JP4675866B2 - バランサを備える内燃機関および該内燃機関が搭載された自動二輪車 - Google Patents

バランサを備える内燃機関および該内燃機関が搭載された自動二輪車 Download PDF

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本発明は、燃焼圧により駆動されてクランク軸を回転駆動するピストンと、クランク軸により回転駆動されるバランサとを備える内燃機関、および該内燃機関が搭載された自動二輪車に関する。
内燃機関が搭載される機械(例えば自動二輪車)においては、内燃機関の振動が該内燃機関を支持する支持部材(自動二輪車の場合、車体フレーム)に伝わり、さらに車体フレームを介して乗員に伝わる。
そこで、自動二輪車の乗車振動を低減する内燃機関として、クランク軸の1次慣性力およびバランサの慣性力により生じる加速度と、クランク軸の1次慣性力およびバランサの慣性力により内燃機関の重心を回転中心として生じる偶力による加速度とを調整することにより、前記支持部材(車体フレーム)への内燃機関の支持部において、互いに実質的に逆向きかつ実質的に同じ大きさにして、振動を相殺するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2006−46326号公報
しかし、乗員が自動二輪車を走らせる際は、乗員に伝わる内燃機関の振動が単に低減されるよりも内燃機関の鼓動を感覚的に把握できるほうが、乗り心地性の点では満足が得られる。
さらに、内燃機関がその支持部で車体フレームに支持される場合、該支持部に適度な大きさに低減された振動を更に意図的に特定の略一方向のみに発生させることができれば、車体フレームを介して乗員に伝わるこの振動により、乗員に適度な鼓動感を与えることができるので、製品の魅力の一つとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜3記載の発明は、内燃機関に発生する起振力による加速度と起振モーメントによる加速度との総和である合成加速度が略一方向に発生するようにすると共に、該合成加速度が、内燃機関の、支持部材との連結部である特定支持部に発生するようにすることで、振動低減手段による効果的な振動低減を可能とすることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、車両に搭載された内燃機関において、合成加速度が発生する方向を特定の略一方向とすることにより、乗員に適度な鼓動感を与えて、乗り心地性の向上を図ることを目的とし、請求項3記載の発明は、車両に搭載された内燃機関において、合成加速度が発生する方向を特定の略一方向とすることにより、簡単な構造で該合成加速度による振動を効果的に低減して、乗り心地性を向上させることを目的とする。
請求項1記載の発明は、燃焼圧により駆動されてクランク軸を回転駆動するピストンと、前記クランク軸により回転駆動されるバランサと、を備える内燃機関であって、支持部材に複数の支持部で支持される内燃機関において、前記ピストンを含む往復運動部の質量により発生する起振力による加速度と、前記往復運動質量の前記起振力により発生する起振モーメント(M Fp による加速度と、前記往復運動質量により発生するローリング起振モーメント(M mp による加速度と、前記燃焼圧により発生する起振モーメントによる加速度と、前記バランサのバランサウエイトおよび前記クランク軸のカウンタウエイトのうちの少なくとも前記バランサウエイトを含む回転運動部の回転運動質量により発生する起振力による加速度と、前記回転運動質量の前記起振力より発生する起振モーメントによる加速度との総和である合成加速度が、前記支持部のうちの1つの特定支持部にて略一方向に発生するように、前記クランク軸と前記バランサウエイトとの位相差および前記クランク軸と前記カウンタウエイトとの位相差のうちの少なくとも前記クランク軸と前記バランサウエイトとの前記位相差と、前記バランサウエイトの質量および前記カウンタウエイトの質量のうちの少なくとも前記バランサウエイトの質量とが設定されたことを特徴とする内燃機関である。
請求項2記載の発明は、車両に搭載される請求項1記載の内燃機関において、前記支持部材は車体フレームであり、前記略一方向は、前記車両の進行方向に略平行な方向であるものである。
