しかしながら、上記特許文献1の構造によれば、プラテンの開口内にインク吸収体を配置したとき、このインク吸収体の上面が通過する記録媒体と接触しないようにするため、インク吸収体の上面が波状のリブの上端面より上に突出しないように配置する必要がある。そのためには、インク吸収体の寸法形状を、厳密に管理して、プラテンの開口内に挿入する必要があり、インク吸収体の組み込み作業などに手間が掛かる。
また、インク吸収体によるインク収容能力を高めるためにプラテンの開口面積を大きくするには、上流側壁と下流側壁との搬送方向の間の寸法を大きくするしか方策がない。このように上流側壁と下流側壁との搬送方向の間隔が広いと、記録媒体の前端(先端)縁が上流側壁の波状のリブを越えて開口内に位置するときや記録媒体の後端縁が上流側壁の波状のリブを通過した後に開口内に位置するとき、つまり、記録媒体の前端縁や後端縁が、上流側壁もしくは下流側壁の波状のリブにて片持ち梁的に支持されているときに、腰の弱い記録媒体の前端縁や後端縁が垂れ下がりし易くなり、開口内のインク吸収体の上面に接触し易くなり、記録媒体の裏面がインクで汚れ易くなるという問題があった。
更に、縁無し画像記録では、記録媒体の縁の外側に吐出されインクによって、インクミストが発生し、かかるインクミストによって記録媒体が汚染される、特に記録媒体の裏面が汚染されるという問題点があった。特に近年、記録画像の高画質化を追求することによりインク滴が微細化しており、これにより、インクミストがより発生し易い状況となっている。このため、高画質な画像記録を実現しつつ記録媒体への汚染を回避することが困難であるという問題点があった。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであって、記録媒体の表面や裏面を汚すことなく、縁無し画像記録を実行できる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、インクを吐出する記録ヘッドを搭載する移動手段と、その移動手段を前記記録媒体に対して主走査方向に往復動させる駆動手段と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する媒体搬送手段と、前記駆動手段および前記媒体搬送手段を駆動して記録動作を実行する制御手段とを有し、前記記録媒体の縁を含む領域にインクを吐出して余白を生じさせない縁無し記録を実行し得るものであり、前記制御手段は、記録媒体の先端縁を含む領域に対して縁無し記録が行われるに際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ前記移動手段を移動させて前記記録媒体に対する1方向の記録が終了したことを条件として、インクミストを低減させるため、前記移動手段を停止した状態で所定時間待機させた後、前記1方向とは反対の他方向へ前記移動手段を移動させる。
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、記録媒体の先端縁が前記記録ヘッドの最下流位置を越えた位置に搬送された場合、前記所定時間待機させることなく、前記一方向とは反対の他方向へ前記移動手段を移動させる。
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を実行せずに前記移動手段が1方向の移動を終了した場合には、前記移動手段の所定時間の待機を非実行として、前記移動手段を前記他方向へ移動させる。
請求項4記載の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記移動手段が1方向の移動を終了してからの経過時間を計時する計時手段と、前記移動手段を待機させる時間に対応する情報を記憶する時間記憶手段とを備え、前記制御手段は、縁無し記録に際して、前記時間記憶手段に記憶される情報に基づいた時間が前記計時手段により計時されると、前記移動手段を他方向へ移動させる。
請求項5記載の画像形成装置は、請求項4記載の画像形成装置において、前記移動手段を待機させる時間に対応する情報を操作者の入力操作により入力する時間入力手段を備えており、前記時間記憶手段は、その時間入力手段の入力操作により入力された情報を記憶するものである。
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段により実行される前記移動手段の所定時間の待機を、操作者の入力操作に基づいて指示する第1指示手段を備えており、前記制御手段は、その第1指示手段により前記所定時間の待機が指示された場合、縁無し記録に際し、前記移動手段を移動させて前記記録ヘッドによる前記記録媒体に対する1方向の記録が終了すると、前記移動手段を所定時間待機させた後、他方向へ前記移動手段を移動させる一方、前記第1指示手段により前記移動手段の所定時間の待機が指示されなかった場合には、前記所定時間の待機を非実行として、前記移動手段を他方向へ移動させるものである。
請求項7記載の画像形成装置は、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録動作と前記媒体搬送手段による記録媒体の搬送とを交互に実行させると共に、前記移動手段の移動が待機されている間は、前記媒体搬送手段による前記記録媒体の搬送を待機するものである。
請求項8記載の画像形成装置は、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記録媒体に記録する記録データを備えた記録情報を入力する記録情報入力手段を備えており、前記制御手段は、その記録情報入力手段により入力された記録情報が、前記記録データについて縁無し記録を指定する縁無し指定情報を有しているか否かを判断する判断手段を備えており、その判断手段により縁無し指定情報を有していると判断された場合には、縁無し記録に際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ前記移動手段を移動させて前記記録媒体に対する1方向の記録が終了すると、前記移動手段を所定時間待機させた後、他方向へ前記移動手段を移動させる一方、前記判断手段により縁無し指定情報を有していると判断されなかった場合には、前記所定時間の待機を非実行として、前記移動手段を他方向へ移動させるものである。
請求項9記載の画像形成装置は、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、縁無し記録に際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する前記移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ前記移動手段を移動する。
