JP2014170864A - 接合体およびその製造方法 - Google Patents

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哲也 村木
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Abstract

【課題】焼結体よりなる場合であっても、接合強度を向上させることが可能な接合体を提供する。
【解決手段】接合体3は、第1接合面11と第1接合面11から延びる側面12とを有する第1導体1と、第1接合面11と対向して配置されており、かつ第1接合面11よりも面積が大きい第2接合面21を有する第2導体2との間を接合するための導電性の接合体である。接合体3は、第1接合面11と第2接合面21との間に配置される接合層31と、接合層31と連続しており、かつ、第1導体1の側面12から第2導体2の第2接合面21に向かって延びるフィレット部32とを有している。接合層31およびフィレット部32は、これらの基本骨格をなす銀系の焼結部33と、焼結部33中に分散された導電性スペーサ34とを含んで構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合体およびその製造方法に関する。
従来、金属より形成された導体間を接合するため、はんだが広く用いられている。はんだは、比較的低温で溶融する材料である。そのため、はんだは、比較的低い温度で一旦溶融させ、その後に再凝固させることにより、導体間を比較的高い接合強度で接合することができる。
はんだを用いた接合技術としては、例えば、特許文献1には、半導体デバイスの電極と回路電極とをはんだ層を介して接合する技術が開示されている。
一方、特許文献2には、パワー半導体素子の出力アップに伴う高放熱及び高信頼性の要求にこたえるモジュール構造の技術に、金属基複合材料基板にパワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合あるいは銀ペーストにより接着する技術が開示されている。
特開2003−234447号公報 特開2010−278171号公報
しかしながら、従来の銀ペーストを用いた接合体では、以下の点で改良の余地がある。銀ペーストを用いた接合体は、使用時において、はんだでは溶融など問題で適用できない高温でも信頼性の高い接合として一般に用いられている。一方、銀ペーストを用いた接合体の製造段階では、搭載する半導体素子への熱の影響の最小化、熱膨張のミスマッチの最小化し、できるだけ低温での接合を実現するため、低温で行われるように工夫されている。銀ペーストは、銀の微粒子と有機溶媒と添加剤により構成されている。銀ペーストは、部材に挟まれ加熱されることにより溶媒が揮発し、次に銀の微粒子が互いに及び部材と接合する焼結反応によって部材間の接合が行われる。
銀ペーストを用いた接合では、はんだによる接合と異なり、金属の溶融を経ていないので、部材への這い上がりがなく、接合層の端部は部材の端部と鋭い角度で接し、応力集中が起きやすい構造となっている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電気伝導及び熱伝導を確保しつつ、高温で使用でき、高強度、高信頼性の接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の接合体は、第1接合面と該第1接合面から延びる側面とを有する第1導体と、該第1接合面と対向して配置されており、かつ該第1接合面よりも面積が大きい第2接合面を有する第2導体との間を接合するための導電性の接合体であって、
該第1接合面と該第2接合面との間に配置される接合層と、
該接合層と連続しており、かつ、該第1導体の側面から該第2導体の第2接合面に向かって延びるフィレット部とを有しており、
該接合層および該フィレット部は、これらの基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部と、該焼結部中に分散された導電性スペーサとを含んで構成されていることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の接合体の製造方法は、前記接合体を製造するための製造方法であって、前記焼結部の原料粉である銀系粒子と前記導電性スペーサと有機溶媒とを含有するペーストを少なくとも前記第2導体の第2接合面の表面に塗布する塗布工程と、
前記第2接合面の表面に塗布されたペースト上に前記第1接合面を沈めるとともに該ペーストにて前記第1導体の側面を濡らす導体載置工程と、
前記ペーストを焼成する焼成工程とを有していることを特徴とする(請求項7)。
本発明の接合体は、前記特定の構成を有している。特に、前記接合体は、第1導体の第1接合面と第2導体の第2接合面との間を接合する接合層と、この接合層と連続しており、かつ、第1導体の側面から第2導体の第2接合面に向かって延びるフィレット部とを有している。そして、接合層およびフィレット部は、これらの基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部と、焼結部中に分散された導電性スペーサとを含んで構成されている。
前記接合体は、接合層と連続するフィレット部を有し接合層の端部がフィレットで覆われているので、フィレット部が接合層にかかる応力集中を緩和する機能を有する。接合層及びフィレット部は、多孔質であって銀系の焼結部が基本骨格を構成しているので、熱歪みなど外部から加わる歪みを緩和することができる。また、フィレット部及び接合層は、多孔質であって銀系の焼結部が基本骨格を構成しているが、焼結部中には導電性スペーサが分散しているので、第1導体の第1接合面と第2導体の第2接合面との間の電気伝導及び熱伝導を確保することができる。接合層による接合とフィレット部による接合との相乗効果により、焼結体よりなる場合であっても、接合強度を向上させることができる。
