JP2007280740A - 電解質,電解質膜、それを用いた膜電極接合体,燃料電池電源及び燃料電池電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化水素系電解質膜を用いたDMFCは、燃料を供給し始めて数百時間で電解質膜のカソード側から減肉厚や破損が生じ、電池性能が低下し、発電不可能となる問題があった。
【解決手段】炭化水素系電解質膜にプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入することで、燃料のメタノール水溶液に対して溶解せず、長時間安定な発電が可能となる。又、電極の電解質としてプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を用いることで、安価な、長時間安定可能なDMFCを得ることが出来る。
【選択図】図2
【解決手段】炭化水素系電解質膜にプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入することで、燃料のメタノール水溶液に対して溶解せず、長時間安定な発電が可能となる。又、電極の電解質としてプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を用いることで、安価な、長時間安定可能なDMFCを得ることが出来る。
【選択図】図2
Description
本発明は、高耐久性のメタノール等の液体燃料に溶解し難い炭化水素系高分子電解質,炭化水素系高分子電解質膜、これらを利用した膜電極接合体,燃料電池,燃料電池電源システムに関する。
メタノール水溶液を燃料とするメタノール直接方式燃料電池(DMFC)では、供給されたメタノールがアノード電極で水と反応してプロトンとなり、高分子電解質膜中を移動し、カソード電極で供給された酸素と反応して水を生成する。これに伴い電子が電極間を繋ぐ外部の回路を移動して電気エネルギーを得るものである。燃料電池本体の電極反応を化学式で示せば、以下のようになる。
アノード電極(CH3OH供給側) :CH3OH+H2O →CO2+6H++6e- (1)
カソード電極(O2供給側) :3/2O2+6H++6e- → 3H2O (2)
電池全体 :CH3OH+3/2O2 → CO2+3H2O(3)
電池全体 :2H2+O2 → 2H2O (4)
一方、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池(PEFC)は、供給された水素がアノード電極でプロトンとなり、高分子電解質膜中を移動し、カソード電極で供給された酸素と反応して水を生成する。これに伴い電子が電極間を繋ぐ外部の回路を移動して電気エネルギーと得るものである。燃料電池本体の電極反応を化学式で示せば、以下のようになる。
カソード電極(O2供給側) :3/2O2+6H++6e- → 3H2O (2)
電池全体 :CH3OH+3/2O2 → CO2+3H2O(3)
電池全体 :2H2+O2 → 2H2O (4)
一方、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池(PEFC)は、供給された水素がアノード電極でプロトンとなり、高分子電解質膜中を移動し、カソード電極で供給された酸素と反応して水を生成する。これに伴い電子が電極間を繋ぐ外部の回路を移動して電気エネルギーと得るものである。燃料電池本体の電極反応を化学式で示せば、以下のようになる。
アノード電極(H2供給側) :H2 → 2H++2e- (5)
カソード電極(O2供給側) :O2+4H++4e- → 2H2O (6)
電池全体 :2H2+O2 → 2H2O (7)
高分子電解質膜としては、ポリパーフルオロスルホン酸等に代表されるフッ素系電解質膜やプロトン伝導性を付与するため、スルホン酸基やスルホアルキル基を導入したエンジニアリングプラスチックスに代表される炭化水素系電解質膜が用いられている。高分子電解質膜として炭化水素系電解質膜が低コストや燃料のクロスオーバーが少ない利点があるため、実用化研究開発が行われている。
カソード電極(O2供給側) :O2+4H++4e- → 2H2O (6)
電池全体 :2H2+O2 → 2H2O (7)
高分子電解質膜としては、ポリパーフルオロスルホン酸等に代表されるフッ素系電解質膜やプロトン伝導性を付与するため、スルホン酸基やスルホアルキル基を導入したエンジニアリングプラスチックスに代表される炭化水素系電解質膜が用いられている。高分子電解質膜として炭化水素系電解質膜が低コストや燃料のクロスオーバーが少ない利点があるため、実用化研究開発が行われている。
実際の燃料電池ではこれらの主電極反応のほかに、アノード電極で、式(8)に示す2電子還元反応が起こり、過酸化水素が生成する。
O2+2H++2e- → H2O2 (8)
この過酸化水素は、配管などから流れ出てくるFe2+,Cu+など金属イオンが触媒となって、式(9)に示すようにヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。
この過酸化水素は、配管などから流れ出てくるFe2+,Cu+など金属イオンが触媒となって、式(9)に示すようにヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。
H2O2 → 2・OH (9)
生成したヒドロキシラジカルが短時間の内に高分子膜電解質を劣化させ、減肉厚や膜の破れを引き起こす。その結果、燃料や酸素のクロスオーバーが増加し、燃焼反応が起きて電解質膜の破損を拡大する。電解質膜として炭化水素系電解質膜を用いると、アノード側から劣化が始まり、数千時間後にPEFCの出力性能が低下して発電不可能となる。
生成したヒドロキシラジカルが短時間の内に高分子膜電解質を劣化させ、減肉厚や膜の破れを引き起こす。その結果、燃料や酸素のクロスオーバーが増加し、燃焼反応が起きて電解質膜の破損を拡大する。電解質膜として炭化水素系電解質膜を用いると、アノード側から劣化が始まり、数千時間後にPEFCの出力性能が低下して発電不可能となる。
そこで、生成した過酸化水素を有害なヒドロキシラジカルとなる前に分解する過酸化水素分解剤や生成したFe2+,Cu+ など金属イオンを補足する捕捉剤を高分子電解質膜に添加したり、電極に添加したり、高分子電解質膜と電極との間に介在させたりする方法が提案されている(特許文献1等)。
発明者らは、炭化水素系電解質膜を用いたDMFCでは、燃料を供給し始めて数百時間で出力電圧が低下し、実質的に発電不可能になるという課題を見出した。燃料電池の不良解析を進めると、カソード側の電解質膜から減肉厚や破損が生じていた。電化質膜の減肉や破損はカソード側電極の電解質膜から始まり、高電流密度ほどその程度は大きい傾向にあった。
PEFCの場合はDMFCと異なり、アノード電極側の電解質膜から始まり、低電流密度ほど劣化の程度は大きい傾向にある。前述のように、DMFCはPEFCと劣化の起点や加速挙動が異なるため、単純にPEFCの劣化対策をそのまま適用できない。
しかし、前述の状況に鑑み、本発明者らは炭化水素系電解質膜を用いたDMFCの出力が低下する対策をPEFCの対策を参考に検討した。その結果、炭化水素系高分子電解質膜にプロトン伝導性を付与するスルホン酸基と耐酸化性を付与するホスホン酸基を導入する方法が効果のあることが分かったが、炭化水素系電解質膜はホスホン酸基を導入するほど燃料のメタノール水溶液に溶解し易くなり、DMFCに適用出来ないことが分かった。
前述の状況に鑑み、炭化水素系電解質膜にプロトン伝導性基と耐酸化性付与基を同時に導入し、燃料のメタノール水溶液に溶解しない方法を検討し、本発明に至った。
即ち、炭化水素系電解質膜にプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入することで燃料電池を長時間稼動させることができる。
本発明によれば、低メタノール透過性低コスト炭化水素系電解質膜を用いた燃料電池による発電を安定して長時間行うことができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。炭化水素系高分子にプロトン伝導性基と耐酸化性付与基を導入する方法として、「(1)炭化水素系高分子に先にプロトン伝導性基を導入して炭化水素系電解質としてから耐酸化性付与基を導入する、(2)炭化水素系高分子に耐酸化性付与基を先に導入し、次いでプロトン伝導性基を導入する、(3)プロトン伝導性基を導入したモノマと耐酸化性付与基を導入したモノマを共重合する、
(4)プロトン伝導性基と耐酸化性付与基を導入したモノマを重合する、等」のいずれでも特に制限は無い。プロトン伝導性基としてはスルホアルキル基,スルホン酸基等がある。このうち、プロトン伝導性とメタノール溶解性の両立の観点からスルホアルキル基が好ましい。スルホアルキル基のうちでも、特に、スルホプロピル基,スルホブチル基が好ましい。プロトン伝導性基の導入量は、0.5〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂、更に好ましくは0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂である。導入量が少ないとプロトン伝導の抵抗が大きくなり、逆に多すぎるとメタノール水溶液等に溶解し易くなる。耐酸化性付与基としてホスホアルキル基がある。その導入量は、0.5〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂、更に好ましくは0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂である。導入量が少ないと耐酸化性が少なく、逆に多すぎるとメタノール水溶液等に溶解し易くなる。
