前記湿紙ウエッブを加圧水流噴射処理装置のネット上に積載した。加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力1MPa(ノズル2)、圧力1MPa(ノズル3)として、前記湿紙ウエッブをノズル1、ノズル2、ノズル3の順で通過させて交絡処理を加えた。
(8)交絡処理された前駆体シートの乾燥処理
交絡処理された前駆体シートを、ピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)を用い、乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を45cmすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.07とし、180℃×2分で乾燥させることで、目付け48g/mの前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは収縮によるうねりがなく短時間での乾燥ができた。
(9)加熱加圧成型
次に、この前駆体シートを、連続式加熱ロールプレス装置(由利ロール社製:電気加熱式エンボス機)を用いて線圧3×104N/m、ロール温度200℃、速度2.0m/minで前駆体シートの幅方向の全面を連続的に成型した。成型後の表面観察より、炭素短繊維(A)の加圧による破断がなく、炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)、さらに前駆体繊維(b)同士が効果的に融着していることが確認できた。加熱加圧成型後の前駆体シートの厚みを表1に示した。
(10)炭素化可能な樹脂(c)の含浸
加熱加圧成型された前駆体シートに対し、炭素化可能な樹脂(c)として水溶性フェノール樹脂(商品名:PR−9800D、住友ベークライト(株)製)を滴下法により前駆体シート全体に均一に塗布されるようにし、含浸させた水溶性フェノール樹脂量を絞り装置のロール圧力を変えることで調節し、フェノール樹脂の不揮発分を質量比60%付着させたフェノール樹脂含浸シートを得た。
(11)炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートの乾燥処理
炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートを、ピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)を用い、乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を45cmとすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.07とし、180℃×2分で乾燥させることで、目付け56g/mの前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは収縮によるうねりがなく短時間での乾燥ができた。
(12)炭素化
この前駆体シートを300℃から900℃の窒素ガス雰囲気下での前処理を行ってから、窒素ガス雰囲気中にて2000℃の連続焼成炉において3分間加熱し、炭素化処理を行い、多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例2)
前駆体シートの交絡処理を実施せず、(6)で得られた前駆体シートを乾燥処理したこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例3)
炭素化可能な樹脂(c)の含浸および炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートの乾燥処理をしなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)の質量含有率は29%であった。多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例4)
前駆体シートの交絡処理を実施せず、(6)で得られた前駆体シートを乾燥処理したこと以外は実施例3と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は29%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例5)
シート化バインダーとしてポリエチレンパルプ(商品名:SWP、三井化学株式会社製)を用意した。
繊維(b2−1)を用いず、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b1)と繊維と繊維(b2−2)とポリエチレンパルプとが、質量比50:30:10:10となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は45%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例6)
交絡処理された前駆体シートの乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm乾燥後のシート幅方向の担持幅を47cmとすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.12とし、180℃×2分で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例7)
炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートの乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を47cmすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.12とし、180℃×2分で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であった。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(実施例8)
交絡処理された前駆体シートの乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を51cmすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.21とし、180℃×2分で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、生産性が高く、かつ、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、乾燥時の前駆体シートの幅方向の過剰な伸びによる目付斑が観察された。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
交絡処理された前駆体シートの乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を43cmとすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.02とし、180℃×2分で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、実施例1と比較すると、乾燥時に生じたシートのうねりが大きく、表面平滑性が大きく低下した。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(比較例2)
交絡処理された前駆体シートの乾燥処理を90℃×6分で乾燥させたこと以外は比較例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、乾燥速度が遅くなったため、生産性が大きく低下した。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。
多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(比較例3)
炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートの乾燥前のシート幅方向の担持幅を42cm、乾燥後のシート幅方向の担持幅を43cmとすることで、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比を1.02とし、180℃×2分で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、実施例1と比較すると、乾燥時に生じたシートのうねりが大きく、表面平滑性が大きく低下した。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(比較例4)
炭素化可能な樹脂(c)が含浸された前駆体シートの乾燥処理を90℃×6分で乾燥させたこと以外は比較例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、炭素短繊維の破断や、炭素化処理時における面内の収縮がほとんどなく、表面平滑性は良好であり、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、乾燥速度が遅くなったため、生産性が大きく低下した。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。
(比較例5)
交絡処理された前駆体シートを180℃に加熱したロールに接触させて乾燥したこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
この多孔質電極基材は、ガス透気度、厚み、貫通方向抵抗はそれぞれ良好であったが、実施例1と比較すると、乾燥時の収縮により生じたシートのうねりが大きく、表面平滑性が大きく低下した。また、網目状炭素繊維(B)と樹脂炭化物(C)の質量含有率は49%であった。多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡観察により炭素短繊維(A)同士が、網目状炭素繊維(B)によって接合され、かつ、樹脂炭化物(C)によって炭素短繊維(A)間および炭素短繊維(A)と網目状炭素繊維(B)間とが接合されていることが確認できた。評価結果を表1に示した。

Claims (4)

  1. 炭素短繊維(A)と前駆体繊維(b)からなる多孔質電極基材前駆体シートを連続的に乾燥させる方法において、前記前駆体のシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上となる多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
  2. 炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)および炭素化可能な樹脂からなる多孔質電極基材前駆体シートを連続的に乾燥させる方法において、前記前駆体のシート幅方向を担持し、乾燥後のシート幅方向の担持幅と乾燥前のシート幅方向の担持幅の比が1.05以上となる多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
  3. 前記前駆体シートが交絡処理されている請求項1または2に記載の多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質電極基材前駆体シートを600℃を超える温度の不活性雰囲気の炉を通過させて炭素化する多孔質電極基材の製造方法。
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