本発明の接合体の製造方法は、前記塗布工程と、前記導体載置工程と、前記焼成工程とを有している。特に、前記導体載置工程では、第2接合面の表面に塗布されたペースト上に第1接合面を沈めるとともにペーストにて第1導体の側面を濡らす。この際、ペースト中に銀粒子以外に導電性スペーサが含有されているので、第2接合面の表面に塗布されたペースト上に第1接合面を沈めた際、導電性スペーサがストッパーの役割を果たし、第1接合面よりも外側にペーストが過剰に流れ出るのを抑制することができる。また、導電性スペーサは、第1接合面と第2接合面との間に空間を確保する。それ故、第1接合面と第2接合面との間を接合する接合層の形成を確実なものとすることができる。また、第1接合面よりも外側に適量はみ出したペーストが第1導体の側面まで濡れ上がる。そのため、ペーストの焼成後、接合層と連続させることができ、かつ、ペーストが焼成によって体積収縮するので、第1導体の側面から第2導体の第2接合面に向かって延びるフィレット部を形成することができる。したがって、前記接合体を比較的容易に得ることができる。
実施例1の接合体の断面を模式的に示した断面図である。 実施例1の接合体におけるフィレット部の断面を模式的に拡大して示した断面図である。 実施例1の接合体の製造方法を説明するための説明図である。 実験例にて作製した試料1の接合体の微構造を示すSEM写真である。 実験例にて作製した各試料の接合体の接合強度を示した図である。 本発明における2個の導電性スペーサと、第1導体または第2導体が形成する空間の一例を示す説明図である。
本発明の接合体は、第1接合面と該第1接合面から延びる側面とを有する第1導体と、該第1接合面と対向して配置されており、かつ該第1接合面よりも面積が大きい第2接合面を有する第2導体との間を接合するための導電性の接合体であって、
該第1接合面と該第2接合面との間に配置される接合層と、
該接合層と連続しており、かつ、該第1導体の側面から該第2導体の第2接合面に向かって延びるフィレット部とを有しており、
該接合層および該フィレット部は、これらの基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部と、該焼結部中に分散された導電性スペーサとを含んで構成されていることを特徴とする
以降、本発明の接合体の詳細について説明する。なお、必要に応じて後述する接合体の製造方法の説明を適宜参照することができる。
本発明の第1導体は、第1接合面と第1接合面から延びる側面とを有している。ここで、側面は、第1接合面と連続する、第1接合面以外の横の面を意味し、周面を含む概念である。側面は、互いに連続する複数の面から構成することもできるし、周面から構成することもできる。側面は、具体的には、第1接合面の外周部から、第1接合面と略垂直に延びていることが好ましい。第1導体の第1接合面をペーストに沈める際にはみ出したペーストと第1接合面から延びる側面が濡れやすいので、焼成によって収縮したペーストが第1導体の側面から第2導体の第2接合面に向かって延びるようにフィレット部を形成することができる。言い換えると、フィレット部の表面は第1導体の側面および第2導体の第2接合面と滑らかに接続するように構成される。このため、フィレット部が接合層を覆うように構成され接合層にかかる応力集中を緩和し、接合強度を向上させやすくなるためである。
本発明の第1導体は、第1導体は、第1接合面と第1接合面から延びる側面とを有していればよく、特にその形態は限定されない。例えばコンデンサ、抵抗、インダクタンス素子、半導体素子などの電子部品、導体ピン、リードフレームなどの電極または端子などの導体部分を有するものが適用できる。
本発明の第2導体は、第1接合面と対向して配置された第2接合面を有している。第1接合面と第2接合面は、具体的には、少なくとも、導電性スペーサを含んだ接合層が両接合面間に存在できる距離を確保可能となるように離間して配置されておればよい。第1接合面と第2接合面とは、略平衡となるように対向して配置することができる。また、第2接合面の面積は、第1接合面の面積よりも大きい。つまり、第1接合面を上方から見た場合、第1接合面を第2接合面上に投影した投影面の外側にも第2接合面が存在している。第2接合面の面積が第1接合面の面積よりも大きいことは、フィレット部を確保するための意義がある。
本発明の第2導体は、金属であればよくその形態は特に限定されない。例えば、リードフレーム、配線基板に形成された導体層、半導体素子の電極部、電子部品の電極部など様々なものが適用できる。
本発明の接合体の第1導体及び第2導体の組み合わせは、前記第1導体及び第2導体から適宜組み合わせることができる。第1導体及び第2導体の順に記載すると、例えば、半導体素子の電極と配線基板に形成された導体層、導体ピンと配線基板に形成された導体層、導体ピンと半導体素子の電極の組み合わせなどを適用することができる。
本発明の接合体は、接合層とフィレット部とを有している。接合層は、第1接合面と第2接合面と間を接合するために両者の間に配置される層状の部位であり、その層厚は、例えば、5〜40μm程度とすることができる。
一方、フィレット部は、接合層と連続しており、かつ、第1導体の側面から第2導体の第2接合面に向かって延びている。つまり、フィレット部は、第1導体の側面を基点として裾野が広がった形状を有している。フィレット部は、第1導体の側面との接合を確保するとともに、第2導体の第2接合面の表面との接合を確保し、接合層の端部を覆うように構成されるので、接合層の端部への応力集中を緩和し接合体の強度を向上させるのに重要な部位である。
本発明の接合層および前記フィレット部は、ともに、これらの基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部と、焼結部中に分散された導電性スペーサとを含んで構成されている。
