JP4676698B2 - 改良した消耗電極アーク溶接 - Google Patents

改良した消耗電極アーク溶接 Download PDF

Info

Publication number
JP4676698B2
JP4676698B2 JP2003541681A JP2003541681A JP4676698B2 JP 4676698 B2 JP4676698 B2 JP 4676698B2 JP 2003541681 A JP2003541681 A JP 2003541681A JP 2003541681 A JP2003541681 A JP 2003541681A JP 4676698 B2 JP4676698 B2 JP 4676698B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
wire
hole
tip
chip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003541681A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005507783A (ja
JP2005507783A5 (ja
Inventor
ウィリアム ゴードン トーマス
ベッドナーズ バーナード
ケヴィン ネラー マーク
ピーター ファニング マイケル
ラサバイ スリニヴァサラオ
Original Assignee
エムアイジー ファースト プロプライアティー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from AUPR8721A external-priority patent/AUPR872101A0/en
Priority claimed from AUPS1191A external-priority patent/AUPS119102A0/en
Priority claimed from AU2002950101A external-priority patent/AU2002950101A0/en
Application filed by エムアイジー ファースト プロプライアティー リミテッド filed Critical エムアイジー ファースト プロプライアティー リミテッド
Publication of JP2005507783A publication Critical patent/JP2005507783A/ja
Publication of JP2005507783A5 publication Critical patent/JP2005507783A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4676698B2 publication Critical patent/JP4676698B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/24Features related to electrodes
    • B23K9/26Accessories for electrodes, e.g. ignition tips
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/12Automatic feeding or moving of electrodes or work for spot or seam welding or cutting
    • B23K9/122Devices for guiding electrodes, e.g. guide tubes
    • B23K9/123Serving also as contacting devices supplying welding current to an electrode
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K9/00Arc welding or cutting
    • B23K9/24Features related to electrodes
    • B23K9/28Supporting devices for electrodes
    • B23K9/29Supporting devices adapted for making use of shielding means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Description

