JP2006253124A - 電解質膜用支持体、それを用いた高分子電解質複合膜の処理方法、およびその処理が施された高分子電解質複合膜、ならびにそれを用いた燃料電池。 - Google Patents
電解質膜用支持体、それを用いた高分子電解質複合膜の処理方法、およびその処理が施された高分子電解質複合膜、ならびにそれを用いた燃料電池。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
本発明は、形態安定性にも優れ、プロトン伝導性および燃料遮断性にも優れた高分子電解質複合膜を提供するための支持体およびそれを用いた高分子電解質複合膜ならびにそれを用いてなる効率の高い高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の電解質膜用支持体は、熱分解温度が300℃以上である高分子材料からなる支持体であって、かつ、該支持体の開孔率が15%〜80%であり、かつ、孔径が10〜5000μmである多孔性基材からなることを特徴とするものである。本発明の高分子電解質複合膜の処理方法は、かかる電解質膜用支持体と高分子電解質材料からなる高分子電解質複合膜を熱処理することを特徴とするものであり、また、本発明の燃料電池は、かかる処理が施された高分子電解質複合膜を、電解質膜として用いて構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
本発明は、形態安定性にも優れ、プロトン伝導性および燃料遮断性にも優れた高分子電解質複合膜を提供するための支持体およびそれを用いた高分子電解質複合膜ならびにそれを用いてなる効率の高い高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の電解質膜用支持体は、熱分解温度が300℃以上である高分子材料からなる支持体であって、かつ、該支持体の開孔率が15%〜80%であり、かつ、孔径が10〜5000μmである多孔性基材からなることを特徴とするものである。本発明の高分子電解質複合膜の処理方法は、かかる電解質膜用支持体と高分子電解質材料からなる高分子電解質複合膜を熱処理することを特徴とするものであり、また、本発明の燃料電池は、かかる処理が施された高分子電解質複合膜を、電解質膜として用いて構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、形態安定性にも優れ、プロトン伝導性および燃料遮断性にも優れた高分子電解質複合膜を提供するための電解質膜用支持体、それを用いた高分子電解質複合膜の処理方法、およびその処理が施された高分子電解質複合膜、ならびにそれを用いた燃料電池に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつ高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来の固体高分子型燃料電池(以下、PEFCと記載する)に加えて、メタノールなどの燃料を直接供給する直接型燃料電池(以下、DFCと記載する)も注目されている。DFCは、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオン伝導体となる電解質膜とが、膜―電極複合体(MEA)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば固体高分子型燃料電池のアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子固体電解質へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、イオン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子固体電解質から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
固体高分子型燃料電池用の電解質膜には高プロトン伝導性が要求されるが、直接型燃料電池用の電解質膜においてはさらに燃料の透過抑制も要求される。電解質膜中の燃料透過は、燃料クロスオーバー、ケミカルショートとも呼ばれ、電池出力およびエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
これまで、固体高分子型燃料電池の電解質膜においては、例えばパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマーであるナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標)が用いられてきた。しかし、前記電解質膜は、イオン交換容量が高くなるほど機械強度が低下しやすく、膜厚が薄くなりすぎると機械強度が低下するという問題があった。また、燃料クロスオーバー抑制効果も十分でないという課題があった。
また、パーフルオロ系電解質に代わり、非フッ素系の芳香族系高分子電解質が提案されている。しかし、従来のイオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーを単独で高分子電解質材料として用いた場合、高いプロトン伝導性を得るためにイオン性基の含有量を増加すると、高分子電解質材料自身がメタノール水溶液中で溶解する、あるいは激しく膨潤するという問題があった。例えば、有機溶媒に難溶性の芳香族ポリエーテルエーテルケトン(以降、PEEKと略称することがある。)が、高度にスルホン化することにより有機溶媒に可溶となり成膜が容易になることが紹介されている(非特許文献1参照。)。しかしながら、これらのスルホン化PEEKは、同時に親水性も向上し、水溶性となったり、あるいは吸水時の強度低下などを引き起こす。燃料電池は、通常燃料と酸素の反応により水を副生するか、あるいはDMFCにおいては燃料自体がメタノール水溶液であることから、特にかかるスルホン化PEEKが水溶性となる場合にはそのまま燃料電池用電解質へ利用するには適さない。また、非特許文献2には芳香族ポリエーテルスルホンであるPSF(UDELP−1700)やPESのスルホン化物について記載されている(非特許文献2参照)。それにはスルホン化PSFは完全に水溶性となってしまい、電解質としての評価ができないとされている。スルホン化PESについては水溶性とはならないけれども、高吸水率の問題から架橋構造の導入を提案している。
上記問題を解決すべく、耐熱性を有する補強基材の細孔中に電解質ポリマーを充填した細孔フィリング電解質膜が提案され、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミドからなる多孔質膜を使用した例が報告されている(非特許文献3、特許文献1参照)。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミドからなる多孔質膜を使用した場合は、多孔質膜自体の充填効率が悪いという問題がある。また、前記電解質膜は、基材をプラズマ照射してグラフト重合させる工程を含むため、製造設備コストが上昇するという問題がある。
「ポリマー」(Polymer), 1987, vol. 28, 1009. 「ジャーナル オブ メンブレン サイエンス」(Journal of Membrane Science), 83 (1993) 211-220. 膜(MEMBRANE),vol,27 No.3(2002)124-130 特開2002−83612号公報
「ポリマー」(Polymer), 1987, vol. 28, 1009. 「ジャーナル オブ メンブレン サイエンス」(Journal of Membrane Science), 83 (1993) 211-220. 膜(MEMBRANE),vol,27 No.3(2002)124-130