本発明の銀系の焼結部は、銀または銀合金の焼結によって形成された部位である。焼結部は、熱歪みなど外部から加わる歪みを緩和する観点から、銀の焼結によって形成され、多孔質であることが好ましい。銀は、酸化されにくいので、表面に酸化被膜ができにくく、また酸化被膜を有していても還元剤、還元性ガスで容易に除去でき、焼結しやすいので好ましい。焼結部は、多孔質であるので、多孔質の空隙が外部から加わる歪みを吸収し、クラックが発生しにくくすることができる。
銀合金とは、銀が主成分の合金であれば特に限定されない。例えば、2成分系合金、3成分系合金、多成分系合金など、構成する元素の数は限定されない。銀合金の組織は、共晶組織、固溶組織などいずれであってもよく特に限定されない。
一方、前記導電性スペーサは、接合層を構成する焼結部、フィレット部を構成する焼結部のいずれにも含まれている。なお、接合層中に含まれる導電性スペーサは、第1接合面および第2接合面のいずれか一方と接触していてもよいし、第1接合面および第2接合面の両方と接触していてもよいし、第1接合面および第2接合面の両方と接触していなくても構わない。また、これらの組合せであってもよい。
本発明の導電性スペーサは、第1導体と第2導体との導通を妨げることがないように導電性を有している。導電性スペーサは、少なくともその表面が導電性を有しておればよい。導電性スペーサは、例えば、表面から中心部まで一様に導電性物質で満たされている構造を有していてもよいし、表層が導電性物質から構成されており、表層よりも内方にある内層が非導電性物質から構成されている構造を有していてもよい。また、表層と内層とが異なる導電性物質から構成されている構造を有していてもよい。導電性スペーサは、好ましくは、前者であるとよい。良好な導電性を確保しやすい上、一定の比重を確保しやすいので、接合体の製造時の導体載置工程において、導電性スペーサがストッパーの役割を果たしやすく、第1接合面よりも外側にペーストが過剰に流れ出るのを抑制しやすくなる利点があるからである。
本発明の接合層は、導電性スペーサを分散して含んでいるので、第1導体と第2導体との電気伝導及び熱伝導を確保することができる。接合層の基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部は多孔質である。焼結部の内部に存在する気孔が、電気伝導及び熱伝導を低下させるように作用するが、導電性スペーサが第1導体と第2導体との間で、熱及び電気の流れを担うことができるので、接合層の電気伝導及び熱伝導を確保することができる。
本発明のフィレット部は、外表面が前記第1導体の側面及び/または前記第2導体の第2接合面と滑らかにつながるホーン型の形状とすることができる。(請求項2)
本明細書においてホーン型とは角のように一方が小さく、他方に向かうに従って大きくなっていく形状を示し、その途中の断面は特に限定されない。その途中の断面は、円形、多角形、楕円などを含む。
この場合は、フィレット部の末端で、第1導体または第2導体に滑らかにつなぐことができるので、フィレット部の末端で応力集中の起きにくい構造を得ることができる。応力集中が生じ難くなるので、接合強度をより一層向上させるのに寄与することができる。なお、フィレット部が第1導体側及び第2導体側の両端と滑らかにつながっていると、両端でこの効果を得ることができるので、接合強度をより一層向上させるのに寄与することができることはいうまでもない。
本発明のフィレット部の高さは、第1導体の側面との接合面積を十分に確保でき、接合強度の向上に有利であるなどの観点から、好ましくは 100um以上、より好ましくは 150um以上、さらに好ましくは 200um以上とすることができる。また、フィレット部の高さは、製造性、ペーストの粘性 などの観点から、好ましくは 500um以下、より好ましくは450以下、さらに好ましくは400以下とすることができる。なお、フィレット部の高さは、第1導体側面線とフィレット表面線との接点と、第1接合面との距離をいう。
また、前記フィレット部の幅は、第2接合面との接合面積を十分に確保でき、接合強度の向上に有利であるなどの観点から、好ましくは 200um以上、より好ましくは300um以上、さらに好ましくは400um以上とすることができる。また、フィレット部の幅は、製造性、近接するパターンとの絶縁などの観点から、好ましくは5000μm以以下、より好ましくは 4000μm以下、さらに好ましくは3000μm以下とすることができる。なお、フィレット部の幅は、第2導体表面線とフィレット表面線との接点と、第1導体側面線の延長線との間の最短距離をいう。
本発明の導電性スペーサは、具体的には、少なくともその表面が銀、金、白金、パラジウム、銅およびこれらの合金から選択される1種または2種以上の金属材料よりなる構成とすることができる(請求項3)。
本発明の導電性スペーサは、少なくともその表面が銀、金、白金、パラジウム、銅およびこれらの合金から選択される1種または2種以上の金属材料であると、導電性に優れた接合体が得られる。これら金属材料は、酸化被膜が形成されにくく、銀と固溶体を形成するので銀系の焼結部と強く接続することができる。導電性スペーサは、より具体的には、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、Auなどから構成することができる。これらのうち、導電性スペーサは、導電性、伝熱性、耐熱性などの観点から、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金より構成されているとよい。
本実施の導電性スペーサは、金属材料のみからなることが好ましい。導電性スペーサが金属材料のみからなると、導電性スペーサ内部も導電性、伝熱性を有しているので、第1導体と第2導体の電気伝導及び熱伝導を高くすることができる。