本発明は消耗電極を使用して、作動するアーク溶接装置に関するものである。
消耗電極を使用する多くのアーク溶接には、コンタクトチューブ、又は電気コンタクトチューブ、又は電気コンタクトチップと時々称せられるコンタクトチップを有する溶接ガンを使用している。これ等の形式の溶接には、ミグ溶接(MIGW)と時々称するガス金属アーク溶接(GMAW)、更にサブマージアーク溶接(SAW)、及びフラックス入りアーク溶接(FCAW)がある。
消耗電極を使用して、アーク溶接を行うための溶接ガンにおいては、コンタクトチップは重要な要素である。その主要な機能は消耗電極を構成しているワイヤ、又は条片に、電流を溶接用電源から、連続的に送ることである。コンタクトチップは殆ど銅、又は銅合金に限られる金属で造られており、これは、これ等の金属が導電性と、熱伝導性とが高いためである。通常、コンタクトチップは硬引きの高純度の銅、又は銅と、2%のベリリウム、銅と、0.5 %のベリリウムのような合金、及び適当な銅、クロム及び亜鉛合金で造られる。
コンタクトチップを含むアーク溶接装置に関する広範囲の先行技術がある。その例としては次のような定期刊行物がある。
「Fluctuations of the Wire Feed Rate in Gas Metal Arc Welding 」、by Yamada 等、Welding Journal 、September 1987, 35〜42頁
「Understanding Contact Tips Longevity for Gas Metal Arc Welding」by Villafuerte、 Welding Journal、December 1999 、29〜35頁
「The Physics of Welding」by J. F. Lancaster、第2版、Permagen Press、1986
「Advanced Welding Processes」by J. Norrish 、IOP Publishing Ltd., 1992
「Heat Effects of Welding 」by D. Radaj 、Springer Verlag 、1992
その他の例としては、Folke 等(ESAB Limited) に与えられた英国特許第2074069 号、Cooke (R. E. Cooke & Sons, Burton) Ltd. に与えられた英国特許第2170133 号、Lange によるドイツ特許第4006138 号、Davis によるWO98/12011号の特許文献があり、その他、次のような米国特許明細書がある。
Zuckの米国特許第1233434 号 Bernard 等の米国特許第3597576 号
Smith の米国特許第2289938 号 Fogelstromの米国特許第3617688 号
Baird の米国特許第2379470 号 Bernard 等の米国特許第3676640 号
Kratz 等の米国特許第2428849 号 Robba 等の米国特許第3697721 号
Landis等の米国特許第2666832 号 Pearce等の米国特許第3716902 号
Chappel の米国特許第2679571 号 dal Molin の米国特許第3783233 号
Valliereの米国特許第2735920 号 Jonsson の米国特許第3825719 号
Scheller等の米国特許第2754395 号 Frantzreb Srの米国特許第3878354 号
McElrath等の米国特許第2761049 号 Fujimori等の米国特許第4258242 号
Landis等の米国特許第2778910 号 Stolの米国特許第4309590 号
Brashear Jr.の米国特許第2810063 号 Torrani の米国特許第4361747 号
Morley等の米国特許第2866079 号 Manning の米国特許第4560858 号
Piekarski 等の米国特許第2903567 号 Prunier の米国特許第4575612 号
Barkley の米国特許第2957101 号 Matsui等の米国特許第4672163 号
Cresswell の米国特許第2965746 号 Yoshinaka 等の米国特許第4937428 号
Kinneyの米国特許第3025387 号 Andersonの米国特許第4947024 号
Kinneyの米国特許第3089022 号 Matsui等の米国特許第5101093 号
Millerの米国特許第3103576 号 Pikeの米国特許第5192852 号
Jacobsの米国特許第3309491 号 Takocsの米国特許第5278392 号
Nuss等の米国特許第3366774 号 Wujek の米国特許第5288972 号
Bernard 等の米国特許第3469070 号 Zurecki 等の米国特許第5352523 号
Sievers の米国特許第3470349 号 Sorensonの米国特許第5556562 号
Carbone の米国特許第3488468 号 Kim の米国特許第5618456 号
Bernard 等の米国特許第3514570 号 Hori等の米国特許第5635091 号
Cruz Jr.の米国特許第3529128 号 Craig の米国特許第5721417 号
Bornemanの米国特許第3536888 号 Lajoieの米国特許第5726420 号
Bernard 等の米国特許第3576423 号 Hidakaの米国特許第6093907 号
Zvanutの米国特許第3585352 号 Villafueteの米国特許第6130407 号
Corrigall 等の米国特許第3590212 号 Sattler の米国特許第6429406 号
Ogden の米国特許第3596049 号
ガス金属アーク溶接において生産性に影響する主要な問題点は熱入力、及び被着速度(即ち、ワイヤ融解速度)である。熱入力は溶接電圧、及び電流に比例し、溶接される加工片に対する溶接トーチの移動速度に反比例する。溶接トーチは静止保持され、加工片はトーチに対して移動させるか、加工片を静止保持し、加工片に対してトーチを移動させてもよく、或いはトーチと、加工片とを共に動かして、両者間に相対運動があるようにしてもよい。熱入力は溶着貫入深さ、冷却時間、溶着変形に影響を及ぼし、更に、被着された溶融金属、及び/又は加工片の隣接帯域の冶金学的性質に影響を及ぼす。一般に、所定の被着速度について、熱入力を最小にするのが有利である。
溶接トーチの所定のコンタクトチップに関し、消耗電極として使用するワイヤの融解速度の理論的上限値、及びワイヤの融解速度の理論的下限値を確立することは可能である。この原理はガス金属アーク溶接(GMAW)の場合のワイヤ被着速度に関して、確立されている式を参照して詳細に説明することができる。上述のNorrish の文献はワイヤ融解速度の式を与えている。対応する代数の表示は次の式である。
W=aI+bLI2
ここに、「W」はワイヤ送り速度(通常はm/分)
「I」は溶接用電流(アンペア)
「a」は溶接アークによるワイヤの加熱を表す係数
「b」はワイヤの抵抗加熱に関する係数
「L」は抵抗加熱を受けるワイヤの該当する長さ
パラメータ「a」、及び「b」はワイヤの直径(ワイヤが円形横断面の場合、又は他の横断面のワイヤの直径に該当する値)と、ワイヤの組成とによって定まる。これ等のパラメータは被着速度、又はワイヤ送り速度に関する測定されたデータ、又は刊行されているデータから各消耗ワイヤについて求めることができる。
上述の式の使用に当たり、簡明のため、しかし、一般性を失うことがないようにするため、ダウンハンド位置における溶接を仮定する。ガス金属アーク溶接(GMAW)において、消耗ワイヤを融解するために、重要な役割がある基本的に2つの機構がある。第1はワイヤの端部と、溶融池の上面との間に生じているアークによるワイヤの加熱である。式の中では、このアークに関連する機構は「aI」の項で表される。第2の機構はワイヤがコンタクトチップに、電気的に接触した後、ワイヤ内に生じている電流によるワイヤの抵抗加熱であり、この抵抗に関する加熱は「bLI2 」の項で表される。
上述の式のパラメータ「L」はコンタクトチップ内のワイヤの有効接触点と溶接アークの頂部との間のワイヤの長さを表している。このワイヤの長さはコンタクトチップの出口端を越え、溶接アークの頂部まで達する露出しているワイヤの長さとして、ワイヤの長さを採用し、パラメータLに通常使用しているものと相違する。
抵抗加熱に関しては、通常の使用におけるLの意味、即ち電極の延長、即ち突出の意味に基づくことはできない。ワイヤがコンタクトチップの孔の出口端でコンタクトチップにどこで、電気的に接触するかを感知することができる。この場合、この解釈は上述の式についての解釈に相当しており、少なくともワイヤと、コンタクトチップとの間の単一接触点がある場合である。しかし、単一の接触点がある場合、この接触点は孔の入口端から、出口端まで、コンタクトチップの孔に沿ういかなる点でもあり得る。また、この位置は溶接作業中、これ等の両極端位置の間で、変化することができ、更に、変化は孔の長さに沿い少なくとも2個の接触点が間欠的にあることから生じ得る。孔の長さは電極の延長部、又は電極の突出部より一層長いのが普通であり、その結果、順次の溶接作業の間、及び所定の溶接作業中、抵抗加熱を受けるワイヤの実際の長さは100%を越えて、変化する可能性がある。即ち、電極の延長、即ち突出を決定しているLの寸法に比較し、上述の式の目的についてのLの値は100%を越える変化があり得る。
抵抗加熱を受けるワイヤの実際の長さが変化する場合には、順次の溶接作業の間、又は単一の溶接作業中に、所定のワイヤ送り速度で、必要な溶接電流が相当に変化することがあり得る。その結果、瞬間熱入力が相当に変化することがあり、溶接性能に悪い結果を生ずる。
基本的に一定電圧状態で、作動する溶接用電源を使用し、実施されるガス金属アーク溶接に、ワイヤ融解速度に関して上に述べた原理を適用する。電子手段により、金属滴移動のモードを制御するため、パルス電源もガス金属アーク溶接(GMAW)のために使用される。電流のパルスを加えて、消耗ワイヤを加熱し、金属滴の分離を引き起こす。ワイヤ融解速度と電流との間の関係は前に述べた式に与えられた関係より一層、複雑である。それにも関わらず、ワイヤ融解速度は予熱長さに大きく依存しており、それはチップ内に連続する電流送給区域を維持する性能にとって重要である。
チップの性能に関連する第2の問題点はチップに通るワイヤの送り能力である。金属滴移送過程に関連するプロセスの時間についての再現性は均一なワイヤ送り速度が確立され、維持されることが必要である。本発明の目的の一つは通常のガス金属アーク溶接(GMAW)で可能なワイヤ送り速度を著しく越えるワイヤ送り速度で、信頼性ある溶融金属を被着し得ることである。従って、チップに加わる機械的な作用を減らすよう、送る力は実際に低くなければならない。機械的な作用は摩耗を引き起こす。摩耗は電気的接触区域に問題を生じ、結局、チップの破損、溶接部の欠陥を生ぜしめる。
本発明の目的はコンタクトチップの消耗電極ワイヤとの電気的接触の制御を改善し、その結果、パルス電源、及び非パルス電源で一層安定した作動条件下で、溶接が可能なコンタクトチップを得るにある。本発明はワイヤ送り能力、及び連続電流送給の基礎的な物理的問題点に取り組み、ガス金属アーク溶接(GMAW)用に設計された広範囲の溶接用電源の性能を改善することができる。
本発明によれば、消耗電極を使用するアーク溶接に適するコンタクトチップを提供し、このコンタクトチップは電極を通し得る孔を画成する本体を有し、溶接用電源からの電流を本体から、電極に移動させることができる。孔の入口端と、出口端との間の孔の長さ、即ち孔の範囲の一部の中に、少なくとも1個の領域(以後第1接触領域と称する)を設け、この領域で、本体は電極と第1の電気的接触を行うことができるようにする。本体と、孔の範囲の残りの部分に沿う電極との間にいかなる第2の接触を生じた場合でも、この第2の接触は孔の第1接触領域での第1の電気的接触を実質的に短絡させないように、孔の範囲の残りの部分に沿って、本体を構成する。
第1の電気的接触は有効な溶接のため電極に十分な溶接電力を供給し得るものであるようにする。本体が第1の電気的接触を行い得る孔の第1接触領域は孔の長さの約10%より少ないと言うように、孔の長さの僅かな部分であるのが好適である。この僅かな部分は孔の範囲の約5%より少ないかも知れない。いずれの場合でも、第1接触領域は約3mmより少ないと言うように、長さが約5mmより長くないのが好適である。このことは本発明の特に重要な要旨である。第1接触領域は通常のチップ、及び先行技術で述べた装置の場合に比較し小さいから、ワイヤを送る力が小さく、チップに通るワイヤの通路は比較的妨げるものがない。これにより、ワイヤとチップとの連続する電気的接触が確立し、ワイヤを送る速度を早くしても、この連続する電気的接触が維持される。
孔の第1接触領域は孔の入口端であるか、又は入口端に密接するのが最も好適である。これに関連し、孔のことに言及するには、電気的接触が行われる通路を表すように意図するが、これは、通路、即ち孔の入口端まで達していて、電極の先端を通路、即ち孔の中に案内するようにしたテーパ案内部と区別するためである。
第1接触領域は孔の入口端にあるか、入口端に密接しているのが最も好適であるが、この領域は更に、孔に沿っていてもよい。従って、この領域は孔の入口端と出口端との中間であればよく、又は極端な場合には、出口端にあるか、又は出口端に密接していてもよい。
孔の入口端か、又は入口端に密接する第1接触帯域を有する場合の一つの利点は、これにより、電極の適切な予熱長さLを容易に確立することができることである。しかし、この領域が更に孔に沿っていれば、十分な適切な予熱長さLが可能であり、少なくとも或る瞬間に達成することが可能である。このことは、特殊なコンタクトチップに使用するように設計された溶接トーチについて最も明らかである。十分に適切な予熱長さは、出口端を越えて、コンタクトチップの延長部になるように、嵌着したコンタクトチップ延長管を設けることによって達成可能である。
第1の電気的接触を行うには多数の異なる方法がある。第1の方法は孔に通す消耗電極ワイヤが孔の第1接触領域を画成する表面に入り込むように、孔の形態を定めることである。コンタクトチップの入口端に一層近い第1接触領域の端部に、この孔に僅かな段を設けた形態の孔にすることができる。適切な段を設けることによって、第1接触領域を画成している表面の中に、電極が確実に入り込み、第1の電気的接触を確立することがわかった。この接触にはアーク放電を生ぜず、溶接を行っている間、この接触を維持することができる。第1接触領域の精密な位置は段の寸法、ワイヤの剛さ、及び曲率によって定まる。
段を設けることにより、孔に特別の形態を与えることによって、達成される第1の電気的接触は通常のコンタクトチップの場合の溶接でも驚くべき特性を発揮する。それぞれの場合、電極ワイヤと、通常のコンタクトチップとの間は比較的軽く摺動接触する。しかし、通常のコンタクトチップの場合、接触の数と位置とが変化してしまい、1個の接触による安定した乗り上げた状態の第1の電気的接触が得られず、アーク放電を免れなかった。これに反し、本発明のチップの孔の形態があれば安定性を達成し、接触位置はほぼ縦方向に一定に留まる。或る状態の時、本発明のコンタクトチップでも、始動の際、摺動接触するかも知れないが、これは第1接触領域を画成している表面に電極が入り込むことによって、迅速に解消される。
特殊な形態の孔を有する本発明コンタクトチップ、及び通常のコンタクトチップの両方について、電極ワイヤの曲率と、弾発性とはワイヤと、コンタクトチップとの間を接触させる主要な因子と考えられる。通常のチップの場合には接触に再現性が無いが、本発明チップの場合には再現性がある。しかし、いずれの場合でも、孔の中のワイヤについて、同様の間隙を使用して、必要な接触を確立することができる。即ち、少なくとも必要な接触が確立可能である場所のワイヤと、孔との間の直径の差はそれぞれのケースで、類似している。従って、本発明コンタクトチップにおいて、チップの入口端に一層近い第1接触領域の端部に設けた段は通常のコンタクトチップにおける所定の電極ワイヤのための標準間隙、又は標準公差の約半分である。この段は第1接触領域に沿って、標準の間隙から、標準の間隙より少ない値になるように、又は標準の間隙より一層大きな値から、標準の間隙になるように孔の直径を減少させる。従って、例えば、0.1 mmの間隙を与えるよう1.3 mmの孔の直径を有する通常のチップ用の1.2 mmの電極の場合、本発明チップは段による特殊な形態を有する孔を有し、この段により孔の直径を1.3 mmから、主要な接触領域に沿う1.25mmの直径まで減少させ、又は1.35mmから、この領域に沿う1.3 mmの直径まで減少させる。これらの形状によって示されるように、孔とワイヤとの間の間隙は直径の差に相当している。
孔のこの形態はコンタクトチップの入口端からの僅かな段付き孔によるものにしてもよい。しかし、これに対する代案として、少なくとも1個の挿入部により、孔の隣接部の直径より適切に直径を異なるようにした部分を画成し、段を設けてもよい。それぞれの場合、この段はほぼ均一な環状であるのが好適である。その形状は入口端に向いていて、孔に対し実質的に垂直な環状肩部を画成するような形状にすることができる。代案として、段を環状面取り部で生ぜしめてもよい。
他の形状では、接触手段を設けることによって、電極に第1の電気的接触が可能なように、コンタクトチップを構成し、孔の長さ、即ち孔の範囲の第1接触領域内の少なくとも1個の位置に孔を画成する表面に、摺動接触するように、接触手段によって、電極を保持する。それぞれこのような位置における接触手段はピン、プランジャ、ボール、ねじ等で構成し、それをコンタクトチップの本体内に取り付け、孔の横方向に突出させる。ピン、プランジャ、ボール等で構成した場合の接触手段は弾性的に押圧され、孔の中に突出する。ねじ等で構成した場合は接触手段を本体に螺着し、接触手段を回転して、接触手段の軸線方向に移動させ、孔の中に突出させる。それぞれの場合、接触手段は支持パッドを設けてもよく、これにより、ピン、プランジャ、ねじ等が電極に接触する。この支持パッドは耐摩耗性材料、又は一層軟らかな低摩擦材料にすることができる。支持パッドはグラファイトのような導電材料、又はテフロン(登録商標)のような電気絶縁材料で造ることができる。
コンタクトチップに接触手段を設けた場合、孔を特殊な形態にすることによって達成された電気的接触に本質的に匹敵する主要な電気的接触を接触手段が達成するのが好適である。即ち、接触手段は孔の第1接触領域を画成する表面と、ワイヤとの間に比較的軽い摺動接触をもたらすことである。この接触手段はワイヤを上記表面に固く接触するようにワイヤをクランプするのを避け、従って、最も細いワイヤでも、過度の摩擦、及び摩耗を生ずることなく、早いワイヤ送り速度が可能である。好ましくないクランプを生ずるのでなく、この接触手段は基本的にワイヤと、チップとの間の接触を設置する。従って、本発明によるコンタクトチップは0.8 mmのワイヤまで、及び若干の困難を伴うが、0.6 mmのワイヤまで、ガス金属アーク溶接のワイヤの直径の全範囲にわたり、適している。
第2の接触がたとえ生じても、第1の電気的接触を短絡させないのを確実にするための、本発明によるコンタクトチップは多数の異なる構成が可能である。第1の構成では第2の接触が実質的に防止するよう、孔の長さ、即ち孔の範囲の残りの部分にわたり、コンタクトチップに段付き孔を形成する。即ち、チップを使用しようとする電極に対し、コンタクトチップの孔は第1接触領域に沿って、小さな間隙のみを生ずる横断面を有し、孔の範囲の残りの部分に沿って、孔は実質的に一層大きな横断面を有する。従って、この電極は第1接触領域において、第1の接触を行うことができ、しかもこの領域の外ではコンタクトチップに第2の接触を行うことができない。必要なら、コンタクトチップに案内部材を設け、これにより第2の接触を防止するのを助ける。従って、孔の入口端で、又は入口端に密接して第1接触領域があり、出口端からこの領域までチップに段付き孔を設けた場合、コンタクトチップの出口端に絶縁端部取付け具を設け、この端部取付け具に電極を通し得るようにする。例えば端部キャップであるこのような端部取付け具には電極を通し得るよう孔と同軸の開口を設ける。この端部取付け具によって、コンタクトチップと電極との間の第2の接触を防止するのを助け、更に、電極の好ましくない横方向の移動を最少にする。
第2の構成においては、電極は第2の接触を行うことができる。即ち、電極は孔の残りの部分において、コンタクトチップに接触するのを妨げられない。しかし、この第2の構成では、このように構成しなければ、チップから、第2の接触の位置の電極までの発生する可能性がある電流路に対し、第1接触領域はコンタクトチップから電極まで好適な電流路を確立する。この好適な電流路によって、短絡の防止を達成することができ、この短絡の防止はほぼ一定の電極予熱長さLを維持することができる。重要なことは、第1接触領域で開放回路を生ずるかも知れないような恐らく短い間隔に起因するアーク放電を第2の接触は防止することができることである。
コンタクトチップは導電材料で全体を造ることができる。それにも拘らず、第2の構成において、第2の接触の可能性があっても、第1の電気的接触の短絡を避けることができる。これは第2の接触が単なる摺動の性質による結果であることよりも、接触抵抗が低レベルであり、しかも好適な電流路を生ずる第1の接触であることに起因する。即ち、第1接触領域の入口端における孔の形態から生ずるか、又は第1接触領域に設けた接触手段から生ずる第1接触は孔の残りの部分での摺動第2接触から生ずる接触抵抗よりも、低レベルの接触抵抗であることによって特徴付けられる。このため、孔の残りの部分は接触抵抗を減らすようないかなる特別な形態にもせず、比較的平滑にする必要がある。
いかなる第2の接触においても、接触抵抗を更に増大するため、孔は第1接触領域におけるよりも、残りの部分において一層大きな直径を有するようにする。更に、或いは代案として、孔の残りの部分を画成する材料が第1接触帯域を画成する材料よりも導電性が低レベルであるように、即ち電気的に絶縁性が高くなるように、第1接触領域、及び孔の残りの部分をそれぞれの材料によって画成する。
上述の事柄にも拘らず、短絡を避けることは第1の電気接触を維持している間のみ可能である。従って、第1の接触が接触手段による場合に可能であるように、孔の第1接触領域内で、少なくとも2個の隣接位置のおのおのにおいて、第1の電気的接触が可能なように本体を構成するのが好適である。従って、第1の接触が1箇所で失われることは起こりそうもなく、たとえ、あったとしても、同時にそれぞれの位置で接触が失われる。2個、又はそれ以上の接触位置がある場合には、これ等の位置は軸線方向に離れている必要がある。しかし、これ等の位置を互いに隣接させるため、孔の周りに角度的に離間させることも必要である。けれども、これ等の位置を角度的な関係にすることはできるが、縦方向に離間することはできない。
前に述べたように、2個、又はそれ以上の位置は縦方向に隣接していてもよい。接触点の1個が失われると、電極の予熱長さLは変化するが、それは僅かなものに過ぎず、遠い位置における短絡から生ずる変化に比較すれば、殆ど影響が無い程度である。しかし、重要なことは、2個、又はそれ以上の接触位置の1つで接触が失われた結果としては、開放回路の状態は簡単には生じないと言うことである。
本発明のコンタクトチップの構成では電極の抵抗加熱はほぼ最高であり、ほぼ一定である。これは第1の電気的接触の位置から、電極の先端と加工片との間に発生する溶接アークの頂部までの電極の長さLにわたるものである。第1の電気的接触の位置と、孔の出口端との間において、電極がコンタクトチップの本体に2番目に接触する少なくとも1個の点があるかも知れない。しかし、コンタクトチップの本体は孔の範囲の残りの部分に沿って、第1の電気的接触をほぼ短絡させないように構成されている。従って、もし仮に第2の接触が生じたとしても、この第2の接触は抵抗加熱を達成する有効長さLを減少させない。
コンタクトチップの本体は接触手段を設けることによって、電極との第1の電気的接触を行うことができるようにされており、この接触手段によって、孔の範囲の第1接触領域内の少なくとも1個の位置において孔を画成している表面に、摺動接触するように、電極が保持される。このような各位置における接触手段はピン、プランジャ、ボール、又はねじ等から成り、孔の中に横方向に突出するよう、コンタクトチップの本体内に取り付けられている。ピン、プランジャ、又はボール等から成る場合の接触手段は弾性的に押圧されて、孔の中に突出する。ねじ等から成る場合、接触手段は本体内に螺着され、ねじの軸線方向に孔の中に突出するように回転させることができる。それぞれの場合、接触手段は支持パッドを有し、この支持パッドにより、ピン、プランジャ、ねじ等を電極に接触させる。支持パッドは耐摩耗性材料、又は軟らかい低摩擦材料から成る。支持パッドをグラファイトのような導電材料にしてもよく、テフロン(登録商標)のような電気絶縁材料にしてもよい。
第1接触領域を画成している表面内に、電極が入り込むような特殊な孔の形態によって、電極による第1の電気的接触が行われるようにしている場合には、この孔は一層大きな横断面から、第1接触領域の横断面まで減少している。この導電領域では、孔の直径は一層小さいが、チップに通るワイヤの平滑な通過には十分である。この構成はこの領域の僅かな部分において、ワイヤが優先的に孔の中に入り込むようにされている。従って、有効な電流送給区域は第1接触領域の全導電範囲からではなく、ワイヤが入り込んだ領域からである。これは、接触面積が最大のところで、電気的接触の抵抗が減少すること、及び主要な電流供給路は最小全電気抵抗の1つであることのためである。孔のワイヤを案内する部分は銅、又は銅合金、又はシルバースチールのように硬化できる鋼のような単一材料から成る。代案として、好ましい材料から成る2個の材料を使用してもよい。電極を孔の表面に入り込ませる位置においては、孔を画成している材料は比較的高い硬度の一つから、比較的低い硬度の一つまで変化しているのが最も好適である。従って、電極のコイルの曲率、及び電極の剛さにより、電極をこの位置で孔の表面に摺動接触させ、比較的低い硬度の材料内に優先的に電極が入り込むように構成するのが最も好適である。
予熱長さLを安定させ得るためには消耗ワイヤの良好な送り能力は必要な条件である。これにより、ワイヤ送り速度の早い変化に関連する過渡電磁界を減らすことができる。ここに説明するワイヤ送り速度の変化については上述のYamada等の文献に記載されている。
本発明の理解を容易にするため、添付図面を参照して、本発明、及び本発明に基づく原理を説明する。
次の説明は本発明の理解を容易にするためである。この説明は基本的にはガス金属アーク溶接(GMAW)に基づいているが、原理、及び結論はサブマージアーク溶接(SAW)、及びフラックス入りアーク溶接にも適用することができる。
その最も基本的な説明においては、対応する直流電気回路の作動を参照して、ガス金属アーク溶接(GMAW)のための装置の作動を説明する。溶接用電源は基本的に、一定の電圧の電流供給源を供給する。この電圧に対する零基準は加工片の電位である。ワイヤの形状の消耗電極は溶接トーチの内側のライナを通じて、スプールから送られ、トーチの端部のコンタクトチップから出る。コンタクトチップの端部と、加工片の表面との間の空間内において、アークはワイヤの端部を加熱し、それを融解させる。液状の金属滴はワイヤの端部から加工片に移る。
金属の移動には2個の区別できるモードがある。第1のモードは浸漬移動であり、消耗ワイヤが瞬間的に、加工片の表面に接触する。一定電圧状態を維持しようとするに当たり、電源はワイヤの端部と加工片との間の短絡接触抵抗と、チップ内のワイヤとを通じて、短時間に電流の大きなバーストを加える。この電流のバーストはワイヤを融解し、ワイヤの端部と加工片の表面との間の空間内に、アークを生ぜしめる。このプロセスを毎秒、100回程度の頻度で繰り返す。全体的に、多くのサイクルにわたり、平均化される電流は比較的小さく、この理由のため、浸漬移動は金属シートの溶接のために使用されることが多い。浸漬移動による溶着の一つの重要な欠点は顕著なレベルのスパッタを生ずることである。
電流レベルが高いと、ワイヤの融解速度は十分に高く、そのため、ワイヤの端部と、加工片の表面上の溶解プールとの間に、比較的一定の間隙を維持することができる。金属の移動はワイヤの端部から離れた金属滴がアークを通じて移動し、加工片に達することによって行われる。この形式の移動は噴霧移動と呼ばれ、高速の溶着を達成するのに使用される。
図1は例えば銅ベリリウム合金で造られた円筒形の銅合金チップ10の一例を示す。チップ10は直径1.2 mmの密実な消耗鋼ワイヤを使用して、例えば、ロボットによる溶接に適する。このチップ10は浸漬移動モード、及び噴霧移動モードに適する。この例は代表的な溶接チップの作動原理を示すためと、本発明に関連する性能の改善を強調するために選ばれたものである。
チップ10はその入力端にねじ部12を有し、これにより、溶接トーチのコンタクトチップホルダに対し、機械的、電気的、及び熱的に連結することができる。ねじ部12は截頭円錐案内部13を有し、電流源となるコンタクトチップホルダにこのねじ部12をねじ込むことができる。また、このホルダはチップ内の電流によって発生する熱、チップ10内の消耗ワイヤに沿って伝導する熱、及びアークによって輻射される熱であって、次にチップ10によって吸収される熱の放熱体として役立つ。コンタクトチップホルダに到達する熱は水冷トーチであれば、トーチ内の水の流れにより除去され、空冷トーチであれば、トーチ内の空気の対流により除去される。
また、コンタクトチップ10はチップ本体16に貫通する縦孔14を有する。孔14は通常、消耗ワイヤの直径より、約0.1 mm〜0.2 mm大きい直径を有する。消耗ワイヤは案内部13によって、孔14内に案内される。鋼製フラックス入り消耗ワイヤによる溶接用に設計されたチップでは、0.1 〜0.2 mmの間隙が代表的である。一般に、この間隙が小さい程、ワイヤとチップとの間の電気的接触が一層確実である。アルミニウム合金のような他の消耗材料の場合には、これ等の合金が軟らかで、送るのが比較的困難であるため、間隙を一層大きくする。ワイヤとチップとの間の間隙を増大すれば、チップに通して、ワイヤを機械的に送る能力を助ける。
