JP2006156001A - 燃料電池用ガス拡散層及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス拡散層は、ガス配流板に対向する第1対向面と触媒層に対面する第2対向面とを有すると共に、ガス拡散性を有する。ガス拡散層の厚さの潰れを抑制する厚さ保持材(例えばジルコニア粒子、ガラス粒子)を備えている。
【選択図】図1
Description
液状物は、ガス拡散層の厚さの潰れを抑制する厚さ保持材を含み、液状物に含まれている厚さ保持材をガス拡散層に担持させることを特徴とするものである。
ガス拡散層の基材として機能するカーボン繊維(導電物質)の短繊維〈代表的な大きさとしては、径13μm、長さ3ミリメートル)と、パルプ(消失物質)と、ジルコニア粒子(厚さ保持材)とを、所定の比率で容器内の水に混合し、水中で叩解することにより、カーボン繊維とパルプとジルコニア粒子とを均一に分散させた図2に示す抄紙用スラリー10(液状物)を作製した。ここで、ジルコニア粒子の粒径は200μmであり、即ち、カーボン繊維の長さよりも小さく、且つ、カーボン繊維の径よりも大きくされている。ジルコニア粒子の形状は真球度が高い球状とした。そしてジルコニア粒子において、一方向の径または幅をL1とし、一方向と直交する方向の径または幅をL2とするとき、L1/L2としては0.95〜1.06である。ジルコニア粒子は径または幅としては、20個の粒子を顕微鏡観察により測定した。
実施例2は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。実施例2では、ジルコニア粒子は実施例1と同種のものを用い、粒径200μmであり、形状は球状とした。スラリー10の比率としては、実施例1よりもジルコニア粒子の割合を増加させるべく、重量比で、カーボン繊維:パルプ:ジルコニア粒子=6:4:3とした。即ち、ガス拡散層の基材であるカーボン繊維を相対表示で1としたとき、ジルコニア粒子は、カーボン繊維に対して重量比で1/2程度配合されている。実施例2のガス拡散層100の厚さは約200μmである。
実施例3は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。実施例3では、カーボン繊維とパルプとガラス粒子とを均一に分散させた抄紙用スラリー10(液状物)を作製した。ガラス粒子は粒径200μmであり、形状は球状とした。比率としては、重量比で、カーボン繊維:パルプ:ガラス粒子=6:4:1とした。即ち、ガス拡散層の基材であるカーボン繊維を相対表示で1としたとき、ガラス粒子は、カーボン繊維に対して重量比で1/6程度配合されている。ガラス粒子において、一方向の径または幅をL1とし、一方向と直交する方向の径または幅をL2とするとき、L1/L2としては0.88〜1.11である。実施例3のガス拡散層100の厚さは約200μmである。
実施例4は実施例3と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。実施例4では、カーボン繊維とパルプとガラス粒子とを均一に分散させた抄紙用スラリー10(液状物)を作製した。ガラス粒子は粒径200μmであり、形状は球状とした。比率としては、実施例3の場合よりもガラス粒子を増加させるべく、重量比で、カーボン繊維:パルプ:ガラス粒子=6:4:3とした。即ち、ガス拡散層の基材であるカーボン繊維を相対表示で1としたとき、ガラス粒子は、カーボン繊維に対して重量比で1/2程度配合されている。実施例4のガス拡散層100の厚さは約200μmである。
実施例5は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。実施例5では、ジルコニア粒子に代えて、金蒸着により耐食性を有する被膜を被覆した金属粒子(厚さ保持材)を用いた。金属粒子は材質はステンレス鋼であり、粒径200μmであり、形状は球状とした。スラリー10の比率としては、重量比で、カーボン繊維:パルプ:金属粒子=6:4:3とした。即ち、ガス拡散層の基材であるカーボン繊維を相対表示で1としたとき、被膜を有する金属粒子は、カーボン繊維に対して重量比で1/2程度配合されている。被膜を有する金属粒子において、一方向の径または幅をL1とし、一方向と直交する方向の径または幅をL2とするとき、L1/L2としては0.96〜1.04である。実施例5のガス拡散層100の厚さは約200μmである。