すなわち、従来の高分子電解質材料を単独で用いた場合、従来のものでは、イオン伝導性および燃料遮断性に優れ、かつ高分子電解質膜の燃料や燃料と同時に供給する水または生成水に対する膨潤変形を抑制する効果の全てを満たすことが出来なかった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、形態安定性にも優れ、プロトン伝導性および燃料遮断性にも優れた高分子電解質複合膜を提供するための電解質膜用支持体、それを用いた高分子電解質複合膜の処理方法、およびその処理が施された高分子電解質複合膜、ならびにそれを用いてなる効率の高い燃料電池を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の電解質膜用支持体は、熱分解温度が300℃以上である高分子材料からなる支持体であって、かつ、該支持体の開孔率が15%〜80%であり、かつ、孔径が10〜5000μmである多孔性基材からなることを特徴とするものである。本発明の高分子電解質複合膜の処理方法は、かかる電解質膜用支持体と高分子電解質材料からなる高分子電解質複合膜を熱処理することを特徴とするものであり、また、本発明の燃料電池は、かかる処理が施された高分子電解質複合膜を、電解質膜として用いて構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、電解質膜用の支持体と高分子電解質材料を複合化することにより、形態安定性、イオン伝導性および燃料クロスオーバー抑制に優れ、高出力を達成できる新規な高分子電解質複合膜を提供することができ、さらにかかる高分子電解質複合膜を用いることにより、高性能な直接型燃料電池を提供することができるものである。
本発明は、前記課題、つまりプロトン伝導性および燃料遮断性にも優れた高分子電解質複合膜を提供するための支持体について、鋭意検討し、熱分解温度が高い高分子材料からなり、かつ、その開孔率と孔径が特定な範囲にある多孔性基材として構成してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。 すなわち、本発明の電解質膜用の支持体は、熱分解温度が300℃以上、開孔率が15%〜80%、かつ、その孔径が10〜5000μmである高分子材料からなる多孔性基材で構成されているものである。
熱分解温度が300℃未満であると、高分子電解質材料と複合化および複合化後の熱処理において、300℃以上の高温処理を行うことが困難である。支持体の開孔率が15%未満であると高分子電解質材料と複合させた高分子電解質複合膜のイオン伝導性が不十分であり、80%を超えると高分子電解質複合膜のメタノールなどの燃料に対する膨潤および膨潤による変形が抑制されず形態安定性が低下する。また、該支持体に設けられた孔の孔径が10μm未満であると、高分子電解質材料と複合させた高分子電解質複合膜のイオン伝導性が不十分であり、また、5000μmを超えると、高分子電解質複合膜の燃料に対する膨潤および膨潤による変形を抑制することが困難である。
また、本発明高分子電解質複合膜を構成する電解質膜用の支持体における溶液保持量は、5〜620g/m2であることが好ましい。かかる溶液保持量が5g/m2未満では、支持体の空隙に含有される高分子電解質材料が少量となるため高分子電解質複合膜のイオン伝導性が不十分であり、また、620g/m2を超えると、高分子電解質複合膜の燃料に対する膨潤および膨潤による変形を抑制することが困難である。
ここで、前記熱分解温度は、熱重量測定(TG)により求められる。熱重量測定は、調節された速度で加熱または冷却される環境において、試料の重量変化を時間または温度の関数として記録する測定法であり、得られた記録を熱重量曲線またはTG曲線という。本発明における熱分解温度は、室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で測定したTG曲線において、測定初期の段階から5%重量減少した温度と定義する。
また、前記溶液保持量とは、支持体の空隙に含有される溶液の量であり、その量から支持体の空隙率を見積もることができる。検体となる電解質膜用の支持体を一辺1cmの正方形に切り出し、その重量を測定する。この重量をAとする。ダイセル化学工業(株)製CMCダイセル(品番1190)の1%水溶液を調製し、支持体を該溶液に含浸および塗工する。塗工後の支持体の重量Bを測定し、その重量増加分(B−A)を算出する。単位面積あたりの重量増加分(g/m2)を溶液保持量と定義する。
本発明の高分子電解質複合膜を構成する電解質膜用の支持体は、前記のような多孔性基材で構成されているが、その形態は、膜状であることが好ましい。しかもかかる支持体の膜厚は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは10〜100μmであるのが、高分子電解質材料と複合させた高分子電解質複合膜のイオン伝導性および燃料遮断性の上からよい。
かかる多孔性基材で、かつ、膜状のものとしては、メッシュ、不織布、織布、抄紙や、さらに複数個の独立した貫通孔や三次元網目構造を有するものが好ましく使用される。
かかる支持体の材質としては、たとえば、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾエート、ポリオキサジアゾール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、炭素繊維などの高分子材料で、かつ、熱分解温度が300℃以上であるものが選択的に使用される。
従来の高分子電解質材料を単独で用いた場合、イオン伝導性および燃料遮断性に優れ、かつ高分子電解質膜の燃料に対する膨潤変形を抑制する効果の全てを満たすことが困難であった。
本発明の高分子電解質複合膜を構成する電解質膜用の支持体においては、高分子電解質材料と複合化して高分子電解質複合膜とするものである。こうすることにより、従来の高分子電解質材料を単独で膜状に成形する場合に比べて、燃料に対する膨潤および膨潤による変形が抑制され、膜の強度低下が抑えられるように工夫されたものである。
本発明の高分子電解質複合膜を構成する高分子電解質材料としては、イオン性基を有することが必要である。イオン性基を有することで、高分子電解質材料が高プロトン伝導性を有するようになる。ここで、かかるイオン性基としては、負電荷を有する原子団が好ましく、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基( −SO2 (OH) )、硫酸基( −OSO2 (OH) )、スルホンイミド基( −SO2 NHSO2 R(Rは有機基を表す。) )、ホスホン酸基( −PO(OH)2 )、リン酸基( −OPO(OH)2 )、カルボン酸基( −CO(OH) )、およびこれらの塩等を好ましく採用することができる。これらのイオン性基は、前記高分子電解質材を構成する重合体中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基のいずれかを有することがより好ましく、耐加水分解性の点から、少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
本発明の高分子電解質材料がスルホン酸基を有する場合、そのスルホン酸基密度は、プロトン伝導性および燃料クロスオーバー抑制の点から、0.1〜5.0mmol/gが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmol/g、特に好ましくは1.0〜3.5mmol/gである。かかるスルホン酸基密度を0.1mmol/g未満では、伝導度すなわち出力性能を維持することができなくなり、また5.0mmol/gを超えると、燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な燃料遮断性および含水時の機械的強度を得ることができにくくなる。