チップ10の本体16は8mm程度の平均直径を有する。この値はチップ10を通じて、コンタクトチップホルダに熱を伝導するのに十分であり、チップは銅の軟化を防止するのに十分な低温度で作動することができる。チップの全長は約35mmであり、案内部13の内端からの孔14の長さは約25mmである。この孔14の長さは孔14内で、本体16にワイヤが電気的に接触するのを連続して達成するのを確実にする。孔14の内面との消耗ワイヤの接触は孔14の入口端17において、又は入口端17と出口端18との間において、又は出口端18において行われる。また、接触はコンタクトチップ10の孔14内で1点、又はそれ以上の点で同時に行われる。これ等の接触点の位置はワイヤと孔14との間の間隙、一般に円形スプールからワイヤが送られる際のワイヤの曲率、及び溶接トーチの頸部のいくらかの湾曲のような因子によって定まる。
図1に示すコンタクトチップ10の35mmの全長は銅を使用する経済上から定められたものである。ガス金属アーク溶接(GMAW)では、チップ10の端部14bから出るワイヤ、溶接アーク、及び溶接プールのための保護ガスカバーを設ける必要がある。円筒状の溶接ノズルはチップを包囲し、チップの端部まで延びる。ガスの流れはチップの外面と、溶接ノズルの内面との間の環状領域内にある。
コンタクトチップの性能に最も関連があるものと言えば、最も重要なのはワイヤを送る能力である。ガス金属アーク溶接(GMAW)プロセスの平滑な作業は消耗電極を構成するワイヤ、又は条片のための均一な送り速度を達成することに依存していることは上述の Yamada 等の文献から知られている。そのようにすれば、均一な融解速度を達成でき、同時に、アーク長さのばらつきを減少させることができる。しかし、供給ローラシステムが銅製のコンタクトチップの送りローラ側で期待される一定ワイヤ送り速度を達成したとしても、トーチ側、従って、コンタクトチップから出るワイヤの側では、ワイヤはこれと全く相違していることを Yamada 等は発見している。彼らはむしろ、トーチ側では、ワイヤ速度は相当変動している可能性があり、そして、千分の数秒程度の間隔で、この変動はほぼ零の値から、平均ワイヤ送り速度のほぼ2倍まで変化する可能があることを発見している。
Yamada等によって報告された仕事に使用された銅製コンタクトチップの内面と、このコンタクトチップから出るワイヤの表面とを検査した結果、ワイヤと各コンタクトチップとの間に融解、溶融、及び付着を生じていたことを示した。コンタクトチップを通ずるワイヤの停止、始動はワイヤとチップとの間の相互作用が基本的な原因であった。
トーチ側でのワイヤ速度の変動はアーク長さの変化に本来的に影響を及ぼす。しかし、このワイヤ速度の変動の更なる悪い作用はLancaster による上述の文献によって明らかにされている。この文献において、Lancaster はアーク溶接作業中、コンタクトチップと加工片との間の空間内に、強力な電磁界が存在していることを報告している。電磁界は変化に抵抗しているが、電流を運ぶ移動する電気導線が物理的力、及び誘導される電流の影響を受け易いことが知られている。従って、消耗ワイヤ内、及びアークそれ自身内の電流に関連する電磁界はワイヤの速度の変化に抵抗するように、Yamada等によって報告された変動に応動することが予測される。この形式の電磁界の応動は消耗ワイヤ内に誘導される電流の変化に反映されると思われる。更に、誘導された電流、及び電圧も容認できる溶接条件を維持するための電流を供給する電源の安定した作動を妨げると考えられる。トーチ側でのワイヤ速度の変動から生ずる異常なワイヤ送りに関連する電圧、及び電流の過渡状態は次には消耗ワイヤの瞬間融解速度を変化させ、更にアーク長さの制御を悪化させ、潜在的にアークを不安定にする。
図1に示すコンタクトチップ10について、ワイヤ融解速度に関する理論的上限値、及びワイヤ融解速度に関する理論的下限値を確立することが可能である。代数式に基づいて、ガス金属アーク溶接(GMAW)におけるワイヤ溶着速度に関して、確立している公式を参照して、この原理をここに概略、説明する。その代数式は次の通りである。
W=aI+bLI2
ここに「W」、「I」、「a」、「b」、及び「L」は前に詳述したとおりである。簡明のため、しかし、一般性を失うことなく、ここでもダウンハンド状態
で、溶接を行うものとする。
ワイヤ送り速度の上限を確立するため、ワイヤがコンタクトチップ10に通る際、ワイヤは孔14の入口端17のみに接触し、次に再びチップに接触すること無く、チップを通って進行するものと仮定する。また、加工片(図示せず)からコンタクトチップ10の孔14の端部18までの距離がこのような溶接チップの通常の使用における代表的な値として、20mmであり、アーク長さが8mmであると仮定する。アーク長さは実際には電圧、電流、及び移動モードによって変化するが、説明を簡単化するため、アーク長さは一定と仮定する。孔14の長さは25mmであるから、パラメータ「L」は37mm(25mm+20mm−8mm)であり、即ち、ワイヤがアークの領域に入る前に、溶接電流によって37mmのワイヤが予熱される。これが「L」に関する上限値であり、従って、「W」に関する対応する値はワイヤ融解速度、従ってワイヤ送り速度に関する上限値である。
ワイヤ送り速度に関する理論的下限値も確立することができる。ワイヤがコンタクトチップ10に入る際、ワイヤはチップの孔14の出口端18のみで、接触するものと仮定する。これ等の条件下で、約25mm(孔の長さ)のワイヤの予熱長さが減少することになり、パラメータ「L」の有効値は12mm(20mm−8mm)になる。従って、「W」に関する対応する値はワイヤ融解速度の下限値を意味する。
銅をコーティングした1.2 mm直径の密実鋼ワイヤについてのワイヤ送り速度に関する刊行されたデータを使用し、パラメータ「a」、及び「b」を計算し、次に、図1に示す銅製チップについて、コンタクトチップの端部と、加工片との間の距離が代表的な20mmの距離である場合の、ワイヤ融解速度の上限値、及び下限値の見積り値を計算する。ワイヤ融解速度の上限値、及び下限値は100〜270アンペアの範囲の溶接電流について、図2に示す。図2に示すデータから、上限値と下限値との間には著しい差があることが明らかである。ワイヤ送り速度が約8m/分の場合に、12mmのLの値に対応する必要な溶接電流は270Aである。Lの値が37mmに増加すると、8m/分のワイヤ送り速度を維持するのに必要な電流は約180Aに減少する。約3m/分のワイヤ送り速度の場合には、必要な溶接電流は12mmのLの値に対応して、150Aである。Lの値が37mmに増加すると、溶接電流は約100Aに減少する。
2つのワイヤ融解機構、即ち抵抗加熱法、及びアーク加熱法のうち、抵抗加熱が好適である。それは溶接回路を確立している電流も消耗ワイヤを加熱するから、再現性があり、特に有効である。一方、アークは約20000Kの温度でのイオン化ガスによって特徴付けられている。例えば、消耗鋼ワイヤの融点は約1800Kであるから、アーク長さの精密な制御にはアーク優先プロセスの場合の均一な融解速度を達成することが必要である。12mmに比較し、37mmの予熱長さの利点は熱入力が減少するだけでなく、著しく一層有効な溶着プロセスになるからである。例えば8m/分のワイヤ送り速度の場合、L=12であれば、抵抗加熱は約4.5 mm/分になり、即ち全ワイヤ融解速度の丁度50%を越える値になる。L=37mmであれば、抵抗加熱は約6m/分となり、即ち全ワイヤ融解速度の70%になる。ワイヤ速度が増大すると、この割合は増大する。
図1、及び図2を参照してのこの説明から、コンタクトチップの孔の中の接触点の位置、及び数はワイヤ融解速度に大きな影響を及ぼしていることが明らかである。円筒形のコンタクトチップから、このチップ内のワイヤまでの電流の移動の若干の重要な特徴は円筒管の電気抵抗の解析によって確認される。このことは長さ25mm、内径1.2 mm、外径8mmの円筒管を参照することにより示される。このような電気抵抗について、2つの関連する限界値がある。
管の両端間に電圧を加えることによって、縦方向に、管に電流を供給する。対応する抵抗Rlongは次のように表される。
long=sxA-1
ここに、sは管の材料の固有抵抗、xは管の長さ、Aは断面積である。この管に通る電流がIであれば、電流を駆動する管の両端間の電位差Vは電流と抵抗との積によって次のように計算される。
V=IRlong
管の孔の内面と、管の外面との間に電圧を加えることによって、電流を供給することができる。この形態において、Rrad で表される管の実効抵抗値は次のよ
うに表される。
rad =ln(rO/rI)/(2πσx)
ここに、σは管の導電率、rO 、及びrI はそれぞれ管の外側の半径、及び孔の半径である。管の壁に通る電流がIであると、前に述べたように電流と抵抗との積から、電位差は次のように計算される。
V=IRrad
表1は銅、及びグラファイトのそれぞれの管について、Rrad 、及びRlongの計算した値を示す。表1における管形状の寸法は溶接コンタクトチップにおける電流の移動の論理を利用している。直径1.2 mmのワイヤは使用の容易さと生産性の面で最も普通の寸法の一つである。表1から、半径方向の抵抗は縦方向の抵抗の対応する値に対し、倍数の関係で小さいことが明らかである。従って、管から、この管内のワイヤへの最も有効な電流の移動は管の全長にわたり、ワイヤと管との間の緊密な接触を確立することによって達成されることが明らかである。これ等の理想化した条件下において、グラファイトの管ですら半径方向の抵抗は2.4 ×10-4Ωのように小さい。220Aの電流の場合、管の外面と孔の内面との間の対応する電位差は0.05Vと小さい。
Figure 0004676698
縦方向の抵抗は通常、対応する半径方向の抵抗より少なくとも倍数のオーダで大きい。銅については縦方向の抵抗は 3.5×10-6Ωであり、従って最小である。グラファイトについては縦方向の抵抗は10ミリΩである。220Aの電流の場合、グラファイト管の両端間の電位差は 2.2Ωであり、これは重要なことであると思われる。
半径方向に管壁に通って運ばれる電流によるチップの抵抗加熱は銅については最小であり、グラファイトの場合でも低い。オームの法則から、管から出るワイヤの電位は実際上、管の電位と同一であると考えられる。従って、管内のワイヤのいかなる予熱も最小であり、対応するワイヤ融解速度は可能な一層低い限界にあると思われる。そこで、代わりに何が考えられるかのこの例として、完全な電流移動の例があり、所定の電流についてのワイヤ融解速度は最小と考えられる。言い換えれば、孔の全長にわたり、ワイヤとチップとの間が完全に接触していれば、又は前に示したように、接触が出口端のみである場合、最小ワイヤ融解速度に達することになる。
実際上、消耗ワイヤとチップの孔との間には若干の間隙がある。多数の別々の位置で、電気的接触が起きる。従って、コンタクトチップ内のワイヤの2箇所、又はそれ以上の箇所の同時の接触点の結果を考えるのが適切である。考えるべき最も簡単な例は中間的な接触が無く、入口端と、出口端とでワイヤがチップに同時に接触することである。室温で、ベリリウム銅の固有抵抗は約7×10-8Ωm(表1参照)である。低炭素鋼の固有抵抗は約1.2×10-7Ωmである。銅製チップの横断面対、消耗ワイヤの横断面の比は通常、50:1〜100:1のオーダである。低固有抵抗の銅製チップに、比較的横断面が大きいチップを組み合わせることは入口端と、出口端との間のワイヤ内のいかなる電流も銅内の並列の電流路、即ちRlongによって著しく減少することを意味する。中間での接触が無くて、入口端と、出口端とで同時の接触があると、有効電流供給路はコンタクトチップの本体を通じて、チップの出口端で、ワイヤまで達する。最初に入口端のみで接触し、次に出口端で接触すれば、ワイヤのこの部分の電流が最小値まで減少するので、ワイヤも冷却することになる。
それ故、チップの出口端に電気的接触点があると、8mmのアーク長さに対し、Lの有効値は約12mmであることは、実際の限度内で不可避である。早くから行われたように、アーク長さは一定にされる。銅製コンタクトチップの摩耗を試験したところ、消耗ワイヤに基本的に連続的に接触していることを示す出口端でのキー保持作用があることを示している。図1に記載された形式のコンタクトチップについて、Lに対する有効値は12mmである。出口端におけるこの電流の移動は溶接電流の最少の生産的な使用を意味している。この電気回路はチップの出口端で完結しているが、溶接電流はチップを経て誘導され、チップ内のワイヤの予熱は最少である。
ワイヤとチップとの接触点の電気的安定性は更に密接な関係がある。ワイヤとチップの出口端との接触が一時的に失われると、ワイヤがアークの領域に入る際、ワイヤの端部の電圧はそうでなければ安定な値であるのに、その安定な値から変化する。アークの長さはアーク電圧に依って定まる。ワイヤの端部における電圧のいかなる変化もアークの長さ、即ちアークの安定性に悪影響を及ぼし、そのため溶接スパッタを生じ、消耗ワイヤの可能性あるバーンバックを生ずる。バーンバックを生ずると、チップにワイヤが溶着し、チップが直ちに損傷する。
所定の電流について、チップから出る消耗ワイヤの電圧の変動はワイヤの固有抵抗に依る。また電気的固有抵抗は温度に依る。従って、チップ内の消耗ワイヤの平均温度を予測することが必要である。Radaj の上述の文献では、自動的に定常状態で送られるワイヤ電極の場合、温度は電流入力点から、ワイヤの端部まで殆ど、直線的に上昇することが注目されている。アークに密接して、ワイヤの温度は急激に上昇する。ワイヤの端部に付着している液状の金属滴の温度は消耗電極の融解点より高いが、消耗ワイヤの沸点よりは低いものと考えられる。
銅製チップ内のワイヤの多数接触点の作用、及び銅製チップによる溶接の経験に基づいて、220Aの作動電流の場合、チップ内のワイヤの平均温度は100℃のオーダであることが予測される。対応するワイヤ送り速度は6m/分のオーダであり、金属の移動モードは噴霧移動であり、従って、この特定の例では220Aの選択になる。この予想される100℃の平均温度上昇は約40%の鋼の固有抵抗の増大を意味する。室温での固有抵抗が 1.2×10-7Ωmで、ワイヤ直径が1.2 mm,チップの孔の長さが25mm、平均溶接電流が220Aであれば、チップの孔の中のワイヤ25mm長さの両端間の電位差はオームの法則から約 0.8Vである。銅製チップ自身の電圧降下は最小であるから、チップから出るワイヤの抵抗加熱に関連する電圧の全体の変動は約0.8 Vになる。
製造業者のデータから、220Aでの噴霧移動のための電源電圧は30Vのオーダである。30Vのうちの0.8 Vの電圧の変動は多分、重要でないと考えることができる。しかし、チップから出るワイヤと、チップの出口端との間にアーク放電を発生する可能性は電圧の変動に関連する。接触が破れ、その逆に接触が再び確立されれば、ワイヤからチップへの電流の切り換えから、アーク放電が生ずる。また、アーク放電はワイヤの端部に、誘導電圧を発生する。更に、早く援用したYamadaの文献から、アーク放電はワイヤの表面、及びチップの孔を溶融させ、それはワイヤと、チップとの間に付着力を生ぜしめる。ワイヤの送り速度は異状なものになり、それがアークを不安定にし、スパッタを生ぜしめる。
上述の例におけるいわゆる100℃より著しく高い温度に、コンタクトチップ内でのワイヤの予熱を達成することが可能であることをここに示したい。チップに入る際、ワイヤは入口端で接触し、さらにはチップに接触しないものと仮定する。早く説明したように、Lの有効値は37mmであり、そのうちの25mmはチップの孔の中の部分である。これ等の状態下で、上述のRadaj の文献から、チップ内のワイヤの平均温度は約500℃であると考えられる。鋼に対して刊行されているデータから、チップ内のワイヤの固有抵抗は6×10-7Ωmに5倍に増大すると考えられる。オームの法則から、チップの孔内のワイヤの電圧降下は220Aの電流の場合、約2.9 Vである。チップ内のワイヤに発生する電力に関する対応する値は約650Wである。これは電流移動の最も生産的なモードを意味する。コンタクトチューブの入口に、電気回路が完成されており、全体の溶接電流は電気アークを維持するためと、消耗ワイヤを予熱するために使用される。入口端における接触が連続的に維持されれば、電圧、及びワイヤ送り速度の変動も最少になり、これにより、液状金属滴の形成、及び移送のプロセスを改善する。
また、チップは市販されているグラファイトで造られており、関連する作動温度で固有抵抗が2×10-5Ωm(表1参照)であると仮定する。表1から、直径8mmのグラファイトチップの縦方向の抵抗は0.01Ωのオーダであり、これはチップ内のワイヤの抵抗に匹敵することが明らかである。入口端、及び出口端での同時の接触があれば溶接電流はワイヤと、チップとの間でほぼ等しく分割される。減少しているとは言え、ワイヤの予熱はなお顕著である。
接触点が入口端と、出口端との間で交互に行われるとすると、電流の配分は消耗ワイヤによって、全体的に運ばれることから、消耗ワイヤと、チップとの間で分割されることまで、交互に生ずる。これ等の接触が行われ、接触が離れると、ワイヤとチップとの間にアーク放電が発生し、接触領域での局部的な加熱の程度は切り替わる電流の大きさによる。金属対、金属接触のため、この形式の電流の切り替わりはワイヤとチップの局部的な溶融を生じ、次にワイヤとチップとの付着を生ずると考えられる。銅製チップの場合には、切り替わる電流がグラファイトの場合より相当大きいから、問題は悪化する。グラファイト製チップの場合には、ワイヤがグラファイトに結合する傾向は殆どないから、従って、ワイヤ送り速度は安定した状態に留まる。チップの縦方向の抵抗がチップ内のワイヤの抵抗にマッチするように、適切な固有抵抗のグラファイト材料を選択することによって、消耗ワイヤに電流を十分に送給することも可能であり、同時に、上述の切り替わる電流を最少化することができる。また、銅の固有抵抗が非常に低いので、切り替わる電流をこの形式で減少させることができることも明らかである。
この説明から2つの結論が得られる。コンタクトチップが銅と同程度に、固有抵抗が小さい材料で造られていれば、電流移動の領域はできるだけコンパクトになり、多数の接触点を生ずる作用を減少させることができる。もしコンタクトチップをグラファイトのような固有抵抗が一層高い材料で造り、チップの縦方向抵抗と、ワイヤの抵抗とがほぼ匹敵するようになれば、この状態は緩和されるであろう。
ワイヤの抵抗にチップの抵抗をマッチさせるこの形式はアークの長さ、及び溶接電流の安定性を向上し、従って、ガス金属アーク溶接(GMAW)、フラックス入りアーク溶接(FCAW)、及びサブマージアーク溶接(SAW)の性能を向上させる。同時に、ワイヤの予熱の効果が実現され、即ち、パラメータLの有効値が増大する。ワイヤ、及びチップにおける電圧降下はワイヤ、及びチップの固有抵抗だけでなく、その寸法にも依るから、一層有用な結論は作動状態で、チップの抵抗はチップの最初の入口長さを越えるチップ内のワイヤの抵抗にマッチすべきであると提案することである。このようなガイドラインはチップ内のワイヤの多数の電気的接触点のアーク電圧に及ぼす好ましくない作用を減少させるものの、このガイドラインはワイヤと、チップとの最初の接触がチップの入口に残ったままであるとする仮定に暗黙のうちに依存している。例えば出口端に引き延ばされた接触があったとすると、このような延長された接触は、ワイヤ融解速度、及びチップの抵抗加熱の減少に起因し、結局、不安定になる。予熱長さLの対応する値が減少するため、ワイヤ融解速度が減少する。
従って、コンタクトチップの入口端がワイヤへの電流の主要な供給源であるのが好ましい。これを達成する一つの方法はワイヤとチップの孔との間の間隙を最小にすることである。間隙が小さいことと、スプールから巻きほぐしたワイヤの湾曲が少ないこととの組み合わせによって、入口端における良好な電気的接触を達成することができる。
チップの入口端における孔の方向に僅かな変化を導入することによって、チップの入口端での最初の接触点の安定性を著しく向上させることができる。ワイヤと孔との間の間隙を小さくすることと、孔の方向を僅かに変化させることとの組み合わせによって、常時、良好な接触を達成することを確実にし、孔の中で、更に生ずるいかなる著しい引き延ばされた接触の可能性をも減少させることを確実にする。このような形式の対策は銅製のチップについては一般に使用されていない。製作中に、複雑な機械加工が必要なため、相当なコストの増大になる。それにも関わらず、若干の前例がある。例えば、英国特許第2074069 号は入口端で方向を僅かに変化させた複雑な銅製チップの設計の例を示している。銅製チップの場合、このような形式の対策の利益は非常に制限される。多数の箇所で接触する場合の好ましくない作用は尚、存在しており、特に、チップへのワイヤの付着がある。
チップの材料についての5つの性質はワイヤ、又は線条の均一な送りを達成するために特に望ましいものである。その第1はワイヤ、又は線条と、コンタクトチップの材料との間が低摩擦係数であることである。低摩擦係数であれば、ワイヤがチップに通る際、比較的一定のワイヤ送り速度を達成することができる。チップの材料が自己潤活性であるのが理想的である。
第2の要件は溶接アークに近いこと、及びチップ内で加熱される消耗ワイヤに関連する高い温度に対する抵抗である。従って耐火材料が望ましい。
消耗ワイヤ又は線条と、コンタクトチップの内面との間の電気的接触は例えばワイヤ、又は線条の寸法の不規則性に起因して、連続的でないかも知れない。従って、間欠的な電気アークがチップの内側に生ずる。このようなアークは消耗ワイヤの融解点に接近する温度、又は融解点を超過する温度まで、消耗ワイヤを局部的に加熱することが起こり得る。この場合、消耗ワイヤの表面に生ずるいかなる液状金属も直ちに、濡れ状態にならず、次にコンタクトチップの内面に結合しないのが望ましい。適当な耐火性の非金属材料から成るコンタクトチップがこの要件を満たすものと期待される。
第4の要件は多数の電気的接触の結果についての以前の説明から導き出される。その説明はコンタクトチップの材料の固有抵抗についての設計ガイドラインに到達しており、即ち、チップ内のワイヤの抵抗はチップの縦方向の抵抗にマッチすべきであると言っている。銅チップ内の鉄の消耗ワイヤの場合、抵抗の相違は約2桁である。アーク放電による損傷を実質的に減少させるため、5倍以内に抵抗がマッチしていることが期待される。
第5の要件はチップの材料が良好な熱伝導体であって、チップ内、又はチップ内のワイヤに生ずる熱、又はアークから吸収された熱をコンタクトチップホルダに伝導することによって、除去することである。
これ等の要件に合う材料はグラファイトであり、グラファイト棒から全体のコンタクトチップを機械加工することによって、市販可能なチップを設計することができる。次に、機械加工した本体には取り扱いを容易にするため、全外面に銅、ニッケル、又はクロムの電気めっきを行う。但し、溶接アークに露出する作用端はめっきしない。次に、この作用端には電気絶縁耐火ラッカをコーティングするのが好適であり、このラッカを乾燥した後、孔を穿孔する。でき上がった製品の一例を図3に示す。この形式のチップは浸漬移動に関連して、即ち金属シートの溶接の場合、低電流適用に対して、有効な寿命時間を有する。噴霧移動に対しては寿命は減少する。
図3を特に参照し、このコンタクトチップの全体の形状は図1のチップ10に類似している。対応する部分にはチップ10に関して使用した符号に20をプラスした符号を使用する。従って、図3のチップ30は入口端にねじ部32を有し、本体36は入口端37から出口端38まで延びる貫通孔34を画成している。また、ねじ部32は案内部33を画成していて、この案内部33は孔34の入口端37に達する。チップ30に、本体36の作用端の周りに、電気絶縁性の耐火性ラッカコーティング(図示せず)を設ける。
前に述べたように、グラファイトから、図3に示すようなチップ30を造ることができるが、この段階までに説明したように、このチップは満足なものでない。これは、チップの入口端での電極と、チップとの間の接触区域は希望するワイヤ融解速度を達成するために、必要な大量の電流を移送するには不十分なためである。本体36から電極までの電流の流れは2箇所、又はそれ以上の数の接触点になる傾向がある。グラファイトにおける多数の接触点の作用は銅の場合より厳しくはないが、図3におけるようなグラファイト製コンタクトチップの場合には、孔34内での端部37における、又は端部37に隣接する最初の接触点が更に孔34に沿う他の接触点におけるよりも少ない接触抵抗を有するように確実になる手段を設けることが必要である。図3においては、これは接触手段40によって得られる。
手段40は半径路42に設けられており、この半径路42は孔34の端部37で、又は端部37に隣接して、孔34に連通している。半径路42内の手段42はプランジャ部材43を有し、このプランジャ部材43は半径路42の外端に取り付けられたキャップ45により半径路42内に保持されたコイルばねのようなばね44によって、軽く押されている。ばね44はプランジャ部材43を孔34に向け、押圧していて、プランジャ部材43の先端を孔34内に突出させる。この構成によって、孔34に電極が通っている時、プランジャ部材43の突出端は電極に圧着することができ、手段40から遠い孔34の側で、電極を本体36に摺動接触させる。従って、手段40は電極と本体36との間の接触抵抗を最小にするような接触を達成することができ、これにより、孔34に通る電極の移動に僅かな抵抗が生ずるのみにすると共に、電極の抵抗加熱を維持し得る最初の電気的接触を確立する。
手段40のプランジャ部材43は電気絶縁材料、又は導電材料で形成することができる。
図3の説明はグラファイトで造ったコンタクトチップ30を参照して行ったが、手段40を設けて示したこの構成は他の材料から成るコンタクトチップにも使用するのに適切である。従って、グラファイト、それ自身に代わり、コンタクトチップ30をグラファイト/炭化珪素複合体のようなグラファイト複合体で造ることができる。代案として、チップ30を銅、又は銅合金で造ることもできる。銅の使用よりも費用を節約し得る一層有効な代案では、チップ30を鉄、又は鋼にすることができる。それぞれの場合、手段40は必要な最初の接触点を確実にする実際的な方法を提供する。しかし、手段40を設けても、孔34の長さが約12mmになるようにチップ30を比較的短くするのが好適である。
噴霧移動にも適する一層堅牢な変形は炭化珪素−グラファイト複合材料のような複合材料から造ることができる。炭化珪素とグラファイトとの割合は固有抵抗に対するガイドラインに合うように選択することができる。これ等の形式の複合材料の原材料は一般に粉末の形である。従って、入口端で、方向を僅かに変化させた孔を成型することができる。このようにして、チップの入口における非常に信頼性が高い電流送給点により、性能を向上させることができる。一層性能を高めるためには、組成を機能的に向上させて、孔の入口までのねじ付き端部の導電率、及び熱伝導率を高くし、次にチップの端部に向け、これ等の導電率、及び熱伝導率を徐々に減少させる。炭化珪素とグラファイトとの組み合わせはここでは単に例として示したものである。実際上、グラファイトと金属との複合体、及び金属とセラミックとの複合体(即ちサーメット)もコンタクトチップの製作に使用することができる。
溶接用の電力を供給する際の最適な性能を達成するために、2つの重要な電気的要件がある。第1に、溶接回路での一時的な電流、及び電圧の変動を最小にするため、非常に低い電気抵抗の連続する安定な回路を経て、電源から消耗ワイヤまで電流を供給することである。第2の要件はパラメータLの有効値が時間に関し、安定していて、1つの溶接操作から、他の溶接操作へ再現性があるように明確に画成された接触区域を確立することである。チップの本体が銅、又はその他の固有抵抗が非常に低い材料で造られている場合には、最初の接触区域はできるだけ短くすべきである。
図4はこれ等の要件に、基本的に適合するコンタクトチップ50の一例を示す。この特定のチップ50はガス金属アーク溶接(GMAW)のために設計されたものである。チップ50に使用する消耗ワイヤは直径0.9 mmである。チップ50の全長はほぼ38mmであり、この全長は0.9 mmのワイヤ用に設計された市販のコンタクトチップの全長である35〜40mmの範囲内にある。しかし、チップ50の形状は0.9 mm以外の直径のワイヤにも適する。チップ50は通常のチップに直接交換できるように設計されている。
コンタクトチップ50は円形横断面を有し、電極を通し得る孔52を画成している。チップ50は孔52のそれぞれの部分を画成している各3つの部分を有する。第1部分54はチップ50の入口端56から、その全長の小部分にわたって延在している。この第1部分54はチップ50の残りの部分より径が小さく、おねじ57を有し、溶接トーチ(図示せず)のコンタクトチップホルダ(図示せず)内にチップ50を螺着することができるようにしている。第1部分54内では、孔52は段付き孔になっていて、入口端56における大径の孔部分58を設けており、この入口端から孔52は截頭円錐テーパ部59を有し、第1部分54を越えると、小径の形状になっている。
チップ50の第2部分60は第1部分54と一体に形成されている。例えば、約5mmのテーパ部59から短い距離にわたり、孔52は第2部分60によって画成された長さ、即ち範囲61を有し、最小の直径を有する。範囲61から、孔52はチップ50の第3部分64によって画成された残りの長さ、即ち範囲62を有する。第3部分64は第2部分60内の環状挿入部である。第2部分60はチップ50の端部65から段付き孔が形成されており、第3部分64を収容する。第2部分60内に、第3部分64は堅く嵌着されているか、又はセラミックペーストによって保持されている。
上述したように、チップ50は全長約38mmで、直径0.9 mmの消耗電極ワイヤに使用するように設計されている。そのような背景において、部分54、及び60はそれぞれ約10mm、及び28mmの長さを有する。入口端56における孔部分58に沿って、孔52は約4mmの直径を有し、長さ61にわたり、1.0 mmまで直径を減少し、0.9 mmの消耗ワイヤに対し、0.1 mmの間隙を生じている。長さ62にわたり、孔52は消耗ワイヤに対して、0.5 〜1.0 mmの間隙を生ずる直径を有する。
コンタクトチップ50の第1部分54、及び第2部分60は比較的導電率が高い金属から成る。第3部分64は非金属の電気絶縁材料で造られる。第1部分54、及び第2部分60は硬引き銅、又は銅合金のような銅で造るのが好適である。第3部分64はアルミナ、又は機械加工可能なセラミック材料のような耐火性電気絶縁性材料で造られる。しかし、他の導電性材料、及び絶縁材料も使用することができる。
