JP5347251B2 - 膜電極複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池等に用いられる膜電極複合体の製造方法に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつエネルギー効率が高く、環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池の代替として、あるいは二次電池の充電器として、またあるいは二次電池との併用(ハイブリッド)により、携帯電話などの携帯機器やパソコンなどへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下PEFCと記載する場合がある)においては、水素ガスを燃料とする従来の高分子電解質型燃料電池に加えて、メタノールなどの燃料を直接供給する直接型燃料電池も注目されている。直接型燃料電池は、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
高分子電解質型燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソードとの間でプロトン伝導体となる高分子電解質膜とが、膜電極複合体(MEA)を構成し、このMEAがセパレーターによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる触媒層とから構成されている。たとえばPEFCのアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
例えば、燃料としてメタノール水溶液を使用する燃料電池の場合、よりメタノール濃度を高くする事によって発電時間が長くなり、燃料用タンクが小型化できることから、燃料電池搭載機器の小型化や携行する燃料を少なくできる。しかしながら、高濃度のメタノール燃料ではメタノールが電解質膜を透過する量が増加し、燃料電池の性能を大幅に低下させる問題があった。
一般的に電解質膜と電極を接合する方法の1つとして加熱プレスが用いられる。(特許文献1)。また、含水状態にあるものを加熱プレス時、金型(加圧板)に貫通孔を設けて水蒸気を逃がす方法が提案されている(特許文献2)。また、加熱プレスの代わりに電解質膜の膨張圧力で電極と接合する方法が提案されている(特許文献3)。
特開2005−302665号公報 特開2000−54298号公報 特開2003−303600号公報
特許文献1では特に含水状態にある電解質膜や電極を加熱プレスする場合は水蒸気の逃げ道がなく、電解質膜に水蒸気による負荷がかかりMEAの外観が悪くなったり、耐久性が低下してしまうという問題があった。
特許文献2においては、含水状態にあるパルプモウルド成型品用の加熱プレス方法において、加熱プレスの金型に貫通孔が採用されており、そこから蒸気を排出している。しかしながら、この方法をMEAの製造方法に適用しようとすると、加熱プレス金型に貫通孔が形成されているため、均一にプレス圧力をかけることができず、MEAの接合性が悪くなってしまい、高出力や耐久性向上が期待できない。
また、特許文献1では、加熱プレスにおいて嵩高い電極上には圧力をかけることが可能であるが、電極周囲の電解質膜部分に適度に圧力をかけることができず、結果、電解質膜に皺が生じてしまい外観が悪くなってしまう場合があった。さらに、電解質膜の電極エッジ部分に過度の応力が加わり歪みが生じてしまい、MEAとしての耐久性低下の大きな原因となっていた。
さらに、加熱温度が低く水蒸気が発生しない場合でも、電解質膜に含まれた水分が加圧されて、電解質膜に負荷がかかってしまっていた。
また、特許文献3では、加熱プレスの代わりに電解質膜の膨張圧力で接合する方法が提案されている。電解質膜と電極を重ねたものをセルに組み込んだ後に電解質膜の膨潤圧力によって接合している。しかしながら、この方法では接合時に加熱していないために電解質膜と電極との接合が細部にまで行われておらず、触媒利用効率の低下、出力低下の問題が考えられる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、皺が少なく高品位な膜電極複合体が作製でき、水蒸気による電解質膜への影響を抑制できるために低MCOかつ耐久性が向上した膜電極複合体の製造方法を提供せんとするものである。
上記目的を達成するための本発明は、次のような手段を採用するものである。すなわち、電解質膜と電極を加熱プレスにより接合する膜電極複合体の製造方法であって、プレス時に少なくともどちらか一方の電極および電解質膜上において、加圧板との間に、液体および気体を面積方向に透過可能な目付量5g/m以上10000g/m 以下の通気性材料を、電極および電解質膜の全面を覆うように配置してなる膜電極複合体の製造方法である。
本発明によれば、皺が少なく高品位な膜電極複合体が作製でき、プレス時の水蒸気や水による電解質膜への影響を抑制できるために低MCOかつ耐久性が向上した膜電極複合体の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の好ましい形態を説明する。
本発明の膜電極複合体の製造方法は、含水状態にある電解質膜および電極をプレスにより接合する膜電極複合体の製造方法であって、プレス時に、少なくともどちらか一方の電極および電解質膜上において、加圧板との間に通気性材料を配置してなることを特徴とする。