ここで、スルホン酸基密度とは、高分子電解質材料の単位乾燥重量当たりに導入されたスルホン酸基のモル量であり、この値が大きいほどスルホン化の度合いが高いことを示す。スルホン酸基密度は、元素分析、中和滴定あるいは核磁気共鳴スペクトル法等により測定が可能である。スルホン酸基密度測定の容易さや精度の点で、元素分析が好ましく、通常はこの方法で分析を行う。ただし、スルホン酸基以外に硫黄源を含む場合など元素分析法では正確なスルホン酸基密度の算出が困難な場合には中和滴定法を用いるものとする。さらに、これらの方法でもスルホン酸基密度の決定が困難な場合においては、核磁気共鳴スペクトル法を用いることが可能である。
本発明において、高分子電解質材料として用いられるポリマーの種類としては例えば、イオン性基を有し、耐加水分解性に優れるポリマーが好ましい。その具体例としては、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレンなどの、イオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられる。ここで、イオン性基については前述のとおりである。
これらポリマーの合成方法は、前記した特性や要件を満足できれば特に限定されるものではなく、例えば重合して得たポリマーにイオン性基を導入してもよく、モノマーにイオン性基を導入後、該モノマーを重合して得ても構わない。
重合体へのスルホン酸基の導入は例えば、重合体をクロロスルホン酸と反応させる方法により行うことができる。この方法により重合体をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはクロロスルホン酸の使用量と反応温度および反応時間により、容易に制御することができる。
また、イオン性基を有するモノマーを重合する方法としては、例えば、「ポリマー プレプリンツ」(Polymer Preprints), 41(1) (2000) 237. 等に記載の方法によって可能である。この方法により重合体を得る場合には、スルホン化の度合いはスルホン酸基を有するモノマーの仕込比率により、容易に制御することができる。また、スルホン酸基をポリマー中にランダムに導入することができるためと推定されるが、重合体へ後からスルホン酸基を導入した場合に比べて溶解性が大きく向上する。
本発明の高分子電解質複合膜は、電解質膜用の支持体と高分子電解質材料を複合化することにより、燃料に対する膨潤を抑制するという優れた効果を奏するものである。かかる高分子電解質複合膜は、電解質膜として要求される4.0S/cm2以上の面積伝導度でありながらにして、膨潤率が小さいことが好ましい。
以下、電解質膜用の支持体と高分子電解質材料を複合化する方法を述べる。高分子電解質材料に含まれるイオン性基は加水分解などの化学反応によりイオン性基となりうる官能基に置換するのが好ましい。例えば、イオン性基がスルホン酸基である場合、スルホン酸基の誘導体である−SO3 M型(Mは金属)に置換するのが好ましい。前記の金属Mはスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。
−SO3 M型のポリマーを溶液状態より製膜する方法としては例えば、粉砕した−SO3 H型のポリマーをMの塩またはMの水酸化物の水溶液に浸漬し、水で充分洗浄した後、乾燥し、次に非プロトン性極性溶媒等に溶解して溶液を調製し、該溶液を用いてガラス板あるいはフィルムあるいは金属板などの基材上に、適当なコーティング法で塗布し、溶媒を除去し、酸処理する方法や、前記基材上での圧縮成型法で膜状に成型し、前記同様に溶媒除去、酸処理する方法を例示することができる。コーティング法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコート、スピンコート、スクリーン印刷などの手法が適用でき、圧縮成型法としてはロールプレス法が適用できる。
電解質膜用の支持体に高分子電解質材料を充填する方法は特に限定されるものではない。例えば、前記イオン性基の誘導体を有するポリマーを溶液として、電解質膜用の支持体への塗工あるいは浸漬あるいはプレスすることにより空隙内への充填が可能となる。空隙内への充填を容易にするために超音波を使用したり、減圧にするのも好ましく、これらを塗工あるいは浸漬時に併用するとさらに充填効率が向上し好ましい。製膜に用いる溶媒としては、高分子化合物を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。溶媒の除去方法には加熱乾燥が挙げられる。
本発明の処理方法は、本発明の電解質膜用支持体と高分子電解質材料からなる高分子電解質複合膜の処理方法であって、該高分子電解質複合膜の製膜後に200〜500℃の熱処理を施すものである。
前記熱処理の温度としては、得られる膜の燃料遮断性の点で、200〜500℃が好ましく、250〜400℃がより好ましく、300〜350℃が特に好ましい。熱処理の温度が200℃より低いと、メタノールなどの燃料が透過すると考えられる−30℃以上0℃以下で、融点が観測される低融点水の割合が大きいため、燃料クロスオーバーの抑制が十分でない場合がある。一方、熱処理の温度が500℃を超えると、ポリマーが分解することがあり、燃料電池として使用時に分解したポリマーが溶出してプロトン伝導機能を失うことがある。
また、熱処理時間としては、得られる膜のプロトン伝導性および生産性の点から、1分〜24時間が好ましく、3分〜1時間がより好ましく、5分〜30分が特に好ましい。かかる熱処理時間が短すぎると、効果が薄く、本発明の低メタノール膨潤性が得られない場合があり、長すぎると、ポリマーの分解が起き、本発明のプロトン伝導性が得られなくなる、また生産性が低くなる傾向がある。
本発明の高分子電解質複合膜は、電解質膜用の支持体と高分子電解質材料を複合化することにより、燃料に対する膨潤を抑制するという優れた効果を奏するものである。かかる高分子電解質複合膜の膨潤率が小さいほど形態安定性の上から好ましい。
ここで、高分子電解質複合膜の膨潤率の判定は以下のようにして測定されるものである。すなわち、検体となる高分子電解質複合膜を純水に浸漬後、一辺1cm〜5cmの正方形に切り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをAとする。その高分子電解質複合膜片を、30重量%メタノール水溶液に60℃にて5時間浸漬させた後、高分子電解質複合膜を取り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをBとする。B/Aの値が1.0の場合、燃料に対する膨潤なしと判定し、B/Aの値が1.0より大きい場合、膨潤ありと判定する。このB/Aの値が2.0を超えると、燃料に対する膨潤が非常に大きく、高分子電解質膜の形態安定性が劣る場合がある。すなわち、本発明の高分子電解質複合膜においては、膜面方向の膨潤率が1.0以上2.0以下が好ましく、より好ましくは1.0以上1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以上1.3以下であり、1.0、つまり変化なしが最も好ましい。 次に本発明の電解質膜を用いた燃料電池について説明する。本発明の電解質膜は電極基材と電極触媒層とから構成される電極と組み合わせて膜電極複合体として燃料電池に用いられる。
本発明の燃料電池における電極触媒層は、特に限定されることなく公知のものを利用することが可能である。電極触媒層とは、電極反応を促進する電子伝導やプロトン伝導に寄与する物質を含む層である。また燃料が液体や気体の場合には、その液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造が好ましい。
