JP2015224685A - エンジンの振動抑制機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加を抑えつつ、すりこぎ運動を抑制可能なエンジンの振動抑制機構を提供する。【解決手段】クランク軸11と同じ回転数で、かつ逆方向に回転する回転軸16a、16bをそれぞれ有し、クランク軸11の回転に伴って駆動されるオルタネータ3及びコンプレッサ4を備えたエンジン2に適用される振動抑制機構1であって、オルタネータ3及びコンプレッサ4は、エンジン2の複数の気筒2aを挟んで互いに対向するように設けられ、オルタネータ3及びコンプレッサ4のそれぞれの回転軸16a、16bには、複数の気筒2aの配置に応じて配置され、回転軸16a、16bに対して偏心する偏心マス18a、18bが設けられている。【選択図】図3
Description
本発明は、すりこぎ運動が発生する直列3気筒やV型6気筒のエンジンに適用される振動抑制機構に関する。
直列3気筒エンジンのクランクシャフトで発生するすりこぎ運動を抑制するため、クランクシャフトと等速かつ逆回転するバランスシャフトを搭載したエンジンが知られている。(特許文献1参照)。第1気筒及び第3気筒に対応するバランスシャフト上にバランスウェイトを設けることで、クランクウェイトにより生じる慣性偶力が打ち消され、すりこぎ運動を抑制している。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
すりこぎ運動抑制のためにバランスシャフトを別途設けると、部品点数が増加する。また、製造コストの上昇の原因にもなる。
そこで、本発明は部品点数の増加を抑えつつ、すりこぎ運動を抑制可能なエンジンの振動抑制機構を提供することを目的とする。
本発明のエンジンの振動抑制機構は、クランク軸と同じ回転数で、かつ逆方向に回転する回転軸をそれぞれ有し、前記クランク軸の回転に伴って駆動される第1補機及び第2補機を備えたエンジンに適用される振動抑制機構であって、前記第1補機及び第2補機は、前記エンジンの複数の気筒を挟んで互いに対向するように設けられ、前記第1補機及び第2補機のそれぞれの回転軸には、前記複数の気筒の配置に応じて配置され、当該回転軸に対して偏心する偏心マスが設けられているものである(請求項1)。
本発明によれば、気筒を挟んで互いに対向するように設けられた第1補機及び第2補機のそれぞれの偏心マスの回転により、クランク軸に生じるすりこぎ運動による振動を抑制する。したがって、追加の部品を必要とすることなくすりこぎ運動が抑制でき、製造コストの上昇や車両の質量増加を防止できる。また、質量が増加しないため、燃費が向上する。
図1は本発明の一形態に係るエンジンの振動抑制機構の上面からみた配置を示す模式図、図2はそのフロント側の側面からみた配置を示す模式図である。振動抑制機構1は、一例として、直列3気筒の4サイクルエンジン(以下、エンジンと称する。)2に搭載される。エンジン2には、一列に並ぶ3つの気筒2aが設けられている。なお、説明の便宜上、各気筒2aにはフロント側から順に♯1〜♯3の気筒番号を付し(図1参照)、互いに区別する。エンジン2は、各気筒2aの爆発間隔が240°CA(クランク角を意味する。)ずつずらされることにより、240°CA毎の等間隔爆発が実現されている。各気筒2aは、♯1、♯2、♯3の順に爆発する。
エンジン2の一端側の側面には第1補機としてのオルタネータ3が、エンジン2の他端側の側面には第2補機としてのコンプレッサ4が、それぞれ設けられている。一例として、フロント側側面にオルタネータ3が、リア側側面にコンプレッサ4が、それぞれ設けられている形態で説明する。オルタネータ3は、エンジン2を動力源として利用する発電機である。また、コンプレッサ4は、エアコンディショナー用のエアコンプレッサである。オルタネータ3及びコンプレッサ4は、周知技術を利用してよい。
図3は、エンジン2の振動抑制機構1を説明する模式図である。エンジン2のクランク軸11には、Y軸方向に並ぶ4つのクランクジャーナル21と、クランクジャーナル21の間に位置する3つのクランクピン22と、クランクジャーナル21とクランクピン22とを連結するクランクアーム23と、クランクアーム23からクランクピン22の反対側に伸びるクランクウェイト24とが設けられている。各クランクピン22は、Y軸周りに120°ずつずらして設けられている。
振動抑制機構1には、オルタネータ3及びコンプレッサ4が含まれる。クランク軸11に固定されたギア11aと、クランクプーリー12aとの間には、チェーン13aが巻きかけられて動力が伝達される。さらに、クランクプーリー12aの回転軸14aに固定されたギア15aと、オルタネータ3の回転軸16aに固定されたギア17aとがかみ合い、クランク軸11からオルタネータ3に動力が伝達される。コンプレッサ4にも同様にして、クランク軸11に固定されたギア11bとクランクプーリー12bとの間にチェーン13bが巻きかけられ、クランクプーリー12bの回転軸14bに固定されたギア15bと、コンプレッサ4の回転軸16bに固定されたギア17bとがかみ合い、クランク軸11からコンプレッサ4に動力が伝達される。これにより、オルタネータ3及びコンプレッサ4は、クランク軸11と同じ回転数で、かつクランク軸11の回転とは逆方向に回転する。
