JP2003183994A - 炭素繊維紙およびそれを用いた燃料電池用多孔質炭素電極基材 - Google Patents
炭素繊維紙およびそれを用いた燃料電池用多孔質炭素電極基材Info
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Abstract
燃料電池用電極基材およびこの電極基材を製造するに好
適な炭素繊維紙を提供する。 【解決手段】 表面積比が1.05以上である炭素繊維
を含むことを特徴とする炭素繊維紙。この炭素繊維紙を
構成要素として有することを特徴とする燃料電池用多孔
質炭素電極基材。
Description
れを用いた燃料電池用多孔質炭素電極基材に関する。
性、ハンドリングに耐えるための強度、柔軟性、電極製
造時や電極を組んだときの圧縮に耐える強度等が必要と
される。また、特に固体高分子型燃料電池はリン酸型燃
料電池に比べて小型のものが要求されており、電極も薄
型のものが必要とされている。このような燃料電池用の
電極としては、炭素繊維紙や炭素繊維織物を基材とした
ものが主流となっている。特に炭素繊維紙においては、
炭素繊維の分散状態が重要であり、炭素繊維同士が開繊
せずに収束した状態で紙を形成してしまうと、それによ
り厚み斑(ムラ)、ガス透過性の斑が生じたり、電極基
材に触媒を均一に塗布することが困難になる等の問題が
あった。
では、炭素繊維化可能な繊維径1〜4μmの繊維、また
は、繊維径0.5〜3μmの炭素繊維を用いた抄紙体が
開示されている。このように細径繊維を用いることによ
り、電極内部の電気抵抗低減化に寄与するが、紙に加工
する時の繊維の分散は非常に困難であり、均一に基材が
分散した炭素繊維紙は得がたく、前述した問題が生じ
た。
な問題点を克服し、炭素繊維の分散が均一でかつ柔軟性
を有する燃料電池用電極基材およびこの電極基材を製造
するに好適な炭素繊維紙を提供することを目的とする。
1.05以上である炭素繊維を含むことを特徴とする炭
素繊維紙である。
平均直径が5μm未満であることが好ましい。
ことも好ましい。
であることも好ましく、3〜6mmであることがより好
ましい。
も好ましい。
とそれと90度をなす方向(CMD)の引張強度の比
(MD強度/CMD強度)が1.0〜2.5であること
も好ましい。
素として有することを特徴とする燃料電池用多孔質炭素
電極基材である。
おいては、水銀圧入法により求められる平均細孔径が5
〜40μmであることが好ましい。
度が0.3〜0.8g/cm3であり、かつ、歪み速度
10mm/min、支点間距離2cmおよび試験片幅1
cmの条件での3点曲げ試験において曲げ強度が50M
Pa以上でかつ曲げの際のたわみが1.5mm以上であ
ることも好ましい。
ましい。
m以下のロールに巻き取り可能であることも好ましい。
含むことも好ましい。
それと90度をなす方向(CMD)の面抵抗の比(MD
面抵抗/CMD面抵抗)が1.0〜2.5であることも
好ましい。
比が1.05以上である炭素繊維を含ませる。
り、繊維表面構造が平滑になったり、凹凸状になったり
する。例えば、炭素繊維の前駆体繊維を湿式紡糸して得
られるアクリル繊維表面にはフィブリル構造に由来した
凹凸状の構造が形成される。一般にこの表面構造は炭素
繊維まで受け継がれる。この表面構造の形態により、繊
維の摩擦係数は異なってくる。特に表面積比が高い繊維
であるとと摩擦係数が低くなるため、繊維は収束せずに
開繊しやすくなり、好ましい。以上の高い開繊性の観点
から、表面積比が1.05以上である炭素繊維では、前
記した理由から開繊性が高くなる。これにより、抄紙工
程におけるバンドル状の炭素繊維の収束物は減少し、炭
素繊維が均一に分散する。
らす観点から、前記炭素繊維が50質量%以上、さらに
好ましくは70質量%以上含まれることが好ましい。
る上記炭素繊維は平均直径が5μm未満であることが好
ましい。このような細径炭素繊維を用いることにより、
多孔質電極基材の曲げ強さや柔軟性そして高い電気伝導
性を実現することができる。平均直径が5μm以上の炭
素繊維のみであると柔軟性が不足し、繊維間の結着点が
少なく、このような炭素繊維紙を用いて作製した電極は
抵抗が大きくなってしまう。但し、抄紙における炭素繊
維の分散性の観点から平均直径は3μmを越えることが