本発明の燃料電池の燃料としては、水素などの気体、アルコールなどの液体が挙げられ、1種または2種以上の混合物でもよい。特に反応効率や電池全体のシステム簡素化の観点から炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液が好適に使用される。また、電極触媒層に含まれる触媒としては公知の触媒を用いることができ、特に限定されるものではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金などの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金、混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わない。
電極触媒層に含まれる電子伝導体(導電材)としては、特に限定されるものではないが、電子伝導性や化学的な安定性の点から炭素材料、無機導電材料が好ましく用いられる。なかでも、非晶質、結晶質の炭素材料が好ましく使用される。例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。ファーネスブラックとしては、キャボット社製バルカン(登録商標)XC−72、バルカン(登録商標)P、ブラックパールズ(登録商標)880、ブラックパールズ(登録商標)1100、ブラックパールズ(登録商標)1300、ブラックパールズ(登録商標)2000、リーガル(登録商標)400、ケッチェンブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラック(登録商標)EC、EC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業社製デンカブラック(登録商標)などが挙げられる。
また、かかるカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。
これらの炭素材の形態としては特に限定されず、不定形粒子状のほか繊維状、鱗片状、チューブ状、円錐状、メガホン状のものも用いることができる。また、これら炭素材を後処理加工した炭素材も用いることが可能である。
また、かかる電子伝導体は、触媒粒子と均一に分散していることが電極性能の点で好ましいものである。このため、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散しておくことが好ましい。さらに、電極触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボン等を用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できる。ここで、電極触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、電子伝導性をさらに高めるために導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
上記、触媒と電子伝導体類は通常粉体であるので、これらを固めるためにプロトン伝導性を有する物質を使用する。電極触媒層に用いられるプロトン伝導体としては、一般的に、種々の有機、無機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、プロトン伝導性を向上するスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などのイオン性基を有するポリマが好ましく用いられる。なかでも、イオン性基の安定性の観点から、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基を有するポリマが好ましく用いられる。たとえば、デュポン社製のナフィオン(登録商標)、旭化成社製のアシプレックス(登録商標)、旭硝子社製フレミオン(登録商標)などが好ましく用いられる。これらのプロトン交換基を有するポリマーは、溶液または分散液の状態で電極触媒層中に設ける。この際に、ポリマーを溶解あるいは分散化する溶媒は特に限定されるものではないが、プロトン交換ポリマーの溶解性の点から極性溶媒が好ましい。
かかるプロトン伝導体は、電極触媒層を作製する際に、電極触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが電極性能の点から好ましいものであるが、電極触媒層を塗布した後にプロトン伝導体を塗布してもかまわない。
ここで、電極触媒層にプロトン伝導体を塗布する方法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコートなどが挙げられ、特に限定されるものではない。
かかる電極触媒層に含まれるプロトン伝導体の量としては、要求される電極特性や用いられるプロトン伝導体の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がさらに好ましい。かかるプロトン伝導体は、少な過ぎる場合はプロトン伝導性が低く、多過ぎる場合はガス透過性を阻害する傾向があり、いずれの場合も電極性能を低下させることがある。
かかる電極触媒層には、上記の触媒、電子伝導体、プロトン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもかまわない。特に電極触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、上述のプロトン交換基を有するポリマー以外のポリマーを含んでもよい。このようなポリマーとしては、フッ素原子を含むポリマーが挙げられ、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルなど、あるいはこれらの共重合体、これらのポリマーを構成するモノマー単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマーとの共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができる。これらポリマーの電極触媒層中の含有量としては、重量比で5〜40%の範囲が好ましい。ポリマー含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する傾向がある。ポリマー含有量が少なすぎる場合、電極触媒層中に含まれる物質の決着力が弱まり、電池性能が低下する。
本発明の燃料電池においては、電極基材は特に限定されることなく公知のものを用いることが可能であり、電気抵抗が低く、集(給)電を行えるものであれば用いることができる。また、前記電極触媒層を集電体兼用で使用する場合は、特に電極基材を用いなくてもよい。電極基材の構成材としては、たとえば、炭素質、導電性無機物質が挙げられ、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。
たとえば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E-TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるものなど特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。
電極基材に炭素繊維からなる導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを使用することができる。
本発明の燃料電池に用いられる電極基材に、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐために行う撥水処理、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるために行われる炭素粉末の添加等を行うこともできる。
