JP5394426B2 - 多孔質炭素電極基材 - Google Patents

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Description

本発明は、液体燃料を使用する固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極基材に関する。
固体高分子型燃料電池の多孔質炭素電極基材には、炭素繊維紙、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の炭素繊維を用いた基材が一般的に用いられる。これらの基材は炭素繊維によって高い導電性を示すだけでなく、多孔質材料であるため、燃料ガスおよび生成水などの液体の透過性が高いためガス拡散層に好適な材料である。
しかしながら、多孔質炭素電極基材として用いられる基材は、燃料電池を製造する際の多孔質炭素電極基材と電解質膜の接合工程やスタックの締結工程において圧縮された際に不可逆な厚み変動が生じる場合があった。そのような不可逆な厚み変動により、多孔質炭素電極基材周辺の部材、例えばガスケットの厚みとの差が大きくなり、電池設計の不具合およびそれに起因した発電性能の低下などの問題が生じる場合があった。
また、多孔質炭素電極基材を固体高分子型燃料電池に組み込むまでには、多数の煩雑な工程を経る必要がある。そこで燃料電池の生産性向上の観点から、多孔質炭素電極基材は、連続品で長尺であり、且つ径の小さなの紙間に巻き取り可能であることが望まれていた。ところで、圧縮の前後における厚みの差を小さくする方法としては、例えば、特許文献1には撥水剤粒子とカーボン粒子によりガス拡散層を形成する製法が開示されている。
特開2010−205450公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では圧縮前後における厚みの差が小さなガス拡散層が得られるが、径の小さな芯材に巻き取り可能な連続したガス拡散層を製造するのは困難であった。また、撥水剤を主成分として使用することから、ガス拡散層の抵抗値が大きくなり電池性能が低下する傾向にあった。本発明は、前記のような問題点を克服し、圧縮前後における厚みの変動が小さく、径の小さな芯材に巻き取り可能な多孔質炭素電極基材を提供することを目的とする。
前記課題は以下の発明によって解決される。
炭素短繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材であって、シートマシン流れ方向(MD)の曲げ強度(F)と、流れに対して直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲にあり、
厚み方向に対して繰り返し、3.5MPaの面圧を付与する圧縮試験において、初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの差が0.1〜10μmの範囲にある、多孔質炭素電極基材。
本発明によれば、圧縮前後における厚みの変動が小さく、径の小さな芯材に巻き取り可能な多孔質炭素電極基材を提供することができる。
以下、本発明について詳細に示す。
本発明は、炭素短繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材であって、
シートマシン流れ方向(MD)の曲げ強度(F)と流れに対して直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲にあり、
厚み方向に対して繰り返し、3.5MPaの面圧を付与する圧縮試験において、初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの差が0.1〜10μmの範囲にある、多孔質炭素電極基材、である。
ここで、多孔質炭素電極基材は、炭素短繊維が炭素により結着された炭素繊維紙である。この基材は、例えば、炭素短繊維と炭素短繊維同士を結着させるバインダーとを水中で分散、抄造した後、抄紙にフェノール樹脂等を含浸し、次いで炭素化することにより製造される。以下、製造方法に関して詳細に説明する。
炭素短繊維としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。
炭素短繊維の平均直径は、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。この範囲内であると多孔質炭素電極基材としての表面平滑性と導電性がよい。
