JP5847688B2 - 並列二気筒内燃機関のバランサ装置 - Google Patents
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Description
また慣性力バランサは慣性力成分と対向してこれを低減する条件を、偶力バランサは偶力成分と対向してこれを低減する条件を充足すれば、各バランサの質量設定や配置を比較的柔軟に行うことができ、各バランサの配置自由度を向上できるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
図中において、矢印FRはエンジン(下記、車両用エンジン1)の前方を示し、矢印UPはエンジンの上方を示し、矢印LHはエンジンの左方を示している。以下の説明では、矢印FRに沿う方向を前後方向、矢印UPに沿う方向を上下方向、矢印LHに沿う方向を左右方向又はエンジン幅方向と呼ぶ。なお、本発明の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置の向きは、エンジンの向きを用いて説明する。
図1及び図2を参照し、車両用エンジン1は、その前部に構成される内燃機関2と、この内燃機関2の後方に配置される変速機3と、を一体とするクランクケース4を備えている。クランクケース4の前側内部には、エンジン幅方向に沿ってクランク軸5が収容されるとともに、クランクケース4の内部においてクランク軸5の後方には、変速機室6が形成され、この変速機室6には、上記変速機3が収容されている。図中C1はクランク軸5のクランク軸線を示している。
これらピストン72L及びピストン72Rはそれぞれ、後述する左コンロッド70L及び右コンロッド70Rを介してクランク軸5に連結し、ピストン72L及びピストン72Rの往復動がクランク軸5により回転動に変換されて駆動力が生じる。本実施形態において上記内燃機関2とは、シリンダー7とクランク軸5からなる駆動力を発生させる部位のことをいうものとし、この内燃機関2が並列二気筒内燃機関に相当する。
図3においては、メインシャフト23は、クランクケース4の内部で回転可能に支持されるため、破線で示しているが、メインシャフト23は側面視で、クランク軸5の後上方に配置されている。また、カウンターシャフト24は側面視で、クランク軸5の後方であって、メインシャフト23の後下方に配置されている。カウンターシャフト24の左端部は、クランクケース4の左側部から突出してクランクケース4の外側に露出しており、その左端部には、ドライブスプロケット25が設けられている。
図5を参照し、本実施形態では、左カウンタ軸受け部26Lにベアリング26Aが嵌入され、このベアリング26Aにカウンターシャフト24が挿入されることで、カウンターシャフト24の左端部側のジャーナル部が回転可能に支持されている。また図5に示すように、カウンターシャフト24の右端部は、クランクケース4の右側部内側に形成された右カウンタ軸受け部26Rにローラベアリングを介して回転可能に支持され、この右カウンタ軸受け部26Rも、上側半体4Uの右側部に形成された円弧状の凹部と、下側半体4Dに形成された円弧状の凹部とで、円形状の穴部を形成することで構成されている。
すなわち、左カウンタウエイト71Lは、クランク軸5の軸まわりで、左クランクピン5PLに対して180度の位相をもって設けられ、右カウンタウエイト71Rは、クランク軸5の軸まわりで、右クランクピン5PRに対して180度の位相をもって設けられている。
さらに換言すれば、左カウンタウエイト71Lは、その重心位置が、クランク軸5の軸まわりで、左クランクピン5PLの180度対称の位置に位置するように設けられ、右カウンタウエイト71Rは、その重心位置が、クランク軸5の軸まわりで、右クランクピン5PRの180度対称の位置に位置するように設けられている。
さらに、下側バランサ軸31の左端部の上記露出した部位には、ナット312が螺着され、ナット312は、ワッシャ311の抜けを防止している。これにより、ギヤ部31A及びこれに一体の左下側バランサ31Cの下側バランサ軸31からの抜けが防止されている。
本実施形態では、第一慣性力バランサY1、第一偶力バランサX1及び合成バランサZ1を、バランサ駆動ギヤ27によって駆動することで、車両用エンジン1の駆動時に生じる振動(一次振動)を抑制する。この詳細については後述する。
ここでメインシャフト23は中空状に形成されており、メインシャフト23にはプッシュロッド56が挿通され、クラッチ17の断接の切り替えは、プッシュロッド56の進退動に応じて行われる。
F2=mrω2
第一慣性力成分Fy1、第一偶力成分Fx1、第二慣性力成分Fy2、及び第二偶力成分Fx2の大きさは、以下のようになる。
Fx1=mrω2 sin(θ/2)
Fy2=mrω2 cos(θ/2)
Fx2=mrω2 sin(θ/2)
(1)BR1は、力の大きさが、mrω2cos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR2は、力の大きさが、mrω2cos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第二慣性力成分Fy2に対向する力を生じさせる。
(3)BR1及びBR2が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR1及びBR2の力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1(図5も参照のこと)を中心として対称に位置する。なお、BR1とBR2の力の大きさは均等である。
ここで、「二等分点P1を中心として対称に位置する」とは、詳細には、BR1とBR2とが生じる位置が平面視で二等分点P1を挟んで対称となる位置、かつ側面視で二等分点P1を挟んで対称となる位置、かつ、BR1及びBR2の向きが同一方向であることを意味するものである。
(1)BR3は、力の大きさがαω2(αは後段で説明する)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR4は、力の大きさがβω2(βは後段で説明する)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、3π/2+θ/2の位置で、第二偶力成分Fx2に対向する力を生じさせる。