請求項10記載の画像形成装置は、インクを吐出する記録ヘッドを搭載する移動手段と、その移動手段を前記記録媒体に対して主走査方向に往復動させる駆動手段と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する媒体搬送手段と、前記駆動手段および前記媒体搬送手段を駆動して記録動作を実行する制御手段とを有し、前記記録媒体の縁を含む領域にインクを吐出して余白を生じさせない縁無し記録を実行し得るものであり、前記制御手段は、記録媒体の先端縁を含む領域に対して縁無し記録が行われるに際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する前記移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で前記1方向とは反対の他方向へ前記記録ヘッドによる記録を実行させずに前記移動手段を移動させる。
請求項11記載の画像形成装置は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、記録媒体の先端縁が前記記録ヘッドの最下流位置を越えた位置に搬送された場合、前記1方向に移動する移動手段の移動速度と略同一で前記1方向とは反対の他方向へ移動手段を移動させる。
請求項12記載の画像形成装置は、請求項9から11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記移動手段を1方向に移動させる場合と他方向へ移動させる場合との両方において前記記録ヘッドによる記録を実行する場合には、前記移動手段を前記1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とを略同一とする。
請求項13記載の画像形成装置は、請求項9から12のいずれかに記載の画像形成装置において、速度に対応する情報を操作者の入力操作により入力する速度入力手段と、その速度入力手段により入力された速度に対応する情報を記憶する速度記憶手段とを備えており、前記制御手段は、縁無し記録に際し、他方向へ前記移動手段を移動する移動速度を、前記速度記憶手段に記憶される情報に基づいて設定するものである。
請求項14記載の画像形成装置は、請求項9から13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記移動手段の遅い速度での移動を、操作者の入力操作に基づいて指示する第2指示手段を備えており、前記制御手段は、その第2指示手段により前記移動手段の遅い速度での移動が指示された場合、縁無し記録に際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する前記移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ前記移動手段を移動する一方、前記第2指示手段により前記移動手段の遅い速度での移動が指示されなかった場合には、前記移動手段を前記1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とを略同一とする。
請求項15記載の画像形成装置は、請求項9から14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記録媒体に記録する記録データを備えた記録情報を入力する記録情報入力手段を備えており、前記制御手段は、その記録情報入力手段により入力された記録情報が、前記記録データについて縁無し記録を指定する縁無し指定情報を有しているか否かを判断する判断手段を備えており、その判断手段により縁無し指定情報を有していると判断された場合には、縁無し記録に際し、前記記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する前記移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ前記移動手段を移動する一方、前記判断手段により縁無し指定情報を有していると判断されなかった場合には、前記移動手段を前記1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とを略同一とする。
請求項1記載の画像形成装置によれば、駆動手段および媒体搬送手段は制御手段により制御され、移動手段は、駆動手段により、主走査方向に往復駆動される。また、記録媒体は媒体搬送手段により副走査方向に搬送される。そして、移動手段に搭載された記録ヘッドから、記録媒体の縁を含む領域にインクが吐出され、記録媒体上に余白を生じさせない縁無し記録が実行される。記録媒体の先端縁を含む領域に対して縁無し記録が行われるに際しては、記録ヘッドにより記録を実行しつつ移動手段を移動させて記録媒体に対する(主走査方向の)1方向の記録が終了すると、インクミストを低減させるため、制御手段により、移動手段は停止した状態で所定時間待機された後、1方向とは反対の他方向へ移動される。つまり、記録終了後の移動手段の次の移動の開始が、所定時間待機される。
よって、縁無し記録に際し、記録媒体の縁を含む領域(縁の外側を含む)に吐出されたインク滴によりインクミストが発生しても、記録ヘッドの移動が待機されない場合に比べて、より多くのインクミストを着弾(沈降)させた状態で、記録ヘッド(移動手段)を移動させることができる。記録媒体以外の部位であってもいずれかの部位に着弾したインクミストは、再び、インクミストにはなり難い。このため、記録終了後の移動手段の次の移動の開始を、所定時間待機させることにより、その所定時間分、インクミストの着弾量を増加させることができる。言い換えれば、移動手段の移動するタイミングにおいて、ミスト状態にあるインク滴を減少させておくことができる。従って、移動手段を移動させても、その移動に伴って巻き上げてしまうインクミストの量を低減でき、インクミストが多量に浮遊した状態で断続的に記録が実行されることを回避できるという効果がある。その結果、インクミストによる記録媒体の汚染を低減することができるという効果がある。特に、移動手段の移動によって巻き上げられるインクミストに起因する記録媒体の裏面の汚染を効果的に抑制することができるという効果がある。
近年、記録画像の高画質化を行う1つの手法として、吐出するインク滴の微小化が採用されているが、吐出されるインク滴が微小であるほど発生するインクミスト量が増大する傾向にある。しかし、本装置においては、浮遊するインクミストを低減させた状態で、記録ヘッドを移動させることができるので、インクミストによる記録媒体の汚染を抑制しつつ、微小化されたインク滴による高画質の記録を実現することができるという効果がある。
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置の奏する効果に加え、先端縁を含む領域に対する記録動作である場合に、移動手段の所定時間の待機を実行する一方、記録媒体の先端縁が前記記録ヘッドの最下流位置を越えた位置に搬送された場合の記録動作では、かかる待機を非実行とすることができる。従って、記録媒体の汚染を低減しつつ、全体の記録速度が著しく低下すること(全体の記録時間を長くすること)を抑制することができるという効果がある。