(4)プロトン伝導性基と耐酸化性付与基を導入したモノマを重合する、等」のいずれでも特に制限は無い。プロトン伝導性基としてはスルホアルキル基,スルホン酸基等がある。このうち、プロトン伝導性とメタノール溶解性の両立の観点からスルホアルキル基が好ましい。スルホアルキル基のうちでも、特に、スルホプロピル基,スルホブチル基が好ましい。プロトン伝導性基の導入量は、0.5〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂、更に好ましくは0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂である。導入量が少ないとプロトン伝導の抵抗が大きくなり、逆に多すぎるとメタノール水溶液等に溶解し易くなる。耐酸化性付与基としてホスホアルキル基がある。その導入量は、0.5〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂、更に好ましくは0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂である。導入量が少ないと耐酸化性が少なく、逆に多すぎるとメタノール水溶液等に溶解し易くなる。
前記(1)及び(2)に用いられる炭化水素系高分子としては、耐熱性のある炭化水素系高分子であれば特に制限はない。そのような炭化水素系高分子としては例えば、ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルケトン,ポリフェニレンスルフィッド,ポリエーテルスルホン,ポリスルホン,ポリベンツイミダゾール,ポリイミド,ポリエーテルイミドやそれらのポリマアロイ等の芳香族炭化水素系高分子がある。
炭化水素系高分子或いはそのポリマアロイにスルホアルキル基を側鎖に導入する際に用いるスルホアルキル化方法には、特に制限はないが、具体的な方法として例えば、炭化水素系電解質膜の芳香環にハロゲノアルキル化し、次いで、アセチルチオ化し、酸化してスルホアルキルとする方法,サルトンを用いて芳香族環に直接スルホアルキル基を導入する方法などがある。プロトン伝導性基の導入量は、芳香族炭化水素系高分子とスルホアルキル化剤の配合比,反応温度,反応時間,芳香族炭化水素系高分子の化学構造等を変化させることにより制御することが可能である。
炭化水素系高分子にホスホアルキル基を導入する方法はホスホアルキル基を導入できれば特に制限は無い。そのような方法としては例えば、炭化水素系電解質膜の芳香環にクロロメチル基を導入し、それにホスホン酸トリエチルエーテルを反応させ、加水分解させる方法等がある。
本発明の前記(1)の方法の変形として予めプロトン伝導性基を付与した高分子電解質に耐酸化性基を付与しても良い。そのような高分子電解質としては、炭化水素系電解質であれば特に制限はない。そのような電解質としては例えば、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン,スルホン化ポリエーテルスルホン,スルホン化アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー,スルホン化ポリスルフィッド,スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化エンジニアプラスチック系電解質,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン,スルホアルキル化ポリエーテルスルホン,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン,スルホアルキル化ポリスルホン,スルホアルキル化ポリスルフィッド,スルホアルキル化ポリフェニレン,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン等のスルホアルキル化エンジニアプラスチック系電解質,スルホアルキルエーテル化ポリフェニレン等の炭化水素系電解質等が挙げられる。このうち、膜特性の観点、即ち、燃料クロスオーバー,イオン伝導度,膨潤性,メタノール溶解性等の観点からスルホアルキル化炭化水素系電解質,スルホアルキルエーテル化炭化水素系電解質が好ましい。タングステン酸化物水和物,ジルコニウム酸化物水和物,スズ酸化物水和物,ケイタングステン酸,ケイモリブデン酸,タングストリン酸,モリブデン酸などの水素イオン導電性無機物を耐熱性樹脂にミクロ分散した複合電解質膜等を用いることによってより高温域まで運転できる燃料電池とすることもできる。上記した水和型の酸性電解質膜は一般に乾燥時と湿潤時とでは膨潤によって膜の変形が発生し、十分にイオン導電性の高い膜では機械強度が十分でない場合が生じる。このような場合には、機械強度,耐久性,耐熱性に優れた不織布、或いは織布状の繊維を芯材として用いたり、電解質膜製造時にこれらの繊維をフィラーとして添加,補強したり、細孔が貫通した高分子膜を芯材として用いたりすることは電池性能の信頼性を高める上で有効な方法である。又、電解質膜の燃料透過性を低減するためにポリベンズイミダゾール類に硫酸,リン酸,スルホン酸類やホスホン酸類をドープした膜を使用することもできる。
また、本発明に用いられる高分子電解質膜を製造する際に、通常の高分子に使用される可塑剤,酸化防止剤,過酸化水素分解剤,金属捕捉材,界面活性剤,安定剤,離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。酸化防止剤としてはフェノール−α−ナフチルアミン,フェノール−β−ナフチルアミン,ジフェニルアミン,p−ヒドロキシジフェニルアミン,フェノチアジン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ(t−ブチル)−p−クレゾール、2,6−ジ(t−ブチル)−p−フェノール、2,4−ジメチル−6−(t−ブチル)−フェノール,p−ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、ジ−p−ヒドロキシフェニルシクロヘキサン,スチレン化フェノール、1,1′−メチレンビス
(4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤,ドデシルメルカプタン,ジラウリルチオジプロピオネート,ジステアリルチオジプロピオネート,ジラウリルサルフィッド,メルカプトベンゾイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤,トリノリルフェニルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリラウリトリチオホスファイト等の燐系酸化防止剤がある。過酸化水素分解剤としては、過酸化物を分解する触媒作用を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、前記酸化防止剤のほかに、金属,金属酸化物,金属リン酸塩,金属フッ化物,大環状金属錯体等が挙げられる。これらから選ばれる一種を単独で用いるか、あるいは二種以上を併用すればよい。なかでも、金属としてはRu,Ag等、金属酸化物としては、RuO,WO3,CeO2,Fe3O4等、金属リン酸塩としてはCePO4,CrPO4,
AlPO4,FePO4等、金属フッ化物としてはCeF3,FeF3等、大環状金属錯体としてはFe−ポルフィリン,Co−ポルフィリン,ヘム,カタラーゼ等が好適である。特に、過酸化物の分解性能が高いという理由から、RuO2,CePO4を用いるとよい。また、金属捕捉剤としてはFe++やCu++イオン等の金属イオンと反応して錯体を作り、金属イオンを不活性化し、金属イオンの持つ劣化促進作用を抑制するものであれば特に制限は無い。そのような金属捕捉剤としてテノイルトリフルオロアセトン,ジエチルチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)や1,5−ジフェニル−3−チオカルバゾン、さらには1,4,7,10,13−ペンタオキシシクロペンタデカンや1,4,7,10,113,16−ヘキサオキシシクロペンタデカン等のクラウンエーテル、4,7,13,16−テトラオキサ−1,10−ジアザシクロオクタデカンや4,7,13,16,21,24−ヘキサオキシ−1,10−ジアザシクロヘキサコサン等のクリプタンド、また更にはテトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系の材料でも構わない。また、それら材料の混合量は実施例に記載したものに限定されるものではない。これらのうち、特にフェノール系酸化防止剤と燐系酸化防止剤の併用系が、少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。これらの酸化防止剤,過酸化水素分解剤,金属捕捉材は電解質膜,電極に加えても、或いは、膜と電極の間に配しても良い。特に、カソード電極、或いはカソード電極と電解質膜の間に配するのが少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。
(4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤,ドデシルメルカプタン,ジラウリルチオジプロピオネート,ジステアリルチオジプロピオネート,ジラウリルサルフィッド,メルカプトベンゾイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤,トリノリルフェニルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリラウリトリチオホスファイト等の燐系酸化防止剤がある。過酸化水素分解剤としては、過酸化物を分解する触媒作用を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、前記酸化防止剤のほかに、金属,金属酸化物,金属リン酸塩,金属フッ化物,大環状金属錯体等が挙げられる。これらから選ばれる一種を単独で用いるか、あるいは二種以上を併用すればよい。なかでも、金属としてはRu,Ag等、金属酸化物としては、RuO,WO3,CeO2,Fe3O4等、金属リン酸塩としてはCePO4,CrPO4,