(3)BR3及びBR4が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR3及びBR4の力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にあり、当該軸まわりに、力の向きが180度対称となる。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(4)BR3及びBR4の共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBR4が生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
また、上記偶力相殺条件においては、上記(1)〜(4)の各条件を充足しさえすれば、BR3及びBR4の共通軸の位置は任意に設定でき、かつ、BR3及びBR4の軸方向の位置は任意に変更できる。以下、この変更の許容性を、「偶力相殺条件許容性」と呼ぶ。
なお、BR2とBR4とを合成する際には、BR2とBR4それぞれの、クランク軸5の軸方向における二等分点P1からの位置が一致していることが前提となる。BRFは、図10も参照し、以下の合成条件を充足する力となる。
BRFは、力の大きさが、√(mrω2cos(θ/2))2+(βω2)2であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、tan−1((mrcos(θ/2)/β)の位置で、力を生じさせる。
(1)BR1は、力の大きさが、mrω2cos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR1が上記(1)の条件を充足するとともに、BRFが上記合成条件を充足しつつ、BR1及びBRFの力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に位置する。
(1)BR3は、力の大きさがαω2であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR3が上記(1)の条件を充足するとともに、BRFが上記合成条件を充足しつつ、BR3及びBRFの力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にある。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(3)BR3及びBRFの共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBRFが生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
すなわち、具体的には、第一慣性力バランサY1(左上側バランサ30C)は、例えば、質量mcos(θ/2)で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから左上側バランサ軸30の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
すなわち、具体的には、第一偶力バランサX1(左下側バランサ31C)は、例えば、α/rの質量で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
すなわち、合成バランサZ1は、アンバランス量が上記のようになる質量及びその重心位置を設定されるとともに、その重心が角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、tan−1((mrω2cos(θ/2)/β)の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
また、第一偶力バランサX1と合成バランサZ1とが同軸上にあるように配置される。
さらに、点P2(図9参照)から、第一偶力バランサX1までの距離をx、第一偶力バランサX1と合成バランサZ1の位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βの下記の関係が維持されるように設定する。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
なお、合成バランサZ1については、BR2の条件を充足するバランサを「第二慣性力バランサY2」として構成し、BR4の条件を充足するバランサを「第二偶力バランサX2」として構成した場合に、これら第二慣性力バランサY2及び第二偶力バランサX2を合成したものに相当する。このような第二慣性力バランサY2及び第二偶力バランサX2を構成する場合については、第2の実施形態で説明する。
また、本実施形態では、θは90度としたが、上述で説明した、慣性力相殺条件、偶力相殺条件、合成条件、慣性力複合条件、偶力複合条件は、0度<θ<180度の場合に成り立つものであり、180度<θ<360度の場合については、後段で説明する。
また慣性力バランサは慣性力成分と対向してこれを低減する条件を、偶力バランサは偶力成分と対向してこれを低減する条件を充足すれば、各バランサの質量設定や配置を比較的柔軟に行うことができ、各バランサの配置自由度を向上できるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
そして、BR1を基に、第一慣性力バランサY1を構成し、BR3を基に第一偶力バランサX1を構成し、第一慣性力バランサY1と合成バランサZ1と、が、平面視において、第一気筒#1中心と第二気筒#2中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に配置されるようにし、かつ、第一偶力バランサY1と、合成バランサZ1とが同軸に配置されるようにした。
また、合成されない第一偶力バランサX1と合成バランサZ1を同軸配置することで、一次振動を適正に低減でき、同軸配置した第一偶力バランサX1と合成バランサZ1を共通軸(下側バランサ軸31)として部品点数を抑え、この共通軸上のバランサに対するギヤやチェーン等の駆動力伝達媒体を共通にすることで、構造の簡素化が図れる。
次に本発明の第2の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置を備える車両用エンジンについて図11〜図13を参照して説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一符号で示し、説明は省略する。
