JP5017831B2 - 非対称型電解質膜ならびにそれを用いた膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents
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Description
ジャーナル オブ パワーソーシーズ(Journal of Power Sources),2002, 104, p.79-84
本発明における(B)層の膜厚は、1〜100μmに設定することが好ましい。燃料クロスオーバーが抑制された膜を得るには1μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり高分子電解質型燃料電池の発電性能向上のためには100μmより薄い方が好ましい。また、本発明における(A),(C)の各層の膜厚は(B)層のイオン性基密度、膜厚によって適宜選択されるが、(A)層と(C)層の膜厚が異なり、その膜厚差は2〜20μmに設定することが必要である。
加速電圧 15kV
元素分布分析(波長分散法)
加速電圧 15kV
照射電流 50nA
計測時間 30msec
画素数・画素長 256×256pixel・0.336μm/pixel
分析ビーム径 〜1μmφ
分析X線・分光結晶 SKα(5.373オングストローム)・PET
試料調製 ミクロトームにより断面試料作製後、カーボン蒸着。
(測定方法)
1.スルホン酸基密度
25℃の純水中で24時間以上撹拌洗浄したのち、100℃で24時間真空乾燥した後のポリマーについて、元素分析により測定した。C、H、Nの分析は、全自動元素分析装置varioELで、また、Sの分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定、Pの分析についてはフラスコ燃焼法・リンバナドモリブデン酸比色法で実施した。それぞれのポリマーの組成比から単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
2.重量平均分子量
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型
装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK
gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチ
ル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピ
ロリドン溶媒にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量
平均分子量を求めた。
3.膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
4.電解質膜のソリ
5cm×5cmの電解質膜を用い、ガラス基板上に置き目視にてソリを観察した。判定基準は、以下の通り行った。
5.プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰
囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測
定した。測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用した。サンプルは、φ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cm2である。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。その値は、単位面積当たりのものを記載した。
6.メタノール透過量
膜状の試料を30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには30重量%メタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部面積は1.77cm2であった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間あたりのメタノール透過量を求めた。
7.スルホン酸基の分布状態の観察
日本電子製 電子線マイクロアナライザー(EPMA)JXA−8621MXにより下記条件にて膜断面方向の硫黄元素の分布を測定した。膜断面全体が視野に入るように倍率を調節し、硫黄元素の密度によって色を変えたイメージ像として解析した。スルホン酸基密度はEPMA像の極微少な測定ポイントによる色の違いではなく、マクロ的に目視により判断した。
加速電圧 15kV
元素分布分析(波長分散法)
加速電圧 15kV
照射電流 50nA
計測時間 30msec
画素数・画素長 256×256pixel・0.336μm/pixel
分析ビーム径 〜1μmφ
分析X線・分光結晶 SKα(5.373オングストローム)・PET
試料調製 ミクロトームにより断面試料作製後、カーボン蒸着。
(膜電極複合体の作製)
2枚の炭素繊維クロス基材に20%四フッ化エチレン撥水処理を行ったのち、四フッ化エチレンを20%含むカーボンブラック分散液を塗工、焼成して電極基材を作製した。1枚の電極基材上に、Pt−Ru担持カーボンとナフィオン(登録商標)溶液からなるアノード電極触媒塗液を塗工、乾燥してアノード電極を、もう1枚の電極基材上に、Pt担持カーボンとナフィオン(登録商標)溶液からなるカソード電極触媒塗液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。
(高分子電解質型燃料電池の評価)
