JP4495161B2 - バランサ機構付きエンジンおよび自動二輪車 - Google Patents

バランサ機構付きエンジンおよび自動二輪車 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
この発明は、クランク機構と、該クランク機構による振動を抑制するバランサ機構とを備えたエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランク機構と、該クランク機構による振動を抑制するためのバランサ機構とを備えたエンジンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1には、クランク機構の1次慣性力に起因する振動を小さくするために、クランク機構の1次慣性力に対して、逆方向で、かつ、同じ大きさの慣性力を生じる1軸式のバランサ機構を取り付けたスクータ型自動二輪車が開示されている。
【特許文献1】
特開2003−237674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された構造では、クランク機構の1次慣性力のベクトル軌跡を円とし、バランサ機構の慣性力を、全ての位相において、クランク機構の、1次慣性力に対して、逆方向で、かつ、同じ大きさに設定しているので、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力による並進力は生じない。これにより、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力による並進力に起因する振動を抑制することが可能である。
【0005】
しかしながら、バランサ軸がクランク軸から所定の距離だけ離れた位置に配置されているため、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力による偶力が生じる。この偶力は、エンジンの重心を瞬間回転中心として生じるので、エンジンの重心以外の位置では、エンジンの重心を瞬間回転中心として回動する振動が生じるという不都合がある。そこで特許文献1のものは、この偶力による振動が車体に伝わるのを防ぐためにリンクを介してエンジンを保持するものであった。つまり、前記特許文献1では、エンジンの重心以外の任意の位置においてエンジンを支持する場合に、この位置で振動が生じるのを防ぐものではなく、振動が車体に伝わるのをリンクによって防ぐものであった。即ち、エンジンの支持位置に生じる偶力に起因する振動そのものを調整し抑制するものではなかった。
【0006】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる偶力に起因する振動を任意の位置で抑制することが可能なバランサ機構付きエンジンを提供することである。また他の目的は、このエンジンを搭載した自動二輪車を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本願発明者等は、まず、クランク機構の1次慣性力及びバランサ機構の慣性力を調整することにより、エンジンの任意の目標位置に瞬間回転中心を位置させ、目標位置での振動を抑制できることに着目した。そして前記クランク機構により発生する1次慣性力が回転成分と並進成分を含み、その回転成分とバランサ機構の慣性力が釣り合って発生する偶力による加速度と、並進成分による加速度とを調整することにより、エンジンの瞬間回転中心を目標位置に位置させることが可能である点に想到し、もって本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の第1の局面によるバランサ機構付きエンジンは、クランク機構と、クランク機構による振動を抑制するためのバランサ機構とを備え、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる並進力による加速度と、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる偶力による加速度とを調整することにより、エンジンの瞬間回転中心を所定の目標位置の近傍に位置させるのである。
【0009】
この第1の局面によるバランサ機構付きエンジンでは、前記のように、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる並進力による加速度と、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる偶力による加速度とを調整することにより、エンジンの瞬間回転中心を所定の目標位置の近傍に配置させる。そのため、瞬間回転中心が配置された所定の目標位置の近傍では、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力による偶力に起因する振動が発生するのが抑制される。その結果、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力による偶力に起因する振動を任意の位置(目標位置)の近傍で抑制することができる。
【0010】
前記第1の局面によるバランサ機構付きエンジンにおいて、好ましくは、並進力による加速度と偶力による加速度とは、瞬間回転中心を配置する所定の目標位置の近傍において、実質的に逆方向で、かつ、実質的に同じ大きさになるように調整される。このように構成すれば、容易に、任意の目標位置の近傍に瞬間回転中心を配置することができるので、容易に、偶力に起因する振動を任意の位置の近傍で抑制することができる。
【0011】
前記第1の局面によるバランサ機構付きエンジンにおいて、好ましくは、クランク機構の1次慣性力は、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が所定の楕円形状になる。このように構成すれば、一般的に真円形状のベクトル軌跡を有するバランサ機構の慣性力に対して、楕円形状のベクトル軌跡を有するクランク機構の1次慣性力を用いることにより、並進力成分を発生させることができる。これにより、その並進力による加速度と、偶力による加速度とを用いて、容易に、任意の目標位置の近傍に瞬間回転中心を配置することができる。
【0012】
前記クランク機構の1次慣性力が所定の楕円形状を有するバランサ機構付きエンジンにおいて、好ましくは、クランク機構は、クランク軸を含み、バランサ機構は、バランサ軸を含み、バランサ軸とクランク軸とを結ぶクランク・バランサ直線が、エンジンの重心と所定の目標位置とを結ぶ重心・目標位置直線に実質的に平行となるように配置され、クランク機構の1次慣性力の楕円の長軸は、クランク・バランサ直線に実質的に平行に配置され、バランサ機構の慣性力は、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が実質的に真円形状になり、バランサ機構の慣性力の真円の直径の大きさは、クランク機構の1次慣性力の楕円の長軸の大きさと実質的に同一である。このように構成すれば、所定の目標位置の近傍において、並進力による加速度と偶力による加速度とを実質的に逆方向で、かつ、同じ大きさになるように、クランク機構の1次慣性力の楕円形状を制御することにより、より容易に、任意の目標位置の近傍に瞬間回転中心を配置することができる。
【0013】
前記クランク機構の1次慣性力が所定の楕円形状を有するバランサ機構付きエンジンにおいて、好ましくは、クランク機構は、カウンタウェイトをさらに含み、クランク機構による1次慣性力の楕円形状は、少なくともカウンタウェイトを調整することにより制御される。このように構成すれば、カウンタウェイトの位置および重さなどを調整することによって、容易に、クランク機構による1次慣性力の楕円形状を所定の楕円形状に制御することができる。
【0014】
前記第1の局面によるバランサ機構付きエンジンにおいて、好ましくは、エンジンを支持するためのピボット軸をさらに備え、エンジンの瞬間回転中心を配置する所定の目標位置は、ピボット軸である。このように構成すれば、ピボット軸の近傍が振動するのを抑制することができるので、ピボット軸の振動が、エンジンを取り付ける車体フレームなどに伝達されるのを抑制するためのリンクを設ける必要がない。これにより、部品点数を削減することができるとともに、軽量化を図ることができる。
【0015】
前記第1の局面によるバランサ機構付きエンジンにおいて、バランサ機構は、1軸式のバランサ機構である。このように構成すれば、偶力に起因する振動が発生しやすい1軸式のバランサ機構を有するエンジンにおいて、容易に、任意の目標位置の近傍における偶力に起因する振動を抑制することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による自動二輪車は、請求項1〜7の何れかに記載のバランサ機構付きエンジンを備える。このように構成すれば、クランク機構の1次慣性力およびバランサ機構の慣性力により生じる偶力に起因する振動を任意の位置(目標位置)の近傍で抑制することが可能な自動二輪車を得ることができる。