具体的には、第二慣性力バランサY2は、例えば、質量mcos(θ/2)で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから右上側バランサ軸201の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
なお、第一慣性力バランサY1のピストン72Lを含む往復運動部に対するアンバランス量と、ピストン72Rを含む往復運動部に対する第二慣性力バランサY2のアンバランス量とは、均等である。
具体的には、第二偶力バランサX2は、例えば、β/rの質量で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、3π/2+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
また、第一偶力バランサX1と第二偶力バランサX2とが、クランク軸5に平行に延びる軸の同軸上にあり(つまり、下側バランサ軸31上にあり)、当該軸まわりに、180度対称となるように配置される。
さらに、第一偶力バランサX1と第二偶力バランサX2の共通軸(下側バランサ軸31)に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、第一偶力バランサX1の位置までの距離をx、第一偶力バランサX1の位置と第二偶力バランサX2の位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つように設定される。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
(1)BR1は、力の大きさが、mrω2cos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR2は、力の大きさが、mrω2cos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2の位置で、第二慣性力成分Fy2に対向する力を生じさせる。
(3)BR1及びBR2が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR1及びBR2の力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に位置する。
(1)BR3は、力の大きさが、αω2であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR4は、力の大きさが、βω2であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2−π/2の位置で、第二偶力成分Fx2に対向する力を生じさせる。
(3)BR3及びBR4が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR3及びBR4の力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にあり、当該軸まわりに、力の向きが180度対称となる。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(4)BR3及びBR4の共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBR4が生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
また、上記実施形態では、クランク位相角が270度である並列二気筒内燃機関で生じる起振力を低減させるバランサ装置を説明したが、本発明は、クランク位相角が不等間隔の、0度<θ<180度、180度<θ<360度の範囲の並列二気筒内燃機関で有効なものである。具体的には、本発明は、実施形態に係る所謂270度位相クランクの他、315度位相クランク等のものでも有効に起振力を低減させることができ、ひいてはこのような場合の並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
2 内燃機関
4 クランクケース
4U 上側半体
4D 下側半体
5 クランク軸
5PL 左クランクピン(第一クランクピン)
5PR 右クランクピン(第二クランクピン)
8 シリンダブロック
12 左側クランクケースカバー(クランクケースカバー)
13 右側クランクケースカバー(クランクケースカバー)
30 左上側バランサ軸(駆動軸)
31 下側バランサ軸(駆動軸)
72L ピストン(第一ピストン)
72R ピストン(第二ピストン)
100,100’ バランサ装置
F1 第一気筒起振力
F2 第二気筒起振力
DL 角二等分線
Y1 第一慣性力バランサ(慣性力バランサ)
Y2 第二慣性力バランサ(慣性力バランサ)
X1 第一偶力バランサ(偶力バランサ)
X2 第二偶力バランサ(偶力バランサ)
Z1 合成バランサ(慣性力バランサ、偶力バランサ)
P1 二等分点
#1 第一気筒
#2 第二気筒
θ 所定の位相角
Claims (12)
- 共通のクランク軸(5)に所定の位相角(θ)をもって、第一クランクピン(5PL)及び第二クランクピン(5PR)が設けられ、シリンダブロック(8)に、前記第一クランクピン(5PL)に対応する第一気筒(#1)と、前記第二クランクピン(5PR)に対応する第二気筒(#2)とが形成される並列二気筒内燃機関のバランサ装置であって、
前記並列二気筒内燃機関において、前記クランク軸(5)が回転する際に生じる、
前記第一気筒(#1)に収容された第一ピストン(72L)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第一気筒起振力(F1)と、
前記第二気筒(#2)に収容された第二ピストン(72R)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第二気筒起振力(F2)と、を低減させるための並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、
前記クランク軸(5)の軸方向視において、前記第一気筒起振力(F1)と前記第二気筒起振力(F2)とがなす角度を二等分する直線を、角二等分線(DL)とし、