孔52の長さ62の部分の直径は消耗ワイヤの直径より約0.5 〜1.0 mm大きい。間隙は厳密ではないが、溶接中に、ワイヤが動揺するのを避けるため、第3部分64では、過大な間隙は推奨できない。嵌合があまりに密であると、消耗ワイヤとセラミックとの間に摩擦を生じ、消耗ワイヤの送り能力に悪影響を生ずる。また、第3部分64は無孔性セラミックであるのが最も好適である。多孔性セラミックであると、化学的に結合して水を含み、及び/又は第3部分64を保持するセラミックペーストから水を送出することがあり得ることがわかった。代案として、この銅製の管の端部を叩いて、即ち、かしめることによりセラミック挿入部を保持してもよい。
孔52の入口端56における孔部分58と、テーパ部59とは孔52の長さ61、62に通す消耗電極を案内する役割を果たす。チップ50の第1部分54は消耗電極に電気的に接触することでなく、案内の役割を果たすと共に、トーチのホルダ内にチップ50を取り付けることができるようにすることである。このような接触は部分54を越えてから、孔52内で行われるのであり、電気的接触を行う目的のためには、孔52の有効な入口端はテーパ部59と、長さ、即ち範囲61との間の接合部にある。
コンタクトチップ50の重要な要旨は加圧点66であり、これによりチップに入るワイヤは孔52を画成している表面に押圧される。加圧点66によって、チップの孔から、チップの良好に画成された区域内にあるワイヤまで電流を送ることができる。従って、前に述べたパラメータLの値も明瞭である。この場合、パラメータLの値はこの加圧点から、ワイヤの端部の溶接アークまでの距離である。
全てのコンタクトチップは溶接トーチ内のコンタクトチップホルダに組み合わせて使用するように設計されている。使用に当たり、チップはコンタクトチップホイルにねじ込まれ、チップの本体の後面がコンタクトチップホルダの相手面にしっかりと接触する。これにより、機械的な安定性が得られ、しかもコンタクトチップに発生する熱をコンタクトチップホルダに伝える通路を生ぜしめ、従って、空冷、又は水冷によって、トーチの本体からこの熱を次に除去する。ここに示すチップの大部分の設計に共通な一つの重要な特徴はチップ内の電流送給区域の位置である。予熱長さを最大にするため、電流送給区域は孔の有効入口端の付近に位置しているべきである。接触区域内に発生する熱、及びチップ内のワイヤに沿って伝導する熱を除去するのを助けるため、ここに示すチップ内の電流送給区域はねじ付き入口端におけるよりも、チップの本体内に位置しているのが好適である。これにより予熱長さは減少するが、その欠点は作動温度が低いこと、及びそれにより全体的に一層信頼性がある性能を発揮し得ることによって相殺される。
チップ内の加圧点は多数の方法で行うことができる。図4に示す加圧点66はチップ50の第2部分60に孔52の長さ61まで半径方向の孔67を穿孔することによって造られる。以前に詳細に説明したチップ50の寸法について、半径方向の孔67の適切な直径は約3mmである。次にこの孔67をねじ孔にし、止めねじ68を挿入し得るようにする。止めねじ68の目的はチップに入っているワイヤに当たっているねじ68の先端にある少量の軟らかい耐火材料の圧縮プラグ69に対するものであり、これによりワイヤを孔の長さ、即ち範囲61の一側に押し付ける。プラグ69の適切な材料の例はテフロン(登録商標)、グラファイトを付加したテフロン(登録商標)、及びグラファイトテープである。これ等の材料は高い温度で安定しており、十分に軟らかく、孔内のワイヤの形状に合致し、これにより、ワイヤとの軟らかい、低摩擦の、一般に連続する機械的な摺動接触を達成する。従って、加圧点に摩擦力を導入するにも拘らず、チップにワイヤを押すのに必要な送り力は過大なものにならず、即ちワイヤの送り能力に有害でない。
図4に説明した形状のチップが造られ、その性能は実験室のテストで評価された。基本的に同一の溶接条件(即ち電圧、ワイヤ送り速度)で作動する全体的に類似の寸法の通常の銅製チップに比較して、いかなる所定のワイヤ融解速度についても、電流、従って熱入力が減少することがわかった。図4に示すチップ50のLの値は通常の銅製チップの対応するLの値よりも、相当大きな値である。ワイヤ内の電流は通常の銅製チップの電流よりも、一層長いワイヤを予熱する。ワイヤ融解速度の式を参照すれば、Lの有効値を増大することができれば、Wの所定の値について、このWの値を維持するのに必要な電流が減少することは明らかである。更に、溶接ヒュームも相当減少する。ヒュームの減少はワイヤの送り能力の改善、及び電気アークの影響が減少したことによると思われる。Lの値が大きい程、ワイヤ内の電流による抵抗加熱の融解速度Wへの貢献度が大きくなる。極端に高い温度であることによって、特徴がある電気アークの役割は減少する。従って、ワイヤの端部から加工片に移動する金属滴の温度は同一のワイヤ融解速度で作動している通常の銅製チップの場合の対応する温度より低くなるものと期待される。従って、アークに露出しているワイヤの端部からの金属の蒸発は減少する。ワイヤの端部からの金属の蒸発がヒュームの顕著な原因であるから、所定のワイヤ融解速度Wについて、発生するヒュームの全量は減少する。ワイヤ送り能力の改善によって、発生するヒュームの更なる主要な減少がある。溶接スパッタも著しく減少する。スパッタのこの減少は一部は金属滴の温度の低下に起因しており、従って、消耗ワイヤの端部における溶解金属の流動性の減少に起因していると信じられている。更に、発生するいかなるスパッタも加工片に付着する傾向が少なくなるが、これはスパッタの金属滴の温度が低下するにつれて、液状金属滴と比較的低温の加工片との間の結合の可能性が減少するためである。
図4に示したチップの作動に関し注目される特性がある。これはトーチ内のワイヤの次の試験によって確認された。溶接パス、即ち溶接の進行方向に行う1回の溶接操作の終点で、溶接電流を切り、或る長さのワイヤ(通常1m)をトーチの端部でトーチに通して送る。送られるワイヤの長さに沿って、任意の位置で、ワイヤの表面に変色を生じているのが観察されており、これは送りロールと、コンタクトチップとの間のトーチの領域で、即ちワイヤがチップに入る前に生じたアーク放電により変色したものである。このアーク放電は検査に先行する直前の溶接作業中、生じていた。ここで、トーチ内のワイヤは密接する巻回が螺旋状に巻かれている通常、鋼のライナによって案内される。このライナは溶接機内の送りロールから、コンタクトチップまで延びており、一般にチップに接触している。
コンタクトチップ内のワイヤがチップの孔に接触していない時、短い瞬時(恐らく、数千分の1秒、又はそれ以下)の間の先行する溶接作業中に、アーク放電が発生していたと結論付けられた。このような接触の不具合はワイヤの直径が局部的に変化していること、ワイヤの表面に酸化物が付着していること、及びチップ内で、ワイヤが側方に移動することに起因する可能性がある。これ等の短い瞬時の間に、チップ内の電気回路が開くことがあった時、チップの外側で、他の高い抵抗の回路を生じる可能性があり、この回路に、これ等の回路を完成させる一時的な電気アークを形成すると考えられる。これ等の好ましくない電流路の一例は電源の出力端から、コンタクトチップへ、コンタクトチップの先のワイヤライナへ、次にチップ内のワイヤを経て、チップを越えて出て、チップの先方に進んでいるワイヤの部分へ、更に、溶接アークに達し、加工片で終わる。結局、このような間欠的なアーク放電はライナを破壊する。また、トーチ内のワイヤ自身がライナに溶着すると、溶接が不完全に行われる。鋼のライナの代わりに、一種類のテフロン(登録商標)のような絶縁物で置き替えれば有利である。アーク放電は溶接回路内のどこかで発生し易いが、予測することができず、好ましくない結果を招く。図4のチップ50を向上させる一層良好な対策は回路を開く状態を無くすることである。
図4に記載された形状のチップにより溶接を行っている間、金属移動は明らかに満足に行われるから、大部分の溶接時間にわたり、電流の移動はそれぞれのチップ内の加圧点で発生していたと結論することもできる。回路が開く状態を避ける一つの方法は第1加圧点に密接して、第2加圧点を設定することである。実際上、両方の接触点は大部分の時間、閉じられていると考えられる。これ等の接触点の一方が開いていると、電流の移動は他の接触点を通じて行われる。これ等の加圧点が隣接しているから、これ等の加圧点は基本的に同一の電位で作動しており、溶接アークは安定している。従って、電流の移動は連続的であり、ワイヤへの電流の供給に関連する過渡電圧、及び過渡電流が無くて、スパッタが実質的に減少する。既に述べた理由により、ヒュームの発生が減少する。要するに、両方の接触点が同時に開く可能性は省略できる程小さい。
従って、2個の加圧点を有するチップ50aを構成し、図5に示す。これは図4のチップ50とほぼ同一であるが、相違するのは2個の加圧点があることであり、対応する部分には同一の符号に「a」を付して示す。2個のねじ孔67aがあり、それぞれプラグ69を有するねじ68aを螺着する。図5に示すチップ50aの作動は通常の銅製チップより優れていることがわかった。チップに入る前のトーチ内のワイヤに、アーク放電を生ずる徴候はない。溶接中、アークの長さは安定していた。図5に示す本発明を開発中に、ガス金属アーク溶接(GMAW)に関する新たな原理が確立された。摺動する電気接触に関し、基本的に同一の電位で作動する2個(又はそれ以上の個数)の電流送給点で、電流を供給することにより、最適な電流の移送を達成することができる。これ等の電流送給点を電気スイッチに相当するものと考えれば、両方が同時に開く可能性を無視してもよいように、常時閉じた状態、即ち常閉状態で機能するよう、これ等のスイッチを設計すれば、最適の性能を達成することができる。これ等のスイッチを同一の電位で作動するように設計すれば、両方のスイッチが閉じた状態で、これ等スイッチに依存する外部回路の性能はこの対をなすスイッチの一方のみが閉じている状態での性能と区別することができない。従って、この外部回路は接触部の一つにおける電流の移送での短い時間での変化に関連する一時的な変化を受けにくい。観察される他の過渡的現象はプロセスに対する固有のものである。ガス金属アーク溶接(GMAW)の場合には、金属滴の移動は逃れられない過渡的現象を起こすが、金属滴の移動は基本的に理想的な状態下でも発生し、ガス金属アーク溶接(GMAW)の真の能力を実現することができる。
有効に同一の電位で作動する2つの電流送給点を使用することに関連する付加的な顕著な利点がある。この利点は電極のバーンバック現象、即ちワイヤがコンタクトチップに焼き付く現象に関係がある。安定した作動条件下では、アークの長さは通常、コンタクトチップの端部と、加工片との間の距離の半分以下である。例えば、ワイヤの直径の局部的な変化に起因して、ワイヤとチップとの間の電気的接触抵抗が増大すると、一定の電圧の条件の許でも、ワイヤの電流は減少する。このことはワイヤの融解速度の急激な減少を招き、対応してアーク長さが増大する。或る条件下では、アーク長さはコンタクトチップの端部と、加工片との間の解離距離を越えることが起こり得る。電極はチップの内側で、バーンバックを起こすと言われており、電極がチップに溶着し、又はチップの孔に楔着するかも知れない。通常、チップの損傷は修理不可能である。2個、又はそれ以上の個数の加圧点を使用すればワイヤと、チップとの間の間欠的な高い電気的接触抵抗から生ずるバーンバックの可能性を減らす。これは両方の接触点が同時に、高い抵抗を有することは起こりにくいからである。
図4に示すチップと、図5に示すチップとの間には他の重要な相違がある。図4では、電流は約5mmの銅の孔の長さ、即ちチップ50の孔52の長さ、即ち範囲61にわたり、消耗ワイヤに電流を移送する。セラミック挿入部の長さは約23mmであり、それ故、チップの内側のワイヤ予熱長さの下限は23mmである。図5においては、挿入部64aは図4の挿入部64より約5mm短い。従って、電流は銅の大きな割合を占める孔の長さ、即ち範囲61aである10mmの部分にわたり、消耗ワイヤに移送される。それ故、チップの内側で予熱されるワイヤの長さについての下限は18mmである。電流が送給される孔の長さが長くなればなる程、全体のチップの長さが一方に保たれていれば、チップ内でのワイヤ予熱長さは一層短くなることは明らかである。電流送給区域は摩耗し易く、狭い電流接触区域は広い電流接触区域より一層早い速度で摩耗すると仮定することには理由がある。従って、所定のワイヤ融解速度での電流の減少によって評価される性能と、チップの寿命との間にバランスがある。一般的なガイドラインとして、電流の接触長さをチップの全長のかなりの部分にすることは望ましくないと考えられる。これに関して、更に重要な考慮が存在する。生産性の最も重要な対策の一つはワイヤ送り速度である。接触面積はチップに通るワイヤの平滑な通過に対する障害を意味している。接触面積が一層狭ければ、この障害は一層小さくなり、従って、最大作動ワイヤ送り速度は一層高くなる。図5に示すチップは図1に示すチップに比較し、比較的小さい接触面積を有する。図5に示すチップは20m/分のワイヤ送り速度で確実に作動させることができる。これは直径0.9 mmの消耗ワイヤについて、製造業者の推薦以上に好調である。
金属孔の第1部分で、この孔を画成する材料と電極が軽い摺動接触するように加圧点を構成する手段は種々の形状にすることができる。図3の特定の例では、電極は軽く摺動接触するように弾性的に押圧されている。この構成では、孔の第1部分に対し横方向に延び、この孔の第1部分に連通している通路をコンタクトチップの本体が画成している。この通路は接触部材とばねとを収容しており、このばねは電極に掛合させるため、孔内に接触部材を強制的に押圧するように作用している。このばねは、この通路から遠い孔の側面に電極が軽く摺動接触するように、接触部材を介して、電極を押圧している。このばね負荷接触の利点はワイヤの寸法の広い範囲に応じられるように、1個のチップを設計し得ることである。例えば0.9 mm〜1.2 mmの範囲の直径のワイヤに機能し得るように1個のチップを設計することができる。
ガス金属アーク溶接(GMAW)の消耗ワイヤは2つの形式のパッケージで供給される。最も普通のパッケージは通常、約15kgの容量のコンパクトスプールである。このワイヤはスプールに巻き付ける際、生ずる変形に関連する固有の曲率を有する。この曲率は2つのパラメータによって特徴付けられる。一つは電極のキャストと称するもので、スプールから巻きほぐされる拘束されていないワイヤの1個のループの直径である。他のパラメータは螺旋と称するもので、ワイヤの単一ループの端部がループの始まりから、上方にある垂直距離である。第2の形式のパッケージは可搬式厚紙ドラムに、コンパクトに巻いて収容されたワイヤの少なくとも300kgを保持する容量を有する「オートパック」と称するものである。
いずれの形式のパッケージでも、パッケージから供給されるワイヤの曲率はワイヤをコンタクトチップの材料内に、入り込ませるように作用する。このことはチップ内での確実な電気的接触を生ずるのを助けることができる。しかし、このことはまたコンタクトチップの摩耗を生じ、最終的には性能が低下する。図4、及び図5に示した形状のチップに関し、加圧点(単数、又は複数)の最適な角度的な位置はワイヤがチップに通る際のワイヤの凸状の曲率に合致することである。
図4、及び図5に示す加圧点を使用することはチップに通るワイヤの移動に対する機械的な制約が導入されることを意味する。しかし、2つの平素閉じている電流接触点を供給する原理の異なる提供によって、チップに通るワイヤの移動を直接制限すること無く、図5に示す形状のチップから得られるような同一の形式の性能を再現することが可能であることを我々は発見した。
図6はこの例を提供するそのようなコンタクトチップの一例を示す。図4のコンタクトチップ50の構成部分に対応する構成部分を同一の符号に「b」を付加して示す。チップ50bは直径0.9 mmのワイヤ用に設計されているが、ここで採用される設計原理は直径0.9 mmのワイヤに限定されない。チップ50bは部分54b、及び60bを画成する本体を有し、この本体はこの特定の例では、クロム、及びジルコニウムを含む銅合金で造られている。部分54bはテーパ円錐案内部59bを画成していて、孔52b内へのワイヤの平滑な進入を容易にしている。また、本体は孔52bの短い入口の長さ、即ち範囲61bを画成する。部分64bは2個の挿入部を有し、これ等の挿入部は孔52bの長さ、即ち範囲62bを共に画成している。第1挿入部70は微細な粒子の押し出されたグラファイトが好適なグラファイト製であり、孔52bの第1部分の長さ、即ち範囲62bを画成している。第2挿入部は耐火性接着剤で銅合金本体の内側に接着されたアルミナのような細長いセラミック管72である。セラミック管72はチップから出るワイヤのための案内として作用し、コンタクトチップ50bの出口端65bを画成している。
銅のような金属の膨張係数は一般に、セラミック材料の膨張係数より大きい。一層高いチップの作動温度である用途においては、セラミック管72から成る挿入部は銅製の本体内で、緩む可能性がある。管72が移動するのを防止するため、銅製本体の端部65bにおいて、管72をかしめることにより、挿入部が抜け出すのを防止する。代案として、挿入部におねじを設け、この挿入部を受け入れるように変更した銅製の本体内に挿入部をねじ込む。
溶接中、円錐入口部54bを通じて、ワイヤをチップ50bに入れ、銅合金本体内の孔52bの入口端部61bで、このワイヤをチップ50bに、第1の抵抗が低い接触を行わせる。孔の部分61bの直径は約1.05 mmであり、従って、ワイヤと孔の部分61bとの間の間隙は約0.15mmである。これはワイヤをチップ50bの孔52b内に、平滑に通すのに十分である。第2の抵抗が低い接触区域はグラファイト製挿入部70内の孔の部分62bの始めのところである。グラファイトは銅より軟らかいから、ワイヤ自身がグラファイト製の挿入部の孔の部分62b内に入り込み、第2電流接触部を生ずるが、この第2電流接触部は平素、閉じた接触部、即ち常閉接点に相当すると考えられる。グラファイト製挿入部70の孔の部分62bはその直径が約0.95mm、即ち、銅製の本体内の孔の部分61bより約0.1mm小さく、プロセスを行っている間、ワイヤがグラファイトに入り込むのを許容する。新たなチップ50bの場合、第1回の溶接が開始された殆ど直後に、この入り込みが発生するが、この入り込みは最初に、即ち、次の使用に当たり、性能をあまり損なうことはない。グラファイト製挿入部70の孔の部分62bの直径はグラファイト内にワイヤが緊密に嵌合しないよう0.95mmよりあまり小さくしていない。上に詳述したように、図6のチップの構造に使用する形式のグラファイトのような比較的導電性が低い場合でもその半径方向の電気抵抗は極端に小さい。ワイヤと、グラファイト製挿入部70内の孔52bとの間の緊密な嵌合はグラファイト製の挿入部70をしてワイヤの電流を短絡させ、グラファイト製の挿入部により、予熱長さLを減少させ、グラファイト挿入部から出るワイヤの電圧を変化させる。更に、これによりアーク電圧、及びアーク長さを不安定にし、最終的に溶接に欠陥を生ぜしめる。
挿入部70と、銅合金の本体の部分60bとの間が締りばめになるように、グラファイト製挿入部70の外径を定める。組み立て中、挿入部70の外面に加えた導電性グリースを具えた銅の薄いフィルムを使用することによって、グラファイト製の挿入部70と、銅合金製本体部60bとの間の電気的接触を更に向上させる。また、このグリースは複合チップ50bの組立てを容易にしている。グラファイト製挿入部70と、銅合金製本体部60bとの間が良好に、電気的に接触しているから、2つの電流送給点、即ち、孔の部分61bの始めのところの第1の点、及び孔の部分62bの始めのところの第2の点の電位は基本的に同一である。図6のグラファイト製挿入部70の長さは通常、11mm〜13mmの範囲にあり、グラファイト製挿入部70の長さは通常、11mm〜13mmであり、グラファイト内の入口点から相当離れた他の位置において、ワイヤがグラファイトに入り込む可能性を減少させている。この長さは実験により決定されており、良好な電気的接触が得られるよう、しかもチップの組立中に、取扱いが容易なように十分長い。挿入部の長さの実際の下限は約5mmである。この対策の組合せによって、基本的に同一の電位で作動する2個の常閉電流接点に相当する接触部を確立することができる。従って、溶接中のチップ50bの性能は図5に示すチップ50aの性能に匹敵するものであり、所定のワイヤ融解速度のための電流に関しては通常の銅製チップより優れている。スパッタは最少であり、ヒュームの発生は著しく減少している。
以前に示したように、チップ50bはグラファイト製挿入部70の長さを限定していて、1箇所より多い箇所で、ワイヤがグラファイトに入り込むのを防止している。プロセス中、ワイヤがグラファイトに入り込むのはワイヤの剛さによって定まる。剛さを決定する重要な変数の1つはワイヤの直径であり、直径が大きくなれば、剛さも大きくなる。1.6 mmより直径が小さいワイヤの場合には、1箇所より多い箇所ではワイヤはグラファイトに弱く入り込む傾向がある。グラファイト製挿入部内の電流送給点は一位置から他の位置に変化するから、チップから出るワイヤの電流、及び電位は共に変化する。従って、アーク長さは不安定になり、ワイヤ融解速度は変化する。これにより溶着部に欠陥を生ずる。従って、グラファイト挿入部内に多数の電流接触点を生ずる可能性を無くするため、このようなワイヤのためのグラファイト製挿入部の長さを制限することが非常に望ましい。
溶接用チップの重要な性能を表示するものの一つはチップの寿命である。図6のチップ50bが正しく機能している間、消耗ワイヤはチップ50bの孔の部分61b内の銅の短い部分(この場合、約4mm)にわたり摺動し、次にグラファイト製挿入部70と、銅製の本体の部分54b内の孔の部分61bの端部との間の接合部に隣接するグラファイトの領域上に摺動する。消耗ワイヤと、銅製の孔の部分61b、及びグラファイト挿入部70のそれぞれとの間には摺動摩擦が存在する。グラファイトは銅よりも一層早く摩耗するが、銅とグラファイトとの組合せの全体としての摩耗速度は銅の摩耗速度で制御される。最終的には、チップ50bの孔52bへの入口は楕円形になり、ワイヤとチップの部分54bにおける銅本体との間の電気的接触は機械的、及び電気的に不安定になる。有効電流送給区域はグラファイトと銅との間の接合部から、グラファイト製挿入部70内の領域まで動くことが起こり得る。実際上、ワイヤ予熱長さは減少し、従って、特定のワイヤ融解速度を維持するのに必要な電流は増大する。従って、このことはチップの性能の劣化のサインである。たとえ、瞬時でも、回路状態が開く可能性が増大するから、スパッタのレベルも増大する。
図6に示す形式のチップについて、約3時間の寿命が可能である。ここに、寿命の語は「アークオンタイム」、即ちアーク溶接が進行する時間を表すように使用する。寿命試験に適用する溶接条件は銅をコーティングした直径0.9 mmの鋼ワイヤについて、約14m/分のワイヤ融解速度、電流165A、電圧約30Vであった。ロボットトーチに組み合わせて、パルス電源を使用した。これは自動車の用途におけるロボット溶接に該当する条件にシミュレートしたものである。
寿命試験は0.9 mmの消耗ワイヤの送り速度範囲の上限で実施したが、この複合チップは毎分2m程度の遅いワイヤ送り速度で、異例の安定性を示すことに注目することが重要である。これ等のワイヤ送り速度は浸漬移動に合致しており、特に薄い金属シートの溶接に特に重要である。改善されたワイヤの送り能力、通常の技術におけるよりも減少した作動電流、溶落ちの危険の減少、及びスパッタの減少の組合せはこのチップの作動の重要な特徴である。
図6のチップ内のグラファイト製挿入部は付加的な目的にも役立つ。電極がチップ内でバーンバックを生じた場合には、セラミック製挿入部内で、そうでなければグラファイト製挿入部内で、ワイヤの端部の液状金属が凝固するかも知れない。凝固した金属はグラファイト製挿入部に結合しそうもなく、チップの機能は復帰し、チップの外に電極を押し出す。通常の銅製チップであると、バーンバックの発生は通常、チップの孔に修復できない損傷を引き起し、電極の端部はチップの孔に恒久的に溶着する。
コンタクトチップのこれ等の設計原理を検証すれば、噴霧移動において、早い被着速度になるようにチップを特別に設計することが可能である。簡明のため、しかも一般性を失うことなく、非パルス、即ちパルス電流によらないガス金属アーク溶接(GMAW)が考えられる。浸漬移動、及び噴霧移動の機構は前に一層詳細に説明している。しかし、簡単に言えば、噴霧移動は液状の金属滴がワイヤの端部からアークを経て、加工片に向け離れることによって特徴付けられる。ワイヤの端部は溶着ビードに接触しない。チップの銅合金製本体内のセラミック案内管の長さを増大することによって、少ない電流で早い被着速度に達する。
図7、及び図8は予熱長さLを増大するようにして造ったそれぞれのチップ50c、及び50dの例を示す。チップ50c、及び50dにおいては、図4のチップ50の構成部分に対応する構成部分にそれぞれ「c」、及び「d」を付して示す。これ等のチップについては、35〜40mmの全チップ長さの制限は除去している。図7に示すようなチップ50cの性能は実験によって確かめられている。この構造は図6の説明から明らかである。それは材料は同一であり、主要な相違は縦方向の寸法のみであるからである。従って、チップ50cは全長68mm、グラファイト製挿入部70cの長さは約13mmであり、セラミック製挿入部72cの長さは44mmである。銅合金、グラファイト、及びセラミックによって画成された順次の部分にわたる孔52の直径は図6のチップ50bに詳細に示した通りである。チップ50cも直径0.9 mmのワイヤに使用するように造られている。
鋼をコーティングした直径0.9 mmのワイヤに使用するチップ50cの場合、120Aの少ない電流で、約16.5 m/分のワイヤ融解速度に達している。16.5m/分のワイヤ送り速度は大部分の市販されている通常の機械の最高送り速度に既に達している。通常の銅製チップの場合、16.5m/分のワイヤ融解速度は実際的でない。それは、このようなワイヤ融解速度を達成するのに必要な電流はこのような消耗ワイヤでの推薦される最大電流より多いからである。
この段階で、電極延長を増大するための実際上の上限がどのような値なのか知られていない。この問題は電流源での本来の制約によって、複雑化されている。特に100mmのオーダの延長されたワイヤ予熱長さには一般に入手できるものよりも、一層高い作動電圧を必要とし、従って、計画された非常に早いワイヤ融解速度を達成するためには、対応する電源を有する新たな高速ワイヤ送りユニットを確保しなければならないことが予測される。それにも拘らず、図8に示すチップ50dが構成された。チップ50dの構造も図6から明らかである。この場合、チップ50dは全長112mm、グラファイト製挿入部70dの長さは13cm、セラミック製挿入部72dの長さは88mmである。ここでも、孔52dの順次の部分の直径は図6のチップ50bについて、詳述した通りである。有効予熱長さは約100mmであり、ワイヤの端部は非常に軟らかになり、溶接中、均一に送るのが困難である。溶着の質は一貫せず、現存する電源の技術を考慮すれば、100mmの予熱長さは直径0.9 mmのワイヤの実際の上限であると考えられる。それにも拘らず、図7、及び図8に示すチップについての実験は100mmのオーダの予熱長さは1.2 mmより太い直径のワイヤについて実行可能であることを示した。
通常の銅製チップのための電極延長部を増大するため、セラミック製延長片を造ったことは高く評価される。しかし、通常の銅製チップ、及び溶接ワイヤの予熱長さの軟化に関連して、送り能力が比較的悪いことはここで得られた利点を実現することを妨げている。
図7、及び図8に示すチップ50c、及び50dは銅合金製本体、グラファイト製挿入部、及びセラミック製案内管から成る複合チップであるが、2個の加圧点に基づく長いチップを製造するのに、図5のチップ50aに関し、説明したような設計原理を適用することができる。金属製の本体は銅合金にする必要がないと理解することは重要である。鋼は容認することができる。鋼の使用についての主要な但し書きは耐火性エナメルコーティングをチップの外面に加え、スパッタの付着を最小にすることである。
2個以上の個数の加圧点を使用することを理解することも重要である。直径3mm、又はそれ以上の非常に強いワイヤの場合、孔の軸線に沿って、密接離間する3個の加圧点を設け、120度の間隔で、半径方向にずらすのが有利である。このようにして、3個の加圧点のうちの2個が常に、消耗ワイヤに接触していることが期待される。
現在入手できる機械において、ワイヤ送り速度に制限を与え、一層早い被着速度を達成するためには、0.9 mmより直径が大きい消耗ワイヤを使用することが必要である。同一の設計原理を適用し、重要な設計ガイドラインとして、グラファイト製挿入部の長さを制限し、ワイヤが2箇所の区別できる区域でグラファイト内に入り込むのを防止する。ワイヤの強さはその直径によって定まる。直径が増大すれば、強さも増大する。強さが増大した場合、コンタクトチップの摩耗速度が増大する。図6に示す形式のコンタクトチップについて、制御摩耗機構はチップの入口における銅の摩耗速度である。図6に示すような例えば4mmから約10mmまで、銅入口長さを増大することによって、チップの寿命は増大するかも知れない。銅の長さが一層長いことは消耗ワイヤの曲率によって生ずる負荷を分散させ、従って、銅接触区域の摩耗速度を減少させる。銅接触長さを増大する不利益はワイヤが1点より多い接触点で良好に接触する時はいつでも、銅入口長さにわたるワイヤの摺動における短絡が導入されることである。これにより銅は浸食され、ワイヤと孔の銅の一部との付着に起因して、送り能力が減少する。他の不利益はチップ内の予熱されるワイヤの長さが減少することである。