AlPO4,FePO4等、金属フッ化物としてはCeF3,FeF3等、大環状金属錯体としてはFe−ポルフィリン,Co−ポルフィリン,ヘム,カタラーゼ等が好適である。特に、過酸化物の分解性能が高いという理由から、RuO2,CePO4を用いるとよい。また、金属捕捉剤としてはFe++やCu++イオン等の金属イオンと反応して錯体を作り、金属イオンを不活性化し、金属イオンの持つ劣化促進作用を抑制するものであれば特に制限は無い。そのような金属捕捉剤としてテノイルトリフルオロアセトン,ジエチルチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)や1,5−ジフェニル−3−チオカルバゾン、さらには1,4,7,10,13−ペンタオキシシクロペンタデカンや1,4,7,10,113,16−ヘキサオキシシクロペンタデカン等のクラウンエーテル、4,7,13,16−テトラオキサ−1,10−ジアザシクロオクタデカンや4,7,13,16,21,24−ヘキサオキシ−1,10−ジアザシクロヘキサコサン等のクリプタンド、また更にはテトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系の材料でも構わない。また、それら材料の混合量は実施例に記載したものに限定されるものではない。これらのうち、特にフェノール系酸化防止剤と燐系酸化防止剤の併用系が、少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。これらの酸化防止剤,過酸化水素分解剤,金属捕捉材は電解質膜,電極に加えても、或いは、膜と電極の間に配しても良い。特に、カソード電極、或いはカソード電極と電解質膜の間に配するのが少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。
該高分子電解質膜の厚みは特に制限はないが10〜300μmが好ましい。特に15〜200μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能向上のためには200μmより薄い方が好ましい。溶液キャスト法の場合、膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。溶融状態より製膜する場合、膜厚は溶融プレス法あるいは溶融押し出し法等で得た所定厚さのフィルムを所定の倍率に延伸することで膜厚を制御できる。
前記高分子電解質膜とアノード触媒を担持させたカーボン粉末、或いはアノード触媒を担持させたカーボン粉末同士を接着させ、プロトンを伝導する高分子電解質として従来のフッ素系高分子電解質や炭化水素系電解質を使用できる。そのような炭化水素系電解質としては例えば,スルホン化ポリエーテルエーテルケトン,スルホン化ポリエーテルスルホン,スルホン化アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー,スルホン化ポリスルフィッド,スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化エンジニアプラスチック系電解質,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン,スルホアルキル化ポリエーテルスルホン,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン,スルホアルキル化ポリスルホン,スルホアルキル化ポリスルフィッド,スルホアルキル化ポリフェニレン,スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン等のスルホアルキル化エンジニアプラスチック系電解質,スルホアルキルエーテル化ポリフェニレン等の炭化水素系電解質や前記プロトン伝導性付与基と耐酸化性付与基を導入した炭化水素系高分子等が挙げられる。このうち、耐酸化性が良好で、耐メタノール水溶液に優れたなプロトン伝導性付与基と耐酸化性付与基を導入した炭化水素系高分子が好ましい。かかる高分子電解質膜のプロトン伝導性基は0.5〜2.5 ミリ当量/g乾燥樹脂、更には0.8〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂の範囲が好ましい。かかる高分子電解質のスルホン酸当量は高分子電解質膜の当量より大きいことがイオン伝導性の観点から好ましい。かかる高分子電解質膜の耐酸化性付与基は0.5〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂、更には0.8〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂の範囲が好ましい。かかる高分子電解質はプロトン伝導性と耐メタノール水溶液に対する溶解性の観点からプロトン伝導性付与基としてスルホアルキル基が、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基が好ましい。
フッ素系高分子電解質としてフッ素系電解質であれば特に制限はない。そのようなフッ素系電解質としてポリパーフルオロスルホン酸等が用いられる。その代表的なものとしてNafion(登録商標:米国Dupont社製),Aciplex(登録商標:旭化成工業株式会社製),
Flemion (登録商標:旭硝子株式会社製)がある。かかる電解質のスルホン酸当量は高分子電解質膜の当量より大きいことがイオン伝導性の観点から好ましい。炭化水素系電解質膜との接着性の観点から炭化水素系電解質が好ましい。
Flemion (登録商標:旭硝子株式会社製)がある。かかる電解質のスルホン酸当量は高分子電解質膜の当量より大きいことがイオン伝導性の観点から好ましい。炭化水素系電解質膜との接着性の観点から炭化水素系電解質が好ましい。
通常の高分子に使用される可塑剤,酸化防止剤,過酸化水素分解剤,金属捕捉材,界面活性剤,安定剤,離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。
アノード触媒やカソード触媒として燃料の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金,金,銀,パラジウム,イリジウム,ロジウム,ルテニウム,鉄,コバルト,ニッケル,クロム,タングステン,マンガン,バナジウム,チタンあるいはそれらの合金が挙げられる。このような触媒の中で、特にカソード電極用触媒として白金(Pt)が、アノード電極用触媒として白金/ルテニウム触媒
(Pt/Ru)が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は2〜30nmである。これらの触媒はカーボン等の担体に付着させた方が触媒の使用量が少なくコスト的に有利である。触媒の担持量は電極が成形された状態で0.01〜20mg/cm2が好ましい。
(Pt/Ru)が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は2〜30nmである。これらの触媒はカーボン等の担体に付着させた方が触媒の使用量が少なくコスト的に有利である。触媒の担持量は電極が成形された状態で0.01〜20mg/cm2が好ましい。
膜電極接合体に使用される電極は、触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるものであり、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていてもよい。また、触媒を担持していない導電材と必要に応じて含まれる撥水剤や結着剤とからなる層を、触媒層の外側に形成してもよい。触媒金属を担持させる導電材としては、電子導伝性物質であればいずれのものでも良く、例えば各種金属や炭素材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック,チャンネルブラック,アセチレンブラック等のカーボンブラックや、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素あるいは活性炭、黒鉛等を用いることができ、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
撥水剤として例えばフッ素化カーボン等が使用される。バインダとしては電解質膜と同系統の炭化水素電解質の溶液を用いることが接着性の観点から好ましいが、他の各種樹脂を用いても差し支えない。また、撥水性を有する含フッ素樹脂、例えばポリテトラフロロエチレン,テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、およびテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を加えてもよい。
燃料用電池として用いる際の高分子電解質膜と電極を接合する法についても特に制限はなく、公知の方法を適用することが可能である。膜電極接合体の製作方法として、例えば、導電材、例えば、カーボンに担持させたPt触媒紛とポリテトラフロロエチレン懸濁液とを混ぜ、カーボンペーパーに塗布,熱処理して触媒層を形成する。次いで、バインダとして高分子電解質膜と同一の高分子電解質溶液或いはフッ素系電解質を触媒層に塗布し、高分子電解質膜とホットプレスで一体化する方法がある。この他、高分子電解質と同一の高分子電解質溶液を予めPt触媒紛にコーテイングする方法,触媒ペーストを印刷法,スプレー法,インクジェット法で高分子電解質膜の方に塗布する方法,高分子電解質膜に電極を無電解鍍金する方法,高分子電解質膜に白金族の金属錯イオンを吸着させた後、還元する方法等がある。このうち、触媒ペーストをインクジェット法で高分子電解質膜に塗布する方法が触媒のロスが少なく優れている。
DMFCは、以上のように形成された膜電極接合体の外側に燃料流路と酸化剤流路を形成する溝付きの集電体としての燃料配流板と酸化剤配流板を配したものを単セルとし、このような単セルを複数個、冷却板等を介して積層することにより構成される。単セルを接続するのに積層する以外に平面で接続する方法がある。単セルを接続する方法はそのどちらでも特に制限は無い。小型軽量化を志向する製品には平面で接続し、補機を使用しない。所謂、パッシブ型とする方が好ましい。燃料電池は、高い温度で作動させる方が、電極の触媒活性が上がり電極過電圧が減少するため望ましいが、特に作動温度には制限は無い。液体燃料を気化させて高温で作動させることも可能である。