炭素短繊維の平均長は、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。この範囲内であると抄紙時の分散性と多孔質炭素電極基材としての機械的強度が高くなる。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、原料として、アクリロニトリルを主成分とするポリマーを用いて製造されるものである。具体的には、アクリロニトリル系繊維を紡糸する製糸工程、200〜400℃の空気雰囲気中で該繊維を加熱焼成して酸化繊維に転換する耐炎化工程、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中でさらに300〜2500℃に加熱して炭化する炭化工程を経て得ることのできる炭素繊維で、複合材料強化繊維として好適に使用される。
そのため、他の炭素繊維に比べて強度が強く、機械的強度の強い炭素繊維紙を形成することができる。
炭素繊維紙を作製するための抄紙方法としては、液体の媒体中に炭素短繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素短繊維を分散させて降り積もらせる乾式法が適用できる。
また、炭素繊維同士を結着させるバインダーとして、適当量の有機高分子物質を混ぜることが好ましい。
有機高分子物質を混ぜることにより、炭素繊維紙の強度を保持し、その製造途中で炭素繊維紙から炭素繊維が剥離したり、炭素繊維の配向が変化したりするのを防止することができる。
有機高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、あるいはアクリロニトリル系ポリマーのパルプ状物もしくは短繊維であることが好ましい。アクリロニトリル系ポリマーのパルプ状物又は短繊維は、それ自身の焼成物が導電体としての役割を果たすため、特に好ましい。また、ポリビニルアルコールは抄紙工程での結着力に優れるため、炭素短繊維の脱落が少なくバインダーとして好ましい。また、ポリビニルアルコールは電極基材を製造する最終段階の炭素化過程で大部分が分解・揮発してしまい、空孔を形成する。この空孔の存在により、水及びガスの透過性が向上するため好ましい。
パルプ状物は繊維状の幹から直径が数μm以下のフィブリルを多数分岐した構造で、このパルプ状物より作ったシ−ト状物は繊維同士の絡み合いが効率よく形成されており、薄いシ−ト状物であってもその取り扱い性に優れているという長所を有している。また、アクリロニトリル系ポリマーの短繊維は、アクリロニトリル系ポリマーからなる繊維糸、または繊維のトウを、所定の長さにカットして得ることができる。
炭素繊維紙における有機高分子化合物の含有率は、5〜40質量%の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは15〜30質量%の範囲である。炭素繊維紙に樹脂含浸し、焼成して得られる電極基材の電気抵抗を低くするためには、高分子化合物の含有量は少ない方がよく、含有率は40質量%以下が好ましい。炭素繊維紙の強度および形状を保つという観点から、含有率は5質量%以上が好ましい。
これらの有機高分子化合物のパルプ状物あるいは短繊維を炭素繊維に混入する方法としては、炭素繊維とともに水中で攪拌分散させる方法と、直接混ぜ込む方法があるが、均一に分散させるためには水中で拡散分散させる方法が好ましい。
炭素繊維紙を抄紙した後、加熱加圧ロールでホットプレスすることにより、炭素繊維の配向および厚みをを均一化し、炭素繊維特有の毛羽を最小限におさえることができる。加熱加圧ロールの加熱温度は100℃〜150℃が好ましく、圧力は0.5MPa〜20MPaが好ましい。
本発明においては、上述した炭素短繊維を含む炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸し、加熱加圧により硬化し、次いで炭素化することにより燃料電池用多孔質炭素電極基材とする。
本発明に用いる熱硬化性樹脂は常温において粘着性、或いは流動性を示す物でかつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。これらはフェノール樹脂として市販品を利用することも可能である。
本発明に用いる樹脂含浸炭素繊維紙中の樹脂の好ましい割合は30質量%〜70質量%である。多孔質炭素電極基材の構造が密になり、得られる電極基材の強度が高いという点で、30質量%以上が好ましい。また、得られる電極基材の空孔率、ガス透過性を良好に保つという点で、70質量%以下とすることが好ましい。ここで、樹脂含浸炭素繊維紙とは、加熱加圧前の、炭素繊維紙に樹脂を含浸したものをいうが、樹脂含浸の際に溶媒を用いた場合には溶媒を除去したものをいう。
熱硬化性樹脂の含浸工程において熱硬化性樹脂に導電性物質を混入することもできる。導電性物質としては、炭素質ミルド繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、等方性黒鉛粉などが挙げられる。樹脂中に導電性物質を混入する際の混入量は、樹脂に対して、1質量%〜10質量%が好ましい。混入量が1質量%未満であると導電性改善の効果が小さいという点で不利であり、10質量%を越えると導電性改善の効果が飽和する傾向にあり、またコストアップの要因となるという点で不利である。