接触入口長さを過度に増大することの実際的な代案はチップの入口に材料の異なる組合せを使用することである。図9は早いワイヤ送り速度で直径1.2 mmの消耗ワイヤを使用することを成功裏に試みた一例を示す。図9には、コンタクトチップ50eを示し、図4のチップ50の構成部分に対応する構成部分には「e」を付して示した。チップ50eの本体は部分54e、60eを画成しており、主に銅から成る。しかし、部分54eは銅製の本体内に挿入部74を有する。挿入部74は環状で、焼結タングステンから成る。挿入部74はテーパ部59eを画成しており、孔52eの孔の範囲61eの3mm長さの入口部を画成している。タングステン製挿入部74の外径は部分54eの銅の部分の凹所よりも約0.05mm大きく、この挿入部74はチップの組立中、銅の本体内に圧入される。このタングステン挿入部は消耗電極による摺動摩耗に対するタングステンの抵抗の故に、タングステンが選択され、2つの電流送給構成部分の第1の部分となる。このタングステン製挿入部74に直ぐ続いて、銅によって画成された8mmの孔の範囲61eがある。タングステンに比較し、銅は摺動摩耗に対する抵抗が低く、この構成では実際上、図6に示す形式のチップに示すグラファイト製挿入部に替えてある。チップの部分64eは長さ18mmの機械加工可能なセラミック製挿入部である。直径1.2 mmのワイヤについては、タングステン製挿入部74内の孔の範囲61eの部分の直径は約1.3 mm、銅の孔の範囲61eの部分の直径は約1.25mmであり、セラミック製挿入部64eの孔の範囲62eの直径は約2.0 mmである。ワイヤがこのチップに入ると、ワイヤはタングステン製挿入部74を摺動し、ワイヤはそれ自身、銅に入り込み、次にセラミック製部分64eを経て、チップの外に案内される。孔の導入部の段歩的な直径の変化は僅かではあるが、重要である。この段、即ち直径の差は十分大きく、段の部分に、又は段を越えると、銅に、適切に画成された接触区域を確立している。その精密な位置はワイヤと孔との間の間隙、ワイヤの剛さ、及びワイヤの曲率によって定まる。バックアップ電流送給区域はこの段に隣接する領域内のタングステン製挿入部である。両方の電流送給区域は基本的に同一の電位で作動し、回路が開く状態はありそうもない。予熱長さは良好に画成されており、ワイヤ融解速度は均一である。ワイヤの平滑な通過への障害は小さく、従って、早いワイヤ送り速度は達成可能である。この形式のチップの寿命はタングステンの摩耗速度によって制御される。非パルスガス金属アーク溶接(GMAW)、及び約15m/分のワイヤ送り速度の場合、上記の融解速度を維持するのに必要な電流は34Vの電圧を加えて、約290Aである。同一のワイヤ送り速度で、通常の銅製チップの場合、必要な電流は約400Aである。この高いワイヤ送り速度でも、チップの寿命は約2時間である。タングステンは機械加工が困難であり、比較的高価であり、従って、挿入部74はできるだけ最終寸法に近くなるように焼結される。他の実行可能な代案は硬化可能な炭素鋼、シルバースチール、白銑、及びニッケル、及びコバルトをベースとする硬化肉盛合金である。一つの工具鋼、即ちシルバースチールは使用して有効であり、便利であることがわかった。これは1%炭素の工具鋼であって、精密許容差になるように、無心研削されて供給される。機械加工が可能であり、機械加工後、熱処理によって、実質的に硬化される。これは本来の供給条件、及び熱処理条件の両方でタングステンに代わるものとして、成功裏に使用されている。
図9で説明したように、タングステンと銅との組合せへの他の選択肢は軟鋼の本体内に、シルバースチールの挿入部を設けることである。これは本体と挿入部との間の熱膨張係数間が良好に適合する。
高いワイヤ送り速度の場合、銅コーティング鋼の消耗ワイヤと銅製チップとの間では激しい付着摩耗を生ずる証拠がある。チップ内の環境は基本的に化学的に不活性であるから、酸化被膜を銅の孔、及びワイヤ自身の露出した部分に形成するのは困難である。表面酸化被膜が無いと、銅は銅に結合し、ワイヤがチップを通じて、押されると、早く摩耗する。銅に対する実行可能な代案はねずみ鋳鉄である。ねずみ鋳鉄内のグラファイトはこの合金が自己潤滑性であることを確実にしている。ねずみ鋳鉄の或る等級のものは機械加工性であるが、ねずみ鋳鉄のコンタクトチップ本体は脆性で、例えば、緊密な嵌合(締りばめが好適である)で、タングステン製挿入部を挿入する操作の間、引張り応力を受けるとクラックを発生する傾向がある。それにも拘らず、複合チップ内の銅接触区域に代わり、挿入部として、ねずみ鋳鉄は使用することができる。このような組合せの例としては、熱処理シルバースチールの挿入部を有する銅本体から成るチップがあり、挿入体としては、次にねずみ鋳鉄、更に、機械加工可能なセラミックがある。
図10は図9のチップ50eに類似するチップを示し、この場合、図4の符号に「f」を付して示す。図10のチップ50fでは、挿入部78は銅の代わりに鋳鉄であり、挿入部76はシルバースチールであると共に、部分64fは再び機械加工可能なセラミック製の挿入部を有する。機械加工後、挿入部78を熱処理し、硬さと耐摩耗性を増大する。
導電挿入部と、チップの金属本体との間の電気的接触抵抗は最小でなければならないことは重要である。例えば1ミリΩの接触抵抗と、300Aの電流とに対して、接触区域における抵抗加熱は90Wと高い。この結果、チップの過剰な加熱は性能を低下させ、寿命を減少させる。従って、挿入部とチップの金属本体との間の嵌合はできるだけ緊密(好ましくは締りばめ)であること、及び導電性ペーストを使用して、挿入部の外面と、金属本体の相手内面との間の空隙を充たすことが推奨される。図10のチップ50fの場合のように、1個の挿入部以上に多い挿入部を使用する場合はこのことは特に厳密である。導電ペーストの代わりになるのは、導電挿入部をチップの金属本体内にろう付け、又ははんだ付けすることであり、これによりチップの本体と、導電挿入部との間のいかなる電気抵抗も非常に低くなる。与えられたこれ等の例は直径1.2 mmの消耗ワイヤに加えられるが、これ等の例は1.2 mmより大きい、又は小さい直径の消耗ワイヤに容易に適用することができる。第1の要件は良好に画成されたコンパクトな電流送給区域を確立することであり、開放回路状態の可能性を最少にするように行うことである。この後者の要件は加圧点を使用することによって達成することができる。また、対をなす導電材料の適切な組合せを選択することによって、そのような対をなす一方の部材が摺動摩耗に対して抵抗が大きく、他方の部材が摺動部材に対して、比較的抵抗が小さいようにしても達成することができる。比較的摩耗し易い材料にワイヤを入り込ませ、全体の摩耗速度、従って、寿命を耐摩耗性材料の性質によって制御することにより、適正な電気的接触を達成し、維持することができる。導電領域が単一の材料から造られている孔の直径に、段歩的変化を使用することによっても、開放回路の可能性を減らすことができる。この場合、ワイヤは段がある材料内に入り込み、それにより、孔の導電部材内の他の可能性ある電流路に対して、相対的に低い抵抗の良好に画成された電流路を達成する。
例えばトーチの垂直下方の方向に下向きに溶接することが必要な産業上の立場においては、溶接スパッタは避けられない。これは消耗ワイヤから加工片への電流の連続する流れは溶融池の下方への流れによって、一層悪くなる。従って、スパッタが生じ、スパッタはチップの銅本体に付着し、またセラミック製挿入体の露出表面に付着する。最終的に、スパッタの形成はチップから出るワイヤからチップの銅製本体まで連続する電気路を形成する。このことはチップの性能を顕著に悪化させる。従って、高温エンジンエナメルのような耐火性エナメル材料をチップの本体の外面にコーティングすることによって、スパッタの付着を減少させ、チップから出るワイヤをチップの本体に接続する電気路が形成されるのを防止して、チップの性能、及び寿命を向上させる。エンジンエナメルをコーティングすることの代わりに、アルミナのような電気絶縁性耐火材料をチップの本体の外面に噴霧することである。他の代案は溶融スパッタはニッケルコーティングに対して付着するのが弱いから、チップの本体の外面をニッケルめっきすることである。
スパッタの形成の問題は他の方法でも対処することができる。図11は図4のチップ50の構成部分に対応する構成部分を有するチップ50gを示し、同一の符号に「g」を付して示す。チップ50gは図4〜図10に予め示したチップの設計の変更部を有する。これ等の変更は図4〜図10に示したチップのそれぞれの変更に匹敵するものである。実際上、セラミック製キャップ80をこの変更したチップ50gの出口端65gにおいて、銅製本体にねじ込み、孔52gからチップの本体に、スパッタの連続する形成を防止する。この形式のキャップ80のための好適な材料は丈夫で、蜜実なセラミック材料である。このキャップ80は部分64gを具えるセラミック製挿入部の端部の浸食摩耗を減らす。この浸食摩耗はアークからの強い輻射に露出されることと、スパッタの粒子からの衝撃とに起因する。図11に示す変形では、チップ50gの部分64gを具えるセラミック製挿入部は符号82に示すように、銅製本体の出口端を越えて、僅かに突出している。突出部82はセラミック製キャップ80の内面と、コンタクトチップ内の部分64gの端部との間に、浸食プロセスに起因する間隙の形成を防止する。間隙が無いと、孔の中のワイヤから、チップの本体まで延びる凝縮したスパッタ粒子の連続する電気路を生ずることが不可能である。セラミック製キャップ80内の孔84の直径は消耗ワイヤの直径より一層大きい0.5 〜1.0 mmの範囲にあり、従って、部分64gから成るセラミック製挿入部内の孔の部分62gの直径より小さいか、又は等しい。
消耗ワイヤと、セラミックキャップとの間のこの範囲の下限である間隙のため、セラミック製キャップ80は例えばワイヤ送り速度の不安定から生ずるバーンバックの防止に役立つ。ワイヤ送り速度が瞬間的に減少している間に電極のバーンバックが生ずるから、電極の端部における融解金属はセラミック製キャップ80内の孔84の短い長さの中で、凝固すると予想される。チップ50fはも早、機能しないから、溶接は停止してしまう。しかし、キャップ80を新しいキャップと交換することによって、チップ50fは容易に修理され、溶接作業は再開される。
比較的短いチップに関して、セラミック製キャップは付加的な変更を行うことができる。これはセラミック製挿入部を省略することであり、スパッタに対して保護を行うためと、チップから出るワイヤの案内として役立たせるため、このキャップを使用することである。
図3〜図11のコンタクトチップについての上述の概略を述べた原理は主にガス金属アーク溶接(GMAW)のコンタクトチップに関する。しかし、この原理はサブマージアーク溶接(SAW)にも適用することができる。図12はサブマージアーク溶接に適するチップ150の一例を示す。チップ150は直径3.2 mmのワイヤに使用するように設計されている。ガス金属アーク溶接(GMAW)のためとして、チップ150は熱入力の相当な減少が測定されている。500Aで作動する対応する銅製チップについて、チップ150に対応する実験用チップによって、同一のワイヤ送り速度のための電流は約300Aであった。
更に、図12において、図4のチップ50の部分に対応するチップ150の部分には同一の符号に100をプラスして示す。図面に示すように、チップ150は銅合金の本体51を有し、この本体の入口端のねじ部154と、本体部160とを有する。ねじ部154は符号157で示すおねじを有し、案内テーパ部159を画成しており、このテーパ部は孔152に達している。しかし、この例では孔152の入口端部は部分154内に画成されている。
図面に示すように、チップ150の本体51は段付き孔53を有し、この段付き孔は端部165から始まり、部分160の全長に沿って延び、部分154内に短い距離だけ延びている。また、チップ150は管状グラファイト製挿入部55aと、管状セラミック製挿入部55bとから成る2個の部分から構成された部分164を有する。図面に示すように、挿入部55aは挿入部55bより短く、部分164の全体は本体51内の端ぐり孔53の長さより僅かに短い。部分164は段付き孔53内に完全に収容されており、この段付き孔の端部はその中に設けたセラミックセメント製の円筒スリーブ63を有する。従って、全体にわたって、テーパ159から端部165まで、孔152は銅合金の部分154、グラファイト製挿入部55a、セラミック製挿入部55b、及びセラミックセメント製挿入部63によって画成されており、孔152から端部165まで連続している。また、図面に示すように、本体51の出口端の周りに、耐火製スリーブ65を設け、サブマージアーク溶接プロセス中、フラックスを通ずるアークに対して保護を行う。
図12において、孔152は直径が3.4 mmであり、グラファイト製挿入部55a、及びセラミック製挿入部55bを有し、これ等の挿入部は9.5 mmの直径を有する。このチップは0.3 mm直径の消耗ワイヤのために計画したものである。
例えば手段50を参照して、図3のグラファイト製チップを説明したように、孔152内に、第1の接触点を設ける原理は図12の高電流複合チップにも適用することができる。1個の接触区域は銅製本体51内の孔152の入口端にある。第2の接触区域はグラファイト製挿入部55a内のこの挿入部55aの入口端である。銅に比較し一層高いグラファイトの抵抗により、電流の移送の効率は低下するが、ワイヤと、グラファイト製挿入部との間の接触面積が一層広いことにより相殺される。グラファイトと、ワイヤとの間のこの接触は約0.1 mmのグラファイトの孔の直径の減少によって更に改善される。0.1 mmのこの減少は例えば、図9、及び図10において、使用されたものより一層大きいが、消耗電極の直径にほぼ比例している。2つの電流接触区域は隣接しており、実際上、同一電位で作動し、共に常閉電気接点に相当している。有効電流送給点は孔の銅の部分と、グラファイト製挿入部の入口端との間の接合部の直ぐ近くにある。挿入部55aの一層近い端部に、再配置された孔152の入口端まで、案内テーパ部159を延ばしている図12の構成の変形においては、図3におけるように、手段50を孔152の入口に隣接して、挿入部55a内に設ける。
図13は他のコンタクトチップを示し、後に説明するように、このコンタクトチップは図19、及び図21につき説明する溶接手順に使用されたものである。図13のチップの全体の形状は図9のチップ50eに類似する。図13のチップの対応する部分は図9の符号と同一の符号に100を加えた符号で示す。
図9のチップ50eは直径1.2 mmの消耗ワイヤに使用するためのものであったが、図13のチップ150eは直径2.8 mmの硬化肉盛ワイヤに使用するためのもので、これにより図19の溶融板上に、ビードを生じさせた。チップ150eの全長は45mmである。一体に形成された部分154e、及び160eは銅合金であり、部分164e から成る挿入部は機械加工可能なセラミックである。挿入部174はシルバースチールであり、この場合、機械加工後、熱処理していない。孔部161eは挿入部174内で、3.1 mmの直径を有し、挿入部174と挿入部164eとの間の銅合金によって、画成された部分161eの範囲内では3.0 mmに減少している。孔152eの部分162eは3.8 mmの直径を有する。
挿入部174のテーパ部159eは電極ワイヤを孔152e内に案内する。孔152eの部分161eは挿入部174ではなく、銅合金よって画成された一層細い直径を有する。また、挿入部174は銅合金により導電性が低い。これ等の因子に起因し、電極ワイヤは銅合金と、主要な電気的接触を行う。銅合金と、セラミック製挿入部164eとの間の接合部では、孔152eの直径は挿入部内で増大しており、主要な接触の位置を挿入部164eに隣接させている。挿入部164eを形成しているセラミックは比較的導電性が低いので、それにより、この主要な接触を短絡させ得るいかなる二次的な接触をも防止している。
消耗ワイヤの送り能力はチップ孔だけでなく、セラミックの案内の孔に関しても一つの課題である。従って、テーパ入口端を有するセラミック製挿入部を造り、図9に示す形式のチップ内に設置した。但し、相違しているのは、この特殊なケースで、タングステンではなく、金属製挿入部をシルバースチールにしたことである。このチップはミグ溶接用パルス電源を使用して、成功裏にテストされた。このチップの詳細は図14に示されており、図14は図9のチップ150eに類似する他のコンタクトチップを示している。図14のチップの対応する部分は図9で使用した同一の符号に200を加えて示している。
チップ250eの全長は36mmであり、挿入部274と、部分264eとの間の間隔は5mmである。挿入部274eによって、画成された長さ、即ち範囲261e内では、孔252eの直径は1.3 mmであり、銅合金によって、画成された長さ、即ち範囲261eの広がりにわたり、1.25mm、部分264eの挿入によって、画成された広がり262eでは2.0 mmである。種々の寸法の他に、チップ250eは図9のチップ150eとはその他の外観においても相違している。図面に示すように、部分264eのセラミック製挿入部は挿入部274のテーパ259eに類似する截頭円錐形入口77を有する。入口77は部分264eの孔252eの2.0 mmの直径までテーパになっている。テーパ入口77を設けたのはワイヤの送り能力を容易にするためと考えられる。
電流が流れる可能性のある経路が多数ある場合、電流は最も電気抵抗の低い経路に沿って流れる。電極ワイヤが第1ポイントの接触ポイントでのみ電気的接触を行う場合、この第1ポイントを経る電流供給経路を生ずる。第2ポイントでも同時に電気的接触する状況の変化を生ずる場合、第1ポイントよりも第2ポイントの方が電気抵抗が低いと、電流供給経路は変化して第2ポイントを流れる。この場合、第1ポイントを流れる電流経路は、第2ポイントを流れる電流供給経路によって短絡されることになる。これらポイントは、コンタクトチップの孔の長さに沿って離れているため、電流供給経路の変更は、抵抗加熱を受ける電極ワイヤの端部部分長さの変更を招き、電極ワイヤ溶融効率に好ましくない大きな変化を生じ、また溶接アークの安定性に変動を生ずる。
本発明の各実施例では、第1の電気的接触の短絡は主要な電流供給路を確立する接触によって防止される。即ち、第2の接触は可能であるが、第1の電気的接触における低レベルの電気抵抗ではないようにする。電気抵抗のこの相違は孔、及び孔の残り部分の第1の接触領域を画成する材料を選択することによって、更に孔の領域より僅かに直径が大きい孔の残部によって、或る瞬間に、増大する
鉄材料の溶接は産業上の溶接の主要な作業を意味するが、非鉄材料、特にアルミニウムの溶接が重要性を増している。アルミニウムは電気固有抵抗が小さく、熱伝導度が高く、鋼や不銹鋼の消耗ワイヤに比較し、非常に軟らかいので送るのが困難である。実際、送るのが非常に困難なので、アルミニウムを溶接するためには、特別なトーチが一般に必要である。このようなトーチはプッシュプルガンと呼ばれており、2つの送り機構によって特徴付けられており、一方はスプール端において、ワイヤをトーチライナに押すものであり、他方はチップの近くにおいて、ライナに通してワイヤを引っ張り、次にチップに通してワイヤを押す。ワイヤとチップの孔との間の間隙は鉄製消耗ワイヤの場合より一層大きく、ワイヤのねじれのような不規則性を受け入れることができる。鉄製消耗ワイヤの場合と同様、アルミニウムのワイヤ融解速度は次のように与えられる。
W=aI+bLI2
しかし、アルミニウムの固有電気抵抗は非常に低いから、抵抗加熱の項bLI2 は実際上、省略できる程小さい。従って、本発明によるコンタクトチップを使用して、アルミニウムを溶接する際の利益は無いように見える。実験的にはこれは事実と違うことがわかった。改善された送り能力と、対応するアークの安定性との組合せは一定のワイヤ送り速度において、電流を減少させることになる。品質等級4043、直径1.2 mmのアルミニウム合金消耗ワイヤの場合、8m/分のワイヤ融解速度を達成するために必要な代表的な電流は伝統的な銅製チップの場合、180Aである。図9に示す形式のチップを使用すれば、この電流は約10A減少する。
本発明は消耗電極を使用する電気アーク溶接に適する消耗電極送りシステムを提供すると共に、この送りシステムを有する電気アーク溶接装置、及び電気アーク溶接ガンを提供する。その供給システムは電気アーク溶接のための消耗電極を構成するワイヤ、又は条片の供給を維持する保持手段と、導管の入口端から、出口端にワイヤ、又は条片を通し得る導管と、この導管に通して縦方向に動かすため、保持手段からワイヤ、又は条片を引っ張るように作動し得る送り手段とを有し、この消耗電極送りシステムは本発明によるコンタクトチップを更に有し、このコンタクトチップの孔にワイヤ、又は条片を通し得るように、導管の出口端に対し、コンタクトチップを取り付ける。
コンタクトチップとは別に、本発明の送りシステムは消耗電極を使用する通常の電気アーク溶接に使用するものに類似している。従って、保持手段は消耗ワイヤ、又は条片のコイルを保持するスプールにすることができ、送り手段はスプールから消耗ワイヤを引っ張って、それを導管、及びコンタクトチップに通して送るよう、制御システムに応動して作動する動力被動ローラシステムすることができる。導管は金属、又は重合体にすることができ、コンタクトチップは導管の出口に、コンタクトチップホルダ内に取り付けられている。
本発明による送りシステムを有する溶接装置においては、消耗電極送り手段のための制御システムの作動のためと、溶接電流を提供するための電源は消耗電極で溶接するようにした通常の電気アーク溶接装置に使用する電源に類似する。しかし、上述したように、本発明のコンタクトチップは一層平滑な消耗ワイヤ送りプロセスを行い、溶接のために必要な電流を減少させることができる。
本発明によるチップに於いては、ワイヤはチップに付着しない。電流を入口端に、又は入口の近くに供給し、ワイヤがチップに通って移動する際、この電流はワイヤを予熱する。ワイヤとチップとの間の付着がないから、平列の電流路がチップ内に生ずる可能性を減少させる。このような電流は予熱機構の有効性を減少させる。本明細書に説明しているチップは鉄製消耗ワイヤについて、全部ではないにしろ、大部分、最大の予熱を達成していることが観察された。一層高い電流では、この予熱機構は有力である。抵抗加熱は一層制御され、従って、電気アークによる加熱より安定する。従って、ヒューム、及びスパッタのレベルは減少する。アルミニウムの場合には、消耗ワイヤの固有抵抗は非常に小さいので、どんな予熱も最少である。それにも拘らず、これ等の新たなチップに関連する改良された送り能力は熱入力を僅かではあるが、測定可能なだけ減少させることができる。
一般に、有効な電極の延長を増大させる形の本発明のコンタクトチップを構成することにより、(所定の電流レベルについて)溶融金属被着速度を向上させることができる。本発明のコンタクトチップによって得られる利点を最大限に発揮するように、計画された種々の方法で、現存する設計を著しく向上させている。例えば、このコンタクトチップは延長された1個の片の形であり、孔の入口端でコンタクトチップと、消耗ワイヤとの間に連続する電気的接触を確実にするように機械加工された孔を有し、この孔はその残りの長さの部分について、横断面を僅かに大きくしている。この残りの長さの部分は消耗ワイヤのための案内として作用し、この消耗ワイヤはコンタクトチップから出てアークに入る前に、実質的に加熱される。所定の電流で、一層早い被着速度を得ることができる。代案として、所定の消耗ワイヤ融解速度に関し、抵抗加熱によって、少ないエネルギー入力を達成することができる。
図16において、図9のチップ50eに類似するコンタクトチップを使用して生じた板溶着部上のビードの拡大写真を示す。しかし、タングステン挿入部74の代わりに、シルバースチールの同様の挿入部を使用した。鋼製挿入部の孔52fの長さは6mmであり、長さ61fの隣接する銅合金部分においては5mmであった。図15の溶接部を生産する際に、使用される溶接パラメータは表2に示す。図17は図16の溶融ビードの頂部に近い領域から撮った拡大写真である。
Figure 0004676698
図16、及び図17から明らかなように、図示された溶融金属は高品質である。これは非常に早いワイヤ送り速度を使用して、非常に早い被着速度で生じたものであるが、通常の銅合金コンタクトチップを使用する電流の実際に比較し、熱入力が減少している。表2に与えられたワイヤ送り速度について、銅合金チップによる通常のガス金属アーク溶接(GMAW)を行っても、高品質の基本的にスパッタの無い溶接は生産することができない。溶融ビードと、基材との間が完全に溶融し、熱作用を受けた帯域は狭く、ミクロ組織はほぼ均質である。溶融ビードのミクロ組織は衝撃に対する強靱性について、有利なとがったフェライトを含むフェライトの種々の形状を示している。マクロ組織、又はミクロ組織のいずれかで多孔性である証拠はない。
図18、及び図19はフラックス入りアーク溶接(FCAW)によって生産された板溶着部上の2つの別のビードの拡大写真である。図18は通常の銅合金コンタクトチップを使用して、電流の実際によって、被着されたビードを示す。図19は図13のチップに従うコンタクトチップを使用して、被着されたビードを示す。作動パラメータは表3に示す通りである。
Figure 0004676698
図20、及び図21はそれぞれ、図18、及び図19の溶融ビードから撮った拡大写真である。図20は鋼基材からの材料で希釈された白銑の消耗ワイヤを示す。この希釈はこのミクロ組織を亜共析にするのに十分であり、このミクロ組織の重要な特徴は共晶の素地内のオーステナイトの樹脂状結晶である。これに反し、図21は白銑の消耗ワイヤが基材の材料によって、希釈されると共に、この希釈は図20に示すものよりも著しく少ないことを示している。従って、図21におけるミクロ組織は亜共析ではなく、過共晶への共晶である。図20、及び図21の顕微鏡写真は板溶着部上のそれぞれのビードの同様の位置、即ちビードの中心から採取したものである。
表3、及び図18、及び図19に戻り、図19の被着物の板の表面からの高さは図18のビードの場合の対応する高さより、約75%高いことに注目される。図19のビードの幅は図18のビードの幅より、約15%狭いが、同一移動速度での被着速度から明らかなように、コンタクトチップ、及び図19に関するパラメータは図18の場合に比較し、被着溶解金属の重量において、約55%の増大を達成した。これと共に、必要な電流レベル、及び熱入力の両方は小幅ながら減少している。全体として、図19、及び表2は、電流の実際に比較すると、本発明を使用することによって、硬化肉盛における非常に顕著な実際の利点が際立っている。
図22は本発明によって、生産された重ね溶接の拡大写真である。使用された溶接用チップは図9について、説明したものと同一である。溶接パラメータは表4に示す通りである。溶解ビードは両方の鋼板に、完全に溶融しており、その溶融は十分であり、しかも溶融線に沿って、過剰に貫入しておらず、熱の作用を受けた領域は狭い。多孔性は現れていない。
Figure 0004676698
新しい溶接手順が適切であることを評価するための必要条件の一つは溶着テスト板を製造し、その溶着金属の機械的性質を分析することである。従って、本発明を更に評価するため、溶着テスト板を造った。このため、支持棒に支えられた2個の板のそれぞれの面取り端縁の間に、単一のV字状溝溶着部、即ち突き合わせ溶接部を造った。各板は20mm厚さの低炭素鋼板であり、支持板は10mm厚さであり、板の間の谷底の間隙は12mmであると共に、板の端縁間の内包角は45°であった。図9によるコンタクトチップを使用し、表5に詳述した溶接パラメータにより、溶着部を製造した。
Figure 0004676698
ANSI(米国規格協会)/AWS(米国溶接協会)のA5.20-95のガイドラインに従って、完全な溶接被着部から、衝撃試験片、及び引張り試験片を切り出した。機械的性質の試験の結果は表6、及び表7のとおりである。
Figure 0004676698
Figure 0004676698
表6に詳細に示した性質は最終の優れた引張り強さ、伸び、及び衝撃靱性を溶着金属が有していることを示している。衝撃強さの値はこの溶着部が−40℃まで低下した温度でも、安定していることを示している。−60℃で値が広い範囲になっていることはこの温度が遷移温度に近いこと、及び相変態が近いことをほのめかしている。
図7に関連して、低炭素鋼板状親金属、親金属、及び溶着金属の熱作用帯域(HAZ)のそれぞれについて、ビッカース硬度(HV10)を実測した。硬度値は3個の横方向に沿って得た。熱作用帯域、及び溶着金属の硬度値は表6に示す溶着金属の靱性と一致している。
溶着金属の化学的分析は表8に示すとおりである。珪素、及びマンガンの濃度は最少の元素の喪失を示している。
Figure 0004676698
最後に、本発明は本発明の精神、及び範囲を逸脱することなく、上述した本発明の部分の構成、及び配置に種々の変更、修正、及び/又は追加を導入することができることは明らかである。
先行技術のコンタクトチップを線図的側面図に示す。 図1のコンタクトチップのそれぞれの作動条件下での電極ワイヤ送り速度と電流との関係を示す。 本発明によるコンタクトチップの第1形状を線図的側面図に示す。 本発明コンタクトチップの他の形状を線図的側面図に示す。 消耗ワイヤの予熱長さを図4のものより短くし、加圧点を2個にした本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 消耗ワイヤの平滑な進入を容易にした本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 消耗ワイヤの予熱長さを長くした本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 図7のものより一層予熱長さを長くした本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 焼結タングステンから成る挿入部を有する本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 鋳鉄の挿入部を有する本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 セラミック製挿入部を有し、キャップを有する本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 耐火性スリーブを有する本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 硬化肉盛ワイヤに使用する本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 他の本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 挿入部を有しない本発明コンタクトチップの形状を線図的側面図に示す。 本発明コンタクトチップを使用して生産された板溶着部上のビードの拡大写真である。 図16のビードの顕微鏡写真である。 通常のコンタクトチップを使用して、フラックス入りアーク溶接により、板溶着部に被着したビードを示す拡大写真である。 本発明のコンタクトチップを使用して、フラックス入りアーク溶接により、板溶着部に被着したビードを示す拡大写真である。 図18のビードの顕微鏡写真である。 図19のビードの顕微鏡写真である。 本発明コンタクトチップを使用して生産された重ね溶接を示す。