アノード,電解質膜,カソードから構成される複数の単電池を作製し、それを平面に配列し、各単電池を導電性のインターコネクタで直列に接続することで高電圧化を図かり、燃料や酸化剤を強制供給する補機を用いることなく、又、燃料電池を強制冷却するための補機を用いることなく運転し、燃料には体積エネルギー密度の高いメタノール水溶液を液体燃料として用いることによって長い時間発電を継続できる小型電源を実現することができる。この小型電源を例えば携帯電話機,ブックタイプパーソナルコンピュータや携帯用ビデオカメラなどの電源として内蔵することによって駆動することができ、予め用意された燃料を逐次補給することによって長時間の連続使用が可能となる。又、前記の場合よりも燃料補給の頻度を大幅に少なく使用する目的で、この小型電源を例えば二次電池搭載の携帯電話機,ブックタイプパーソナルコンピュータや携帯用ビデオカメラの充電器と結合してそれらの収納ケースの一部に装着することによってバッテリーチャージャーとして用いることは有効である。この場合、携帯用電子機器使用時には収納ケースより取り出して二次電池で駆動し、使用しない時にはケースに収納することによってケースに内蔵された小型燃料電池発電装置が充電器を介して結合されて二次電池を充電する。こうすることによって燃料タンクの容積を大きくでき、燃料補給の頻度は大幅に少なくすることができる。
(実施例)
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の趣旨とするところはここに開示した実施例のみに限定されるものではない。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の趣旨とするところはここに開示した実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜12)
(1)クロロメチルポリエーテルスルホンの合成
撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、30gのポリエーテルスルホン(PES),二硫化炭素250mlを入れ、更に表1記載の量のクロロメチルメチルエーテルを加えた後、無水塩化錫(IV)1mlと二硫化炭素20mlの混合溶液を滴下し、46℃で表1記載の時間加熱撹拌した。次いで、該反応溶液をメタノール1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してメタノールで洗浄し、(化1)のクロロメチル化ポリエーテルスルホンを得た。
(1)クロロメチルポリエーテルスルホンの合成
撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、30gのポリエーテルスルホン(PES),二硫化炭素250mlを入れ、更に表1記載の量のクロロメチルメチルエーテルを加えた後、無水塩化錫(IV)1mlと二硫化炭素20mlの混合溶液を滴下し、46℃で表1記載の時間加熱撹拌した。次いで、該反応溶液をメタノール1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してメタノールで洗浄し、(化1)のクロロメチル化ポリエーテルスルホンを得た。
(2)クロロメチルジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンの合成
前記(化1)のクロロメチルポリエーテルスルホンをホスホン酸トリエチルエステルに浸漬し、12時間加熱還流した。該反応溶液をエタノール中に入れ、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してエタノールで洗浄し、(化2)のクロロメチルジエチルホスホメチルポリエーテルスルホン35gを得た。ホスホメチル基の当量は表1に記載したように0.54〜1.3ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
前記(化1)のクロロメチルポリエーテルスルホンをホスホン酸トリエチルエステルに浸漬し、12時間加熱還流した。該反応溶液をエタノール中に入れ、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してエタノールで洗浄し、(化2)のクロロメチルジエチルホスホメチルポリエーテルスルホン35gを得た。ホスホメチル基の当量は表1に記載したように0.54〜1.3ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
(3)アセチルチオジエチルホスホメチポリエーテルスルホンの合成
得られた(化2)のクロロメチルジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンを撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた1000mlの4ツ口丸底フラスコに入れ、N−メチルピロリドン600mlを加えた。これに、チオ酢酸カリウム9gとN−メチルピロリドン(NMP)50mlの溶液を加え、80℃に加熱し3時間加熱撹拌した。次いで、該反応液を水1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出させた沈殿をミキサーで粉砕し、水で洗浄した後、加熱乾燥してアセチルチオジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを得た。
得られた(化2)のクロロメチルジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンを撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた1000mlの4ツ口丸底フラスコに入れ、N−メチルピロリドン600mlを加えた。これに、チオ酢酸カリウム9gとN−メチルピロリドン(NMP)50mlの溶液を加え、80℃に加熱し3時間加熱撹拌した。次いで、該反応液を水1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出させた沈殿をミキサーで粉砕し、水で洗浄した後、加熱乾燥してアセチルチオジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを得た。
(4)スルホメチル化ポリエーテルスルホンの合成
得られたアセチルチオジエチルホスホメチポリエーテルスルホン20gを撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの4ツ口丸底フラスコに入れ、さらに酢酸300ml加えた。過酸化水素水20mlを加え、45℃に加熱し4時間加熱撹拌した。次いで、6規定の水酸化ナトリウム水溶液1リットル中に、冷却しながら該反応溶液を加え、しばらく撹拌した。ポリマーをろ過し、アルカリ成分が抜けるまで水で洗浄した。その後、1規定の塩酸300mlにポリマーを加え、しばらく撹拌した。ポリマーをろ過し、酸成分が抜けるまで水で洗浄し、減圧乾燥することで、定量的に(化3)のスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン20gを得た。NMRのメチレンプロトンのケミカルシフトが3.78ppmにシフトしていることにより、スルホメチル基の存在を確認した。スルホメチル基の当量は表1に示すように0.7〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
得られたアセチルチオジエチルホスホメチポリエーテルスルホン20gを撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの4ツ口丸底フラスコに入れ、さらに酢酸300ml加えた。過酸化水素水20mlを加え、45℃に加熱し4時間加熱撹拌した。次いで、6規定の水酸化ナトリウム水溶液1リットル中に、冷却しながら該反応溶液を加え、しばらく撹拌した。ポリマーをろ過し、アルカリ成分が抜けるまで水で洗浄した。その後、1規定の塩酸300mlにポリマーを加え、しばらく撹拌した。ポリマーをろ過し、酸成分が抜けるまで水で洗浄し、減圧乾燥することで、定量的に(化3)のスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン20gを得た。NMRのメチレンプロトンのケミカルシフトが3.78ppmにシフトしていることにより、スルホメチル基の存在を確認した。スルホメチル基の当量は表1に示すように0.7〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
(5)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(3)で得られたスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを5重量%の濃度になるようにジメチルアセトアミド−メトキシエタノールの混合溶媒(1:1)に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は表1に示すように0.03から0.1S/cm であった。イオン伝導率はスルホメチル基の導入量が多くなるほどイオン伝導率は高くなっている。ホスホメチル基の導入量は殆どイオン伝導率に影響を与えていない。
前記(3)で得られたスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを5重量%の濃度になるようにジメチルアセトアミド−メトキシエタノールの混合溶媒(1:1)に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのスルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は表1に示すように0.03から0.1S/cm であった。イオン伝導率はスルホメチル基の導入量が多くなるほどイオン伝導率は高くなっている。ホスホメチル基の導入量は殆どイオン伝導率に影響を与えていない。