本発明の膜電極複合体の製造方法は電解質膜が含水状態であるときに適用するものである。含水状態とは完全に乾燥した電解質膜の重量に対し、0.1%以上の水分を含む状態である(含水率0.1%以上)。ここでいう水分とは、水以外に有機溶媒等を含んでいてもよい。0.5%以上のときに適用するとより効果的であり、1%以上、5%以上、10%以上の順に、さらに効果的である。
該製造方法を用いれば、含水状態で接合することによりMEAの高出力が得られ、かつ、皺が少なく高品位なMEAが得られる。また、プレスする際に発生する水蒸気や水による膨潤等の影響が少ないために、燃料透過を抑制することが可能である。例えば、液体燃料としてメタノールを使用した場合、メタノールクロスオーバー(MCO)を抑制することができる。さらに、電極エッジ部分に余計な応力がかかりにくいためにMEAの耐久性が向上する。
本発明で作製した膜電極複合体の最も単純な例としては、図1を用いて説明すると、電極基材(アノードおよびカソード)2、6、触媒層(アノードおよびカソード)3、5と電解質膜4が隣接して配置されている膜電極複合体であり、プレスする際に膜電極複合体上に通気性材料1、7を配置する以外は通常公知の製造方法が利用できる。
通常プレスは、両極の電極で電解質膜を狭持するように積層したものに加圧する事によって接合される。その温度は使用する電解質膜、電極によって適宜実験的に決められるが、0℃以上300℃以下が好ましい。20℃以上200℃以下であればさらに好ましい。加熱してプレスすることが好ましく、40℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上200℃以下がより好ましい。80℃以上200℃以下がさらに好ましい。0℃以上とするのは、電解質膜および電極の水分が凍結しないという点で好ましい。一方、300℃以下とすることで、高分子材料が劣化、分解するのを防ぐことができる。
また、電極面積に対する圧力は0.1MPa〜500MPa以下が好ましく、1MPa〜100MPaがさらに好ましい。0.1MPa以上とするのは、加圧することによって膜と電極の接合性が良くなる点で好ましく、100MPa以下にすることで触媒層および拡散層のつぶれによる燃料や生成物の透過不良を防ぐことができる。
その各層の積層方法は電極基材に触媒層をコーティングして電極としたり、電解質膜に直接触媒層をコーティングして電極とする方法等が挙げられる。例えば、結着剤の溶液に触媒粒子やその他の添加剤を混合し、撹拌して均一な塗液として、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコート、スピンコート、スクリーン印刷などのコーティング手法が適用できる。
さらに、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の基材上に触媒層を形成してから電解質膜へ触媒層を転写する方法も好ましく用いられる。
本発明は上記積層方法による膜電極複合体のプレスの際に加圧板との間に通気性材料を配置してなり、通気性材料を電極上だけでなく、電解質膜上も、すなわち電極および電解質膜の全面を覆うように配置することで、かかる圧力を電極上のみではなく適度に電解質膜にもかけることが可能であり、電解質膜に発生する皺を抑えることができる。全面とは実質的にそうであればよく、その目的に反しない程度に覆われない部分が生じても構わない。
さらに、プレス前に少なくとも電解質膜の発電領域以外の部分を全部または一部を固定した状態で通気性材料を配置することがより好ましい。電解質膜を固定することにより電解質膜に発生する皺や歪みを効果的に低減することができる。ここでいう電解質膜の固定とは、膜面方向の寸法変化を低減することをいい、例えば、剥離可能な工程紙に電解質膜を貼り付けて固定する方法や電解質膜の周囲を枠や金型等で固定する方法が挙げられる。
具体的には、片側の面に剥離可能な工程紙を配置し、その上に電極および電解質膜等を積層して固定し、通気性材料を片側に配置してプレスを行う。ここでいう工程紙とはフィルムや紙などの基材に粘着剤をコーティングしたものや、それ自信が柔軟なシート等であり、基材としては使用する加熱プレスの温度に対し耐熱性があれば特に限定しない。粘着力としては電解質膜や電極を固定可能であり、加熱プレス後に作製した膜電極複合体が剥離できる程度が好ましく、具体的には、PETに対してJIS法(Z0237)に準じ、粘着力測定を行った際の値において、0.01N/25mm以上、0.50N/25mmであることが好ましい。
また、図7のような治具を用いて、図8のような金型面よりひと回り大きな電解質膜の周囲を枠で固定し、電解質膜と電極上に通気性材料を配置してもよい。ここで用いられる治具としては電解質膜が膜面方向に固定され、通気性材料を配置することによる効果を失わなければ特に限定しない。
上記の電解質膜固定方法以外にも電解質膜の膜面方向における寸法変化が実質的に抑制されれば、方法は限定しない。
次に、通気性材料の説明をする。
通気性材料は水等の液体、水蒸気等の気体が通過可能であることが必須である。詳しくは、発生した蒸気や染み出した水が加圧板により厚み方向に透過できないため、面積方向に透過可能、あるいは含水可能なものが好ましい。そのため、通気性材料にはある程度の厚みが必要であり、その重量あたりの目付量としては単位面積あたり5g/m2以上が好ましい。10g/m2以上〜10000g/m2以下がより好ましく20g/m2以上〜1000g/m2以下がさらに好ましい。目付量を5g/m2以上とすることにより、通気性材料の効果を得ることができる。