本発明の燃料電池においては、電極基材と電極触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマを含む導電性中間層を設けることが好ましい。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、電極触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
本発明の電解質膜、電極触媒層あるいは電極触媒層と電極基材を用いて膜電極複合体とする際の作製方法は特に限定されるものではなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Scienceand Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を使用することができる。
本発明の電解質膜は、種々の用途に適用可能である。例えば、イオン交換膜として水浄化装置、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等の各種電気化学装置が挙げられるが、中でも燃料電池がもっとも好ましい。燃料電池のなかでも固体高分子型燃料電池に好適であり、さらに炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液を燃料とする直接型燃料電池にはより好適であり、メタノールを燃料とする直接メタノール型燃料電池に最も好適である。
さらに、本発明の燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA(personal digitalassistant)などの携帯機器、掃除機等の家電、乗用車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明の高分子電解質複合膜についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次のとおりである。
(1) プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
(1) プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency ResponseAnalyzer)を使用した。サンプルは、φ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cm2である。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。またその値は、単位面積当たりのもので表した。
(2) メタノール透過量
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。
(2) メタノール透過量
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。
H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには30重量%メタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部面積は1.77cm2 であった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間あたりのメタノール透過量を求めた。またその値は、単位面積当たりのもので表した。
(3) 膨潤率
高分子電解質複合膜を純水に浸漬後、一辺1cm〜5cmの正方形に切り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをAとする。その高分子電解質複合膜片を30重量%メタノール水溶液に60℃にて5時間浸漬させた後、高分子電解質複合膜を取り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをBとする。B/Aの値を膨潤率とした。
(3) 膨潤率
高分子電解質複合膜を純水に浸漬後、一辺1cm〜5cmの正方形に切り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをAとする。その高分子電解質複合膜片を30重量%メタノール水溶液に60℃にて5時間浸漬させた後、高分子電解質複合膜を取り出し、膜面方向の長さをノギスで測定する。この長さをBとする。B/Aの値を膨潤率とした。
実施例1
(1) スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの合成
ポリエーテルエーテルケトンとしてビクトレックス社製450PFを用い、Polymer, 28, 1009 (1987).に記載の方法でスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを合成した。得られたスルホン化物は、スルホン酸基密度2.5mmol/g、重量平均分子量18万であった。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。
(2) 高分子電解質複合膜の作製
電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用いた。該支持体の熱分解温度は400℃、開孔率は49%、開孔径は55μm、溶液保持量は25g/m2であった。該支持体に前記(1)のスルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。膜厚は290μmであった。
(3)高分子電解質複合膜の性能評価
前記(2)で得られた膜を前記測定方法(1)、前記測定方法(2)および前記測定方法(3)の方法でプロトン伝導度とメタノール透過量と膨潤率を評価した。この膜のプロトン伝導度は4.5S/cm2 、メタノール透過量は98μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.9であった。
(1) スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの合成
ポリエーテルエーテルケトンとしてビクトレックス社製450PFを用い、Polymer, 28, 1009 (1987).に記載の方法でスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを合成した。得られたスルホン化物は、スルホン酸基密度2.5mmol/g、重量平均分子量18万であった。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。
(2) 高分子電解質複合膜の作製
電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用いた。該支持体の熱分解温度は400℃、開孔率は49%、開孔径は55μm、溶液保持量は25g/m2であった。該支持体に前記(1)のスルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。膜厚は290μmであった。
(3)高分子電解質複合膜の性能評価
前記(2)で得られた膜を前記測定方法(1)、前記測定方法(2)および前記測定方法(3)の方法でプロトン伝導度とメタノール透過量と膨潤率を評価した。この膜のプロトン伝導度は4.5S/cm2 、メタノール透過量は98μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.9であった。
比較例1
実施例1に記載のスルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥し、溶媒を除去して高分子電解質膜を得た。この膜の膜厚は280μm、プロトン伝導度は5.1S/cm2 、メタノール透過量は112μmol/cm2 ・min、膨潤率は3.0であり、支持体と複合させた実施例1よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