好ましい。平均直径を3μmより太くすることにより、
炭素繊維紙が緻密になってガスの透過性が低下すること
を防ぐことができ、好ましい。多孔質電極基材のガス透
過係数としては、50ml・mm/hr・cm2・mm
Aq(5ml・mm/hr・cm2・Pa)以上である
ことが好ましい。
度や均一な分散性の観点から、2〜18mmにすること
が好ましく、2〜10mmとすることがより好ましく、
3〜6mmとするのがさらに好ましい。繊維長が2mm
未満であると繊維同士の絡み合いが少なくなり、基材の
強度が弱くなる。また、18mmを越えると、繊維の分
散媒体中への分散性が下がり、分散斑のある炭素繊維紙
となる。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、
レーヨン系炭素繊維などいずれであって良いが、機械的
強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が好
ましく、特に用いる炭素繊維がポリアクリロニトリル系
炭素繊維のみからなることが好ましい。ここでいうポリ
アクリロニトリル系炭素繊維とは、原料としてアクリロ
ニトリルを主成分とするポリマーを用いて製造されるも
のである。具体的には、アクリロニトリル系繊維を紡糸
する製糸工程、200〜400℃の空気雰囲気中で該繊
維を加熱焼成して酸化繊維に転換する耐炎化工程、窒
素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中でさらに3
00〜2500℃に加熱して炭化する炭化工程を経て得
られる炭素繊維であり、複合材料強化繊維として好適に
使用できるものである。そのため、他の炭素繊維に比べ
て強度が強く、機械的強度の強い炭素繊維紙を形成する
ことができる。このポリアクリロニトリル系炭素繊維
は、電極基材の柔軟性維持の観点から、炭素繊維紙中に
50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含ま
れることが好ましい。
機高分子化合物を含むことが好ましい。有機高分子化合
物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢
酸ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹
脂やフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿
素樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化樹脂の他、熱
可塑性エラストマー、ブタジエン・スチレン共重合体
(SBR)、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体
(NBR)等のエラストマー、ゴム、セルロースなどを
用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリ酢酸ビニ
ル等が好ましく用いられる。また、その形態としてはパ
ルプ状物や短繊維が適している。ここでいうパルプ状物
とは繊維状の幹から直径が数μm以下のフィブリルを多
数分岐した構造で、このパルプ状物を用いたシ−ト状物
は繊維同士の絡み合いが効率よく形成されており、薄い
シ−ト状物であってもその取り扱い性に優れているとい
う特徴を有している。また、短繊維とは繊維糸または繊
維のトウを所定の長さにカットして得られるものであ
る。短繊維の長さは、バインダーとしての結着性や分散
性の点から、2から12mmが好ましい。また、有機高
分子化合物としてはポリビニルアルコールのパルプ状物
もしくは短繊維が好ましい。また、ポリビニルアルコー
ルの重合度は300から2500であることが好まし
い。ポリビニルアルコールは抄紙工程での結着力に優れ
るため、炭素短繊維の脱落が少なくバインダーとして好
ましい。また、ポリビニルアルコールは電極基材を製造
する最終段階の炭素化過程で大部分が分解・揮発してし
まい、空孔を形成する。この空孔の存在により、水及び
ガスの透過性が向上するため好ましい。
有率は、5〜40質量%の範囲にあるのが好ましい。よ
り好ましくは10〜30質量%の範囲である。炭素繊維