【0017】
上述のような構成を有するエンジンを設計するためには、目標位置(瞬間回転中心)において偶力と並進力とがバランスするような所定の1次慣性力楕円をクランク機構が発生することが必要である。なおクランク機構による1次慣性力楕円の主軸方向χと長径Aは、クランク機構の不平衡重量(クランクアンバランス(カウンタウェイト)k・Wt)の大きさと位相を調整することにより自由に設定可能である。
【0018】
これらの角度χおよび長径Aは次式で求めることができる。
【0019】
【数6】
Figure 0004495161
【0020】
そこでこの設計を行う場合には、1次慣性力を回転成分と往復成分(並進成分)とに分け、回転成分がバランサの慣性力と釣り合って発生する目標位置における偶力(モーメント)の加速度を求め、これに釣り合うためにクランク位置で必要な並進力の大きさと方向から、往復成分の加速度と方向を決める。そしてこのような回転成分および往復成分を持つ1次慣性力楕円を発生するクランクの不平衡重量(クランクアンバランス)の大きさ(k)と位相(α)とを決め、またバランサの大きさ(kB )と位相を決めるものである。
【0021】
これらのクランクアンバランスの大きさkと位相αは次式で求めることができる。
【0022】
【数7】
Figure 0004495161
【0023】
以上のような設計手順は結局下記の公式(11)〜(16′)を用いてクランクの1次慣性力楕円の主軸方向χ、長径A、バランサの大きさkB を求めることに等価であることが解る。またこれらが解ればクランクの不平衡重量の大きさ(k)と位相(α)も非対称クランクの公式から求められる。従ってこの発明のエンジンを設計するための設計装置では、これらの演算を行うプログラムを記憶しておき、所定のパラメータを入力することによりエンジン諸元を決定できるようにすればよい。このようにして目標位置での振動を抑制したエンジンを容易に設計することができる。
【0024】
【数8】
Figure 0004495161
【0025】
さらにまた、本発明の第3の局面によるバランサ機構付きエンジンにおいては、クランク機構の2次慣性力による振動が目標位置から外方に伝達されるのを低減する防振部材を設けている。
【0026】
このように目標位置に防振部材を設けたので、目標位置における1次慣性力による振動を軽減できるとともに、2次慣性力による振動が目標位置から外方に伝達されるのを抑制できる。
【0027】
本発明は単気筒と等価のエンジンにおいて採用できる。なお、単気筒と等価のエンジンとは、1つのシリンダを有するものに限定されるものではなく、例えば2以上のピストンが同位相で往復動する2気筒(または多気筒)エンジン、クランク軸に2つのコンロッドを連結したV型エンジンなどの実質的に単気筒エンジンとみなすことのできるエンジンを含む。
【0028】
本発明のエンジンは、車両用に適しており、車両用エンジンの場合、目標位置をエンジンの支持点(例えばピボット軸)付近に設定すれば、この支持点から車体フレームへの振動伝達が抑制できる。
【0029】
特にユニットスイング式の動力ユニットを持つスクータ型の車両(2輪、3輪、4輪を含む)において、この動力ユニットを車体に揺動自在に軸支するピボット軸付近に目標位置を設定すれば、ピボット軸付近の防振構造を簡単にすることができる。この種の車両では動力ユニットと車体フレームとをリンクを介して連結することによって防振を図っているものが多いが、この発明によれば、この連結部付近の振動が抑制されるので、設計によってはリンクを省くことも可能になり、この場合には構造が簡単になるだけでなく懸架系の剛性を増大させることができ、走行特性を向上できる。
【0030】
このようなユニットスイング式のエンジンでは、クランク・バランサ直線(クランク軸とバランサ軸を結ぶ直線)を重心・目標位置線(重心と目標位置とを結ぶ線)と平行にして、目標位置(ピボット軸位置)をクランク軸の上方又は下方に位置させることができ、車体フレームへの搭載性が良くなる。
【0031】
またこのエンジンが搭載される車体フレームにフートレスト(足置台)を固定した自動二輪車においては、このフートレスト位置付近を目標位置とすることにより、フートレストから運転者の足に伝わる振動を抑制でき、乗り心地の向上に適する。
【0032】
バランサ機構はクランク機構に対して等速かつ逆転するものが一般的であるが、本発明の設計方法によればバランサ軸の回転方向がクランク軸と同方向でも成立し得るものである。
【0033】
このエンジンを設計するためには公式(11)〜(16′)を用いればよいことが証明される。従ってこの場合には単純に公式を解くことによってエンジン諸元を決められるので、設計手順が極めて簡単になる。この公式を用いる場合に、クランク・バランサ直線を重心・目標位置直線と平行とし、1次慣性力楕円の主軸を(クランク軸から)バランサ軸方向とすれば、計算が極めて単純化され、この楕円の長径Aの計算や他の設定が簡単になる。
【0034】
この設計を実行するためには、コンピュータを用いるのがよい。この場合、前記の計算を行うためのプログラムをメモリに記憶させておき、演算手段(CPUなど)で計算すればよい。このプログラムには、公式(11)〜(16′)による計算結果からクランクアンバランスの位相を決めるために用いる非対称クランクバランスの公式も含めるのがよい。
【原理】
【0035】
本発明の原理を説明する。図6に示すように各パラメータを設定する。
【0036】
(前提)
1軸1次バランサ機構付きエンジンにおいて発生する1次慣性力は次の2つである。
【0037】
(1)クランク機構の1次慣性力:往復運動質量による1次慣性力とクランクアンバランス(不均衡重量)による慣性力の合力である。
【0038】
(2)バランサ機構の慣性力:大きさ一定かつクランク機構の慣性力と等速で逆位相回転する。
【0039】
バランサ機構による慣性力とクランク機構の1次慣性力とが常に並進力として釣り合う状態は、前記特許文献2に従来技術として説明したように、クランクピンの対称位置に往復運動質量(Wt)の50%を付加した対称50%バランスである。この場合並進力は完全に打ち消せるが、偶力が発生することは前記した通りである。
【0040】
この偶力は目標位置Pに、重心を軸(図6の紙面に垂直な軸)回りの回転接線方向、すなわち重心・目標位置方向(G−P直線)に直交する方向に加速度am を発生させる(図7)。
【0041】
ここでもし重心Gに大きさam /M=F・kB ・LB ・LP ・cosθ/IMの並進力をこの加速度am と同じ方向で逆向きに加えることができれば、目標位置Pで並進方向の加速度am をキャンセルできることになる。従って1次慣性力による加振がゼロになる。
【0042】
ここにFは往復質量による慣性力であり、またkB 、θ…などは図6に示す通りである。
【0043】
そこでこのように目標位置Pでの加速度am をキャンセルするために、クランク機構の1次慣性力を次の2つの成分に分けることを考える。逆にこれが実現できれば目標位置Pでこの加速度am をキャンセルできることが明らかになる。
【0044】
(1)バランサ機構の慣性力と釣り合って偶力となる力(大きさ一定かつ等速でバランサ機構の慣性力と同じ向きに回転する。以下回転成分という。)
(2)前記偶力による加速度am を目標位置Pでキャンセルするための力(方向一定、大きさは偶力の位相に同期して変化する。以下往復成分という。)
以下このようなことが可能であることを証明する。今重心Gから離れたクランク軸Cに作用する並進力F・σは、そのまま重心Gに作用する並進力(F・σ)と両点GとCとの距離Lにより発生する偶力の2つの作用を持つ。従ってこれらが目標位置Pに作用する加速度ar は、
ar=F・σ・cosθ[1/M+LC ・LP /I]
=F・σ・cosθ[I+M・Lc ・LP ]/IM
am=ar とするためには
F・kB ・LB ・LP /I=F・σ[I+M・LC ・LP ]/IM
kB/σ=[I+M・LC ・LP ]/M・LB ・LP ≡λ
この結果、1次慣性力の回転成分の大きさ(kB )を、往復成分の大きさ(σ)のλ倍にすれば前記の仮定すなわち目標位置Pにおいて偶力による加速度am を並進力による加速度ar でキャンセルできることが解る。ここにλはλ=(F・kB )/(F・σ)であり、回転成分と往復成分の大きさの比である。
【0045】
以上をまとめると、次の3つの条件を満たせばよいことを意味する。
【0046】
(1)クランク機構の1次慣性力の回転成分と往復成分の大きさの比が前記λとなること。
【0047】
(2)偶力が最大(および0)の時にこれを打ち消すための往復成分も最大(および0)となるようにクランクアンバランス(カウンタウェイト)の位相を設定すること。
【0048】
(3)往復成分の力の方向は重心と目標位置を結ぶ直線(G−P直線)に直交し、その方向を偶力による加速度amと逆向きにすること。
【0049】
(1次慣性力楕円を求める)