樹脂または樹脂と導電体の混合物を炭素繊維紙に含浸する方法としては、絞り装置を用いる方法もしくは熱硬化性樹脂フィルムを炭素繊維紙に重ねる方法が好ましい。絞り装置を用いる方法は樹脂溶液もしくは混合液中に炭素繊維紙を含浸し、絞り装置で取り込み液が炭素繊維紙全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置のロール間隔を変えることで調節する方法である。比較的粘度が低い場合はスプレー法等も用いることができる。
熱硬化樹脂フィルムを用いる方法は、まず熱硬化性樹脂を離型紙に一旦コーティングし、熱硬化性樹脂フィルムとする。その後、炭素繊維紙に前記フィルムを積層して加熱加圧処理を行い、熱硬化性樹脂を転写する方法である。
本発明における加熱加圧工程は、生産性の観点から、炭素繊維紙の全長にわたって連続して行うことが好ましい。また加熱加圧に先立って予熱を行うことが好ましい。この予熱工程において、熱硬化性樹脂を軟化させ、その後に続く加熱加圧工程にて、プレスにより電極基材の厚みを良好にコントロールできる。予熱した樹脂含浸炭素繊維紙を予熱温度より50℃以上高い温度でプレスすることで所望の厚み、密度の電極基材を得ることができる。また、所望の厚み、密度の電極基材を得るために、樹脂含浸炭素繊維紙を複数枚重ねて、加熱加圧を行っても良い。
前記した加熱加圧は、連続式加熱ロールプレス装置あるいは一対のエンドレスベルトを備えた連続式加熱プレス装置を用いて行うことが好ましい。後者の連続式加熱プレス装置は、ベルトで基材を送り出すことになるので、基材にはほとんど張力はかからない。したがって、製造中の基材の破壊は生じにくく、工程通過性に優れる。また、前者の連続式加熱ロールプレス装置は構造が単純であり、ランニングコストも低い。以上、2つの加熱加圧方式は連続で樹脂を硬化するのに適した方法であり、本発明の電極基材の製造に用いることが好ましい。
前記した連続式のプレス装置を用いる際の加圧圧力は1.5×10〜1×10N/mであることが好ましい。加熱加圧は繊維中に樹脂を十分にしみ込ませ、曲げ強度を上げるために必要な工程である。
樹脂を熱硬化させる時に1.5×10N/m以上で加圧することにより、十分な導電性と柔軟性を生むことができる。また、1×10N/m以下で加圧することにより、硬化の際、樹脂から発生する蒸気を十分に外に逃がすことができ、ひび割れの発生を抑えることができる。
加熱加圧処理での加熱温度は、硬化処理時間あるいは生産性の観点から140℃以上が好ましく、加熱加圧装置等の設備のためのコストの観点から320℃以下が好ましい。より好ましくは160〜300℃の範囲である。また前記予熱の温度は100〜180℃の範囲が好ましい。
本発明において、樹脂硬化の後に続く炭素化を炭素繊維紙の全長にわたって連続で行うことが好ましい。電極基材が長尺であれば、電極基材の生産性が高くなるだけでなく、その後工程のMEA製造も連続で行うことができ、燃料電池のコスト低減化に大きく寄与することができる。具体的には、炭素化は不活性処理雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で、炭素繊維紙の全長にわたって連続して焼成処理することが好ましい。本発明の炭素化においては、不活性雰囲気下にて1000〜3000℃の温度範囲で焼成する炭素化処理の前に行われる、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行っても良い。
次に、炭素化後の炭素繊維紙は以下の(1)及び(2)の工程を経ることにより、多孔質炭素電極基材となる。
(1)炭素繊維紙を、炭素繊維紙の少なくとも一方の面に弾性を有するシートを配置し、連続的な加圧手段を用いて線圧5kN/m〜30kN/mで加圧する工程。
(2)次いで、炭素繊維紙を連続的に除去する工程。
まず、上述のごとく得られた炭素繊維紙を、該炭素繊維紙の少なくとも一方の面に弾性を有するシートを配置し、連続的な加圧手段を用いて線圧5kN/m〜30kN/mで加圧する。
多孔質炭素電極基材は、通常、高分子電解質膜や触媒層と接着させる際や、燃料電池に組み込む際に加圧される。この際に、多孔質炭素電極基材から脱落する炭素短繊維や、炭素短繊維を結着している炭素粉が高分子電解質膜へのダメージの原因となる。したがって、上記工程を経ることで、加圧によって多孔質炭素電極基材から脱落する炭素短繊維や炭素短繊維を結着している炭素を事前に取り除くことができ、高分子電解質膜へのダメージを低減することができる。膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池において、このような本発明に係る多孔質炭素電極基材を配置することで、膜−電極接合体の組み立て時、固体高分子型燃料電池セルの作製時または発電時の加圧において、炭素短繊維および炭素短繊維を結着している炭素成分が高分子電解質膜へ与えるダメージを低減することができる。