又、高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に24時間浸漬し、減圧乾燥した後、膜の重量を求め、初期の重量との重量変化率を求めて、耐メタノール水溶液溶解性を評価した。その結果を表1に記した。実施例1から12のホスホメチル基0.54〜1.3ミリ当量/g乾燥樹脂,スルホメチル基0.7〜1.5 ミリ当量/g乾燥樹脂で高分子電解質膜はいずれも0でありメタノール水溶液に溶解しなかった。80℃の塩化第二鉄を20ppm 添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及び導電率保持率を求めることにより、耐酸化性を評価した。いずれも耐酸化性は良好であった。即ち、スルホメチル基とホスホメチル基を導入した電解質膜はイオン伝導率が0.03S/cm以上で、かつ、耐メタノール溶解性と耐酸化性に優れ、DMFC用に最適である。
(6)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の実施例12の高分子電解質(スルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン)の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml浸透させた後に前記実施例1〜12の(4)で作製したスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml 浸透させた後に前記実施例12の高分子電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノード層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(1)を作製した。
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の実施例12の高分子電解質(スルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン)の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml浸透させた後に前記実施例1〜12の(4)で作製したスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml 浸透させた後に前記実施例12の高分子電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノード層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(1)を作製した。
炭素粉末に焼成後の重量で40wt%となるように撥水剤ポリテトラフロロエチレン
(PTFE)微粒子の水性分散液(デイスパージョンD−1:ダイキン工業製)を添加して混練してペースト状になったものを、厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスの片面に塗布し、室温で乾燥した後270℃で3時間焼成して炭素シートを形成した。PTFE量はカーボンクロス布に対して5〜20wt%となるようにした。得られたシートを上記MEAの電極サイズと同じ形状に切り出してカソード拡散層とした。厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスを発煙硫酸(濃度60%)に浸たし、窒素気流下2日間60℃の温度に保持した。次いで、フラスコの温度を室温迄冷却した。発煙硫酸を除去し、カーボンクロスを蒸留水が中性になるまでよく洗浄した。次いで、メタノールで浸漬,乾燥した。得られたカーボンクロスの赤外線分光吸収スペクトルの1225cm-1及び1413cm-1に−OSO3H基に基づく吸収が認められた。又、1049cm-1 に−OH基に基づく吸収が認められた。このことから、カーボンクロスの表面に−OSO3H 基や
−OH基が導入され、発煙硫酸処理されていないカーボンクロスとメタノール水溶液との接触角81°より小さく、親水性であった。又、導電性にも優れていた。これを上記MEA(1)の電極サイズと同じ形状に切り出してアノード拡散層とした。
(PTFE)微粒子の水性分散液(デイスパージョンD−1:ダイキン工業製)を添加して混練してペースト状になったものを、厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスの片面に塗布し、室温で乾燥した後270℃で3時間焼成して炭素シートを形成した。PTFE量はカーボンクロス布に対して5〜20wt%となるようにした。得られたシートを上記MEAの電極サイズと同じ形状に切り出してカソード拡散層とした。厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスを発煙硫酸(濃度60%)に浸たし、窒素気流下2日間60℃の温度に保持した。次いで、フラスコの温度を室温迄冷却した。発煙硫酸を除去し、カーボンクロスを蒸留水が中性になるまでよく洗浄した。次いで、メタノールで浸漬,乾燥した。得られたカーボンクロスの赤外線分光吸収スペクトルの1225cm-1及び1413cm-1に−OSO3H基に基づく吸収が認められた。又、1049cm-1 に−OH基に基づく吸収が認められた。このことから、カーボンクロスの表面に−OSO3H 基や
−OH基が導入され、発煙硫酸処理されていないカーボンクロスとメタノール水溶液との接触角81°より小さく、親水性であった。又、導電性にも優れていた。これを上記MEA(1)の電極サイズと同じ形状に切り出してアノード拡散層とした。
(6)燃料電池(DMFC)の発電性能
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(1)を組み込んで電池性能を測定した。図1において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、6はアノード集電体、7はカソード集電体、8は燃料、9は空気、10はアノード端子、11はカソード端子、12はアノード端板、13はカソード端板、14はガスケット、15はO−リング、16はボルト/ナットである。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。実施例1〜3の出力電圧の経時変化を図2に示す。又、実施例1〜12の4,000時間稼動後の出力電圧を表1に記す。スルホメチル基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCはいずれも4,000時間稼動後に0.35V以上の出力を示し、安定であった。
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(1)を組み込んで電池性能を測定した。図1において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、6はアノード集電体、7はカソード集電体、8は燃料、9は空気、10はアノード端子、11はカソード端子、12はアノード端板、13はカソード端板、14はガスケット、15はO−リング、16はボルト/ナットである。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。実施例1〜3の出力電圧の経時変化を図2に示す。又、実施例1〜12の4,000時間稼動後の出力電圧を表1に記す。スルホメチル基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCはいずれも4,000時間稼動後に0.35V以上の出力を示し、安定であった。
(実施例13)
電極のバインダ及び電極と電解質膜の接着剤として実施例12の電解質の代わりにポリパーフルオロスルホン酸を用いた以外、実施例1と同じ実験を行った。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で4,000時間稼動後に0.34Vの出力を示し、安定であった。
電極のバインダ及び電極と電解質膜の接着剤として実施例12の電解質の代わりにポリパーフルオロスルホン酸を用いた以外、実施例1と同じ実験を行った。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で4,000時間稼動後に0.34Vの出力を示し、安定であった。
(比較例1)
(1)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロスルホン酸電解質をバインダとして水/アルコール混合溶媒(水,イソプロパノール,ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロスルホン酸をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%のポリパーフルオロスルホン酸アルコール水溶液(水,イソプロパノール,ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)を約0.5ml浸透させた後にスルホン酸当量1.1ミリ等量/g乾燥樹脂のスルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次にカソード電極表面に5重量%のポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml 浸透させた後に前記高分子電解質膜に先に接合したアノード層と重なるように接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(2)を作製した。