膜電極複合体(MEA)をエレクトロケム社製セルにセットし高分子電解質型燃料電池とし、アノード側に30%メタノール水溶液、カソード側に空気を流してMEA評価を行った。評価はMEAに定電流を流し、その時の電圧を測定した。電流を順次増加させ電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となるが、その最大値(MEAの単位面積あたり)を出力(mW/cm2)とした。
[合成例1]
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1gを発煙硫酸(50%SO3)150mL中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、ジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。
[合成例2]
炭酸カリウム6.9g、4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール14.0g、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン5.2g、および上記合成例1で得たジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを6.8gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行いポリマーAを得た。得られたポリマーAのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より1.4mmol/g、重量平均分子量26万であった。
[合成例3]
4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール14.0gを4,4'−ジヒドロキシテトラフェニルメタン14.1gに、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン5.2gを4.4gに、ジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6.8gを8.4gに変更した以外は合成例2と同様に行い、ポリマーBを得た。得られたポリマーBのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より1.7mmol/g、重量平均分子量22万であった。
[合成例4]
4,4'−ジフルオロベンゾフェノン5.2gを2.6gに、ジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6.8gを11.8gに変更した以外は合成例2と同様に行い、ポリマーCを得た。得られたポリマーCのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より2.4mmol/g、重量平均分子量18万であった。
[合成例5]
炭酸カリウム6.9g、4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール7.0g、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル4.0g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノン3.5g、および上記合成例1で得たジソジウム3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン10.1gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、ポリマーDを得た。得られたポリマーDのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より2.2mmol/g、重量平均分子量18万であった。
[合成例6]
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル4.0gをフェニルハイドロキノン3.7gに変更した以外は合成例5と同様に行った。多量の水で再沈することで精製を行い、ポリマーEを得た。得られたポリマーEのプロトン置換膜のスルホン酸基密度は、元素分析より2.2mmol/g、重量平均分子量19万であった。
[実施例1]
ポリマーCを11g、N,N−ジメチルアセトアミド29gに溶解させ27.5%の塗液とした。前記塗液をガラス基板上にアプリケーターを用いて流延塗工し、100℃にて2時間乾燥を行い溶媒を除去して膜厚20(μm)の(c)層を得た。次にポリマーAを 8g、N−メチル−2−ピロリドン32gに溶解させ20%の塗液とした。前記塗液を(c)層上に同様な塗工および乾燥行い、(c)層と(b)層からなる膜厚55(μm)の複合膜を得た。さらに、(c)層と(b)層からなる複合膜上の(b)層上にポリマーC塗液を同様な塗工および乾燥行い、(c)層、(b)層、(a)層からなる膜厚72(μm)の複合膜を得た。放冷し、精製水中でガラス基板から離型した後に1N−塩酸水溶液に1日以上浸漬しプロトン置換を行い、精製水に1日以上浸漬して洗浄を行い非対称型電解質膜を得た。
[実施例2]
ポリマーDを10g、N,N−ジメチルアセトアミド30gに溶解させ25%の塗液とした。前記塗液をガラス基板上にアプリケーターを用いて流延塗工し、100℃にて1時間乾燥を行い溶媒を除去して膜厚20(μm)の(c)層を得た。次にポリマーBを4.8g、N−メチル−2−ピロリドン14.4gに溶解させ25%の塗液にポリアミック酸(東レ(株)製“トレニース”(登録商標)#3000)をポリマーB:ポリアミック酸=60:40(重量比)となるように混合し固形分22.7%の塗液とした。とした。前記塗液を(c)層上に同様な塗工および乾燥行い、(c)層と(b)層からなる膜厚30(μm)の複合膜を得た。さらに、(c)層と(b)層からなる複合膜上の(b)層上にポリマーD塗液を同様な塗工および乾燥行い、(c)層、(b)層、(a)層からなる膜厚45(μm)の複合膜を得た。さらに、100〜400℃まで40分間昇温し、400℃で10分間加熱する条件で熱処理を行った後に放冷し、精製水中でガラス基板から離型した。その後、1N−塩酸水溶液に1日以上浸漬しプロトン置換を行い、精製水に1日以上浸漬して洗浄を行い非対称型電解質膜を得た。この非対称型電解質膜のソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
[実施例3]
ポリマーEを10g、N,N−ジメチルアセトアミド30gに溶解させ25%の塗液とした。前記塗液をガラス基板上にアプリケーターを用いて流延塗工し、100℃にて1時間乾燥を行い溶媒を除去して膜厚22(μm)の(c)層を得た。次にポリマーBを4.8g、N−メチル−2−ピロリドン14.4gに溶解させ25%の塗液にポリアミック酸(東レ(株)製“トレニース”(登録商標)#3000)をポリマーB:ポリアミック酸=60:40(重量比)となるように混合し固形分22.7%の塗液とした。とした。前記塗液を(c)層上に同様な塗工および乾燥行い、(c)層と(b)層からなる膜厚32(μm)の複合膜を得た。さらに、(c)層と(b)層からなる複合膜上の(b)層上にポリマーE塗液を同様な塗工および乾燥行い、(c)層、(b)層、(a)層からなる膜厚50(μm)の複合膜を得た。さらに、100〜325℃まで30分間昇温し、325℃で10分間加熱する条件で熱処理を行った後に放冷し、精製水中でガラス基板から離型した。その後、1N−塩酸水溶液に1日以上浸漬しプロトン置換を行い、精製水に1日以上浸漬して洗浄を行い非対称型電解質膜を得た。この非対称型電解質膜のソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
[実施例4]
ポリマーEを10g、N,N−ジメチルアセトアミド30gに溶解させ25%の塗液とした。前記塗液をガラス基板上にアプリケーターを用いて流延塗工し、100℃にて1時間乾燥を行い溶媒を除去して膜厚20(μm)の(c)層を得た。次にポリマーAを2.7g、N−メチル−2−ピロリドン10.8gに溶解させ20%の塗液にポリアミック酸(東レ(株)製“トレニース”(登録商標)#3000)をポリマーB:ポリアミック酸=75:25(重量比)となるように混合し固形分20%の塗液とした。とした。前記塗液を(c)層上に同様な塗工および乾燥行い、(c)層と(b)層からなる膜厚30(μm)の複合膜を得た。さらに、(c)層と(b)層からなる複合膜上の(b)層上にポリマーE塗液を同様な塗工および乾燥行い、(c)層、(b)層、(a)層からなる膜厚45(μm)の複合膜を得た。さらに、100〜400℃まで40分間昇温し、400℃で10分間加熱する条件で熱処理を行った後に放冷し、精製水中でガラス基板から離型した。その後、1N−塩酸水溶液に1日以上浸漬しプロトン置換を行い、精製水に1日以上浸漬して洗浄を行い非対称型電解質膜を得た。この非対称型電解質膜のソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
[比較例1]
(c)層の膜厚を15(μm)、(c)層と(B)層からなる複合膜の膜厚を25(μm)、(c)層、(b)層、(a)層からなる複合膜の膜厚を40(μm)に変更した以外は実施例2と同様に行った。
この対称型電解質膜のソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
この対称型電解質膜のソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
[比較例2]
高分子電解質膜“ナフィオン”(登録商標)117(デュポン社製)を95℃熱水にて1時間処理を行った膜の膜厚、ソリ状態、プロトン伝導度およびメタノール透過量を表1にまとめた。
実施例1〜4の膜電極複合体の電極密着性および高分子電解質型燃料電池の評価結果として出力およびメタノール透過量を、比較例2(“ナフィオン”(登録商標)117膜使用)を基準とした比で表したものを表にまとめた。尚、比較例1は膜電極複合体接合後に電極剥離が生じた。さらに、比較例2はカールが激しく膜電極複合体を作製できなかった。
Claims (7)
- 電解質膜の少なくとも一部に(A),(B),(C)の各層をこの順に有する電解質膜であって、電解質膜は溶液から製膜して乾燥したものであり、(A)層と(C)層の膜厚が異なり、(A)層と(C)層の膜厚差は2〜20μmであることを特徴とする非対称型電解質膜。
- (A)層および(C)層のイオン性基密度が(B)層のイオン性基密度といずれも異なる請求項1記載の非対称型電解質膜。
- (A)層および(C)層のイオン性基密度が(B)層のイオン性基密度よりいずれも高い請求項2記載の非対称型電解質膜。
- 非対称型電解質膜が支持体上に製膜され、支持体面側に(C)層がある場合は(C)層が(A)層より厚く、支持体面側に(A)層がある場合は(A)層が(C)層より厚い請求項1〜3のいずれかに記載の非対称型電解質膜。
- 高分子電解質型燃料電池用である請求項1〜4のいずれかに記載の非対称型電解質膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の非対称型電解質膜を用いて構成されることを特徴とする膜電極複合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の非対称型電解質膜を用いて構成されることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
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- 2005-09-26 JP JP2005277402A patent/JP5017831B2/ja active Active
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