前記の条件を満たす1次慣性力楕円は、図12(A)に示す非対称クランクバランスの公式(クランクバランスから慣性力楕円を求める公式)を利用して求めることができる。この公式は例えば、日刊工業新聞社発行の「機械設計」第8巻第9号第43〜44頁、に示されているのでその説明は省き、その結果だけを用いる。この結果前記公式(11)、(12)、(13)を求めることができる。ここに公式(13)のηは仮想的な慣性力の主軸方向であり、この仮想的な主軸方向ηと本来の主軸方向χ、および重心・目標位置方向(G−P線方向)とシリンダ軸方向の角度ΨF は、ΨF +χ+η=90°の関係にあるから、公式(14)の式が得られる。
【0050】
なお前記本来の主軸方向χは、シリンダ軸方向を基準にして、クランクの回転方向に角度をとった慣性力の主軸方向である。また仮想的な慣性力の主軸方向ηは、慣性力の仮想的な往復成分(F・σ)の方向を基準として、クランクの回転方向と逆回りに角度をとった慣性力の主軸方向である。
【0051】
(1次慣性力楕円の長径Aおよび短径B、バランサの大きさkB を求める)
前記した非対称クランクバランスの公式により公式(15)、(15′)が得られる。また非対称クランクバランスの公式による長径A、短径Bを用いて、1次慣性力の往復成分の大きさσは、
σ=kB /λ=cosη/[cosη+2λcos(β−η)]
=sinη/[2λsin(β−η)−sinη]
となる。
【0052】
ところで1次慣性力の回転成分(F・kB )は定義によりバランサの慣性力と同じ大きさである。また回転成分(F・kB )と往復成分(F・σ)は定義により、
λ=kB /σ、kB =λ・σ
であるから、前記σの式を用いることにより公式(16)、(16′)が得られる。
【0053】
このように求めた1次慣性力楕円の主軸方向χおよび主軸方向の径A(長径A)から、クランクバランスの方向(位相α)および大きさ(k)を求めるには、図12(B)に示す非対称クランクバランスの公式(慣性力楕円からクランクバランスを求める公式)を利用すればよい。すなわち公式(14)で求めた主軸方向χと、式(15)または(15′)より求めた長径Aの値をこの非対称クランクバランスの公式に代入することによりクランクバランスの大きさkを求めることができる。
【0054】
またバランサの方向(αB )については、偶力がゼロの時に1次慣性力の往復成分もゼロになることから、「クランク機構の1次慣性力がバランサ軸方向を向く時にクランク軸方向を向くように」設定すればよいことは前記した通りである。このバランサの方向αB 、は計算により求めることができるが計算が繁雑になるので省く。
【0055】
ここでクランク軸中心とシリンダ中心がクランク回転方向にδだけオフセットしている場合の慣性力等は以下の(1)〜(8)に示すようになる。なお、r:クランク半径、l:コンロッド長とする。
【0056】
(1)1次慣性力の位相遅れ τ: τ=tan-1(δ/l)
(2)1次慣性力の振幅倍率 ε: ε={ 1+(δ/l)2 }1/2
(3)1次慣性力の長軸方向χはオフセット無しの場合と共通
χ=χ0 =90°−(η+ΨF )
(4)1次慣性力楕円の長径Aは振幅倍率εだけ大きくなり、下記式で表される。
【0057】
【数9】
Figure 0004495161
【0058】
(5)クランクバランスの方向 (角度)αは位相遅れτだけ小さくなる。
【0059】
α=α0 −τ=α0 −tan-1(δ/l)
(6)バランサの方向 (角度)αBは位相遅れτだけ大きくなる。
【0060】
αB=αB0+τ=αB0+tan-1(δ/l)
(7)クランクバランスの大きさkは次の式となる。
【0061】
【数10】
Figure 0004495161
【0062】
(8)バランサの大きさkB は振幅倍率εだけ大きくなり、下記式で表される。
【0063】
【数11】
Figure 0004495161

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態によるバランサ機構付きエンジンを搭載したスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】前記バランサ機構付きエンジンの側面図である。
【図3】前記バランサ機構付きエンジンの瞬間回転中心の配置方法を説明するための図である。
【図4】前記バランサ機構付きエンジンの瞬間回転中心の配置方法を説明するための図である。
【図5】前記バランサ機構付きエンジンの瞬間回転中心の配置方法を説明するための図である。
【図6】各点の位置関係と1次慣性力楕円を説明するための図である。
【図7】偶力による加速度を説明するための図である。
【図8】1次慣性力の往復成分による加速度を説明するための図である。
【図9】本発明による設計装置の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明による設計手順の概要を示す図である。
【図11】本発明による実際の設計手順を示す図である。
【図12】非対称クランクバランスの公式を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるバランサ機構付きエンジンの搭載状態を示す模式側面図である。
【図14】前記エンジンのクランク機構を示す模式図である。
【図15】前記エンジンのブッシュを示す模式図である。
【図16】本発明の第3実施形態によるバランサ機構付きエンジンの搭載状態を示す模式側面図である。
【図17】本発明の第4実施形態によるバランサ機構付きエンジンの搭載状態を示す模式側面図である。
【符号の説明】
【0065】
1,34 エンジン
1a ピボット軸(目標位置)
1b クランク機構
1c クランク軸
1g カウンタウェイト
1h バランサ機構
1i バランサ軸
22 ブッシュ(防振部材)
34 フートレスト(目標位置)
36 防振部材
F1 クランク機構の1次慣性力
F2 バランサ機構の慣性力
L1 重心・目標位置直線
L2 クランク・バランサ直線
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるバランサ機構付きエンジンを搭載したスクータ型自動二輪車(以下、「スクータ」という)の全体構造を示した側面図である。図2は、図1に示したバランサ機構付きエンジンを搭載したスクータのエンジン周辺の拡大側面図である。図3〜図5は、図2に示したバランサ機構付きエンジンの瞬間回転中心の配置方法を説明するための図である。
【0067】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態にかかるバランサ機構付きエンジンを搭載したスクータの構造について説明する。バランサ機構付きエンジン1(以下、「エンジン1」という)を搭載したスクータ2では、図1に示すように、ヘッドパイプ3によりフロントフォーク4の操向軸が左右回動自在に支持されている。このフロントフォーク4の下端には、前輪5が回転可能に取り付けられており、前記操向軸の上端には操向ハンドル6が取り付けられている。また、ヘッドパイプ3の前方には、車体カバー7が設けられている。
【0068】
前記ヘッドパイプ3には、車体フレーム8の前端部が接続されている。この車体フレーム8は、スクータ2の後方まで達するように形成されており、上部フレーム8aと、パイプ状の下部フレーム8bとから構成されている。この下部フレーム8bの前端部は、ボルト9によって上部フレーム8aに固定されており、後端部には、連結用ブラケット10が溶接されている。この連結用ブラケット10は、ボルト11によって、上部フレーム8aに固定されている。また、下部フレーム8bには、図示しないブラケットを介して、エンジン1を冷却するためのラジエータ12が取り付けられている。このラジエータ12には、冷却水ホース13が取り付けられており、該冷却水ホース13は、パイプ状の下部フレーム8bに連結されている。
【0069】
前記車体フレーム8の上部フレーム8aの中央部下方には、燃料タンク14が取り付けられており、中央部上方には、シート15が設けられている。このシート15の下部には、ヘルメット(図示せず)を収納するための収納ボックス(図示せず)が設けられている。また、シート15とヘッドパイプ3との間に位置するように、フットレスト16が設けられている。
【0070】
また、前記車体フレーム8の後部には、ユニットスイング式エンジンユニット1(以下、単にエンジン1と記す)が上下揺動可能に枢支されている。このエンジン1の後端部に後輪17が回転可能に配置されている。この後輪17の上方には、後輪17の上方を覆うリヤフェンダ18が取り付けられている。また、車体フレーム8の後端部と前記エンジン1の後端部との間にはリヤクッション19が設けられている。また、前記エンジン1の上方には、エアクリーナ20が設けられており、該エンジン1の前部には、パイプ状の下部フレーム8bの後部に連結される冷却水ホース21が取り付けられている。従ってラジエータ12とエンジン1とは、冷却水ホース13、パイプ状の下部フレーム8bおよび冷却水ホース21からなる冷却水経路を介して接続されている。