比較例は基本的には実施例1と同様に製造した。但し、比較例に係る抄紙用スラリーはジルコニア粒子、ガラス粒子、金属粒子を含有していない。比較例では、まず、カーボン繊維であるカーボンファイバーの短繊維(代表的な大きさは径13μm、長さ3ミリメートル)とパルプとを所定の重量比率(6:4)で混合し、水中で叩解することによりカーボン繊維とパルプとを均一に分散させた抄紙用スラリーを作製した。その抄紙用スラリーを網状部材に抄紙処理し、抄紙用スラリーに含まれる液分と固形分とを分離し、上記実施例と同様に、厚さ約0.3ミリメートルの薄状シートを製造した。そしてカーボンブラック(バルカンXC−72)と撥水材(PTFE分散液ダイキン工業 D−1)とを重量比で2:1で混合分散したペーストを用いた。このペーストを上記薄状シートにこれの表面からロールコートにより含浸し、乾燥後380℃にて焼成し、薄状シートに含まれているパルプを焼失(消失)させた。その後シートをホットプレスし、厚さが面内で均一になるように調整し、比較例に係るガス拡散層(約200μm)を得た。
上記した様な方法で得られたガス拡散層について厚さ保持率を測定した。この場合には、ガス拡散層を電極として燃料電池に組み込んだときにおける荷重をガス拡散層の厚さ方向にプレス装置により加圧し、ガス拡散層の厚さの変化を試験した。ガス拡散層の厚さはダイヤルゲージにより測定した。図6は試験結果を示す。最大荷重は4MPa(≒41kgf/cm2)とした。図6の横軸は荷重を示し、縦軸は厚さ保持率を示す。厚さ保持率100%は、荷重をかけていないときにおけるガス拡散層の厚さに相当する。厚さ保持率90%は、荷重をかけていないときにおける厚さよりも厚さが10%薄くなったことを意味する。図6の特性線に示すように、厚さ保持材を含有していない比較例によれば、荷重が小さなときにおいても、厚さ保持率の低下が激しい。これに対して厚さ保持材を含有する実施例1〜5では、厚さ保持率の低下が少ない。殊に、実施例4,実施例2では厚さ保持率の低下が少ない。実施例4は、重量比でカーボン繊維:パルプ:ガラス粒子=6:4:3としている。実施例2は、重量比で、カーボン繊維:パルプ:ジルコニア粒子=6:4:3としている。
ガス拡散層にはジルコニア粒子及びガラス粒子を併用して担持させても良い。更にジルコニア粒子及びガラス粒子の少なくとも一方と、樹脂粒子及び/又は被膜を有する金属粒子とを併用させても良い。ガス拡散層は抄紙法で形成されたものに限定されるものではなく、他の製造方法で形成されたガス拡散層に適用することもできる。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
Claims (8)
- ガス配流板に対向する第1対向面と触媒層に対面する第2対向面とを有すると共に、ガス拡散性を有する燃料電池用ガス拡散層において、
厚さの潰れを抑制する厚さ保持材を備えていることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。 - 請求項1において、前記厚さ保持材の厚さまたは径をAとし、前記ガス拡散層の使用時における厚さをBとすると、A/B=1.5〜0.3に設定されていることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
- 請求項1または2において、前記厚さ保持材は粒子状であることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記厚さ保持材はセラミックス、金属及び樹脂のうちの少なくとも一方を母材として形成されていることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
- 導電性を有する導電物質と消失可能な消失物質とを主要成分とする液状物を用意する工程と、前記液状物から固形分を分離して堆積させることにより、前記導電物質および前記消失物質を主要成分とするシートを形成するシート形成工程と、前記シートに含まれている前記消失物質を消失させて前記シートの内部に細孔を形成してガス拡散性を有するガス拡散層を形成する細孔形成工程とを順に実施する燃料電池用ガス拡散層の製造方法において、
前記液状物は、前記ガス拡散層の厚さの潰れを抑制する厚さ保持材を含み、前記液状物に含まれている前記厚さ保持材を前記ガス拡散層に担持させることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層の製造方法。 - 請求項5において、前記液状物に含まれている前記厚さ保持材は、セラミックス、金属及び樹脂のうちの少なくとも一方を母材として形成されていることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
- 請求項5及び6のうちのいずれか一項において、前記液状物に含まれている前記厚さ保持材は粒子状であることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
- 請求項5〜請求項7のうちのいずれか一項において、前記シート形成工程と前記細孔形成工程との間に、撥水材を前記シートに含浸させることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
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