JP2019173717A - 内燃機関用の機械式過給機 - Google Patents
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Abstract
【課題】重量増大やバランサ装置を追加することによる新たなメカロスを発生させることなく、過給機能を備えた内燃機関の慣性運動に起因した振動を抑制する。【解決手段】過給機としてルーツ式過給機1を採用し、ロータ4,5に、内燃機関の慣性運動を打ち消すように作用する中実部(ウェイト部)27を形成する。2気筒内燃機関の場合は、内燃機関に偶力運動M3は発生せずに直線運動とM1と回転運動M2とが発生する。そこで、ピストン13が上死点にあるときに主動ロータ4が上下長手の姿勢にあるとの前提において、主動ロータ4の下端部(D部とH部)に、抜き穴になっていない中実部(ウェイト部)27を形成して錘としている。中実部(ウェイト部)27がクランク軸19の回転方向と逆方向に回転することにより、内燃機関の回転運動M2を抑制できると共に、中実部(ウェイト部)27がピストン13と逆の動きをすることにより、直線運動M1を抑制できる。【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関用の機械式過給機に関するものである。或いは、機械式過給機を利用したバランサ装置に関するということも可能である。
ピストンの往復動をクランク軸の回転に変換するレシプロ式の内燃機関では、クランク軸にカウンターウェイトを設けて慣性力の消去を図っているが、ピストンとクランク軸の動きに起因した内燃機関の慣性運動の発生は避け難く、この慣性運動は、気筒数やクランクアームの配置などによって様々な態様で現れている。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、内燃機関の慣性運動と逆の動きをするバランサ装置を設けることにより、内燃機関の振動を抑制することが提案されている。
特許文献1の構成では、振動の抑制には効果的と云えるが、大きな部材を専用品として特別に設けなければならないため、内燃機関の大型化やコストアップは避けられない。また、バランサを駆動することに専用の動力が費やされるため、バランサに起因したメカロスが発生して燃費の低下も不可避となる。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は、内燃機関において機械式過給機が使用されていることに着目して、この機械式過給機をバランサ装置に兼用するものである。すなわち、本願発明の、機械式過給機は、
「クランク軸と同一回転数又は倍速で回転する主動ロータ及び従動ロータを備えており、
前記主動ロータ又は従動ロータ若しくは両方に、ピストン及びクランク軸の慣性運動を打ち消すように作用するアンバランス化手段を設けている、」
という構成になっている。
「クランク軸と同一回転数又は倍速で回転する主動ロータ及び従動ロータを備えており、
前記主動ロータ又は従動ロータ若しくは両方に、ピストン及びクランク軸の慣性運動を打ち消すように作用するアンバランス化手段を設けている、」
という構成になっている。
既述のとおり、内燃機関の慣性運動は、気筒数やクランクアームの配置などによって様々な態様で現れるので、アンバランス化手段をロータにどのような態様で具体化するかは、気筒数やクランクアームの姿勢などに応じて選択したらよい。
アンバランス化手段としては、ロータの軽量化のために肉抜き穴が形成されている場合は、肉抜き穴となる部分に中実部(ウェイト部)を部分的に残す構造を採用できる。また、更なる軽量化を目的にロータを樹脂化するような場合は、鉄のように比重が大きい金属をウェイト部として採用して、これをロータの一部に埋設してもよい。
機械式過給機の例としてルーツ式過給機があり、このルーツ式過給機のロータとしては2葉式や人字形の3葉式等があるが、いずれにしても、回転軸心から放射方向に突出した部分を有しており、突出部の一部にアンバランスを発生させることにより、重心を偏心させることができる。この場合、2葉式のロータであると、軸心を挟んだ2つの突出部のうち一方にウェイト部を設けることと、軸心方向に向いて前後両側のうちいずれか一方又は両方にウェイト部を設けこととを組み合わせることにより、様々なアンバランス態様を実現できる。
また、主動ロータと従動ロータとの2つのロータのうち一方のみにアンバランス化手段を設けることと、2つのロータにアンバランス化手段を設けることとを選択することによっても、ロータの群の全体としての偏心態様を変えることができる。従って、内燃機関の慣性運動に対応して、アンバランス化手段の配置態様を選択することにより、内燃機関の慣性力を消去又は低減させることができる。すなわち、機械式過給機のロータに、慣性力を打ち消す逆振動を発生させることにより、内燃機関の慣性力を消去又は低減させることができる。
