JP4665966B2 - セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、セラミック電子部品およびその製造方法に関するもので、特に、金属端子が端子電極に取り付けられた構造を有するセラミック電子部品およびその製造方法に関するものである。
この発明にとって興味あるセラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサがある。積層セラミックコンデンサは、セラミックをもって構成される電子部品本体としてのコンデンサ本体を備えている。コンデンサ本体の両端面には端子電極が形成されている。
また、積層セラミックコンデンサの実装状態において、熱的または機械的要因のために配線基板からコンデンサ本体に加わる応力によって、コンデンサ本体にクラック等の機械的損傷がもたらされることがある。そこで、上記のような応力をできるだけ緩和し、機械的損傷を招かないようにするため、金属端子が端子電極に取り付けられた構造を有する積層セラミックコンデンサが提案されている。
上述のような金属端子が取り付けられた積層セラミックコンデンサにおいて、端子電極と金属端子とを接合するための接合材としては、特許第3376971号公報(特許文献1)に記載のように、半田を用いるのが一般的である。
しかしながら、半田は、その融点が比較的低いため、積層セラミックコンデンサの配線基板への実装に際しての半田リフロー工程において、コンデンサ本体が金属端子から脱落することがある。また、半田と金属端子との間でCu3 Sn、Ag3 Sn等の金属間化合物が生成され、これが原因となったり、金属端子と半田との線膨張係数の違いが原因となったりして、熱衝撃を加えると、半田と金属端子との界面にクラックが入り、機械的信頼性が低下することがある。
そこで、特開2002−231569号公報(特許文献2)および特開2004−47671号公報(特許文献3)に記載のように、Ag−Cu合金によって端子電極と金属端子とを接合することにより、耐熱性を向上させることが提案されている。しかしながら、Ag−Cu合金で接合した端子電極と金属端子との接合部分は、耐熱性こそ高いものの、その接合強度は必ずしも十分とは言えなかった。
本件発明者は、その原因を追求したところ、一般にAg−Cu合金の合金化に必要とされる温度、すなわちAg−Cu合金の共晶温度である779℃といった比較的高い温度では、めっき層またはペースト層を構成しているAgまたはCuが、隣接する層に拡散してカーケンダルボイドを生成し、めっき層またはペースト層が実質的になくなってしまうためであることを見出した。特許文献2では合金化温度の具体的な開示はないが、特許文献3では、合金化温度が800℃であるという開示がある。
上述の拡散は、めっき層で最も生じやすく、以下、接合用ペースト層、端子電極または金属端子の順で生じやすく、たとえば「Cu端子電極―Cuペースト接合層―Agめっき層―Cu金属端子」といった配置順序で接合部分が構成されている場合、まず、Agめっき層がCuペースト接合層に拡散し、カーケンダルボイドを生成し、Agめっき層がなくなってしまう。
なお、特許文献2では、その実施例において、接合強度を測定するために荷重をかけて落下試験を行なっている。コンデンサ素子に20gの荷重をかけても、コンデンサ素子が落下しないと記載されているが、この20gの荷重というのはごくわずかな荷重であり、これに耐えられたからといっても、必ずしも十分な接合強度を有しているとは言えない。少なくとも、この20gより1桁高い接合強度でないと、接合強度が十分であるとは言えない。このように、特許文献2に記載のものにおいて、接合強度がそれほど高くないのは、合金化のための熱処理により金属端子のAg膜が端子電極に形成したCu膜に拡散してなくなってしまっているからあろうと推測される。
特許第3376971号公報 特開2002−231569号公報 特開2004−47671号公報
そこで、この発明は、端子電極と金属端子との接合部分の耐熱性を向上させることができるとともに、その接合強度をも向上させることができる、セラミック電子部品の製造方法、およびこの製造方法によって得ることができるセラミック電子部品を提供しようとすることである。
この発明は、簡単に言えば、端子電極と金属端子との接合のためにAg−Cu合金接合が適用されることを特徴としている。