(1)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロスルホン酸電解質をバインダとして水/アルコール混合溶媒(水,イソプロパノール,ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロスルホン酸をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%のポリパーフルオロスルホン酸アルコール水溶液(水,イソプロパノール,ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)を約0.5ml浸透させた後にスルホン酸当量1.1ミリ等量/g乾燥樹脂のスルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次にカソード電極表面に5重量%のポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml 浸透させた後に前記高分子電解質膜に先に接合したアノード層と重なるように接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(2)を作製した。
これと実施例1で作製した親水化カーボンクロスをアノード拡散層に、撥水化カーボンクロスをカソード拡散層に用いた。
(2)燃料電池(DMFC)の発電性能
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(2)を組み込んで電池性能を測定した。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2 の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。400時間稼動後に出力電圧は0.22Vに低下した。
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(2)を組み込んで電池性能を測定した。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2 の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。400時間稼動後に出力電圧は0.22Vに低下した。
以上のことから、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質膜を用いた燃料電池は、スルホン酸基を導入した高分子電解質膜を用いた燃料電池と異なり、長期間安定な出力が得られることが分かる。又、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を電極のバインダとすると、フッ素系電解質と同等以上の耐久性が得られることが分かる。
(比較例2)
スルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜の代わりにスルホン酸当量1.2ミリ等量/g乾燥樹脂のスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜を用いた以外、全く比較例1と同じ実験を行った。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2 の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。1400時間稼動後に出力電圧は0.14Vに低下した。
スルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜の代わりにスルホン酸当量1.2ミリ等量/g乾燥樹脂のスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜を用いた以外、全く比較例1と同じ実験を行った。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2 の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。1400時間稼動後に出力電圧は0.14Vに低下した。
以上のことから、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質膜を用いた燃料電池は、スルホアルキル基を導入した高分子電解質膜を用いた燃料電池と異なり、長期間安定な出力が得られることが分かる。又、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を電極のバインダとすると、フッ素系電解質と同等以上の耐久性が得られることが分かる。
(比較例3)
スルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜の代わりにスルホン酸当量1.2 ミリ当量/g乾燥樹脂のスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜を用いた以外、全く比較例1と同じ実験を行った。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。1400時間稼動後に出力電圧は0.14Vに低下した。
(比較例3)
スルホン化ポリエーテルスルホン電解質膜の代わりにスルホン酸当量1.2 ミリ当量/g乾燥樹脂のスルホメチル化ポリエーテルスルホン電解質膜を用いた以外、全く比較例1と同じ実験を行った。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。そのときの出力電圧の経時変化を図2に示す。1400時間稼動後に出力電圧は0.14Vに低下した。
以上のことから、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質膜を用いた燃料電池は、スルホアルキル基を導入した高分子電解質膜を用いた燃料電池と異なり、長期間安定な出力が得られることが分かる。又、スルホアルキル基とホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を電極のバインダとすると、フッ素系電解質と同等以上の耐久性が得られることが分かる。
(実施例14〜16)
(1)スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンの合成
撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、30gのスルホン酸当量0.9,1.1、又はび
1.25 ミリ当量/g乾燥樹脂のスルホン化ポリエーテルスルホン,二硫化炭素250
mlを入れ、更に表1記載の量のクロロメチルメチルエーテルを加えた後、無水塩化錫
(IV)1mlと二硫化炭素20mlの混合溶液を滴下し、46℃で表1記載の時間加熱撹拌した。次いで、該反応溶液をメタノール1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してメタノールで洗浄し、スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンを得た。
(1)スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンの合成
撹拌機,温度計,塩化カルシウム管を接続した還流冷却器をつけた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、30gのスルホン酸当量0.9,1.1、又はび
1.25 ミリ当量/g乾燥樹脂のスルホン化ポリエーテルスルホン,二硫化炭素250
mlを入れ、更に表1記載の量のクロロメチルメチルエーテルを加えた後、無水塩化錫
(IV)1mlと二硫化炭素20mlの混合溶液を滴下し、46℃で表1記載の時間加熱撹拌した。次いで、該反応溶液をメタノール1リットル中に落とし、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してメタノールで洗浄し、スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンを得た。
(2)スルホン化ジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンの合成
前記スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンをホスホン酸トリエチルエステルに浸漬し、12時間加熱還流した。該反応溶液をエタノール中に入れ、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してエタノールで洗浄し、スルホン化ジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンを得た。ホスホメチル基の当量は表1に記載したように0.6〜0.9ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
前記スルホン化クロロメチルポリエーテルスルホンをホスホン酸トリエチルエステルに浸漬し、12時間加熱還流した。該反応溶液をエタノール中に入れ、ポリマーを析出させた。析出した沈殿をミキサーで粉砕してエタノールで洗浄し、スルホン化ジエチルホスホメチルポリエーテルスルホンを得た。ホスホメチル基の当量は表1に記載したように0.6〜0.9ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られたスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを5重量%の濃度になるようにジメチルアセトアミド−メトキシエタノールの混合溶媒(1:1)に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は表1に示すように0.03から0.07S/cm であった。イオン伝導率はスルホン酸基の導入量が多くなるほどイオン伝導率は高くなっている。ホスホメチル基の導入量は殆どイオン伝導率に影響を与えていない。
前記(2)で得られたスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホンを5重量%の濃度になるようにジメチルアセトアミド−メトキシエタノールの混合溶媒(1:1)に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は表1に示すように0.03から0.07S/cm であった。イオン伝導率はスルホン酸基の導入量が多くなるほどイオン伝導率は高くなっている。ホスホメチル基の導入量は殆どイオン伝導率に影響を与えていない。