Claims (11)

  1. 消耗電極を使用するアーク溶接に適するコンタクトチップにおいて、
    入口端および出口端を有する孔を画成する本体を備え、この孔により前記消耗電極が前記本体を通過できるようにし、
    前記本体には、前記孔の入口端に近接する部分に周方向の段を設け、前記入口端と前記段との間で前記孔の直径が減少し、この直径が減少した孔の部分で前記消耗電極が電気的接触でき、したがって、前記孔の直径減少部分で前記消耗電極が孔の表面に食い込むことにより、前記段を含む前記孔の第1接触領域で第1の電気的接触を生じて、溶接用電源からの電流を前記本体から前記消耗電極に移送することができるよう構成し、
    前記孔の前記第1接触領域から前記出口端にいたる長さ部分を、前記第1接触領域における孔を画定する材料とは異なる材料であって、前記第1接触領域における孔を画定する材料よりも低いレベルの導電率を有する材料によって画定することによって、前記第1接触領域内における前記第1の電気的接触を短絡させる前記本体と前記消耗電極との間における第2の接触がないよう、前記本体を構成し、また
    前記段は、前記孔の入口端からこの段に至る孔部分を画定する第1材料と、この段からある距離にわたり前記第1接触領域の孔を画する第2材料との間で形成し、第1材料を前記第2材料よりも硬い材料で形成した
    ことを特徴とするコンタクトチップ。
  2. 前記第1接触領域は前記孔の範囲の10%より少ない領域である請求項1によるコンタクトチップ。
  3. 前記第1接触領域は前記孔の範囲の5%より少ない領域である請求項2によるコンタクトチップ。
  4. 前記第1接触領域はその長さが約5mmを越えない請求項1〜3のいずれか1項によるコンタクトチップ。
  5. 前記第1接触領域はその長さが約3mmより短い請求項4によるコンタクトチップ。
  6. 前記本体は前記孔の前記入口端に達するテーパ案内部を画成している請求項1によるコンタクトチップ。
  7. 前記段の両側で孔を画定する前記第1および第2の材料のうち少なくとも一方は、孔部分を画定する挿入部によって構成した請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンタクトチップ。
  8. 前記第1接触領域における前記孔を画定する材料とは異なる材料を、電気的絶縁材料とした請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のコンタクトチップ。
  9. 前記第1材料を銅合金とし、前記第2材料をグラファイトとした請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のコンタクトチップ。
  10. 前記第1材料を焼結タングステンとし、前記第2材料を銅合金とした請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のコンタクトチップ。
  11. 前記第1材料をスチールとし、前記第2材料を銅合金とした請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のコンタクトチップ。
JP2003541681A 2001-11-07 2002-11-06 改良した消耗電極アーク溶接 Expired - Fee Related JP4676698B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AUPR8721A AUPR872101A0 (en) 2001-11-07 2001-11-07 Improved consumable electrode arc welding
AUPS1191A AUPS119102A0 (en) 2002-03-19 2002-03-19 Consumable electrode arc welding
AU2002950101A AU2002950101A0 (en) 2002-07-08 2002-07-08 Improved consumable electrode arc welding
PCT/AU2002/001510 WO2003039800A1 (en) 2001-11-07 2002-11-06 Improved consumable electrode arc welding