機械式過給機としては、ルーツ式の他にリショルム式なども使用できるが、この場合も、ロータに抜き穴を形成するにおいて中実部を部分的に残したり、中実部の位置を変えるなどのアンバランス化手段を講じたらよい。
そして、本願発明は、内燃機関の構成要素である過給機として機械式過給機を選択して、増速比を1もしくは2で回すことにより、機械式過給機をバランサ装置として利用するものである。このため、過給機能を備えた内燃機関において、専用バランサ装置を追加する場合に比べて燃費低下(新たなメカロスの発生)の問題を防止又は低減しつつ、振動を抑制することが可能になる。
なお、内燃機関の振動として、クランク軸の回転数と同じサイクルで現れる一次振動と、クランク軸の回転数の2倍のサイクルで現れる二次振動とが発生しているが、本願発明では、増速比を2に設定することにより、ロータに、クランク軸の回転数の2倍の逆振動を発生させることも可能であり、これにより、内燃機関の二次振動の抑制にも貢献できる。
(1).ルーツ式過給機の構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は自動車用内燃機関に適用している。なお、以下では方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、内燃機関に使用されている一般的な方向にならって、クランク軸線方向を前後方向、クランク軸線と気筒軸線とに直交した方向を左右方向としている。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は自動車用内燃機関に適用している。なお、以下では方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、内燃機関に使用されている一般的な方向にならって、クランク軸線方向を前後方向、クランク軸線と気筒軸線とに直交した方向を左右方向としている。
まず、図1に基づいてルーツ式過給機1の基本構造を説明する。ルーツ式過給機1の基本構造は従来から知られたとおりであり、正面視小判型の本体ケース2と、これを塞ぐ前後の蓋3と、2葉式の主動ロータ4及び従動ロータ5とを備えている。本実施形態では、主動ロータ4が上に位置して従動ロータ5が下に位置するように配置されているが、上下逆の配置であってもよい。
主動ロータ4には駆動軸(入力軸)6が固定されており、従動ロータ5には従動軸7が固定されている。両軸6,7は蓋3によって回転自在に保持されており、本体ケース2の外に位置した部位には、互いに噛合するギア(図示せず)が固定されている。従って、両ロータ4,5は、反対方向に同じ回転数で回転する。
本体ケース2には、吸気流入口9と吐出口と10とが形成されており、吸気は、ロータ4,5の回転に伴い、吸気流入口9から吸引されて吸気吐出口10から加圧されて排出される。
両ロータ4,5の一般的な態様では、軽量化のために、回転軸心を挟んだ両側に、抜き穴4a,4b,5a,5bが全長に貫通するように形成される。そして、本実施形態では、個々の抜き穴4a,4b,5a,5bについて、その全長の全体又は一部を中実のままに残すことにより、中実部をウェイト部(錘部)として、アンバランス化している。中実部として残される部分、すなわち、中実許容部(ウェイト許容部)は、各抜き穴4a,4b,5a,5bにおいて前半部と後半部とに分かれている。従って、合計で8箇所の中実許容部A〜Hが存在している。
これら8箇所の中実許容部A〜Hを、便宜的に次のように呼ぶこととする。すなわち、図1(C)に示すように、主動ロータ4と従動ロータ5とが逆T型になっている姿勢を基準姿勢として、従動ロータ5のうち軸心を挟んで一方で且つ前部に位置した部分をA部、従動ロータ5のうち軸心を挟んで他方で且つ前部に位置した部分をB部、主動ロータ4のうち軸心を挟んで一方で且つ前部に位置した部分をC部、主動ロータ4のうち軸心を挟んで他方で且つ前部に位置した部分をD部、従動ロータ5のうち軸心を挟んで一方で且つ後部に位置した部分をE部、従動ロータ5のうち軸心を挟んで他方で且つ後部に位置した部分をF部、主動ロータ4のうち軸心を挟んで他方で且つ後部に位置した部分をG部、主動ロータ4のうち軸心を挟んで他方で且つ後部に位置した部分をH部と呼ぶこととする。
従って、基準姿勢では、主動ロータ4においては、C部とG部とが上に位置してD部とH部とが下に位置した姿勢で、従動ロータ5においては、A部とE部とが吸引側に位置してB部とF部とが排出側に位置した姿勢となるように設定されている。
(2).2気筒内燃機関への適用配置
図2〜4において、内燃機関への適用例を示している。図2では、2気筒の内燃機関に適用した例を表示している。
図2〜4において、内燃機関への適用例を示している。図2では、2気筒の内燃機関に適用した例を表示している。
内燃機関の構造は従来と同様であり、2つの気筒12及びピストン13を有するシリンダブロック14、シリンダブロック14の上面に固定されたシリンダヘッド15、シリンダヘッド15の上面に固定されたヘッドカバー16、シリンダブロック14の下面に固定されたオイルパン17、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15の前面に固定されたフロントカバー(チェーンケース)18を備えている。内燃機関は、複数箇所(例えば3か所)が、マウントを介して自動車の車体に支持されている。
シリンダブロック14には、クランクキャップを介してクランク軸19が回転自在に保持されており、クランク軸19のクランクピンとピストン13とはコンロッド20で連結されている。また、クランク軸19には、クランクアームと反対側に向いたカウンターウェイト21を設けている。内燃機関は4サイクルであり、2つのピストン13は行程の位相が360度ずれている。従って、2つのピストン13は、気筒12を同じタイミングで上下動する。
クランク軸19の前端部はフロントカバー18を貫通しており、この露出した前端部に、オルタネータ等の補機22を駆動する補機駆動プーリ23が固定されている。補機22は1つしか表示していないが、複数あることが多い。クランク軸19の後端には、スタータで駆動されるリングギア24が固定されている。また、シリンダブロック14の後端にはミッション25を固定している。
そして、シリンダブロック14の一長手側面のうち重心26の真横部位に、図1に示したルーツ式過給機1を、駆動軸6及び従動軸7がクランク軸19と平行な姿勢となるように、受け座8を介して固定している。ルーツ式過給機1の駆動軸6には、図示しないギア伝動機構によってクランク軸19から動力が伝達されるが、駆動軸6は、クランク軸19と同じ回転数で逆方向に回転するように設定されている。
(3).2気筒内燃機関でのアンバランス化構造
さて、レシプロ式内燃機関では、ピストン13の往復動をクランク軸19で回転に変換するという性質上、振動が発生することは不可避であるが、この振動は、基本的には、ピストン13の慣性力による上下方向の直線運動(直線振動)M1(図2(B)参照)と、クランク軸19の重心の変位に起因した慣性力により生じるところの、クランク軸19の軸心回りに回転しようとする回転運動(回転振動)M2(図2(B)参照)、及び、前後に並んだピストン13の不均一な動きによって生じるところの、重心26を支点にして前後両端が逆方向に上下動するシーソー状の偶力運動(1次偶力)M3とに分類できる(実際には、コンロッド20の動きも慣性力に影響するが、説明の簡略化のために捨象している。)。
さて、レシプロ式内燃機関では、ピストン13の往復動をクランク軸19で回転に変換するという性質上、振動が発生することは不可避であるが、この振動は、基本的には、ピストン13の慣性力による上下方向の直線運動(直線振動)M1(図2(B)参照)と、クランク軸19の重心の変位に起因した慣性力により生じるところの、クランク軸19の軸心回りに回転しようとする回転運動(回転振動)M2(図2(B)参照)、及び、前後に並んだピストン13の不均一な動きによって生じるところの、重心26を支点にして前後両端が逆方向に上下動するシーソー状の偶力運動(1次偶力)M3とに分類できる(実際には、コンロッド20の動きも慣性力に影響するが、説明の簡略化のために捨象している。)。
そして、2気筒内燃機関では、2つのピストン13が一緒に上下動することにより、上下方向の直線運動M1が発生する。また、クランク軸19については、2つのカウンターウェイト21が同じ方向に一緒に回転するため、回転運動(円運動・回転振動))M2も発生する。他方、2つのピストン13が同時に上下動するため、重心26を挟んだ前後両側において上下方向の運動量の差(モーメント)が発生することはない。従って、2気筒内燃機関では、基本的には偶力運動M3は発生しない。
従って、2気筒内燃機関では、上下方向の直線運動M1とクランク軸心回りの回転運動M2とを抑制又は消去するように、バランサ機構を設けたらよい。そこで、本実施形態では、ピストン13が上死点にあるときにルーツ式過給機1の主動ロータ4のC部とG部とが上に位置していることを前提にして、ルーツ式過給機1の主動ロータ4のD部とH部とを、抜き穴4bが空いていない中実部(ウェイト部)27と成している(実施形態では、中実部(ウェイト部)27を平行斜線で表示している。)。
このように構成すると、ルーツ式過給機1においては、主動ロータ4がクランク軸19と逆方向に回転することにより、中実部(ウェイト部)27がクランク軸19の回転の慣性力を打ち消すように作用するため、クランク軸19の回転に内燃機関の回転運動(回転振動)M2を抑制又は消去できる。また、中実部(ウェイト部)27がピストン13と逆位相で上下動するため、ピストン13の慣性力を抑制する作用が生じて、直線運動M1を抑制又は消去できる。
本実施形態では、両ピストン13が上死点に位置しているときに、主動ロータ4のC部とG部とが真上に位置していることを前提にしているが、両ピストン13が上死点に位置しているときに、主動ロータ4のD部とH部とが真上に位置している場合は、中実部(ウェイト部)27はC部とG部とに設けたらよい。
また、チェーン駆動などで、主動ロータ4がクランク軸19に対して正転して従動ロータ5がクランク軸19に対して逆転する場合は、両ピストン13が上死点に位置しているときに、従動ロータ5が上下長手の姿勢になるように設定して、下上部に位置した部位に中実部(ウェイト部)27を設けたらよい。
直線運動M1と回転運動M2との抑制効果は、ロータ4,5の中実部27が回転中心(或いは本体ケース2の中心線)から放射方向に遠ざかるほど大きくなる。すなわち、ロータ4,5の幅寸法(或いは本体ケース2の幅寸法)が大きくなるほど、直線運動M1と回転運動M2との抑制効果は高くなる。従って、ロータ4,5の幅寸法は、機関に必要な過給能力を確保しつつ、振動抑制効果を確保できる寸法に設定したらよい。
他方、偶力運動M3の抑制効果は、ロータ4,5の長さ(或いは本体ケース2の長さ)が長くなるほど高くなる。従って、ロータ4,5の長さは、偶力運動が生じる場合に、これを大幅に抑制できるような長さに設定する必要がある。偶力運動M3の抑制を考慮したルーツ式過給機1の幅寸法と長さとの比率は、概ね図1(C)に示す程度の比率がよいといえる。図2の例でも図1(C)と同様の比率になっているが、紙面のスペ―スの関係から、図2(C)では長さを短く表示している。この点は、図3(C)及び図4(C)も同様である。偶力運動M3が生じない場合は、長さには任意に設定できる。
(4).3気筒内燃機関でのアンバランス化構造
図3では、3気筒内燃機関に適用した例を示している。ルーツ式過給機1は、図2と同様に、シリンダブロックの長手側面に固定している。3気筒内燃機関では、クランクアーム及びカウンターウェイト21は、クランク軸19の軸心回りに120度間隔で姿勢を変えて配置されており、各気筒の行程は、240度ずつ位相がずれている。このような構成により、1次偶力M3が残り、慣性力M1,M2は小さい。
図3では、3気筒内燃機関に適用した例を示している。ルーツ式過給機1は、図2と同様に、シリンダブロックの長手側面に固定している。3気筒内燃機関では、クランクアーム及びカウンターウェイト21は、クランク軸19の軸心回りに120度間隔で姿勢を変えて配置されており、各気筒の行程は、240度ずつ位相がずれている。このような構成により、1次偶力M3が残り、慣性力M1,M2は小さい。
従って、3気筒内燃機関では、バランサ装置は、1次偶力M3を抑制又は消去するように機能させる必要がある。
そこで、本実施形態では、主動ロータ4のD部とG部、及び、従動ロータ5のB部とE部とに中実部(ウェイト部)27を形成している(従って、この実施形態では、各抜き穴4a,4b,5a,5bはそれぞれ部分的にしか空いていない。)。このように構成すると、まず、重心26を挟んだ両側で、中実部(ウェイト部)27が内燃機関の上下動に対して逆の動きをすることにより、偶力運動(1次偶力)M3が抑制される。従って、レシプロ機構に起因した内燃機関の慣性運動(振動)を、ルーツ式過給機1によって大きく抑制できる。
この実施形態では、ルーツ式過給機1は、その長手軸線(小判形の長手軸線)28は、気筒軸線29に対して、上に行くに従ってシリンダブロック14から離れるようにθの角度(45度)傾斜させている。吸気流入口9が下向きになるように傾斜させているが、逆向きの傾斜であってもよい(ただし、この場合は中実部(ウェイト部)27を設ける位置も変更する必要がある。)。
実施形態のようにルーツ式過給機1を傾斜させると、ルーツ式過給機1の主動ロータ4と従動ロータ5とが90°の位相ずれを持つことにより、慣性力の合成作用ベクトル方向が偶力運動M3の方向と打消し合うように作用する。従って、振動の抑制に大きく貢献できる。
図示の例では、ルーツ式過給機1はシリンダブロック14の一方の長手側面に固定されており、前後方向の位置は、過給機1の重心が第2気筒の軸心の真横に位置している。別の実施形態として、ルーツ式過給機1をクランク軸19の後方に配置して、主動ロータ4のC部及びG部、従動ロータ5のA部およびE部を中実部(ウェイト部)27とすることが可能であり、この場合も同様の効果を得ることができる。
(5).4気筒内燃機関でのアンバランス化構造
図4では、4気筒内燃機関に適用した例を示している。4気筒内燃機関では、各気筒において行程が180度ずつずれている。従って、1番と4番の気筒12のピストン13が一緒に上下動し、2番と3番の気筒12のピストン13が一緒に上下動するが、ピストンスピードの変化が正確な正弦波運動とならないため、2次の直線運動M1が残る。
図4では、4気筒内燃機関に適用した例を示している。4気筒内燃機関では、各気筒において行程が180度ずつずれている。従って、1番と4番の気筒12のピストン13が一緒に上下動し、2番と3番の気筒12のピストン13が一緒に上下動するが、ピストンスピードの変化が正確な正弦波運動とならないため、2次の直線運動M1が残る。
このような特性により、4気筒内燃機関では、基本的には、1次の直線運動M1、回転運動M2と偶力運動M3は発生せずに、2次の直線運動M1が発生する。そこで、ルーツ式過給機1をクランク軸19の回転の2倍速で駆動し、主動ロータ4のD部及びH部と、従動ロータ5のB部及びF部とを中実部(ウェイト部)27と成している。ルーツ式過給機1はヘッドカバー16の上面に固定されており、ルーツ式過給機1の重心は機関の重心26の真上に位置している。
この実施形態では、ルーツ式過給機1は、重心26を挟んだ両側で、中実部27が内燃機関の2次の直線運動M1に対して逆の動きをすることにより、振動を抑制することが出来る。また、この実施形態では、クランク軸心方向から見て、ルーツ式過給機1は、気筒軸線29の延長線上でかつヘッドカバー16の直上に位置しており、本体ケース2の軸心28は、上に行くに従ってクランク軸19の回転方向にずれるように、気筒軸線29に対してθの角度(45度)で傾斜させることにより、振動ベクトル方向を2次の直線運動M1を打消す方向に合致させている。別の実施形態としては、気筒軸線29の軸上のオイルパン直下に搭載しても良い。
(6).その他
以上のとおり、本願発明では、ロータ4,5に中実部27を形成する位置を選択することにより、内燃機関の様々な振動の抑制に貢献できる。従って、図示した実施形態の他にも、内燃機関の振動態様に応じて中実部27の配置を選択することにより、様々な態様の内燃機関に対応できる。
以上のとおり、本願発明では、ロータ4,5に中実部27を形成する位置を選択することにより、内燃機関の様々な振動の抑制に貢献できる。従って、図示した実施形態の他にも、内燃機関の振動態様に応じて中実部27の配置を選択することにより、様々な態様の内燃機関に対応できる。
機械式過給機としてルーツ式過給機を使用する場合、2葉式には限らず、3葉式や4葉式なども採用可能である。また、逆回転するロータにアンバランスを与えられる機械式過給機であればルーツ式に限定されることもない。
本願発明は、内燃機関のルーツ式過給機に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 ルーツ式過給機
2 本体ケース
4 主動ロータ
5 従動ロータ
6 駆動軸
7 従動軸
9 吸気流入口
10 吸気吐出口
12 気筒
13 ピストン
14 シリンダブロック
15 シリンダヘッド
16 ヘッドカバー
19 クランク軸
26 クランク軸線方向の重心
27 アンバランス化手段の例としての中実部(ウェイト部)
A〜H 中実許容部
2 本体ケース
4 主動ロータ
5 従動ロータ
6 駆動軸
7 従動軸
9 吸気流入口
10 吸気吐出口
12 気筒
13 ピストン
14 シリンダブロック
15 シリンダヘッド
16 ヘッドカバー
19 クランク軸
26 クランク軸線方向の重心
27 アンバランス化手段の例としての中実部(ウェイト部)
A〜H 中実許容部
Claims (1)
- クランク軸と同一回転数又は倍速で回転する主動ロータ及び従動ロータを備えており、
前記主動ロータ又は従動ロータ若しくは両方に、ピストン及びクランク軸の慣性運動を打ち消すように作用するアンバランス化手段を設けている、
内燃機関用の機械式過給機。
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JP2018065434A JP2019173717A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 内燃機関用の機械式過給機 |
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