又、高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に24時間浸漬し、減圧乾燥した後、膜の重量を求め、初期の重量との重量変化率を求めて、耐メタノール水溶液溶解性を評価した。その結果を表1に記した。実施例14から15のホスホメチル基0.6〜0.9ミリ当量/g乾燥樹脂,スルホン酸基0.9〜1.25 ミリ当量/g乾燥樹脂で高分子電解質膜はいずれも10〜15%でありメタノール水溶液に殆ど溶解しなかった。0℃の塩化第二鉄を20ppm 添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及び導電率保持率を求めることにより、耐酸化性を評価した。いずれも耐酸化性は良好であった。即ち、スルホン酸基とホスホメチル基を導入した電解質膜はイオン伝導率が0.03S/cm 以上で耐酸化性に優れていたが、耐メタノール溶解性に関してはスルホアルキル酸基とホスホメチル基を導入した電解質膜より劣っていた。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の実施例12の高分子電解質(スルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン)の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml浸透させた後に前記実施例14〜16の(3)で作製したスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約
0.5ml 浸透させた後に前記スルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン高分子電解質のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノード層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(3)を作製した。
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の実施例12の高分子電解質(スルホメチルジエチルホスホメチポリエーテルスルホン)の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm,幅30mm,長さ30mmのアノード電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロスルホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm,幅30mm,長さ30mmのカソード電極を作製した。アノード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5ml浸透させた後に前記実施例14〜16の(3)で作製したスルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソード電極表面に5重量%の実施例12の高分子電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約
0.5ml 浸透させた後に前記スルホン化ジエチルホスホメチポリエーテルスルホン高分子電解質のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノード層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA(3)を作製した。
炭素粉末に焼成後の重量で40wt%となるように撥水剤ポリテトラフロロエチレン
(PTFE)微粒子の水性分散液(デイスパージョンD−1:ダイキン工業製)を添加して混練してペースト状になったものを、厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスの片面に塗布し、室温で乾燥した後270℃で3時間焼成して炭素シートを形成した。PTFE量はカーボンクロス布に対して5〜20wt%となるようにした。得られたシートを上記MEAの電極サイズと同じ形状に切り出してカソード拡散層とした。厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスを発煙硫酸(濃度60%)に浸たし、窒素気流下2日間60℃の温度に保持した。次いで、フラスコの温度を室温迄冷却した。発煙硫酸を除去し、カーボンクロスを蒸留水が中性になるまでよく洗浄した。次いで、メタノールで浸漬、乾燥した。得られたカーボンクロスの赤外線分光吸収スペクトルの1225cm-1及び1413cm-1に−OSO3H基に基づく吸収が認められた。又、1049cm-1 に−OH基に基づく吸収が認められた。このことから、カーボンクロスの表面に−OSO3H 基や
−OH基が導入され、発煙硫酸処理されていないカーボンクロスとメタノール水溶液との接触角81°より小さく、親水性であった。又、導電性にも優れていた。これを上記MEA(1)の電極サイズと同じ形状に切り出してアノード拡散層とした。
(PTFE)微粒子の水性分散液(デイスパージョンD−1:ダイキン工業製)を添加して混練してペースト状になったものを、厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスの片面に塗布し、室温で乾燥した後270℃で3時間焼成して炭素シートを形成した。PTFE量はカーボンクロス布に対して5〜20wt%となるようにした。得られたシートを上記MEAの電極サイズと同じ形状に切り出してカソード拡散層とした。厚さ約350μm,空隙率87%のカーボンクロスを発煙硫酸(濃度60%)に浸たし、窒素気流下2日間60℃の温度に保持した。次いで、フラスコの温度を室温迄冷却した。発煙硫酸を除去し、カーボンクロスを蒸留水が中性になるまでよく洗浄した。次いで、メタノールで浸漬、乾燥した。得られたカーボンクロスの赤外線分光吸収スペクトルの1225cm-1及び1413cm-1に−OSO3H基に基づく吸収が認められた。又、1049cm-1 に−OH基に基づく吸収が認められた。このことから、カーボンクロスの表面に−OSO3H 基や
−OH基が導入され、発煙硫酸処理されていないカーボンクロスとメタノール水溶液との接触角81°より小さく、親水性であった。又、導電性にも優れていた。これを上記MEA(1)の電極サイズと同じ形状に切り出してアノード拡散層とした。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(3)を組み込んで電池性能を測定した。図1において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、6はアノード集電体、7はカソード集電体、8は燃料、9は空気、10はアノード端子、11はカソード端子、12はアノード端板、13はカソード端板、14はガスケット、15はO−リング、16はボルト/ナットである。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。実施例1〜3の出力電圧の経時変化を図2に示す。又、実施例1〜12の4,000時間稼動後の出力電圧を表1に記す。スルホン酸基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCはいずれも4,000時間稼動後に0.10V以上の出力を示した。スルホアルキル基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCより特性は劣っていた。
図1に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA(3)を組み込んで電池性能を測定した。図1において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、6はアノード集電体、7はカソード集電体、8は燃料、9は空気、10はアノード端子、11はカソード端子、12はアノード端板、13はカソード端板、14はガスケット、15はO−リング、16はボルト/ナットである。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を供給した。50mA/cm2の負荷をかけながら30℃で連続運転した。実施例1〜3の出力電圧の経時変化を図2に示す。又、実施例1〜12の4,000時間稼動後の出力電圧を表1に記す。スルホン酸基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCはいずれも4,000時間稼動後に0.10V以上の出力を示した。スルホアルキル基とホスホメチル基を導入した電解質膜を用いたDMFCより特性は劣っていた。
(実施例17)
図3に示す水素を燃料とする小型単電池セルを用いて実施例1の前記拡散層付MEA
(1)を組み込んで電池性能を測定した。図3において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、17は極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ(バイポーラプレート)の燃料導路、18は極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ
(バイポーラプレート)の空気用導路、19は燃料の水素と水、20は水素、21は水、22は空気、23は空気と水である。小型単電池セルを恒温槽に設置し、セパレータ内に挿入した熱電対(図示していない)による温度が70℃になるよう恒温槽の温度を制御した。アノード及びカソードの加湿は外部加湿器を用い、加湿器出口付近の露点が70℃になるように加湿器の温度を70〜73℃の間で制御した。露点は露点計による計測の他、加湿水の消費量を常時計測し、反応ガスの流量,温度,圧力から求められる露点が所定の値であることを確認している。負荷電流密度を250mA/cm2 とし、水素利用率を70%、空気利用率を40%とし、約8時間/日発電し、残りをホットキープ運転した。