【0071】
前記エンジン1の伝動ケース1nの上壁には、図2に示すように、ピボットボス部1pが形成され、該ボス部1pがピボット軸1aを介して車体フレーム8に上下揺動可能に支持されている。
【0072】
また前記エンジン1には、ピストン1fがシリンダ軸線方向に往復動自在に配置され、該ピストン1fにはコンロッド1eの小端部が連結され、該コンロッド1eの大端部はクランクピン1dを介してクランク軸1cのクランクアーム部に連結されている。これにより、ピストン1fの往復運動をクランク軸1cの回転運動に変換するクランク機構1bが構成されている。
【0073】
また前記クランク軸1cには、該クランク軸1cと一体的に回転するようにカウンタウェイト(クランクアンバランス)1gが設けられている。このカウンタウェイト1gは前記クランクピン1dの反対側に配置されている。後述するように、このカウンタウェイト1gの大きさや配置位置等を調整することにより、該クランク機構1bの1次慣性力の回転成分や並進成分が調整される。
【0074】
また前記エンジン1には、クランク機構1bによる振動を抑制するための1軸式のバランサ機構1hが設けられている。このバランサ機構1hは、バランサ軸1iと、該バランサ軸1iと一体的に回転するバランサウェイト1jとを備えている。
【0075】
ここで、本実施形態では、クランク機構1bの1次慣性力F1(図3参照)およびバランサ機構1hの慣性力F2(図3参照)による振動が発生しない瞬間回転中心を、ピボット軸1aに配置している。このため、本実施形態では、ピボット軸1aにクランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による振動が生じないので、ピボット軸1aの振動が車体フレーム8に伝達されるのを抑制するためのリンクを設けていない。したがって、本実施形態では、エンジン1のピボット軸1aは、リンクを介することなく、直接車体フレーム8に支持されている。
【0076】
また、本実施形態では、瞬間回転中心をピボット軸1aに配置するための方法として、瞬間回転中心を配置すべき目標位置(ピボット軸1a)において、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2により生じる並進力による加速度と、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2により生じる偶力による加速度とが釣り合う(相殺される)ようにする方法を用いる。
【0077】
この場合、本実施形態では、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による並進力成分を発生させるために、カウンタウェイト1gの位置および重さなどを調整することによって、クランク機構1bの1次慣性力F1を、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が所定の楕円形状になるように制御している。また、バランサウェイト1jの位置および重さなどを調整することによって、バランサ機構1hの慣性力F2を、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が所定の大きさの真円形状になるように制御している。
【0078】
以下、前記した瞬間回転中心を所定の目標位置(ピボット軸1a)の近傍に配置するための方法について、図2〜図5を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態では、バランサ機構1hのバランサ軸1iの軸中心1kは、図3に示すように、クランク機構1bのクランク軸1cの軸中心1lに対して、ピボット軸1aの軸中心1mとエンジン1の重心Gとを結ぶ重心・目標位置直線L1に平行になるように配置されている。また、バランサ機構1hのバランサ軸1iの軸中心1kは、クランク機構1bのクランク軸1cの軸中心1lに対して、ピボット軸1aの軸中心1mからエンジン1の重心Gに向かう方向に所定の間隔を隔てて配置されている。
【0079】
また、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸は、クランク軸1cの軸中心1lとバランサ軸1iの軸中心1kとを結ぶクランク・バランサ直線L2上に配置されている。また、バランサ機構1hの慣性力F2の真円S2の直径の大きさは、クランク1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸の大きさと同一になるように構成されている。また、バランサ機構1hの慣性力F2の方向は、クランク機構1bの1次慣性力F1の方向に対して逆方向(逆位相)になるように構成されている。
【0080】
ここで、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸と短軸との比率を長軸:短軸=A:(1−A)とし、ピストン1f(図2参照)の往復運動質量による慣性力をF[N]とすると、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸の半径および短軸の半径は、それぞれ、A×F[N]および(1−A)×F[N]となることが知られている。
【0081】
まず、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸と短軸との比率Aを導出する。この場合、クランク軸1cの軸中心1lとバランサ軸1iの軸中心1kとを結ぶクランク・バランサ直線L2に垂直な方向および平行な方向を、それぞれ、E1方向およびE2方向とする。また、エンジン1の質量をM[kg]とし、エンジン1の慣性モーメントをI[kg・m2 ]とする。また、エンジン1の重心Gからピボット軸1aの軸中心1mまでの距離をp[m]、エンジン1の重心Gを通るE1方向に平行な直線L3からバランサ軸1iの軸中心1kまでの距離をb[m]、直線L3からクランク軸1cの軸中心1lまでの距離をc[m]とする。
【0082】
図3に示すように、クランク軸1cの軸中心1lとバランサ軸1iの軸中心1kとを結ぶクランク・バランサ直線L2に対して、クランク機構1bの1次慣性力F1の角度をθ[rad]とすると、バランサ機構1hの慣性力F2の角度は、π+θ[rad]となる。このとき、クランク1bの1次慣性力F1のE1方向の成分F1E1およびE2方向の成分F1E2は、それぞれ、F1E1=(1−A)×Fsinθ[N]およびF1E2=A×Fcosθ[N]となる。また、バランサ機構1hの慣性力F2のE1方向の成分F2E1およびE2方向の成分F2E2は、それぞれ、F2E1=A×Fsin(π+θ)[N]およびF2E2=A×Fcos(π+θ)[N]となる。
【0083】
また、ピボット軸1aにおける加速度を、E1方向とE2方向とに分けて考える。まず、ピボット軸1aにおけるE1方向の加速度について考える。
【0084】
エンジン1の重心Gとピボット軸1aの軸中心1mとを結ぶ重心・目標位置直線L1からクランク軸1cの軸中心1lおよびバランサ軸1iの軸中心1kまでの距離をl[m]とすると、ピボット軸1aの軸中心1mにおける重心Gを中心とする偶力によるモーメントNは、次の式(1)のように表わされる。
【0085】
N=F1E2×l+F2E2×l+F1E1×c+F2E1×b
=A×Fcosθ×l+ A×Fcos(π+θ)×l+(1−A)×Fsinθ×c+A×Fsin(π+θ)×b・・・・(1)
ここで、cos(π+θ)=−cosθ、sin(π+θ)=−sinθであるから、前記式(1)は、次の式(2)のように表わされる。
【0086】
N=A×Fcosθ×l−A×Fcosθ×l+(1−A)×Fsinθ×c−A×Fsinθ×b
N=(1−A)×Fsinθ×c−A×Fsinθ×b・・・・(2)
また、ピボット軸1aの軸中心1mにおけるエンジン1の重心Gを中心とする偶力によるE1方向の加速度および角加速度を、それぞれ、a1[m/s2 ]およびβ[rad/s2 ]とすると、偶力によるE1方向の加速度a1および角加速度βは、それぞれ、次の式(3)および式(4)のように表わされる。
【0087】
a1=p×β ・・・・(3)
β=N/I ・・・・(4)
前記式(2)より、前記式(4)は、次の式(5)のように表わされる。
【0088】
β={(1−A)×Fsinθ×c−A×Fsinθ×b}/I・・(5)
前記式(3)および式(5)より、E1方向の偶力による加速度a1は、次の式(6)のように表わされる。
【0089】
a1=p×β
=p×{(1−A)×Fsinθ×c−A×Fsinθ×b}/I・・・(6)
また、ピボット軸1aの軸中心1mにおけるE1方向の並進力による加速度a2は、次の式(7)のように表わされる。
【0090】
a2=(F1E1+F2E1)/M
={(1−A)×Fsinθ+A×Fsin(π+θ)}/M
={(1−A)×Fsinθ−A×Fsinθ}/M
=(1−2A)×Fsinθ/M ・・・・(7)
