JP2011065926A - 多孔質炭素電極基材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)炭素短繊維から炭素繊維紙を得る工程と、(b)前記炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて、樹脂含浸紙を得る工程と、(c)前記樹脂含浸紙を加熱プレス成形して、樹脂硬化シートを得る工程と、(d)前記樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させて、前記樹脂硬化シートを焼成する工程とを有し、前記焼成炉の幅に対する樹脂硬化シートの幅の比率(シート幅比率)が、90%以下である方法で、多孔質炭素電極基材を製造する。得られた多孔質炭素電極基材は、シート状の多孔質炭素電極基材であって、1mm以上の長径を有する貫通孔の個数が、1m2あたり0.2個以下である。
【選択図】なし
Description
(b)前記炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて、樹脂含浸紙を得る工程と、
(c)前記樹脂含浸紙を加熱プレス成形して、樹脂硬化シートを得る工程と、
(d)前記樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させて、前記樹脂硬化シートを焼成する工程と
を有し、前記焼成炉の幅に対する樹脂硬化シートの幅の比率(シート幅比率)が、90%以下である多孔質炭素電極基材の製造方法である。
本発明では、以下の工程を有する方法により多孔質炭素電極基材を製造するが、このとき、焼成炉の幅に対する樹脂硬化シートの幅の比率(シート幅比率)が、90%以下であることが必須である。
工程(a):炭素短繊維から炭素繊維紙を得る。
工程(b):前記炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて、樹脂含浸紙を得る。
工程(c):前記樹脂含浸紙を加熱プレス成形して、樹脂硬化シートを得る。
工程(d):前記樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させて、前記樹脂硬化シートを焼成する。
工程(a)で炭素繊維紙を製造する方法としては、液体の媒体中に炭素短繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素短繊維を分散させて降り積もらせる乾式法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。工程(a)は、連続的に行われる。
炭素繊維紙に含浸させる熱硬化性樹脂としては、常温において粘着性または流動性を示す樹脂で、かつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプのフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に、公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできる。ただし、この場合、硬化剤として例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプとすることが好ましい。フェノール樹脂として、市販品を利用することも可能である。なお、フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。
工程(c)では、樹脂含浸紙中の熱硬化性樹脂を硬化して、シート厚みを制御する重要な工程である。工程(c)は、生産性の観点から、連続的に行われる。
工程(d)では、樹脂硬化シートを焼成する。具体的には、樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させる。工程(d)は、連続的に行われる。
(貫通孔について)
本発明の多孔質炭素電極基材は、連続したシート状であって、1mm以上の長径を有する貫通孔の個数が、1m2あたり0.2個以下であることが必須である。本発明においては、後加工で連続加工できるように、15m2以上の面積を有する連続したシート状であることが重要である。
本発明の多孔質炭素電極基材の厚みは、抵抗値の観点から、0.05〜0.4mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。多孔質炭素電極基材の厚みを0.05mm以上とすることで、厚み方向の強度が高くなり、セルスタックを組んだときのハンドリングに耐えられるようになる。また、多孔質炭素電極基材の厚みを0.4mm以下とすることで、その電気抵抗が低くなり、スタックを積層した際のトータルの厚みが小さくなる。
本発明の多孔質炭素電極基材は、長さが50m以上であって、外径が180mmを超えない紙管に巻き取られていることが好ましい。多孔質炭素電極基材が長尺でロール状に巻き取ることができれば、その生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMEA(Membrane/Electrode Assembly:膜電極集合体)製造も連続で行うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。このためにも、外径が180mmを超えない紙管に巻き取り可能な程度に柔軟であることが好ましい。さらに、外径が180mmを超えない紙管に巻き取ることができれば、多孔質炭素電極基材としての製品形態をコンパクトにでき、梱包や輸送コストの面でも有利である。
本発明の多孔質炭素電極基材は、炭素短繊維と、熱硬化性樹脂由来の炭化物とから構成されており、炭素短繊維同士が熱硬化性樹脂由来の炭化物により結着されている構造であることが好ましい。炭化物は、熱硬化性樹脂由来であるが、熱硬化性樹脂の種類や炭素繊維紙への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化物として残る割合が異なってくる。多孔質炭素電極基材を100質量%とした場合に、炭素短繊維分を除いた熱硬化樹脂由来の炭化物の含有率は、多孔質炭素電極基材中の炭素短繊維の結着や多孔質炭素電極基材柔軟性発現の観点から、20〜60質量%であることが好ましい。