前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と平行な方向に分解した力を、慣性力成分(Fy1,Fy2)とし、
前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と直交する平面と平行な方向に分解した力を、偶力成分(Fx1,Fx2)とし、
前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)を発生させる慣性力バランサ(Y1,Y2)と、
前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)を発生させる偶力バランサ(X1,X2)と、を備えることを特徴とする並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 前記慣性力バランサ(Y1,Y2)は、均等のアンバランス量の第一慣性力バランサ(Y1)と第二慣性力バランサ(Y2)とによって構成され、
前記クランク軸(5)は前記並列二気筒内燃機関の幅方向に沿って配置され、
前記第一慣性力バランサ(Y1)と前記第二慣性力バランサ(Y2)は、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置され、
前記偶力バランサ(X1,X2)は、第一偶力バランサ(X1)と第二偶力バランサ(X2)とを同軸上に配置するとともに、当該軸まわりに180度対称とすることで構成されることを特徴とする請求項1に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 第一慣性力バランサ(Y1)、第二慣性力バランサ(Y2)、前記第一偶力バランサ(X1)、及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
- 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、
外側に配置される前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つの駆動軸(30,201)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12,13)とによって支持されることを特徴とする請求項3に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方と、前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方とを合成した力(BRF)を基に合成バランサ(Z1)を構成し、
前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)と、が、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置されることを特徴とする請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)とが同軸に配置されることを特徴とする請求項5に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
- 前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方の、その軸方向における位置を予め決定した上で、前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方を合成して、前記合成バランサ(Z1)の前記第一偶力バランサ(Y1)及び前記第二偶力バランサ(Y2)のうちの他方に対する位相を設定したことを特徴とする請求項5又は6に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
- 前記合成バランサ(Z1)と、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
- 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方が、前記クランクケース(4)の外側に配置され、
前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12)とによって支持されることを特徴とする請求項8に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、かつ、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、が同軸に配置され、
前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちのいずれか一方が、前記合成バランサ(Z1)の駆動軸(31)に一体に形成され、他方が前記駆動軸(31)に別体で締結部材によって固定されることを特徴とする請求項8又は9に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - クランクケース(4)が上下分割構造であり、
前記クランクケース(4)の上側半体(4U)に、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が配置され、
前記クランクケース(4)の下側半体(4D)に、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が配置されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。 - 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランク軸(5)よりも後方に配置され、
前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が、前記クランク軸(5)よりも前方に配置される請求項5〜11のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
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