ここで、ピボット軸1aを、エンジン1の瞬間回転中心とするためには、偶力による加速度a1と並進力による加速度a2とを逆方向にし、かつ、同じ大きさにすることにより、E1方向における偶力による加速度a1と並進力による加速度a2とが釣り合う(相殺される)ようにする必要がある。すなわち、a1+ a2=0を満たす必要があるので、前記式(6)および(7)より次の式のようになる。
【0091】
a1+a2=p×{(1−A)×Fsinθ×c−A×Fsinθ×b}/I+(1−2A)×Fsinθ/M=0
これを整理すると次の式のようになる。
【0092】
Fsinθ[p×{(1−A)×c−A×b}/I+(1−2A)/M]=0
このとき、F≠0であるから、
sinθ[p×{(1−A)×c−A×b}/I+(1−2A)/M]=0
となる。ここで、sinθ≠0(θ≠0、πの場合)のときは、次の式(8)を満たす。
【0093】
p×{(1−A)×c−A×b}/I+(1−2A)/M=0・・(8)
前記式(8)を整理することによって、瞬間回転中心をピボット軸1aに配置する場合の、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸と短軸との比率Aを示す次の式(9)が導かれる。
【0094】
A=(M×p×c+I)/{M×p(b+c)+2I}・・・・(9)
前記式(9)を満たすクランク1bの1次慣性力F1の楕円形状を有するエンジン1では、エンジン1の瞬間回転中心をピボット軸1aの近傍に配置することが可能になるので、本実施形態によるエンジン1では、ピボット軸1aが振動するのを抑制することが可能になる。
【0095】
また、sinθ=0(θ=0、πの場合)(図4および図5参照)のときは、加速度a1およびa2は、前記式(6)および(7)より、それぞれ、a1=0およびa2=0となるのでa1+a2=0を満たす。この場合も、ピボット軸1aがE1方向に振動するのを抑制することが可能になる。
【0096】
次に、ピボット軸1aにおけるE2方向の加速度について考える。ピボット軸1aをエンジン1の瞬間回転中心とするためには、ピボット軸1aの軸中心1mにおけるE2方向の偶力による加速度a3[m/s2 ]と、ピボット軸1aの軸中心1mにおけるE2方向の並進力による加速度a4[m/s2 ]とを逆方向にし、かつ、同じ大きさにすることにより、E2方向における偶力による加速度a3と並進力による加速度a4とが釣り合う(相殺される)ようにする必要がある。すなわち、a3+a4=0を満たす必要がある。ここで、ピボット軸1aの軸中心1mにおけるエンジン1の重心Gを中心とする偶力のE2方向の成分は0であるから、a3=0である。また、E2方向の並進力による加速度a4は、次の式(10)のように表わされる。
【0097】
a4=(F1E2+F2E2)/M
={A×Fcosθ+A×Fcos(π+θ)}/M
={A×Fcosθ−A×Fcosθ}/M
=0 ・・・・(10)
これにより、a3+a4=0を満たすので、ピボット軸1aがE2方向に振動するのを抑制することが可能になる。
【0098】
前記のように、クランク1bの1次慣性力F1の楕円S1が前記式(1)を満たすときは、ピボット軸1aは、エンジン1の瞬間回転中心となるので、ピボット軸1aが振動するのを抑制することが可能になる。
【0099】
なお前記式(I)は前記公式(15)、(15′)と同じである。すなわち図3に示す
実施例ではΨB=180°、β=360°−ΨB=180°、η=90°になるから、公式(15′)は下記のようになる。
【0100】
【数12】
Figure 0004495161
【0101】
となり、前記式(I)となるものである。ここでこのAを変形するにあたって、図6と図3を対比することにより解るように、LP=p、LC=c、LC−LB=bの関係を用いた。
【0102】
本実施形態によるスクータ2では、前記のように、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2により生じる並進力による加速度と、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2により生じる偶力による加速度とを調整することにより、エンジン1の瞬間回転中心をピボット軸1aに配置した。そのため瞬間回転中心が配置されたピボット軸1aの近傍では、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による偶力に起因する振動が発生するのを抑制することができるので、ピボット軸1aの近傍で、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による偶力に起因する振動を抑制することができる。
【0103】
これにより、ピボット軸1aの振動が、スクータ2の車体フレーム8などに伝達されるのを抑制するためのリンクを設ける必要がない。その結果、部品点数を削減することができるとともに、軽量化を図ることができる。この場合、エンジン1を車体フレーム8に強固に支持することができるので、操縦安定性を向上させることができる。
【0104】
また、エンジン1の瞬間回転中心をピボット軸1a以外の所定の目標位置に配置するようにすれば、瞬間回転中心が配置された所定の目標位置の近傍では、クランク機構1bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による偶力に起因する振動は発生しないので、任意の位置(目標位置)の近傍で、クランク1機構bの1次慣性力F1およびバランサ機構1hの慣性力F2による偶力に起因する振動を抑制することができる。
【0105】
また、本実施形態では、並進力による加速度と偶力による加速度とを、瞬間回転中心を配置するピボット軸1aにおいて、逆方向で、かつ、同じ大きさになるように調整することによって、容易に、ピボット軸1aの近傍に瞬間回転中心を配置することができるので、容易に、偶力に起因する振動をピボット軸1aの近傍で抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態では、クランク機構1bの1次慣性力F1を、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が所定の楕円形状(前記式(9)を満たす楕円形状)になるように構成することによって、真円形状のバランサ機構1hの慣性力F2に対する楕円形状のクランク機構1bの1次慣性力F1により、並進力成分を発生させることができるので、その並進力による加速度と、偶力による加速度とを用いて、容易に、ピボット軸1aの近傍に瞬間回転中心を配置することができる。
【0107】
また、本実施形態では、バランサ軸1iの軸中心1kを、クランク軸1cの軸中心1lに対して、ピボット軸1aの軸中心1mとエンジン1の重心Gとを結ぶ重心・目標位置直線L1に平行であり、ピボット軸1aの軸中心1mからエンジン1の重心Gに向かう方向に所定の間隔を隔てて配置するとともに、クランク1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸を、クランク軸1cの軸中心1lとバランサ軸1iの軸中心1kとを結ぶクランク・バランサ直線L2に平行に配置し、バランサ機構1hの慣性力F2を、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が真円形状になるように制御し、かつ、バランサ機構1hの慣性力F2の真円S2の直径の大きさを、クランク機構1bの1次慣性力F1の楕円S1の長軸の大きさと同一にすることによって、ピボット軸1aの近傍において、並進力による加速度と偶力による加速度とを逆方向で、かつ、同じ大きさになるようにクランク機構1bの1次慣性力F1の楕円形状を制御することにより、容易に、ピボット軸1aの近傍に瞬間回転中心を配置することができる。
【0108】
また、本実施形態では、クランク機構1bによる1次慣性力F1の楕円形状を、カウンタウェイト1gを調整することにより制御するようにしたので、カウンタウェイト1gの位置および重さなどを調整することにより、容易に、クランク1bによる1次慣性力F1の楕円形状を所定の楕円形状に制御することができる。
【0109】
また、本実施形態では、バランサ機構1hを、1軸式のバランサ機構1hにすることによって、偶力に起因する振動が発生しやすい1軸式のバランサ機構1hを有するエンジン1において、容易に、ピボット軸1aの近傍における偶力に起因する振動を抑制することができる。
【0110】
次にこの発明によりエンジンを設計する設計装置を説明する。図9はこの設計装置の概要を示すブロック図、図10はその動作すなわち演算手順の概念を示す図、図11は実際の演算手順を示す図である。図10の手順は請求項16に示した設計手順に対応する。また図11の手順は請求項17の手順に対応する。図9において符号50は演算手段となるコンピュータであるCPU、52は演算プログラムなどを記憶させたメモリ、54は入力手段、56は出力手段である。
【0111】