縁無し記録では、記録媒体の搬送方向上流側の縁(後端縁)を含む所定域や、主走査方向の縁部に対しても、インクは吐出され、かかるインクによってもインクミストが発生する。しかし、記録媒体の後端は、インクミストの発生している空間から離れる方向(下流方向)に搬送されるので、かかるインクミストが記録媒体の汚染に及ぼす影響は小さい。また、主走査方向の縁部に対しては、インクを吐出する範囲を記録媒体の縁部から僅かに外側に設定されていることも多く、発生するインクミスト量が少ない。更に、記録媒体は主走査方向には搬送されないので、インクミストが浮遊している主走査方向の縁部の側へ記録媒体が送り出されることはない。故に、記録媒体の主走査方向の縁部近傍でインクミストが発生しても記録媒体の汚染へ及ぼす影響は小さい。従って、制御手段を、先端縁を含む領域に対する記録動作である場合に、移動手段の所定時間の待機を実行するものとすることにより、記録媒体への汚染を抑制できる上、汚染の抑制に効果の小さい無駄な移動手段の待機を削減し得、全体の記録速度の低下を抑制することができる。
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1または2に記載の画像形成装置の奏する効果に加え、制御手段は、記録ヘッドによる記録を実行せずに移動手段が1方向の移動を終了した場合には、移動手段の所定時間の待機を非実行として、移動手段を他方向へ移動させる。インクミストは、インクを吐出する記録動作が実行されることにより発生するので、記録動作が非実行である場合にはインクミストは発生しない。よって、記録ヘッドが記録動作を実行しない状態で移動手段が移動を終了した場合には、待機を不実行とすることにより、記録媒体への汚染を抑制しつつ、無駄な待機を回避して全体の記録時間を短縮し、効率的に記録を実行することができるという効果がある。
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、移動手段を待機させる時間に対応する情報は、時間記憶手段に記憶されており、制御手段は、縁無し記録に際して、計時手段により、移動手段が1方向の移動を終了してから、時間記憶手段に記憶される情報に基づいた時間(即ち、時間記憶手段に記憶される情報が示す時間)が計時されると、移動手段を他方向へ移動させる。つまり、時間記憶手段に記憶される情報が示す時間、移動手段の待機が実行される(所定時間の待機が実行される)。よって、待機させる時間(所定時間)を正確に計時でき、該所定時間、的確に移動手段の移動開始を待機させることができるという効果がある。
一般に、記録に対しては、高速で高品質の実現が望まれている。このため、移動手段の移動開始の待機が、記録媒体の汚染を低減する有効な手段であっても、待機時間が長くなると、記録全体にかかる時間が長くなり好ましくない(記録品質と記録時間とは相反する)。そこで、記録媒体の汚染に対する効果と記録時間との両者のバランスを考慮して、移動手段を待機させる時間(所定時間)は設定される。ところが、その設定された時間(所定時間)で待機が履行されないと、設計されたバランスが崩れてしまい、所望の記録品質や記録時間を達成できない。しかし、本装置においては、移動手段を待機させる時間(設定された時間、所定時間)を正確に計時でき、また、該所定時間の終了を契機として、移動手段の移動を開始させることができるので、設計時に所望された記録品質や記録時間を的確に実現することができるという効果がある。
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項4記載の画像形成装置の奏する効果に加え、時間入力手段に対する操作者の入力操作により、移動手段を待機させる時間に対応する情報が入力され、入力された情報は時間記憶手段に記憶される。制御手段は、縁無し記録に際して、計時手段により、移動手段が1方向の移動を終了してから、時間記憶手段に記憶される情報に基づいた時間が計時されると、移動手段を他方向へ移動させる。故に、操作者により入力された情報(移動手段を待機させる時間に対応する情報)に基づいて、記録ヘッドを待機させることができるという効果がある。このため、操作者が取り扱う多種多様な記録物や、操作者のニーズに応じた記録品質および記録時間にて記録を実現することができ、記録品質よりも記録速度を重視したいものに、操作者の要求レベル以上の過剰品質の記録品質が無駄に提供されたり、操作者の要求する記録速度が実現されないという事態を回避できるという効果がある。
請求項6記載の画像形成装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、制御手段は、第1指示手段により所定時間の待機が指示された場合、縁無し記録に際し、移動手段を移動させて記録ヘッドによる記録媒体に対する1方向の記録が終了すると、移動手段を所定時間待機させた後、他方向へ移動手段を移動させる。一方、第1指示手段により移動手段の所定時間の待機が指示されなかった場合には、移動手段の所定時間の待機を非実行として移動手段を他方向へ移動させる。つまり、第1指示手段により、指示がなされなければ、移動手段の待機は非実行となって、1方向の記録終了後、直ちに、反対方向への移動手段の移動が開始される。ここで、第1指示手段は、操作者の入力操作に基づいて指示を行うものであるので、操作者の要求に応じて、移動手段の所定時間の待機の実行と非実行とを切り替えることができ、操作者のニーズに応じた記録を実現することができるという効果がある。また、例えば、この第1指示手段を、スイッチやボタンのオンによって指示を、オフによって非指示とを切り替える構成とすれば、操作者は、移動手段の待機の実行または非実行を選択する操作を簡単な操作で行うことができる。
請求項7記載の画像形成装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、制御手段により、記録ヘッドによる記録動作と媒体搬送手段による記録媒体の搬送とは交互に実行されると共に、移動手段の移動が待機されている間は、媒体搬送手段による記録媒体の搬送は待機される。よって、インクミストの浮遊量が多い状態での記録媒体の搬送が非実行とされ、インクミストが多量に浮遊する区間に記録媒体が供給されることを回避でき、汚染面積の拡大を抑制できるという効果がある。
請求項8記載の画像形成装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、記録情報入力手段により入力された記録情報が、縁無し指定情報を有していると判断手段により判断された場合には、縁無し記録に際し、記録ヘッドにより記録を実行しつつ移動手段を移動させ、記録媒体に対する1方向の記録が終了すると、制御手段により、移動手段は所定時間待機された後、他方向へ移動手段を移動される。一方、判断手段により縁無し指定情報を有していると判断されなかった場合には、所定時間の待機が非実行とされ、直ちに、移動手段は他方向へ移動される。よって、記録情報が有する印刷(記録)の態様の情報(縁無し記録か否か)に応じて、移動手段の待機の実行と非実行とを切り替えることができるという効果がある。