より詳細には、この発明は、両端面に端子電極が形成されたセラミック電子部品本体を用意する工程と、端子電極に接合されるべき金属端子を用意する工程と、金属端子を端子電極に接合するための接合材を用意する工程と、金属端子を、接合材を介して端子電極に接合する接合工程とを備える、セラミック電子部品の製造方法にまず向けられるものであって、前述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、金属端子の、接合材との接触面は、Ag系金属およびCu系金属のいずれか一方を含み、接合材は、Ag系金属およびCu系金属のいずれか他方からなる金属粉末とガラス成分とを含む、導電性ペーストである。この金属粉末は、平均粒径が0.375μm以上かつ2.0μm以下とされる。そして、前述の接合工程は、端子電極と金属端子とを接合材を介して密着させた状態で550〜750℃の温度で熱処理することによって、端子電極と金属端子とをAg−Cu合金接合する工程を備えることを特徴としている。
この発明に係るセラミック電子部品の製造方法において、上記接合材に含まれる金属粉末は、比較的大径の大径粒子と比較的小径の小径粒子とを含み、すなわち、少なくとも2つのピークを有する粒度分布を示すものであり、大径粒子の平均粒径に対する、小径粒子の平均粒径の比率は0.3〜0.6の範囲内にあることが好ましい。この場合、より好ましくは、小径粒子の平均粒径は1μm以下とされる。
また、この発明に係るセラミック電子部品の製造方法において、金属端子は、Cu系金属からなる母材とAg系金属のめっき膜からなるコーティング層とを備え、接合材は、Cu系金属からなる金属粉末とガラス成分とを含むことが好ましい。
この発明は、また、セラミック電子部品本体と、セラミック電子部品本体の両端面に形成される端子電極と、端子電極に金属接合層を介して接合される金属端子とを備える、セラミック電子部品にも向けられる。
この発明に係るセラミック電子部品は、金属端子の、金属接合層との接触面が、Ag系金属およびCu系金属のいずれか一方を含み、金属接合層が、ガラス成分を含み、かつその緻密化率が40%以上、91%以下であり、金属端子と金属接合層とが、Ag−Cu合金によって接合されていることを特徴としている。
この発明に係るセラミック電子部品において、金属端子は、Cu系金属からなる母材とAg系金属のめっき膜からなるコーティング層とを備え、金属接合層はCu系金属からなることが好ましい。
この発明において、ガラス成分は、Bi、Si、B、PbおよびZnから選ばれる少なくとも2種の酸化物を主成分とするものであることが好ましい。
この発明に係るセラミック電子部品の製造方法によれば、端子電極と金属端子とがAg−Cu合金接合によって接合されるので、まず、接合部分の耐熱性を向上させることができる。
また、この発明に係るセラミック電子部品の製造方法によれば、接合材に含まれる金属粉末の平均粒径を2.0μm以下とするとともに、接材にガラス成分を含有させている。これらのことから、AgとCuとの間での反応性を向上させることができるとともに、AgとCuとの合金化温度を引き下げることができる。その結果、550〜750℃といった比較的低い温度でAgとCuとを十分に合金化させることができ、たとえば、最も拡散されやすいめっき層であっても、これを確実に残すことができ、端子電極と金属端子との接合部分において、高い接合強度および信頼性の高い接合状態を与えることができる。
この発明に係るセラミック電子部品の製造方法において、接合材に含まれる金属粉末が、前述したように、大径粒子と小径粒子とを含み、大径粒子の平均粒径に対する、小径粒子の平均粒径の比率が0.3〜0.6の範囲内にされると、金属粉末を構成する粒子同士を最密充填させることが容易となり、粒子間の空隙を低減させることができる。その結果、金属粉末を構成する粒子の反応性を高め、熱処理後において、接合部分の緻密度を向上させることができ、高い接合強度を確実に得ることができる。特に、小径粒子の平均粒径が1μm以下とされると、上述の効果がより顕著に発揮される。なお、このような効果がより確実に発揮されるようにするには、大径粒子100重量部に対して、小径粒子が5〜50重量部の割合で混在していることが好ましい。
この発明に係るセラミック電子部品によれば、端子電極と金属端子とを接合する金属接合層の緻密化率が40%以上(ポア率が60%未満)であるので、接合部分において高い導電性および機械的強度を確保することができる。
この発明において、金属端子が、Cu系金属からなる母材とAg系金属のめっき膜からなるコーティング層とを備え、接合材が、Cu系金属からなる金属粉末とガラス成分とを含む場合、得られたセラミック電子部品において、端子電極、金属接合層および金属端子を、すべて、Cu系金属で構成することができる。
したがって、端子電極、金属接合層および金属端子の各々における線膨張係数を実質的に同等することができ、接合部分において熱による応力を発生させにくくすることができる。その結果、熱衝撃によって接合部分にクラック等が生じにくくなり、セラミック電子部品の機械的信頼性を高めることができる。