また、振動抑制機構1には、クランク軸11と同じ回転数でかつ逆方向に回転する偏心マス18a、18bが、オルタネータ3及びコンプレッサ4に対してそれぞれ着脱可能に設けられている。偏心マス18a、18bは、オルタネータ3の回転軸16aに対して偏心するおもりである。例えば、偏心マス18a、18bは、電磁クラッチ等の周知技術を利用して着脱可能に構成される。オルタネータ3の偏心マス18aは、♯1の気筒2aのクランクウェイト24に対して所定角度位相をずらして配置される。コンプレッサ4も同様、偏心マス18bは、♯3の気筒2aのクランクウェイト24に対して所定角度位相をずらして配置される。オルタネータ3、コンプレッサ4及び各偏心マス18a、18bは、クランク軸11の軸線方向と回転軸16a、16bが平行で、かつエンジン2の気筒2aを挟んで互いに対向するように設けられている。
エンジン2及び偏心マス18a、18bは、エンジンコントロールユニット(ECU)31にて制御される。ECU31は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットとして構成されている。
図4は、エンジン2で発生するすりこぎ運動を説明する図である。直列3気筒のエンジン2では、3つの気筒2aの各クランクピン22が120°ずつずらして設けられているため、クランク軸11が回転したときにクランクピン22に生じる力のZ軸成分がアンバランスとなり、ピッチ振動が発生する。このピッチ振動は、クランクウェイト24が設けられることにより、クランクウェイト24に生じる力のZ軸成分と相殺し低減されるものの依然として生じ、また、クランクウェイト24によってX軸成分の力も生じる。このX軸成分の力は、力がそれぞれ生じる♯1の気筒2aと♯3の気筒2aとで互いに逆方向に作用するため、クランク軸11にX軸方向の偶力が発生し、エンジン2にヨー振動が発生する。このヨー振動とピッチ振動とが発生すると、エンジン2にすりこぎ運動が生じ、エンジン2及び動力分割機構5が振動する。なお、このようなすりこぎ運動は、気筒2aの並びの中心から前後対称に配置できない気筒(例えば、直列3気筒、直列5気筒、V型6気筒等)を有するエンジンで発生する。
振動抑制機構1の作用を説明する。オルタネータ3及びコンプレッサ4にそれぞれ設けられた偏心マス18a、18bがエンジン2で生じたすりこぎ運動によるピッチ振動及びヨー振動を打ち消す。図5はエンジン2に発生するピッチ振動のモーメントの一例を示すグラフ、図6はエンジン2に発生するヨー振動のモーメントの一例を示すグラフである。なお、図5及び図6において、実線はクランク軸11に生じるモーメント、破線はオルタネータ3及びコンプレッサ4に生じるモーメントをそれぞれ示している。偏心マス18a、18bの回転により生じるモーメントは、クランク軸11に生じたモーメントを打ち消すように逆位相で生じている。このことから、すりこぎ運動が抑制されていることがわかる。また、オルタネータ3とコンプレッサ4とが気筒2aを挟んで対向するように設けられているため、片側のみに集約されている場合に比べて効果的に振動を抑制できる。したがって、バランスシャフトのような追加の部品を必要とすることなくすりこぎ運動が抑制でき、製造コストの上昇や車両の質量増加を防止できる。また、質量が増加しないため、燃費が向上する。
図7は、ECU31が実行する振動抑制処理を示すフローチャートである。振動抑制処理は、各偏心マス18a、18bをエンジン2の回転数に応じてオルタネータ3及びコンプレッサ4から切り離す制御をする処理である。ECU31は、エンジン2の回転数がすりこぎ運動の影響が小さい範囲内にあるか否かを判別する(ステップS1)。すりこぎ運動で生じるピッチ振動のモーメントMXは、
MX=−√3×1/2×smrecrω2cos(ωt+π/6)
であり、ヨー振動のモーメントMZは、
MZ=−√3×1/2×smrecrω2sin(ωt+π/6)
である。ここで、sは各気筒2a間の間隔、mrecは気筒2aのピストン及びコンロッドの質量、rはクランクアーム23の長さ、ωはクランク角速度である。各モーメントMX、MZは、クランクウェイト24や偏心マス18a、18bで打ち消し可能な成分であり、回転数に依存する。エンジン2の回転数が、すりこぎ運動の影響が大きい回転数域にある場合、ECU31は、各偏心マス18a、18bを接続したままで今回の処理を終了する。
MX=−√3×1/2×smrecrω2cos(ωt+π/6)
であり、ヨー振動のモーメントMZは、
MZ=−√3×1/2×smrecrω2sin(ωt+π/6)
である。ここで、sは各気筒2a間の間隔、mrecは気筒2aのピストン及びコンロッドの質量、rはクランクアーム23の長さ、ωはクランク角速度である。各モーメントMX、MZは、クランクウェイト24や偏心マス18a、18bで打ち消し可能な成分であり、回転数に依存する。エンジン2の回転数が、すりこぎ運動の影響が大きい回転数域にある場合、ECU31は、各偏心マス18a、18bを接続したままで今回の処理を終了する。
一方、エンジン2の回転数が、すりこぎ運動の影響が小さい回転数域にある場合、ECU31は、オルタネータ3の偏心マス18aを切り離すための切離し条件が成立しているか否かを判別する(ステップS2)。切離し条件として例えば、ユーザ要求や温度条件等があり、ユーザの要求によっては偏心マス18aを切り離せないことがある。オルタネータ3の偏心マス18aを切り離すことができる場合、ECU31は、コンプレッサ4の偏心マス18bを切り離すための切離し条件が成立しているか否かを判別する(ステップS3)。切離し条件は、ステップS2と同様である。コンプレッサ4の偏心マス18bを切り離すことができる場合、ECU31は、全ての偏心マス18a、18bを切り離し(ステップS4)、今回の処理を終了する。
上述の処理によれば、エンジン2の回転数がすりこぎ運動への影響が少ない回転数域である場合で(ステップS1)、オルタネータ3及びコンプレッサ4の各偏心マス18a、18bのいずれもが切離し条件を満たす場合に(ステップS2、ステップS3)、全ての偏心マス18a、18bは切り離される(ステップS4)。したがって、偏心マス18a、18bが接続されているときは、すりこぎ運動による振動を低減することができ、一方、すりこぎ運動の影響が少ない場合には、偏心マス18a、18bを切り離すことでフリクションが低減され、燃費を向上できる。また、オルタネータ3及びコンプレッサ4のいずれかが切り離せない場合には、全ての偏心マス18a、18bを切り離さない。これにより、偏心マス18a、18bのうちいずれか一方のみが接続されることによるすりこぎ運動の助長を防止することができる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、直列3気筒のエンジン2で説明したが、これに限られない。例えば、V型6気筒のエンジンに対しても本発明を適用できる。本発明は、すりこぎ運動による振動を抑制するものであり、すりこぎ運動が発生するエンジン、つまり、気筒2aの並びの中心から前後対称に配置できない気筒(例えば、直列3気筒、直列5気筒、V型6気筒等)を有するエンジンに適用が可能である。この場合、気筒の配置(気筒の個数、クランク角、並び等)に応じて偏心マス18a、18bの各位相を決定すればよい。また、上述した形態では、エンジン2のフロント側側面にオルタネータ3、リア側側面にコンプレッサ4を設けた例で説明したがこれに限られない。気筒2aを挟んで互いに対向するように設けられていればよく、補機の種類に限られない。また、図7の処理において、ステップS2及びS3の処理を省略してもよい。エンジン2の回転数がすりこぎ運動の影響が少ない回転数域にあれば全ての偏心マス18a、18bを切り離して、フリクションの低減及び燃費向上を実現させてもよい。エンジン補機として、オルタネータ3及びコンプレッサ4で説明したがこれに限られない。例えば、補機として、他のエンジン補機(一例として、冷却水ポンプ等)を利用してもよい。
1 振動抑制機構
2 エンジン
2a 気筒
3 オルタネータ(第1補機)
4 コンプレッサ(第2補機)
11 クランク軸
16a、16b 回転軸
18a、18b 偏心マス
2 エンジン
2a 気筒
3 オルタネータ(第1補機)
4 コンプレッサ(第2補機)
11 クランク軸
16a、16b 回転軸
18a、18b 偏心マス
Claims (1)
- クランク軸と同じ回転数で、かつ逆方向に回転する回転軸をそれぞれ有し、前記クランク軸の回転に伴って駆動される第1補機及び第2補機を備えたエンジンに適用される振動抑制機構であって、
前記第1補機及び第2補機は、前記エンジンの複数の気筒を挟んで互いに対向するように設けられ、
前記第1補機及び第2補機のそれぞれの回転軸には、前記複数の気筒の配置に応じて配置され、当該回転軸に対して偏心する偏心マスが設けられている、エンジンの振動抑制機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014108879A JP2015224685A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | エンジンの振動抑制機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014108879A JP2015224685A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | エンジンの振動抑制機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015224685A true JP2015224685A (ja) | 2015-12-14 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014108879A Pending JP2015224685A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | エンジンの振動抑制機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
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2014
- 2014-05-27 JP JP2014108879A patent/JP2015224685A/ja active Pending
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