通気性材料の具体例としては織布、不織布、紙を用いることができる。
素材としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、アラミドを含むナイロン、レーヨン、アセテート等のセルロース系などが挙げられる。また、合成繊維の他、コットン、パルプなどの天然繊維が用いられる。織布としては平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織等、特に限定されることなく用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンポンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法等特に限定されることなく用いられる。特に通気性に優れ、圧力をかけても電解質膜に型がつかないようなフェルト状の不織布が好ましく用いられる。
次に触媒層の説明をする。
触媒層は通常公知の燃料電池や膜電極複合体の触媒と結着剤等からなる層であり、特に限定はない。ここでいう触媒は、電極反応を促進する触媒であり、触媒層は触媒以外に電子伝導体、イオン伝導体などを含んでいてもよい。触媒層に含まれる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金などの貴金属触媒が好ましく用いられる。これらの内の1種類を単独で用いてもよいし、合金、混合物など、2種類以上を併用してもよい。電子伝導体(導電材)を使用する場合は、電子伝導性や化学的な安定性の点から炭素材料、無機導電材料が好ましく用いられる。なかでも、非晶質、結晶質の炭素材料が挙げられる。炭素材料の例は上述のとおりである。
また、電子伝導体を使用する場合は、触媒粒子と均一に分散していることが電極性能の点で好ましい。このため、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散しておくことが好ましい。さらに、触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボン等を用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できる。ここで、触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、電子伝導性をさらに高めるために導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
触媒層に用いられるイオン伝導性を有する物質(イオン伝導体)としては、一般的に、種々の有機、無機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、イオン伝導性を向上するスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などのイオン性基を有するポリマー(イオン伝導性ポリマー)が好ましく用いられる。なかでも、イオン性基の安定性の観点から、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるイオン伝導性を有するポリマー、あるいは炭化水素系高分子材料が好ましく用いられる。パーフルオロ系イオン伝導性ポリマーとしては、例えばデュポン社製のナフィオン(登録商標)、旭化成社製のAciplex(登録商標)、旭硝子社製フレミオン(登録商標)などが好ましく用いられる。これらのイオン伝導性ポリマーは、溶液または分散液の状態で触媒層中に設ける。この際に、ポリマーを溶解あるいは分散化する溶媒は特に限定されるものではないが、イオン伝導性ポリマーの溶解性の点から極性溶媒が好ましい。また、前述した電解質膜として好ましい炭化水素系高分子材料も、触媒層中のイオン伝導性を有する物質(イオン伝導体)に好適に使用できる。特に、メタノール水溶液やメタノールを燃料にする燃料電池の場合、耐メタノール性の観点から炭化水素系高分子材料が耐久性などに効果的な場合がある。
前記、触媒と電子伝導体類は通常粉体であるので、イオン伝導体はこれらを固める役割を担うことが通常である。イオン伝導体は、触媒層を作製する際に触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが電極性能の点から好ましいものである。触媒層に含まれるイオン伝導体の量としては、要求される電極特性や用いられるイオン伝導体の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がさらに好ましい。イオン伝導体は、少な過ぎる場合はイオン伝導度が低く、多過ぎる場合はガス透過性を阻害する点で、いずれも電極性能を低下させることがある。