光源(京都電機器株式会社製、商品名:LST−40)の上方150mmの位置に多孔質炭素電極基材を通し、その透過光から目視で貫通孔を確認した。そして、確認された貫通孔のサイズを定規で測定し、最も長い径(長径)が1mm以上の貫通孔をカウントした。
多孔質電極基材2〜3gを投入したルツボにNa2CO3粉体0.2gを加え、ガスバーナーで溶融させた。そして、目視で溶融が全体に行き渡ったことを確認後、少なくとも5分以上加熱した。次いで、純水(Siが入っていないもの)を10ml加えて溶解させた後、50mlポリ製フラスコに移す作業を数回繰り返し、ポリ製メスフラスコで50mlに定容した。そして、ICP発光分析によりケイ素分析を行った。
マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、商品名:MDC−25MJ)により、幅方向に5点測定し、その平均厚みを算出した。
200mm×300mmサイズのサンプルを5枚切り出し、電子天秤にて秤量した。そして、3)で測定した平均厚みを使用して、嵩密度を算出した。
曲げ強度試験装置を用いて測定した。支点間距離2cm、歪み速度10mm/minで10mm幅のサンプルに荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を測定して、次式より求めた。
なお、連続サンプルについては、長手方向の値を測定した。
曲げ強度試験装置を用いて測定した。支点間距離2cm、歪み速度10mm/minで10mm幅のサンプルに荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの移動距離を測定して、その値を曲げたわみとした。
多孔質炭素電極基材を100質量%としたときに、炭素繊維分を除いた熱硬化樹脂由来の炭化物の含有率であり、以下の式により算出した。
Gw:多孔質炭素電極基材の目付(g/m2)
Pw:炭素繊維紙の目付(g/m2)
F:炭素繊維紙中の炭素繊維の割合(質量%)
〔実施例1〕
平均繊維長3mmにカットしたポリアクリロニトリル系炭素短繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVA)短繊維(クラレ株式会社製、商品名:VBP105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。ポリアクリロニトリル系炭素短繊維を湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクで水中に均一に分散解繊し、十分に分散したところにPVA短繊維およびポリエチレンパルプを表1の組成になるように均一に分散し、送り出した。送り出されたウェブを短網板に通し、ドライヤー乾燥後、幅1000mm、坪量43g/m2のロール形態の炭素繊維紙を得た。
実施例1と同様の方法で、幅1000mm、坪量34g/m2のロール形態の炭素繊維紙を得た。
実施例1と同様の方法で、坪量43g/m2のロール形態の1000mm幅の炭素繊維紙を得た。
Claims (11)
- (a)炭素短繊維から炭素繊維紙を得る工程と、
(b)前記炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて、樹脂含浸紙を得る工程と、
(c)前記樹脂含浸紙を加熱プレス成形して、樹脂硬化シートを得る工程と、
(d)前記樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させて、前記樹脂硬化シートを焼成する工程と
を有し、前記焼成炉の幅に対する樹脂硬化シートの幅の比率(シート幅比率)が、90%以下である多孔質炭素電極基材の製造方法。 - 前記工程(d)において、前記シート幅比率が45%以下の樹脂硬化シートの少なくとも2枚を並べて、前記焼成炉内に走行させる請求項1に記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
- 前記工程(d)において、前記焼成炉におけるシート走行路の上方に、炭素材料で構成されるカバーシートが配置されている請求項1または2に記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
- 前記工程(c)において、前記樹脂含浸紙の2枚を積層した樹脂含浸紙積層体を、加熱プレス成形する請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
- 前記工程(d)において下部排気を行う請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
- 前記樹脂硬化シートのケイ素含有率が、300ppm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
- シート状の多孔質炭素電極基材であって、1mm以上の長径を有する貫通孔の個数が、1m2あたり0.2個以下である多孔質炭素電極基材。
- 厚みが0.05〜0.4mmであり、嵩密度が0.3〜0.8g/cm3であり、曲げ強度が30MPa以上であり、曲げたわみが1.5mm以上である請求項7に記載の多孔質炭素電極基材。
- 15m2以上の面積を有する請求項7または8に記載の多孔質炭素電極基材。
- 長さが50m以上であり、外径が180mmを超えない紙管に巻き取られている請求項7〜9のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材。
- 炭素短繊維と、前記炭素短繊維同士を結着させている、熱硬化性樹脂由来の炭化物とから構成されており、前記熱硬化性樹脂由来の炭化物の含有率が、20〜60質量%である請求項7〜10のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材。
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