7,000時間経過後でも初期電圧の94%以上の出力があり、本願の膜電極接合体は水素を燃料としても耐久性が優れていることが分かった。
図3に示す水素を燃料とする小型単電池セルを用いて実施例1の前記拡散層付MEA
(1)を組み込んで電池性能を測定した。図3において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、17は極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ(バイポーラプレート)の燃料導路、18は極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ
(バイポーラプレート)の空気用導路、19は燃料の水素と水、20は水素、21は水、22は空気、23は空気と水である。小型単電池セルを恒温槽に設置し、セパレータ内に挿入した熱電対(図示していない)による温度が70℃になるよう恒温槽の温度を制御した。アノード及びカソードの加湿は外部加湿器を用い、加湿器出口付近の露点が70℃になるように加湿器の温度を70〜73℃の間で制御した。露点は露点計による計測の他、加湿水の消費量を常時計測し、反応ガスの流量,温度,圧力から求められる露点が所定の値であることを確認している。負荷電流密度を250mA/cm2 とし、水素利用率を70%、空気利用率を40%とし、約8時間/日発電し、残りをホットキープ運転した。
7,000時間経過後でも初期電圧の94%以上の出力があり、本願の膜電極接合体は水素を燃料としても耐久性が優れていることが分かった。
(実施例18)
燃料電池の製造
実施例1で作成した膜電極接合体を組み込んだ燃料電池101の組み立ての一例を図4に示す。燃料電池101は、103はカソード端板、104はカソード集電体、105は実施例1で作成した拡散層付MEA搭載部、106はパッキング、107はアノード端板、108は燃料タンク部、109はアノード端板の順にボルトとナットで締め付け、組み立てたものである。
燃料電池の製造
実施例1で作成した膜電極接合体を組み込んだ燃料電池101の組み立ての一例を図4に示す。燃料電池101は、103はカソード端板、104はカソード集電体、105は実施例1で作成した拡散層付MEA搭載部、106はパッキング、107はアノード端板、108は燃料タンク部、109はアノード端板の順にボルトとナットで締め付け、組み立てたものである。
燃料電池電源システムの製造
前記燃料電池101を組み込んだ電源システムの一例を図5に示す。図5で101は燃料電池、110は電気二重層コンデンサ、111はDC/DCコンバータ、112は負荷遮断スイッチ113のON,OFFを制御する判別制御手段である。この図では電気二重層コンデンサを二直列にしている。燃料電池101で発生する電気を電気二重層コンデンサ110に一時蓄える。判別制御手段112が電気二重層コンデンサ内の電気量を測定し、規定量の電気が蓄えられると負荷遮断スイッチ113をONにして、DC/DCコンバータで所定の電圧に昇圧した電気を電子機器に供給する。
前記燃料電池101を組み込んだ電源システムの一例を図5に示す。図5で101は燃料電池、110は電気二重層コンデンサ、111はDC/DCコンバータ、112は負荷遮断スイッチ113のON,OFFを制御する判別制御手段である。この図では電気二重層コンデンサを二直列にしている。燃料電池101で発生する電気を電気二重層コンデンサ110に一時蓄える。判別制御手段112が電気二重層コンデンサ内の電気量を測定し、規定量の電気が蓄えられると負荷遮断スイッチ113をONにして、DC/DCコンバータで所定の電圧に昇圧した電気を電子機器に供給する。
携帯用情報端末の製造
前記(2)の燃料電池電源システムを携帯用情報端末に実装した例を図6に示す。この携帯用情報端末は、タッチパネル式入力装置が一体化された表示装置201とアンテナ
203を内蔵した部分と、燃料電池101,プロセッサ,揮発及び不揮発メモリ,電力制御部,燃料電池及び二次電池ハイブリッド制御、燃料モニタなどの電子機器及び電子回路などを実装したメインボード202及びリチウムイオン二次電池206を搭載する部分とが燃料カートリッジ2のホルダーをかねたカートリッジホルダー付ヒンジ204で連結された折たたみ式の構造をとっている。本実施例では、燃料電池の補助電源としてリチウムイオン二次電池206を用いているが、ニッケル水素電池や、電気二重層キャパシタなどを補助電源としても良い。
前記(2)の燃料電池電源システムを携帯用情報端末に実装した例を図6に示す。この携帯用情報端末は、タッチパネル式入力装置が一体化された表示装置201とアンテナ
203を内蔵した部分と、燃料電池101,プロセッサ,揮発及び不揮発メモリ,電力制御部,燃料電池及び二次電池ハイブリッド制御、燃料モニタなどの電子機器及び電子回路などを実装したメインボード202及びリチウムイオン二次電池206を搭載する部分とが燃料カートリッジ2のホルダーをかねたカートリッジホルダー付ヒンジ204で連結された折たたみ式の構造をとっている。本実施例では、燃料電池の補助電源としてリチウムイオン二次電池206を用いているが、ニッケル水素電池や、電気二重層キャパシタなどを補助電源としても良い。
電源実装部は、隔壁205によって区分され、下部にメインボード202及びリチウムイオン二次電池206が収納されて、上部に燃料電池電源システムが配置されている。筐体の上及び側壁部には空気及び電池排ガス拡散のためのスリット122cが設けられ、筐体内のスリット122cの表面には空気フィルタ207が、隔壁面には吸水性速乾材料
208が設けられている。空気フィルタは気体の拡散性が高く、粉塵などの進入を防ぐ材料であれば特に限定は無いが、合成樹脂の単糸をメッシュ状、または、織布のものは目詰まりを起こすことなく好適である。本実施例においては、撥水生の高いポリテトラフルオロエチレン単糸メッシュを用いる。この携帯用情報端末は2,000時間以上安定に稼動した。
208が設けられている。空気フィルタは気体の拡散性が高く、粉塵などの進入を防ぐ材料であれば特に限定は無いが、合成樹脂の単糸をメッシュ状、または、織布のものは目詰まりを起こすことなく好適である。本実施例においては、撥水生の高いポリテトラフルオロエチレン単糸メッシュを用いる。この携帯用情報端末は2,000時間以上安定に稼動した。
炭化水素系電解質膜を用いたDMFCは、燃料を供給し始めて数百時間で電解質膜のカソード側から減肉厚や破損が生じ、電池性能が低下し、発電不可能となる問題があった。その対策として、炭化水素系高分子電解質膜にプロトン伝導性を付与するスルホン酸基と耐酸化性を付与するホスホン酸基を導入すると効果のあることが分かった。しかし、炭化水素系電解質膜はホスホン酸基を導入するほど燃料のメタノール水溶液に溶解し易くなり、DMFCに適用出来ないことが分かった。そこで、種々検討した。本発明によれば、炭化水素系電解質膜にプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入することで、燃料のメタノール水溶液に対して溶解せず、長時間安定な発電が可能となる。又、電極の電解質としてプロトン伝導性基としてスルホアルキル基、或いはスルホン酸基を導入し、耐酸化性付与基としてホスホアルキル基を導入した炭化水素系電解質を用いることで、安価な、長時間安定可能なDMFCを得ることが出来る。
本実施形態による膜電極接合体を用いた直接メタノール方式の燃料電池電源システムを二次電池搭載の携帯電話器,携帯用パーソナルコンピュータ,携帯用オーデイオ,ビジュアル機器、その他の携帯用情報端末に付設するバッテリーチャージャーとして用いる、或いは二次電池を搭載することなく直接内蔵電源とすることによってこれらの電子機器は長時間使用が可能となり、燃料の補給によって連続使用が可能となる。また、本発明による膜電極接合体を用いた水素を燃料とした固体高分子形燃料電池は家庭用及び業務用コジェネレーション分散電源,移動体用の燃料電池電源として長時間使用が可能となり、燃料の補給によって連続使用が可能となる。
1…高分子電解質膜、2…アノード電極、3…カソード電極、4…アノード拡散層、5…カソード拡散層、6…アノード集電体、7,104…カソード集電体、8…燃料、9…空気、10…アノード端子、11…カソード端子、12,107…アノード端板、13,103…カソード端板、14…ガスケット、15…O−リング、16…ボルト/ナット、17…セパレータの燃料導路、18…セパレータの空気導路、19…水素+水、20…水素、21…水、22…空気、23…空気+水、101…燃料電池、102…燃料カートリッジ入りヒンジ部、105…拡散層付MEA搭載部、106…パッキング、108…燃料タンク部、109…アノード端板、110…電気二重層コンデンサ、111…DC/DCコンバータ、112…判別制御手段、113…負荷遮断スイッチ、122c…スリット、201…表示装置、202…メインボード、203…アンテナ、204…カートリッジホルダー付ヒンジ、205…隔壁、206…リチウムイオン二次電池、207…空気フィルタ、208…吸水性速乾材料、210…筐体。
Claims (7)
- プロトン伝導性基とホスホアルキル基を有する炭化水素系高分子電解質。
- 前記プロトン伝導性基がスルホアルキル基である請求項1の炭化水素系高分子電解質。
- プロトン伝導性基とホスホアルキル基を有する炭化水素系高分子電解質を有する炭化水素系高分子電解質膜。
- 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟むカソード電極とアノード電極とを有し、前記高分子電解質膜が請求項3の炭化水素系高分子電解質膜であることを特徴とする膜電極接合体。
- 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟むカソード電極とアノード電極とを有し、前記高分子電解質膜は、プロトン伝導性基とホスホアルキル基を有することを特徴とする燃料電池。
- 請求項5記載の燃料電池と補助電源とを有する燃料電池電源システム。
- 請求項5の燃料電池を組み込んだことを特徴とする電子機器。
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