紙に後述する樹脂を含浸し、焼成して得られる電極基材
の電気抵抗を低くするためには、有機高分子化合物の含
有量は少ない方がよく、含有率は40質量%以下が好ま
しい。炭素繊維紙の強度および形状を保つという観点か
ら、含有率は5質量%以上が好ましい。
ては、液体の媒体中に炭素繊維を分散させて抄造する湿
式法や、空気中に炭素繊維を分散させて降り積もらせる
乾式法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。ま
た、前述したように炭素繊維同士を結着させるバインダ
ーとして、適当量の有機高分子物質を混ぜることが好ま
しい。これらの有機高分子化合物のパルプ状物あるいは
短繊維を炭素繊維に混入する方法としては、炭素繊維と
ともに水中で攪拌分散させる方法と、直接混ぜ込む方法
があるが、均一に分散させるためには水中で拡散分散さ
せる方法が好ましい。このように有機高分子化合物を混
ぜることにより、炭素繊維紙の強度を保持し、その製造
途中で炭素繊維紙から炭素繊維が剥離したり、炭素繊維
の配向が変化したりするのを防止することができるま
た、炭素繊維紙を抄紙した後、加熱加圧ロールでホット
プレスすることにより、炭素繊維の配向および厚みをを
均一化することができる。なお、ここで行うホットプレ
スは抄紙の後処理であり、後述する電極基材製造におけ
るホットプレスとは異なる。
法があるが、本発明の炭素繊維紙の製造のためには連続
抄紙が好ましい。また、連続的に抄紙した炭素繊維紙に
おいて、抄紙方向(MD)とそれと90度の角度をなす
横方向(CMD)の炭素繊維紙の引張強度比(MD強度
/CMD強度)は1.0以上が好ましく、1.2以上が
より好ましい。炭素繊維紙のMD強度/CMD強度比は
炭素繊維紙中の繊維配向を適正化することで、制御する
ことができる。この比が小さくなるほど炭素繊維紙の厚
みが厚くなり易い。したがって、炭素繊維紙の厚みのコ
ントロールの観点から、1.0以上が好ましく、1.2
以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましい。ま
た、MD強度/CMD強度は2.5以下が好ましく、
2.0以下がより好ましい。この比の値以下であると、
最終的に得られる多孔質炭素電極基材での面内抵抗の異
方性が小さくなるため、優れて安定した性能発現する燃
料電池となり好ましい。以上の観点から、本発明の多孔
質炭素電極基材においては、炭素繊維の抄紙方向(M
D)の面抵抗とそれと90度をなす方向(CMD)の面
抵抗の比(MD面抵抗/CMD面抵抗)が1.0〜2.
5であることが好ましい。
は、前記高い表面積比を有する炭素繊維を含む炭素繊維
紙を構成要素として有することにより、より均一に炭素
繊維が分散して、均一な特性を示すものになる。
とは、炭素繊維などの炭素質を主たる構成要素とするも
ので、水やガス透過性を有し、なおかつ高い導電性を有
する基材のことである。
基材中には、後述するような熱硬化性樹脂由来の炭化物
が炭素繊維間の結着材として含まれていることが好まし
い。
は水銀圧入法によって求められる平均細孔径が5から4
0μmであることが好ましい。ここで平均細孔径が5μ
m未満では、ガス透過性が低下する傾向があるという点
で不利である。多孔質炭素電極基材のガス透過性として
は、50ml・mm/hr・cm2・mmAq(5ml
・mm/hr・cm2・Pa)以上が好ましい。また、
平均細孔径が40μmを超えると、電極基材の曲げ性能
が低下する傾向があるという点で好ましくない。
は、厚みが0.05〜0.5mmでかつ嵩密度0.3〜
0.8g/cm3であり、歪み速度10mm/min、
支点間距離2cm、試験片幅1cmの条件での3点曲げ
試験において、曲げ強度が50MPa以上でかつ曲げの
際のたわみが1.5mm以上である燃料電池用多孔質炭
素電極基材であることが好ましい。
点から、0.05〜0.5mmが好ましく、0.1mm
〜0.3mmがより好ましい。厚みが0.05mm未満
であると、厚み方向の強度が弱くなり、セルスタックを
組んだときのハンドリング性が低下する傾向があるとい
う点で好ましくない。また、0.5mmを越えるとその
電気抵抗が高くなる傾向があるという点で、またスタッ
クを積層した際にトータルの厚みが大きくなるという点
で好ましくない。嵩密度は0.3〜0.8g/cm3が
好ましく、0.4〜0.7g/cm3がより好ましい。
嵩密度が0.3g/cm3未満である場合、電気抵抗が
高くなる傾向があり、柔軟性も低下する傾向があるとい
う点で好ましくない。また、0.8g/cm3を越えて
高くなるとガス透過性が悪くなる傾向があり、燃料電池
の性能が低下する傾向があるという点で好ましくない。
は、歪み速度10mm/min、支点間距離2cm、試
験片幅1cmの条件下で、好ましくは50MPa以上、
より好ましくは70MPa以上である。50MPa未満
であると、取り扱い性が低下する傾向にあり、例えばロ
ールに巻き取る際に割れやすくなる傾向があるという点
で不利である。また、曲げ強度を50MPa以上とする
ことにより、電極基材の曲げの際に亀裂が生じないもの
とすることができる。さらに、曲げの際のたわみは好ま
しくは1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上
である。たわみをこの範囲とすることにより連続的にロ
ールに巻き取る際も割れにくく、長尺の電極基材を作製
・取り扱いやすい。
上であることが好ましく、30MPa以上であることが
より好ましい。連続でロール状に巻き取る際や、その後
の後加工工程を通す際に、張力をかけても破断すること
なく工程を通過させるため、高い引張強度が必要であ
る。
基材は長さが1m以上であり、外径40cm以下のロー
ルに巻き取り可能であることが好ましい。電極基材が長
尺でロールに巻き取ることができれば、電極基材の生産
性が高くなるだけでなく、その後工程のMEA(Mem
brane Electrode Assembly:
膜電極接合体)製造も連続で行うことができ、燃料電池
のコスト低減化に大きく寄与することができる。このた
めにも、外径40cm以下、さらに好ましくは30cm
以下のロールに巻き取り可能な程度に柔軟であることが
好ましい。40cm以下のロールに巻き取り可能な炭素
電極基材は柔軟性に優れ、この後工程であるMEA製造
工程通過性が良く、好ましい。さらに、40cm以下の
ロールに巻き取ることができれば、炭素電極基材として
の製品形態をコンパクトにでき、梱包や輸送コストの面
でも有利である。
熱硬化性樹脂を含浸し、加熱加圧により硬化し、次いで
炭素化することにより燃料電池用多孔質炭素電極基材と
することが好ましい。
粘着性、或いは流動性を示す物でかつ炭素化後も導電性
物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、
フラン樹脂等を用いることができる。前記フェノール樹
脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類
とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプ
フェノール樹脂を用いることができる。また、レゾール
タイプの流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸
性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応に
よって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイ
プのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、
この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含
有した、自己架橋タイプのものが好ましい。
ル、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられ
る。アルデヒド類としては、例えばホルマリン、パラホ
ルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、
これらを混合物として用いることができる。これらはフ
ェノール樹脂として市販品を利用することも可能であ
る。
への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化
物として残る割合が異なってくる。多孔質炭素電極基材
を100質量%とした時に、炭素繊維分を除いた熱硬化
樹脂由来の炭化物の含有量は、電極基材中の炭素繊維の
結着や電極基材柔軟性発現の観点から好ましくは10か
ら50質量%、より好ましくは20から40質量%であ
る。
としては、絞り装置を用いる方法もしくは熱硬化性樹脂
フィルムを炭素繊維紙に重ねる方法が好ましい。絞り装
置を用いる方法は熱硬化性樹脂溶液もしくは混合液中に
炭素繊維紙を含浸し、絞り装置で取り込み液が炭素繊維
紙全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置の
ロール間隔を変えることで調節する方法である。熱硬化
性樹脂溶液粘度が比較的低い場合はスプレー法等も用い
ることができる。また、コーターによる熱硬化性樹脂溶
液を塗布する方法も用いることができる。
熱硬化性樹脂を離型紙に一旦コーティングし、熱硬化性
樹脂フィルムとする。その後、炭素繊維紙に前記フィル
ムを積層して加熱加圧処理を行い、熱硬化性樹脂を転写
する方法である。
観点から、炭素繊維紙の全長にわたって連続して行うこ
とが好ましい。また加熱加圧に先立って予熱を行うこと
が好ましい。この予熱工程において、熱硬化性樹脂を軟
化させ、その後に続く加熱加圧工程にて、プレスにより
電極基材の厚みを良好にコントロールできる。予熱した
樹脂含浸炭素繊維紙を予熱温度より50℃以上高い温度
でプレスすることで所望の厚み、密度の電極基材を得る
ことができる。また、所望の厚み、密度の電極基材を得
るために、樹脂含浸炭素繊維紙を複数枚重ねて、加熱加
圧を行っても良い。
ルトを備えた連続式加熱プレス装置あるいは連続式加熱
ロールプレス装置を用いて行うことが好ましい。前者の
連続式加熱プレス装置は、ベルトで基材を送り出すこと
になるので、基材にはほとんど張力はかからない。した
がって、製造中の基材の破壊は生じにくく、工程通過性
に優れる。また、後者の連続加熱式ロールプレス装置は
構造が単純であり、ランニングコストも低い。以上、2
つの加熱加圧方式は連続で熱硬化性樹脂を硬化するのに
適した方法であり、本発明の電極基材の製造に用いるこ
とが好ましい。
加熱プレス装置を用いる際の加圧圧力は線圧で1.0×
104〜1×105N/mであることが好ましい。加熱加
圧は繊維中に熱硬化性樹脂を十分にしみ込ませ、曲げ強
度を上げるために必要な工程である。樹脂を熱硬化させ
る時に1.0×104N/m以上の線圧で加圧すること
により、十分な導電性と柔軟性を生むことができる。ま
た、1×105N/m以下の線圧で加圧することによ
り、硬化の際、樹脂から発生する蒸気を十分に外に逃が
すことができ、ひび割れの発生を抑えることができる。
間あるいは生産性の観点から140℃以上が好ましく、
加熱加圧装置等の設備のためのコストの観点から400
℃以下が好ましい。より好ましくは160〜380℃の
範囲である。また前記予熱の温度は100〜200℃の
範囲が好ましい。
化を炭素繊維紙の全長にわたって連続で行うことが好ま
しい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高
くなるだけでなく、その後工程のMEA製造も連続で行
うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与す
ることができる。具体的には、炭素化は不活性処理雰囲
気下にて1000〜3000℃の温度範囲で、炭素繊維
紙の全長にわたって連続して焼成処理することが好まし
い。本発明の炭素化においては、不活性雰囲気下にて1
000〜3000℃の温度範囲で焼成する炭素化処理の
前に行われる、300〜800℃の程度の不活性雰囲気
での焼成による前処理を行っても良い。
に説明する。
した。
に切断し、数本をヘモカバーグラス上にのせ、両端を市
販の誤字修正用の修正液で固定して試料とした。そし
て、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製、S
PI13700/SPA−300)によりオリンパス社
製のカンチレバー(SI−DF20)を使用してDFM
モードにて測定を行った。測定点数は1点で行った。各
単繊維表面の任意の2.5μm×2.5μmの範囲を測
定し、得られた測定画像を二次元フーリエ変換し、繊維
表面の曲率に相当する低周波成分をカットした後、逆変
換を行い、繊維表面上の凹凸の画像を得た。この画像か
らクロスセクションモードで表面積比を算出した。
ム−ネオンレーザーによる測定(Anritsu社製
SLB DIA MEASURING SYSTEM)
を行った。100本の炭素繊維について前記測定を行
い、その平均値をもって炭素繊維の平均直径とした。
うに、15×25mmのサイズに、各6枚ずつ試験片を
切り取り、JIS P 8113に準拠して引張強度を
測定した。
目視にて観察し、3mm角以上の未開繊部分が2個以下
を○、3個から5個を△、6個以上を×とした。
孔直径を平均細孔径とした。なお、水銀ポロシメーター
はQuantachrome社製 PoreMaste
r−60を用いた。
素繊維以外の炭化物比率 厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ7321(ミツ
トヨ製)を使用し、測定した。なお、このときの測定子
の大きさは、直径10mmで測定圧力は1.5kPaで
行った。
電極基材の質量を測定して求めた。
下の式により算出した。
の比率は以下の式から算出した。
0mmのサイズに10枚切り取る。曲げ強度試験装置を
用いて、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/
minで荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から
試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を10枚
の試験片に対し測定し、次式より求めた。
10mm/minで荷重をかけていき、荷重がかかり始
めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの移動距
離測定によって求めた。
2cmの間隔をあけて銅線をのせ、4端子法にて、10
mA/cm2の電流密度で電流を流した時の抵抗を測定
した。この測定をMD方向とCMD方向で行い、MD/
CMDの抵抗比を求めた。
孔径で200mm3の気体が通過する時間を測定し、算
出した。
銅板の上下から1MPaで加圧し、10mA/cm2の
電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式よ
り求めた。
m/minで引張測定を行った。測定は10回行い、そ
の平均値を引張強度とした。
たポリアクリロニトリル(PAN)系繊維を公知の方法
により焼成することで、表面積比1.09、平均繊維径
4μmの炭素繊維を得た。この炭素繊維束を切断し、平
均繊維長が3mmの短繊維を得た。
のスラリータンクで水中に均一に分散させ、開繊し、十
分に分散したところにバインダーであるポリビニルアル
コール(PVA)の短繊維(クラレ株式会社製VBP1
05−1 カット長3mm)を炭素繊維とPVAとの合
計量に対して14質量%となるように均一に分散させ、
送り出した。送り出されたウェブを短網板に通し、ドラ
イヤー乾燥後、長さ20mの炭素繊維紙を得た。得られ
た炭素繊維紙について前述した評価を行ったところ、良
好な分散状態であった。結果を表1にまとめた。
脂を含浸させた。すなわち、この炭素繊維紙をフェノー
ル樹脂(フェノライトJ−325・大日本インキ化学
(株)製)の20質量%メタノール溶液のトレイに、連
続的に送り込み、絞り装置にて樹脂を絞り、連続的に熱
風を吹きかけ乾燥させ、樹脂含浸炭素繊維紙を得た。こ
のとき炭素繊維紙100質量部に対し、フェノール樹脂
を130質量部付着した。
した連続式加熱ロールプレス装置にて連続的に加熱加圧
し、樹脂硬化炭素繊維紙を得た。すなわち、上記樹脂含
浸炭素繊維紙1をロールから送り出し、これを離型剤コ
ーティング基材2で挟んだ状態で予熱ゾーン4、引き続
いて加熱加圧ゾーン5に送り、その後離型剤コーティン
グ基材2を取り除き、得られた樹脂硬化炭素繊維紙をロ
ールに巻き取った。このときの予熱ゾーンでの予熱温度
は198℃、予熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンで
の温度は300℃、プレス圧力は線圧1.5×104N
/mであった。
樹脂硬化炭素繊維紙を、窒素ガス雰囲気中にて2000
℃の連続焼成炉において10分間加熱し、炭素化するこ
とで長さ20mの炭素電極基材を連続的に得て、外径3
0cmの円筒型紙管に巻き取った。炭素繊維の分散は均
一であり、柔軟な電極基材であった。評価結果を表2に
示した。
繊維径が3.5μm、表面積比が1.07であるPAN
系炭素繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を
得た。
Aを用いて、抄紙を行い、長さ50mの炭素繊維紙を得
た。得られた炭素繊維紙の評価結果は表1に示した。次
に、実施例1と同様な方法で、炭素繊維紙100質量部
に対して114質量部の樹脂を含浸した後、樹脂含浸炭
素繊維紙を図2に示した一対のエンドレスベルトを備え
た連続式加熱プレス装置(ダブルベルトプレス装置:D
BP)にて連続的に加熱プレスし、樹脂硬化炭素繊維紙
を得た。すなわち、上記樹脂含浸炭素繊維紙1を離型剤
コーティング基材2の間に配置し、樹脂含浸炭素繊維紙
1および離型剤コーティング基材2を続ベルト装置3
a、3bの間に送り、予熱ゾーン4、引き続いて加熱加
圧ゾーン5に送った。その後は図1のロールプレス装置
と同様、離型剤コーティング基材2を取り除き、得られ
た樹脂硬化炭素繊維紙をロールに巻き取った。連続ベル
ト装置3a、3bはそれぞれ回転することにより樹脂含
浸炭素繊維紙1等を搬送する。なお、このときの予熱ゾ
ーンでの予熱温度は198℃、予熱時間は5分であり、
加熱加圧ゾーンでの温度は300℃、プレス圧力は線圧
2.0×104N/mであった。
樹脂硬化炭素繊維紙を、実施例1と同様に炭素化するこ
とで長さ50mの電極基材を連続的に得て、外径30c
mの円筒型紙管に巻き取った。基材の分散は均一であ
り、柔軟な電極基材であった。評価結果を表2に示し
た。
径が4.2μm、表面積比が1.12のPAN系炭素繊
維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。
Aを用いて、抄紙を行い、長さ50mの炭素繊維紙を得
た。得られた炭素繊維紙の評価結果は表1に示した。
紙100質量部に対して136質量部の樹脂を含浸した
後、実施例2と同様にDBPにて樹脂の硬化処理を行っ
た。このときの予熱ゾーンでの予熱温度は160℃、予
熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は300
℃、プレス圧力は線圧2.5×104N/mであった。
樹脂硬化炭素繊維紙を、実施例1と同様に炭素化するこ
とで長さ50mの電極基材を連続的に得て、外径30c
mの円筒型紙管に巻き取った。基材の分散は均一であ
り、柔軟な電極基材であった。評価結果を表2に示し
た。
径が4.2μm、表面積比が1.12のPAN系炭素繊
維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。実
施例1と同様にPVAをバインダーとして用い、長さ1
00mの炭素繊維紙を得た。得られた炭素繊維紙の評価
結果は表1に示した。
紙100質量部に対して148質量部の樹脂を含浸した
後、実施例2と同様にDBPにて樹脂の硬化処理を行っ
た。このときの予熱ゾーンでの予熱温度は180℃、予
熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は300
℃、プレス圧力は線圧1.0×104N/mであった。
この樹脂硬化炭素繊維紙を、実施例1と同様に炭素化す
ることで長さ100mの電極基材を連続的に得て、外径
15cmの円筒型紙管に巻き取った。基材の分散は均一
であり、柔軟な電極基材であった。評価結果を表2に示
した。
繊維径が4μm、表面積比が1.09のPAN系炭素繊
維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。
Aを用いて、抄紙を行い、長さ100mの炭素繊維紙を
得た。
炭素繊維紙の両面に塗布する方法で、炭素繊維紙100
質量部に対して、83質量部の樹脂を含浸した後、樹脂
含浸炭素繊維紙を実施例2と同様な方法でプレス硬化を
行い、30cm幅で100m長さの樹脂硬化炭素繊維紙
を得た。これを300℃から600℃の窒素ガス雰囲気
下での前処理を行ってから、窒素ガス雰囲気中にて20
00℃の連続焼成炉において10分間加熱し、炭素化を
行った。最終的に長さ100mの炭素電極基材を連続的
に得て、外径18cmの円筒型紙管に巻き取った。炭素
繊維の分散は均一であり、柔軟な電極基材であった。評
価結果を表2に示した。
面積比が1.13のPAN系炭素繊維束を切断し、平均
繊維長が6mmの短繊維を得た。
を用いて、抄紙を行い、長さ50mの炭素繊維紙を得
た。
紙100質量部に対して100質量部の樹脂を含浸した
後、実施例2と同様にDBPにて樹脂の硬化処理を行っ
た。
樹脂硬化炭素繊維紙を、実施例1と同様に炭素化するこ
とで長さ50mの電極基材を連続的に得て、外径30c
mの円筒型紙管に巻き取った。基材の分散は均一であ
り、柔軟な電極基材であった。評価結果を表2に示し
た。
面積比が1.02のPAN系炭素繊維束を切断し、平均
繊維長が3mmの短繊維を得た。
Aを用いて、抄紙を行い、長さ50mの炭素繊維紙を得
た。しかしながら、炭素繊維の分散が均一でなかった。
得られた炭素繊維紙の評価結果は表1に示した。
紙100質量部に対して136質量部の樹脂を含浸した
後、実施例2と同様にDBPにて樹脂の硬化処理を行っ
た。このときの予熱ゾーンでの予熱温度は128℃、予
熱時間は5分であり、加熱加圧ゾーンでの温度は280
℃、プレス圧力は線圧2.5×104N/mであった。
樹脂硬化炭素繊維紙を、実施例1と同様に炭素化するこ
とで長さ50mの炭素電極基材を連続的に得て、外径3
0cmの円筒型紙管に巻き取った。評価結果を表2に示
した。
軟性を有する燃料電池用電極基材、またこの基材を製造
するに好適な炭素繊維紙を得ることができる。本発明の
燃料電池用多孔質炭素電極基材を用いることにより優れ
た性能を有する燃料電池が得られる。
Claims (14)
- 【請求項1】 表面積比が1.05以上である炭素繊維
を含むことを特徴とする炭素繊維紙。 - 【請求項2】 前記炭素繊維の平均直径が5μm未満で
ある請求項1記載の炭素繊維紙。 - 【請求項3】 前記炭素繊維の平均直径が3μmを越え
る請求項1または2のいずれか1項に記載の炭素繊維
紙。 - 【請求項4】 前記炭素繊維の平均繊維長が2〜18m
mである請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維
紙。 - 【請求項5】 前記炭素繊維の平均繊維長が3〜6mm
である請求項4記載の炭素繊維紙。 - 【請求項6】 湿式抄紙により得られる請求項1〜5の
いずれか1項に記載の炭素繊維紙。 - 【請求項7】 炭素繊維紙の抄紙方向(MD)の引張強
度とそれと90度をなす方向(CMD)の引張強度の比
(MD強度/CMD強度)が1.0〜2.5である請求
項6に記載の炭素繊維紙。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭
素繊維紙を構成要素として有することを特徴とする燃料
電池用多孔質炭素電極基材。 - 【請求項9】 水銀圧入法により求められる平均細孔径
が5〜40μmである請求項8記載の燃料電池用多孔質
炭素電極基材。 - 【請求項10】 厚みが0.05〜0.5mmで嵩密度
が0.3〜0.8g/cm3であり、かつ、歪み速度1
0mm/min、支点間距離2cmおよび試験片幅1c
mの条件での3点曲げ試験において曲げ強度が50MP
a以上でかつ曲げの際のたわみが1.5mm以上である
請求項8または9記載の燃料電池用多孔質炭素電極基
材。 - 【請求項11】 引張強度が25MPa以上である請求
項8〜10のいずれか1項に記載の燃料電池用多孔質炭
素電極基材。 - 【請求項12】 長さが1m以上であり、かつ、外径4
0cm以下のロールに巻き取り可能である請求項8〜1
1のいずれか1項に記載の燃料電池用多孔質炭素電極基
材。 - 【請求項13】 炭素繊維以外の炭化物を10〜50質
量%含む請求項8〜12のいずれか1項に記載の燃料電
池用多孔質炭素電極基材。 - 【請求項14】 炭素繊維紙の抄紙方向(MD)の面抵
抗とそれと90度をなす方向(CMD)の面抵抗の比
(MD面抵抗/CMD面抵抗)が1.0〜2.5である
請求項8〜13のいずれか1項に記載の燃料電池用多孔
質炭素電極基材。
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