JP5394469B2 - 多孔質電極基材の製造方法及び多孔質電極基材 - Google Patents
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Description
[1]炭素短繊維(A)、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)、および精製セルロース繊維(c)の混抄シートを製造する工程、
[2]前記シートを交絡処理する工程、
[3]前記交絡処理シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する工程、
[4]加熱加圧したシートを1000℃以上の温度で炭素化処理する工程。
本発明の多孔質電極基材は、炭素短繊維(A)が、アクリル系前駆体繊維(b)由来の炭素繊維(B)と、精製セルロース繊維(c)由来の炭素繊維(C)とにより接合された構造体であって、当該構造体中で炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成している多孔質電極基材である。なお、アクリル系前駆体繊維(b)とは、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)のみ、もしくはアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)およびフィブリル状炭素繊維前駆体繊維(b2)の混合物を意味するが、好ましくはアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)およびフィブリル状炭素繊維前駆体繊維(b2)の混合物である。後述する工程[3]及び[4]を行うことで、アクリル系前駆体繊維(b)を炭素繊維(B)に変換することができ、精製セルロース繊維(c)を炭素繊維(C)に変換することができる。
本発明において、炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成しているか否かは、シート状の測定対象物(多孔質電極基材)の断面観察を行い、断面における炭素短繊維(A)とシート面との角度を測定することにより判定できる。なお、断面観察を行う断面は、シート状の測定対象物のシート面に対して垂直方向の断面である。
<炭素短繊維(A)>
多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素短繊維(A)は、3次元交絡構造を形成している。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と称する)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
上述したように、アクリル系前駆体繊維(b)としては、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)単独、またはアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)の混合物を用いることができる。
アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)としては、長繊維状のアクリル系炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものを用いることができる。また、この長繊維状のアクリル系炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されていることが好ましい。
アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)は、1種類を用いてもよく、繊維直径やポリマー種が異なる2種類以上のアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)を用いてもよい。アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)や後述するフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)の種類や炭素短繊維(A)との混合比によって、最終的に得られる多孔質電極基材中において、アクリル系前駆体繊維(b)由来の炭素繊維(B)として残る割合を調整することができる。
フィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)としては、繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有するアクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2−1)や、易割繊性海島複合繊維の叩解処理によってフィブリル化させたアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b2−2)を用いることができる。これらのフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維を用いることにより、前駆体シート中で炭素短繊維(A)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)が良く絡み合い、機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。フィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が低いフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上するが、多孔質電極基材のガス透過度が低下する傾向がある。なお、以下、この2つのフィブリル状アクリル系炭素前駆体繊維(b2)をそれぞれ、繊維(b2−1)および繊維(b2−2)と称することがある。
フィブリルが多数分岐した構造を有するアクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2−1)を構成するポリマーは、炭素化後に、炭素短繊維(A)と共に多孔質電極基材の構造を成立させる観点から、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。
叩解によってフィブリル化させたアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b2−2)は、長繊維状の易割繊性海島複合繊維を適当な長さにカットしたものを、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化したものであることができる。易割繊性海島複合繊維は、叩解によってフィブリル化する。長繊維状の易割繊性海島複合繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造することができる。その際、炭素化後に、炭素短繊維(A)と共に多孔質電極基材の構造を成立させる観点から、少なくとも1種類のポリマーは、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。
交絡処理シートの引張強度を高める観点から、さらには加熱加圧工程や炭素化処理工程での熱収縮を抑制する観点から、精製セルロース繊維を混抄することが好ましい。
フィブリルが多数分岐した構造を有する微細セルロース繊維(c1)は、市販のミクロフィブリル化したセルロースナノファイバーなどを用いることができる。
叩解処理によって容易にフィブリル化する精製セルロース短繊維(c2)としては、湿式紡糸法で製造することができる。木材パルプを誘導体化せずにN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMO)水溶液に溶解し、紡糸原液とした後に、NMOの希薄溶液中に押し出して繊維化する。誘導体化工程を経ないため、セルロース分子の重合度低下が少なく、強度面で優れているほか、紡糸時に繊維長軸方向に分子が高度に配列するため、フィブリル化しやすい。
本発明の製造方法は、以下の[1]〜[4]の工程を含む。
[1]炭素短繊維(A)、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)、および精製セルロース繊維(c)の混抄シートを製造する工程。