一般に、記録情報は、他のファクシミリ装置やパーソナルコンピュータなどの外部装置から、画像形成装置に送信され、記録情報入力手段を介して入力される。ここで、縁無し記録の指定は、記録情報の送信元においてなされ、記録情報は、縁無し指定情報を有する状態で、画像形成装置に入力される。ここで、操作者自身が作成した記録情報でなければ、記録情報が縁無し指定情報を有するか否か(記録データの縁無し記録がが望まれているか否か)を、簡単に判断することは困難である。その結果、移動手段の待機の実行および非実行の指定が、操作者が行う操作のみによってなされるものであると、入力された記録情報に適当な記録手法(縁無し記録である場合に移動手段の待機を実行、否である場合に非実行)の選択が不確実となり、得られる記録物が過剰品質となったり、或いは所望の記録品質に満たない不良品となったりするという不具合が生じる。
しかし、入力された記録情報が縁無し指定情報を有しているか否かの判断結果によって移動手段の待機の実行と非実行とを切り替えることにより、かかる不具合が生じることがない上、入力された記録情報に応じて、いちいち、操作者が、移動手段の待機の実行と非実行と行うという操作を不要としてその手間を軽減することができるという効果がある。
請求項9記載の画像形成装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、縁無し記録に際し、移動手段は、制御手段により、記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ移動される。よって、移動手段の移動により生じる空気の流れを小さくすることができ、移動手段の移動に伴って巻き上げられるインクミストの量を少なくして、インクミストによる記録媒体への汚染を低減することができるという効果がある。
請求項10記載の画像形成装置によれば、駆動手段および媒体搬送手段は制御手段により制御され、移動手段は、駆動手段により、搬送方向に交差する主走査方向に往復駆動される。また、記録媒体は媒体搬送手段により副走査方向に搬送される。そして、移動手段に搭載された記録ヘッドから、記録媒体の縁を含む領域にインクが吐出され、記録媒体上に余白を生じさせない縁無し記録が実行される。記録媒体の先端縁を含む領域に対して縁無し記録が行われるに際しては、記録ヘッドにより記録を実行しつつ記録媒体に対する(主走査方向の)1方向に移動される場合よりも、遅い速度でその1方向とは反対の他方向へ前記記録ヘッドによる記録を実行させずに移動手段は移動される。よって、その遅い速度で他方向へ移動手段を移動することにより、先の1方向の記録で発生したインクミストによる記録媒体の汚染を低減することができるという効果がある。
通常、記録実行時の移動手段の移動速度は、制御装置(制御手段)の特性から固定された速度とされていることが多く、かかる速度は、当然、記録品質を維持するために適当な速度(比較的速い速度)で設定されている。一方で、記録ヘッドにより記録を実行しつつ記録媒体に対する(主走査方向の)1方向に移動される場合よりも、遅い速度で他方向へ移動手段を移動することにより、移動手段の移動により生じる空気の流れを小さくすることができ、移動手段の移動に伴って巻き上げられるインクミストの量を少なくできるという効果がある。このため、記録媒体の縁を含む領域(縁の外側を含む)に吐出されたインク滴によりインクミストが発生しても、インクミストによる記録媒体への汚染を低減することができ、特に、移動手段の移動によって巻き上げられるインクミストに起因する記録媒体の裏面の汚染を効果的に抑制することができるという効果がある。
近年、記録画像の高画質化を行う1つの手法として、吐出するインク滴の微小化が採用されているが、吐出されるインク滴が微小であるほど発生するインクミスト量が増大する傾向にある。しかし、本装置においては、移動手段の移動によって巻き上げてしまうインクミスト量を少なくすることができるので、インクミストによる記録媒体の汚染を抑制しつつ、微小化されたインク滴による高画質の記録を実現することができるという効果がある。
請求項11記載の画像形成装置によれば、請求項10記載の画像形成装置の奏する効果に加え、記録媒体の先端縁が前記記録ヘッドの最下流位置を越えた位置に搬送された場合、前記1方向に移動する移動手段の移動速度と略同一で前記1方向とは反対の他方向へ移動手段は移動される。
よって、先端縁を含む領域に対する記録動作である場合に、移動速度を遅くして他方向に移動手段を移動させる一方、記録媒体の先端縁が前記記録ヘッドの最下流位置を越えた位置に搬送された場合の記録動作では、かかる遅い速度での移動手段の移動を非実行とすることができる。従って、記録媒体の汚染を低減しつつ、全体の記録速度が著しく低下すること(全体の記録時間を長くすること)を抑制することができるという効果がある。
縁無し記録では、記録媒体の搬送方向上流側の縁を含む所定域や、主走査方向の縁部に対しても、インクは吐出され、かかるインクによってもインクミストが発生する。しかし、記録媒体の後端は、インクミストの発生している空間から離れる方向(下流方向)に搬送されるので、かかるインクミストが記録媒体の汚染に及ぼす影響は小さい。また、主走査方向の縁部に対しては、インクを吐出する範囲を記録媒体の縁部から僅かに外側に設定されていることも多く、発生するインクミスト量が少ない。更に、記録媒体は主走査方向には搬送されないので、主走査方向の縁部の側へ記録媒体が送り出されることはない。故に、記録媒体の主走査方向の縁部近傍でインクミストが発生しても記録媒体への汚染に及ぼす影響は小さい。従って、制御手段を、先端縁を含む領域に対する記録動作である場合に、移動速度を遅くして他方向に移動手段を移動させるものとすることにより、記録媒体への汚染を抑制できる上、汚染の抑制に効果の小さい無駄な移動手段の減速を省くことができ、全体の記録速度の低下を抑制することができる。
請求項12の画像形成装置によれば、請求項9から11のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、移動手段を1方向に移動させる場合と他方向へ移動させる場合との両方において記録ヘッドによる記録を実行する場合には、制御手段により、移動手段を1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とが略同一とされる。
移動手段を1方向に移動させる場合と他方向へ移動させる場合との両方において記録ヘッドによる記録を実行する場合(双方向記録)では、移動手段を1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とを略同一とするので、かかる双方向記録による高速の記録を実行することができるという効果がある。双方向記録を行う場合、移動手段の移動速度が両方向で異なると記録の制御が困難となってしまう。しかし、移動手段の移動速度は両方向で略同一とされるので、双方向記録を支障なく実現することができる。