請求項3記載の発明は、燃焼圧により駆動されてクランク軸を回転駆動するピストンと、前記クランク軸により回転駆動されるバランサと、を備える内燃機関が搭載された自動二輪車であって、内燃機関は、その複数の支持部で車体フレームに支持される自動二輪車において、前記ピストンを含む往復運動部の質量により発生する起振力による加速度と、前記往復運動質量の前記起振力により発生する起振モーメント(M Fp による加速度と、前記往復運動質量により発生するローリング起振モーメント(M mp による加速度と、前記燃焼圧により発生する起振モーメントによる加速度と、前記バランサのバランサウエイトおよび前記クランク軸のカウンタウエイトのうちの少なくとも前記バランサウエイトを含む回転運動部の回転運動質量により発生する起振力による加速度と、前記回転運動質量の前記起振力より発生する起振モーメントによる加速度との総和である合成加速度が、前記支持部のうちの1つの特定支持部にて略一方向に発生するように、前記クランク軸と前記バランサウエイトとの位相差および前記クランク軸と前記カウンタウエイトとの位相差のうちの少なくとも前記クランク軸と前記バランサウエイトとの前記位相差と、前記バランサウエイトの質量および前記カウンタウエイトの質量のうちの少なくとも前記バランサウエイトの質量とが設定され、前記特定支持部はリンクを介して前記車体フレームに揺動中心線を中心に揺動可能に支持され、前記略一方向は、前記揺動中心線の方向から見て、前記リンクの両枢支中心点を通る中心線に略直交する方向であることを特徴とする自動二輪車である。
請求項1記載の発明によれば、バランサを備える内燃機関に発生する起振力による加速度と起振モーメントによる加速度とを合わせた合成加速度が、内燃機関の、支持部材との連結部である特定支持部において略一方向に発生するので、該略一方向の振動を低減する振動低減手段を特定支持部から支持部材への振動伝達経路に設けることにより、起振力による加速度のみが考慮される場合に比べて、支持部材に伝わる内燃機関の振動を該振動伝達経路に設けられる該振動低減手段のみで効果的に低減することが可能になる。
しかも、合成加速度は、内燃機関から支持部材へ振動を伝達する特定支持部において略一方向となるので、特定支持部と支持部材との間に設けられる振動低減手段のみにより、支持部材に伝わる内燃機関の振動を効果的に低減することができて、振動低減手段の数またはその構成部材の数を減らすことが可能になるため、部品点数の削減によるコスト削減および軽量化に寄与する。
請求項2記載の事項によれば、合成加速度が発生する略一方向を、特定の方向として、車両の進行方向に略平行な方向とすることにより、合成加速度により発生する振動が、車体フレームに伝わって、乗員に鼓動感を与えることができるので、該鼓動感による乗り心地性の向上を実現できる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果が奏されるうえ、合成加速度が発生する略一方向が、特定の方向として、リンクによる振動低減効果が大きいリンクの両枢支中心点を通る直線である中心線に略直交する方向であることにより、簡単な構造で車体フレームに伝わる振動を効果的に低減することができて、乗り心地性が向上する。また、振動低減のためには、合成加速度の方向とリンクの枢支中心点の位置関係を設定するだけでよいので、車体フレームに内燃機関を支持するための支持機構を大幅に変更することなく、従来の自動二輪車に本発明を適用することができるので、コスト削減に寄与する。
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用された内燃機関2は、車両としてのスクータ型の自動二輪車1にクランク軸Cが車幅方向に指向する横置き配置で搭載される水冷式の単気筒4ストローク内燃機関であり、内燃機関2の左方から後方に延びて配置される動力伝達装置3と共にパワーユニット4を構成する。
なお、この実施形態において、上下、前後および左右は、自動二輪車1を基準としたものとする。