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005507783A JP2005507783A (ja) 2005-03-24
JP2005507783A5 JP2005507783A5 (ja) 2009-08-20
JP4676698B2 true JP4676698B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=27158324

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003541681A Expired - Fee Related JP4676698B2 (ja) 2001-11-07 2002-11-06 改良した消耗電極アーク溶接

Country Status (11)

Country Link
US (1) US7381923B2 (ja)
EP (1) EP1450981B1 (ja)
JP (1) JP4676698B2 (ja)
KR (1) KR100921669B1 (ja)
AR (1) AR037337A1 (ja)
AT (1) ATE507024T1 (ja)
CA (1) CA2465915C (ja)
DE (1) DE60239890D1 (ja)
MY (1) MY136134A (ja)
TW (1) TW200300105A (ja)
WO (1) WO2003039800A1 (ja)

Families Citing this family (109)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7309844B2 (en) 2003-08-29 2007-12-18 Tregaskiss Ltd. Multi-piece front loading liner
US7271366B2 (en) 2004-04-05 2007-09-18 M.K. Products, Inc. Welding gun contact tip
US7262386B2 (en) * 2004-05-12 2007-08-28 Lincoln Global, Inc. Method of pulse welding and contact tip therefor
US7244909B2 (en) 2005-04-04 2007-07-17 M.K. Products, Inc. Welding gun
US20060237411A1 (en) * 2005-04-22 2006-10-26 Mendez Patricio F Gas metal arc welding methods and apparatus
AT502419B1 (de) * 2005-09-09 2007-08-15 Fronius Int Gmbh Schweissbrenner und verfahren zur prozesssteuerung einer schweissanlage
AT502844B1 (de) * 2005-12-12 2007-08-15 Fronius Int Gmbh Schweissbrenner und endstück sowie kontaktrohr für einen schweissbrenner
KR100798493B1 (ko) * 2006-07-13 2008-01-28 고려용접봉 주식회사 가스실드아크용접용 무도금 솔리드와이어 조립체 및 이를 사용한 용접방법
US10994358B2 (en) 2006-12-20 2021-05-04 Lincoln Global, Inc. System and method for creating or modifying a welding sequence based on non-real world weld data
US9104195B2 (en) 2006-12-20 2015-08-11 Lincoln Global, Inc. Welding job sequencer
US9937577B2 (en) 2006-12-20 2018-04-10 Lincoln Global, Inc. System for a welding sequencer
DE102007017226A1 (de) * 2007-03-22 2008-09-25 Pangas Verfahren zum Lichtbogenfügen mit Wechselstrom
US9302341B2 (en) 2007-05-03 2016-04-05 Illinois Tool Works Inc. Welding contact tip with conductive brush
DK2036466T3 (da) * 2007-09-12 2010-10-11 Schaerer Ag Brygindretning til en kaffemaskine
US8450646B2 (en) * 2007-12-18 2013-05-28 Illinois Tool Works Inc. Retaining head and contact tip for controlling wire contour and contacting point for GMAW torches
JP2009248131A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Nippon Contact Chip Seisakusho:Kk コンタクトチップ及びコンタクトチップの製造方法
AT506998B1 (de) * 2008-06-30 2010-03-15 Fronius Int Gmbh Kontaktrohr für einen schweissbrenner
AT507021B1 (de) * 2008-07-04 2010-04-15 Fronius Int Gmbh Vorrichtung zur simulation eines schweissprozesses
US9483959B2 (en) 2008-08-21 2016-11-01 Lincoln Global, Inc. Welding simulator
US9196169B2 (en) 2008-08-21 2015-11-24 Lincoln Global, Inc. Importing and analyzing external data using a virtual reality welding system
US9280913B2 (en) 2009-07-10 2016-03-08 Lincoln Global, Inc. Systems and methods providing enhanced education and training in a virtual reality environment
US8851896B2 (en) 2008-08-21 2014-10-07 Lincoln Global, Inc. Virtual reality GTAW and pipe welding simulator and setup
US8834168B2 (en) 2008-08-21 2014-09-16 Lincoln Global, Inc. System and method providing combined virtual reality arc welding and three-dimensional (3D) viewing
US8747116B2 (en) 2008-08-21 2014-06-10 Lincoln Global, Inc. System and method providing arc welding training in a real-time simulated virtual reality environment using real-time weld puddle feedback
US9318026B2 (en) 2008-08-21 2016-04-19 Lincoln Global, Inc. Systems and methods providing an enhanced user experience in a real-time simulated virtual reality welding environment
US8884177B2 (en) 2009-11-13 2014-11-11 Lincoln Global, Inc. Systems, methods, and apparatuses for monitoring weld quality
US9330575B2 (en) 2008-08-21 2016-05-03 Lincoln Global, Inc. Tablet-based welding simulator
US8915740B2 (en) 2008-08-21 2014-12-23 Lincoln Global, Inc. Virtual reality pipe welding simulator
US8911237B2 (en) 2008-08-21 2014-12-16 Lincoln Global, Inc. Virtual reality pipe welding simulator and setup
US9321116B2 (en) * 2009-03-05 2016-04-26 United Technologies Corporation Cold metal transfer gas metal arc welding apparatus and method of operation
US8274013B2 (en) 2009-03-09 2012-09-25 Lincoln Global, Inc. System for tracking and analyzing welding activity
US9937581B2 (en) * 2009-04-01 2018-04-10 Esab Ab Welding head and welding head assembly for an arc-welding system
US20100252536A1 (en) * 2009-04-06 2010-10-07 Ascend Enterprises, Inc. Contact tip for an electrode of a resistance welder
US20100252535A1 (en) * 2009-04-06 2010-10-07 Ascend Enterprises, Llc Contact tip for an electrode of a resistance welder
US8357877B2 (en) 2009-06-11 2013-01-22 Illinois Tool Works Inc. Front consumables for pulse GMAW torches
US20100320184A1 (en) * 2009-06-19 2010-12-23 Lincoln Global, Inc. Welding contact tip and welding gun incorporating the same
US9773429B2 (en) 2009-07-08 2017-09-26 Lincoln Global, Inc. System and method for manual welder training
US9221117B2 (en) 2009-07-08 2015-12-29 Lincoln Global, Inc. System for characterizing manual welding operations
US9011154B2 (en) 2009-07-10 2015-04-21 Lincoln Global, Inc. Virtual welding system
US10748447B2 (en) 2013-05-24 2020-08-18 Lincoln Global, Inc. Systems and methods providing a computerized eyewear device to aid in welding
US8304693B2 (en) * 2009-07-13 2012-11-06 Illinois Tool Works Inc. Refractory materials reinforced composites for the GMAW contact tips
US8383987B2 (en) 2009-09-25 2013-02-26 Illinois Tool Works Inc. Welding contact tips for pulse applications
US8569655B2 (en) 2009-10-13 2013-10-29 Lincoln Global, Inc. Welding helmet with integral user interface
TW201116358A (en) * 2009-11-11 2011-05-16 Cheng-Fu Wu Welding device of electric welding machine
US9468988B2 (en) 2009-11-13 2016-10-18 Lincoln Global, Inc. Systems, methods, and apparatuses for monitoring weld quality
US8569646B2 (en) 2009-11-13 2013-10-29 Lincoln Global, Inc. Systems, methods, and apparatuses for monitoring weld quality
US8338753B2 (en) * 2010-04-30 2012-12-25 Lincoln Global, Inc. Contact tip and diffuser
US9789560B2 (en) * 2010-05-12 2017-10-17 Jesse Rogers Arc welding torch having a variable electrode receiver
JP5625118B2 (ja) * 2010-09-29 2014-11-12 エサブ・アーベー 溶接装置および溶接方法
US8878098B2 (en) * 2010-11-19 2014-11-04 Edward L. Cooper Gas metal arc welding with a non-circular cross-sectional wire passing through a similarly shaped contact tip
CA2821671C (en) 2010-12-13 2018-01-09 Edison Welding Institute, Inc. Welding training system
US9193005B2 (en) 2011-11-02 2015-11-24 Illinois Tool Works Inc. Contact tip with contoured bore
US9545686B2 (en) 2011-11-13 2017-01-17 Victor Equipment Company Centering device for conductor tube for GMAW manual/robotic arc welding MIG guns
WO2013110060A1 (en) * 2012-01-19 2013-07-25 Victor Equipment Company Universal conduit assembly for a welding torch
US10898966B2 (en) 2012-05-24 2021-01-26 Hobart Brothers Llc Systems and methods for low-manganese welding wire
US10906135B2 (en) 2012-05-24 2021-02-02 Hobart Brothers Llc Systems and methods for low-manganese welding wire
US20160093233A1 (en) 2012-07-06 2016-03-31 Lincoln Global, Inc. System for characterizing manual welding operations on pipe and other curved structures
US9767712B2 (en) 2012-07-10 2017-09-19 Lincoln Global, Inc. Virtual reality pipe welding simulator and setup
WO2014058779A1 (en) 2012-10-09 2014-04-17 Davis Randall L Electrode extension guide for welding systems
US20140110386A1 (en) * 2012-10-23 2014-04-24 Robert J. Centner Compressible end-fitting for welding gun liner
US9895774B2 (en) 2013-05-08 2018-02-20 Hobart Brothers Company Systems and methods for low-manganese welding alloys
US9844838B2 (en) 2013-05-08 2017-12-19 Hobart Brothers Company Systems and methods for low-manganese welding alloys
US10930174B2 (en) 2013-05-24 2021-02-23 Lincoln Global, Inc. Systems and methods providing a computerized eyewear device to aid in welding
US20150072323A1 (en) 2013-09-11 2015-03-12 Lincoln Global, Inc. Learning management system for a real-time simulated virtual reality welding training environment
US10118245B2 (en) * 2013-10-11 2018-11-06 Greatbatch Ltd. Sacrificial resistance weld electrode
US10083627B2 (en) 2013-11-05 2018-09-25 Lincoln Global, Inc. Virtual reality and real welding training system and method
CN103586570A (zh) * 2013-11-27 2014-02-19 杨迎元 一种熔化极惰性气体保护焊导电嘴
US9836987B2 (en) 2014-02-14 2017-12-05 Lincoln Global, Inc. Virtual reality pipe welding simulator and setup
US11203079B2 (en) 2014-03-25 2021-12-21 Elco Enterprises, Inc. Method and end assembly for welding device
US10155280B2 (en) 2014-03-25 2018-12-18 Elco Enterprises, Inc. End assembly for welding device
US9950386B2 (en) 2014-03-25 2018-04-24 Elco Enterprises, Inc. Method and end assembly for welding device
CN106233358A (zh) 2014-06-02 2016-12-14 林肯环球股份有限公司 用于人工焊工培训的系统和方法
CN107000105A (zh) * 2014-12-25 2017-08-01 新光机器株式会社 焊接用接触焊嘴
CN105195860B (zh) * 2015-09-17 2018-09-07 中建钢构有限公司 阴面对接斜立焊接方法
US10583514B2 (en) * 2015-09-18 2020-03-10 Illinois Tool Works Inc. Contact tip rotary lock of a welding torch
US10773332B2 (en) * 2015-09-18 2020-09-15 Illinois Tool Works Inc. Contact tip and receiving assembly of a welding torch
US20170080510A1 (en) * 2015-09-18 2017-03-23 Illinois Tool Works Inc. Contact tip and coupling assembly of a welding torch
US11285559B2 (en) 2015-11-30 2022-03-29 Illinois Tool Works Inc. Welding system and method for shielded welding wires
US10675699B2 (en) 2015-12-10 2020-06-09 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to preheat welding wire
US10722986B2 (en) 2015-12-11 2020-07-28 Hobart Brothers Llc Systems and methods for low-manganese welding wire
US11241753B2 (en) 2016-07-08 2022-02-08 Norsk Titanium As Contact tip contact arrangement for metal welding
US10709006B2 (en) * 2016-07-08 2020-07-07 Norsk Titanium As Fluid-cooled contact tip assembly for metal welding
EP3319066A1 (en) 2016-11-04 2018-05-09 Lincoln Global, Inc. Magnetic frequency selection for electromagnetic position tracking
US10878591B2 (en) 2016-11-07 2020-12-29 Lincoln Global, Inc. Welding trainer utilizing a head up display to display simulated and real-world objects
US10913125B2 (en) 2016-11-07 2021-02-09 Lincoln Global, Inc. Welding system providing visual and audio cues to a welding helmet with a display
US10882133B2 (en) 2017-01-31 2021-01-05 Illinois Tool Works Inc. Tip-retention device for use with a welding system
US11103949B2 (en) 2017-04-03 2021-08-31 Illinois Tool Works Inc. Quick connect configurations for welding necks and gas diffusers
US10766092B2 (en) 2017-04-18 2020-09-08 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to provide preheat voltage feedback loss protection
US11938573B2 (en) 2017-04-19 2024-03-26 Illlinois Tool Works Inc. Welding systems for cooling welding contact tips
US10870164B2 (en) 2017-05-16 2020-12-22 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to preheat welding wire
US10997872B2 (en) 2017-06-01 2021-05-04 Lincoln Global, Inc. Spring-loaded tip assembly to support simulated shielded metal arc welding
US11590597B2 (en) 2017-06-09 2023-02-28 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to preheat welding wire
EP3634682B1 (en) 2017-06-09 2023-08-23 Illinois Tool Works, Inc. Contact tip with screw threads with longitudinal slots for gas flow, and a head to enable unthreading ; welding torch with such contact tip
US11524354B2 (en) 2017-06-09 2022-12-13 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to control weld current in a preheating system
CA3066619C (en) 2017-06-09 2022-07-19 Illinois Tool Works Inc. Welding torch with a first contact tip to preheat welding wire and a second contact tip
US11247290B2 (en) 2017-06-09 2022-02-15 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to preheat welding wire
US11020813B2 (en) 2017-09-13 2021-06-01 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus to reduce cast in a welding wire
EP3750658B1 (en) * 2018-02-05 2023-08-30 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Welding tip
US11475792B2 (en) 2018-04-19 2022-10-18 Lincoln Global, Inc. Welding simulator with dual-user configuration
US11557223B2 (en) 2018-04-19 2023-01-17 Lincoln Global, Inc. Modular and reconfigurable chassis for simulated welding training
CN113165097B (zh) 2018-08-31 2023-11-03 伊利诺斯工具制品有限公司 用于电阻式地预加热电极丝的埋弧焊系统和埋弧焊焊炬
US11014185B2 (en) 2018-09-27 2021-05-25 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods, and apparatus for control of wire preheating in welding-type systems
WO2020132251A2 (en) 2018-12-19 2020-06-25 Illinois Tool Works Inc. Systems, methods and apparatus to preheat welding wire
US11969835B2 (en) 2019-03-26 2024-04-30 Lincoln Global, Inc. Tip saver for a welding system
US11772182B2 (en) 2019-12-20 2023-10-03 Illinois Tool Works Inc. Systems and methods for gas control during welding wire pretreatments
KR102540376B1 (ko) * 2021-07-30 2023-06-05 황지윤 내구성 향상을 위한 씨오투 미그 용접팁의 구조와 이를 체결하는 결합부재의 구조.
WO2023091657A1 (en) * 2021-11-19 2023-05-25 Lincoln Global, Inc. Electrode assembly for long stick-out submerged arc welding
KR102410832B1 (ko) * 2021-12-21 2022-06-22 이성근 탄소나노가 구비된 스팩터방지 가스용접용 용접팁 및 그 제조방법
KR102504775B1 (ko) * 2022-09-20 2023-02-28 주식회사 동인산업 자동 용접기의 토치

