JP5847688B2 - 並列二気筒内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

並列二気筒内燃機関のバランサ装置 Download PDF

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Description

本発明は、並列二気筒内燃機関のバランサ装置に関する。
複数気筒を有する内燃機関において、クランク軸の回転に伴う振動のうち、クランク軸の回転周期と同周期で発生する一次振動を低減するための一次バランサ装置(以下、バランサ装置と呼ぶ)を備えたものが特許文献1に開示されている。
この特許文献1に係るバランサ装置は、バランサ軸上にバランサウエイト(バランサ)が設けられ、バランサ軸を2本用いて構成されている。このようなバランサ装置は一般に、2軸1次バランサと呼ばれる。
特開2011−43189号公報
並列二気筒内燃機関の場合、クランク位相角を等間隔に設定すれば、一次振動に含まれる慣性力由来の振動、又は偶力由来の振動をクランク軸自身で打ち消すことができるため、バランサ装置の設定(バランサの配置等)が容易になることは公然に知られている。
ところが、並列二気筒内燃機関の出力特性(トルク変動等)を特徴付けるために、クランク位相角を不等間隔(例えば、270度位相クランク)にする場合には、一次振動のうち慣性力又は偶力が混在した複雑な振動が発生するため、バランサ装置の設定に制約が多くなり、その結果、バランサがクランクケース内空間を大きく占有してしまい、並列二気筒内燃機関の設計に制約が生じてしまう場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、一次振動を好適に低減させつつ、バランサの配置自由度を向上でき、もって並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる並列二気筒内燃機関のバランサ装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、共通のクランク軸(5)に所定の位相角(θ)をもって、第一クランクピン(5PL)及び第二クランクピン(5PR)が設けられ、シリンダブロック(8)に、前記第一クランクピン(5PL)に対応する第一気筒(#1)と、前記第二クランクピン(5PR)に対応する第二気筒(#2)とが形成される並列二気筒内燃機関のバランサ装置であって、前記並列二気筒内燃機関において、前記クランク軸(5)が回転する際に生じる、前記第一気筒(#1)に収容された第一ピストン(72L)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第一気筒起振力(F1)と、前記第二気筒(#2)に収容された第二ピストン(72R)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第二気筒起振力(F2)と、を低減させるための並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記クランク軸(5)の軸方向視において、前記第一気筒起振力(F1)と前記第二気筒起振力(F2)とがなす角度を二等分する直線を、角二等分線(DL)とし、前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と平行な方向に分解した力を、慣性力成分(Fy1,Fy2)とし、前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と直交する平面と平行な方向に分解した力を、偶力成分(Fx1,Fx2)とし、前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)を発生させる慣性力バランサ(Y1,Y2)と、前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)を発生させる偶力バランサ(X1,X2)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記慣性力バランサ(Y1,Y2)は、均等のアンバランス量の第一慣性力バランサ(Y1)と第二慣性力バランサ(Y2)とによって構成され、前記クランク軸(5)は前記並列二気筒内燃機関の幅方向に沿って配置され、前記第一慣性力バランサ(Y1)と前記第二慣性力バランサ(Y2)は、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置され、前記偶力バランサ(X1,X2)は、第一偶力バランサ(X1)と第二偶力バランサ(X2)とを同軸上に配置するとともに、当該軸まわりに180度対称とすることで構成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、第一慣性力バランサ(Y1)、第二慣性力バランサ(Y2)、前記第一偶力バランサ(X1)、及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、外側に配置される前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つの駆動軸(30,201)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12,13)とによって支持されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方と、前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方とを合成した力(BRF)を基に合成バランサ(Z1)を構成し、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)と、が、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)とが同軸に配置されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方の、その軸方向における位置を予め決定した上で、前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方を合成して、前記合成バランサ(Z1)の前記第一偶力バランサ(Y1)及び前記第二偶力バランサ(Y2)のうちの他方に対する位相を設定したことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方が、前記クランクケース(4)の外側に配置され、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12)とによって支持されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、かつ、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、が同軸に配置され、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちのいずれか一方が、前記合成バランサ(Z1)の駆動軸(31)に一体に形成され、他方が前記駆動軸(31)に別体で締結部材によって固定されることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項5〜10のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、クランクケース(4)が上下分割構造であり、前記クランクケース(4)の上側半体(4U)に、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が配置され、前記クランクケース(4)の下側半体(4D)に、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が配置されることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項5〜11のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランク軸(5)よりも後方に配置され、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が、前記クランク軸(5)よりも前方に配置される。
請求項1に記載の発明によれば、クランク軸回転と同周期で発生する一次振動の起振力を、慣性力成分と偶力成分の二方向に分解し、慣性力バランサ及び偶力バランサを、慣性力成分及び偶力成分と対向するように設定したので、一次振動を低減できる。
また慣性力バランサは慣性力成分と対向してこれを低減する条件を、偶力バランサは偶力成分と対向してこれを低減する条件を充足すれば、各バランサの質量設定や配置を比較的柔軟に行うことができ、各バランサの配置自由度を向上できるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項2に記載の発明によれば、二つの慣性力バランサを、互いに駆動軸を異ならせて、駆動軸を短くし、これらバランサの駆動軸が内燃機関(クランクケース)の内部空間を占有しないようにすることができるため、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。また、二つの偶力バランサは、180度対称の関係で偶力成分に対向する力を発生できれば、質量を変更して配置調整が可能であるため、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項3に記載の発明によれば、第一慣性力バランサ、第二慣性力バランサ、第一偶力バランサ、及び第二偶力バランサのうちの少なくともいずれか一つが、クランクケースの外側に配置されることで、並列二気筒内燃機関(クランクケース)の内部空間におけるバランサの占有を抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に近づける等して、例えば並列二気筒内燃機関のコンパクト化を図れるため、並列内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項4に記載の発明によれば、クランクケースの外側に配置されるバランサ及びその駆動軸が内燃機関(クランクケース)の内部空間を占有するのを抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に確実に近づけ易くなるので、並列二気筒内燃機関のコンパクト化を確実に図ることができ、並列内燃機関の設計自由度を確実に向上できる。