自動二輪車1は、車体フレームFと該車体フレームFを覆う車体カバー5とを備える車体と、車体フレームFに支持されるパワーユニット4とを備える。車体フレームFは、前端部のヘッドパイプ6と、ヘッドパイプ6から下方に傾斜して後方に延びる左右1対のメインフレーム7と、ヘッドパイプ6からほぼ鉛直下方に延びた後に屈曲してほぼ水平に後方に延びてメインフレーム7の後部に接続される左右1対のダウンチューブ8と、メインフレーム7の中央部よりもやや後部寄りに接続されて上方に傾斜して後方に延びる左右1対のシートレール9と、メインフレーム7の後部とシートレール9の後部とを連結する左右1対のリヤフレーム10とを備える。
ヘッドパイプ6には、下端部に前輪11が軸支されると共に上端部にハンドル12が取り付けられたフロントフォーク13が操向可能に支持される。Vベルト式自動変速機からなる変速機および終減速装置を備えてクランク軸Cの動力を後輪に伝達する動力伝達装置3を備えるパワーユニット4の後端部には、後輪14が軸支される。そして、パワーユニット4は、その前部で、内燃機関2に設けられる前ハンガPを介して、車体フレームFにおけるパワーユニット用支持部としてのピボット軸17に揺動可能に支持され、その後端部に一体成形された後ハンガ16で、乗員用のタンデム型のシート18を支持するシートレール9の後端部に結合された振動低減手段としてのリヤクッション19に支持される。
左右の各シートレール9とリヤフレーム10とを連結する左右1対の補強部材20に両端部が固定されたクロスメンバ21に、振動低減手段としてのゴム材からなる緩衝部材を介して中間部材としての左右1対のリンク22(図2も参照)が揺動可能に支持され、ピボット軸17がリンク22に揺動可能に支持される。車体フレームFに内燃機関2を支持するための支持機構である各リンク22は、その一端でクロスメンバ21に対して枢支中心点T1を中心に枢支され、その他端でピボット軸17に対して枢支中心点T2を中心に枢支される。
それゆえ、パワーユニット4、ひいては内燃機関2は、複数の、この実施形態では2つの支持部としての前ハンガPおよび後ハンガ16において、車体フレームFに支持される。そして、前記複数の支持部のうち、前ハンガPは、パワーユニット4または内燃機関2を支持する支持部材としての車体フレームFに、前記緩衝部材、リンク22およびピボット軸17を介して、揺動中心線L4を支持中心として揺動可能に支持される特定支持部である。
図2を併せて参照すると、内燃機関2は、シリンダ軸線L2がクランク軸Cから前方に向かってやや斜め上方に指向するように大きく前傾した単一のシリンダ30と、シリンダ30の前端部に結合されるシリンダヘッド31と、シリンダヘッド31の前端部に結合されるヘッドカバー32と、シリンダ30の後端部に結合されるクランクケース33とから構成される機関本体を備える。クランク軸Cは、1対のカウンタウエイトWcを挟む位置に配置される1対の主軸受を介してクランクケース33に回転可能に支持される。また、前ハンガPは、クランクケース33においてシリンダ30寄りの位置に一体成形される。
シリンダ30に往復運動可能に嵌合するピストン34は、小端部にてピストン34のピストンピン34aに連結される一方で大端部にてクランク軸CのクランクピンCaに連結されるコンロッド35を介して、クランク軸Cに連結される。シリンダヘッド31には、シリンダ軸線方向でピストン34と対向する燃焼室36と、燃焼室36に開口する吸気ポート37および排気ポート38とが形成され、さらに吸気ポート37および排気ポート38をそれぞれ開閉する吸気弁40および排気弁41が設けられる。吸気弁40および排気弁41は、クランク軸Cの動力により回転駆動される1つのカム軸42aおよびロッカアーム42b,42cを備えるSOHC型の動弁装置42によりクランク軸Cの回転に同期して開閉駆動されて、吸気ポート37および排気ポート38をそれぞれ開閉する。
内燃機関2の運転時、内燃機関2の吸気装置を流通する吸入空気は、スロットル弁により流量制御された後、燃料噴射弁から噴射された燃料と混合して混合気を形成し、該混合気は吸気ポート37を経て燃焼室36に流入し、燃焼室36内で点火栓により点火されて燃焼する。そして、発生した燃焼ガスの圧力である燃焼圧p(図3参照)により駆動されて往復運動するピストン34がコンロッド35を介してクランク軸Cを回転駆動する。燃焼ガスは、排気ガスとして排気ポート38に流出し、さらに排気管を備える排気装置を通じて内燃機関2の外部に排出される。