本発明の導電性スペーサは、その形状が特に限定されるものではない。導電性スペーサは、例えば、球状、柱状、紡錘状、繊維状などの形状であってよい。前記導電性スペーサは、好ましくは球状とすることができる(請求項4)。この場合は、フィレット部の表面凹凸を少なくするのに寄与できる。そのため、この場合は、フィレット部における応力集中を抑制するのに有利であり、接合強度の向上に寄与しやすくなる。また、球状であると均一な厚みの接合層を確保するのに有利である。
本発明の第1導体は、その形状が特に限定されるものではなく、例えば、柱状(棒状、ピン状等も含む)、板状などの形状とすることができる。これらのうち、第1導体が柱状である場合(請求項5)は、柱状導体の周面と接合体のフィレット部とを接合させることにより、高い接合強度を得ることができる。
本発明の第1導体の表面および/または前記第2導体の表面は、貴金属またはニッケルにより被覆されていてもよい(請求項6)。
これらの金属は、酸素または硫黄と反応しにくい性質を持っているので、第1導体のおよび/または前記第2導体表面の劣化を防止することができる。また、これら金属は、銀と固溶体を形成するので銀系の焼結部と強く接続することができる。前記貴金属としては、具体的には、例えば、銀、金、白金、パラジウム、これらの合金などを例示することができる。これらのうち、好ましくは、焼結部と同系の金属であり、接合性を向上させやすい観点から、銀、銀合金が好適である。
本発明の導電性スペーサの50%体積累積径は、前記ストッパー機能の発揮、接合層の厚み確保、などの観点から、好ましくは1um以上、より好ましくは2um以上、さらに好ましくは5μm以上とすることができる。一方、導電性スペーサの50%体積累積径は、焼成時に接合層へフィレット部のペーストが移動するので、良好なフィレット部形性などの観点から、好ましくは50um以下、より好ましくは40um以下、さらに好ましくは30um以下とすることができる。なお、導電性スペーサは、材質、粒径の異なるも1種または2種以上を併用することができる。
50%体積累積径とは、体積基準の直径のメジアン値を示し、レーザー回折式粒度測定器を用いて測定することができる。
本発明の導電性スペーサの50%体積累積径は、銀系粒子の50%体積累積径の4倍以上であることが好ましい。導電性スペーサの大きさが銀系粒子の50%体積累積径の4倍以上であると、例えば、下記に示すように、導電性スペーサ2個と、第1導体または第2導体が形成する空間を通過することができる。
図6は、2個の導電性スペーサと、第1w導体または第2導体が形成する空間の一例を示す説明図である。2個の導電性スペーサと第1導体または第2導体が形成する空間を通過可能な銀系粒子の直径は、導電性スペーサの直径の1/4である。これは、幾何学的に算出することができる比率である。このため、導電性スペーサの50%体積累積径は、銀系粒子の50%体積累積径の4倍以上であることによって、ペーストに第1導体を沈めたとき及び焼成時に、導電性スペーサと第1導体または第2導体の隙間を、ペーストを構成する銀系粒子と有機溶媒が容易に移動でき、導電性スペーサが第1接合面と第2接合面の間から流出することを防止することができる。
導電性スペーサの50%体積累積径は、望ましくは銀系粒子の50%体積累積径の10倍以上、さらに望ましくは銀系粒子の50%体積累積径の100倍以上である。導電性スペーサの50%体積累積径を銀系粒子の50%体積累積径よりも大きくすればするほど導電性スペーサが第1接合面と第2接合面の間から流出することをより防止することができる。
本発明の導電性スペーサの銀系の焼結体に対する含有量は、前記ストッパー機能の発揮、導電性、伝熱性などの観点から、好ましくは1vol%以上、より好ましくは2vol%以上、さらに好ましくは3vol%以上とすることができる。一方、導電性スペーサの含有量は、接合層の接合強度などの観点から、好ましくは20vol%以下、より好ましくは15vol%以下、さらに好ましくは10vol%以下とすることができる。なお、導電性スペーサの含有量とは、Agペースト焼成後の金属Agに対しての導電性スペーサ体積比より算出される値をいう。
本発明の接合体は、具体的には、例えば、パワー半導体素子等の半導体素子が有する導体と、配線基板が有する導体との間を接合するための接合体などとして好適に用いることができる。この場合は、比較的高温でパワー半導体素子が動作される場合であっても、接合体の耐熱性が高い上、接合強度が向上されているので、高い接合信頼性が得られる利点がある。
次に、本発明の接合体の製造方法について説明する。
本発明の接合体の製造方法は、前記発明の接合体の製造方法であって、前記焼結部の原料粉である銀系粒子と前記導電性スペーサと有機溶媒とを含有するペーストを少なくとも前記第2導体の第2接合面の表面に塗布する塗布工程と、前記第2接合面の表面に塗布されたペーストに前記第一導体の前記第1接合面を沈めるともに該ペーストにて前記第1導体の側面を濡らす導体載置工程と、前記ペーストを焼成する焼成工程とを有していることを特徴とする。
以下、本発明の接合体の製造方法の詳細について説明する。なお、必要に応じて前記接合体の説明を適宜参照することができる。
本発明の接合体の製造方法は、前記接合体を好適に製造することができる製造方法であり、前記塗布工程と、前記導体載置工程と、前記焼成工程とを有している。
本発明の接合体の製造方法の塗布工程において、ペーストは、銀または銀合金よりなる銀系粒子を含有している。銀合金とは、銀が主成分の合金であれば特に限定されない。例えば、2成分系合金、3成分系合金、多成分系合金など、構成する元素の数は限定されない。銀合金の組織は、共晶組織、固溶組織などいずれであってもよく特に限定されない。
銀系粒子の50%体積累積径は、焼結性などの観点から、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは1nm以上とすることができる。一方、銀系粒子の50%体積累積径は、ペーストの流動性などの観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下とすることができる。