Family Cites Families (110)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2735920A (en) * 1956-02-21 Valliere
US3103576A (en) * 1963-09-10 miller
US1233434A (en) * 1915-12-04 1917-07-17 Westinghouse Electric & Mfg Co Arc-welding apparatus.
US2289938A (en) * 1941-03-27 1942-07-14 Midland Steel Prod Co Metallic arc welding nozzle
US2379470A (en) * 1943-12-23 1945-07-03 Linde Air Prod Co Electric welding apparatus
US2428849A (en) 1946-04-23 1947-10-14 Linde Air Prod Co Welding electrode nozzle
US2666832A (en) * 1947-05-22 1954-01-19 Lincoln Electric Co Combined welding head and flux hopper for continuous welding
US2754395A (en) * 1951-11-01 1956-07-10 Union Carbide & Carbon Corp Inert gas shielded arc welding torch
US2679571A (en) * 1952-11-12 1954-05-25 Utica Drop Forge & Tool Corp Tip welder tool
US2778910A (en) * 1952-11-12 1957-01-22 Lincoln Electric Co Apparatus for submerged arc welding
US2761049A (en) * 1953-09-28 1956-08-28 Union Carbide & Carbon Corp Water cooled sigma guide tube
US2810063A (en) * 1954-12-09 1957-10-15 American Brake Shoe Co Welding apparatus
US2903567A (en) * 1956-12-31 1959-09-08 Smith Corp A O Arc welding apparatus
US2866079A (en) * 1957-02-18 1958-12-23 Westinghouse Electric Corp Arc welding apparatus
US2957101A (en) * 1957-06-18 1960-10-18 Evans Reamer And Machine Compa Electrical contactor device for continuous feed, consumable electrodetype welding apparatus
US2965746A (en) * 1957-08-22 1960-12-20 British Oxygen Co Ltd Electric arc welding
US3025387A (en) 1959-08-24 1962-03-13 Caterpillar Tractor Co Weld rod guide
US3116408A (en) * 1961-01-26 1963-12-31 Air Reduction Welding apparatus and methods
US3089022A (en) * 1961-05-08 1963-05-07 Caterpillar Tractor Co Weld rod guide
US3470349A (en) * 1965-03-15 1969-09-30 Max A Sievers Guide for welding wire
US3309491A (en) * 1966-06-13 1967-03-14 Charles T Jacobs Consumable anode electrode arc welding
US3488468A (en) * 1966-06-24 1970-01-06 Air Reduction Welding nozzle locking mechanism
US3366774A (en) * 1966-11-30 1968-01-30 Maynard M. Nuss Carbon wire feed tip for welding machine
US3469070A (en) * 1967-06-29 1969-09-23 Arthur A Bernard Arc welding gun
US3529128A (en) * 1967-09-27 1970-09-15 Fmc Corp Welding torch
US3783233A (en) * 1967-10-04 1974-01-01 Co Ordinated Ind Inc Welding gun cooling structure and electrode tip retainer
US3536888A (en) * 1968-08-15 1970-10-27 Lawrence A Borneman Splatter-free welding gun
US3514570A (en) * 1968-12-04 1970-05-26 Bernard Welding Equipment Co Arc welding gun components
US3590212A (en) * 1969-05-23 1971-06-29 Miller Electric Mfg Anodized aluminum welding torch
US3576423A (en) * 1969-06-05 1971-04-27 Bernard Welding Equipment Co Arc welding gun
US3676640A (en) * 1969-06-05 1972-07-11 Dover Corp Arc welding gun
US3596049A (en) * 1969-07-02 1971-07-27 Ralph Ogden Air-cooled welding gun
US3597576A (en) * 1969-07-15 1971-08-03 Dover Corp Spatter and heat shield for welding gun
US3617688A (en) * 1969-07-29 1971-11-02 Ssp Ind Tack welding torch
BE757977A (fr) * 1969-11-24 1971-04-01 Stoody Co Procede et electrode de soudage a l'arc pour acier inoxydable
US3716902A (en) * 1970-02-18 1973-02-20 Small Tube Products Method of making a composite welding torch tip
US3697721A (en) * 1971-01-08 1972-10-10 Air Prod & Chem Pyrolytic graphite nozzles and guide tubes for welding torches
US3825719A (en) * 1972-06-22 1974-07-23 Elektriska Svetsnings Ab Contact nozzle for a continuous arc welding electrode
US3878354A (en) * 1973-06-01 1975-04-15 Caterpillar Tractor Co Welding gun chuck assembly
JPS607578B2 (ja) * 1978-06-30 1985-02-26 新日本製鐵株式会社 厚肉鋼管の造管溶接法
CH625148A5 (ja) * 1978-07-25 1981-09-15 Roberto Torrani
US4309590A (en) * 1980-02-29 1982-01-05 Westinghouse Electric Corp. Narrow groove welding torch
DE3269298D1 (en) * 1981-04-09 1986-04-03 Robert Prunier Welding devices using electrical discharges, especially for arc welding
JPS5829584A (ja) 1981-07-11 1983-02-21 Toyota Motor Corp 溶接用ト−チ
JPS5893580A (ja) * 1981-11-30 1983-06-03 Toyota Motor Corp 溶接用ト−チ
FR2539658A1 (fr) 1983-01-26 1984-07-27 Prunier Robert Tube de guidage d'un fil de metal d'apport pour une installation de soudage par arc electrique
DE3309901A1 (de) 1983-03-18 1984-09-20 Norbert 8900 Augsburg Pache Kontaktrohr
DE3340191A1 (de) * 1983-03-18 1985-05-15 Norbert 8900 Augsburg Pache Kontaktrohr
DE3430652A1 (de) 1983-03-18 1986-03-06 Norbert 8900 Augsburg Pache Kontaktrohr
FR2565141B1 (fr) * 1984-05-30 1987-12-31 Prunier Robert Dispositif pour le guidage et l'alimentation electrique d'un fil de metal d'apport pour le soudage a l'arc, et son procede de fabrication
WO1986000843A1 (en) * 1984-07-24 1986-02-13 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Nozzle for gas-shielded arc welding
US4560858A (en) * 1984-08-28 1985-12-24 Ashton Wray, Jr. Long wearing contact tip for inert gas arc welding
GB2170133B (en) * 1985-01-26 1989-03-15 Cooke & Son R E Improvements in or relating to welding apparatus
JPS61182886A (ja) 1985-02-12 1986-08-15 Hitoshi Ashina ガスシ−ルドア−ク溶接機のコンタクトチツプ
JPS6340625A (ja) 1986-08-04 1988-02-22 Nagata Kogyo Kk 溶接用チツプの製造方法
JPS6380978A (ja) 1986-09-22 1988-04-11 Daido Steel Co Ltd 溶接ト−チ
JPH0734994B2 (ja) * 1986-12-16 1995-04-19 トヨタ自動車株式会社 ア−ク溶接用コンタクトチツプ
FI81287C (fi) * 1987-02-23 1990-10-10 Ossi Hiltunen Stroemningsmunstycke foer mig- och mag-braennare.
JPS6418582U (ja) 1987-07-22 1989-01-30
US4937428A (en) * 1988-01-14 1990-06-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Consumable electrode type arc welding contact tip
FR2644091B1 (fr) 1989-03-10 1992-04-24 Faure Jean Louis Tube contact de soudure pour le soudage avec un metal d'apport
US5304417A (en) * 1989-06-02 1994-04-19 Air Products And Chemicals, Inc. Graphite/carbon articles for elevated temperature service and method of manufacture
US4947024A (en) * 1989-09-11 1990-08-07 Alcotec Wire Co. Welding apparatus coated with spatter-resistant and electrically conductive film
JPH0710850Y2 (ja) * 1989-12-21 1995-03-15 トヨタ自動車株式会社 アークトーチ
JP2721276B2 (ja) * 1991-03-20 1998-03-04 日鐵溶接工業株式会社 ア−ク溶接用ト−チの給電チップ
JPH0596376A (ja) 1991-10-03 1993-04-20 Daido Steel Co Ltd ガスシールドアーク溶接用コンタクトチツプ
US5192852A (en) * 1991-11-14 1993-03-09 The United States Of America As Represented By The Administrator Of The National Aeronautics And Space Administration Substantially oxygen-free contact tube
US5278392A (en) * 1992-02-18 1994-01-11 Tomkins Industries, Inc. Self-cleaning nozzle for a gas welding torch
JPH05261551A (ja) 1992-03-16 1993-10-12 Kobe Steel Ltd コンタクトチップ
JPH05269580A (ja) 1992-03-24 1993-10-19 Toyota Motor Corp アーク溶接用トーチ
DE4217995C2 (de) 1992-05-31 1994-03-17 Hendrik Danneil Schmelzschweißkontaktdüse
US5319175A (en) * 1992-12-23 1994-06-07 Basix Industries Ltd. Apparatus for transferring electrical current to and from a moving wire
US5384444A (en) * 1992-12-23 1995-01-24 Basix Technologies Ltd. Sleeve forming wire passageway around pickup
US5288972A (en) * 1993-01-22 1994-02-22 American Power Connection Systems, Inc. Welding gun tip
JPH06285645A (ja) 1993-04-05 1994-10-11 Mitsuba Kogyo Kk 溶接用コンタクトチップ
EP0621102B1 (en) * 1993-04-21 2000-06-28 Babcock-Hitachi Kabushiki Kaisha Tips for welding and their manufacturing process
JP3587550B2 (ja) 1994-04-22 2004-11-10 株式会社ダイヘン アーク溶接用コンタクトチップ及びその製造方法
KR960015082B1 (ko) * 1994-05-24 1996-10-24 한국기계연구원 용접작업성 개선을 위한 가스용접기의 노즐과 팁 표면의 화성처리법(化成處理法)
US5488217A (en) * 1994-09-12 1996-01-30 Ni; Jian M. High current continuous welding device
JP3560372B2 (ja) 1994-11-29 2004-09-02 中央精機株式会社 アーク溶接用コンタクトチップ
US5556562A (en) * 1994-12-12 1996-09-17 J. W. Harris Co., Inc. Welding assembly
JPH08215855A (ja) 1995-02-17 1996-08-27 Ngk Insulators Ltd アーク溶接用コンタクトチップ
US5585013A (en) * 1995-04-07 1996-12-17 Truty; Thomas J. Electrode guide
JPH091346A (ja) 1995-06-16 1997-01-07 Toupure Kk アーク溶接機のトーチ
US6093907A (en) * 1995-10-03 2000-07-25 Kabushiki Kaisha Smk Contact tip for welding
JPH09136165A (ja) 1995-11-13 1997-05-27 Sumikin Yosetsu Kogyo Kk コンタクトチップ
US5721417A (en) * 1996-02-01 1998-02-24 Abb Flexible Automation Inc. High deposition weld gun nozzle
JPH09295151A (ja) 1996-04-26 1997-11-18 Yaskawa Electric Corp アーク溶接用コンタクトチップ
JPH1024373A (ja) 1996-07-08 1998-01-27 Mizuho Sangyo Kk 溶接チップ
JPH1034341A (ja) 1996-07-30 1998-02-10 Katayama Kogyo Kk 溶接機のコンタクトチップ
JPH1071471A (ja) 1996-08-29 1998-03-17 Nippon Light Metal Co Ltd 溶接用トーチ
US5726420A (en) * 1996-09-18 1998-03-10 Tregaskiss Ltd. Taper lock contact tip and head assembly for welding device
JPH10193124A (ja) 1997-01-14 1998-07-28 Nippon Light Metal Co Ltd 給電チップ装置
JPH10244371A (ja) 1997-03-03 1998-09-14 Hitachi Constr Mach Co Ltd 溶接用コンタクトチップ
JPH10328836A (ja) 1997-06-03 1998-12-15 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 溶接トーチノズル
JP3633228B2 (ja) * 1997-08-19 2005-03-30 日本軽金属株式会社 高速mig溶接用溶接トーチ
DE19737934C1 (de) * 1997-08-30 1998-12-10 Binzel Alexander Gmbh Co Kg Stromdüse
JPH11112355A (ja) 1997-10-08 1999-04-23 Canon Inc 符号化及び復号方法とその装置、それを適用した画像処理装置
US6130407A (en) * 1998-07-29 2000-10-10 Tregaskiss, Ltd. Arc welding torch
JP2000061640A (ja) 1998-08-25 2000-02-29 Toshiba Plant Kensetsu Co Ltd 消耗電極式アーク溶接機の電極チップ
JP2000153360A (ja) 1998-11-17 2000-06-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 溶接用チップとその製造方法
JP2001018069A (ja) 1999-07-02 2001-01-23 N & S:Kk アーク溶接機のトーチ用チップ
JP3345883B2 (ja) 1999-10-22 2002-11-18 大同特殊鋼株式会社 アーク溶接装置およびアーク溶接方法
JP2001121268A (ja) * 1999-10-26 2001-05-08 Tsunemi Kuwabara 溶接用コンタクトチップおよびその製造方法
IT1307534B1 (it) 1999-12-17 2001-11-06 Trafimet Spa Tubetto di contatto per torce di saldatura a filo continuo
JP2001300732A (ja) 2000-04-24 2001-10-30 Hirai Enterp:Kk 電気溶接用トーチ部材
US6559416B1 (en) * 2000-08-25 2003-05-06 Illinois Tool Works Alternate current path for mig gun
JP3529043B2 (ja) * 2000-11-06 2004-05-24 大同特殊鋼株式会社 アーク溶接装置
US6943318B2 (en) * 2001-06-14 2005-09-13 Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha Welding tip for arc welding and arc welding apparatus
JP4703910B2 (ja) * 2001-08-10 2011-06-15 中央精機株式会社 電極チップ摩耗状態の判定装置及び判定方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW200300105A (en) 2003-05-16
DE60239890D1 (de) 2011-06-09
MY136134A (en) 2008-08-29
KR100921669B1 (ko) 2009-10-15
AR037337A1 (es) 2004-11-03
CA2465915A1 (en) 2003-05-15
EP1450981A1 (en) 2004-09-01
WO2003039800A1 (en) 2003-05-15
EP1450981B1 (en) 2011-04-27
ATE507024T1 (de) 2011-05-15
US20060151453A1 (en) 2006-07-13
US7381923B2 (en) 2008-06-03
CA2465915C (en) 2010-09-14
JP2005507783A (ja) 2005-03-24
KR20050043767A (ko) 2005-05-11
EP1450981A4 (en) 2008-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4676698B2 (ja) 改良した消耗電極アーク溶接
JP3331148B2 (ja) 溶接のための方法、システムおよび電極
JP5362914B2 (ja) 溶接装置、溶接棒ヘッドおよび方法
JPS6072679A (ja) ガス金属ア−ク溶接方法
CN110114179B (zh) 用于焊接应用的场形成器
EP2480367B1 (en) Welding contact tips for pulse applications
EP3670061A1 (en) Hybrid electroslag cladding
US20080061050A1 (en) Tungsten-copper welding tip
JP2010131637A (ja) ガスシールドアーク溶接方法
US20090071942A1 (en) Method and apparatus of welding with electrical stickout
Holliday Gas-metal arc welding
EP3932611B1 (en) Metal-cored wire electrode for high deposition rate welding processes
AU2002336817B2 (en) Improved consumable electrode Arc welding
US9370841B2 (en) Electrode extension guide for use with welding systems
AU2002336817A1 (en) Improved consumable electrode arc welding
US6689988B2 (en) Welding gun having a plated tip and method for making same
JP3726813B2 (ja) パウダプラズマ溶接装置と溶接方法
KR20200143571A (ko) 고효율 tig 용접의 생산성 향상을 위한 용가재 및 그 제조방법
EP3799991A1 (en) A system and a method achieving ultra high deposition rate welding
CA1217533A (en) Method and apparatus for arc welding using preheated electrode
US20100252535A1 (en) Contact tip for an electrode of a resistance welder
Adonyi et al. Gas metal arc welding
US2965743A (en) Submerged arc welding
WO1998012011A1 (en) Electrode extension guide for welding
Mornis et al. Sensing of contact tube wear in gas metal arc welding

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080820

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080827

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090303

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090525

A524 Written submission of copy of amendment under section 19 (pct)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20090626

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090707

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20090814

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100705

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100708

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101224

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110128

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees