JP5036329B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents

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    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
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    • B62M7/00Motorcycles characterised by position of motor or engine
    • B62M7/12Motorcycles characterised by position of motor or engine with the engine beside or within the driven wheel
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62KCYCLES; CYCLE FRAMES; CYCLE STEERING DEVICES; RIDER-OPERATED TERMINAL CONTROLS SPECIALLY ADAPTED FOR CYCLES; CYCLE AXLE SUSPENSIONS; CYCLE SIDE-CARS, FORECARS, OR THE LIKE
    • B62K2202/00Motorised scooters

Description

本発明は、ユニットスイング式の鞍乗型車両において、車体フレームによって動力ユニットを支持する技術に関する。
ユニットスイング式の鞍乗型車両(例えば、スクータ)では、変速機とエンジンとを含む動力ユニットが後車輪とともに上下に揺動可能に設けられている。このような鞍乗型車両において、動力ユニットは、一般的に、防振用の懸架部材を介して車体フレームに連結されている(例えば、特許文献1)。車体フレームと動力ユニットとの間に介在する懸架部材は、動力ユニットの振動を緩衝することによって、振動が車体フレームに伝達されることを防止し、走行時の乗り心地を向上している。
また、動力ユニットと車体フレームとには、緩衝器(リアサスペンション)が掛け渡されている。緩衝器は、後車輪及び動力ユニットの揺動を緩和するよう伸縮し、これによって走行時の乗り心地が向上している。
特開2004−276643号公報
しかしながら、上記従来の鞍乗型車両では、動力ユニットと車体フレームとの間に防振用の懸架部材が介在し、動力ユニット及び後車輪が必ずしも車体フレームと一体的に動くものでないため、良好な操作感が得られない場合があった。例えば、搭乗者が車両を加速させようとした時には、懸架部材が介在するために、搭乗者は後車輪の回転速度の上昇から遅れて車両が加速し始めたと感じる。つまり、後車輪の回転速度が上昇した時には、まず、懸架部材が動力ユニットから車両進行方向の力を受けて変位する。その後、動力ユニットから懸架部材に入力される力と、車体フレームから懸架部材が受ける反力とが釣り合った後に、動力ユニットが懸架部材を介して車体フレームに推進力を加え、これによって搭乗者は車両の加速を感じることができる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、走行時の乗り心地と、操作感の向上を図ることのできる鞍乗型車両を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る鞍乗型車両は、車体フレームと、前記車体フレームに支持され、当該車体フレームに対する少なくとも前後方向の移動が規制されるピボット軸と、動力源と当該動力源が出力する動力を後車輪に伝達する伝達機構とを含み前記後車輪とともに上下に揺動可能な動力ユニットと、伸縮することで前記動力ユニットの揺動を緩和する緩衝器と、前記動力ユニットの動き量に応じて前記緩衝器の伸縮量を変化させるためのリンク機構とを備える。前記動力ユニットは、前記ピボット軸に取り付けられ当該ピボット軸を支点とする前記動力ユニットの揺動を可能にする第1の被支持部と、前記リンク機構と前記緩衝器とを介して前記車体フレームに接続される第2の被支持部とを有する。
本発明によれば、ピボット軸が防振用の懸架部材によって懸架される場合に比べて、より直接的に後車輪の回転によって発生した推進力が車体フレームに伝わる。その結果、搭乗者の操作に対する車両の応答性が向上し、良好な操作感が得られるようになる。また、第2の被支持部は、緩衝器とリンク機構とを介して車体フレームに接続されているので、良好な乗り心地が得られるようになる。なお、ここで鞍乗型車両は、例えば自動二輪車(スクータを含む)、四輪バギー、スノーモービル、二輪の電動車等である。
本発明の一態様では、前記緩衝器の一端は前記第2の被支持部に接続され、他端は前記リンク機構を介して前記車体フレームに接続される。この態様によれば、緩衝器がリンク機構を介して動力ユニットに接続される場合に比べて、後車輪とともに揺動する部分の重量、すなわちバネ下重量が小さくなり、車両の乗り心地がさらに向上する。
また、本発明の一態様では、前記動力ユニットの前記第1の被支持部は、前記動力ユニットの下部に設けられる。この態様によれば、第1の被支持部が、動力ユニットの上部に設けられる場合に比べて、路面に近くなる。その結果、加速時に第1の被支持部が車体フレームを押し上げる力が低減し、車体フレームを前方に押す力が増大するので、車両の乗り心地及び操作感がさらに向上する。
また、本発明の一態様では、前記緩衝器は、前記動力ユニットの上方に配置される。この態様によれば、車体後部のレイアウトの自由度を増すことができる。また、この態様では、前記緩衝器は、前記ピボット軸を中心とした円の周方向に伸縮するよう配置されてもよい。これによって、緩衝器の伸縮方向以外の方向の力が当該緩衝器に加わりにくくなり、緩衝器の耐久性を向上させることができる。なお、ここで緩衝器の伸縮方向は、実質的にピボット軸を中心とした円の周方向に平行であればよく、周方向に対して僅かに傾いていてもよい。また、この態様では、前記車体フレームは、前記緩衝器が接続される緩衝器支持部を有し、前記緩衝器支持部は、前記動力ユニットの前記第2の被支持部の前方に位置してもよい。これによって、緩衝器の伸縮時に、当該緩衝器が車体フレームを押し上げる力が低減し、さらに車両の乗り心地が向上する。
また、本発明の一態様では、前記動力ユニットは、シリンダ内において往復運動するピストンと当該ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランク軸とを含むクランク機構と、前記ピストンの往復運動によって発生する前記動力ユニットの振動を低減するバランサ機構とを有する。この態様によれば、車両の乗り心地がさらに向上する。
また、この態様では、前記バランサ機構は、バランサ軸と、当該バランサ軸とともに回転するバランサウェイトとを含み、前記バランサ軸及び前記バランサウェイトは、前記第1の被支持部を介して前記ピボット軸に伝達される振動を低減するように配置されてもよい。この場合、前記バランサ軸の回転によって生じる遠心力と、前記ピストンの往復運動及び前記クランク軸の回転運動によって生じる慣性力との合力によって前記ピボット軸に生じる加速度を、前記遠心力と前記慣性力のモーメントによって前記ピボット軸に生じる加速度が低減するように、前記バランサ軸及び前記バランサウェイトは配置されてもよい。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の例であるユニットスイング式の自動二輪車(スクータ)1の右側面図である。図2は自動二輪車1が備える車体フレーム10の右側面図であり、図3は車体フレーム10の平面図であり、図4はエンジンユニット(動力ユニット)20及び緩衝器(リアサスペンション)50の右側面図である。なお、図2においては、車体フレーム10とともに、エンジンユニット20と緩衝器50とが示されている。
図1又は図2に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム10、エンジンユニット20、緩衝器50の他に、リンク機構60と、前車輪2と、後車輪3と、ピボット軸109とを備えている。前車輪2は、自動二輪車1の前部に配置され、斜め上下方向に延伸するフロントフォーク7の下端部によって支持されている。フロントフォーク7の上部は、車体フレーム10が備えるヘッドパイプ101によって回転可能に支持されている。フロントフォーク7の上端部にはハンドル8が接続されている。後車輪3は、自動二輪車1の後部に配置されている。後車輪3の車軸4は、エンジンユニット20の後端部によって回転可能に支持されている。後車輪3は、エンジンユニット20とともに車体フレーム10に対して上下に揺動可能となっている。
図2又は図3に示すように、車体フレーム10は、ヘッドパイプ101の他に、左右一対の右フレーム10Rと左フレーム10Lとを含んでいる。右フレーム10Rと左フレーム10Lは、それぞれ上側フレーム部102と、下側フレーム部103と、後側フレーム部104と、縦フレーム部106と、支柱部107と、ピボット支持部108とを含んでいる。また、車体フレーム10は、右フレーム10Rと左フレーム10Lとに掛け渡される上側クロス部111と、下側クロス部112と、前側クロス部113と、後側クロス部114とを含んでいる。
下側フレーム部103の前端部(上端部)103aは、ヘッドパイプ101の下部に接合されている。左右の下側フレーム部103,103は、それぞれ前端部103aから側方に広がるとともに、下方に延伸し、屈曲部103bにおいて後方に屈曲している。左側の屈曲部103bと右側の屈曲部103bとに、前側クロス部113が掛け渡されている。下側フレーム部103の後端部103cは、縦フレーム部106の下部に垂直に接合している。下側フレーム部103の前端部103aには、上側フレーム部102の前端部が接合している。左右の上側フレーム部102,102は、それぞれ前端部から側方に広がるとともに、斜め後方に向けて延伸している。上側フレーム部102の後端部102aは、後側フレーム部104の中途部に接合している。
後側フレーム部104は、斜め後方に向けて延伸する傾斜部104aと、傾斜部104aの後端部に連なり後方に向けて延伸する後方延伸部104bとを含んでいる。傾斜部104aの前端部(下端部)104cは、下側フレーム部103の後端部103cと屈曲部103bとの間に接合している。傾斜部104aは、前端部104cから車体後部に向けて斜め上方に延伸し、その上端部104dは後方に屈曲している。上端部104dに後方延伸部104bが連なっている。左側の上端部104dと右側の上端部104dとには、横断面が略C字状の上側クロス部111が掛け渡されている。上側クロス部111には、リンク取付部119が接合されている。リンク取付部119は、リンク機構60が備えるレバー62の一端を回転可能に支持する(図4参照)。このリンク取付部119については後において詳細に説明する。
前端部104cと上端部104dとの間には、上側フレーム部102の後端部102aが接合している。また、前端部104cと上端部104dとの間には、縦フレーム部106の上端部106aが傾斜部104bに対して略垂直に接合している。縦フレーム部106は、上端部106aから僅かに斜め下方に延伸した後屈曲し、鉛直方向に延びている。左側の縦フレーム部106の下端部と、右側の縦フレーム部106の下端部106bとには、下側クロス部112が掛け渡されている。縦フレーム部106の上端部106aと下端部106bとの間には、支柱部107の前端部107aが垂直に接合している。支柱部107は前端部107aから車体後部に向けて斜め上方に延伸し、その後端部107bは後方延伸部104bに接合している。後方延伸部104bは、上述したように傾斜部104aの上端部104dに連なっており、上端部104dから後方に延伸している。後方延伸部104bは、車体の前後方向中央に配置されるシート9を支持している(図1参照)。シート9の下方であって、左右の後方延伸部104bの間には、収納ボックス11が設けられている。この収納ボックス11の下方には、前後方向に延伸する緩衝器50が配置されている。また、後方延伸部104bの下方には、後車輪3とエンジンユニット20とが配置されている。一対の後方延伸部104bの後端部104eには、後側クロス部114が掛け渡されている(図3参照)。
縦フレーム部106の下部には、円筒状のピボット支持部108が設けられている。ピボット支持部108も左右に設けられており、左右のピボット支持部108,108は、車幅方向に延伸するピボット軸109を支持している。ピボット軸109の左右の端部がピボット支持部108,108によって支持され、ピボット軸109は車体フレーム10に対する相対的な移動が規制されている。なお、支柱部107と縦フレーム部106とには支持板部118が接合されている。支持板部118は、支柱部107の前端部107aと縦フレーム部106との接合箇所から下方に延伸している。支持板部118の下部は、円筒状のピボット支持部108の外周面に接合されており、これによって、縦フレーム部106は支持板部118を介してピボット支持部108を支持している。ピボット支持部108の前方に、車体の前後方向に延伸する下側フレーム部103の後端部103cと縦フレーム部106との接合箇所が位置している。
なお、縦フレーム部106の上端部106aと傾斜部104との接合部には、補強板115が接合している。また、下側フレーム部103の前部と、上側フレーム部102の前部とには補強板116が掛け渡されている。さらに、上側フレーム部102の前部とヘッドパイプ101とには、補強フレーム部117が掛け渡されている。
図5は、エンジンユニット20の左側面図である。図5に示すように、エンジンユニット20は、車両の動力源であるエンジン30と、エンジン30が出力する動力を後車輪3に伝達する伝達機構40と、後車輪3を支持するリアアーム21と(図4参照)、を備えている。また、エンジンユニット20は、左右一対の下側被支持部22,22と、上側被支持部23と、リンク取付部24とを備えている。上述したように自動二輪車1はユニットスイング式の車両であり、エンジンユニット20は後車輪3とともに車体フレーム10によって上下に揺動可能に支持されている。
図5に示すように、エンジン30は、内部にシリンダ31が形成されたシリンダブロック30aと、シリンダブロック30aの上部を覆うシリンダヘッド30bと、クランク機構32と、バランサ機構36と、クランクケース30cと、を備えている。クランク機構32は、ピストン33と、クランク軸34と、クランク軸34とピストン33とを連結するコンロッド35と、を備えている。
シリンダヘッド30bには、シリンダ31に連なる吸気ポート(不図示)が形成されている。吸気ポートにはエアクリーナ75から流れ込んだ空気をエンジン30に供給する吸気管71が接続されている。吸気管71には、吸気通路に燃料を噴射するインジェクタ72が取り付けられている。また、吸気管71にはスロットルボディ73が接続され、当該スロットルボディ73にはエアクリーナ75が接続されている。エアクリーナ75は、車体フレーム10の後方延伸部104bの下方であって、後述する無段変速機41等を収容する伝動ケース47の上方に配置される。
ピストン33は、インジェクタ72から供給された燃料が燃焼することによって、シリンダ31内を往復運動する。クランク機構32は、ピストン33の往復運動をクランク軸34の回転運動に変換する。クランク軸34は、クランクケース30c内において車幅方向に配置されている。
シリンダブロック30a及びシリンダヘッド30bは、シリンダ31の軸線方向(ピストン33が往復運動する方向)が車両進行方向に傾斜する姿勢で配置されている。クランクケース30cは、車幅方向に長く形成され、後車輪3の前に配置される。このクランクケース30cの上側の壁部に、リンク取付部24が形成されている。リンク取付部24については、後において詳細に説明する。
伝達機構40は、クランク軸34の回転を減速して後車輪3に伝達する。この例では、伝達機構40は、無段変速機構41と、被駆動軸45、中間軸46と、を備え、これらは車両の前後方向に長い伝動ケース47に収容されている。
無段変速機構41は、駆動プーリ42と、被駆動プーリ43と、駆動プーリ42と被駆動プーリ43とに巻かれるVベルト44とを備えている。駆動プーリ42は、クランク軸34の端部に取り付けられており、当該クランク軸34とともに回転する。被駆動軸45は、クランク軸34の後方であって、後車輪3の車軸4から離れて配置されている。被駆動プーリ43は、被駆動軸45に対して空転するように当該被駆動軸45に嵌められている。クランク軸34の回転力は、駆動プーリ42と、Vベルト44とを介して、被駆動プーリ43に伝達される。Vベルト44の駆動プーリ42と被駆動プーリ43とに巻かれた部分の半径は、クランク軸34の回転数に応じて変化し、これによって減速比が無段階で変化する。
伝達機構40は、被駆動軸45と同軸に遠心クラッチ(不図示)を備えている。被駆動プーリ43に伝達された回転力は、接続状態にある遠心クラッチを介して、被駆動軸45に伝達される。被駆動軸45には、当該被駆動軸45と連動するギア45aが嵌められている。中間軸46には、当該中間軸46と連動する大径ギア46aが嵌められている。当該大径ギア46aは被駆動軸45のギア45aと噛み合っており、被駆動軸45に伝達された回転力は、ギア45a、大径ギア46aを介して中間軸46に伝達される。また、中間軸46には、当該中間軸46とともに回転する小径ギア46bが嵌められており、当該小径ギア46bは、車軸4に嵌められたギア4aに噛み合っている。これによって、中間軸46に伝達された回転力は、小径ギア46b、ギア4aを介して車軸4に伝達される。
下側被支持部22,22は、車体フレーム10のピボット軸109に回転可能に取り付けられている。図6は、車体フレーム10のピボット支持部108,108及び支持板部118,118を後方から臨む様子を示す図である。下側被支持部22には、車幅方向に延伸する挿通孔22aが設けられており、当該挿通孔22aにピボット軸109が挿通されている。これによって、エンジンユニット20はピボット軸109を支点として後車輪3と一体的に上下に揺動可能となっている。
また、ピボット軸109は、図2に示すように、車軸4とピボット軸109とが含まれる仮想平面Pが、路面に対して略平行となる高さに設けられている。これによって、車両の走行時には、車軸4はピボット軸109を含む水平面(路面と平行な面)を跨いで上下に揺動する。
また、下側被支持部22は、クランク軸34を収容するクランクケース30cと一体的に成形されている。図4又は図5に示すように、下側被支持部22は、クランクケース30cの壁部から前方に突出するように形成され、エンジン30の下部に位置している。下側被支持部22は、シリンダブロック30aの下方に位置し、下方から車体フレーム10のピボット軸109によって支持されている。
なお、上述したように、ピボット支持部108には、ピボット軸109を挿通するための車幅方向に延伸する挿通孔が形成されている。図6に示すように、この挿通孔の内側には、ピボット軸109の外径に相応した内径を有する円筒状のブッシュ108aが配置されている。ピボット軸109は、このブッシュ108aの内側に挿通されており、ピボット支持部108は、ブッシュ108aを介してピボット軸109を支持している。
リアアーム21は、後車輪3の右側に配置されている。図2に示すように、リアアーム21は、車両の前後方向に延伸する概略三角形の部材である。リアアーム21の後部21aは、後車輪3の車軸4を回転可能に支持している。また、リアアーム21の後端部には、後車輪3とともに回転するブレーキディスク5を挟むことによって、後車輪3を制動するブレーキキャリパ6が取り付けられている。
図4に示すように、リアアーム21の前端部に設けられた取付部21bは、2つのボルト25a,25bによって、クランクケース30cの上部に固定されている。また、取付部21bから下方に離れた位置に設けられた取付部21cは、ボルト26によって、クランクケース30cの下部に固定されている。
また、リアアーム21の上端部(この例では、取付部21bより僅かに上方)に上側被支持部23が設けられている。上側被支持部23は、緩衝器50とリンク機構60とを介して車体フレーム10に接続されている。この例では、上側被支持部23と緩衝器50の後端部とに車幅方向にボルト27が挿通されることで、緩衝器50は、上側被支持部23に回転可能に取り付けられている。
上述したように、エンジン30は、バランサ機構36を備えている。バランサ機構36は、ピストン33の往復運動によるエンジンユニット20の振動を抑制する機構である。図5に示すように、バランサ機構36は、バランサ軸37と、バランサ軸37とともに回転するギア37cと、同じく、バランサ軸37とともに回転するバランサウェイト37wとを備えている。ギア37cは、クランク軸34とともに回転するギア34dに噛み合っており、バランサ軸37はクランク軸34とは反対向きに、等速度で回転する。本実施の形態では、バランサ軸37の位置と、バランサ軸37の周方向におけるバランサウェイト37wの位置は、下側被支持部22の振動を抑制し、エンジンユニット20の振動が下側被支持部22からピボット軸109に伝達されないように設定されている。バランサ機構36については、後において詳細に説明する。
図4に示すように、緩衝器50は、一本式サスペンションであり、コイルスプリング51と、コイルスプリング51に挿通されるダンパ52とを備えている。ダンパ52は、アウタチューブ53と、ロッド54と、エンジン側取付部55と、フレーム側取付部56とを備えている。緩衝器50は、路面の凹凸に応じてダンパ52及びコイルスプリング51が伸縮することで、エンジンユニット20及び後車輪3の急激な揺動を緩和する。緩衝器50は、エンジンユニット20のクランクケース30cの上方において、ダンパ52の長手方向が前方に傾いた姿勢で配置されている。
アウタチューブ53の内部にはシリンダ53aが設けられ、当該シリンダ53aにはオイルやガスが封入されている。ロッド54の前端部には、ピストン(不図示)が取り付けられている。ピストンはアウタチューブ53のシリンダ53aに収容されている。ロッド54は、エンジンユニット20の揺動に応じて、アウタチューブ53のシリンダ53aの奥に向けてピストンを押圧したり、ピストンを牽引する。コイルスプリング51は、ロッド54とアウタチューブ53とを押し広げるように、それぞれを押圧している。
エンジン側取付部55は、ダンパ52から後方に延伸するよう設けられている。エンジン側取付部55の後端部は、ピボット軸109より車体の後側に位置し、エンジンユニット20の上側被支持部23に取り付けられている。エンジン側取付部55の後端部と上側被支持部23とに、上述したボルト27が車幅方向に差し込まれ、エンジン側取付部55の後端部は上側被支持部23に対して回転可能となっている。
フレーム側取付部56は、シリンダヘッド30bの上方であってピボット軸109より車体の前側に位置し、リンク機構60を介して車体フレーム10に接続されている。リンク機構60は、緩衝器50の伸縮量をエンジンユニット20の動き量に応じて変化させる機構である。この例では、エンジンユニット20の動き量が大きくなるに従って、エンジンユニット20の動き量に対する緩衝器50の伸縮量の比(レバー比)が大きくなるように、リンク機構60は構成されている。
図7は、リンク機構60を後方から臨む様子を示す図である。図4又は図7に示すように、リンク機構60は、左右一対のロッド61,61と、レバー62とを備えている。図7に示すように、ロッド61の一端部61aと、エンジンユニット20のリンク取付部24とには、車幅方向にボルト63が差し込まれており、これによってロッド61の一端部61aはエンジンユニット20に取り付けられている。ロッド61の他端部61bは、レバー62に取り付けられている。
レバー62は、支点部62aと、ロッド取付部62bと、緩衝器取付部62cとを含んでいる。支点部62aは、上述した車体フレーム10のリンク取付部119に回転可能に取り付けられている(図4参照)。具体的には、リンク取付部119は、図4及び図3に示すように、一対の板状の部材によって構成され、上側クロス部111から前方に突出している。図7に示すように、リンク取付部119と支点部62aとにはボルト64が挿通され、支点部62aは、リンク取付部119に対して回転可能となっている。ロッド取付部62bは、支点部62aから斜め前方に離れた位置に設けられている(図4参照)。ロッド取付部62bとロッド61の他端部61bには、ボルト65が挿通されており、ロッド61はロッド取付部62bに対して回転可能となっている。緩衝器取付部62cは、ロッド取付部62bから下方に離れた位置に設けられている(図4参照)。緩衝器取付部62cと、緩衝器50のフレーム側取付部56とにはボルト66が挿通され、これによって、緩衝器取付部62cは、フレーム側取付部56に回転可能となっている。
エンジンユニット20の上側被支持部23は、図4に示すように、リンク取付部119の後方であって、当該リンク取付部119より僅かに低い位置に設けられている。これによって、緩衝器50の長手方向が車両の進行方向に向けて傾斜し、その伸縮方向(図4においてSに示す方向)がピボット軸109を中心とする円の周方向を向くように、緩衝器50は配置される。すなわち、図4においては、ピボット軸109の中心を通り径方向に延伸する直線Tに対して方向Sが略垂直となっている。
また、リンク機構60及び緩衝器50を支持する車体フレーム10の上側クロス部111は、車体フレーム10の前後方向の中央近傍に位置している。その結果、上側クロス部111を車体フレーム10の後部に設ける場合に比べて、車体フレーム10の後部(この例では後方延伸部104b)の構成について自由度を増すことができる。また、図6に示すように、車体フレーム10のリンク取付部119は、上側クロス部111の車幅方向の中心から側方(この例では、右側)にずれた位置に設けられ、これによって、緩衝器50は、車幅方向の中心より側方に配置されている。
ここで、エンジン30内に配置されるクランク機構32と、バランサ機構36とについて説明する。図8及び図9は、クランク機構32とバランサ機構36との位置関係を説明するための図である。上述したように、バランサ機構36は、バランサ軸37と、バランサウェイト37wとを備えている。また、クランク機構32は、ピストン33と、クランク軸34と、コンロッド35とを含んでいる。クランク軸34には、当該クランク軸34を挟んでクランクピン34pの反対側に設けられクランク軸34とともに回転するカウンタウェイト34w1が設けられている。また、クランク軸34の周方向においてカウンタウェイト34w1とは異なる位置に、クランク軸34とともに回転するウェイト34w2が設けられている。なお、図8及び図9において、カウンタウェイト34w1と、ウェイト34w2は、黒丸として表されている。また、図9において、バランサウェイト37wは、黒丸として表されている。また、ここでは、簡略化のため、カウンタウェイト34w1とウェイト34w2とクランクピン34pは、クランク軸34の軸中心Coからの距離が等しい位置(図8において距離rとなる位置)に設けられているものとして説明する。
本実施の形態において、バランサ軸37の位置と、バランサ軸37の周方向におけるバランサウェイト37wの位置と、クランク軸34の位置と、クランク軸34の周方向におけるウェイト34w2の位置は、下側被支持部22を介してピボット軸109に伝達される振動が低減されるように設定されている。
まず、クランク軸34の周方向におけるウェイト34w2の位置について説明する。クランク機構32には、カウンタウェイト34w1と、ウェイト34w2と、クランクピン34pと、コンロッド35の大端部側(クランク軸34側)が、クランク軸34の軸中心Coの回りを回転することによって、遠心力が生じる。これらの部材の遠心力を合わせた遠心力は、図8においてf1として示されている。この遠心力f1の方向は、クランク軸34の位相に応じて回転する。図8においては、遠心力f1のベクトルの軌跡は円S1として表されている。また、ピストン33とコンロッド35の小端部側(ピストン33側)とが、シリンダ31内を往復運動することによって、クランク機構32には、シリンダ31の軸線方向Yの慣性力が生じる。この慣性力のうち一次慣性力f2は、クランク軸34の位相に応じて変動する。そのため、クランク機構32には一次慣性力f2と遠心力f1との合力(以下、慣性力F1とする)が働く。そして、この慣性力F1の方向はクランク軸34の回転とともに回転する。図8においては、慣性力F1のベクトルの軌跡は楕円S2として表されている。
ここで説明する例では、カウンタウェイト34w1の質量は、クランクピン34pとコンロッド35の大端部側など回転運動する部分の質量と等しくなっている。この場合、楕円S2の長軸の方向(図8においてXの示す方向)は、ピストン33やコンロッド35の小端部など往復運動する部分の質量Mpとウェイト34w2の質量Mcとの比k(以下、質量比率とする(k=Mc/Mp))と、クランク軸34の周方向におけるウェイト34w2の位置に応じて定まる。すなわち、シリンダ31の軸線方向Yと、方向Xの示す方向とがなす角度をχとし、ウェイト34w2の位置とクランクピン34pの位置とがなす角をφとすると、例えば、日刊工業新聞社発行の「機械設計」第8巻第9号第43−44頁に記載されるように、角度χは、次の式で表される。
χ={tan−1(2k×sinφ)/(1+2k×cosφ)}/2・・・式(1)
そして、本実施の形態では、楕円S2の長軸の方向Xが、エンジンユニット20の重心Gとピボット軸109の軸中心Poとを結ぶ直線L1と平行になるように、ウェイト34w2の質量Mc及び位置(図8においては角度φ)が設定されている。なお、この例では、楕円S2の方向を調整するウェイト34w2と、カウンタウェイト34w1とが別のものであるとして説明したが、これらは一体成形されてもよい。
次に、バランサ機構36について説明する。バランサ軸37は、図9に示すように、当該バランサ軸37の軸中心Boとクランク軸34の軸中心Coとを結ぶ直線L2が、上述した直線L1と平行になる位置に配置されている。上述したように、バランサ軸37には、当該バランサ軸37とともに回転するバランサウェイト37wが設けられている。そのため、バランサ機構36では、バランサ軸37とバランサウェイト37wの回転による遠心力F2が生じる。図9において、遠心力F2のベクトルの軌跡は、円S3として表されている。バランサウェイト37wは、バランサ軸37の軸中心Boの周りを慣性力F1と同じ方向に回転するよう設けられている。また、バランサ軸37の周方向におけるバランサウェイト37wの位置は、遠心力F2の方向が上述した楕円S2の長軸及び短軸の方向に向いている慣性力F1に対して反対方向になるように設定されている。
次に、クランク軸34とバランサ軸37との位置関係と、バランサウェイト37wの質量とについて説明する。
図9に示すように、バランサ軸37は、クランク軸34から離間して配置されている。そのため、エンジンユニット20には、遠心力F2と慣性力F1のモーメントが生じる。エンジンユニット20は、このモーメントによって振動し、ピボット軸109には加速度が生じる。また、ピボット軸109には、遠心力F2と慣性力F1との合力による加速度も生じる。
ここで説明する例では、この合力によって生じる加速度を、遠心力F2と慣性力F1のモーメントによって生じる加速度が低減するように、バランサウェイト37wの質量と、バランサ軸37とクランク軸34との位置関係とが設定されている。具体的には、バランサウェイト37wの質量は、バランサ機構36の遠心力F2がクランク機構32の慣性力F1の最大値と等しくなるように設定されている。そのため、図9においては、円S3の半径と楕円S2の長軸の半径は等しくなっている。
また、クランク軸34とバランサ軸37の位置関係は、具体的には、次のように設定されている。図9に示すように、エンジンユニット20の重心Gとピボット軸109の軸中心Poとを結ぶ直線L1から、クランク軸34の軸中心Coとバランサ軸37の軸中心Boとを結ぶ直線L2までの距離をLとする。また、エンジンユニット20の重心Gからピボット軸109の軸中心Poまでの距離をLpとする。また、重心Gを通りVD方向(直線L1及び直線L2に垂直な方向)に平行な直線L3からバランサ軸34の軸中心Boまでの距離をLbとする。さらに、直線L3からクランク軸34の軸中心Coまでの距離をLcとする。このとき、各距離が次の式(2)を満たすように、クランク軸34とバランサ軸37の位置が設定されている。
A×{M×Lp(Lb+Lc)+2I}=M×Lp×Lc+I ・・・・(2)
なお、式(2)において、Mはエンジンユニット20の質量であり、Iは、重心Gを通り車幅方向と平行な直線に関するエンジンユニット20の慣性モーメントである。また、値Aは、クランク機構32の慣性力F1のベクトルによって描かれる楕円S2の長軸と短軸との比率(長軸:短軸=A:(1−A))である。この値Aは、例えば、日刊工業新聞社発行の「機械設計」第8巻第9号第43−44頁に記載されるように、上述した楕円S2の長軸の方向Xとシリンダ31の軸線方向Sがなす角度χと、ウェイト34w2とクランクピン34pとがなす角φと、質量比率kとによって、次の式(3)によって表される。
A=k×sin(φ−χ)/sinχ ・・・(3)
以下、式(2)について詳細に説明する。
まず、バランサ機構36の遠心力F2のVD方向の成分F2v及びPD方向(直線L2と平行な方向)の成分F2pと、クランク機構32の慣性力F1のVD方向の成分F1v及びPD方向の成分F1pと、を算出する。
ピストン33など、クランク機構32において往復運動する部分(質量m)に生じる一次慣性力の最大値をF(F=mrω2、r=クランク軸34の軸中心Coからクランクピン34pまでの距離、ω=クランク軸34の角速度)とすると、例えば、日刊工業新聞社発行の「機械設計」第8巻第9号第43−44頁に記載されるように、楕円S2の長軸の半径(クランク機構32における慣性力F1の最大値)はA×Fとなる。また、短軸の半径(慣性力F1の最小値)は(1−A)×Fとなる。図9に示すように、直線L2に対するクランク機構32の慣性力F1の角度をθとすると、バランサ機構36の遠心力F2の角度は、π+θとなる。従って、クランク軸34の慣性力F1のVD方向の成分F1vは、(1−A)×Fsinθとなる。また、クランク軸34の慣性力F1のPD方向の成分F1pは、A×Fcosθとなる。また、バランサ機構36の遠心力F2がクランク機構32の慣性力F1の最大値と等しくなるようにバランサウェイト37wの質量が設定されているため、バランサ機構36の遠心力F2のVD方向の成分F2vは、A×Fsin(π+θ)となり、PD方向の成分F2pは、A×Fcos(π+θ)となる。
次に、遠心力F2と慣性力F1のモーメントによって生じるピボット軸109の加速度のVD方向の成分(図9にいおいてa1)を算出する。慣性力F1と遠心力F2の、重心GまわりのモーメントNは、次の式(4)のように表わされる。
N=F1p×L+F2p×L+F1v×Lc+F2v×Lb
=A×Fcosθ×L+ A×Fcos(π+θ)×L+(1−A)×Fsinθ×Lc+A×Fsin(π+θ)×Lb ・・・・(4)
ここで、cos(π+θ)=−cosθ、sin(π+θ)=−sinθであるから、式(4)は、次の式(5)のように表わされる。
N=(1−A)×Fsinθ×Lc−A×Fsinθ×Lb ・・・・(5)
また、モーメントNによる重心Gまわりの角加速度をβとし、モーメントNによって生じる軸中心PoのVD方向の加速度をa1とすると、VD方向の加速度a1および角加速度βは、それぞれ、次の式(6)および式(7)のように表わされる。
a1=Lp×β ・・・・(6)
β=N/I ・・・・(7)
ここで、Iは、上述したように、重心Gを通り車幅方向に平行な直線に関するエンジンユニット20の慣性モーメントである。
前記式(5)より、前記式(7)は、次の式(8)のように表わされる。
β={(1−A)×Fsinθ×Lc−A×Fsinθ×Lb}/I・・(8)
前記式(6)および式(8)より、加速度a1は、次の式(9)のように表わされる。
a1=Lp×{(1−A)×Fsinθ×Lc−A×Fsinθ×Lb}/I・・・(9)
また、慣性力F1と遠心力F2との合力によって生じる軸中心PoのVD方向の加速度a2は、次の式(10)のように表わされる。
a2=(F1v+F2v)/M
={(1−A)×Fsinθ+A×Fsin(π+θ)}/M
={(1−A)×Fsinθ−A×Fsinθ}/M
=(1−2A)×Fsinθ/M ・・・・(10)
ここで、Mは、上述したように、エンジンユニット20の質量である。
ここで、モーメントNによって生じる軸中心PoのVD方向の加速度a1と、慣性力F1と遠心力F2との合力によって生じる軸中心PoのVD方向の加速度a2とが相殺する場合には、すなわち、a1+a2=0となる場合には、ピボット軸109の軸中心Poがエンジンユニット20の瞬間回転中心となり、ピボット軸109のVD方向の振動が抑制される。そして、加速度a1と加速度a2の合計は、前記式(9)および(10)より次の式によって表される。
a1+a2=Lp×{(1−A)×Fsinθ×Lc−A×Fsinθ×Lb}/I+(1−2A)×Fsinθ/M=0
これを整理すると次の式のようになる。
Fsinθ[Lp×{(1−A)×Lc−A×Lb}/I+(1−2A)/M]=0
このとき、F≠0であるから、
sinθ[Lp×{(1−A)×Lc−A×Lb}/I+(1−2A)/M]=0
となる。ここで、sinθ≠0(θ≠0、πの場合)のときは、次の式(11)を満たす。
Lp×{(1−A)×Lc−A×Lb}/I+(1−2A)/M=0 ・・(11)
前記式(11)を整理することによって、クランク機構32に生じる慣性力F1のベクトルによって描かれる楕円S2の長軸と短軸の比率Aと、距離Lp、Lc、Lbの関係は、上述した式(2)と等しい次の式によって表される。
A×{M×Lp(Lb+Lc)+2I}=M×Lp×Lc+I
また、sinθ=0(θ=0、πの場合)のときは、加速度a1および加速度a2は、前記式(9)および(10)より、それぞれ、a1=0およびa2=0となるのでa1+a2=0を満たす。以上が、クランク軸34とバランサ軸37と重心Gとの位置関係を定める式(2)の説明である。
なお、PD方向に生じる軸中心Poの加速度は0となっている。すなわち、直線L1と直線L2とは平行であるので、上述したモーメントNによってPD方向に生じる軸中心Poの加速度a3は0となる。
また、慣性力F1と遠心力F2の合力によってPD方向に生じる軸中心Poの加速度a4は、次の式(13)のように表わされる。
a4=(F1p+F2p)/M
={A×Fcosθ+A×Fcos(π+θ)}/M
={A×Fcosθ−A×Fcosθ}/M
=0 ・・・・(13)
これにより、a3+a4=0となり、PD方向に生じる軸中心Poの加速度も0となっているので、ピボット軸109の軸中心PoのPD方向の振動が抑制される。
以上説明した自動二輪車1によれば、エンジンユニット20の下側被支持部22が、防振用の懸架部材を介することなく、ピボット軸109によって回動可能に支持されている。そのため、後車輪3の回転によって発生する推進力が、車体フレーム10に伝達され易くなる。その結果、搭乗者は、後車輪3の回転速度の上昇から遅滞することなく、車両の加速を感じることができ、車両の操作感が向上する。また、エンジンユニット20の上側被支持部23は、緩衝器50及びリンク機構60を介して、車体フレーム10に接続されている。そのため、路面の凹凸に応じたエンジンユニット20の急激な揺動が緩和され、乗り心地が向上する。さらに、エンジンユニット20の動き量が大きくなるに従って、エンジンユニット20の動き量に対する緩衝器50の伸縮量の比が大きくなるように、リンク機構60は構成されている。これによって、例えば、路面の凹凸が小さい時には、凹凸が大きい時に比べて、エンジンユニット20の揺動が許容され易く、より車両の乗り心地が向上する。
なお、本発明は、以上説明した自動二輪車1に限られず、種々の変形が可能である。例えば、自動二輪車1は、車両の動力源として、燃料を燃焼させて駆動するエンジン30を備えていた。しかしながら、動力源はこのようなエンジンに限られず、電力の供給を受けて駆動する電気モータや、電気モータとエンジンとを組み合わせたハイブリッド・エンジンでもよい。
また、以上の説明では、緩衝器50のフレーム側取付部56はリンク機構60を介して車体フレーム10に接続されていた。しかしながら、エンジン側取付部55がリンク機構を介してエンジンユニット20に接続されてもよい。図10は、この形態に係る自動二輪車の例を示す図である。同図において、自動二輪車1と同一箇所には同一符号を付し、その説明を省略する。
自動二輪車1Aは、車体フレーム10Aと、リンク機構60Aとを備えている。車体フレーム10Aは、リンク取付ブラケット120と、緩衝器取付部121を含んでいる。緩衝器取付部121は、上側クロス部111に接合されており、上側クロス部111から車体後方に向けて突出している。緩衝器取付部121には、ボルト57によって緩衝器50のフレーム側取付部56が回転可能に取り付けられている。
リンク取付ブラケット120は、概略三角形状の部材であり、その上縁部120aは、支柱部107の後端部107bに接合されている。リンク取付ブラケット120は、上縁部120aから下方に突出し、その端部120bにリンク機構60Aが接続している。
リンク機構60Aは、レバー67と、ロッド68とを備えている。レバー67は、支点部67aと、ロッド取付部67bと、緩衝器取付部67cとを含み、支点部67aから下方に延びるように配置されている。支点部67aは、ボルト64によってリンク取付ブラケット120の端部120bに回動可能に取り付けられている。ロッド取付部67bには、ボルト65によってロッド68の一端部68bが回動可能に取り付けられている。ロッド取付部67bより下方に設けられた緩衝器取付部67cには、ボルト69によって緩衝器50のエンジン側取付部55が取り付けられている。
この例では、クランクケース30cには、側方の突出するリンク取付部28が形成されている。このリンク取付部28は、リアアーム21の取付部21bより僅かに下方に位置している。ロッド68の他端部68aは、このリンク取付部28にボルト63によって取り付けられている。
レバー67の緩衝器取付部67cは、車体フレーム10Aの緩衝器取付部121の後方であって、緩衝器取付部121より僅かに低い位置に設けられている。そのため、図10に示す例においても、緩衝器50の伸縮方向は車両の進行方向に傾斜している。これによって、緩衝器50の伸縮によって生じる上下方向の力が低減し、走行時の乗り心地が向上する。
本発明の一実施形態の例である自動二輪車の右側面図である。 上記自動二輪車が備える車体フレームの右側面図である。 上記車体フレームの平面図である。 上記自動二輪車のエンジンユニット、緩衝器、及びリンク機構を側方から臨む様子を示す図である。 上記エンジンユニットの左側面図である。 車体フレームのピボット支持部及び縦フレーム部を後方から臨む様子を示す図である。 上記リンク機構を後方から臨む様子を示す図である。 上記エンジンユニット内に配置されるクランク機構を説明するための図である。 上記クランク機構とバランサ機構との位置関係を説明するための図である。 本発明の他の形態に係る自動二輪車のエンジンユニット、緩衝器、及びリンク機構を側方から臨む様子を示す図である。
符号の説明
1,1A 自動二輪車、2 前車輪、3 後車輪、4 車軸、5 ブレーキディスク、6 ブレーキキャリパ、7 フロントフォーク、8 ハンドル、9 シート、10,10A 車体フレーム、20 エンジンユニット、21 リアアーム、22 下側被支持部(第1の被支持部)、23 上側被支持部(第2の被支持部)、24 リンク取付部、30 エンジン、31 シリンダ、32 クランク機構、33 ピストン、34 クランク軸、35 コンロッド、36 バランサ機構、37 バランサ軸、40 伝達機構、41 無段変速機、42 駆動プーリ、43 被駆動プーリ、44 Vベルト、45 被駆動軸、46 中間軸、47 伝動ケース、50 緩衝器、51 コイルスプリング、52 ダンパ、53 アウタチューブ、54 ロッド、55 エンジン側取付部、56 フレーム側取付部、60,60A リンク機構、61,68 ロッド、62,67 レバー、71 吸気管、72 インジェクタ、73 スロットルボディ、75 エアクリーナ、101 ヘッドパイプ、102 上側フレーム部、103 下側フレーム部、104 後側フレーム部、106 縦フレーム部、107 支柱部、108 ピボット支持部、109 ピボット軸、111 上側クロス部、112 下側クロス部、113 前側クロス部、114 後側クロス部、115 補強板、116 補強板、117 補強フレーム部、118 支持板部、119 リンク取付部、120 リンク取付ブラケット、121 緩衝器取付部。

Claims (9)

  1. 車体フレームと、
    前記車体フレームに支持され、当該車体フレームに対する少なくとも前後方向の移動が規制されるピボット軸と、
    ピボット軸の上方に位置する動力源と、前記動力源の後方に配置される後車輪に前記動力源の動力を伝達する伝達機構とを含み、前記後車輪とともに上下に揺動可能な動力ユニットと、
    シートの下方且つ前記動力源の上方において前後方向に延伸する姿勢で配置され、伸縮することで前記動力ユニットの揺動を緩和する緩衝器と、
    前記動力ユニットの動き量に応じて前記緩衝器の伸縮量を変化させるためのリンク機構と、を備え、
    前記動力ユニットは、前記ピボット軸に取り付けられ当該ピボット軸を支点とする前記動力ユニットの揺動を可能にする第1の被支持部と、前記リンク機構と前記緩衝器とを介して前記車体フレームに接続される第2の被支持部とを有する、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  2. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記緩衝器の一端は前記第2の被支持部に接続され、他端は前記リンク機構を介して前記車体フレームに接続される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  3. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記動力ユニットの前記第1の被支持部は、前記動力ユニットの下部に設けられる、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  4. 請求項に記載の鞍乗型車両において、
    前記緩衝器は、前記ピボット軸を中心とした円の周方向に伸縮するよう配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  5. 請求項に記載の鞍乗型車両において、
    前記車体フレームは、前記緩衝器が接続される緩衝器支持部を有し、
    前記緩衝器支持部は、前記動力ユニットの前記第2の被支持部の前方に位置する、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  6. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記動力ユニットは、シリンダ内において往復運動するピストンと当該ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランク軸とを含むクランク機構と、前記ピストンの往復運動によって発生する前記動力ユニットの振動を低減するバランサ機構とを有する、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  7. 請求項に記載の鞍乗型車両において、
    前記バランサ機構は、バランサ軸と、当該バランサ軸とともに回転するバランサウェイトとを含み、
    前記バランサ軸及び前記バランサウェイトは、前記第1の被支持部を介して前記ピボット軸に伝達される振動を低減するように配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  8. 請求項に記載の鞍乗型車両において、
    前記バランサ軸の回転によって生じる遠心力と、前記ピストンの往復運動及び前記クランク軸の回転運動によって生じる慣性力との合力によって前記ピボット軸に生じる加速度を、前記遠心力と前記慣性力のモーメントによって前記ピボット軸に生じる加速度が低減するように、前記バランサ軸及び前記バランサウェイトは配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  9. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記緩衝器の後端は前記ピボット軸よりも後方に位置し、
    前記緩衝器の前端は前記ピボット軸よりも前方に位置している、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
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