実施例1に記載のスルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥し、溶媒を除去して高分子電解質膜を得た。この膜の膜厚は280μm、プロトン伝導度は5.1S/cm2 、メタノール透過量は112μmol/cm2 ・min、膨潤率は3.0であり、支持体と複合させた実施例1よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
実施例2
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例1と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。該支持体の熱分解温度は480℃、開孔率は60%、開孔径は160μm、溶液保持量は50g/m2であった。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は95μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例1と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。該支持体の熱分解温度は480℃、開孔率は60%、開孔径は160μm、溶液保持量は50g/m2であった。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は95μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
実施例3
スルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液の代わりにNafion溶液を用いる他は実施例1と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を評価したところ、膜厚は300μm、プロトン伝導度は4.6S/cm2 、メタノール透過量は50μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
スルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液の代わりにNafion溶液を用いる他は実施例1と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を評価したところ、膜厚は300μm、プロトン伝導度は4.6S/cm2 、メタノール透過量は50μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
実施例4
(1) スルホン化ポリフェニレンオキシドの合成
ポリフェニレンオキシドとして三菱ガス化学社製YPX−100Lを用い、J. Appl. Polym. Sci., 29, 4017 (1984).に記載の方法でスルホン化ポリフェニレンオキシドを合成した。得られたスルホン化物は、スルホン酸基密度3.0mmol/g、重量平均分子量18万であった。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、20重量%溶液とした。
(2) 高分子電解質複合膜の作製
電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、前記(1)のスルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。膜厚は220μmであった。
(3)高分子電解質複合膜の性能評価
前記(2)で得られた膜を実施例1と同様に評価したところ、この膜のプロトン伝導度は4.4S/cm2 、メタノール透過量は40μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.6であった。
(1) スルホン化ポリフェニレンオキシドの合成
ポリフェニレンオキシドとして三菱ガス化学社製YPX−100Lを用い、J. Appl. Polym. Sci., 29, 4017 (1984).に記載の方法でスルホン化ポリフェニレンオキシドを合成した。得られたスルホン化物は、スルホン酸基密度3.0mmol/g、重量平均分子量18万であった。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、20重量%溶液とした。
(2) 高分子電解質複合膜の作製
電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、前記(1)のスルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。膜厚は220μmであった。
(3)高分子電解質複合膜の性能評価
前記(2)で得られた膜を実施例1と同様に評価したところ、この膜のプロトン伝導度は4.4S/cm2 、メタノール透過量は40μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.6であった。
比較例2
実施例4に記載のスルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥し、溶媒を除去して高分子電解質膜を得た。この膜の膜厚は250μm、プロトン伝導度は5.0S/cm2 、メタノール透過量は45μmol/cm2 ・min、膨潤率は2.7であり、支持体と複合させた実施例4よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
実施例4に記載のスルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥し、溶媒を除去して高分子電解質膜を得た。この膜の膜厚は250μm、プロトン伝導度は5.0S/cm2 、メタノール透過量は45μmol/cm2 ・min、膨潤率は2.7であり、支持体と複合させた実施例4よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
実施例5
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例4と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は95μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例4と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は95μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.8であった。
実施例6
(1) フルオレニルポリ(エーテルケトン)コポリマー(FL50PEEK)の合成
(1) フルオレニルポリ(エーテルケトン)コポリマー(FL50PEEK)の合成
炭酸カリウム35g、ヒドロキノン11g、4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール35g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノン44gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、160℃で重合を行った。
重合後、水洗し、多量のメタノールで再沈することで精製を行い、FL50PEEKを定量的に得た。その重量平均分子量は11万であった。
(2) FL50PEEKのスルホン化
室温、N2雰囲気下で、上記で得られた重合体(FL50PEEK)10gをクロロホルムに溶解させた後、激しく撹拌しながらクロロスルホン酸14mLをゆっくり滴下し、5分反応させた。白色沈殿を濾別し、粉砕し、水で十分洗浄した後、乾燥し、目的のスルホン化FL50PEEKを得た。
(2) FL50PEEKのスルホン化