そして、運転時の内燃機関2には、ピストン34、コンロッド35およびクランク軸Cなどから構成されてピストン34の回転運動をクランク軸Cの回転運動に変換するクランク機構N1に発生する不釣合力またはクランク機構N1の運動に基づく振動と、ピストン34に作用する燃焼圧pに基づく振動とが発生する。周知のように、前記不釣合力は、クランク機構N1において、ピストン34を含むと共にクランク軸Cと連動して往復運動する部分である往復運動部D1と、回転中心線L1の回りで回転運動する部分である回転運動部とにそれぞれ作用する慣性力である。往復運動部D1は、ピストン34およびコンロッド35における往復運動部分などから構成され、前記回転運動部は、クランク軸Cにおける偏心部分であるクランクピンCaやクランクアームおよびコンロッド35における回転運動部分などから構成される。
図3を併せて参照すると、前記不釣合力またはクランク機構N1の運動に基づいて内燃機関2に発生する振動は、往復運動部D1の質量である往復運動質量mにより発生する起振力Fによる振動と、該起振力Fによりパワーユニット4の重心G回りに発生する起振モーメントMFpによる振動と、往復運動質量mの往復運動により発生する起振モーメント(いわゆるローリング起振モーメント)Mmpによる振動と、ピストン34に作用する燃焼圧pにより発生するトルクの変動成分の反力としての起振モーメントMpcによる振動に分けることができる(なお、起振力Fおよび起振モーメントMFp,Mmp,Mpcの符号については、後述する式を参照のこと。)。
そして、内燃機関2には、これら起振力Fおよび起振モーメントMFp,Mmp,Mpcによるパワーユニット4の前ハンガPにおける振動を抑制する制振機構N2が備えられる。制振機構N2は、クランク軸Cに一体成形されて設けられてクランク軸Cと一体に回転するカウンタウエイトWcと、クランク軸Cにより回転駆動されると共にクランク軸Cの回転中心線L1に平行な回転中心線L3を有するように配置されたバランサとしての1つのバランサ軸Bとから構成される。
カウンタウエイトWcは、回転中心線L1の方向(以下、「軸方向」という。)でクランクピンCaを挟む位置に設けられる1対のウエイト部から構成される。
バランサ軸Bは、クランクケース33に回転可能に支持される軸部Baと、軸部Baに一体成形されたバランサウエイトWbとから構成される。バランサウエイトWbは、軸方向でカウンタウエイトWcを構成する前記1対のウエイト部の間に配置される。1次振動を抑制する1次バランサとしてのバランサ軸Bは、クランク軸Cの動力をバランサ軸Bに伝達するバランサ用伝動機構45を介して、クランク軸Cと等速で、かつ逆方向に回転駆動される。該伝動機構45は、右側の前記主軸受の外側に設けられた駆動ギヤ45aと、軸部Baに設けられて該駆動ギヤ45aと噛合する被動ギヤ45bとから構成される。
内燃機関2の運転中に制振機構N2により発生する制振用の振動は、カウンタウエイトWcの質量である回転運動質量mにより発生する起振力Fによる振動と、起振力Fにより発生する起振モーメントMFcによる振動と、バランサウエイトWbの質量である回転運動質量mにより発生する起振力Fによる振動と、起振力Fにより発生する起振モーメントMFbによる振動とに分けることができる(なお、起振力Fおよび起振モーメントMFp,Mmp,Mpcの符号については、後述する式を参照のこと。)。
この制振機構N2は、重心Gにおける起振力F,F,F同士の釣合および起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpc同士の釣合により制振を図る技術とは異なり、重心Gにおける起振力F,F,F同士および起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpc同士の釣合とは無関係に、前ハンガPにおいて、各起振力F,F,Fおよび各起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpcのそれぞれに基づく加速度aFp,aFc,aFb,aMp,aMm,aMc,aMb,aMpcの総和である合成加速度a(図4参照)が、特定の略一方向に発生するようにするものである。