また、Cu系金属は、たとえばFe−Ni系金属に比べ、導電率および熱伝導率が高い。その結果、接合部分での電気抵抗による発熱を抑えることができるとともに、セラミック電子部品本体での発熱を配線基板に伝えやすくすることができる。このようなことから、この好ましい実施態様は、大電流下で使用される平滑コンデンサにおいて有利に適用することができる。
図1は、この発明の一実施形態を説明するためのセラミック電子部品1の一部を拡大して示す断面図であり、(a)は、金属端子2を端子電極8に接合するにあたって実施される熱処理の前の状態を示し、(b)は、熱処理の後の状態を示す。 図2は、図1(b)に対応する図であって、熱処理において750℃を超える温度が付与された場合の状態を示す図である。 図3は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第1の例を示す正面図である。 図4は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第2の例を示す正面図である。 図5は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第3の例を示す正面図である。 図6は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第4の例を示す正面図である。 図7は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第5の例を示す側面図である。 図8は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第6の例を示す側面図である。 図9は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての第7の例を示す側面図である。 図10は、実験例1において作製した試料についての熱処理温度と金属端子の接合強度との関係を示す図である。 図11は、図10に示した各試料についての金属接合層の緻密化率と金属端子の接合強度との関係を示す図である。 図12は、実験例2において評価した、実施例および比較例についての金属端子の接合強度に対する熱衝撃の影響を示す図である。 図13は、実験例3において評価した、大径粒子の平均粒径に対する、小径粒子の平均粒径の比率と金属端子の接合強度との関係を示す図である。
符号の説明
1,21a〜21g セラミック電子部品
2,25a〜25g 金属端子
3 セラミック層
4,5 内部電極
6,23 セラミック電子部品本体
7 端面
8,24 端子電極
10 接合材
10a,26 金属接合層
11 母材
12,13 コーティング層
14 Ag−Cu合金層
図1は、この発明の一実施形態を説明するためのもので、セラミック電子部品1の一部を拡大して示している。図1において、(a)は、金属端子2の接合にあたって実施される熱処理の前の状態を示し、(b)は、熱処理の後の状態を示している。
図示したセラミック電子部品1は、積層セラミックコンデンサを構成するもので、積層された複数のセラミック層3と内部電極4および5とを交互に積層した積層構造を有するセラミック電子部品本体6を備えている。内部電極4および5のうち、内部電極4は、セラミック電子部品本体6の一方の端面7にまで引き出され、内部電極5は、図示しないが、セラミック電子部品本体6の他方の端面にまで引き出されている。そして、これら内部電極4と内部電極5とが、積層方向に関して交互に配置されている。
図1には、セラミック電子部品本体6の一方の端面7側の構成が図示されている。また、一方の端面7側の構成と図示しない他方の端面側の構成とは実質的に同様である。したがって、以下には、図示した端面7側の構成について説明し、他方の端面側の構成についての説明は省略する。
セラミック電子部品本体6の端面7には、内部電極4に電気的に接続される端子電極8が形成される。端子電極8は、たとえば、Cu系金属粉末を含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成される。
セラミック電子部品1を製造するため、上述のように端子電極8が形成されたセラミック電子部品本体6が用意されるとともに、端子電極8に接合されるべき金属端子2、および金属端子2を端子電極8に接合するための接合材10が用意される。
金属端子2は、図1(a)に示すように、母材11とコーティング層12および13とを備えている。母材11は、好ましくは、たとえばベリリウム銅、コルソン合金、リン青銅等の耐熱性銅合金のようなCu系金属から構成される。また、母材11上に形成される下地のコーティング層12は、Ni系金属のめっき膜から構成され、その上に形成されるコーティング層13は、Ag系金属のめっき膜から構成される。このようにして、金属端子2の最外層表面は、Ag系金属から構成される。