室温、N2雰囲気下で、上記で得られた重合体(FL50PEEK)10gをクロロホルムに溶解させた後、激しく撹拌しながらクロロスルホン酸14mLをゆっくり滴下し、5分反応させた。白色沈殿を濾別し、粉砕し、水で十分洗浄した後、乾燥し、目的のスルホン化FL50PEEKを得た。
得られたスルホン化FL50PEEKは、スルホン酸基密度2.3mmol/gであった。
(3) 高分子電解質複合膜の作製
上記のスルホン化ポリマーを、飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とする溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、当該溶液に含浸させた後、ガラス基板上に塗布し、100℃にて4時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に3日間以上浸漬して充分洗浄した。
(4) 高分子電解質複合膜の性能評価
前記(3)で得られた膜の膜厚は168μm、プロトン伝導度は5.3S/cm2 、メタノール透過量は15μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.1であった。
(3) 高分子電解質複合膜の作製
上記のスルホン化ポリマーを、飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とする溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、当該溶液に含浸させた後、ガラス基板上に塗布し、100℃にて4時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に3日間以上浸漬して充分洗浄した。
(4) 高分子電解質複合膜の性能評価
前記(3)で得られた膜の膜厚は168μm、プロトン伝導度は5.3S/cm2 、メタノール透過量は15μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.1であった。
比較例3
実施例6に記載のNa置換スルホン化FL50PEEKのDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に3日間以上浸漬して充分洗浄して高分子電解質複合膜を得た。この膜の性能を評価したところ、膜厚は160μm、プロトン伝導度は6.0S/cm2 、メタノール透過量は23μmol/cm2 ・min、膨潤率は2.5であった。支持体と複合させた実施例6よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
実施例6に記載のNa置換スルホン化FL50PEEKのDMAc溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に3日間以上浸漬して充分洗浄して高分子電解質複合膜を得た。この膜の性能を評価したところ、膜厚は160μm、プロトン伝導度は6.0S/cm2 、メタノール透過量は23μmol/cm2 ・min、膨潤率は2.5であった。支持体と複合させた実施例6よりも膨潤率が大きく性能が悪かった。
比較例4
実施例6に記載のフルオレニルポリ(エーテルケトン)コポリマー(FL50PEEK)をクロロホルムに溶解し、15重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、当該溶液に含浸させた後、ガラス基板上に塗布し、40℃にて1時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理して高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は178μm、プロトン伝導度は0.01S/cm2 、メタノール透過量は0.1μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.0であった。スルホン化ポリマーを用いた実施例6よりもプロトン伝導度が小さく性能が悪かった。
実施例6に記載のフルオレニルポリ(エーテルケトン)コポリマー(FL50PEEK)をクロロホルムに溶解し、15重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、当該溶液に含浸させた後、ガラス基板上に塗布し、40℃にて1時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、100〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理して高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は178μm、プロトン伝導度は0.01S/cm2 、メタノール透過量は0.1μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.0であった。スルホン化ポリマーを用いた実施例6よりもプロトン伝導度が小さく性能が悪かった。
実施例7
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例6と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は179μm、プロトン伝導度は4.5S/cm2 、メタノール透過量は14μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.0であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例6と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は179μm、プロトン伝導度は4.5S/cm2 、メタノール透過量は14μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.0であった。
実施例8
実施例1記載のスルホン化ポリエーテルケトンを飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用いNa型スルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。さらに、窒素雰囲気下、1時間かけて300℃まで昇温させ、300℃で10分間保持した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純粋に3日間以上浸漬し、その後に十分乾燥した。この膜を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は280μm、プロトン伝導度は4.3S/cm2 、メタノール透過量は80μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.4であった。
実施例1記載のスルホン化ポリエーテルケトンを飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用いNa型スルホン化ポリエーテルエーテルケトンDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。さらに、窒素雰囲気下、1時間かけて300℃まで昇温させ、300℃で10分間保持した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純粋に3日間以上浸漬し、その後に十分乾燥した。この膜を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は280μm、プロトン伝導度は4.3S/cm2 、メタノール透過量は80μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.4であった。
実施例9
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例8と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。該支持体の熱分解温度は480℃、開孔率は60%、開孔径は160μm、溶液保持量は50g/m2であった。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は260μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は78μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.3であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例8と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。該支持体の熱分解温度は480℃、開孔率は60%、開孔径は160μm、溶液保持量は50g/m2であった。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は260μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は78μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.3であった。
実施例10
実施例4記載のスルホン化ポリフェニレンオキシドを飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、20重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、Na型スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。さらに、窒素雰囲気下、1時間かけて300℃まで昇温させ、300℃で10分間保持した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純粋に3日間以上浸漬し、その後に十分乾燥した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は210μm、プロトン伝導度は4.3S/cm2 、メタノール透過量は35μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.2であった。
実施例4記載のスルホン化ポリフェニレンオキシドを飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、20重量%溶液とした。電解質膜用の支持体として、NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)を用い、Na型スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液に含浸した。溶液を含浸した支持体をガラス基板上に置き減圧して支持体の空隙を溶液で充填させ塗布し100℃にて4時間加熱乾燥して高分子電解質複合膜を作製した。さらに、窒素雰囲気下、1時間かけて300℃まで昇温させ、300℃で10分間保持した後、放冷した。1N塩酸に3日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純粋に3日間以上浸漬し、その後に十分乾燥した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は210μm、プロトン伝導度は4.3S/cm2 、メタノール透過量は35μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.2であった。
実施例11
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例10と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は90μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.4であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりにケブラー抄紙を用いる他は実施例10と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は278μm、プロトン伝導度は4.0S/cm2 、メタノール透過量は90μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.4であった。
実施例12
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりに東レ製ポリフェニレンスルフィド抄紙(品名トルコンペーパー)を用いる他は実施例6と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は60μm、プロトン伝導度は4.8S/cm2 、メタノール透過量は13μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.1であった。
NBC製メッシュV SCREEN(品番V330)の代わりに東レ製ポリフェニレンスルフィド抄紙(品名トルコンペーパー)を用いる他は実施例6と同様にして高分子電解質複合膜を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、膜厚は60μm、プロトン伝導度は4.8S/cm2 、メタノール透過量は13μmol/cm2 ・min、膨潤率は1.1であった。
Claims (10)
- 熱分解温度が300℃以上である高分子材料からなる支持体であって、かつ、該支持体の開孔率が15%〜80%であり、かつ、孔径が10〜5000μmである多孔性基材からなることを特徴とする電解質膜用支持体。
- 前記支持体が、膜状の形態を有する請求項1に記載の電解質膜用支持体。
- 前記多孔性基材が、メッシュ、不織布、織布、抄紙、複数個の独立した貫通孔や三次元網目構造を有する請求項1または2に記載の電解質膜用支持体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質膜用支持体と高分子電解質材料からなることを特徴とする高分子電解質複合膜の処理方法であって、該高分子電解質複合膜の製膜後に200〜500℃の熱処理を施すことを特徴とする高分子電解質膜複合体の処理方法。
- 30重量%メタノール水溶液に対する膜面方向の膨潤率が1.0以上2.0以下である、請求項4に記載の処理方法が施されたことを特徴とする高分子電解質複合膜。
- 前記高分子電解質材料が、イオン性基を有する請求項5に記載の高分子電解質複合膜。
- 前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基から選ばれた少なくとも1種である請求項6に記載の高分子電解質複合膜。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の高分子電解質複合膜を、電解質膜として用いて構成されていることを特徴とする燃料電池。
- 前記燃料電池が、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルまたはこれらと水の混合物を燃料とする直接型燃料電池である請求項8に記載の燃料電池。
- 請求項8または9に記載の燃料電池を電源として用いたことを特徴とする移動体。
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