この発明によれば請求項17に示した手順により設計することができるから、この設計に用いる公式(11)〜(16′)、非対称クランクバランスの公式などを予めメモリ52に記憶させておく。入力手段54からはエンジンの設計に必要な諸元、すなわちクランクC、バランサB、重心G、目標位置Pの配置、その他図6に示したM、I、LP 、LB 、LC 、ΨB 、ΨF などを入力する(図10、11のステップS100)。
【0112】
次に目標位置Pにおける偶力の加速度am を求め(図10,ステップS102)、さらにこの加速度am と釣り合うクランク位置での並進力ar を求める(図10,ステップS104)。そしてこれらam とar を合成することにより1次慣性力楕円を求める(図10,ステップS106)。
【0113】
この1次慣性力楕円を求めることは、前記公式(11)〜(16′)を用いて、主軸方向χと長径Aを求めることに等価であるから、実際の演算では公式(14)、(15)によりこれらを求める(図11,ステップS106A)。
【0114】
このように1次慣性力楕円が決まれば非対称クランクバランスの公式を用いて、このような楕円を発生させるためのクランクアンバランスの大きさk、位相αを求める(図10のステップS108,図11のステップS108A)。そして最後にバランサの位相を求める(図10,11のステップS110)。
【0115】
このバランサの位相は計算により求めることが勿論可能であるから、この計算式をメモリ52に予め記憶させておけばこれを用いて求めることができるのは勿論である。この計算は結局1次慣性力がバランサ軸を向く時にバランサの慣性力がクランク軸を向くようにバランサの位相を決めることと等価である(ステップS110)。なおバランサの大きさkB は主軸方向χと長径Aを求める際に同時に計算される(ステップS106A)。以上のようにして求めた演算結果は出力手段56に出力する(ステップS112)。
【0116】
以上の説明では1次慣性力楕円を求めてから(ステップS106,S106A)、クランクアンバランスの大きさkと位相αを求めているが、これらの計算順序はこれに限られるものではない。例えば公式(11)〜(16′)と共に非対称クランクバランスの公式をメモリ52に記憶しておき、必要な演算を一度の計算で行うことが可能である。この場合計算順序は問題でない。またバランサの位相も計算で決めることができるから、この計算式をメモリ52に記憶して演算してもよい。
【0117】
〔第2実施形態〕
前記第1実施形態では、ユニットスイング式エンジン1の伝動ケース1nの上壁に設けたピボットボス部1pをピボット軸1aにより上下揺動自在に枢支し、該ピボットボス軸1aに瞬間回転中心を位置させた場合を説明した。
【0118】
しかし本発明では、瞬間回転中心ひいてはピボット軸の配置位置は前記第1実施形態における位置に限定されるものではなく、自由に設定可能である。
【0119】
図13〜図15はピボット軸を伝動ケースの下側に配置した第2実施形態を説明するための図である。図13において、伝動ケース1nの下縁前部にピボットボス部1p′が形成され、該ピボットボス部1p′はピボット軸1aを介して車体フレーム部材8bに固着された懸架ブラケット8cにより上下揺動可能に支持されている。
【0120】
本実施形態では、クランク機構1bの1次慣性力に関する瞬間回転中心が前記ピボット軸1aに位置するように、クランク機構1bのカウンタウェイトやバランサ機構1hのバランサウェイトの大きさや位置が調整されている。
【0121】
一方、前記クランク機構1bにおいてクランク軸1cが回転することにより2次慣性力Fが発生し、これによる振動が発生する。ただし、この2次慣性力Fによる振動は前記した1次慣性力による振動に比較すれば許容可能の大きさであるため、前記第1実施形態では2次慣性力による振動対策は講じられていない。
【0122】
本第2実施形態では、スクータ等において近年より強く求められている快適性向上の要請に、より一層確実に応えるために、前記2次慣性力による振動についても対応している。
【0123】
即ち、本第2実施形態では、前記伝動ケース1nの下縁前部に形成されたピボットボス部1p′を支持するピボット軸1aを、1次慣性力に関する瞬間回転中心とすることにより該1次慣性力による振動を抑制し、さらに2次慣性力により前記ピボット軸1aに伝達された振動が外部に放出されるのを弾性部材製のブッシュ22により軽減するように構成されている。
【0124】
前記ブッシュ22は、金属製の内筒22aと外筒22bとの間にゴム等の弾性部材22cを焼き付け固定したものである。そして前記弾性部材22cには一対の肉抜き孔22d,22dが形成されている。このブッシュ22は、前記肉抜き孔22d,22dの配置方向が後述する2次慣性力による加速度aの方向に一致するように前記ピボットボス部1p′とピボット軸1aとの間に介在される。これにより、前記加速度aの方向の弾性力が他の方向の弾性よりも小さくなっている。
【0125】
ここで、前記クランク機構1bにおける2次慣性力Fによりピボット軸1a部分に作用する加速度aを求める。
【0126】
まず、前記クランク機構1bを模式的に示す図14において、mr =往復質量、r=クランク半径、ω=クランク角速度、θ=クランク位相、λ=連かん比(p/r)、p=コンロッド長さ、I=慣性モメント、M=エンジン質量、とする。
【0127】
また、図13において、F=2次慣性力、a=2次慣性力によりピボット軸1aに作用する加速度、g=シリンダ軸線Cからエンジン重心Gまでの距離、h=エンジン重心Gから2次慣性力に関する瞬間回転中心Dまでの距離、n=前記瞬間回転中心Dからピボット軸1aまでの距離、j=エンジン重心Gからピボット軸1aまでの距離、Φ=三角形1a・G・Dの頂角、β=前記瞬間回転中心D廻りの角速度、とする。
【0128】
前記加速度aは以下の式(17)により求められる。
【0129】
a=n×β (17)
また、前記2次慣性力F等は以下の式により求められる。
【0130】
F=mr ×r×ω2 ×cos(2θ)/λ、
β=F×g/ I
n= 〔j2 ×h2 −2 jh×cos(Φ) 〕1/2
h=I/(M×g)
本第2実施形態では、ピボット軸1a又はこれの近傍において、並進力による加速度と偶力による加速度とが逆方向で、かつ、同じ大きさになるようにクランク機構1bの1次慣性力F1の楕円形状及びバランサ機構1hの慣性力F2の円形状が制御されている。これにより、クランク機構1bの1次慣性力による振動がピボット軸1aから車体フレーム8に伝達されるのを抑制している。
【0131】
また前記ピボット軸1aとピボットボス部1p′との間又は、ピボット軸1aとブラケット8cとの間に前記ブッシュ22を介在させることにより、前記2次慣性力による加速度aひいては振動を軽減でき、かつエンジン1の車体への支持については必要な強度を確保でき、走行安定性を確保できる。
【0132】
ここで前記2次慣性力Fはシリンダ軸線Cと一致しており、また前記加速度aは、シリンダ軸線Cひいては加速度aと略同じ方向を向いている。そのため前記ブッシュ22は、前記弾性力の小さい方向がシリンダ軸線Cと略同じ方向を向くように配設されている。なお、図13においては、加速度aがシリンダ軸線Cに対して比較的大きな角度をなしているが、これは作図上の都合によるものである。即ち、2次慣性力に関する瞬間回転中心Dがシリンダ軸線Cから遠ざかるほど前記加速度aはシリンダ軸線Cの向きに近づくのであるが、図13では、この瞬間回転中心Dを、用紙の大きさに制限があるために、実際より大幅にシリンダ軸線Cに近い位置に記載せざるを得ず、その結果、加速度aとシリンダ軸線Cとが前記のように比較的大きな角度で交叉することとなったものである。
【0133】
〔第3実施形態〕
前記第2実施形態では、防振部材として弾性力の強さに方向性を持たせたブッシュを採用した場合を説明したが、本発明の防振部材には各種の変形例が採用可能である。図16は防振部材としてリンク部材を採用した第3実施形態を説明するための図であり、図13と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0134】
車体フレーム部材8bに固定されたブラケット8dに、防振部材を構成するリンクプレート37が軸受37aと弾性部材からなる取付ブッシュ37bを介して取り付けられている。取付ブッシュ37bは弾性力の強さに方向性を有しない通常のものであり、例えば図15に示すブッシュ22において肉抜き孔22dを有しないものが採用可能である。従って前記リンクプレート37はブッシュ22の弾性力によってその中立位置(ブッシュ22の軸心)に向けて付勢されている。このようにして前記リンクプレート37は、軸受37aを中心に、取付ブッシュ37bの弾性変形量に応じて回動可能となっている。そして前記リンクプレート37の先端部によりピボット軸1aを介してエンジン1が上下揺動可能に支持されている。
【0135】
本第3実施形態では、前記2次慣性力による加速度aの方向はシリンダ軸線Cの方向と略同じ向きになっている。これは前記第2実施形態と同様である。そして前記リンク37は、前記加速度aの方向と、軸受37aを中心とするピボット軸1aの回動方向とが一致するように、構成されている。