接合材10は、Cu系金属からなる、平均粒径が0.375μm以上かつ2.0μm以下の金属粉末を含み、かつガラス成分を含む、導電性ペーストである。上述のCu系金属からなる金属粉末としては、好ましくは、真球度が1.2〜2.4の球形Cu粉末が用いられる。なお、金属端子2の最外層の表面が、前述した場合と異なり、Ag系金属ではなくCu系金属から構成される場合には、接合材10に含まれる金属粉末としては、Ag系金属からなるものが用いられる。
なお、上述のように用いられるAg系金属およびCu系金属は、それぞれ、純Agおよび純Cuである場合に限らず、Ag系金属およびCu系金属としての特性を実質的に損なうことがない範囲であれば、たとえば硬度向上や融点調整のために他の金属が添加されたものであってもよい。より具体的には、Ag系金属であれば、Agを主成分としながら、Sn、Zn、Cd等が添加されてもよく、他方、Cu系金属であれば、Cuを主成分としながら、Sn、Zn、Ni、P等が添加されてもよい。
接合材10に含まれる金属粉末は、平均粒径が2.0μm以下であると前述したが、比較的大径の大径粒子と比較的小径の小径粒子とを混在させていることが好ましい。この場合、大径粒子の平均粒径に対する、小径粒子の平均粒径の比率は0.3〜0.6の範囲内になるように選ばれる。また、より好ましくは、小径粒子の平均粒径は1μm以下とされる。
上述のように、接合材10に含まれる金属粉末において、大径粒子と小径粒子とを混在させると、粒子同士を最密充填させることが容易となる。なお、このように、大径粒子と小径粒子とを混在させる場合であっても、各粒子の真球度については、前述したように、1.2〜2.4とされることが好ましい。また、好ましくは、大径粒子100重量部に対して、小径粒子が5〜50重量部の割合で混合される。
接合材10に含まれるガラス成分は、たとえばBi2 3 −B2 3 −SiO2 ガラスまたはPbO−ZnO−SiO2 ガラスのように、Bi、Si、B、PbおよびZnから選ばれる少なくとも2種の酸化物を主成分とするものであることが好ましい
次に、金属端子2を、接合材10を介して端子電極8に接合する接合工程が実施される。この接合工程では、図1(a)に示すように、端子電極8と金属端子2とを接合材10を介して密着させた状態で550〜750℃の温度で熱処理される。その結果、図1(b)に示すように接合材10が焼結して金属接合層10aが形成され、この金属接合層10aを介して、金属端子2が端子電極8に接合される。このとき、金属端子2、より具体的にはAg系金属からなるコーティング層13とCu系金属からなる金属接合層10aとの間には、Ag−Cu合金層14が形成され、これによって、端子電極8と金属端子2とがAg−Cu合金接合される。
上述したAg−Cu合金層14は、半田より高い耐熱性を有している。また、接合材10に含まれるCu系金属粉末の平均粒径が2.0μm以下であり、かつ接合材10にガラス成分が含まれているので、AgとCuとの反応性を向上させるとともに、これらの合金化温度を引き下げることができる。その結果、前述したように、550〜750℃の温度による熱処理で、十分に合金化させながら、AgまたはCuの拡散を引き起こさないようにすることができる。
なお、上記の熱処理温度が550℃未満の場合には、合金化が十分に進まず、高い接合強度を得ることができない。他方、熱処理温度が750℃を超えると、図2に示すように、コーティング層13を構成するAgがCuを含む接合材10または金属接合層10aに拡散し、カーケンダルボイドを生成し、十分な接合強度を得ることができない。なお、図2ではAg系金属からなるコーティング層13については、大半が消失し、ほとんど空洞になっている状態が図示されている。
前述したように、接合材10に含まれる金属粉末が大径粒子と小径粒子とを含み、これらの平均粒径の比率が0.3〜0.6の範囲内に選ばれると、粒子間の空隙を低減させることができるので、上述した熱処理工程において、金属粉末の反応性を高めることができ、金属接合層10aの緻密度を向上させ、端子電極8と金属端子2との間でより高い接合強度を得ることができる。
なお、上記の実施形態は、この発明が積層コンデンサに適用された場合について説明したが、この発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、抵抗器、インダクタ等のセラミック電子部品に対しても適用することができる。
図3ないし図9は、この発明に係るセラミック電子部品に備える金属端子の形状についての種々の例を示している。図3ないし図6には、それぞれ、セラミック電子部品21a、21b、21cおよび21dが正面図で示され、図7ないし図9には、それぞれ、セラミック電子部品21e、21fおよび21gが側面図で示されている。