本発明の接合体の製造方法の導電性スペーサは、その形状が特に限定されるものではない。導電性スペーサは、例えば、球状、塊状、柱状、紡錘状、繊維状などの形状であってよい。前記導電性スペーサは、好ましくは球状とすることができる(請求項8)。この場合は、フィレット部の表面凹凸を少なくするのに寄与できる。そのため、この場合は、フィレット部における応力集中を抑制するのに有利であり、接合強度の向上に寄与しやすくなる。また、球状であると均一な厚みの接合層を確保するのに有利である。球状とは、アスペクト比が1.5以下の回転楕円体であることが好ましく、さらに好ましくはアスペクト比が1.2以下の回転楕円体、さらに好ましくはアスペクト比が1.1以下の回転楕円体球形、さらに好ましくはほぼ球形と見なせる程度の略球形を示す。
本発明の接合体の製造方法の銀系粒子は、球状であることが好ましい。金属の粒子は、液体からの凝固によって製造する場合、表面張力の影響で球状の粒子が得やすい上に、球状の銀系粒子を用いると、ペーストの流動性が良くなるので、第2接合面の表面に塗布されたペーストに第一導体の第1接合面を沈める際、小さな圧力でおさえることができる。(請求項9)球状とは、アスペクト比が1.5以下の回転楕円体であることが好ましく、さらに好ましくはアスペクト比が1.2以下の回転楕円体、さらに好ましくはアスペクト比が1.1以下の回転楕円体球形、さらに好ましくはほぼ球形と見なせる程度の略球形を示す。
本発明の接合体の製造方法のペーストに含有させる有機溶媒は、特に限定されるものではなく、塗布に適当な粘度に調製可能であれば、いずれのものでも用いることができる。前記有機溶媒の沸点は、100℃以上かつ前記焼成時の焼成温度よりも低い範囲とすることができる。前記有機溶媒の沸点が、100℃以上であれば、ペーストが空気中の水分を吸収し、吸湿しても、水分の方が先に揮発しやすいので、水分が残留して、銀系粒子、導電性スペーサ、第1導体または第2導体の表面を酸化あるいは変質させることを防止することができる。
また、前記有機溶媒の沸点が、前記焼成時の焼成温度よりも低ければ、焼成によってすみやかに揮発させることができ、銀系の焼結部を形成することができる。
また、この場合は、焼成時の加熱によって比較的穏やかにペースト中から有機溶媒を揮発させることができる。そのため、この場合は、ペーストの体積収縮に起因するクラックの少ない接合体を得やすくなる利点がある。前記有機溶媒としては、具体的には、例えば、テルピネオールなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
本発明の接合体の製造方法の前記焼結部の原料粉である銀系粒子と前記導電性スペーサと有機溶媒とを含有するペーストを少なくとも前記第2導体の第2接合面の表面に塗布する方法は、どのような方法を用いても良い。ノズルから噴出する方法、コーターを用いて塗布しても良い。
塗布されたペーストの厚さは、特に限定されないが、例えば10〜100μmの厚さで塗布することができる。塗布されたペーストの厚さが10um以上であると十分な大きさのフィレットを形成することができ、塗布されたペーストの厚さが100μm以下であると、後の焼成時にクラックを発生しにくくすることができる。
この場合は、第2接合面の表面に塗布されたペースト上に第1導体を載置した際に、ペースト同士が接触してなじみやすく、第1導体の側面をペーストにて濡らしやすくなる。それ故、前記フィレット部を有する接合体を形成しやすくなる。
また、本発明の接合体の製造方法の導体載置工程では、第1接合面より外側にペーストをはみ出させるともに、このはみ出させたペーストにて第1導体の側面の一部(具体的には下端部)を濡らすようにする。この際、第1導体の自重によって、前記はみ出しおよび前記濡れを確保するようしてもよいし、必要に応じて、第1導体を加圧することによって、前記はみ出しおよび前記濡れを確保するようにしてもよい。但し、第1導体を加圧する場合は、加圧力によって、第1接合面より外側に必要以上にペーストがはみ出さないように留意すべきである。
本発明の接合体の製造方法の焼成工程における焼成温度は、半導体素子や配線基板等の被接合物の熱劣化の抑制、ペースト中における銀系粒子の焼結性向上などの観点から、具体的には、例えば、200℃〜300℃とすることが好ましい。また、前記焼成工程における焼成雰囲気は、大気,N,CO/CO雰囲気などとすることができる。
本発明の接合体の製造方法のペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、10〜40vol%であることが好ましい。ペーストは、固形成分と、液状成分とからなり、固形成分の体積比によってその流動性が左右される。ペーストに含まれる固形成分は、前記銀系粒子と前記導電性スペーサであり、ペーストに含まれる液状成分は、有機溶媒と添加剤である。添加剤とは必要に応じて還元剤、有機バインダなどが用いられるが、添加剤が含まれていなくても良い。添加剤は、有機溶媒に溶け、溶液の状態で存在する。言い換えると、ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、固形分の含有量である。
本発明の接合体の製造方法のペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量の望ましい範囲について、以下に説明する。