請求項5に記載の発明によれば、三つのバランサで一次振動を低減できるとともに、合成されない慣性力バランサの駆動軸を短くすることで、この駆動軸が内燃機関の内部空間を占有するのを抑制することができ、変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に近づる等して、例えば並列二気筒内燃機関のコンパクト化を図れるため、並列内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項6に記載の発明によれば、合成されない偶力バランサと合成バランサを同軸配置することで、一次振動を適正に低減でき、同軸配置したバランサを共通軸として部品点数を抑え、この共通軸上のバランサに対するギヤやチェーン等の駆動力伝達媒体を共通にすることで、構造の簡素化が図れる。
請求項7に記載の発明によれば、合成バランサを構成する二つの偶力バランサのうちの一方の質量は、その軸方向における位置に応じて増減できるので、合成バランサの位相(重心の位相)は、合成バランサを構成する二つの偶力バランサのうちの一方の質量に応じて変化する。したがって、第一偶力バランサ及び第二偶力バランサのうちの一方の、その軸方向における位置を予め決定した上で、第一慣性力バランサ及び第二慣性力バランサのうちの一方を合成して、合成バランサの第一偶力バランサ及び第二偶力バランサのうちの他方に対する位相を設定することで、一次振動を適正に低減できる。
請求項8に記載の発明によれば、合成バランサと、第一慣性力バランサ及び第二慣性力バランサのうちの他方と、第一偶力バランサ及び第二偶力バランサのうちの他方とのうちの少なくともいずれか一つがクランクケースの外側に配置されることで、並列二気筒内燃機関(クランクケース)の内部空間におけるバランサの占有を抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に近づける等して、例えば並列二気筒内燃機関のコンパクト化を図れるため、並列内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項9に記載の発明によれば、クランクケースの外側に配置されるバランサ及びその駆動軸が内燃機関(クランクケース)の内部空間を占有するのを抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に確実に近づけ易くなるので、並列二気筒内燃機関のコンパクト化を確実に図ることができ、並列内燃機関の設計自由度を確実に向上できる。
請求項10に記載の発明によれば、合成バランサと、同軸上に配置される第一偶力バランサ及び第二偶力バランサのうちの他方とが、クランクケースの外側に配置されることで、内燃機関(クランクケース)の内部空間をバランサが占有するのを抑制でき、合成バランサと、第一偶力バランサ及び第二偶力バランサのうちの他方とのうちのいずれかが、別体で形成されるので、取扱性や組付け性を良好なものにできる。
請求項11に記載の発明によれば、駆動軸を短くできる第一慣性力バランサ及び第二慣性力バランサのうちの他方を、クランクケースの上側半体に配置してクランクケースの内部空間の占有を抑制することで、クランクケースの上部をコンパクトにすることができ、また、クランクケースの上部に変速機や始動装置等の部品を配置する空間を確保し易くなるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
請求項12に記載の発明によれば、駆動軸を短くできる第一慣性力バランサ及び第二慣性力バランサのうちの他方の駆動軸を、クランク軸の後方に配置して、クランク軸後方の内部空間の占有を抑制することで、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸に近づけ易くすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置を備える車両用エンジンの左側面図である。 第1の実施形態に係る車両用エンジンの平面図である。 第1の実施形態に係る車両用エンジンの左側クランクケースカバーを取り外した状態の左側面図である。 第1の実施形態に係る車両用エンジンの右側クランクケースカバーを取り外した状態の右側面図である。 図3のA−A線に沿う展開断面図である。 図1のC−C線に沿う断面図である。 図1のB−B線に沿う断面図である。 第1の実施形態に係る車両用エンジンのクランクピンの位相角と、車両用エンジンで発生する起振力を説明する図であり、(A)はクランクピン等の模式図、(B)はクランク軸の軸まわりにおけるクランクピンの位置を説明する図、(C)はクランク軸の軸まわりで生じる起振力を説明する図である。 第1の実施形態に係るバランサ装置のバランサの配置及び位相を説明する概念図であり、(A)は起振力の状態を説明する図であり、(B)はバランサの設定の基準となる起振力に対向する力を説明する概念図である。 第1の実施形態に係るバランサ装置の合成バランサの設定の基準となる起振力に対向する力を説明する概念図である。 本発明の第2の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置を備える車両用エンジンの左側面図である。 第2の実施形態に係る車両用エンジンの右側面図である。 第2の実施形態に係る車両用エンジンの平面図である。
以下、本発明の各実施形態について説明する。
図中において、矢印FRはエンジン(下記、車両用エンジン1)の前方を示し、矢印UPはエンジンの上方を示し、矢印LHはエンジンの左方を示している。以下の説明では、矢印FRに沿う方向を前後方向、矢印UPに沿う方向を上下方向、矢印LHに沿う方向を左右方向又はエンジン幅方向と呼ぶ。なお、本発明の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置の向きは、エンジンの向きを用いて説明する。
<第1の実施形態>
図1及び図2を参照し、車両用エンジン1は、その前部に構成される内燃機関2と、この内燃機関2の後方に配置される変速機3と、を一体とするクランクケース4を備えている。クランクケース4の前側内部には、エンジン幅方向に沿ってクランク軸5が収容されるとともに、クランクケース4の内部においてクランク軸5の後方には、変速機室6が形成され、この変速機室6には、上記変速機3が収容されている。図中C1はクランク軸5のクランク軸線を示している。
本実施形態において車両用エンジン1は並列二気筒エンジンであり、クランクケース4の前側上面に、シリンダー7が、そのシリンダー軸線S1を上下方向に対してやや前方側に傾斜させるようにして立設されている。シリンダー7には、エンジン幅方向に並んだ第一気筒♯1及び第二気筒♯2が形成され、これら第一気筒♯1及び第二気筒♯2には後述するピストン72L及びピストン72R(図8参照)が摺動自在に収容されている。
これらピストン72L及びピストン72Rはそれぞれ、後述する左コンロッド70L及び右コンロッド70Rを介してクランク軸5に連結し、ピストン72L及びピストン72Rの往復動がクランク軸5により回転動に変換されて駆動力が生じる。本実施形態において上記内燃機関2とは、シリンダー7とクランク軸5からなる駆動力を発生させる部位のことをいうものとし、この内燃機関2が並列二気筒内燃機関に相当する。
シリンダー7は、上記第一気筒♯1及び第二気筒♯2が形成されるシリンダブロック8と、燃焼室を有して、シリンダブロック8の上部に設けられるシリンダヘッド9と、シリンダヘッド9の上部に設けられるヘッドカバー10と、を備えている。図2に示すように、シリンダヘッド9の後壁には、上記燃焼室に燃料を供給するための2つの吸気ポート11が形成されている。一方、シリンダヘッド9の前壁には、上記燃焼室から排気ガスを排気するための図示しない排気ポートが形成される。
クランクケース4の左側部には、左側クランクケースカバー12がボルトによって取付けられるとともに、クランクケース4の右側部には、右側クランクケースカバー13がボルトによって取付けられている。左側クランクケースカバー12は、主にクランクケース4の左側部における前側領域ないし中央領域を略全域にわたって覆っており、その側面視における略中央の領域には、クランク軸線C1に沿ってエンジン幅方向外側に膨出する略円筒状の発電機収容部14が形成され、この発電機収容部14には発電機15が収容されている。
また、右側クランクケースカバー13はクランクケース4の右側部の略全域を覆っており、そのクランク軸5よりも後方に位置する領域には、エンジン幅方向外側に膨出する略円筒状のクラッチ収容部16が形成され、このクラッチ収容部16には、クラッチ17が収容されている。
図3は、左側クランクケースカバー12を取り外した状態のクランクケース4の左側部が示され、クランクケース4の左側部には、このクランクケース4の左側部における前側領域ないし中央領域を広範囲に囲うようにエンジン幅方向外側に突出した周壁部18が形成され、この周壁部18は、その内側にエンジン幅方向外側に開放した収容空間20を形成している。ここで、クランク軸5は、クランクケース4の左側部から突出し、クランク軸5の左端部には詳細は後述する複数の歯車(ギヤ)が設けられ、これらクランク軸5に設けられる歯車及びこれに噛み合う複数の歯車は、クランクケース4の左側部から外側に露出した状態でクランクケース4に支持されている。そして、これら複数の歯車は、収容空間20内に配置され、周壁部18によって前後上下から覆われている。そして、左側クランクケースカバー12は、周壁部18に、その縁部を当接させて締結され、上記複数の歯車を左方から覆う。
本実施形態においてクランクケース4の左側部の上縁部は側面視で、後上がりに延びている。ここで、周壁部18の概略形状を説明すると、周壁部18の上縁部18Uは、クランクケース4の左側部の上縁部に沿って当該上縁部からエンジン幅方向外側に突出するように形成され、シリンダー7を横切って後上がりに延び、クランク軸5よりも後方に至っている。
また、周壁部18の上縁部18Uの前端から下方に延びる前縁部18Fは、クランクケース4の左側部の下端まで至っており、当該前縁部18Fの下端から延びる後縁部18Rは、クランク軸5の下方で、クランク軸5を横切るようにして後上方に延びて、周壁部18の上縁部18Uに接続している。また、クランクケース4は、分割ラインL2で分割された上下分割構造であり、上側半体4Uと、下側半体4Dと、を有している。周壁部18は、上側半体4Uと、下側半体4Dに跨るようにして形成されている。
また本実施形態では、クランクケース4の分割ラインL2に沿って延びるクランクケース4の分割面に、クランク軸5の左端部側に設定されるジャーナル部を回動可能に支持する左クランク軸受け部21Lが形成されている。この左クランク軸受け部21Lは、上側半体4Uに形成された円弧状の凹部と、下側半体4Dに形成された円弧状の凹部とで、円形状のジャーナル受け部を形成することで構成されている。
ここで、図5を参照し、上述のようにクランク軸5は、その左端部側のジャーナル部が上記左クランク軸受け部21Lに支持されるが、その中央のジャーナル部は、クランクケース4の内部に形成された中央クランク軸受け部21Cに回転可能に支持され、その右端部側に設定されるジャーナル部は、クランクケース4の右側部に形成された右クランク軸受け部21Rに回転可能に支持されている。そして、これら中央クランク軸受け部21C及び右クランク軸受け部21Rは、左クランク軸受け部21Lと同様に、上側半体4Uに形成された円弧状の凹部と、下側半体4Dに形成された円弧状の凹部とで、円形状のジャーナル受け部を形成することで構成されている。
図3及び図5においては、クランク軸5に沿ってエンジン幅方向に延びるように配置されて、クランク軸5からの駆動力を伝達されるメインシャフト23と、クランク軸5に沿ってエンジン幅方向に延びるように配置されて、メインシャフト23から駆動力を伝達され、変速後(減速後)の駆動力を外部に出力するカウンターシャフト24と、が示されている。なお、変速機3は、メインシャフト23及びカウンターシャフト24を含んで構成される。
図3においては、メインシャフト23は、クランクケース4の内部で回転可能に支持されるため、破線で示しているが、メインシャフト23は側面視で、クランク軸5の後上方に配置されている。また、カウンターシャフト24は側面視で、クランク軸5の後方であって、メインシャフト23の後下方に配置されている。カウンターシャフト24の左端部は、クランクケース4の左側部から突出してクランクケース4の外側に露出しており、その左端部には、ドライブスプロケット25が設けられている。
本実施形態では、クランクケース4の分割面に、カウンターシャフト24の左端部側に設定されるジャーナル部を回動可能に支持する左カウンタ軸受け部26Lが形成されている。そして、この左カウンタ軸受け部26Lは、上側半体4Uの左側部に形成された円弧状の凹部と、下側半体4Dに形成された円弧状の凹部とで、円形状の穴部を形成することで構成されている。
図5を参照し、本実施形態では、左カウンタ軸受け部26Lにベアリング26Aが嵌入され、このベアリング26Aにカウンターシャフト24が挿入されることで、カウンターシャフト24の左端部側のジャーナル部が回転可能に支持されている。また図5に示すように、カウンターシャフト24の右端部は、クランクケース4の右側部内側に形成された右カウンタ軸受け部26Rにローラベアリングを介して回転可能に支持され、この右カウンタ軸受け部26Rも、上側半体4Uの右側部に形成された円弧状の凹部と、下側半体4Dに形成された円弧状の凹部とで、円形状の穴部を形成することで構成されている。
図5を参照し、クランク軸5について詳述すると、クランク軸5における左クランク軸受け部21Lと中央クランク軸受け部21Cの間に位置する部位には、互いに沿って延びる一対の板体からなる左クランクウェブ5WLが一体に形成され、クランク軸5における中央クランク軸受け部21と右クランク軸受け部21Rとの間に位置する部位には、互いに沿って延びる一対の板体からなる右クランクウェブ5WRが一体に形成されている。そして、左クランクウェブ5WLの先端には左クランクピン5PLが一体に形成されるとともに、右クランクウェブ5WRの先端には右クランクピン5PRが一体に形成され、左クランクピン5PLに上述した左コンロッド70Lが連結され、右クランクピン5PRに右コンロッド70Rが連結されている。
ここで、本実施形態では、左クランクピン5PLと右クランクピン5PRとがクランク軸5まわりで位相角を90度として、クランク軸5上に設けられており、より詳しくは、右クランクピン5PRが、左クランクピン5PLよりも90度だけクランク軸5の進角側に位置するように構成されている。この場合、例えば、左クランクピン5PLに連結するピストン72Lが上死点にある場合に、右クランクピン5PRに連結するピストン72Rは、吸入工程または膨張工程になる関係にある。
左クランクウェブ5WLには、左カウンタウエイト71Lが一体に形成され、右クランクウェブ5WRには、右カウンタウエイト71Rが一体に形成されている。左カウンタウエイト71Lは、クランク軸5の軸方向視で、左クランクピン5PLが形成される側の反対側に突出するように形成され、右カウンタウエイト71Rは、クランク軸5の軸方向視で、右クランクピン5PRが形成される側の反対側に突出するように形成されている。
すなわち、左カウンタウエイト71Lは、クランク軸5の軸まわりで、左クランクピン5PLに対して180度の位相をもって設けられ、右カウンタウエイト71Rは、クランク軸5の軸まわりで、右クランクピン5PRに対して180度の位相をもって設けられている。
さらに換言すれば、左カウンタウエイト71Lは、その重心位置が、クランク軸5の軸まわりで、左クランクピン5PLの180度対称の位置に位置するように設けられ、右カウンタウエイト71Rは、その重心位置が、クランク軸5の軸まわりで、右クランクピン5PRの180度対称の位置に位置するように設けられている。
左カウンタウエイト71L及び右カウンタウエイト71Rはそれぞれ、クランク軸5の軸方向視で半円状に形成されている。ピストン等を含む往復運動部の質量をW1、クランクピン等を含む回転運動部の質量をW2、カウンタウエイトの質量をW3とすると、W3=W1×0.5+W2の場合、カウンタウエイトのバランス率が50%となることが公然知られており、本実施形態では、左カウンタウエイト71L及び右カウンタウエイト71Rはそれぞれ、カウンタウエイトのバランス率が50%となるように質量が設定されている。
クランク軸5の左端部は、左クランク軸受け部21Lからエンジン幅方向外側に突出し、クランク軸5の右端部は、右クランク軸受け部21Rからエンジン幅方向外側に突出している。図3も併せて参照し、クランク軸5の左端部には、エンジン幅方向内側から外側に向けて順に、バランサ駆動ギヤ27、始動ギヤ28、及び上記発電機15を構成するロータ15Rが設けられている。なお、図3では便宜上、始動ギヤ28を二点鎖線で示し、ロータ15Rは図示省略している。
また、図3に示すように、側面視でバランサ駆動ギヤ27の後上方には、左上側バランサ軸30が配置され、前下方には、下側バランサ軸31が配置されている。バランサ駆動ギヤ27は、これら左上側バランサ軸30の左端部に形成されたギヤ部30A及び下側バランサ軸31の左端部に形成されたギヤ部31Aに噛み合って、これら左上側バランサ軸30及び下側バランサ軸31を駆動させるようになっている。
左上側バランサ軸30の左端部にはギヤ部30Aと一体の左上側バランサ30Cが形成され、下側バランサ軸31の左端部にはギヤ部31Aと一体の左下側バランサ31Cが形成されている。また、図2を参照し、本実施形態では、下側バランサ軸31の左下側バランサ31Cに車幅方向中央を挟んで対向するように右下側バランサ31Dが配置され、図6に示すように、この右下側バランサ31Dは、下側バランサ軸31の右端部に設けられている。すなわち、左下側バランサ31C及び右下側バランサ31Dは同軸上に配置されている。
図6に示すように、本実施形態では、右下側バランサ31Dは下側バランサ軸31の右端部に一体に形成され、左下側バランサ31Cは、ギヤ部31Aの中央に形成されたボス部310が下側バランサ軸31の左端部にスプライン嵌合されることで、下側バランサ軸31の左端部に別体で固定されている。より詳しくは、下側バランサ軸31の左端部は、ボス部310に挿通されてボス部310の外側に露出し、この露出した部位に、その軸方向外側からボス部310の端面に当接するようにワッシャ311が挿通されている。
さらに、下側バランサ軸31の左端部の上記露出した部位には、ナット312が螺着され、ナット312は、ワッシャ311の抜けを防止している。これにより、ギヤ部31A及びこれに一体の左下側バランサ31Cの下側バランサ軸31からの抜けが防止されている。
図3に示すように、左下側バランサ31Cは、下側バランサ軸31の周方向に沿って延びる半円状(扇形状)に形成され、ギヤ部31Aの軸方向外側側面に一体に形成されている。また、同様に、左上側バランサ30Cは、左上側バランサ軸30の周方向に沿って延びる半円状(扇形状)に形成され、ギヤ部30Aの軸方向外側側面に一体に形成されている。一方で、図4はクランクケース4から右側クランクケースカバー13を取り外した状態の車両用エンジン1の右側面図であり、同図に示すように、右下側バランサ31Dは、下側バランサ軸31の右端部から張り出す扇形状に形成されている。なお、図4では、説明便宜上、左上側バランサ30C及び左下側バランサ31Cを破線で示している。
本実施形態では、図3に示すように、左上側バランサ30C及び左下側バランサ31Cは、クランクケース4の左側部の左方外側に配置され、左側クランクケースカバー12に覆われるようになっている。また、図4に示すように、右下側バランサ31Dは、クランクケース4の右側部の右方外側に配置され、右側クランクケースカバー13に覆われるようになっている。
ここで、図7は図1のB−B線に沿う断面図である。本実施形態において左上側バランサ軸30は、右端部がクランクケース4の左側部に形成された右バランサ軸受け部45に回転可能に支持されるとともに、左端部が左側クランクケースカバー12に形成された左バランサ軸受け部46に回転可能に支持されている。この場合、クランクケース4の左側部の周壁部18が左側クランクケースカバー12によって覆われた状態で、クランクケース4と左側クランクケースカバー12との間に、左上側バランサ軸30が収容されることになる。そして、左上側バランサ軸30は、クランクケース4の内部空間に突出しないようになっている。
また、図3を参照し、本実施形態では、左上側バランサ軸30はクランクケース4の上側半体4Uに支持されている。一方で、下側バランサ軸31はクランクケース4の下側半体4Dに支持されている。
以下では、左上側バランサ30Cを、「第一慣性力バランサY1」と称し、下側バランサ軸31で駆動される左下側バランサ31Cを、「第一偶力バランサX1」と称し、下側バランサ軸31で駆動される右下側バランサ31Dを、「合成バランサZ1」と称し、これら各バランサから構成される装置をバランサ装置100と称するものとする。
本実施形態では、第一慣性力バランサY1、第一偶力バランサX1及び合成バランサZ1を、バランサ駆動ギヤ27によって駆動することで、車両用エンジン1の駆動時に生じる振動(一次振動)を抑制する。この詳細については後述する。
図3に示すように、クランク軸5の左端部の前方、換言すれば、始動ギヤ28の前方には、スタータモータ35の駆動力をクランク軸5に伝達するためのアイドルギヤ群34が配置されている。アイドルギヤ群34は、始動ギヤ28に駆動力を伝達する。図5に示すように、始動ギヤ28は、クランク軸5の左端部に固定されたワンウェイクラッチ33を介してクランク軸5に設けられ、アイドルギヤ群34を介して、クランクケース4の前部に設けられたスタータモータ35の駆動軸35A(図3参照)から駆動力をクランク軸5に伝達可能とされている。本実施形態においてアイドルギヤ群34は、クランク軸5の前方に配置される第1アイドルギヤ36と、第1アイドルギヤ36の上方に配置される第2アイドルギヤ37とで構成されている。
また、図5に戻り、ロータ15Rはクランク軸5に沿って延びる円筒状に形成され、左側クランクケースカバー12の発電機収容部14の内側に固定された発電機15を構成するステータ15Sを、クランク軸5の径方向の外側から覆うように設けられている。ロータ15R及びステータ15Sからなる発電機15は、発電機収容部14内に位置している。
一方で、クランク軸5の右端部には、駆動スプロケット40が設けられている。この駆動スプロケット40は、メインシャフト23の右端部に相対回転可能に設けられた被動スプロケット41に噛み合っている。メインシャフト23は、クランクケース4の上側半体4Uの左側部の内側に設けられた左軸受け42Lと、クランクケース4の上側半体4Uの右側部に設けられた右軸受け42Rとにより回転可能に支持されている。メインシャフト23の右端部は、右軸受け42Rからエンジン幅方向外側に突出し、上記被動スプロケット41は、クランクケース4のメインシャフト23の右端部に支持されている。
メインシャフト23の右端部における被動スプロケット41よりもエンジン幅方向で外側に、上記クラッチ17が設けられ、被動スプロケット41は、クランク軸5の駆動力を、クラッチ17を介してメインシャフト23に伝達する。ここで、メインシャフト23とカウンターシャフト24には、変速歯車群44が跨って配置され、主にこれらメインシャフト23、カウンターシャフト24及び変速歯車群44によって変速機3が構成されている。詳しくは、メインシャフト23には6速分の駆動ギヤ44Aが設けられ、カウンターシャフト24には6速分の被動ギヤ44Bが設けられ、各駆動ギヤ44A及び被動ギヤ44Bは、対応する変速段同士で互いに噛み合い、それぞれ各変速段に対応する変速ギヤ対を構成する。変速段は、図示省略するシフターによって切り替えられる。
クラッチ17は、上記被動スプロケット41と結合してエンジン幅方向外側に突出する円筒状のアウターハウジング50と、アウターハウジング50の内側に設けられメインシャフト23と結合するインナーハウジング51と、アウターハウジング50とインナーハウジング51との間に交互に積層状に設けられたフリクションディスク52及びクラッチディスク53と、インナーハウジング51との間でフリクションディスク52及びクラッチディスク53を挟むように配置されるプレッシャープレート54と、プレッシャープレート54をインナーハウジング51側に弾性付勢して、フリクションディスク52及びクラッチディスク53を摩擦係合させるスプリング55と、を有している。
クラッチ17では、スプリング55の付勢力に抗してプレッシャープレート54がインナーハウジング51側から引き離されると切断状態となり、かかる力を解除されるとスプリング55により接続状態となる。
ここでメインシャフト23は中空状に形成されており、メインシャフト23にはプッシュロッド56が挿通され、クラッチ17の断接の切り替えは、プッシュロッド56の進退動に応じて行われる。
プッシュロッド56は、メインシャフト23の左端部からエンジン幅方向外側に突出するとともに、メインシャフト23の右端部からエンジン幅方向外側に突出するように設けられ、プッシュロッド56の右端部は、ベアリング57を介してプレッシャープレート54にエンジン幅方向内側から当接している。そして、プッシュロッド56は、その左端部が、クランクケース4の左側部側に配置されたクラッチ作動部60によって右側に押されることで、右方向に向けて移動してプレッシャープレート54を押圧して、インナーハウジング51から引き離し、クラッチ17を切断状態とする。クラッチ作動部60は回動操作されることで、プッシュロッド56を進退させるものである。
ここで、以下では、本実施形態に係るバランサ装置100における、第一慣性力バランサY1、第一偶力バランサX1及び合成バランサZ1の三つのバランサについての質量設定や配置等の詳細を説明する。
先ず、図8(A)は、左クランクピン5PL、右クランクピン5PR、左コンロッド70L、右コンロッド70R、左コンロッド70Lに連結した第一ピストンに相当するピストン72L、及び右コンロッド70Rに連結した第二ピストンに相当するピストン72Rの模式図であり、同図中の符号R1は、クランク軸5の回転方向を示している。
本実施形態では、左クランクピン5PLと右クランクピン5PRとが、クランク軸5まわりで位相角を90度として、クランク軸5上に設けられ、右クランクピン5PRが、左クランクピン5PLよりも90度だけクランク軸5の進角側に位置するように構成されている。
このため、クランク軸5の軸方向視で見た場合には、図8(B)に示す各クランクピンの位置から明らかなように、例えば、左クランクピン5PLに連結するピストン72Lが上死点にある位置で、右クランクピン5PRに連結するピストン72Rは、クランク軸5の進角側に90度進んだ状態になる。なお、図中θは、90度である。
そして、本実施形態では、往復運動部の質量を2m、クランク半径をrとして、左クランクウェブ5WLに設けられる左カウンタウエイト71Lおよび右クランクウェブ5WRに設けられる右カウンタウエイト71Rはそれぞれ、カウンタウエイトとしてのバランス率が50%となるように質量が設定されている。
この場合、図8(C)に示すように、車両用エンジン1では、第一気筒#1に収容されたピストン72Lが上死点にある位置を基準としてクランク軸5と同周期で逆回転(R2方向へ回転)し、回転方向R2回りの各点でクランク軸5の径方向外側に向けた力を発生させる第一気筒起振力F1と、第二気筒#2に収容されたピストン72Rが上死点にある位置を基準としてクランク軸5と同周期で逆回転(R2方向へ回転)し、回転方向R2回りの各点でクランク軸5の径方向外側に向けた力を発生させる第二気筒起振力F2と、が生じることになる。
ここで、クランク軸5のクランク回転角速度をωとした場合に、第一気筒起振力F1及び第二気筒起振力F2の大きさは以下のようになる。
F1=mrω
F2=mrω
すなわち、左カウンタウエイト71L及び右カウンタウエイト71Rが、対応する各往復運動部の慣性力を低減させることができるのは50%であり、残りの50%が、起振力となって生じることになる。
そして、図8(C)において、「DL」は、クランク軸5の軸方向視において、第一気筒起振力F1と第二気筒起振力F2とがなす角度を二等分する直線である「角二等分線」を示し、本実施形態では、各バランサの配置や設定の前提として、この角二等分線DLを基準に、第一気筒起振力F1と第二気筒起振力F2を、慣性力成分と偶力成分とに分解する。
すなわち、図8(C)及び図9(A)に示すように、第一気筒起振力F1を、角二等分線DLと平行な方向に分解した第一慣性力成分Fy1と、角二等分線DLと直交する平面と平行な方向に分解した第一偶力成分Fx1とに分解する。また、第二気筒起振力F2を、角二等分線DLと平行な方向に分解した第二慣性力成分Fy2と、角二等分線と直交する平面と平行な方向に分解した第二偶力成分Fx2とに分解する。
第一慣性力成分Fy1、第一偶力成分Fx1、第二慣性力成分Fy2、及び第二偶力成分Fx2の大きさは、以下のようになる。
Fy1=mrω cos(θ/2)
Fx1=mrω sin(θ/2)
Fy2=mrω cos(θ/2)
Fx2=mrω sin(θ/2)
そして、本実施形態では、第一慣性力成分Fy1、第一偶力成分Fx1、第二慣性力成分Fy2、及び第二偶力成分Fx2に対向する力が発生するように各バランサの質量及び配置(角度)を設定する。
図9(B)を参照し、各バランサの質量及び配置(角度)の設定に際しては、まず、第一慣性力成分Fy1及び第二慣性力成分Fy2のそれぞれに対向する力、すなわち第一慣性力成分Fy1及び第二慣性力成分Fy2に対向してこれらを相殺(低減)する力であるBR1及びBR2を求める。第一慣性力成分Fy1及び第二慣性力成分Fy2を適正に低減させるBR1及びBR2の条件は、以下の3つの条件(慣性力相殺条件と呼ぶ)になる。
(慣性力相殺条件)
(1)BR1は、力の大きさが、mrωcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR2は、力の大きさが、mrωcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第二慣性力成分Fy2に対向する力を生じさせる。
(3)BR1及びBR2が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR1及びBR2の力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1(図5も参照のこと)を中心として対称に位置する。なお、BR1とBR2の力の大きさは均等である。
ここで、「二等分点P1を中心として対称に位置する」とは、詳細には、BR1とBR2とが生じる位置が平面視で二等分点P1を挟んで対称となる位置、かつ側面視で二等分点P1を挟んで対称となる位置、かつ、BR1及びBR2の向きが同一方向であることを意味するものである。
そして次に、第一偶力成分Fx1及び第二偶力成分Fx2のそれぞれに対向する力であるBR3及びBR4を求める。第一偶力成分Fx1及び第二偶力成分Fx2を適正に低減させるBR3及びBR4の条件は、以下の4つの条件(偶力相殺条件)になる。
(偶力相殺条件)
(1)BR3は、力の大きさがαω(αは後段で説明する)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR4は、力の大きさがβω(βは後段で説明する)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、3π/2+θ/2の位置で、第二偶力成分Fx2に対向する力を生じさせる。
(3)BR3及びBR4が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR3及びBR4の力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にあり、当該軸まわりに、力の向きが180度対称となる。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(4)BR3及びBR4の共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBR4が生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
以上に説明した、慣性力相殺条件及び偶力相殺条件を充足する力が生じるように、バランサの設定を行えば、第一気筒起振力F1及び第二気筒起振力F2に対向する力が生じ、これらに起因する振動を基本的には低減できる。
ここで、上記慣性力相殺条件においては、BR1及びBR2は、力の大きさ及び向きの変更は不可であるものの、上記(1)〜(3)の各条件を充足しさえすれば、その相互間の距離を変更でき、かつ、その位置は任意に設定できる。以下、この変更の許容性を、「慣性力相殺条件許容性」と呼ぶ。
また、上記偶力相殺条件においては、上記(1)〜(4)の各条件を充足しさえすれば、BR3及びBR4の共通軸の位置は任意に設定でき、かつ、BR3及びBR4の軸方向の位置は任意に変更できる。以下、この変更の許容性を、「偶力相殺条件許容性」と呼ぶ。
本実施形態では、上記慣性力相殺条件許容性及び偶力相殺条件許容性を利用することで、BR2とBR4を合成した力であるBRFを求め、BRFが適正に慣性力成分及び偶力成分を低減させる条件をもとに合成バランサZ1を設定する。一方で、BR1に基づき第一慣性力バランサY1を、BR3に基づき第一偶力バランサX1を設定する。
なお、BR2とBR4とを合成する際には、BR2とBR4それぞれの、クランク軸5の軸方向における二等分点P1からの位置が一致していることが前提となる。BRFは、図10も参照し、以下の合成条件を充足する力となる。
(合成条件)
BRFは、力の大きさが、√(mrωcos(θ/2))+(βωであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、tan−1((mrcos(θ/2)/β)の位置で、力を生じさせる。
そして、上記合成条件と、慣性力相殺条件及び偶力相殺条件とに基づき、以下の慣性力複合条件及び偶力複合条件を導出できる。
(慣性力複合条件)
(1)BR1は、力の大きさが、mrωcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR1が上記(1)の条件を充足するとともに、BRFが上記合成条件を充足しつつ、BR1及びBRFの力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に位置する。
(偶力複合条件)
(1)BR3は、力の大きさがαωであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR3が上記(1)の条件を充足するとともに、BRFが上記合成条件を充足しつつ、BR3及びBRFの力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にある。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(3)BR3及びBRFの共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBRFが生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
そして、本実施形態では、上記慣性力複合条件及び偶力複合条件を充足するように、第一慣性力バランサY1、第一偶力バランサX1、及び合成バランサZ1が設定される。
具体的に、第一慣性力バランサY1については、BR1の力が生じるように設定され、ピストン72Lを含む往復運動部に対するアンバランス量が、mrcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせるようにする。
すなわち、具体的には、第一慣性力バランサY1(左上側バランサ30C)は、例えば、質量mcos(θ/2)で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから左上側バランサ軸30の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
また、第一偶力バランサX1については、BR3の力が生じさせるように設定され、ピストン72Lを含む往復運動部に対するアンバランス量が、αであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせるようにする。
すなわち、具体的には、第一偶力バランサX1(左下側バランサ31C)は、例えば、α/rの質量で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
そして、合成バランサZ1については、BRFの力が生じるように設定され、ピストン72Rを含む往復運動部に対するアンバランス量が、(√(mrωcos(θ/2))+(βω)/ωであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、tan−1((mrcos(θ/2)/β)の位置で、力を生じさせるようにする。
すなわち、合成バランサZ1は、アンバランス量が上記のようになる質量及びその重心位置を設定されるとともに、その重心が角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、tan−1((mrωcos(θ/2)/β)の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
また、第一慣性力バランサY1と合成バランサZ1とが、平面視で、二等分点P1を中心として対称に位置するように配置される。
また、第一偶力バランサX1と合成バランサZ1とが同軸上にあるように配置される。
さらに、点P2(図9参照)から、第一偶力バランサX1までの距離をx、第一偶力バランサX1と合成バランサZ1の位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βの下記の関係が維持されるように設定する。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
このようにして、本実施形態の車両用エンジン1では、第一慣性力バランサY1、第一偶力バランサX1、及び合成バランサZ1の条件を設定し、これらからなるバランサ装置100を構成している。
なお、合成バランサZ1については、BR2の条件を充足するバランサを「第二慣性力バランサY2」として構成し、BR4の条件を充足するバランサを「第二偶力バランサX2」として構成した場合に、これら第二慣性力バランサY2及び第二偶力バランサX2を合成したものに相当する。このような第二慣性力バランサY2及び第二偶力バランサX2を構成する場合については、第2の実施形態で説明する。
また、本実施形態では、θは90度としたが、上述で説明した、慣性力相殺条件、偶力相殺条件、合成条件、慣性力複合条件、偶力複合条件は、0度<θ<180度の場合に成り立つものであり、180度<θ<360度の場合については、後段で説明する。
以上に記載したように、本実施形態のバランサ装置100は、共通のクランク軸5に所定の位相角θ(本実施形態では90度)をもって、第一クランクピンに相当する左クランクピン5PL及び第二クランクピンに相当する右クランクピン5PRが設けられ、シリンダブロック8に、左クランクピン5PLに対応する第一気筒#1と、右クランクピン5PRに対応する第二気筒#2とが形成される並列二気筒内燃機関のバランサ装置であり、クランク軸5が回転する際に生じる、第一気筒#1に収容されたピストン72Lが上死点にある位置を基準としてクランク軸5と同周期で逆回転し、クランク軸5の径方向外側に向けた力を発生させる第一気筒起振力F1と、第二気筒#2に収容されたピストン72Rが上死点にある位置を基準としてクランク軸5と同周期で逆回転し、クランク軸5の径方向外側に向けた力を発生させる第二気筒起振力F2と、を低減させるためのものである。
そして、このバランサ装置100は、クランク軸5の軸方向視において、第一気筒起振力F1と第二気筒起振力F2とがなす角度を二等分する直線を、角二等分線DLとし、第一気筒起振力F1及び第二気筒起振力F2を、角二等分線と平行な方向に分解した力を、慣性力成分(第一慣性力成分Fy1及び第二慣性力成分Fy2)とし、第一気筒起振力F1及び第二気筒起振力F2を、角二等分線DLと直交する平面と平行な方向に分解した力を、偶力成分(第一偶力成分Fx1及び第二偶力成分Fx2)とした場合に、上記各慣性力成分に対向する力を発生させる慣性力バランサ(第一慣性力バランサY1及び合成バランサZ1)と、上記各偶力成分に対向する力を発生させる偶力バランサ(第一偶力バランサX1及び合成バランサZ1)と、を備えるようにしたものである。
このような構成を備えるバランサ装置100では、クランク軸回転と同周期で発生する一次振動の起振力を、慣性力成分と偶力成分の二方向に分解し、慣性力バランサ及び偶力バランサを、慣性力成分及び偶力成分と対向するように設定したので、一次振動を低減できる。
また慣性力バランサは慣性力成分と対向してこれを低減する条件を、偶力バランサは偶力成分と対向してこれを低減する条件を充足すれば、各バランサの質量設定や配置を比較的柔軟に行うことができ、各バランサの配置自由度を向上できるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、第一慣性力成分Fy1及び第二慣性力成分Fy2に対向する力であるBR1及びBR2を求め、BR1及びBR2のうちのBR2と、第一偶力成分Fx1及び第二偶力成分Fx2に対向する力であるBR3及びBR4を求め、BR3及びBR4のうちのBR4と、を合成した力BRFを求めた。そして、このBRFの力を基に、合成バランサZ1を構成した。
そして、BR1を基に、第一慣性力バランサY1を構成し、BR3を基に第一偶力バランサX1を構成し、第一慣性力バランサY1と合成バランサZ1と、が、平面視において、第一気筒#1中心と第二気筒#2中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に配置されるようにし、かつ、第一偶力バランサY1と、合成バランサZ1とが同軸に配置されるようにした。
このような構成では、三つのバランサで一次振動を低減できるとともに、合成されない第一慣性力バランサの駆動軸である左上側バランサ軸30を短くすることで、この左上側バランサ軸30が内燃機関(クランクケース)の内部空間を占有するのを抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸5に近づけ易くすることができて、例えば並列二気筒内燃機関のコンパクト化を図れるため、並列内燃機関の設計自由度を向上できる。
また、合成されない第一偶力バランサX1と合成バランサZ1を同軸配置することで、一次振動を適正に低減でき、同軸配置した第一偶力バランサX1と合成バランサZ1を共通軸(下側バランサ軸31)として部品点数を抑え、この共通軸上のバランサに対するギヤやチェーン等の駆動力伝達媒体を共通にすることで、構造の簡素化が図れる。
また、上述した、偶力成分を相殺する力であるBR3及びBR4は、軸方向における位置に応じて増減させることができる。このため、BR4とBR2を合成する際、BR4の位置に応じた大きさ(質量)によって、合成バランサZ1の質量及び重心の方向(位相)が変化する。したがって、BR4の、その軸方向における位置を決定し、これに応じて、合成バランサZ1の、第一偶力バランサX1に対する位相を設定することで、一次振動を適正に低減できる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、合成バランサZ1(右下側バランサ31D)と、第一慣性力バランサY1(左上側バランサ30C)と、第一偶力バランサX1(左下側バランサ31C)が、クランクケース4の外側に配置されている。このため、内燃機関(クランクケース4)の内部空間におけるバランサの占有を抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸5に近づける等して、例えば並列二気筒内燃機関のコンパクト化を図れるため、並列内燃機関の設計自由度を向上できる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、第一慣性力バランサY1を駆動する左上側バランサ軸30が、クランクケース4の側面と、左側クランクケースカバー12とによって支持される。このため、第一慣性力バランサY1及び左上側バランサ軸30が内燃機関(クランクケース4)の内部空間を占有するのを抑制することができ、例えば変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸5に確実に近づけ易くなるので、並列二気筒内燃機関のコンパクト化を確実に図ることができ、並列内燃機関の設計自由度を確実に向上できる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、合成バランサZ1が、その駆動軸である下側バランサ軸31に一体に形成され、第一偶力バランサX1が下側バランサ軸31に別体で締結部材によって固定されている。この構成では、内燃機関(クランクケース4)の内部空間をバランサが占有するのを抑制でき、また、第一偶力バランサX1が別体で形成されるので、取扱性や組付け性を良好なものにできる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、クランクケース4が上下分割構造であり、クランクケース4の上側半体4Uに、第一慣性力バランサY1の駆動軸である左上側バランサ軸30が配置され、下側半体4Dに、合成バランサZ1と、第一偶力バランサX1の駆動軸である下側バランサ軸31が配置されている。この構成では、第一慣性力バランサY1の駆動軸である左上側バランサ軸30を、クランクケース4の上側半体4Uに配置してクランクケース4の内部空間の占有を抑制することで、クランクケース4の上部をコンパクトにすることができ、また、クランクケース4の上部に変速機や始動装置等の部品を配置する空間を確保し易くすることできる。
また、本実施形態のバランサ装置100では、第一慣性力バランサY1の駆動軸である左上側バランサ軸30が、クランク軸5よりも後方に配置され、合成バランサZ1と、第一偶力バランサX1との駆動軸である下側バランサ軸31が、クランク軸5よりも前方に配置されている。この場合、駆動軸を短くできる第一慣性力バランサY1の駆動軸を、クランク軸5の後方に配置して、クランク軸5後方の内部空間の占有を抑制することで、例えば、変速機や始動装置等の軸部材をクランク軸5に近づけ易くすることができる。
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態に係る並列二気筒内燃機関のバランサ装置を備える車両用エンジンについて図11〜図13を参照して説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一符号で示し、説明は省略する。
図11〜図13に示す車両用エンジン1’には、4つのバランサで構成されるバランサ装置100’が搭載されている。このバランサ装置100’は、第1の実施形態のような合成バランサZ1を構成せず、第一慣性力バランサY1、第二慣性力バランサY2、第一偶力バランサX1、及び第二偶力バランサX2を備えている。これら4つのバランサは、第1の実施形態で説明した「慣性力相殺条件」及び「偶力相殺条件」を充足するように設定されている。
なお、この車両用エンジン1’においても、図5等に示した左クランクピン5PLと右クランクピン5PRとが、クランク軸5まわりで位相角を90度として、クランク軸5上に設けられ、右クランクピン5PRが、左クランクピン5PLよりも90度だけクランク軸5の進角側に位置するように構成されている。
第一慣性力バランサY1及び第一偶力バランサX1は、第1の実施形態と同様のものであり、第一慣性力バランサY1は左上側バランサ30Cからなり、第一偶力バランサX1は左下側バランサ31Cからなるものであるため、説明は省略する。ただし、図中に示す第一慣性力バランサ30Cは、説明都合上、第1の実施形態のものよりも小さく示している。
一方で、図12及び図13を参照し、第二慣性力バランサY2は、右上側バランサ200からなり、右上側バランサ軸201によって駆動されるものである。また、第二偶力バランサX2は、右下側バランサ202からなり、第一偶力バランサX1と共通の下側バランサ軸31に駆動されるものである。なお、右下側バランサ202は下側バランサ軸31に一体のものであってもよいし、別体のものでもよい。また、図12においては、説明便宜上、第一慣性力バランサY1及び第一偶力バランサX1を二点鎖線で示している。
そして、図9(B)を援用して参照し、第二慣性力バランサY2は、BR2の力が生じるように設定されている。すなわち、第二慣性力バランサY2は、ピストン72Rを含む往復運動部に対するアンバランス量が、mrcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置で、第二慣性力成分Fy2に対向する力を生じさせるように設定される。
具体的には、第二慣性力バランサY2は、例えば、質量mcos(θ/2)で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから右上側バランサ軸201の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
なお、第一慣性力バランサY1のピストン72Lを含む往復運動部に対するアンバランス量と、ピストン72Rを含む往復運動部に対する第二慣性力バランサY2のアンバランス量とは、均等である。
また、第二偶力バランサX2は、BR3の力が生じさせるように設定され、ピストン72Rを含む往復運動部に対するアンバランス量が、βであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、3π/2+θ/2の位置で、第二偶力成分Fx2に対向する力を生じさせるように設定される。
具体的には、第二偶力バランサX2は、例えば、β/rの質量で、バランサ軸中心からその重心までの距離がr等に設定されるとともに、ピストン72Lが上死点にあるときに、その重心が、角二等分線DLから下側バランサ軸31の回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、3π/2+θ/2の位置に指向し、クランク軸5と同周期で逆回転するように設定される。
そして、第一慣性力バランサY1と第二慣性力バランサY2とが、平面視で、二等分点P1を中心として対称に位置するように配置される。
また、第一偶力バランサX1と第二偶力バランサX2とが、クランク軸5に平行に延びる軸の同軸上にあり(つまり、下側バランサ軸31上にあり)、当該軸まわりに、180度対称となるように配置される。
さらに、第一偶力バランサX1と第二偶力バランサX2の共通軸(下側バランサ軸31)に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、第一偶力バランサX1の位置までの距離をx、第一偶力バランサX1の位置と第二偶力バランサX2の位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つように設定される。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
以上に記載した第2の実施形態のバランサ装置100’においても、クランク軸回転と同周期で発生する一次振動の起振力を、慣性力成分と偶力成分の二方向に分解し、慣性力バランサ及び偶力バランサを、慣性力成分及び偶力成分と対向するように設定したので、一次振動を低減できる。また、慣性力バランサは慣性力成分と対向してこれを低減する条件を、偶力バランサは偶力成分と対向してこれを低減する条件を充足すれば、各バランサの質量設定や配置を比較的柔軟に行うことができ、各バランサの配置自由度を向上できるので、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
具体的に、このバランサ装置100’はバランサを4つ備えるものの、二つの慣性力バランサを、互いに駆動軸を異ならせて、駆動軸を短くし、これらバランサの駆動軸が内燃機関(クランクケース4)の内部空間を占有しないようにすることができるため、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。また、二つの偶力バランサは、180度対称の関係で偶力成分に対向する力を発生できれば、質量を変更して配置調整が可能であるため、並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
なお、本実施形態では、θが90度であるが、0度<θ<180度の場合であれば、本実施形態と同様に4つのバランサを設定することで、一次振動を好適に低減できる。
また、並列二気筒内燃機関において、図6等で示した左クランクピン5PLと右クランクピン5PRとの位相角が、クランク軸5まわりで、180度<θ<360度であり、4つのバランサを設ける場合は、図9(B)を援用し、下記の慣性力相殺条件及び偶力相殺条件を充足するようにすれば一次振動を好適に低減できる。
(慣性力相殺条件(180度<θ<360度))
(1)BR1は、力の大きさが、mrωcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2の位置で、第一慣性力成分Fy1に対向する力を生じさせる。
(2)BR2は、力の大きさが、mrωcos(θ/2)であり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2の位置で、第二慣性力成分Fy2に対向する力を生じさせる。
(3)BR1及びBR2が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR1及びBR2の力が生じる位置が、平面視で、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、クランク軸5の軸中心に位置する二等分点P1を中心として対称に位置する。
(偶力相殺条件(180度<θ<360度))
(1)BR3は、力の大きさが、αωであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、π/2+θ/2の位置で、第一偶力成分Fx1に対向する力を生じさせる。
(2)BR4は、力の大きさが、βωであり、角二等分線DLからバランサ駆動軸回転方向(クランク軸5の回転方向と逆方向の回転方向)に、θ/2−π/2の位置で、第二偶力成分Fx2に対向する力を生じさせる。
(3)BR3及びBR4が上記のように設定される条件を充足しつつ、BR3及びBR4の力が生じる位置が、クランク軸5に平行な方向に延びる軸において同軸上にあり、当該軸まわりに、力の向きが180度対称となる。なお、同軸の関係は、共通の軸上であっても、それぞれの軸が分離している場合でもよい。
(4)BR3及びBR4の共通軸に、二等分点P1を通るとともにクランク軸5に直交する直線が交わる点P2から、BR3が生じる位置までの距離をx、BR3が生じる位置とBR4が生じる位置間の距離をl、第一気筒#1の中心と第二気筒#2の中心とを結ぶ線分の長さをLとした場合に、α、βとの間に下記の関係が成り立つ。
α=2mrsin(θ/2)×(L/x)−β(l/x−1)
β=2mrsin(θ/2)×(L/(l−x))−α(l/(l−x))
なお、180度<θ<360度であり、3つのバランサを設ける場合は、上記慣性力相殺条件(180度<θ<360度)及び偶力相殺条件(180度<θ<360度)に基づき、第1の実施形態で説明した合成条件、各複合条件と同様の条件を求め、これに基づき各バランサを設定すればよい。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1の実施形態では、合成バランサZ1と、第一慣性力バランサY1と、第一偶力バランサX1とがすべてクランクケース4の外側に配置される例を説明したが、これらのうちの、少なくとも何れかがクランクケース4の内側にあってもよい。
また、第2の実施形態では、第一慣性力バランサY1、第二慣性力バランサY2、第一偶力バランサX1及び第二偶力バランサX2のクランクケース4との関係での位置の説明を省略したが、これらは、クランクケース4の外側に配置されていてもよく、内側に配置されていてもよい。また、第一慣性力バランサY1、第二慣性力バランサY2は、クランクケース4の外側に配置され、クランクケース4と左側クランクケースカバー12又は右側クランクケースカバー13によって支持されてもよい。
また、第1の実施形態では、クランクケース4の右側に合成バランサZ1を配置する例を説明したが、BR1とBR3とを合成させることに基づき、クランクケース4の左側に合成バランサを設けてもよい。そして、クランクケース4の右側には、BR2に基づく第二慣性力バランサY2を配置し、BR4に基づく第二偶力バランサX2を配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、クランク位相角が270度である並列二気筒内燃機関で生じる起振力を低減させるバランサ装置を説明したが、本発明は、クランク位相角が不等間隔の、0度<θ<180度、180度<θ<360度の範囲の並列二気筒内燃機関で有効なものである。具体的には、本発明は、実施形態に係る所謂270度位相クランクの他、315度位相クランク等のものでも有効に起振力を低減させることができ、ひいてはこのような場合の並列二気筒内燃機関の設計自由度を向上できる。
1,1’ 車両用エンジン
2 内燃機関
4 クランクケース
4U 上側半体
4D 下側半体
5 クランク軸
5PL 左クランクピン(第一クランクピン)
5PR 右クランクピン(第二クランクピン)
8 シリンダブロック
12 左側クランクケースカバー(クランクケースカバー)
13 右側クランクケースカバー(クランクケースカバー)
30 左上側バランサ軸(駆動軸)
31 下側バランサ軸(駆動軸)
72L ピストン(第一ピストン)
72R ピストン(第二ピストン)
100,100’ バランサ装置
F1 第一気筒起振力
F2 第二気筒起振力
DL 角二等分線
Y1 第一慣性力バランサ(慣性力バランサ)
Y2 第二慣性力バランサ(慣性力バランサ)
X1 第一偶力バランサ(偶力バランサ)
X2 第二偶力バランサ(偶力バランサ)
Z1 合成バランサ(慣性力バランサ、偶力バランサ)
P1 二等分点
#1 第一気筒
#2 第二気筒
θ 所定の位相角

Claims (12)

  1. 共通のクランク軸(5)に所定の位相角(θ)をもって、第一クランクピン(5PL)及び第二クランクピン(5PR)が設けられ、シリンダブロック(8)に、前記第一クランクピン(5PL)に対応する第一気筒(#1)と、前記第二クランクピン(5PR)に対応する第二気筒(#2)とが形成される並列二気筒内燃機関のバランサ装置であって、
    前記並列二気筒内燃機関において、前記クランク軸(5)が回転する際に生じる、
    前記第一気筒(#1)に収容された第一ピストン(72L)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第一気筒起振力(F1)と、
    前記第二気筒(#2)に収容された第二ピストン(72R)が上死点にある位置を基準として前記クランク軸(5)と同周期で逆回転し、前記クランク軸(5)の径方向外側に向けた力を発生させる第二気筒起振力(F2)と、を低減させるための並列二気筒内燃機関のバランサ装置において、
    前記クランク軸(5)の軸方向視において、前記第一気筒起振力(F1)と前記第二気筒起振力(F2)とがなす角度を二等分する直線を、角二等分線(DL)とし、
    前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と平行な方向に分解した力を、慣性力成分(Fy1,Fy2)とし、
    前記第一気筒起振力(F1)及び前記第二気筒起振力(F2)を、前記角二等分線(DL)と直交する平面と平行な方向に分解した力を、偶力成分(Fx1,Fx2)とし、
    前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)を発生させる慣性力バランサ(Y1,Y2)と、
    前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)を発生させる偶力バランサ(X1,X2)と、を備えることを特徴とする並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  2. 前記慣性力バランサ(Y1,Y2)は、均等のアンバランス量の第一慣性力バランサ(Y1)と第二慣性力バランサ(Y2)とによって構成され、
    前記クランク軸(5)は前記並列二気筒内燃機関の幅方向に沿って配置され、
    前記第一慣性力バランサ(Y1)と前記第二慣性力バランサ(Y2)は、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置され、
    前記偶力バランサ(X1,X2)は、第一偶力バランサ(X1)と第二偶力バランサ(X2)とを同軸上に配置するとともに、当該軸まわりに180度対称とすることで構成されることを特徴とする請求項1に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  3. 第一慣性力バランサ(Y1)、第二慣性力バランサ(Y2)、前記第一偶力バランサ(X1)、及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  4. 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、
    外側に配置される前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの少なくともいずれか一つの駆動軸(30,201)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12,13)とによって支持されることを特徴とする請求項3に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  5. 前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方と、前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方とを合成した力(BRF)を基に合成バランサ(Z1)を構成し、
    前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)と、が、平面視において、前記第一気筒(#1)中心と前記第二気筒(#2)中心とを結ぶ線分を二等分して該線分に直交する平面上で、前記クランク軸(5)の軸中心に位置する二等分点(P1)を中心として対称に配置されることを特徴とする請求項2に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  6. 前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、前記合成バランサ(Z1)とが同軸に配置されることを特徴とする請求項5に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  7. 前記偶力成分(Fx1,Fx2)に対向する力(BR3,BR4)のうちの一方の、その軸方向における位置を予め決定した上で、前記慣性力成分(Fy1,Fy2)に対向する力(BR1,BR2)のうちの一方を合成して、前記合成バランサ(Z1)の前記第一偶力バランサ(Y1)及び前記第二偶力バランサ(Y2)のうちの他方に対する位相を設定したことを特徴とする請求項5又は6に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  8. 前記合成バランサ(Z1)と、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちの少なくともいずれか一つが、クランクケース(4)の外側に配置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  9. 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方が、前記クランクケース(4)の外側に配置され、
    前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランクケース(4)の側面と、前記クランクケース(4)の側面を覆うクランクケースカバー(12)とによって支持されることを特徴とする請求項8に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  10. 前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とが、前記クランクケース(4)の外側に配置され、かつ、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方と、が同軸に配置され、
    前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方とのうちのいずれか一方が、前記合成バランサ(Z1)の駆動軸(31)に一体に形成され、他方が前記駆動軸(31)に別体で締結部材によって固定されることを特徴とする請求項8又は9に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  11. クランクケース(4)が上下分割構造であり、
    前記クランクケース(4)の上側半体(4U)に、前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が配置され、
    前記クランクケース(4)の下側半体(4D)に、前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が配置されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
  12. 前記第一慣性力バランサ(Y1)及び前記第二慣性力バランサ(Y2)のうちの他方の駆動軸(30)が、前記クランク軸(5)よりも後方に配置され、
    前記合成バランサ(Z1)と、前記第一偶力バランサ(X1)及び前記第二偶力バランサ(X2)のうちの他方との駆動軸(31)が、前記クランク軸(5)よりも前方に配置される請求項5〜11のいずれか1項に記載の並列二気筒内燃機関のバランサ装置。
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