それゆえ、重心Gにおける振動を許容したとしても、前ハンガPにおいて合成加速度aにより発生する振動が前記略一方向での振動となるように、各起振力F,F,Fおよび起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpcにより発生する前ハンガPでの加速度aFp,aFc,aFb,aMp,aMm,aMc,aMb,aMpcの総和である合成加速度aの方向が前記略一方向となるように、カウンタウエイトWcの回転運動質量m、バランサウエイトWbの回転運動質量m、クランク軸Cに対するカウンタウエイトWcの位相差α、クランク軸Cに対するバランサウエイトWbの位相差αおよび重心Gに対する回転中心線L3の位置(座標)などにより構成される制振パラメータが設定される。そして、前記略一方向の方向は、前記制振パラメータを変更することにより、任意の方向に設定することができる。
このように、前ハンガPで発生する合成加速度aの方向、ひいては該合成加速度aにより発生する前ハンガPでの振動の方向を制御することにより、内燃機関2の振動に起因して車体フレームFひいては自動二輪車1の乗員に伝達される振動の方向を変更することができる。例えば、前記略一方向を、自動二輪車1の進行方向に略平行な方向に設定することにより、合成加速度aにより発生する振動が前記緩衝部材により適度の大きさに低減された後に車体フレームに伝わって、乗員に適度な鼓動感を与えることができる。
また、前記略一方向を、揺動中心線L4の方向から見て、リンク22の両枢支中心点T1,T2を通る中心線L5(図1参照)に略直交する方向に設定することにより、合成加速度aが発生する略一方向が、リンク22による振動低減効果が大きいリンク22の中心線L5に略直交する方向となるため、合成加速度aにより発生する振動が、リンク22により効果的に低減される。それゆえ、リンク22は振動低減手段でもある。
以下、図2,図3を参照して、単気筒内燃機関を例に、この制振機構N2による制振原理について説明する。なお、図1に示されるように、この実施形態では、内燃機関2はパワーユニット4と一体になって車体フレームFに支持されているため、以下に説明するパワーユニット4の制振原理は、内燃機関2の制振原理と同義であり、内燃機関2がパワーユニット4と一体化されていない場合は、該内燃機関2自体についてこの制振原理が当てはまる(したがって、例えばパワーユニット4の重心Gは内燃機関2の重心に対応する。)。また、内燃機関2が発生する振動に起因する後ハンガ16におけるパワーユニット4の振動は、リヤクッション19によっても低減される。
Figure 0004675866
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ここで、カウンタウエイトWcおよびバランサウエイトWbは制振機構N2の回転運動部D2を構成し、回転運動質量mおよび回転運動質量mは、該回転運動部D2の質量である回転運動質量mを構成する。したがって、起振力Fおよび起振力Fは、回転運動質量mにより発生する起振力であり、起振モーメントMFcおよび起振モーメントMFbは、それぞれ起振力Fおよび起振力Fより発生する起振モーメントである。
また、位相差αおよび位相差αは、それぞれ、カウンタウエイトWcの重心およびバランサウエイトWbの重心の位置により定まり、ピストン34が上死点にあるときに、回転中心線L1に直交する平面上で、シリンダ軸線L2に平行な直線に対して0以外の所定値を有する。したがって、前記直交平面上で、前記直線に対して、回転中心線L1とカウンタウエイトWcの重心を結ぶ直線および回転中心線L1とバランサウエイトWbの重心を結ぶ直線は傾斜する。
Figure 0004675866
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そして、式(12),(13)でそれぞれ得られた加速度aおよび加速度aの総和である合成加速度aの向きが、揺動中心線L4の方向から見て該揺動中心線L4を通るほぼ一直線上にあり、合成加速度aの大きさ(絶対値)が、0(零)以外の値となるように、カウンタウエイトWcおよびバランサウエイトWbの各質量m,mおよび各位相差α,αが設定される。
また、複数の支持部のうちの特定支持部(この実施形態では前ハンガP)としては、車体フレームFまたは乗員に対する振動伝達の影響が最も大きい支持部が選定される。
Figure 0004675866
図4に示されるように、前ハンガPにおいては、起振力F,F,Fによる加速度aは、揺動中心線L4を中心とする楕円を描くように、その向きおよび大きさが変化し、起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpcによる加速度aは、揺動中心線L4を通る線分上で、その向きおよび大きさが変化する。そして、合成加速度aは、加速度aのx軸に平行な成分と加速度aのx軸に平行な成分とが打ち消し合って、x軸に平行な成分が略0となり、加速度aのy軸に平行な成分と加速度aのy軸に平行な成分とが部分的に打ち消し合って、それぞれの加速度aおよび加速度aのy軸に平行な成分よりも小さい値であって、かつ0以外の値となる。そして、合成加速度aの方向は、この例ではy軸に平行な方向となる。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
制振機構N2を備えると共に前ハンガPにおいて車体フレームFに支持される内燃機関2を備えるパワーユニット4において、往復運動部D1の往復運動質量mにより発生する起振力Fによる加速度aFpと、起振力Fにより発生する起振モーメントMFpによる加速度aMpと、往復運動質量mにより発生する起振モーメントMmpによる加速度aMmと、燃焼圧pにより発生する起振モーメントMpcによる加速度aMpcと、カウンタウエイトWcおよびバランサウエイトWbにより構成される回転運動部D2の回転運動質量mにより発生する起振力F,Fによる加速度aFc,aFbと、起振力F,Fよりそれぞれ発生する起振モーメントMFc,MFbによる加速度aMc,aMbとが、前ハンガPにて前記略一方向に発生するように、カウンタウエイトWcの位相差αおよびバランサウエイトWbの位相差α、カウンタウエイトWcおよびバランサウエイトWbの回転運動質量m,mが特定の値に設定される。これにより、バランサ軸Bを備える内燃機関2に発生する起振力F,F,Fによる加速度aFp,aFc,aFbと起振モーメントMFp,Mmp,MFc,MFb,Mpcによる加速度aMp,aMm,aMc,aMb,aMpcとを合わせた合成加速度aが、内燃機関2の、車体フレームFとの連結部である前ハンガPにおいて前記略一方向に発生するので、該略一方向の振動を低減する振動低減手段としての前記緩衝部材またリンク22を前ハンガPから車体フレームFへの振動伝達経路に設けることにより、起振力F,F,Fによる加速度aFp,aFc,aFbのみが考慮される場合に比べて、車体フレームFに伝わる内燃機関2の振動を該振動伝達経路に設けられる該振動低減手段のみで効果的に低減することが可能になる。
しかも、合成加速度aは、内燃機関2から車体フレームFへ振動を伝達する前ハンガPにおいて前記略一方向となるので、前記振動伝達経路に設けられる振動低減手段のみにより、車体フレームFに伝わる内燃機関2の振動を効果的に低減することができて、該振動低減手段の数またはその構成部材の数を減らすことが可能になるため、部品点数の削減によるコスト削減および軽量化に寄与する。
合成加速度aが発生する前記略一方向を、特定の方向として、自動二輪車1の進行方向に略平行な方向とすることで、合成加速度aにより発生する振動が、前記緩衝部材により適度の大きさに低減された後に車体フレームFに伝わって、乗員に適度な鼓動感を与えることができるので、該鼓動感による乗り心地性の向上を実現できる。
前ハンガPはリンク22を介して車体フレームFに揺動中心線L4を中心に揺動可能に支持され、前記略一方向は、揺動中心線L4の方向から見て、リンク22の両枢支中心点T1,T2を通る中心線L5に略直交する方向であることにより、合成加速度aが発生する前記略一方向が、特定の方向として、リンク22による振動低減効果が大きいリンク22の中心線L5に略直交する方向であるので、簡単な構造で車体フレームFに伝わる振動を効果的に低減することができて、乗り心地性が向上する。また、振動低減のためには、合成加速度aの方向とリンク22の枢支中心点T1,T2の位置関係を設定するだけでよいので、車体フレームFに内燃機関2を支持するための支持機構を大幅に変更することなく、従来の自動二輪車に本発明を適用することができるので、コスト削減に寄与する。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
バランサは、前記実施形態では、1つであったが、複数であってもよい。
内燃機関単体が、支持部材に揺動可能に支持されてもよい。
クランク軸にカウンタウエイトWcが設けられなくてもよく、その場合、回転運動部D2は、バランサウエイトWbのみにより構成され、前記制振パラメータには、カウンタウエイトの位相差αおよびカウンタウエイトの回転運動質量mは含まれない。
内燃機関は、多気筒内燃機関であってもよく、また2ストローク内燃機関であってもよい。
内燃機関は、自動二輪車以外の車両に搭載されてもよく、さらに車両以外の機械に搭載されてもよい。
本発明の第1実施形態を示し、本発明が適用された内燃機関を備えるパワーユニットが搭載された自動二輪車の概略の右側面図である。 図1の内燃機関の要部拡大断面図である。 図1の内燃機関に発生する起振力および起振モーメントを説明するための図である。 本発明の制振原理を説明する簡単化された内燃機関の前ハンガでの起振力による加速度、起振モーメントによる加速度および合成加速度を示すグラフである。
符号の説明
1…自動二輪車、2…内燃機関、4…パワーユニット、
F…車体フレーム、P…前ハンガ、C…クランク軸、N1…クランク機構、B…バランサ軸、Wc…カウンタウエイト、Wb…バランサウエイト、D1…往復運動部、D2…回転運動部、a…合成加速度。

Claims (3)

  1. 燃焼圧により駆動されてクランク軸を回転駆動するピストンと、前記クランク軸により回転駆動されるバランサと、を備える内燃機関であって、支持部材に複数の支持部で支持される内燃機関において、
    前記ピストンを含む往復運動部の質量により発生する起振力による加速度と、前記往復運動質量の前記起振力により発生する起振モーメント(M Fp による加速度と、前記往復運動質量により発生するローリング起振モーメント(M mp による加速度と、前記燃焼圧により発生する起振モーメントによる加速度と、前記バランサのバランサウエイトおよび前記クランク軸のカウンタウエイトのうちの少なくとも前記バランサウエイトを含む回転運動部の回転運動質量により発生する起振力による加速度と、前記回転運動質量の前記起振力より発生する起振モーメントによる加速度との総和である合成加速度が、前記支持部のうちの1つの特定支持部にて略一方向に発生するように、前記クランク軸と前記バランサウエイトとの位相差および前記クランク軸と前記カウンタウエイトとの位相差のうちの少なくとも前記クランク軸と前記バランサウエイトとの前記位相差と、前記バランサウエイトの質量および前記カウンタウエイトの質量のうちの少なくとも前記バランサウエイトの質量とが設定されたことを特徴とする内燃機関。
  2. 車両に搭載される請求項1記載の内燃機関において、前記支持部材は車体フレームであり、前記略一方向は、前記車両の進行方向に略平行な方向であることを特徴とする内燃機関。
  3. 燃焼圧により駆動されてクランク軸を回転駆動するピストンと、前記クランク軸により回転駆動されるバランサと、を備える内燃機関が搭載された自動二輪車であって、内燃機関は、その複数の支持部で車体フレームに支持される自動二輪車において、
    前記ピストンを含む往復運動部の質量により発生する起振力による加速度と、前記往復運動質量の前記起振力により発生する起振モーメント(M Fp による加速度と、前記往復運動質量により発生するローリング起振モーメント(M mp による加速度と、前記燃焼圧により発生する起振モーメントによる加速度と、前記バランサのバランサウエイトおよび前記クランク軸のカウンタウエイトのうちの少なくとも前記バランサウエイトを含む回転運動部の回転運動質量により発生する起振力による加速度と、前記回転運動質量の前記起振力より発生する起振モーメントによる加速度との総和である合成加速度が、前記支持部のうちの1つの特定支持部にて略一方向に発生するように、前記クランク軸と前記バランサウエイトとの位相差および前記クランク軸と前記カウンタウエイトとの位相差のうちの少なくとも前記クランク軸と前記バランサウエイトとの前記位相差と、前記バランサウエイトの質量および前記カウンタウエイトの質量のうちの少なくとも前記バランサウエイトの質量とが設定され、前記特定支持部はリンクを介して前記車体フレームに揺動中心線を中心に揺動可能に支持され、前記略一方向は、前記揺動中心線の方向から見て、前記リンクの両枢支中心点を通る中心線に略直交する方向であることを特徴とする自動二輪車。
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