【0136】
従って本第3実施形態では、2次慣性力による加速度aに対して、リンクプレート37が軸受37aを中心に取付ブッシュ37bの弾性変形の範囲において、かつ正確に回動するので、2次慣性力による振動が外方に伝達されるのをより一層確実に防止できる。
【0137】
また、前記リンクプレート37は前記軸受37aを中心とする回動のみが許容され、他の方向への移動は阻止されているので、エンジン1の支持を確実に行なうことができ、走行安定性の向上に寄与できる。
【0138】
なお、前記第3実施形態では、ブッシュ22によってリンクプレート37をその中立位置に付勢したが、本発明では、リンクプレートをブッシュ以外の例えばバネ部材によって中立位置に付勢しても良い。
【0139】
〔第4実施形態〕
前記第1〜第3実施形態では、エンジン1を車体フレームに対してピボット軸廻りに揺動可能に支持した例を説明したが、本発明は、エンジンを車体フレームに固定的に搭載した場合にも適用できる。
【0140】
図17は本発明の第3実施形態を説明するための模式図であり、同図において、図1〜図16と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0141】
本実施形態にかかる自動二輪車30は、クレードル型の車体フレーム31を有する。この車体フレーム31の前端に形成されたヘッドパイプ31aによってフロントフォーク4が左右に操向可能に支持され、また後部に形成されたリヤアームブラケット部31bによりリヤアーム32がピボット軸33を介して上下揺動可能に枢支されている。該リヤアーム32の後端部に後輪17が軸支されている。
【0142】
そして前記車体フレーム31の中央部には、V型2気筒エンジン34が搭載されている。該エンジン34では、前,後のシリンダボディ34a,34b内に挿入配置された前,後のピストンが前,後のコンロッドを介してクランク軸の共通のクランクピンに連結されている。なお、本実施形態におけるV型2気筒エンジンの場合、クランク軸を通り、Vバンクを二等分する直線の方向又はこれに垂直の方向に2次慣性力Fが作用することから、該二等分線をシリンダ軸線Cと考える。
【0143】
前記エンジン34は、車体フレーム31に形成された複数の懸架ブラケット部31cを介して該車体フレーム31に直接、つまり弾性部材を介在させることなく固定されている。即ち、本第3実施形態では、エンジン34と車体フレーム31とは全体として1つの剛体をなすように結合されている。従って、本実施形態では、クランク機構による振動等を考える場合のエンジン質量Mとは、エンジン34及びこれと剛結された車体フレーム31の質量を合算したものとなる。
【0144】
また前記車体フレーム31の下部左,右にはライダが足を載置する左,右のフートレスト35が固定されている。このフートレスト35には、振動吸収のためのゴム等の弾性部材からなるダンパ36が装着されている。このダンパ36は、前記第2実施形態と同様に、クランク機構1bの2次慣性力による加速度aの方向における弾性力が他の方向における弾性力より小さくなるように構成されている。なお、本第3実施形態における加速度aは前記第2実施形態における加速度aと同じ式により求められる。
【0145】
本第4実施形態では、クランク機構による1次慣性力に基づく瞬間回転中心を配置する目標位置として、前記フートレスト35が選択されている。即ち、前記フートレスト35がクランク機構1bの1次慣性力による瞬間回転中心となるように、クランク機構のカウンタウェイトやバランサ機構のバランサウェイトの大きさや位置が調整されている。従って、フートレスト35又はこれの近傍において、前記並進力による加速度と偶力による加速度とが逆方向で、かつ、同じ大きさになるようにクランク機構1bの1次慣性力F1の楕円形状及びバランサ機構の慣性力F2の円形状が制御されている。これにより、クランク機構の1次慣性力による振動が車体フレームに伝達されるのが抑制されている。
【0146】
さらに本第4実施形態では、2次慣性力により前記フートレスト35に生じる振動がライダに伝わるのを抑制するために、フートレスト35にダンパ36を装着している。そしてこのダンパ36は、前記2次慣性力による加速度aの方向における弾性力が他の方向の弾性力より小さくなるように構成されているので、2次慣性力による振動がライダに伝わるのを抑制できる。
【0147】
なお、前記第1〜第4実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲に基づいて判断され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0148】
例えば、前記実施形態では、自動二輪車の一例としてスクータ型自動二輪車及びV型エンジンを車体フレームに直結した例を示したが、本発明の適用範囲はこれに限らず、バランサ機構付きエンジンを備えた自動二輪車であれば、前記以外の自動二輪車にも適用可能である。
【0149】
また、前記実施形態では、バランサ機構付きエンジンを自動二輪車に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限らず、バランサ機構付きエンジンを他の乗り物、機械および装置などに取り付けてもよい。
【0150】
また、前記実施形態では、エンジンの瞬間回転中心をピボット軸又はフートレスト又はこれらの近傍に配置した例を示したが、本発明はこれに限らず、エンジンの瞬間回転中心を他の部分に配置してもよい。
【0151】
また、前記実施形態では、バランサ軸を、クランク軸に対して、ピボット軸からエンジンの重心に向かう方向に配置するとともに、クランク機構の1次慣性力の楕円の長軸を、クランク軸とバランサ軸とを結ぶ直線に実質的に平行に配置した例を示したが、本発明はこれに限らず、バランサ軸を、クランク軸に対して、エンジンの重心からピボット軸に向かう方向に配置してもよい。この場合、クランクの1次慣性力の楕円の短軸を、クランク軸とバランサ軸とを結ぶ直線に実質的に平行に配置すればよい。
【0152】
また、前記実施形態では、瞬間回転中心をピボット軸の近傍に配置することによって、エンジン(ピボット軸)の振動がスクータの車体フレームに伝達されるのを抑制するためのリンクを設けない例を示したが、本発明はこれに限らず、瞬間回転中心をピボット軸の近傍に配置した場合にも、エンジンのピボット軸と車体フレームとの連結部にリンクを設けてもよい。

Claims (31)

  1. クランク機構と、
    前記クランク機構による振動を抑制するためのバランサ機構とを備え、
    前記クランク機構の1次慣性力および前記バランサ機構の慣性力により生じる並進力による加速度と、前記クランク機構の前記1次慣性力および前記バランサ機構の前記慣性力により生じる偶力による加速度とを調整することにより、エンジンの瞬間回転中心を所定の目標位置の近傍に配置することを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  2. 請求項において、前記並進力による加速度と前記偶力による加速度とは、前記瞬間回転中心を配置する前記所定の目標位置の近傍において、実質的に逆方向で、かつ、実質的に同じ大きさになるように調整されることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  3. 請求項において、前記クランク機構の前記1次慣性力は、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が所定の楕円形状になることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  4. 請求項において、前記クランク機構は、クランク軸を含み、
    前記バランサ機構は、バランサ軸を含み、
    前記バランサ軸は、該バランサ軸と前記クランク軸とを結ぶクランク・バランサ直線が、前記エンジンの重心と前記所定の目標位置とを結ぶ重心・目標位置直線と実質的に平行になるように配置され、
    前記クランク機構の前記1次慣性力の楕円の長軸は、前記バランサ・クランク直線に実質的に平行になるよう配置され、
    前記バランサ機構の前記慣性力は、力をベクトル表示したときに1周期分の軌跡の描く形状が実質的に真円形状になり、
    前記バランサ機構の前記慣性力の真円の直径の大きさは、前記クランク機構の前記1次慣性力の前記楕円の長径の大きさと実質的に同一であることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  5. 請求項3又は4において、前記クランク機構は、カウンタウェイトをさらに含み、
    前記クランク機構による前記1次慣性力の前記楕円形状は、少なくとも前記カウンタウェイトを調整することにより制御されることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  6. 請求項1ないし5の何れかにおいて、前記エンジンを支持するためのピボット軸をさらに備え、