ここで「連続的な加圧手段」とは、例えば連続式ロールプレスあるいは一対のエンドレスベルトを備えた連続式プレス装置を用いて、シートを搬送しながら連続的に加圧する方法をいう。このような装置し加圧することにより、炭素繊維紙を連続的に処理可能であり、生産性が高い。バッチプレスを間欠的に行うプレス方法は、プレス盤面のエッジ部分に高い荷重がかかってしまい、プレス跡が炭素繊維紙に転写される問題や、場合によっては炭素繊維紙が破断してしまう問題、重複プレスによる処理時間の増加などの問題を有しており好ましい方法とはいえない。
本発明では、上記の連続式プレス装置を使用し、線圧で加圧する。具体的には線圧5kN/m〜30kN/mで加圧する。これにより均一に炭素繊維紙に圧力を付与することができ、面圧を付与するプレス方法で生じるおそれがある炭素繊維紙の厚みムラに起因した炭素繊維紙にかかる圧力ムラを回避することができる。
上記のごとくロールプレスやエンドレスベルトといった装置を用いて線圧によるプレスを行うことによって、炭素繊維紙のマシン流れ方向(MD)と、流れに対し直角方向(TD)におけるシート強度を選択的にコントロールすることができる。バッチプレスのような面圧を付与するプレス手法では、圧縮時にシートに掛かる応力の逃げ場がなく、MD、TDともに強度変化が生じてしまう。しかし、線圧によるプレスではシートのMD方向には圧力の掛かっていない部分が生じるため、プレス圧力のコントロールによって、MDおよびTD方向の強度を選択的にコントロールすることが可能となる。これにより、径の小さな芯材に巻き取り可能な多孔質炭素電極基材の製造が可能となる。
また、連続的に加圧を行う際には、弾性を有するシートを炭素繊維紙の少なくとも片面に配置し同時にプレス処理を行う。これにより炭素繊維紙に対する面あたりが良くなり、炭素繊維紙に対して均一に圧力を付与することができる。
ここで「弾性を有するシート」とは、炭素繊維紙よりも圧縮弾性係数が低く、圧縮時にプレス面と炭素繊維紙の間に配置されることによって、緩衝材として作用するシートをいう。弾性を有するシートとしては、表面に剥離材が塗布された離型紙やテフロン(登録商標)シート、シリコンゴム製のシートなどが挙げられる。圧縮弾性係数は、1〜50GPaの範囲にある弾性を有するシートが好ましい。圧縮弾性係数が50GPa以上のシートであると、剛性が高すぎるため緩衝作用が働かず、面あたりの改善が望めない。また、1GPa以下のシートであると、プレスの際に炭素繊維紙と一体化してしまい、剥離不能に陥ってしまう。
また、連続式プレス装置として、ロールプレス機を用いる際に、一対のロールのうち、少なくとも一方を金属ロールとしておくことが好ましい。金属ロールとすることで、ロールの剛性が高いため均一な圧力を付与することが可能となるからである。また、一対のロールのうち、少なくとも一方を弾性ロールとすることもできる。ここで「弾性ロール」とは、例えばゴム、シリコンなどのような金属に比べ弾性係数の低い材料をロール外周に配してあるロールである。
次いで第2の工程において、加圧された炭素繊維紙に付着した炭素粉を除去する。加圧後の炭素繊維紙は、炭素粉等が多く付着している。付着した炭素粉等を除去する方法としては、刷毛などで掃く方法、吸引する方法、超音波洗浄などの方法が挙げられる。発生した炭素粉を連続的かつ効率よく除去する観点から、ブラシ等で掃きながら炭素粉を吸引する方法、又は超音波洗浄が好ましい。いすれもプレス後から連続して多孔質炭素電極基材に付着した炭素粉等を除去できるため、ロスが生じず生産性が高い。
このようにして得られた多孔質炭素電極基材は、「A:シートマシン流れ方向(MD)の曲げ強度(F)と流れに対して直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲にあり」、「B:厚み方向に対して繰り返し、3.5MPaの面圧を付与する圧縮試験において、初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの差が0.1〜10μmの範囲にある」、多孔質炭素電極基材である。
上記Aの要件である「曲げ強度」は、JIS規格 K−6911に準拠した方法により求めることができる。具体的には、以下の方法により測定される値をいう。
・多孔質炭素電極基材のMD及びTD方向、それぞれ強度を調べる方向を試験片の長辺になるように、80×10mmのサイズに10枚切り取る。
・曲げ強度試験装置を用いて、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/minで荷重をかけていく。
・荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を10枚の試験片に対し、測定し、曲げ強度を次式より求める。
・曲げ強度(MPa)=3PL/2Wh
〔P:破断荷重(N)、L:支点間距離(mm)、W:試験片の幅(mm)、h:試験片の厚み(mm)〕