[2]前記シートを交絡処理する工程。
[3]前記交絡処理シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する工程。
[4]加熱加圧したシートを1000℃以上の温度で炭素化処理する工程。
炭素短繊維(A)とアクリル系前駆体繊維(b)と精製セルロース繊維(c)を2次元平面内にシート状に分散させることで、炭素短繊維(A)、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)、および精製セルロース繊維(c)の混抄シートを得ることができる。混抄シートを製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素短繊維(A)と、アクリル系前駆体繊維(b)と、精製セルロース繊維(c)とを分散させて抄造する湿式法;空気中に、炭素短繊維(A)と、アクリル系前駆体繊維(b)と、精製セルロース繊維(c)とを分散させて降り積もらせる乾式法;などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。なぜなら炭素短繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止し、さらに炭素短繊維(A)とアクリル系前駆体繊維(b)と精製セルロース繊維(c)とが絡み合うことで混抄シートの強度が向上し、実質的にバインダーフリーとなるためである。
混抄シートを交絡処理することで、炭素短繊維(A)とアクリル系前駆体繊維(b)とフィブリル状精製セルロース繊維(c)とが3次元に交絡した3次元交絡構造を有するシート(交絡処理シート)を形成することができる。前駆体シート中の炭素短繊維(A)と、アクリル系前駆体繊維(b)とフィブリル状精製セルロース繊維(c)とを交絡させる交絡処理は、3次元交絡構造が形成される方法から必要に応じて選択することができ、特に限定されない。ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素短繊維(A)の破断を容易に抑制することができ、かつ適切な交絡性が容易に得られるという点で、高圧液体噴射法が好ましい。以下、この方法について詳しく説明する。
炭素短繊維(A)やフィブリル状精製セルロース繊維(c)をアクリル系前駆体繊維(b)で融着させ、かつ多孔質電極基材の厚みむらを低減させ、さらに、交絡処理によりシート表面に毛羽立った状態となった炭素短繊維(A)とアクリル系前駆体繊維(b)とフィブリル状精製セルロース繊維(c)の、シート表面近傍における毛羽立ちを抑制し、燃料電池として組み込んだ際の短絡電流やガスリークを抑制するという観点から、交絡処理シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する。
加熱加圧したシート(中間基材)を炭素化処理する方法としては、室温からの連続昇温により炭素化するような方法であればよく、1000℃以上の温度で行う。なお、十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。なお、炭素化処理工程を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行っても良い。前炭素化処理を行うことで炭素化初期段階において発生する分解ガスを容易に出し切ることができ、炭素化炉内壁への分解物の付着や堆積を容易に抑制することができるため好ましい。
本発明の製造方法は、工程[2]と工程[3]との間、即ち工程[2]の後、工程[3]の前に、交絡処理シート(3次元交絡構造シート)を乾燥処理する工程[5]をさらに含むことができる。これにより、フィブリル状精製セルロース繊維同士の分子間水素結合が促され、シートの引張強度がさらに向上するため好ましい。その際、交絡処理シートから分散媒を除去する観点から、20〜100℃で交絡処理シートを乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。交絡処理シートを構成する繊維の加熱源への付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された交絡処理シートを乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、交絡処理したシートの全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、工程[2]の後に工程[5]を連続して行うことができる。
多孔質電極基材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。試験片の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透過度(mL/hr/cm2/mmAq)を算出した。
多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極基材を挟み、銅板の上下から0.6MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm2)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm2)
(4)多孔質電極基材の面積収縮率
多孔質電極基材の面積収縮率は、縦300mm横200mmの交絡処理シートを炭素化処理して製造した多孔質電極基材の面積を測定し、以下の式より算出した。
面積収縮率(%)
=(交絡処理シートの面積−多孔質電極基材の面積)÷交絡処理シートの面積×100
(実施例1)
炭素短繊維(A)として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を用意した。また、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)を用意した。また、フィブリル状精製セルロース繊維(c)として、繊度が1.7dtex、平均繊維長が4mmの精製セルロース短繊維(商品名:リヨセル)を叩解処理したものを用意した。叩解処理は、前記精製セルロース短繊維を、繊維濃度が0.2%(2g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通すことによって、濾水度が150〜200mL程度になるようにした。
(1)炭素短繊維(A)の離解
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
炭素繊維前駆体短繊維(b1)である、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb1)とした。
精製セルロース繊維(c)として、濾水度が150〜200mL程度になるように叩解処理した精製セルロース短繊維(c2)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb2)とした。
炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とセルロース繊維(c)とが、質量比60:20:20となるように、かつスラリー中の繊維(フロック)の濃度が1.4g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb1)、離解スラリー繊維(Sb2)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22mPa・s(センチポイズ)の抄紙用スラリーを調製した。
前駆体シートおよび交絡処理シートの製造には、以下に示す試験機を用いた。即ち、ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置と、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置と、ネット下部に配置した減圧脱水装置と、ウォータージェットノズルから構成される加圧水流噴射処理装置とからなる試験機を用いた。なお、このウォータージェットノズルは、2種類のノズルから構成されており、具体的には、表1に示すノズル1〜3の合計3本のノズルから構成されている。
(5)前駆体シートの製造および加圧水流噴射による3次元交絡処理