図3ないし図9には、共通して、セラミック電子部品21a〜21gが配線基板22上に実装された状態が示されている。セラミック電子部品21a〜21gは、共通して、セラミック電子部品本体23と、セラミック電子部品本体23の両端面に形成される端子電極24と端子電極24に金属端子25a〜25gの各々を接合している金属接合層26とを備えている。
図3に示したセラミック電子部品21aでは、金属端子25aは、逆U字状に延びるように曲げられ、配線基板22に対する接続部となる接続端部27aは、セラミック電子部品本体23の外方へ延びるように折り曲げられている。
図4に示したセラミック電子部品21bでは、金属端子25bは、金属端子25aの場合と同様、逆U字状に延びるように曲げられているが、配線基板22に対する接続部となる接続端部27bは、セラミック電子部品本体23の内方へ延びるように折り曲げられている。
図5に示したセラミック電子部品21cでは、金属端子25cは、比較的鋭い屈曲角をもって逆V字状に延びるように曲げられ、配線基板22に対する接続部となる接続端部27cは、セラミック電子部品本体23の内方へ延びるように折り曲げられている。
図6に示したセラミック電子部品21dでは、金属端子25dは、接続端部27dの部分を含めてL字状に延びるように曲げられ、接続端部27dは、セラミック電子部品本体23の外方へ延びるように折り曲げられている。
図7に示したセラミック電子部品21eでは、通常の板状の金属端子25eが取り付けられている。
図8に示したセラミック電子部品21fでは、図3ないし図5に示したような二重構造の金属端子25fを備えているが、金属端子25fの外側に位置する部分において、穴28が設けられている。
図9に示したセラミック電子部品21gでは、金属端子25gは、櫛歯状の形状を有している。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
[実験例1]
セラミック電子部品本体として、内部電極がNi系金属からなり、端子電極がCu系金属からなる積層セラミックコンデンサのためのセラミック電子部品本体を用意した。また、接合材として、平均粒径が1.3μmのCu系金属粉末、Bi2 3 −B2 3 −SiO2 ガラス成分および有機ビヒクルを含む導電性ペーストを用意した。また、金属端子として、図3に示すような形状のものであって、ベリリウム銅を母材とし、Niめっき膜を下地コーティング層とし、Agめっき膜をその上のコーティング層としたものを用意した。
次に、端子電極と金属端子とを接合材を介して密着させた状態で固定し、その状態で、接合材としての導電性ペースト中の有機ビヒクル成分を乾燥させるために、150℃の温度に設定された恒温槽で20分間乾燥処理し、次いで、その状態を維持したまま、中性雰囲気のオーブンにて、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃および800℃の各温度で熱処理し、各試料に係る、金属端子が取り付けられたセラミック電子部品を得た。
このようにして得られたセラミック電子部品の端子電極に対する金属端子の接合強度を評価した結果が図10に示されている。
図10に示すように、熱処理温度が550〜750℃の温度範囲とされたとき、比較的高い接合強度が得られている。これに対して、熱処理温度が550℃未満の500℃とされたときには、金属端子側のAgと接合材に含まれるCuとが十分に合金化せず、接合強度が低くなっている。他方、熱処理温度が750℃を超える800℃とされたときには、金属端子側のAgが接合材中に拡散し、カーケンダルボイドを生成し、接合強度が低くなっている。
図11には、図10に示した各試料の緻密化率が示されている。緻密化率は、熱処理後の金属接合層中の任意の点について、断面顕微鏡写真上での面積比率から算出して求めたものである。
図11に示すように、緻密化率が40%未満(合金化がほとんど進んでいない状態)では、接合強度が低い。他方、緻密化率が91%(熱処理温度が750℃)を超えると、接合強度が急に低下している。これは、熱処理温度が750℃を超えると、金属端子側のAgの拡散が生じるためであると考えられる。なお、緻密化率が70%(熱処理温度が650℃)を超えると、接合強度が徐々に低下しているのは、金属接合層中のガラス成分が徐々に拡散していくからではないかと推測される。
なお、上記実験例1では、接合材に含まれるガラス成分として、Bi2 3 −B2 3 −SiO2 ガラスを用いたが、Bi2 3 −B2 3 −SiO2 ガラスを用いた場合にも、実質的に同様の結果が得られた。
[実験例2]
上記実験例1において作製した試料のうち、熱処理温度を650℃にして得られた試料を実施例とし、接合材として半田を用いたものを比較例として、金属端子の接合強度に及ぼす熱衝撃の影響を調査した。その結果が図12に示されている。