かかる触媒層には、上記の触媒、電子伝導体、イオン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもよい。特に、触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、上述のイオン伝導性ポリマー以外のポリマーを含んでもよい。このようなポリマーとしては例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)などのフッ素原子を含むポリマー、これらの共重合体、これらのポリマーを構成するモノマー単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマーとの共重合体、あるいは、ブレンドポリマーなどを用いることができる。これらポリマーの触媒層中の含有量としては、重量比で5〜40%の範囲が好ましい。ポリマー含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する傾向がある。
また、触媒層は、燃料が液体や気体の場合には、その液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造が好ましい。
電極基材は、電気抵抗が低く、集電あるいは給電を行えるものを用いることができる。電極基材の構成材としては、たとえば、炭素質、導電性無機物質が挙げられ、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。たとえば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E-TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。かかる織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。
また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるものなど特に限定されること無く用いられる。また編物であってもよい。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布、やクロスを用いるのが好ましい。
かかる電極基材に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などがあげられる。
また、かかる電極基材には、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐための撥水処理や、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるための炭素粉末の添加等を行うこともできる。また、電極基材と触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマーを含む導電性中間層を設けることもできる。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
本発明による膜電極複合体としては、各層の配置の関係が損なわれなければ、各層の間に別の機能層、例えば、燃料透過抑制層、撥水層、ラジカルトラップ層、燃料改質層、不純物トラップ層、副生成物除去層、界面接着層などが配置されていても差し支えない。
本発明の触媒層の粗密度は膜電極複合体の性能などで適宜実験的に決めることができ、ロールプレスや平板プレスの緻密化、湿式凝固法などによる多孔質化を行うことも可能である。
本発明の膜電極複合体の電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)(デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系電解質膜や炭化水素系電解質膜などすべての電解質膜を適用できるが、特に、燃料透過の低減や耐久性の観点から、高耐熱性、高強度、高引っ張り弾性率および低含水率の電解質膜を使用が好適である。具体的にはガラス転移温度130℃以上、引っ張り弾性率100MPa以上、含水率40重量%以下などの膜が挙げられ、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレン、イオン性基含有ポリアゾメチン、イオン性基含有ポリイミドアゾメチン、イオン性基含有ポリスチレンおよびイオン性基含有スチレン−マレイミド系架橋共重合体などのイオン性基含有ポリオレフィン系高分子およびその架橋体などのイオン性基を有する芳香族炭化水素系高分子が挙げられる。これらの高分子材料は単独、あるいは二種以上併用して使用でき、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、また二層以上の積層膜として使用できる。また、ここでのイオン性基およびイオン性基の導入方法、合成方法、分子量の範囲については前述のとおりである。
特にイオン性基としては、前述のようにスルホン酸基を有する高分子材料が最も好ましいが、スルホン酸基を有する高分子材料を使用する一例として、−SO3M基(Mは金属)含有のポリマーを溶液状態より製膜し、その後高温で熱処理し溶媒を除去し、プロトン置換して膜とする方法が挙げられる。前記の金属Mはスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。これらの金属塩の状態で製膜することで高温での熱処理が可能となり、該方法は高ガラス転移点、低吸水率が得られる高分子材料系には好適である。
前記熱処理の温度としては、得られる膜の吸水性の点で100〜500℃が好ましく、200〜450℃がより好ましく、250〜400℃がさらに好ましい。100℃以上とするのは、低吸水率を得る上で好ましい。一方、500℃以下とすることで、高分子材料が分解するのを防ぐことができる。
また、熱処理時間としては、生産性の点で10秒〜24時間が好ましく、30秒〜1時間がより好ましく、45秒〜30分がさらに好ましい。熱処理時間を10秒以上することで、十分な溶媒除去が可能となり、十分な燃料クロスオーバーの抑制効果が得られる。また、24時間以下とすることでポリマーの分解が起こらずプロトン伝導性を維持することができ、また生産性も高くなる。
熱処理方法は熱風乾燥機などの熱や、高周波誘電加熱などが利用できる。
電解質膜の作製方法としては、ポリマー溶液を適当なコーティング法で塗布し、溶媒を除去し、高温で処理後、酸処理する方法を例示することができる。
コーティング法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコート、スピンコート、スクリーン印刷などの手法が適用できる。
溶媒を用いたコーティング法では、熱や高周波誘電加熱による溶媒の乾燥、ポリマーを溶解しない溶媒での湿式凝固法などで製膜でき、無溶媒では光、熱、湿気などで硬化させる方法、ポリマーを加熱溶融させ、膜状に製膜後冷却する方法などが適用できる。
製膜に用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒が好適に用いられる。
使用する電解質膜の膜厚としては、通常3〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには3μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。膜厚のより好ましい範囲は5〜1000μm、さらに好ましい範囲は10〜500μmである。
膜厚は、種々の方法で制御できる。例えば、溶媒キャスト法で製膜する場合は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができるし、また、例えばキャスト重合法で製膜する場合は板間のスペーサー厚みによって調製することもできる。
また、本発明の電解質膜およびイオン性基を有する高分子材料は、必要に応じて放射線照射などの手段によって高分子構造全体あるいは一部を架橋せしめることもできる。架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤をさらに抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる場合がある。放射線照射の種類としては例えば、電子線照射やγ線照射を挙げることができる。架橋構造を有することにより、水分や燃料の浸入に対する高分子鎖間の広がりを抑えることができる。吸水量を低く抑えることができ、また、燃料に対する膨潤も抑制できることから、結果的に燃料クロスオーバーを低減できる。また、高分子鎖を拘束できるため耐熱性や剛性も付与できる。ここでの架橋は、化学架橋であっても物理架橋であってもよい。この架橋構造は通常公知の方法で形成でき、例えば、多官能単量体の共重合や電子線照射によって形成できる。特に多官能単量体による架橋が経済的観点から好ましく、単官能ビニル単量体と多官能単量体の共重合体やビニル基やアリル基を有する高分子を多官能単量体で架橋したものが挙げられる。ここでの架橋構造とは、熱に対しての流動性が実質的に無い状態か、溶剤に対して実質的に不溶の状態を意味する。
また、本発明の電解質膜中には、イオン伝導性や燃料クロスオーバーの抑制効果を阻害しない範囲内において、機械的強度の向上、イオン性基の熱安定性向上、加工性の向上などの目的のために、フィラーや無機微粒子を含有しても、ポリマーや金属酸化物からなるネットワークや微粒子を形成させても構わないし、支持体などに含浸した膜でも差し支えない。
本発明方法で作製した膜電極複合体においては、例えば電解質膜の間の接触面積を大きくし、界面抵抗を低減するする目的で、界面抵抗低減性材料を使用してもよい。界面抵抗低減性材料とは、加熱による軟化やコーティングによって触媒層の表面凹凸に追随できる材料であり、主にイオン伝導の抵抗を低減できるものが好ましい。電解質膜と同種であっても異種であってもよく、製造工程時点と実際に燃料電池として使用する時点において、その組成や形状が変化してもよい。
また、燃料による過度の膨潤や溶出がないこと、例えばメタノール水溶液やメタノールを燃料にする場合、使用する電解質膜と同等以上の耐メタノール性、強度を有することなどの条件を満たすものが好ましい。
本発明の方法で製造された膜電極複合体を使用した燃料電池の燃料としては、酸素、水素およびメタン、エタン、プロパン、ブタンメタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、ギ酸、酢酸、ジメチルエーテル、ハイドロキノン、シクロヘキサンなどの炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水との混合物等が挙げられ、1種または2種以上の混合物でもよい。特に発電効率や電池全体のシステム簡素化の観点から水素、炭素数1〜6の有機化合物を含む燃料が好適に使用され、発電効率の点でとりわけ好ましいのは水素およびメタノール水溶液である。メタノール水溶液を用いる場合、メタノールの濃度としては、使用する燃料電池のシステムによって適宜選択されるが、できる限り高濃度のほうが長時間駆動の観点から好ましい。例えば、送液ポンプや送風ファンなど発電に必要な媒体を膜電極複合体に送るシステムや、冷却ファン、燃料希釈システム、生成物回収システムなどの補機を有するアクティブ型燃料電池はメタノールの濃度が30〜100%の燃料を燃料タンクや燃料カセットにより注入し、0.5〜20%程度に希釈して膜電極複合体に送ることが好ましく、補機が無いパッシブ型の燃料電池はメタノールの濃度が10〜100%の範囲の燃料が好ましい。
また、燃料電池は使用する機器に内蔵してもよいし、外付けのユニットとして使用してもよい。また、メンテナンスの観点から、燃料電池セルから膜電極複合体が脱着可能な構成であることも好ましい。
本発明の燃料電池性能は、駆動する機器によって、燃料や空気の供給方法、セルの形状、流路の形状、集電方法、電子回路の設計などが異なるため、膜電極複合体の大きさや、数、直列および/または並列の数等は、適宜機器設計に応じて選択することが好ましい。
本発明の膜電極複合体の性能は、主に携帯用機器に使用する場合は液体供給型が好ましい。液体供給型とは、少なくとも一方の電極にメタノール水溶液などの液体を供給することを示し、アノード側に液体を供給することが好ましい。液体を供給することで、安全性や燃料供給の選択範囲が広がり、システムの簡素化が可能となり、燃料電池の小型化が実現でき、携帯用電子機器などの電源として有益である。
本発明の燃料電池の用途としては、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、各種ディスプレー類などの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、ロボット、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。特に携帯用機器では、電力供給源だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用にも使用され、さらには二次電池や太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
実施例中の特性は下記に示す方法で測定した。
(1)厚み
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG-20にセットしたミツトヨ製ID-C112型を用いて測定した。
(2)膜電極複合体の性能評価
A.燃料(メタノール)透過量の測定
膜電極複合体をエレクトロケム社製単セル“EFC05−01SP”(電極面積5cm2用セル)に組み込み、セル温度を50℃とし、アノード側に20%メタノール水溶液0.5ml/分の速度で供給し、カソード側に合成空気を50ml/分の速度で供給し、電流を印加する前にカソードからの排出される合成空気をガス捕集用の袋に捕集してジ−エルサイエンス製オートサンプラー付ガスクロマトグラフ"MicroGC CP4900"を用いてサンプリングガス中のメタノールと、酸化されて生成する二酸化炭素の両方の濃度を測定し算出した。ここでの二酸化炭素は、全て透過したメタノール由来で発生したものと仮定した。カソードの空気流量をL(ml/分)、ガスクロマトグラフによるメタノールと二酸化炭素の合計濃度をZ(体積%)および合計体積をV(ml)、開口面積(膜電極複合体中のメタノール水溶液燃料が直接接触する面積)をA(cm2)とし下式で計算した。
MCO(mol/cm2/分)=(L+V)×(Z/100)/(22400×A)
B.電圧保持率
東陽テクニカ製評価装置、ポテンショスタットはsolartron製1470、周波数応答アナライザはsolartron製1255Bを用いて、電圧−電流特性を繰り返して測定し、電流密度100mA/cm2時の電圧の変化で表した。10回目の電圧をY、500回目の電圧をZとしたとき、電圧保持率(%)は、Z/Y×100で表し、耐久性の指標とした。
(3)膜電極複合体の皺および歪み観察
電解質膜の皺は目視で観察し、皺が少なく高品位なものを◎として○、△、×の4段階で評価した。また、偏向が直行するように重ねた偏光板でMEAを狭持し、その像をニコン社製投影機“PROFILE PROJECTOR V-10A”によって投影し、黒い部分が歪みのない箇所、光が透過して白くなった箇所を歪んだ箇所とした。その外観を目視で観察し、黒い部分が多いものを◎として○、△、×の4段階で評価した。
(4)含水率の測定
5cm角の電解質膜の重量(含水重量)を測定しておき、これを真空乾燥機で100℃で4時間乾燥させた後に再度重量(乾燥重量)を測定し、その差を乾燥重量で除した値を含水率とした。
[イオン性基を有した高分子材料の合成例]
炭酸カリウムを6.9g、4,4'−ジヒドロキシテトラフェニルメタンを14g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを7g、およびジソジウム 3,3'−ジスルホネート−4,4'−ジフルオロベンゾフェノン5gを用いて、N−メチル−2−ピロリドン中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、ポリマーAを得た。
[電解質膜の作製例]
上記ポリマーAをN−メチル−2−ピロリドン中に溶解し固形分25%の塗液とした。当該塗液をガラス板上に流延塗布し、60℃にて10分さらに100℃にて2時間乾燥して51μmのフィルムを得た。さらに、窒素ガス雰囲気下、200〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷し、1N塩酸に12時間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し電解質膜Aを得た。