上記試験機のネット上に上記抄紙用スラリーを定量ポンプにより供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付60g/m2の湿紙ウエッブ(前駆体シート)をネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウォータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力2MPa(ノズル2)、圧力1MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えることにより、水分を含んだ3次元交絡構造シートを得た。この水分を含んだ交絡処理シートを乾燥した後の目付は61g/m2であり、乾燥後のシートを100質量部とすると520質量部の水分を含んでいた。
前記交絡処理シートの両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟んだ後、バッチプレス装置にて180℃、予備加熱なし、3MPaで1分間加熱加圧することにより、表面が平滑化された加熱加圧シートを得た。
前記加熱加圧シートを、不活性ガス(窒素)雰囲気中、2000℃で炭素化して、炭素短繊維(A)が繊維状の樹脂炭化物(炭素繊維(B))で結着された多孔質炭素電極基材を得た。
フィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)として、繊維状の幹より直径が3μm以下のフィブリルが多数分岐した、噴射凝固によって作製したポリアクリロニトリル系パルプ(繊維(b2−1))を用いた。抄紙用スラリーを調製する際に、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)と叩解処理した精製セルロース短繊維(c2)の質量比を50:29:19:2となるようにした。これら以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
フィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を叩解処理したもの(繊維(b2−2))を用いた。叩解処理は、前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が0.2%(2g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通すことによって、濾水度350〜400mL程度の繊維(b2−2)が得られるようにした。それ以外は実施例2と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
抄紙用スラリーを調製する際に、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)と叩解処理した精製セルロース短繊維(c2)の質量比を60:20:10:10となるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
精製セルロース繊維(c)として、直径がサブミクロン以下のフィブリルが多数分岐した微細セルロース繊維(ダイセルファインケム株式会社製、商品名:KY−100G)を用いた。抄紙用スラリーを調製する際に、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)とフィブリルが多数分岐した微細セルロース繊維(c1)の質量比を60:19:19:2となるようにした。これら以外は実施例4と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
抄紙用スラリーを調製する際に、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)とフィブリルが多数分岐した微細セルロース繊維(c1)の質量比を70:9:18:3となるようにしたこと以外は、実施例5と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
抄紙用スラリーを調製する際に、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状素繊維前駆体繊維(b2)とフィブリルが多数分岐した微細セルロース繊維(c1)の質量比を80:10:5:5となるようにしたこと以外は、実施例5と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材の組成および評価結果を表2に示す。
抄紙用スラリーを調製する際に精製セルロース繊維(c)を用いず、炭素短繊維(A)とアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2−1)の質量比を60:20:20となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。多孔質電極基材組成および評価結果を表2に示す。多孔質電極基材の面積収縮率は29.5%と大きな値であった。
抄紙用スラリーを調製する際に炭素短繊維(A)を用いず、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2−1)と叩解処理した精製セルロース短繊維(c2)の質量比を20:40:40となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして水分を含んだ3次元交絡構造シートを作製した。炭素短繊維(A)がないため、加熱加圧工程および炭素化処理工程で大きく収縮し、炭素化処理後に形態を維持できなかった。
抄紙用スラリーを調製する際にアクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)を用いず、炭素短繊維(A)とフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2−1)と叩解処理した精製セルロース短繊維(c2)の質量比を60:20:20となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして水分を含んだ3次元交絡構造シートを作製した。アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)がないため、炭素化処理後に形態を維持できなかった。
2 :3次元交絡構造を形成する炭素短繊維(A)
3 :アクリル系前駆体繊維(b)由来の炭素繊維(B)
4 :精製セルロース繊維(c)由来の炭素繊維(C)
Claims (7)
- 以下の[1]〜[4]の工程を含む、多孔質電極基材の製造方法。
[1]炭素短繊維(A)、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)、および精製セルロース繊維(c)の混抄シートを製造する工程、
[2]前記シートを交絡処理する工程、
[3]前記交絡処理シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する工程、
[4]加熱加圧したシートを1000℃以上の温度で炭素化処理する工程。 - 工程[1]において、炭素短繊維(A)と、アクリル系炭素繊維前駆体短繊維(b1)、精製セルロース繊維(c)に加えて、更にフィブリル状アクリル系炭素繊維前駆体繊維(b2)を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 精製セルロース繊維(c)が、フィブリル状精製セルロース繊維である請求項1または2に記載の製造方法。
- 工程[2]と工程[3]との間に、交絡処理したシートを乾燥処理する工程[5]を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された多孔質電極基材。
- 炭素短繊維(A)が、アクリル系前駆体繊維(b)由来の炭素繊維(B)と、精製セルロース繊維(c)由来の炭素繊維(C)とにより接合された構造体であって、当該構造体中で炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成している多孔質電極基材。
- 精製セルロース繊維(c)が、フィブリル状セルロース繊維である請求項6に記載の多孔質電極基材。
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