球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサを使用した場合には、ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、40vol%以下であることが好ましい。同じ大きさの複数の球を最密充填したときの空間率は0.74である。球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサが固形成分で存在し、最密充填した場合においては、空間率は74%を超える。球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサとが最密充填している状態を維持したまま空間部分に液状成分を充填しても、球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサは自由に流動することができない。
球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサと有機溶媒を含有するペーストが自由に流動できるようにするためには、1個の球状の銀系粒子または球状の導電性スペーサが占有する立方体領域内に他の球状の銀系粒子または球状の導電性スペーサが侵入しない程度に離間することが望ましい。
一辺が2rの立方体に対し半径rの球が占有する空間は、52.4%であるので、前記ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、40vol%以下であると他の銀系粒子または導電性スペーサと十分な距離を確保できるのでペーストに十分な流動性を確保することができる。
また、球状の銀系粒子及び球状の導電性スペーサを使用した場合には、ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、10vol%以上であることが好ましい。ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、10vol%以下であると、導電性スペーサが、第1接合面と第2接合面の間に存在しているので、ペーストの体積収縮に追随しにくくなるので焼結体に鬆ができ易くなり、電気伝導、熱伝導を低下させやすくなるうえに強度低下の原因となる。
本発明の接合体の製造方法の焼成工程では、第1接合面より外側にはみ出したペーストから有機溶媒が揮発していくので、ペースト体積収縮と表面張力によってフィレットを形成することができる。本発明の接合体の製造方法の焼成工程のペーストは、流動性を確保するために有機溶媒が多く含まれているため、体積収縮も大きく、表面張力も作用しやすいので、フィレットを形成しやすくすることができる。
前記ペーストは、導電性スペーサ、有機溶媒以外にも、分散剤、界面活性剤などの添加剤を1種または2種以上含有することができる。
本発明の接合体の製造方法の塗布工程では、少なくとも第2導体の第2接合面の表面にペーストを塗布する。つまり、第1接合面および第2接合面のうち、少なくとも、より面積の大きな第2接合面の表面にペーストを塗布する。この際、前記塗布工程では、さらに第1導体の第1接合面の表面にペーストを塗布することもできる。
実施例の接合体およびその製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1の接合体の概略構成を図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の接合体3は、第1接合面11と第1接合面11から延びる側面12とを有する第1導体1と、第1接合面11と対向して配置されており、かつ第1接合面11よりも面積が大きい第2接合面21を有する第2導体2との間を接合するための導電性の接合体である。本例では、具体的には、第1導体1は、柱状導体であり、第2導体2は、半導体素子(不図示)が有する平面状の導体である。
本例の接合体3は、第1接合面11と第2接合面21との間に配置される接合層31と、接合層31と連続しており、かつ、第1導体1の側面12から第2導体2の第2接合面21に向かって延びるフィレット部32とを有している。
本例では、フィレット部は、外表面が前記第1導体の側面及び/または前記第2導体の第2接合面と滑らかにつながるホーン型の形状である。また、図2に示すように、第1接合面11の中心部を通りかつ第1接合面11に垂直な面に沿って切断した断面で見た場合に、フィレット部32の表面に対応するフィレット表面線SL1は、第1導体1の側面12に対応する第1導体側面線Sとフィレット表面線SL1との接点X1、および第2導体2の表面に対応する第2導体表面線SL2とフィレット表面線SL1との接点X2とを結ぶ直線Tの下側に存在し、かつ、下に凸の形状を呈している。また、フィレット部32の高さHは、250μmであり、フィレット部32の幅Lは、400μmである。
そして、接合層31およびフィレット部32は、これらの基本骨格をなす焼結部33と、焼結部33中に分散された導電性スペーサ34とを含んで構成されている。本例では、具体的には、焼結部33は、多孔質の銀より形成されている。また、導電性スペーサ34は、略球形のCu粒子である。
次に、実施例1の接合体の製造方法を図3を用いて説明する。図3に示すように、本例の接合体の製造方法は、実施例1の接合体3を製造する方法であって、焼結部33の原料粉である略球形の銀系粒子(図3中、不図示)と導電性スペーサ(図3中、不図示)と有機溶媒(図3中、不図示)とを含有するペースト4を少なくとも第2導体2の第2接合面21の表面に塗布する塗布工程(図3(a))と、第2接合面21の表面に塗布されたペースト4上に第1接合面11を沈めるとともにこのペースト4にて第1導体1の側面12を濡らす導体載置工程(図3(b))と、ペースト4を焼成する焼成工程(不図示)とを有している。
本例では、具体的には、焼成工程における焼成温度は、250℃である。銀系粒子は、略球形の銀粒子であり、導電性スペーサ34は、略球形のCu粒子であり、有機溶媒の沸点は、100℃以上かつ前記焼成温度よりも低い218 ℃である。ペースト4の固形分含有量(ペーストにおける銀系粒子及び導電性スペーサの含有量)は、23.7vol%である。
(実施例2)
実施例2の接合体3は、基本的に、実施例1の接合体3と同構成を有している。但し、実施例2の接合体3は、実施例2の接合体の製造方法によって製造されたものである。実施例2の接合体の製造方法は、実施例1の接合体の製造方法における塗布工程(図3(a))において、第2導体2の第2接合面21の表面に加え、第1導体1の第1接合面11の表面にもペースト4を塗布している。その他の構成は、実施例1の接合体の製造方法と同様である。
以下、実施例2に従う接合体試料と、比較例の接合試料とを作製し、評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<Agペーストの調製>
市販のAgペースト(三ツ星ベルト(株)製、「MDot−SLP」、Ag粒子含有量=50.5vol%、Ag粒子径=、溶媒含有)100質量部と、α−テルピネオール20質量部と、導電性スペーサとしての略球形のCu粒子(50%体積累積径d50=20μm)5質量部とをスパチュラを用いて十分に混合することにより、接合体試料の作製に用いるAgペーストを調製した。なお、Agペーストの固形分含有量(ペーストにおける銀系粒子及び導電性スペーサの含有量)は、23.7vol%であった。
<第1導体および第2導体>
表面にAgめっき(0.1μm)を施したCuよりなるピン型導体(直径0.45mm)を準備した。また、シリコン(厚み725μm)の表面に、スパッタリング法を用いてTiスパッタ層(厚み0.1μm)、Cuスパッタ層(厚み0.1μm)を順に形成した後、さらに電解めっき法を用いてCuめっき層(厚み5μm)を形成することにより、試験チップを作製した。本例では、前記ピン型導体を、接合すべき一方の第1導体、試験チップが有するCuめっき層を、接合すべき他方の第2導体として用いる。なお、本例では、ピン型導体の底部(直径0.45mm)が第1接合面であり、底部から延びるピン型導体の胴体面が側面である。また、試験チップが有するCuめっき層(大きさ30mm×30mm)の表面が第2接合面である。
<試料1の接合体の作製>
試験チップのCuめっき層の表面に、スクリーン印刷法によりAgペーストを厚み50μm塗布した。また、ピン型導体の底部をAgペーストに接触させることにより、底部表面にAgペーストを付着させた。
次いで、Cuめっき層の表面に塗布されたAgペースト上に、底部を下向きにしてピン型導体を載置した。そして、ピン型導体の自重により、ピン型導体の底部より外側にAgペーストをはみ出させるとともに、Agペーストにてピン型導体の胴体面の下端部を濡らした。この際、導電性スペーサとしてのCu粒子がストッパーの役割を果たしたため、第1接合面よりも外側にペーストが過剰に流れ出るのが抑制された。そしてその結果、ピン型導体の底部は、Cuめっき層の表面と接触しておらず、両者の間には接合層を形成するためのAgペーストが存在していた。また、Agペーストは、ピン型導体の底部より外側にはみ出した。
次いで、この状態のまま、Nガス雰囲気中、300℃で0.5時間、全体を熱処理することにより、ペーストを焼成した。ピン型導体の底部より外側にはみ出したAgペーストは、焼成によるペーストの体積収縮と表面張力により図2に示したようなフィレット形状となった。
以上により、試料1の接合体を作製した。図4に試料1の接合体の断面SEM写真を示す。接合層およびフィレット部は、これらの基本骨格をなす多孔質のAg焼結部と、このAg焼結部中に分散されたCu粒子とを含んで構成されていることがわかる。なお、フィレット高さは270μm程度、フィレット幅は600um程度であった。試料1のピン一本当たりの接合強度は、3.3kgfであった。
<試料2の接合体の作製>
前記市販のAgペーストをそのまま使用し、塗布した市販のAgペーストを、ピン型導体の底部より外側にはみ出させることなく、ペーストを焼成した点以外は、ほぼ試料1の接合体の作製と同様にして、比較としての試料2の接合体を作製した。したがって、試料2の接合体は、Cu粒子を含有しないAg焼結部よりなる接合層を有しているが、フィレット部を有していない。試料1のピン一本当たりの接合強度は、1.4kgfであった。
<試料3の接合体の作製>
ピン型導体の底部と、試験チップのCuめっき層の表面とを300℃にてはんだ接合することにより、比較としての試料3の接合体を作製した。なお、試料3の接合体は、はんだからなる接合層とフィレット部とから構成されている。なお、フィレット高さは300μm程度、フィレット幅は800um程度であった。試料1のピン一本当たりの接合強度は、2.6kgfであった。
<接合強度>
得られた各接合体について、接合強度を以下のようにして測定した。
第1導体及び第2導体をそれぞれ治具に固定し、強度測定器を用いて接合層に垂直に力が加わるように引っ張り、接合層が剥離したときの荷重を測定した。測定はそれぞれ、3回実施し、その平均値を測定値とした。
前記結果から次のことがわかる。
試料3の接合体は、はんだによる接合体である。はんだは一旦溶融した後、再凝固するので、試料3の接合体は、高い接合強度を有していた。しかし、試料3の接合体は、はんだを用いているため耐熱性が不十分であるといえる。
試料2の接合体は、Agの焼結体からなる。そのため、はんだからなる場合に比べ、高い耐熱性を有しているといえる。しかし、試料2の接合体は、Agの焼結体であり、はんだのようにAgを溶融、再凝固させて形成したものではなく、フィレット部もないので、接合強度が低かった。
これらに対し、試料1の接合体は、接合すべき一方の第1導体の第1接合面であるピン型導体の底部と、接合すべき他方の第2導体の第2接合面であるCuめっき層の表面との間に配置される接合層と、この接合層と連続しており、かつ、ピン型導体の側面である胴体面の下端部からCuめっき層の表面に向かって延びるフィレット部とを有している。そして、接合層およびフィレット部は、これらの基本骨格をなすAg焼結部と、このAg焼結部中に分散された導電性スペーサとしてのCu粒子とを含んで構成されている。
そのため、試料1の接合体は、接合層と連続するフィレット部を有し接合層の端部がフィレットで覆われているので、フィレット部が接合層にかかる応力集中を緩和する機能を有する接合体が得られた。接合層及びフィレット部は、多孔質であって銀系の焼結部が基本骨格を構成しているので、熱歪みなど外部から加わる歪みを緩和することができる接合体がえられた。また、フィレット部及び接合層は、多孔質であって銀系の焼結部が基本骨格を構成しているが、焼結部中には導電性スペーサが分散しているので、第1導体の第1接合面と第2導体の第2接合面との間の電気伝導及び熱伝導を確保する接合体が得られた。接合層による接合とフィレット部による接合との相乗効果により、焼結体よりなる場合であっても、接合強度を向上させることができた。
また、試料1の接合体の作製では、第2接合面としてのCuめっき層の表面に塗布されたAgペースト上に、第1導体としてのピン型導体を載置し、第1接合面としてのピン型導体の底部より外側にAgペーストをはみ出させている。この際、Agペースト中に銀粒子以外に導電性スペーサとしてのCu粒子が含有されているので、銀粒子よりも大きなCu粒子がストッパーの役割を果たし、ピン型導体の底部よりも外側にAgペーストが過剰に流れ出るのを抑制することができた。また、Cu粒子は、ピン型導体の底部とCuめっき層の表面との間に介在して両者の接触を抑制し、接合層の確保を確実なものとすることができた。したがって、接合層による接合面積が過度に小さくなり難くかった。それ故、第1接合面であるピン型導体の底部と第2接合面であるCuめっき層の表面との間を接合する接合層の形成を確実なものとすることができた。また、ピン型導体の底部よりも外側に適量はみ出したAgペーストが、表面張力によってピン型導体の側面である胴体面の下端部を濡れ上がり、フィレット部の形成を確実なものとすることができた。
また、試料1の作製では、第1導体の第1接合面であるピン型導体の底部の表面にもAgペーストを塗布している。そのため、Cuめっき層の表面に塗布されたAgペースト上に第1導体を載置した際に、Agペースト同士が接触してなじみやすく、第1導体の側面であるピン型導体の胴体面をAgペーストにて濡らしやすかった。それ故、フィレット部を有する接合体を比較的容易に形成することができた。
以上、実施例について説明したが、本発明は、前記実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変形を行うことができる。
1 第1導体
11 第1接合面
12 側面
2 第2導体
21 第2接合面
3 接合体
31 接合層
32 フィレット部
33 焼結部
34 導電性スペーサ
35 銀系粒子
4 ペースト

Claims (10)

  1. 第1接合面と該第1接合面から延びる側面とを有する第1導体と、該第1接合面と対向して配置されており、かつ該第1接合面よりも面積が大きい第2接合面を有する第2導体との間を接合するための導電性の接合体であって、
    該第1接合面と該第2接合面との間に配置される接合層と、
    該接合層と連続しており、かつ、該第1導体の側面から該第2導体の第2接合面に向かって延びるフィレット部とを有しており、
    該接合層および該フィレット部は、これらの基本骨格をなす多孔質であって銀系の焼結部と、該焼結部中に分散された導電性スペーサとを含んで構成されていることを特徴とする接合体。
  2. 請求項1に記載の接合体において、
    前記フィレット部は、外表面が前記第1導体の側面及び/または前記第2導体の第2接合面と滑らかにつながるホーン型の形状であることを特徴とする接合体。
  3. 請求項1または2に記載の接合体において、
    前記導電性スペーサは、少なくともその表面がCu、Ag、Auおよびこれらの合金から選択される1種または2種以上の金属材料よりなることを特徴とする接合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体において、
    前記導電性スペーサは、球状であることを特徴とする接合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合体において、
    前記第1導体は、柱状であることを特徴とする接合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の接合体において、
    前記第1導体の表面および/または前記第2導体の表面は、貴金属またはニッケルにより被覆されていることを特徴とする接合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の接合体の製造方法であって、
    前記焼結部の原料粉である銀系粒子と前記導電性スペーサと有機溶媒とを含有するペーストを少なくとも前記第2導体の第2接合面の表面に塗布する塗布工程と、
    前記第2接合面の表面に塗布されたペーストに前記第一導体の前記第1接合面を沈めるともに該ペーストにて前記第1導体の側面を濡らす導体載置工程と、
    前記ペーストを焼成する焼成工程とを有していることを特徴とする接合体の製造方法。
  8. 前記導電性スペーサは、球状であることを特徴とする請求項7に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記銀系粒子は、球状であることを特徴とする請求項7または8に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記ペーストにおける前記銀系粒子及び前記導電性スペーサの含有量は、10〜40vol%であることを特徴とする請求項9に記載の接合体の製造方法。

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