[アノード電極作製例]
米国イーテック(E-TEK)社製カーボンクロス“TL−1400W”に、ジョンソンマッセイ(Johson&Matthey)社製Pt−Ru担持カーボン触媒“HiSPEC(登録商標)”6000、デュポン(DuPont)社製20%“ナフィオン(登録商標)”およびn−プロパノール溶液からなるアノード塗液を塗工し、100℃にて10分乾燥した。アノード触媒塗液の塗工はTL−1400Wのカーボンブラック塗工面に行った。次に、ポリマーAを10g、可塑剤としてN−メチル−2−ピロリドン60g、グリセリン40gを容器にとり、均一になるまで撹拌して界面抵抗低減性組成物Aを作製し、前記電解質膜A上に3mg/cm2となるように塗工し、100℃で5分間熱処理した。次に一片2.3cmの正方形にカットしアノード電極を得た。
[カソード電極作製例]
米国イーテック(E-TEK)社製カーボンクロス“TL−1400W”に、田中貴金属工業社製Pt担持カーボン触媒TEC10V50Eとデュポン(DuPont)社製20%“ナフィオン(登録商標)”溶液からなるカソード触媒塗液を塗工し、100℃にて15分乾燥した。カソード触媒塗液の塗工はTL−1400Wのカーボンブラック塗工面に行った。次に、ポリマーAを10g、可塑剤としてN−メチル−2−ピロリドン60g、グリセリン40gを容器にとり、均一になるまで撹拌して界面抵抗低減性組成物Aを作製し、前記電解質膜A上に3mg/cm2となるように塗工し、100℃で1分間熱処理した。次に一片2.3cmの正方形にカットしカソード電極を得た。
[実施例1]
含水状態(含水率15%)にある上記電解質膜Aを上記カソード電極およびアノード電極で狭持し、ずれないように対向させた。さらに電極及び電解質膜上を覆うように通気性材料としてアンビック株式会社製“工業用フェルトGN”(目付量550g/m2)を配置し、100℃、3MPaで5分間プレスし、10%メタノール水溶液で洗浄して膜電極複合体Aを得た。
この膜電極複合体Aの外観は電解質膜に皺があまり見られず判定は◎であり、偏光を通して観察した結果、電解質膜の電極周囲の歪みが小さく判定は○であった。
この膜電極複合体Aのメタノール透過量は3.6μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は86%であった。皺および歪み観察した投影写真を図2に示す。
[比較例1]
通気性材料を配置しなかった以外は実施例1と同様に膜電極複合体Bを作製した。この膜電極複合体Bの外観は電解質膜に多くの同心円上の皺が見られたため判定は×、偏光を通して観察した結果、電解質膜の電極周囲の歪みおよび電解質膜の同心円上の皺に沿って大きな歪みが見られたため判定は×であった。
この膜電極複合体Aのメタノール透過量は5.3μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は71%であった。
実施例1と比較例2から、含水状態にある電解質膜を使用した際に通気性材料を配置した方が外観が良く、MCOの低減、電極周囲の歪みが少ないことによる耐久性向上の効果が明らかである。皺および歪み観察した投影写真を図3に示す。
[実施例2]
実施例1の通気性材料を三井石油化学工業株式会社製ポリプロピレンスパンボンド不織布“シンテックス(登録商標) PSO−4220”(目付量20g/cm2)に変更した以外は膜電極複合体Cを作製した。
この膜電極複合体Cの外観は電極周囲に同心円上の皺が多少発生したが、明らかに比較例1より実施例2の膜電極複合体Cの方が皺の発生量は少なかったため判定は○。さらに偏光を通して観察した結果、電解質膜の電極周囲の歪みは実施例1よりも若干大きく見られたが、比較例2よりも小さかったため判定は△であった。
この膜電極複合体Cのメタノール透過量は4.4μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は79%であった。皺および歪み観察した投影写真を図4に示す。
[比較例2]
実施例1の通気性材料を電極上のみに配置し、電解質膜部分には圧力がかからないようにした以外は同様に膜電極複合体Dを作製した。
この膜電極複合体Dの外観は電解質膜に多くの同心円上の皺が見られたため判定は×、偏光を通して観察した結果、電解質膜の同心円上の皺に沿って歪みが見られたが、電極周囲の歪みは比較的小さかったため判定は○。
この膜電極複合体Dのメタノール透過量は4.2μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は81%であった。
実施例1と比較例2から電極上に通気性材料を配置することによる耐久性の向上効果は見られたものの、膜部分まで押さえていないため外観は不良であった。皺および歪み観察した投影写真を図5に示す。
[実施例3]
上記アノード塗液を三井石油化学工業株式会社製ポリプロピレンスパンボンド不織布“シンテックス(登録商標) PSO−4220” (目付量20g/cm2)にナイフコーターで塗工し、100℃にて10分乾燥した。
次に、ポリマーAを10g、可塑剤としてN−メチル−2−ピロリドン60g、グリセリン40gを容器にとり、均一になるまで撹拌して界面抵抗低減性組成物Aを作製し、前記電解質膜A上に3mg/cm2となるように塗工し、100℃で5分間熱処理した。次に一片2.3cmの正方形にカットしアノード電極を得た。
また、上記カソード塗液を三井石油化学工業株式会社製ポリプロピレンスパンボンド不織布“シンテックス(登録商標) PSO−4220” (目付量20g/cm2)にナイフコーターで塗工し、100℃にて10分乾燥した。
次に、ポリマーAを10g、可塑剤としてN−メチル−2−ピロリドン60g、グリセリン40gを容器にとり、均一になるまで撹拌して界面抵抗低減性組成物Aを作製し、前記電解質膜A上に3mg/cm2となるように塗工し、100℃で5分間熱処理した。次に一片2.3cmの正方形にカットしカソード電極を得た。
このアノード電極およびカソード電極を用いて含水状態にある電解質膜Aを狭持し、ずれないように対向させ100℃、3MPaで5分間プレスした。金型(加圧板)から取り出した後、アノード電極およびカソード電極の不織布を剥離したものを10%メタノール水溶液で洗浄した。これに拡散層として米国イーテック(E-TEK)社製カーボンクロス“TL−1400W”を積層して膜電極複合体Eを得た。
この膜電極複合体Eの外観は電解質膜に皺がほとんど見られず判定は◎、偏光を通して観察した結果も、電解質膜の電極周囲の歪みがかなり小さかったため◎であった。
この膜電極複合体Eのメタノール透過量は3.4μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は82%であった。皺および歪み観察した投影写真を図6に示す。
[実施例4]
工程紙としてリンテック株式会社製“SuRemLiner(登録商標) SRL−1252”の粘着面上に電極含水状態(含水率15%)にある電解質膜Aをカソード電極およびアノード電極で狭持し工程紙上に固定した。さらにその上面に通気性材料としてアンビック株式会社製“工業用フェルトGN”(目付量550g/m2)を配置した。100℃、3MPaで5分間プレスし、工程紙を剥離した後、10%メタノール水溶液で洗浄して膜電極複合体Fを得た。
この膜電極複合体Fの外観は電解質膜が固定されていたことから皺がほとんど無く判定は◎であり、偏光を通して観察した結果、電解質膜の電極周囲の歪みが極端に少なく判定は◎であった。
この膜電極複合体Fのメタノール透過量は2.7μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は91%であった。
[実施例5]
図7に示す電解質膜固定枠8に電解質膜4を挟み込みクランプ9で固定した。次に図8に示す金型下面11に通気性材料として三井石油化学工業株式会社製ポリプロピレンスパンボンド不織布“シンテックス(登録商標) PSO−4220”(目付量20g/cm2)を配置し、一方の電極をその上に、さらに前記電解質膜付き枠を固定化した。もう一方の電極と通気性材料を配置した後、金型上面10を閉じ、100℃、3MPaで5分間プレスした。10%メタノール水溶液で洗浄して膜電極複合体Gを得た。
この膜電極複合体Fの外観は電解質膜が固定されていたことから皺がほとんど無く判定は◎であり、偏光を通して観察した結果、電解質膜の電極周囲の歪み極端に少なく判定は◎であった。
この膜電極複合体Gのメタノール透過量は2.9μmol/(cm2×分)であった。また、電圧保持率は88%であった。
本発明の膜電極複合体は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)の膜電極複合体に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特にメタノール水溶液を燃料とする燃料電池に好適である。
本発明の燃料電池の用途としては、特に限定されないが、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯機器、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体、ロボットの電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらや太陽電池とのハイブリッド電源、もしくは充電用として好ましく用いられる。
膜電極複合体の断面概念図である。 実施例1のMEA投影写真 実施例2のMEA投影写真 実施例3のMEA投影写真 比較例1のMEA投影写真 比較例2のMEA投影写真 実施例5に用いた電解質膜固定枠の概念図である。 実施例5に用いた金型の概念図である。
符号の説明
1:通気性材料
2:アノード電極基材
3:アノード触媒層
4:電解質膜
5:カソード触媒層
6:カソード電極基材
7:通気性材料
8:電解質膜固定枠
9:クランプ
10:金型上面
11:金型下面

Claims (3)

  1. 含水状態にある電解質膜と電極を加熱プレスにより接合する膜電極複合体の製造方法であって、プレス時に、少なくともどちらか一方の電極および電解質膜上において、加圧板との間に、液体および気体を面積方向に透過可能な目付量5g/m以上10000g/m 以下の通気性材料を、電極および電解質膜の全面を覆うように配置してなることを特徴とする膜電極複合体の製造方法。
  2. 前記通気性材料が、織布、不織布および紙からなる群より選択される請求項1に記載の膜電極複合体の製造方法。
  3. プレス前に少なくとも電解質膜の発電領域以外の部分を全部または一部固定する請求項1または2に記載の膜電極複合体の製造方法。
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