測定されたMD、TD方向の曲げ強度(W)から、MD方向の曲げ強度(F)に対するTD方向の曲げ強度(W)の比を算出する。
直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲であれば、連続した多孔質炭素電極基材の取扱性が良好である。
次に上記Bの要件である「圧縮試験」は、以下の方法により測定された値をいう。
・打ち抜き冶具を用いて直径25mmの多孔質炭素電極基材のサンプルを10枚用意する。
・圧縮試験機として島津マイクロオートMST−I((株)島津製作所製)を用いて、サンプルに面圧3.5MPaで圧縮し面圧を開放することを繰り返し行う圧縮試験を行う。
・圧縮時における付与面圧と多孔質炭素電極基材の厚みの関係をプロットする。
・初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの変化を算出する。
多孔質炭素電極基材は、通常、高分子電解質膜や触媒層と接着させる際や、燃料電池に組み込む際に面圧0.2MPa〜3MPa程度の圧力で加圧される。この際に、多孔質炭素電極基材の厚みに変化が生じる。燃料電池のセル数が増えるにつれて、厚み変動の影響は大きくなる。多孔質炭素電極基材の圧縮時における厚み変動は、初回圧縮時が最も大きくなる。複数回目以降の圧縮時の厚み変動は小さくなる傾向にある。したがって、燃料電池組み付け時の厚み変動の影響を軽減するため、あらかじめ多孔質炭素電極基材をセル組み立て時に想定される圧力を付与することによって、多孔質炭素電極基材を実際に組み付ける際の厚み変動を小さくすることができる。本発明の多孔質炭素電極基材であれば、圧縮に対する寸法安定性、すなわち繰り返し圧縮時の厚み変動が小さいため、燃料電池のセル設計が容易になる。
また、本発明の多孔質炭素電極基材は、直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲であるので、径の小さな芯材に巻き取ることが可能である。具体的には、直径が15cm以下の芯材に巻き取ることが可能である。
直径が小さな芯材ほど、多孔質炭素電極基材に割れが生じやすくなり、巻き取ることが困難となる。しかし、直径の小さな芯材に巻き取れるほど、1ロールあたりの多孔質炭素電極基材の長さは長くなり、多孔質炭素電極基材の処理工程において生産性の向上が見込まれる。あるいは多孔質炭素電極基材の長さは同じであっても、多孔質炭素電極基材を巻き取ったロール径を小さくすることが可能であるため、梱包材の小型化や省資源につながる。
以下、実施例で本発明を具体的に説明する。
<曲げ強度の測定>
本発明における曲げ強度とは、JIS規格K−6911に準拠した方法よって求められる値で、曲げに対する強さを表す。多孔質炭素電極基材のMD及びTD方向、それぞれ強度を調べる方向を試験片の長辺になるように、80×10mmのサイズに10枚切り取る。曲げ強度試験装置を用いて、支点間距離は2cmにし、歪み速度10mm/minで荷重をかけていき、荷重がかかり始めた点から試験片が破断したときの加圧くさびの破断荷重を10枚の試験片に対し、測定し次式より求めた。
曲げ強度(MPa)=3PL/2Wh
ここで、P:破断荷重(N)、L:支点間距離(mm)、W:試験片の幅(mm)、h:試験片の厚み(mm)である。
測定されたMD、TD方向の曲げ強度(W)から、MD方向の曲げ強度(F)に対するTD方向の曲げ強度(W)の比を算出し、連続した多孔質炭素電極基材シートの取扱性の指標として用いた。
<圧縮試験>
打ち抜き冶具を用いて直径25mmの多孔質炭素電極基材のサンプルを10枚用意する。圧縮試験機として島津マイクロオートMST−I((株)島津製作所製)を用いてサンプルに面圧3.5MPaで圧縮し面圧を開放することを繰り返し行う圧縮試験を行った。圧縮時における付与面圧と多孔質炭素電極基材の厚みの関係をプロットした。初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの変化を算出し、多孔質炭素電極基材の圧縮に対する寸法安定性の指標とした。
〔実施例1〕
炭素短繊維として、長さ3mmにカットした平均直径7μmのPAN系炭素短繊維100質量部と、長さ3mmのポリビニルアルコール(PVA)繊維(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を11質量部とを水中で分散し、連続的に金網上に抄造した後、乾燥して炭素繊維紙を得た。
この炭素繊維紙100質量部に、フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学株式会社製)のメタノール溶液を含浸させ、室温でメタノールを十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を84質量部付着させたフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
このフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を2枚重ねて、250℃の温度で8×104N/mの線力のロールプレスを行い、フェノール樹脂を硬化させた。その後、不活性ガス(窒素)雰囲気中、1900℃で連続的に炭素化して、厚みが220μm、嵩密度が、0.26g/cm3 の炭素短繊維の抄紙体からなる炭素繊維紙を得た。
この炭素繊維紙の両面から緩衝材として離型紙(商品名:コウテイシWBE90R−DT、リンテック株式会社製)を重ね合わせて、一対の金属ロールからなるロールプレス装置にて連続的に17.5kN/mの線圧で加圧することによって多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材をイオン交換水を満たした超音波処理槽を通すことで連続的に3分間超音波洗浄を行い、クリーニングを行った。超音波洗浄後、乾燥したのち、多孔質炭素電極基材をロール状に巻き取った。多孔質炭素電極基材の曲げ強度を評価した。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比(X=W/F)が0.315と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行った。初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は1.5μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例2〕
超音波洗浄を行う代わりに多孔質炭素電極基材の両面から回転ブラシと300Wの吸引仕事率で集塵することでクリーニングを行ったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度との比Xは0.352と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は1.8μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例3〕
炭素繊維シートのプレスに用いる1対のプレスロールのうち、一方をゴム製のロール、もう一方を金属ロールとしたことおよび、離型紙の代わりにテフロン(登録商標)シート(商品名:ニトフロンフィルム、日東電工株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.235と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は1.7μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例4〕
炭素繊維シートのプレスを1対のステンレスベルトを備えた連続プレス装置によりおこなったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.245と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は3.4μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例5〕
プレス時の線圧を5.8kN/mとしたこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.388と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は4.8μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例6〕
プレス時の線圧を11.7kN/mとしたこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.381と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は4.5μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例7〕
プレス時の線圧を20.4kN/mとしたこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.211と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は0.2μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例8〕
プレス処理において炭素繊維シートの片面のみに離型紙を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.288と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は1.3μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔実施例9〕
プレス処理において離型紙などの緩衝材を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.382と良好な値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は2.3μmと小さく良好な値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取り可能であった。
〔比較例1〕
プレス処理およびクリーニングを施さなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.465と高い値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は18.4μmと大きな値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取ることができなかった。直径15.24cmの芯材に巻き取ることも不可能であった。
〔比較例2〕
プレス処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.468と高い値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は16.6μmと大きな値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取ることができなかった。直径15.24cmの芯材に巻き取ることも不可能であった。
〔比較例3〕
クリーニングを施さなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.347と良好な値を示した。しかし、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は10.8μmと大きな値を示した。また、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取ることができなかった。直径15.24cmの芯材に巻き取ることも不可能であった。
〔比較例4〕
プレス処理において離型紙を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.444と高い値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は8.8μmと小さな値を示した。しかし、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取ることができなかった。直径15.24cmの芯材に巻き取ることも不可能であった。
〔比較例5〕
炭素繊維シートを1対の平板を備えるバッチプレス装置を通過させ、間欠的にプレス処理をおこなったこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材のシートMD方向の曲げ強度(F)とTD方向の曲げ強度(W)との比Xは0.452と高い値を示した。また、多孔質炭素電極基材の圧縮試験を行い、初回圧縮時と10回目圧縮時における面圧2.0MPa付与した際における多孔質炭素電極基材の厚みの変化量は8.2μmと小さな値を示した。しかし、得られた多孔質炭素電極基材は直径12.7cmの芯材に巻き取ることができなかった。直径15.24cmの芯材に巻き取ることも不可能であった。
測定した曲げ強度等の結果を表1に示す。
表1の結果に見られるように、実施例1〜9で得られた多孔質炭素電極基材はシートのMDとTD方向の強度比が0.2〜0.44の間に収まっているため、長尺のシートであってもねじれ等に対して強く、しなやかで扱いやすいため、径の小さな芯材に巻き取ることができる。また、圧縮試験による厚みの変化も小さいことから、繰り返し圧縮に強く、多孔質炭素電極基材を燃料電池に用いた場合、自動車用途等、振動などにより繰り返しの圧縮が起こる状況にあっても高い寸法安定性・耐久性を有することから長時間にわたって高い発電性能を保持することができる。

Claims (1)

  1. 炭素短繊維を炭素により結着した炭素繊維紙であって、
    シートマシン流れ方向(MD)の曲げ強度(F)と流れに対して直角方向(TD)の曲げ強度(W)との比X(X=W/F)が0.20〜0.40の範囲にあり、
    厚み方向に対して繰り返し3.5MPaの面圧を付与する圧縮試験において、初回圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みと10回目圧縮時の付与面圧2.0MPaにおける多孔質炭素電極基材の厚みとの差が0.1〜10μmの範囲にある、
    多孔質炭素電極基材。
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