    前記エンジンの前記瞬間回転中心を配置する前記所定の目標位置は、前記ピボット軸であることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  7. 請求項1ないし6の何れかにおいて、前記バランサ機構は、1軸式のバランサ機構であることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  8. 請求項1ないし7の何れかに記載のバランサ機構付きエンジンを備えたことを特徴とする自動二輪車。
  9. 請求項1において、
    前記クランク機構はクランク軸を含み、
    前記バランサ機構はバランサ軸を含み、
    前記クランク軸の回転により発生する1次慣性力が、大きさ一定で回転する回転成分と、方向一定で前記クランク軸の回転に伴って大きさが変化する並進成分を含み、
    前記クランク軸の回転により発生する1次慣性力の回転成分が前記バランサ軸の回転によって発生する慣性力と釣り合って発生する偶力による加速度と、前記クランク軸の1次慣性力の並進成分による加速度とが、所定の目標位置で互いに実質的に逆向きかつ実質的に同じ大きさとなることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  10. 請求項において、前記クランク軸の回転により発生する1次慣性力の回転成分と並進成分の大きさの比λが、
    λ=[I+M・LP ・LC ]/[M・LP ・LB ]
    (但し、Mはエンジンの質量、Iは慣性モーメント、Lpは目標位置と重心との距離、LB はクランク軸とバランサの軸間距離、LC は重心・目標位置方向のクランク軸と重心間の距離)
    であり、前記回転成分が前記バランサ機構の慣性力と釣り合って発生する偶力が最大の時に並進成分も最大となり、その偶力が最小の時に並進成分も最小となるように前記クランク機構の1次慣性力の位相が設定され、
    前記クランク機構の1次慣性力の並進成分の方向が、エンジン重心と目標位置を結ぶ重心・目標位置直線に直交するように設定されていることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  11. 請求項10において、前記クランク機構の1次慣性力のベクトル軌跡が楕円となることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  12. 請求項11において、シリンダ軸線を基準としてクランク軸の回転方向にとった前記楕円の主軸方向角度χ、長径Aが、
    Figure 0004495161
    (但し、ΨBは重心・目標位置方向を基準としたクランク・バランサ方向角度、ΨFは重心・目標位置方向を基準としたシリンダ軸線方向角度)
    を満たすことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  13. 請求項12において、シリンダ軸線方向を基準とした前記クランク軸に設けるクランクアンバランス(カウンタウェイト)の方向角度αが、上死点の時に
    Figure 0004495161
    を満たすことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  14. 請求項12において、前記クランクアンバランスの大きさkが、
    Figure 0004495161
    を満たすことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  15. 請求項10において、前記バランサ機構の慣性力の方向が、前記クランク機構の1次慣性力がバランサ軸方向を向く時にクランク軸方向を向くことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  16. 請求項15において、バランサ軸を含み、シリンダ軸に平行な方向を基準とした前記バランサ機構の慣性力の方向角度αB が、上死点の時に
    Figure 0004495161
    を満たすことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  17. 請求項15において、前記バランサ機構の慣性力の大きさkB が、
    Figure 0004495161
    を満たすことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  18. 請求項において、車両用エンジンであって、目標位置をエンジン支持点付近としたことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  19. 請求項18において、ユニットスイング式動力ユニットを持つスクータ型車両に搭載されるエンジンであって、目標位置を、動力ユニットを車体フレームに揺動自在に軸支するピボット軸付近としたことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  20. 請求項19において、クランク軸とバランサ軸とを結ぶクランク・バランサ直線が前記重心・目標位置直線と平行であり、目標位置をクランク軸の上方又は下方に位置させたこと特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  21. 請求項において、フートレストが固定される車体フレームに搭載される自動二輪車用エンジンであり、目標位置をフートレスト付近に位置させたことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  22. 請求項において、前記バランサ機構はクランク軸に対し等速で逆転するバランサ軸を有することを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  23. 請求項において、前記バランサ機構はクランク軸に対し等速で同方向に回転するバランサ軸を有することを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  24. 請求項のバランサ機構付きエンジンを車体フレームに搭載した自動二輪車であって、前記目標位置を前記車体フレームへのエンジン支持点付近に位置させたことを特徴とする自動二輪車。
  25. 請求項のバランサ機構付きエンジンを車体フレームの中央付近に搭載し、この車体フレームにフートレストを固定した自動二輪車であって、前記目標位置を前記フートレスト付近に位置させたことを特徴とする自動二輪車。
  26. 請求項1において、
    前記クランク機構の2次慣性力による振動が前記目標位置から外方に伝達されるのを低減する防振部材を設けたことを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  27. 請求項26において、前記目標位置は、エンジンを上下揺動可能に支持するピボット軸であり、前記防振部材は、前記2次慣性力により前記ピボット軸に作用する加速度の主方向の弾性力が他方向の弾性力より小さくなるように構成された弾性部材製ブッシュであり、該ブッシュが前記ピボット軸に配設されていることを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  28. 請求項26において、前記目標位置は、エンジンを上下揺動可能に支持するピボット軸であり、前記防振部材は、軸受を介して車体フレームに取り付けられ、かつ中立位置に付勢されたリンク部材で構成されており、該リンク部材によりエンジンが前記ピボット軸を介して上下揺動可能に支持され、前記軸受を中心とするピボット軸の移動方向が前記2次慣性力により前記ピボット軸に作用する加速度の主方向に略一致することを特徴とするバランサ機構付きエンジン。
  29. 請求項26のバランサ機構付きエンジンを車体フレームの中央付近に搭載し、この車体フレームにライダが足を載せるフートレストを固定した自動二輪車であって、前記目標位置は、前記フートレストであり、前記防振部材は、前記2次慣性力により前記フートレストに作用する加速度の主方向の弾性力が他方向の弾性力より小さくなるように構成されたダンパであり、該ダンパが前記フートレストに装着されていることを特徴とする自動二輪車。
  30. 請求項1のバランサ機構付きエンジンをピボット軸により上下揺動可能に支持した自動二輪車であって、前記ピボット軸に弾性部材製のブッシュを配設したことを特徴とする自動二輪車。
  31. 請求項1のバランサ機構付きエンジンを車体フレームの中央付近に搭載し、この車体フレームにライダが足を載せるフートレストを固定した自動二輪車であって、前記フートレストに弾性部材製のダンパを装着したことを特徴とする自動二輪車。
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