図12に示すように、比較例では、熱衝撃によって接合強度が大幅に低下しているのに対し、実施例では、熱衝撃による接合強度の低下がほとんど認められない。
[実験例3]
前述した実験例1では、接合材として、平均粒径が1.3μmのCu系金属粉末を含む導電性ペーストを用いたが、この実験例3では、接合材となる導電性ペースト中のCu系金属粉末として、比較的大径の大径粒子と比較的小径の小径粒子とを混在させたものを用いた。
より具体的には、Cu系金属粉末として、大径粒子の平均粒径については1.25μmに固定し、小径粒子の平均粒径を種々に変動させ、大径粒子100重量部に対して小径粒子25重量部の割合で混合したものを用いた。また、熱処理温度を650℃に設定した。その他の条件については、実験例1の場合と同様にし、各試料となるセラミック電子部品を得た。そして、このセラミック電子部品の端子電極に対する金属端子の接合強度を評価した。その結果が図13に示されている。
図13に示すように、「小径粒子の粒径/大径粒子の粒径」の変動によって接合強度が変動し、「小径粒子の粒径/大径粒子の粒径」が0.3〜0.6の範囲内にあるとき、比較的高い接合強度が得られている。
他方、「小径粒子の粒径/大径粒子の粒径」が0.6を超えると、Cu系金属粉末の反応性が低下し、そのため、接合強度が低下している。他方、「小径粒子の粒径・大径粒子の粒径」が0.3未満となると、小径粒子同士の凝集が進み、金属粉末の分散性が低下し、接合部分の緻密性が阻害される。その結果、接合強度が低下している。

Claims (8)

  1. 両端面に端子電極が形成されたセラミック電子部品本体を用意する工程と、
    前記端子電極に接合されるべき金属端子を用意する工程と、
    前記金属端子を前記端子電極に接合するための接合材を用意する工程と、
    前記金属端子を、前記接合材を介して前記端子電極に接合する接合工程と
    を備え、
    前記金属端子の、前記接合材との接触面は、Ag系金属およびCu系金属のいずれか一方を含み、
    前記接合材は、Ag系金属およびCu系金属のいずれか他方からなる、平均粒径が0.375μm以上かつ2.0μm以下の金属粉末とガラス成分とを含む、導電性ペーストであり、
    前記接合工程は、前記端子電極と前記金属端子とを前記接合材を介して密着させた状態で550〜750℃の温度で熱処理することによって、前記端子電極と前記金属端子とをAg−Cu合金接合する工程を備える、
    セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記接合材に含まれる前記金属粉末は、比較的大径の大径粒子と比較的小径の小径粒子とを含み、前記大径粒子の平均粒径に対する、前記小径粒子の平均粒径の比率は0.3〜0.6の範囲内にある、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記小径粒子の平均粒径は1μm以下である、請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記金属端子は、Cu系金属からなる母材とAg系金属のめっき膜からなるコーティング層とを備え、前記接合材は、Cu系金属からなる前記金属粉末と前記ガラス成分とを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記ガラス成分は、Bi、Si、B、PbおよびZnから選ばれる少なくとも2種の酸化物を主成分とする、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  6. セラミック電子部品本体と、
    前記セラミック電子部品本体の両端面に形成される端子電極と、
    前記端子電極に金属接合層を介して接合される金属端子と
    を備え、
    前記金属端子の、前記金属接合層との接触面は、Ag系金属およびCu系金属のいずれか一方を含み、
    前記金属接合層は、ガラス成分を含み、かつ緻密化率が40%以上、91%以下であり、
    前記金属端子と前記金属接合層とは、Ag−Cu合金によって接合されている、
    セラミック電子部品。
  7. 前記金属端子は、Cu系金属からなる母材とAg系金属のめっき膜からなるコーティング層とを備え、前記金属接合層はCu系金属からなる、請求項6に記載のセラミック電子部品。
  8. 前記ガラス成分は、Bi、Si、B、PbおよびZnから選ばれる少なくとも2種の酸化物を主成分とする、請求項6または7に記載のセラミック電子部品。
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