JP2005353581A - 電解質膜および膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

電解質膜および膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、燃料クロスオーバーが低くかつ電極との密着性が良好な電解質膜を提供し、さらには、高出力、高エネルギー容量を達成できる膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の電解質膜は、電解質膜の少なくとも一方の表面に、他の部分より柔軟である部分を有することを特徴とするものである。
また、本発明の膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる電解質膜を用いて構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー容量を達成することができる電解質膜および膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつエネルギー効率が高く、環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)においては、水素ガスを燃料とする従来の高分子電解質型燃料電池(以下、PEFCと記載する場合がある)に加えて、メタノールなどの燃料を直接供給する直接型燃料電池も注目されている。直接型燃料電池は、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
高分子電解質型燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソードとの間でプロトン伝導体となる高分子電解質膜とが、膜電極複合体(MEA)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえばPEFCのアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
また、PEFCの中でも、メタノールなどを燃料とする直接型燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFCとは異なる性能が要求される。すなわち、直接型燃料電池においては、アノード電極ではメタノール水溶液などの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトン、電子、二酸化炭素を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質に伝導し、二酸化炭素は電極基材を通過して系外へ放出される。このため、従来のPEFCのアノード電極の要求特性に加えて、メタノール水溶液などの燃料透過性や二酸化炭素の排出性も要求される。さらに、直接型燃料電池のカソード電極では、従来のPEFCと同様な反応に加えて、電解質膜を透過したメタノールなどの燃料と酸素あるいは空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、二酸化炭素と水を生成する反応も起こる。このため、従来のPEFCよりも生成水が多くなるため、さらに効率よく水を排出することが必要となる。
従来、高分子電解質膜として“ナフィオン”(R)(デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜が使用されてきた。しかし、これらのパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜は直接型燃料電池においてはメタノールなどの燃料透過が大きく、電池出力やエネルギー効率が十分でないという問題があった。またパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマーは、フッ素を使用するという点から価格も非常に高いものである。
従来のパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜とは異なる非パーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜、例えば非フッ素系の芳香族系高分子にアニオン性基を導入した高分子電解質膜も種々提案されている(特許文献1,2、非特許文献1参照)。しかしこれらの高分子電解質膜では、高伝導度を得るためにアニオン性基の導入量を多くすると内部に水を取り込み易くなり、メタノールなどの燃料クロスオーバーが大きいという欠点があった。この欠点の改良として、アニオン性基の導入量を減少させ、燃料クロスオーバーを低減させるなどの方策は容易に推測されるが、該方策では、膜電極複合体として使用する場合に、高分子電解質膜が硬くなることから、電極と接着性が不十分となり、結果として膜電極複合体としてのイオン伝導度が低下し、高分子電解質型燃料電池としての性能が不十分となる。
米国特許出願公開第2002/91225号明細書 米国特許第5403675号明細書 Journal of Membrane Science, Vol.197, 231-242(2002)
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、燃料クロスオーバーが低くかつ電極との密着性が良好な電解質膜を提供し、さらには、高出力、高エネルギー容量を達成できる膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の電解質膜は、電解質膜の少なくとも一方の表面に、他の部分より柔軟である部分を有することを特徴とするものである。
また、本発明の膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる電解質膜を用いて構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、低燃料クロスオーバーと電極との密着性を両立した電解質膜の提供が可能となり、かかる電解質膜からなる膜電極複合体を用いることによって、高出力、高エネルギー容量を達成する高分子電解質型燃料電池を提供することが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の電解質膜は、少なくとも一方の表面に、他の部分より柔軟である部分を有することを特徴とする。
本発明者らは、高分子電解質型燃料電池の高出力、高エネルギー容量化に、燃料クロスオーバー抑制と電極との接着性の両立が有効であり、これらの性能は電解質膜の硬さと表面の柔軟性に関係が深いことを見出し本発明に到達した。
即ち、電極と電解質膜の接着性は、少なくとも電解質膜と電極が接触する部分の電解質膜表面が、それ以外の部分より柔軟であることで向上し、該柔軟な部分より硬い部分で燃料クロスオーバーを抑制できる。
このような特徴を有する膜の例として、該電解質膜の、他の部分より柔軟である部分の硬度が1000MPa以下であることが好ましい。他の部分より柔軟である部分の硬度が1000MPa以下であれば、膜電極複合体を作製する場合に、電極と該柔軟な部分の接着性が良好となり、結果として、高出力な燃料電池を得ることができる。好ましくは0.1MPa以上、800MPa以下であり、1MPa以上、600MPa以下がさらに好ましい。
また、弾性率および/または硬度が異なる層を2層以上有していることが好ましい。つまり、弾性率および/または硬度の小さい層が少なくともどちらか一方の表面に露出していることが好ましい。この膜は、2種以上の弾性率および/または硬度の異なる材料を積層してもよいし、電解質膜の表層を硫酸、クロロスルホン酸などによる薬液処理やプラズマ処理、可塑剤の添加、微多孔化等を行い、部分的に弾性率および/または硬度を変化させることで実現可能である。
本発明においては、柔軟性の大小は、構成材料の弾性率および/または硬度の大小によって可能である。構成する材料を別々にできる場合は、例えば、株式会社オリエンテック社製“テンシロン”などを用いて、ロードセル5N、レンジ40%、チャック間距離3cm、クロスヘッドスピード100mm/min、引っ張りモードで弾性率が測定できる。
また、極微少な領域の弾性率および/または硬度は、電解質膜表面や、研磨によって膜表面から任意の深さの部分を露出させたり、さらには、膜を膜厚方向に斜めに切断し膜断面方向を連続的に露出させたりするなどして直接測定することができる。例えば、MTSシステム社製 超微少硬度計 “Nano Indenter XP”を用い、ナノインデンテーション法(連続剛性測定法)でダイヤモンド製の正三角錐圧子(稜角度=115°)等を使用して測定できる。サンプルは乾燥状態でも湿潤状態でも、異なる層の弾性率および/または硬度に差が出る条件であれば特に制限はない。電極層と電解質膜の接着性が強く、膜の表面がきれいに露出できない場合でも、MEAごと切断して膜断面を上記の方法で分析できる。
また、燃料クロスオーバーは柔軟な部分より硬い部分の吸水率に大きく左右される。即ち、電解質膜を用いた燃料電池において、メタノールなどの燃料は主として水中を透過し、吸水率が大きいと燃料クロスオーバーが大きくなると考えられるため、吸水率を小さくすることが高分子電解質型燃料電池の高出力、高エネルギー容量化に有効である。
また、電解質膜に柔軟な部分があることで、電極の触媒層を電解質膜表面により深く侵入させ、これらの界面の接触面積を大きくすることができ、膜電極複合体としてのプロトンなどのイオン伝導性を向上させ、高分子電解質型燃料電池の高出力化に有効である。この電極と電解質膜の接触状態の指標として、例えば、特開2004−25793号明細書に記載されているような、評価後の膜電極複合体を解体し、電解質膜に触媒層が付着しているのか、またはカーボンペーパーやクロスのような集電用基材に付着しているのかを目視で判断するような定性的な評価が行われて来たが、発明者らは、電解質膜表面の変形のしやすさに注目して鋭意検討を重ねた結果、後で述べる電解質膜の針入率が、高分子電解質型燃料電池の出力と関係が深いことをつきとめた。
通常、燃料クロスオーバーを低減させるために吸水率を下げる、言い換えれば弾性率および/または硬度を上げる方策をとった場合、膜の針入率もそれに関係して小さくなり、高分子電解質型燃料電池としての性能は不十分となる。これらの吸水率と針入率のトレードオフ関係を解消し、本発明に記載した特定の範囲に制御した電解質膜が、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池の性能向上に有効である。吸水率を小さく制御することにより、燃料クロスオーバーを低減できるとともに、余分な水分が少ないため電解質膜全体としてのイオン性基密度を高い状態に保て、そのような状態の電解質膜と電極の接触面積を大きくできたことが、高分子電解質型燃料電池の性能を顕著に向上できる理由ではないかと考えられる。
本発明の電解質膜は、前記した数式(S1)で表される吸水率が5%以上40%以下であることが好ましく、8%以上35%以下であることがより好ましく、10%以上、30%以下であることがさらに好ましい。
5%以上であれば、高分子電解質型燃料電池に用いる場合、プロトン伝導度が十分となり高出力が得られる。また、40%以下であれば燃料クロスオーバーを抑制でき、特に高エネルギー容量化ができる。
なお、前記した数式(S1)中のW1は電解質膜を25℃の水中に24時間浸漬後、表面に付着した水分を素早くガーゼで拭き取って秤量した値である。
W2はW1を測定した電解質膜を100℃で24時間真空乾燥した後、秤量した値である。
dは電解質膜を四角形に切り取り、100℃で24時間真空乾燥後の重量(W3)、厚み(t3)、両辺の長さ(L1、L2)を測長し、数式(S3)で計算した値である。
d=W3/(t3×L1×L2)……(S3)
なお、本発明での電解質膜とは、アノード電極面とカソード電極面に挟まれている部分のことであり、高分子電解質材単独、無機系電解質と高分子電解質との複合、複数の高分子電解質材の混合物、高分子電解質材と各種無機材料や各種高分子材料の複合物等、特に限定されるものではない。また複合方法も、溶液での混合、溶融混合、2種類以上の材料からなる積層、多孔質材料や不織布、抄紙、織物等への電解質材の充填等、特に限定されない。
本発明の電解質膜は、前記した数式(S2)で表される針入率が10%以上80%以下であることが好ましく、15%以上70%以下であることがより好ましく、20%以上、60%以下であることがさらに好ましい。
10%以上であれば、電極と電解質膜の接触面積が十分となり、膜電極複合体からの電極の脱落が発生しにくく、高分子電解質型燃料電池に用いる場合、高出力が得られやすい。80%を未満であれば、アノードとカソードとの電気的な短絡(ショート)が発生しにくくなる。
本発明における針入率は、セイコーインスツルメンツ株式会社製 熱機械分析装置“TMA/SS6000”を使用して測定した。
測定条件を下記する。
温度範囲:30℃〜200℃
昇温速度:5℃/分
測定雰囲気:空気下
針入プローブ径:1mmφ(石英製)
負荷荷重:50gf
なお、前記した数式(S2)中のt0は、25℃の水中に24時間浸漬した試料を約5mm角に切り出し、25℃に温調した石英製試料台に素早くセットし“TMA/SS6000”にて負荷荷重50gfで自動測長した値で、吸水状態における電解質膜の厚みである。t1はt0を測定後、直ちに荷重および昇温を開始し、負荷荷重が50gfに到達した時点を針入値(変形値)のゼロ点とした時の150℃到達時点での針入値(変形量)である。
本発明の電解質膜は、イオン性基を有した高分子材料を含むことが、加工性の観点から好ましく、吸水率、針入率の制御が容易となる。係るイオン性基としては、負電荷を有する原子団が好ましく、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基( −SO2(OH) )、硫酸基( −OSO2(OH) )、スルホンイミド基( −SO2NHSO2R(Rは有機基を表す。) )、ホスホン酸基( −PO(OH)2 )、リン酸基( −OPO(OH)2 )、カルボン酸基( −CO(OH) )、およびこれらの塩等を好ましく採用することができる。これらのイオン性基は前記高分子材料中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基のいずれかを有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
本発明の高分子材料がスルホン酸基を有する場合、そのスルホン酸基密度は、プロトン伝導性および燃料クロスオーバー抑制の点から0.1〜5.0mmol/gが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmol/g、さらに好ましくは1.0〜3.5mmol/gである。スルホン酸基密度を0.1mmol/g以上とすることにより、伝導度すなわち出力性能を維持することができ、また5.0mmol/g以下とすることで、燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な燃料遮断性および吸水時の機械的強度を得ることができる。
ここで、スルホン酸基密度とは、高分子材料の単位乾燥重量当たりに導入されたスルホン酸基のモル量であり、この値が大きいほどスルホン化の度合いが高いことを示す。使用する高分子材料のスルホン酸基密度は、元素分析、中和滴定あるいは核磁気共鳴スペクトル法等により測定が可能である。スルホン酸基密度測定の容易さや精度の点で、元素分析が好ましく、通常はこの方法で分析を行う。ただし、スルホン酸基以外に硫黄源を含む場合など元素分析法では正確なスルホン酸基密度の算出が困難な場合には中和滴定法を用いるものとする。さらに、これらの方法でもスルホン酸基密度の決定が困難な場合においては、核磁気共鳴スペクトル法を用いることが可能である。
また、上述の吸水率と針入率を本発明の特定範囲に制御するためには、電解質膜中のイオン性基密度が一様でないことが好ましい。電解質膜断面でのイオン性基密度が一様でないものでも、電解質膜面でのイオン性基密度が一様でないものでもよいが、電解質膜断面でのイオン性基密度が一様でないものの方が、針入率制御の観点から好ましい。特に、電解質断面でのイオン性基密度について、表層付近に比して中心部付近のイオン性基密度の方が低いことが、針入率の観点から好ましい。これをさらに具体的にいうと、少なくとも一方の表面から(分析時の電解質膜厚×0.02)μm内部の範囲より、膜断面の中心から±(分析時の電解質膜厚×0.05)μmの範囲の方が、イオン性基密度が低いことがよい。すなわち、少なくとも一方の電解質膜表面側の方が、内部よりイオン性基密度が高い膜とすることで、通常トレードオフ関係にある、吸水率と針入率の両立がしやすい。即ち、電解質膜内部を高弾性率および/または高硬度および/または低吸水率に設計することで燃料クロスオーバーが低く抑え、表層を高イオン密度、高吸水率、低弾性率として電解質膜表層の変形のしやすさや電解質膜表面のイオン性基密度を高めることで電極との密着性を向上することができる。好ましくは表層付近に比して中心部付近のイオン性基密度の方が、1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上低いのがよい。
このような複合された電解質膜中のイオン性基密度の高低については、膜断面の所定の部分を回収して上述した方法でスルホン酸基密度を測定したり、日本電子製 電子線マイクロアナライザー(EPMA)JXA−8621MXにより測定したりできる。
例えば、イオン性基としてスルホン酸基を有する高分子材料を用いた場合、下記条件にて電解質膜断面または電解質面の硫黄元素の分布を、EPMA像を目視で観察することにより判断できる。
二次電子像、反射電子像観察条件
加速電圧 15kV
元素分布分析(波長分散法)
加速電圧 15kV
照射電流 50nA
計測時間 30msec
画素数・画素長 256×256pixel・0.336μm/pixel
分析ビーム径 〜1μmφ
分析X線・分光結晶 SKα(5.373オングストローム)・PET
試料調製 ミクロトームにより断面試料作製後、カーボン蒸着。
上述した、弾性率および/または硬度が異なる2層以上からなる電解質膜やイオン性基密度が一様でない電解質膜を得るにあたっては、電解質膜の自己組織化、表面へのイオン性基を有するモノマーのグラフト重合、イオン性基を導入できる薬液による表層処理、蒸着、スパッタ、表面コーティング、プラズマ処理、可塑剤添加等種々の方法が考えられ、特に限定されるものではない。例えば、品質、コストなど工業的な製造の観点からは、弾性率および/または硬度および/または吸水率の異なる2種以上の高分子材料を複数層積層した電解質膜が好ましい。係る吸水率は、イオン性基密度とある程度の相関があり、イオン性基密度を高くすることで吸水率を大きく、低くすることで吸水率を小さくできる。吸水率の高い高分子材料を少なくとも一方の表層、低いものを内部となるように積層することで、確実にイオン性基密度が一様でない電解質膜が得られる。また、各層の厚みを目的とする電解質膜の性能に応じて自由に変えることもでき、さらには、複数の種類の高分子材料を用いて、2層から様々な組み合わせの積層膜が可能である。この場合、使用する高分子材料の、(吸水率最大の高分子材料)/(吸水率最小の高分子材料)の吸水率の比は1.2〜10が好ましく、1.5〜6がより好ましい。
積層膜は、例えば、あらかじめ製膜した弾性率および/または硬度および/または吸水率の異なる複数の膜を融着、接着、単純な重ね合わせ等で製膜してもよいし、複数の高分子塗液により、塗工、乾燥を繰り返すような重ね塗りをしても、2層以上の塗出口のあるマルチスリットダイなどで製膜してもよい。これらの方法は特に限定されるものではなく、使用する高分子材料や目標とする膜性能に応じて適宜選択できる。
次に本発明の電解質膜を得るにあたっての原料、製造方法についての一例を説明する。

本発明は、変形しやすく、かつ燃料クロスオーバーの低い電解質膜を得るための特定物性を一つの特徴とするものであり、この特性を満足できれば、構成する材料は特に限定されない。しかし、電解質膜一般においては当該特定物性を得ることは困難であり、また不可能であるが、少なくとも以下に示す、原料、および製造方法によって、当該特性を全て満足でき、変形しやすく、燃料クロスオーバーの低い電解質膜を製造することができる。
本発明の高分子材料として用いられるポリマーの種類としては、例えば、イオン性基を有し、耐加水分解性に優れるポリマーが好ましい。その具体例としては、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレンなどの、イオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられる。ここで、イオン性基については前述のとおりである。
これらの中でも、特に燃料としてメタノール水溶液を用いる液体供給形燃料電池用途には、該電解質膜が9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分、フェノールフタレイン由来の成分、および4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分から選ばれた少なくとも1種を含有することが、耐メタノールクロスオーバー性の観点から好ましい。さらに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分を含有する、および/または4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分を含有するイオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
これらの高分子材料にイオン性基を導入する方法については、重合体にイオン性基を導入してもよいし、イオン性基を有するモノマーを重合してもよい。重合体へのホスホン酸基の導入は、例えば、「ポリマー プレプリンツ」(Polymer Preprints), Japan , 51, 750 (2002). 等に記載の方法によって可能である。重合体へのリン酸基の導入は、例えば、ヒドロキシル基を有するポリマーのリン酸エステル化によって可能である。重合体へのカルボン酸基の導入は、例えば、アルキル基やヒドロキシアルキル基を有するポリマーを酸化することによって可能である。重合体へのスルホンイミド基の導入は、例えば、スルホン酸基を有するポリマーをアルキルスルホンアミドで処理するによって可能である。重合体への硫酸基の導入は、例えば、ヒドロキシル基を有するポリマーの硫酸エステル化によって可能である。重合体へのスルホン酸基の導入は例えば、重合体をクロロスルホン酸、濃硫酸、発煙硫酸と反応させる方法により行うことができる。これらの、イオン性基導入方法は、処理時間、濃度、温度などの条件を適宜選択することにより目的とするイオン性基密度に制御できる。
また、イオン性基を有するモノマーを重合する方法としては、例えば、「ポリマー プレプリンツ」(Polymer Preprints), 41(1) (2000) 237. 等に記載の方法によって可能である。この方法により重合体を得る場合には、イオン性基の導入の度合いはイオン酸基を有するモノマーの仕込比率により、容易に制御することができる。
また使用する高分子材料が非架橋構造を有する場合、重量平均分子量は1万〜500万が好ましく、より好ましくは3万〜100万である。重量平均分子量を1万以上とすることで、電解質膜として実用に供しうる機械的強度を得ることができる。一方、500万以下とすることで、十分な溶解性を得ることができ、良好な加工性を維持することができる。
該重量平均分子量はGPC法によって測定できる。
高分子電解質型燃料電池としては、前述のようにスルホン酸基を有する高分子材料が最も好ましいが、スルホン酸基を有する高分子材料を使用する一例として、−SO3M基(Mは金属)含有のポリマーを溶液状態より製膜し、その後高温で熱処理し溶媒を除去し、プロトン置換して膜とする方法が挙げられる。前記の金属Mはスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。これらの金属塩の状態で製膜することで、高温で熱処理が可能となり、該方法は低吸水率の高分子材料を含んだ系には好適である。
前記熱処理の温度としては、得られる膜の吸水性の点で100〜500℃が好ましく、200〜450℃がより好ましく、250〜400℃がさらに好ましい。100℃以上とするのは、低吸水率を得る上で好ましい。一方、500℃以下することで、高分子材料が分解するのを防ぐことができる。
また、熱処理時間としては、得られる吸水率、および生産性の点で10秒〜24時間が好ましく、30秒〜1時間がより好ましく、45秒〜30分がさらに好ましい。熱処理時間を10秒以上することで、十分な溶媒除去が可能となり、十分な燃料クロスオーバーの抑制効果が得られる。また、24時間以下とすることでポリマーの分解が起こらずプロトン伝導性や針入率を維持することができ、また生産性も高くなる。
イオン性基が一様でない膜の製造方法は前述の通り、特に制限はないが、例えば、上記−SO3M基密度の異なるポリマーを2種類準備し、それぞれ非プロトン性極性溶媒等に溶解して溶液を調製し、まず−SO3M密度の高い方のポリマー溶液をガラス板あるいはフィルム上に適当なコーティング法で塗布し、溶媒を除去し、次にもう一方の−SO3M密度の低いポリマー溶液を該膜上に適当なコーティング法で塗布し、溶媒を除去し、さらにその上に−SO3M密度の高い方のポリマー溶液を適当なコーティング法で塗布し、溶媒を除去し、高温で処理後、酸処理する方法を例示することができる。
コーティング法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコート、スピンコート、スクリーン印刷などの手法が適用できる。
溶媒を用いたコーティング法では、熱による溶媒の乾燥、ポリマーを溶解しない溶媒での湿式凝固法などで製膜でき、無溶媒では光、熱、湿気などで硬化させる方法、ポリマーを加熱溶融させ、膜状に製膜後冷却する方法などが適用できる。
製膜に用いる溶媒としては、高分子材料を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒が好適に用いられる。
本発明の電解質膜の全体膜厚としては、通常3〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには3μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。膜厚のより好ましい範囲は5〜1000μm、さらに好ましい範囲は10〜500μmである。
吸水率の異なる高分子材料を複数層設けた膜については、最も吸水率の小さい高分子材料を主成分とする層の厚みを、1〜100μmに設定することが好ましい。燃料クロスオーバーが抑制された膜を得るには1μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには100μmより薄い方が好ましい。また、組み合わせる高分子材料からなる層の厚みは、これらの高分子材料の吸水率により適宜選択されるが、本発明の特性範囲内であれば特に制限はない。
膜厚は、種々の方法で制御できる。例えば、溶媒キャスト法で製膜する場合は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができるし、また、例えばキャスト重合法で製膜する場合は板間のスペーサー厚みによって調製することもできる。
また、本発明の電解質膜は、必要に応じて放射線照射などの手段によって高分子構造全体あるいは一部を架橋せしめることもできる。架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤をさらに抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる場合がある。放射線照射の種類としては例えば、電子線照射やγ線照射を挙げることができる。架橋構造を有することにより、水分や燃料の浸入に対する高分子鎖間の広がりを抑えることができる。吸水量を低く抑えることができ、また、燃料に対する膨潤も抑制できることから、結果的に燃料クロスオーバーを低減できる。また、高分子鎖を拘束できるため耐熱性や剛性も付与できる。ここでの架橋は、化学架橋であっても物理架橋であってもよい。この架橋構造は通常公知の方法で形成でき、例えば、多官能単量体の共重合や電子線照射によって形成できる。特に多官能単量体による架橋が経済的観点から好ましく、単官能ビニル単量体と多官能単量体の共重合体やビニル基やアリル基を有する高分子を多官能単量体で架橋したものが挙げられる。ここでの架橋構造とは、熱に対しての流動性が実質的に無い状態か、溶剤に対して実質的に不溶の状態を意味する。本発明においての架橋構造の判定は、溶剤に対して実質的に不溶であるかどうかで行い、具体的には次の方法で判定できる。
検体となる高分子電解質材(約0.1g)を純水で洗浄した後、40℃で24時間真空乾燥して重量を測定する。高分子電解質材を100倍重量の溶剤に浸漬し、密閉容器中、撹拌しながら70℃、40時間加熱する。次に、アドバンテック社製濾紙(No.2)を用いて濾過を行う。濾過時に100倍重量の同一溶剤で濾紙と残渣を洗浄し、十分に溶出物を溶剤中に溶出させる。濾液を乾固させ、溶出分の重量を求める。溶出重量が初期重量の10%未満の場合は、その溶剤に対して実質的に不溶と判定する。この試験をトルエン、ヘキサン、N−メチルピロリドン、メタノールおよび水の5種類の溶剤について行い、全ての溶剤で実質的に不溶と判定された場合に、その高分子電解質材は架橋構造であると判定する。
積層が困難な架橋系の電解質膜等は、例えば、イオン性基を有するモノマーを適当な溶媒に希釈し、表面に含浸処理後、重合することで、表層のイオン性基密度を高めることができる。
本発明の電解質膜を用いて高出力、高エネルギー容量の高分子電解質型燃料電池を製造するためにはイオン伝導度、および燃料透過量は次に述べる範囲であることが好ましい。
例えば、厚み10μm〜500μmの範囲の電解質膜を用い、燃料を30重量%メタノール水とした場合、25℃の30重量%メタノール水中のイオン伝導度が1S/cm2以上が好ましい。1S/cm2以上の場合、高出力が得られる。好ましくは、2S/cm2以上、さらに好ましくは3S/cm2以上である。上限としては特に設定しないが、膜がメタノール水などの燃料により溶解や崩壊しない範囲であれば大きいほうが好ましい。ここでのイオン伝導度は、試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、次の定電位交流インピーダンス法で抵抗を測定して求めることができる。
具体的には、Solartron社製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical Interface および Solartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用し、サンプルをφ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持する(有効電極面積0.0314cm)。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布する。25℃において、定電位インピーダンス測定(交流振幅は50mV)を行い、膜厚方向のイオン伝導度を求める。
また、25℃の30重量%メタノール水を使用した場合のメタノール透過量が100μmol・分-1・cm-2以下であることが好ましい。100μmol・分-1・cm-2以下の場合、DMFCに使用した場合、出力やエネルギー容量の観点から好ましい。好ましくは50μmol・分-1・cm-2以下、さらに好ましくは25μmol・分-1・cm-2以下で0μmol・分-1・cm-2が最も好ましい。
ここでのメタノール透過量は、次の方法で測定することができる。すなわち、H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水を入れ、他方のセルには30重量%メタノール水溶液を入れ、20℃において両方のセルを撹拌し、1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量し、グラフの傾きから単位時間、単位体積あたりのメタノール透過量を求めるものである。
また、本発明の電解質膜中には、イオン伝導性や燃料クロスオーバーの抑制効果を阻害しない範囲内において、機械的強度の向上、イオン性基の熱安定性向上、加工性の向上などの目的のために、ポリマーや金属酸化物からなるネットワークや微粒子を形成させても構わない。
本発明の電解質膜は、膜厚ムラが1〜30μmであることが、高出力、長時間耐久性に優れたMEAが得られることから好ましい。かかる膜厚ムラが、かかる範囲から外れて大きくなると、膜厚の薄い部分が優先的に発電に使用されるため、その部分の耐久性が低下するため好ましくない。かかる観点から、膜厚ムラは1〜20μmであることがより好ましい。また、電極と電解質膜をプレスにより接合する場合、膜厚ムラが30μm以下の電解質膜を使用した方が、触媒層と電解質膜の接着が全体的に均一となり、高出力化に有効である。30μmを超える部分があると、膜の厚い部分に圧力が集中するため、薄い部分の接着力が低下すると推測され、MEAとしての性能が低下すると考えられる。
また、1μm以上であれば、触媒層との界面接触面積が大きくできMEAの高出力化に有利である。つまり、MEAにおいては、電解質膜と触媒層の接触界面は、電解質膜の膜厚ムラが1〜30μmの範囲になるような凹凸がある方がよく、その凹凸に追随して触媒が形成されていることが、高出力化の観点から好ましい。
かかる膜厚ムラはおよび平均膜厚値は以下のようにして求めた値である。
すなわち、25℃の水中に24時間浸漬した電解質膜の試料(30mm角)とし、25℃において、ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて膜厚を5点測定し平均値を算出する。膜厚測定点は、試料の中心点と、その周辺に描いた25mm角の頂点の4点との合計5点であり、各点の膜厚測定値から平均膜厚値を引いた値を膜厚ムラとして判断する。
また、電極などと複合する等、上記方法で膜厚が測定困難な場合は、断面形状を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察し、その像から最も膜厚が薄い部分と厚い部分の差を求めてもよい。
次に、本発明の膜電極複合体は、上述した電解質材料を用いて構成されるものである。すなわち、かかる膜電極複合体(MEA)は、電解質膜、ならびに、電極触媒層および電極基材からなる電極からなるものである。
ここでいう電極触媒層は、電極反応を促進する電極触媒、電子伝導体、イオン伝導体などを含む層である。
かかる電極触媒層に含まれる電極触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金などの貴金属触媒が好ましく用いられる。これらの内の1種類を単独で用いてもよいし、合金、混合物など、2種類以上を併用してもよい。
また、電極触媒層に含まれる電子伝導体(導電材)としては、電子伝導性や化学的な安定性の点から炭素材料、無機導電材料が好ましく用いられる。なかでも、非晶質、結晶質の炭素材料が挙げられる。例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。ファーネスブラックとしては、キャボット社製“バルカンXC−72”(R)、“バルカンP”(R)、“ブラックパールズ880”(R)、“ブラックパールズ1100”(R)、“ブラックパールズ1300”(R)、“ブラックパールズ2000”(R)、“リーガル400”(R)、ケッチェンブラック・インターナショナル社製“ケッチェンブラック”EC(R)、EC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業社製“デンカブラック”(R)などが挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。これらの炭素材料の形態としては、不定形粒子状のほか繊維状、鱗片状、チューブ状、円錐状、メガホン状のものも用いることができる。また、これら炭素材料を後処理加工したものを用いてもよい。
また、電子伝導体は、触媒粒子と均一に分散していることが電極性能の点で好ましい。このため、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散しておくことが好ましい。さらに、電極触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボン等を用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できる。ここで、電極触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、電子伝導性をさらに高めるために導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
電極触媒層に用いられるイオン伝導性を有する物質(イオン伝導体)としては、一般的に、種々の有機、無機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、イオン伝導性を向上するスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などのイオン性基を有するポリマー(イオン伝導性ポリマー)が好ましく用いられる。なかでも、イオン性基の安定性の観点から、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるイオン伝導性を有するポリマー、あるいは本発明の高分子電解質材料が好ましく用いられる。パーフルオロ系イオン伝導性ポリマーとしては、例えばデュポン社製の“ナフィオン”(R)、旭化成社製の“Aciplex”(R)、旭硝子社製“フレミオン”(R)などが好ましく用いられる。これらのイオン伝導性ポリマーは、溶液または分散液の状態で電極触媒層中に設ける。この際に、ポリマーを溶解あるいは分散化する溶媒は特に限定されるものではないが、イオン伝導性ポリマーの溶解性の点から極性溶媒が好ましい。
前記、触媒と電子伝導体類は通常粉体であるので、イオン伝導体はこれらを固める役割を担うことが通常である。イオン伝導体は、電極触媒層を作製する際に電極触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが電極性能の点から好ましいものであるが、電極触媒層を塗布した後にイオン伝導体を塗布してもよい。ここで、電極触媒層にイオン伝導体を塗布する方法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコートなどが挙げられ、特に限定されるものではない。電極触媒層に含まれるイオン伝導体の量としては、要求される電極特性や用いられるイオン伝導体の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がさらに好ましい。イオン伝導体は、少な過ぎる場合はイオン伝導度が低く、多過ぎる場合はガス透過性を阻害する点で、いずれも電極性能を低下させることがある。
かかる電極触媒層には、上記の触媒、電子伝導体、イオン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもよい。特に、電極触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、上述のイオン伝導性ポリマー以外のポリマーを含んでもよい。このようなポリマーとしては例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)などのフッ素原子を含むポリマー、これらの共重合体、これらのポリマーを構成するモノマー単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマーとの共重合体、あるいは、ブレンドポリマーなどを用いることができる。これらポリマーの電極触媒層中の含有量としては、重量比で5〜40%の範囲が好ましい。ポリマー含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する傾向がある。
また、電極触媒層は、燃料が液体や気体の場合には、その液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造が好ましい。
また、電極基材としては、電気抵抗が低く、集電あるいは給電を行えるものを用いることができる。また、前記電極触媒層を集電体兼用で使用する場合は、特に電極基材を用いなくてもよい。電極基材の構成材としては、たとえば、炭素質、導電性無機物質が挙げられ、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。たとえば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E-TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。かかる織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるものなど特に限定されること無く用いられる。また編物であってもよい。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。
かかる電極基材に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などがあげられる。
また、かかる電極基材には、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐための撥水処理や、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるための炭素粉末の添加等を行うこともできる。
本発明の高分子電解質型燃料電池においては、電極基材と電極触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマーを含む導電性中間層を設けることが好ましい。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、電極触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
本発明の電解質膜を使用して、電極触媒層あるいは電極触媒層と電極基材を用いて膜電極複合体(MEA)を作製する方法は、特に限定されるものではない。公知の方法(例えば、「電気化学」1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、「ジェイ エレクトロケミカル サイエンス」(J. Electrochem. Soc.): Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。熱プレスにより一体化することは好ましい方法であるが、その温度や圧力は、電解質膜の厚さ、水分率、電極触媒層や電極基材により適宜選択すればよい。また、電解質膜が含水した状態でプレスしてもよいし、イオン伝導性を有するポリマーで接着してもよい。特に、本発明の電解質膜は、含水状態でのプレス工程を有する製法によって得られるMEAに好適であり、電極触媒層と電解質膜の接着性の優れたMEAが作製できる。特に、少なくとも本発明の電解質膜の柔軟な部分に触媒が接触していることが好ましく、アノード触媒が接触していることがより好ましい。プロトンが発生するアノード触媒層と電解質膜の接触面積を大きくすることで、プロトン伝導性が向上し、MEAとして高出力化できる。
本発明の高分子電解質型燃料電池の燃料としては、酸素、水素およびメタン、エタン、プロパン、ブタンメタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、ギ酸、酢酸、ジメチルエーテル、ハイドロキノン、シクロヘキサンなどの炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水との混合物等が挙げられ、1種または2種以上の混合物でもよい。特に発電効率や電池全体のシステム簡素化の観点から炭素数1〜6の有機化合物を含む燃料が好適に使用され、発電効率の点でとりわけ好ましいのはメタノール水溶液である。
膜電極複合体に供給される燃料中の炭素数1〜6の有機化合物の含有量は20〜70重量%が好ましい。含有量を20重量%以上とすることで実用的な高いエネルギー容量を得ることができ、70重量%以下とすることで発電効率が上がり、実用的な高い出力を得ることができる。
メタノール水溶液を用いる場合、メタノールの濃度としては、使用する燃料電池のシステムによって適宜選択されるが、できる限り高濃度のほうが長時間駆動の観点から好ましい。例えば、送液ポンプや送風ファンなど発電に必要な媒体を膜電極複合体に送るシステムや、冷却ファン、燃料希釈システム、生成物回収システムなどの補機を有するアクティブ型燃料電池はメタノールの濃度30〜100%以上の燃料を燃料タンクや燃料カセットにより注入し、0.5〜29%程度に希釈して、またはそのまま膜電極複合体に送ることが好ましく、補機がないパッシブ型の燃料電池はメタノールの濃度が10〜100%の範囲の燃料が好ましい。
また、本発明の膜電極複合体は複数枚のスタック状で使用しても並べた状態で使用してもよい。また、燃料電池は使用する機器に内蔵してもよいし、外付けのユニットとして使用してもよい。また、メンテナンスの観点から、燃料電池セルから膜電極複合体が脱着可能な構成であってもよい
本発明の燃料電池の用途としては、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、各種ディスプレー類などの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体、各種ロボットなどの電力供給源として好ましく用いられる。特に携帯用機器では、電力供給源だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用にも使用され、さらには二次電池や太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
(1)吸水率
電解質膜を約3cm角に切り取り、25℃の水中に24時間浸漬後、表面に付着した水分を素早くガーゼで拭き取って秤量(W1)した。該電解質膜を100℃で24時間真空乾燥した後、秤量(W2)し、下記算式(S1)にて吸水率を計算した。
(吸水率)=[(W1−W2)/{(W1−W2)+(W2/d)}]×100(%)
W1 :吸水時の電解質膜重量(g)
W2 :電解質膜乾燥重量(g)
d :電解質膜の比重(g/cm3
ここでのdは、W2を測定した膜の厚み(t3)をマイクロメーターで測定し、両辺の長さ(L1、L2)をノギスで正確に測長し、下記数式(S3)で計算した値である。
d=W3/(t3×L1×L2)……(S3)
(2)針入率
セイコーインスツルメンツ株式会社製 熱機械分析装置“TMA/SS6000”を使用して測定し下記算式(S2)で計算した値を針入率とした。
(針入率)=t1/t0×100(%)……(S2)
t0 :吸水状態での電解質膜の厚み
t1 :150℃での針入値(変形量)
測定条件を下記する。
温度範囲:30℃〜200℃
昇温速度:5℃/分
測定雰囲気:空気下
針入プローブ径:1mmφ(石英製)
負荷荷重:50gf
なお、前記した数式(S2)中のt0は、25℃の水中に24時間浸漬した試料を約5mm角に切り出し、25℃に温調した石英製試料台に素早くセットし“TMA/SS6000”にて負荷荷重50gfで自動測長した値で、吸水状態における電解質膜の厚みである。t1はt0を測定後、直ちに荷重および昇温を開始し、負荷荷重が50gfに到達した時点を針入値(変形値)のゼロ点とした時の150℃到達時点での針入値(変形量)である。
(3)スルホン酸基密度
25℃の純水中で24時間以上撹拌洗浄したのち、100℃で24時間真空乾燥した後のポリマーについて、元素分析により測定した。C、H、Nの分析は、全自動元素分析装置varioELで、また、Sの分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定、Pの分析についてはフラスコ燃焼法・リンバナドモリブデン酸比色法で実施した。それぞれのポリマーの組成比から単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
(4)重量平均分子量
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
(5)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
(6)プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用した。サンプルは、φ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cm2である。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。またその値は、単位面積当たりのものと、単位面積・単位厚み当たりの2通りで表した。
(7)メタノール透過量
膜状の試料を30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。
H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには30重量%メタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部面積は1.77cm2であった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間あたりのメタノール透過量を求めた。またその値は、単位面積当たりのものと、単位面積・単位厚み当たりの2通りで表した。
(8)スルホン酸基の分布状態の観察
日本電子製 電子線マイクロアナライザー(EPMA)JXA−8621MXにより下記条件にて膜断面方向の硫黄元素の分布を測定した。膜断面全体が視野に入るように倍率を調節し、硫黄元素の密度によって色を変えたイメージ像として解析した。スルホン酸基密度はEPMA像の極微少な測定ポイントによる色の違いではなく、マクロ的に目視により判断した。
二次電子像、反射電子像観察条件
加速電圧 15kV
元素分布分析(波長分散法)
加速電圧 15kV
照射電流 50nA
計測時間 30msec
画素数・画素長 256×256pixel・0.336μm/pixel
分析ビーム径 〜1μmφ
分析X線・分光結晶 SKα(5.373オングストローム)・PET
試料調製 ミクロトームにより断面試料作製後、カーボン蒸着。
(9)弾性率の測定
株式会社オリエンテック社製“テンシロン”を用いて、ロードセル5N、レンジ40%、チャック間距離3cm、クロスヘッドスピード100mm/min、n=5の条件で引っ張りモードの弾性率を測定した。
試験サンプルは、厚み100μm±10μmのフィルム状に製膜したポリマーを25℃の水中に24時間浸漬し、長さ約5cm、幅2mmの短冊状に切り出して作製した。
(10)硬度の測定
MTSシステム社製 超微少硬度計 “Nano Indenter XP”を用い、ナノインデンテーション法(連続剛性測定法)でダイヤモンド製の正三角錐圧子(稜角度=115°)を使用して測定した。
(11)膜電極複合体(MEA)および高分子電解質型燃料電池の評価
(MEAの作製)
2枚の炭素繊維クロス基材に20%四フッ化エチレン撥水処理を行ったのち、四フッ化エチレンを20%含むカーボンブラック分散液を塗工、焼成して電極基材を作製した。1枚の電極基材上に、Pt−Ru担持カーボンとナフィオン溶液からなるアノード電極触媒塗液を塗工、乾燥してアノード電極を、もう1枚の電極基材上に、Pt担持カーボンとナフィオン溶液からなるカソード電極触媒塗液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。
電解質膜を、先に作製したアノード電極とカソード電極で夾持し100℃、8分間 50kgf/cm2の条件で加熱プレスすることでMEAを作製した。
(高分子電解質型燃料電池の評価)
膜電極複合体(MEA)をエレクトロケム社製セルにセットし高分子電解質型燃料電池とし、アノード側に30%メタノール水溶液、カソード側に空気を流してMEA評価を行った。評価はMEAに定電流を流し、その時の電圧を測定した。電流を順次増加させ電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となるが、その最大値(MEAの単位面積あたり)を出力(mW/cm2)とした。
エネルギー容量は、出力、MEAでのMCOを基に下記数式(S4)にて計算した。
MEAでのMCOは、カソードからの排出ガスを捕集管でサンプリングした。これを全有機炭素計TOC-VCSH(島津製作所製測定器)、あるいはMeOH透過量測定装置Maicro GC CP-4900(ジ−エルサイエンス製ガスクロマトグラフ)を用い評価した。MCOは、サンプリングガス中のMeOHと二酸化炭素の合計を測定して算出した。
Figure 2005353581
エネルギー容量:Wh
出力:最大出力密度(mW/cm2
容積:燃料の容積(本実施例では10mLとして計算した。)
濃度:燃料のメタノール濃度(%)
MCO:MEAでのMCO(μmol・min-1・cm-2
電流密度:最大出力密度が得られるときの電流密度(mA/cm2
[合成例1]
(ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成)
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1gを発煙硫酸(50%SO3)150mL中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。(収量181g、収率86%)。
[合成例2]
炭酸カリウムを6.9g、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール)を14g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを4.5g、および上記合成例1で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを8.5g用いて、N−メチル−2−ピロリドン中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行いポリマーAを得た。
得られたポリマーAのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より1.7mmol/g、重量平均分子量24万、ポリマーAからなる電解質膜Aの弾性率は1030MPaであった。
[合成例3]
4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを2.6g、および上記合成例1で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを12gに変更した以外は合成例2と同様に行い、ポリマーBを得た。
得られたポリマーBのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より2.4mmol/g、重量平均分子量18万、ポリマーBからなる電解質膜Bの弾性率は540MPaであった。
[合成例4]
4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを7g、および上記合成例1で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを3.6gに変更した以外は合成例2と同様に行い、ポリマーCを得た。
得られたポリマーCのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より0.7mmol/g、重量平均分子量30万、ポリマーCからなる電解質膜Cの弾性率は1550MPaであった。
[合成例5]
炭酸カリウムを6.9g、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタンを14g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを7g、および前記合成例1のジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5gを用いて、N−メチル−2−ピロリドン中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、ポリマーDを得た。得られたポリマーDのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より1.8mmol/g、重量平均分子量18万、ポリマーDからなる電解質膜Kの弾性率は1050MPaであった。
[実施例1]
ポリマーBをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し25%の塗液とした。当該塗液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去し、20μmの膜をえた。次に、ポリマーAをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解しさらにN,N’−メチレンビスアクリルアミドをポリマーAに対して30重量部添加し、固形分25%の塗液とした。当該塗液を上記ポリマーBの膜上に流延塗布し、70℃にて30分さらに100℃にて1時間乾燥してN,N’−メチレンビスアクリルアミドの重合と溶媒の除去を行い、ポリマーBとポリマーA/N,N’−メチレンビスアクリルアミドのポリマーアロイからなる透明な40μmの複合膜を得た。さらに、上記ポリマーBの塗液を当該複合膜のポリマーBの反対側の面に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去し60μmの複合膜を得た。さらに、窒素ガス雰囲気下、200〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷し、1N塩酸に1日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し電解質膜Dを得た。
この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。また、中心層のみ製膜しプロトン交換した膜の吸水率は20%、弾性率は1300MPa、表面の硬度は400MPaであった。
さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1.2μm内部の方が、中心より±3μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
[実施例2]
ポリマーAをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し25%の塗液とした。当該塗液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去し、10μmの膜をえた。次に、ポリマーCをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し25%の塗液とした。当該塗液をポリマーA上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去しポリマーA、Cからなる20μmの複合膜を得た。さらに、ポリマーBをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し25%の塗液とした。当該ポリマーBの塗液を上記ポリマーA、Cからなる複合膜のポリマーC側に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去しポリマーA/C/Bの80μmの複合膜を得た。さらに、窒素ガス雰囲気下、200〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷し、1N塩酸に1日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し電解質膜Eを得た。
この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1.6μm内部の方が、中心より±4μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
[実施例3]
ポリマーBをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し25%の塗液とした。当該塗液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去し、20μmの膜をえた。
次に、ポリマーAをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、さらにポリアミック酸(東レ(株)製“トレニース #3000”)をポリマーA:ポリアミック酸=60:40(重量比)となるように混合し固形分22%の塗液とした。当該塗液を先に製膜したポリマーB上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥後、窒素ガス雰囲気下、400℃にて15分間熱処理した30μmの複合膜を得た。次に、該膜上に上記ポリマーBの塗液を流延塗布し、100℃にて1時間乾燥して溶媒を除去し50μmの複合膜を得た。次に、1N塩酸に1日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し電解質膜Fを得た。
この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。また、中心層のみ製膜しプロトン交換した膜の吸水率は11%、弾性率は1800MPa、表面の硬度は500MPaであった。
さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1μm内部の方が、中心より±2.5μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
[実施例4]
ポリマーBをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、さらにポリアミック酸(東レ(株)製“トレニース #3000”)をポリマーB:ポリアミック酸=50:50(重量比)となるように混合し固形分22%の塗液とした。当該塗液ガラス板上に流延塗布し、100℃にて1時間乾燥後、窒素ガス雰囲気下、400℃にて15分間熱処理した20μmの膜を得た。次に、ポリマーAをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し30%の塗液とし、ディップコートにより先に得た複合膜にコーティング後、素早く水中で湿式凝固し、ポリマーAの微多孔膜が積層された100μmの複合膜を得た。次に、1N塩酸に1日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し電解質膜Gを得た。
この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。また、中心層のみ製膜しプロトン交換した膜の吸水率は8%、弾性率は850MPaで、表面の硬度は100MPaであった。さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1μm内部の方が、中心より±2.5μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
[比較例1]
実施例4でポリマーAの湿式凝固膜を積層しなかった以外は、実施例4と同様に行い電解質膜Hを得た。この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。
[実施例5]
ビーカーに、スチレン13g、N−シクロヘキシルマレイミド9g、多官能単量体であるエチレングリコールジメタクリレート6g、開孔剤であるプロピレンカーボネートを6g、重合開始剤である2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.05gに加えマグネッチクスターラーを使用して撹拌し均一に溶解し単量体組成物溶液とした。
厚み5mmで30cm×30cmサイズのガラス板2枚をその間隔が70μmとなるようにガスケットで調整したモールドを準備し、ガラス板間に上記単量体組成物溶液をガスケット内が満たされるまで注入した。
次に65℃の熱風乾燥機内で8時間、板間重合したのち、ガラス板間から膜状の重合体を取り出し、厚み70μmの高分子膜とした。
得られた高分子膜を、3重量%のクロロスルホン酸を添加した1,2−ジクロロエタン中に30分間浸漬した後取り出し、メタノールで1,2−ジクロロエタンを洗浄した後、さらに洗浄液が中性になるまで水洗した。
次に、この膜を2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の50%水溶液(過硫酸カリウム0.1重量%含む)に3時間浸漬し、付着したモノマー溶液を拭き取ったのち、80℃で重合し厚み80μmの電解質膜Iをえた。
この膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1.6μm内部の方が、中心より±4μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
[比較例2]
高分子電解質膜“ナフィオン117”(デュポン社製、商品名)を95℃熱水にて1時間処理を行った膜の、膜厚、吸水率、針入率、プロトン伝導度、メタノール透過量を表1にまとめた。
また、実施例1〜5のMEA・高分子電解質型燃料電池の評価結果として出力およびエネルギー容量を、比較例2(“ナフィオン”117膜使い)を基準とした比で表したものを、表2に示す。
Figure 2005353581
Figure 2005353581
表1および表2からも明らかなように本発明の実施例1〜5の電解質膜は、吸水率が小さく、かつ針入率が大きいので、出力(mW/cm2)とエネルギー容量(Wh)とも“ナフィオン117”を使用した高分子電解質型燃料電池より優れていた。
[実施例6]ポリマーD2g、N−メチル−2−ピロリドン8g、グリセリン2gを均一に混合し、PPフィルム上に厚み20ミクロンとなるようにコーティングし80℃で10分間乾燥し、5×5cmの大きさにカットしたものを2枚準備した。次に、電解質膜Aを7×7cmにカットし、コーティング面が電解質膜側となり、かつ2枚のシートが電解質膜を対向して挟むように、電解質膜のほぼ中央部に重ね合わせ、100℃ 2MPaの圧力で加熱プレスし、電解質膜Jを得た。電解質膜JのPPフィルムを剥がし、柔軟層の硬度を測定したところ1.2MPaであった。
電極との複合化前にPPフィルムを剥離して柔軟層を露出し、電極を重ね合わせ、さらに100℃ 5MPaの圧力で加熱プレスすることにより膜電極複合体を得た。
[実施例7]
電解質膜A用い、23℃の水に24時間浸漬後、ガーゼで表面の水分を除去し、次いで23℃濃硫酸30秒浸漬した。膜の表面硬度は80MPaであった。
さらに膜断面方向の硫黄元素の分布を調べたところ、表面より1.2μm内部の方が、中心より±3μmの部分より硫黄元素の強度が強かった。
本発明の電解質膜は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特にメタノール水溶液を燃料とする燃料電池に好適である。
本発明の高分子電解質型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、特に、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、各種ディスプレー類などの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体、各種ロボットなどの電力供給源として好ましく用いられる。特に携帯用機器では、電力供給源だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用にも使用され、さらには二次電池や太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。

Claims (13)

  1. 電解質膜の少なくとも一方の表面に、他の部分より柔軟である部分を有することを特徴とする電解質膜。
  2. 該電解質膜の、他の部分より柔軟である部分の硬度が1000MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の電解質膜。
  3. 該電解質膜が、弾性率が異なる2層以上の電解質膜からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電解質膜。
  4. 該電解質膜が、硬度が異なる2層以上の電解質膜からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電解質膜。
  5. 該電解質膜が、下記数式(S1)で表される吸水率が5%以上40%以下であり、かつ、下記数式(S2)で表される針入率が10%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解質膜。
    (吸水率)=[(W1−W2)/{(W1−W2)+(W2/d)}]×100(%)……(S1)
    W1 :吸水時の電解質膜重量
    W2 :電解質膜乾燥重量
    d :電解質膜の比重
    (針入率)=t1/t0×100(%)……(S2)
    t0 :吸水状態での電解質膜の厚み
    t1 :150℃での針入値(変形量)
  6. 該電解質膜が、イオン性基を有する高分子を含み、かつ、該膜中のイオン性基密度が一様でないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電解質膜。
  7. 該電解質膜の断面において、少なくとも一方の表面層付近に比して中心部付近のイオン性基密度の方が低いことを特徴とする請求項6に記載の電解質膜。
  8. 該電解質膜が、吸水率の異なる2種以上の高分子材料を複数層積層して構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解質膜。
  9. 該電解質膜膜厚ムラが1〜30μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解質膜。
  10. 該電解質膜が9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分、フェノールフタレイン由来の成分、および4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電解質膜。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電解質膜を用い、かつ、該電解質膜の柔軟な部分に触媒が接触して構成されていることを特徴とする膜電極複合体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の電解質膜を用い、かつ、該電解質膜の柔軟な部分にアノード触媒が接触して構成されていることを特徴とする膜電極複合体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の電解質膜を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
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