請求項13記載の画像形成装置によれば、請求項9から12のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、速度入力手段に対する操作者の入力操作により、速度に対応する情報が入力され、入力された速度に対応する情報は速度記憶手段に記憶される。縁無し記録に際し、記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動手段を移動させた後、他方向へ移動手段を移動する移動速度は、制御手段により、速度記憶手段に記憶される情報に基づいて変更される。よって、操作者により入力された情報(速度に対応する情報)に基づいて、記録ヘッドが他方向に移動する速度を設定(調節)することができるという効果がある。このため、操作者が取り扱う多種多様な記録物や、操作者のニーズに応じた記録品質および記録時間にて記録を実現することができ、記録品質よりも記録速度を重視したいものに、操作者の要求レベル以上の過剰品質の記録品質が無駄に提供されたり、操作者の要求する記録速度が実現されないという事態を回避できる。
請求項14記載の画像形成装置によれば、請求項9から13のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、第2指示手段により遅い速度での移動手段の移動が指示された場合、縁無し記録に際し、制御手段によって、記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ移動手段は移動され、一方、第2指示手段により遅い速度での移動手段の移動が指示されなかった場合には、移動手段が1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とは略同一とされる。
つまり、第2指示手段により、指示がなされなければ、移動手段の遅い速度での移動は非実行となって、両方向で同じ速度で移動手段は移動される。ここで、第2指示手段は、操作者の入力操作に基づいて指示を行うものであるので、操作者の要求に応じて、移動手段の移動速度を遅い速度へ変更する指定とその指定解除とを切り替えることができ、操作者のニーズに応じた記録を実現することができるという効果がある。また、例えば、この第2指示手段を、スイッチやボタンのオンによって指示を、オフによって非指示とを切り替える構成とすれば、操作者は、(他方向に移動する)移動手段の移動速度を遅い速度とする指定およびその指定解除とを、簡単な操作で行うことができる。
請求項15記載の画像形成装置によれば、請求項9から14のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、記録情報入力手段により入力された記録情報が、縁無し指定情報を有していると判断手段により判断された場合には、縁無し記録に際し、記録ヘッドにより記録を実行しつつ1方向に移動する移動手段の移動速度に比べて、遅い速度で、他方向へ移動手段は移動される。一方、判断手段により縁無し指定情報を有していると判断されなかった場合には、移動手段を1方向に移動する移動速度と他方向に移動する移動速度とは略同一とされる。よって、記録情報が有する印刷(記録)の態様の情報(縁無し記録か否か)に応じて、移動手段の移動速度を遅い速度に変更することの実行と非実行とを切り替えることができるという効果がある。
一般に、記録情報は、他のファクシミリ装置やパーソナルコンピュータなどの外部装置から、画像形成装置に送信され、記録情報入力手段を介して入力される。ここで、縁無し記録の指定は、記録情報の送信元においてなされ、記録情報は、縁無し指定情報を有する状態で、画像形成装置に入力される。ここで、操作者自身が作成した記録情報でなければ、記録情報が縁無し指定情報を有しているか否か(記録データに縁無し記録が望まれているか否か)を、簡単に判断することは困難である。その結果、(他方向に移動する)移動手段の移動速度を遅い速度とする指定と指定解除とが、操作者が行う操作のみによってなされるものであると、入力された記録情報に適当な記録手法の選択(縁無し記録である場合に移動手段の移動速度を遅い速度とし、否である場合には速度変更を行わない)が不確実となり、得られる記録物が過剰品質となったり、或いは所望の記録品質に満たない不良品となったりするという不具合が生じる。
しかし、入力された記録情報が縁無し指定情報を有しているか否かの判断結果によって、移動手段の移動速度を遅い速度に変更することの実行と非実行とを切り替えることにより、かかる不具合が生じることがない上、入力された記録情報に応じて、いちいち、操作者が、移動手段の待機の実行と非実行と行うという操作を不要としてその手間を軽減することができるという効果がある。
本発明の最適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態に適用された複合機の前方から見た斜視図、図2は本実施形態に適用された複合機のプリンタ構造部の断面図である。
本発明の実施形態の画像形成装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )であるが、本発明は単なるプリンタ機能を有するインクジェットプリンタ装置に適用しても良い。なお、本実施形態では、記録媒体として、紙またはプラスチックフィルム等の記録用紙Pを用いたが、これに限定されず、種々のシート状の記録媒体を用いることができる。
また、本発明に係る画像形成装置1は、記録用紙の周縁に余白(縁)を有する縁有り画像記録のみならず、記録用紙Pの先端縁から後端縁まで画像記録(縁無し画像記録)を行うことができるようになっている。
図1に示すように、画像形成装置1における合成樹脂製の記録装置本体としてのハウジング2の前側(図1において手前側)の開口部2aの内部は上下に仕切られており、開口部2aの下側は記録媒体(記録用紙P)を給紙するための差込み可能な給紙カセット3が配置されている。開口部2aの上部側は記録済みの記録用紙Pが排紙される排紙部10となっており、記録済みの記録用紙Pは、矢印A方向に排出される。
本実施形態では、給紙カセット3は、記録媒体(記録用紙)としての例えばA4サイズ、レターサイズ、はがきサイズ等にカットされた記録用紙Pをその短辺を主走査方向(Y軸方向、X軸方向(用紙搬送方向)と直交する方向)に沿って、複数枚堆積して収納できる形態とする(図1参照)。なお、リーガルサイズ等の長い記録用紙P(給紙カセット3に収納できない長さの記録用紙P)を用いて記録を行う場合には、給紙カセット3の上面からかかる記録用紙Pを装置内部に挿入して記録を実行する。給紙カセット3の前端には、リーガルサイズ等の長い記録用紙Pの後端部を支持する補助支持部材3aがX軸方向に移動可能に装着されており、長い記録用紙Pを装置内部に挿入する際には、この補助支持部材3aをハウジング2の前側に引き出すことにより、給紙カセット3上からはみ出した記録用紙の後端部を支持することができる。給紙カセット3内に納まってしまう(開口部2aからハウジング2の外部へ突出しない)A4サイズ等の記録用紙Pを用いる場合には、給紙カセット3の前部に対して補助支持部材3aを給紙の妨げとならないように収納することができる。
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置が配置されている。この画像読取装置は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成され、さらに、画像読取装置の上面を覆う原稿カバー体13の後端は画像読取装置の後端に対して枢軸を中心に上下回動可能に装着されている。
原稿カバー体13を上側に開けて載置用ガラス板上に原稿を載置し、載置用ガラス板の下側にて主走査方向(Y軸方向)に往復移動可能に設けられている原稿読取り用のスキャナ(例えばCIS:Contact Image Sensor)70 (図5参照)にて原稿紙面の画像を読取るように構成されている。
ハウジング2の上側には、原稿カバー体13の前方に各種操作ボタンを備えた操作パネル部14と、操作手順や実行中の処理の状態を表示するための液晶表示装置(以下「LCD」と称す)15とが設けられている。また、ハウジング2の前面であって、操作パネル部14の下方には、外部メモリを挿入するための外部メモリ挿入部11が備えられている。外部メモリとは、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリスティック(登録商標)、SDカード(登録商標)、xD(登録商標)等である。
図2に示すように、画像形成装置1の内部には、記録用紙Pに対する記録を行うプリンタ部71が設けられている。このプリンタ部71の下方において、給紙カセット3の奥側(図2において右側)には、用紙分離用の土手部8が配置されている。また、土手部8よりもハウジング2の前面方向側(記録用紙Pの搬送方向(給送方向)上流側)には、上端部が上下方向に回動可能なアーム6aが装着されている。このアーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6は、給紙カセット3に収納された記録用紙Pの最上部のものに当接している。
給紙ローラ6が紙送り方向(図2において反時計回り)に駆動されると、土手部(傾斜分離板)8により、給紙カセット3に堆積された記録媒体である記録用紙Pが一枚ずつ分離されて搬送される。分離された記録用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられたレジストローラ対27まで給送される。
また、プリンタ部71は、記録用紙Pに対し記録を行うインクジェット式の記録ヘッド4、記録ヘッド4が搭載され主走査方向に往復動可能なキャリッジ5、キャリッジ5を往復移動させるために用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置されたガイド部材の上面にそれと平行状に配置されたタイミングベルト、そのタイミングベルトを駆動してキャリッジを駆動するCR(キャリッジ)モータ25(実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。(図5参照))、記録ヘッド4の下面側にて搬送される記録用紙Pを支持する概略扁平板状のプラテン26、主走査方向(Y軸方向)に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のY軸方向(主走査方向)位置を検知するためのエンコーダストリップ等を備えている。この帯状のエンコーダストリップは検査面(Y軸方向に一定間隔で配置されたスリットの形成面)が垂直方向に沿うように配置されている。また、エンコーダストリップのY軸方向の1端部の外方側の所定位置は、キャリッジ5の原点(ホームポジション)となっており、かかるホームポジションにキャリッジ5がセットされているか否かを検出するキャリッジホームポジションセンサ73が配設されている(図5参照)。
また、プリンタ部71には、給紙ローラによって給送された記録用紙Pを記録ヘッド4の下面に搬送するレジストローラ対27が配置されている。このレジストローラ対27が紙送り方向(上側のローラが時計回り、下側のローラが反時計回り)に回転することにより、レジストローラ対27よりも搬送方向下流側に設けられた記録ヘッド4の下面即ちプラテン26上へと、記録用紙Pが搬送される。レジストローラ対27は、上下一対のローラであって、上側のローラが搬送モータ79(図5参照)にて駆動する駆動ローラとなっており、下側のローラは上側のローラの回転に従動して駆動する従動ローラとなっている。尚、駆動ローラと従動ローラとは逆であっても良く、両方のローラが駆動ローラであっても良い。また、レジストローラ対27は、正逆回転可能に構成されており、給紙ローラ6による記録用紙Pの給送期間中は、反紙送り方向に回転(逆回転)される。これにより、記録ヘッド4の側に送り出す記録用紙Pの先端縁を、主走査方向(Y軸方向)に沿って揃えることができる。
レジストローラ対27近傍であって、搬送方向上流側の上方位置には、給紙ローラ6によって給送された記録用紙Pを検出するペーパセンサ72が設けられている。ペーパセンサ72は、発光ダイオードとフォトトランジスタとを備えた一般的な反射型の光センサで構成されている。給紙ローラ6による記録用紙Pの給送期間中に、このペーパセンサ72に記録用紙Pが検出されなかった場合には、給紙ローラ6やレジストローラ対27などの駆動系は停止され、エラーが表示される。
更に、プラテン26の下流側には、記録用紙Pの上面に接する拍車ローラ28aと、拍車ローラ28aの下面側に設けられ搬送モータ79にて駆動される排紙ローラ28bとが配置されている。拍車ローラ28aは、排紙ローラ28bに従動して回転する従動ローラとなっており、また、両ローラ28a,28b共、正逆回転(紙送り方向および反紙送り方向)に回転可能に形成されている。本実施の形態においては、レジストローラ対27、拍車ローラ28a、排紙ローラ28bとを断続的に紙送り方向に駆動することにより、間欠的に記録用紙Pを搬送する。尚、拍車ローラ28aの紙送り方向は図2において時計回り、排紙ローラ28bの紙送り方向は図2において反時計回りである。記録済みの記録用紙Pは、排紙ローラ28bの紙送り方向への駆動により矢印A方向に送り出され、排紙部10に搬送される。
また、プリンタ部71には、図示を省略しているが、フルカラー記録のための4色(ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))のインクを各々収容したインクカートリッジや、各インクカートリッジから記録ヘッド4にインクを供給する複数本のインク供給管、記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出(フラッシング)を行うためのフラッシング部、記録ヘッド4のノズル面のクリーニングや、記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行うメンテナンスユニット等が設けられている。
図3は、図2の要部側断面図であり、記録ヘッド4近傍部分の構成を示した図である。記録ヘッド4のノズル面(下面)には、複数のノズルからなるノズル列がX軸方向に沿って延び、インク色毎のノズル列がY軸方向に適宜間隔で形成されている。実施形態では、インク色は4色であるので、ノズル列は4列であり、各ノズル列でのノズルの配置間隔は、実施形態では75dpiである。本実施形態では、記録ヘッド4のノズル面のX軸方向の長さを略1インチとし、X軸方向に75個のノズル(図示せず)を形成している。
また、本実施の形態では、プリンタ部71によって、縁有り画像記録と、縁無し画像記録との両方を実行できるように構成している。縁有り画像記録の場合には、全ノズルを使用して画像記録を行う。このため、X軸方向に1〜75番目のノズルに対向し、かかるノズルから吐出されるインクによって記録がなされる領域(インク吐出領域)が、縁有り画像の画像記録領域(縁有り画像記録領域G1)となる。縁無し画像記録の場合には、7番目のノズルから28番目のノズルまでを使用して画像記録を行う。このため、X軸方向に7〜28番目のノズル(距離7.79mm)に対向し、かかるノズルから吐出されるインクによって記録がなされる領域が、縁無し画像の画像記録領域(縁無し記録領域G2)となる。搬送方向の下流側端のノズル(1番目のノズル)から6番目のノズルに対向する領域は、余裕領域G3(距離1.36mm)としている。
次に、記録ヘッド4に対向するプラテン26の詳細な構成について説明する。本実施形態におけるプラテン26は、平面視略矩形の箱型の合成樹脂成型品であって、このプラテン26には、記録用紙Pの搬送方向上流側に配置されて記録用紙Pの裏面と対向する平板状の棚板40と、この棚板40上にX軸方向に沿って長く、Y軸方向に適宜間隔にて配置される複数本の上流側リブ41とを有する。Y軸方向に長い棚板40の搬送方向の上流側には、上向き開放された断面コ字状の凹板42が連接されている。他方、棚板40の下流側端部には、当該棚板40から適宜寸法だけ低い段落ち棚板43が連接される。
この段落ち棚板43は、縁無し記録領域G2に対応する部分であって、搬送方向下流側に向かって下向き傾斜している。また、段落ち棚板43に続いて下向き壁44が下方に延びており、その下向き壁44の下端を一端としてさらに搬送方向下流側にほぼ水平に延び、下流側端部で上向きに延びる凸部を備えた底板45が設けられている。棚板40、凹板42、段落ち棚板43、下向き壁44、底板45は、一体的に形成され、これらはプラテン26のY軸方向の端部に設けられた一対の側枠に連接されている。
また、プラテン26には、その搬送方向下流側であって、記録ヘッド4のX軸方向の1番目のノズルに対向する位置よりも下流側に、即ち、縁有り画像記録領域G1から外れた箇所に、Y軸方向に長く連続状の下流側リブ46が配置される。この下流側リブ46の長手方向の両端部は、プラテン26の一対の側枠に着脱可能に取付けられ、下流側リブ46と底板45との間に適宜の高さの空間48が形成されている。
下流側リブ46は、その断面形状が図3に示すごとく、下向き壁44に対向する立ち上げ壁46aと、立ち上げ壁46aの上端で搬送方向下流側に向かって上向き傾斜面とそれに続く下向き傾斜面とからなる側面視三角突条部46bと、三角突条部46bから搬送方向下流側に向かって延びて前記空間48を覆う低板部46cとからなる。下流側リブ46と底板45との間の空間48には、余剰インクを吸収するインク吸収体53が収納されている。
インク吸収体53は、発泡ポリウレタン等の多孔質材料からなり、底板45上のほぼ全面に覆設されている。インク吸収体53の高さ寸法は下流側リブ46の下面に接触しない程度に設定されている。インク吸収体53の上面は、下流側リブ46によって覆われているので、インク吸収体53が記録用紙Pに接触することはなく、インク吸収体53によって記録用紙Pの裏面が汚染されることはない。なお、他の実施形態として、下流側リブ46をY軸方向に複数個に区切った複数の部材(パーツ)にて連続状に配置する構成でも良い。
上流側リブ41の終端から下流側リブ46の始端までの間には、記録用紙Pの先端部及び後端部をそれぞれ支持可能とする複数種類の領域内リブが用紙搬送方向(X軸方向)に沿って延びるように設けられている。領域内リブである第1リブ49は、段落ち棚板43の上面に突出形成され、且つ搬送方向下流側に向かって上昇するように傾斜形成される。また、第1リブ49は各上流側リブ41が搬送方向に延びる軸線と同一軸線上に配置されている。第1リブ49の始端は棚板40と段落ち棚板43との連接部分から始まり、第1リブ49の終端は下向き壁44の下端で終わる。第1リブ49の最上点(角部)49aは、上流側リブ41の上端面及び下流側リブ46の三角突条部46bの上端面を結ぶ平坦面(記録用紙Pが上流側リブ41と下流側リブ46とに跨がった状態で通過する面)より、若干(実施形態では0.7mm)低い位置にある。
また、図示を省略しているが、Y軸方向において隣接する第1リブ49の配置位置の中間には、領域内リブであって、上端面が段落ち棚板43の上面にて水平となるよう突出形成された第2リブが配置されている。Y軸方向において第1リブ49と第2リブが配置されている箇所の間に一定間隔に領域内リブである第3リブ51が配置されている。第3リブ51の始端は棚板40と段落ち棚板43との連接部分から始まり、第3リブ51の終端は下向き壁44の下端を越えて、底板45の中途部で終わる。段落ち棚板43の上面箇所での第3リブ51の上端面は搬送方向下流側に向かって下降するように傾斜形成されている。第3リブ51の上端面の高さ位置は第1リブ49及び第2リブよりも低い。
そして、第1リブ49、第2リブ、第3リブ51がY軸方向に沿って配設されることにより、各リブの間には、搬送方向に沿い下流側に延びる断面V字状等の上向き開放状の溝52が形成されている。従って、これらの溝52の始端は棚板40と段落ち棚板43との連接部分から始まり、溝52の終端は下向き壁44の下端を越えて、第3リブ51の終端とほぼ同じ箇所(底板45の中途部)で終わる。
上記したように底板45のほぼ全面には、インク吸収体53が配置されているので、溝52の終端は、インク吸収体53の配置箇所に連通することとなる。従って、底板45上の溝52はインク流路としての機能し、段落ち棚板43内(上流側リブ41の終端から下流側リブ46の始端までの間)に吐出されたインク滴をインク吸収体53まで導出する。これにより、縁無し画像記録時に記録用紙Pの先端縁および後端縁にかからずに、記録用紙Pの外に吐出された余剰インクは、インク吸収体に吸収されることとなる。
尚、上流側リブ41の終端と段落ち棚板43始端との連接部から、第1リブ49の最上点(角部)49aが、記録ヘッド4のX軸方向の7〜28番目のノズル(距離7.79mm)に対向し、かかるノズルから吐出されるインクによって記録がなされる縁無し記録領域G2となっている。
上流側リブ41の搬送方向中途部から、下流側リブ46における立ち上がり壁46aと下向き壁44との間の隙間部分までが、記録ヘッド4のX軸方向の1〜75番目のノズルに対向し、かかるノズルから吐出されるインクによって記録がなされる縁有り画像記録領域G1となっている。
従って、縁有り画像記録領域G1の終端と縁無し記録領域G2の終端と間には若干の余裕領域G3が形成され、この余裕領域G3の存在により、縁無し画像記録時に、下流側リブ46にインクが直接噴射されることがない。
次に、プリンタ部71における記録動作について説明する。縁有り画像記録が実行される場合は、矢印A方向に断続的に搬送される記録用紙Pに対して縁有り画像記録領域G1に対応する75個のノズルからインクを吐出させて、所定の画像記録が実行される。縁有り画像記録モードでは、記録用紙Pの先後端縁及び左右端縁から所定寸法(例えば3mm〜5mm)は、余白を形成すべくインク吐出が行われず、余白部分となる。従って、例えば、縁有り画像記録における記録開始では、記録用紙Pは、上流側リブ41に支持された状態で、且つ当該記録用紙Pの先端縁が、縁有り画像記録領域G1の下流側の終端から搬送方向下流側に、前記余白部分の寸法に相当する距離だけ搬送されてから画像記録のためのインク吐出が開始される。他方、記録終了では、記録用紙Pの後端側が下流側リブ46おける最上点(立ち上げ壁46a)で支持された状態で、且つ当該記録用紙Pの後端縁が、画像記録領域G1の上流側の終端から搬送方向上流側に前記余白部分の寸法に相当する距離だけ残した位置でインク吐出が終了する。
また、記録用紙Pの先端縁が垂れ下がった箇所をY軸方向に隣接する第1リブ49の斜面に接触させることにより、先端縁はインクが付着するものの記録用紙Pの裏面全体がインクで汚れることがない。
そして、上面に画像記録のインクが載った記録用紙Pの搬送方向下流側部位は下流側リブ46における三角突条部46bに支持されながら搬送方向下流側の拍車ローラ28aと排紙ローラ28bとの間に送られ、排紙部10へと排紙される。そのとき、記録用紙Pが上方向に反る(プラテン26から浮き上がる)ことを、下流側リブ46の上方に配置された拍車ローラ56で抑止しているので、記録用紙Pの上面とノズル面とのギャップが保持できる。このギャップは実施形態では1.76mm程度であり、このギャップが大き過ぎると、ノズルから吐出されたインク滴が空気中に霧散されて良好な画質が得られない。反対にギャップが小さ過ぎると、ノズル面に記録用紙Pの上面が摺接して記録用紙Pを汚すこととなる。また、棚板40の上面から記録ヘッド4のノズル面までの隙間(ギャップ)寸法は、実施形態で2.41mm程度とする。このギャップが大き過ぎる場合には、記録ヘッド4のノズルから吐出されたインクが記録用紙Pに着弾しなかったときには、特にそのインク滴が小粒であると、当該インク滴が空気中に霧散されてミストになり易いので、前述のように平板から記録ヘッドのノズル面までの隙間(ギャップ)をインクミスト未発生に必要な高さ寸法に制限(抑制)したものである。
縁無し画像記録モードでは、縁無し記録領域G2内の23個のノズルからインクを吐出させて、イメージメモリ65(図5参照)に記憶されるビットデータに基づいた縁無し画像記録を行う。その場合も以下のようにな理由により、記録用紙Pの裏面がインクで汚れることがない。
即ち、搬送方向上流側から給送されて上流側リブ41に支持される記録用紙Pの先端縁が縁無し記録領域G2,つまり段落ち棚板43の箇所に進入すると、記録ヘッド4の搬送方向上流側のノズルからインク吐出が開始される。縁無し画像記録を完全に行うには、記録用紙Pの先端縁よりも適宜搬送方向下流側の箇所に対応するノズルからもインク吐出されるので、当該記録用紙Pの先端縁に着弾せず打ち捨てられるインクは、領域内リブ(第1リブ49、第2リブ及び第3リブ51)の上端面や溝52に付着することになる。しかしながら、これら領域内リブ(第1リブ49、第2リブ50及び第3リブ51)の上端面の高さ位置は、上流側リブ41の上端面より低い位置にあるから、記録用紙Pの先端部の裏面は前記領域内リブの上端面に通常接触することがない。
記録用紙Pの断続的給送(搬送)が続いて、その先端縁が第1リブ49における最上点(角部)49aで支持された状態では、当該先端縁に対するインク吐出は完了しており、それより上流側の部位の記録用紙Pに対する画像記録がなされるから、領域内リブ(第1リブ49、第2リブ50及び第3リブ51)へのインクの付着は起こらない。記録用紙Pへの大部分の画像記録され、当該記録用紙Pの後部が下流側リブ46の三角突条部46aにて支持され、当該記録用紙Pの後端縁が第1リブ49の最上点(角部)49aで支持された状態で、当該後端縁に対する縁無し画像記録が実行される。このときも、縁無し画像記録を完全に行うには、記録用紙Pの後端縁よりも適宜搬送方向上流側の箇所に対応するノズルからもインク吐出されるので、当該記録用紙Pの後端縁に降りかからない余分のインクは、領域内リブ(第1リブ49、第2リブ及び第3リブ51)の上端面や溝52に付着することになる。この場合も、第2リブ50及び第3リブ51の上端面の高さ位置は、第1リブ49の最上点(角部)49aより低い位置にあるので、これらのリブの上端面と接触しない記録用紙Pの裏面全体がインクで汚されることがない。
なお、領域内リブや溝52に付着したインクはその溝52を通して下向き壁44及び底板45上を流れ落ちてインク吸収体53に吸収捕獲される。本発明における領域内リブは、少なくとも第1リブ49を有すれば良く、また、溝52は縁無し画像記録領域G2の外に配置されるインク吸収体53にインクを導くことができるものであれば良い。
そして、インク吸収体53をプラテン26における縁有り画像記録領域G1の下方や縁無し画像記録領域G2の下方のような画像記録領域内に配置するときには、インク吸収体53上面が、通過する記録用紙Pと接触しない位置にセットする作業や当該インク吸収体53の形成寸法誤差の管理が面倒になるが、プラテンのうち画像記録領域外の箇所にインク吸収体53の収容箇所を形成することで、インク吸収体53の取付け作業が簡単になると共に形成寸法誤差が大きくても良いので管理が容易になる。また、インク吸収体53の形状を大きくすることが容易にできるので、インク吸収体53の交換間隔も長くでき、メンテナンスが容易となる。また、他の実施形態として、プラテン26から外れた箇所にインク吸収体の収容部を設け、プラテン26からインク吸収体に繋がる別途のインク流路を設けるようにしても良い。
次に、画像形成装置1の電気的構成について、図5のブロック図に基づいて説明する。図5は、画像形成装置1の電気的構成を示したブロック図である。画像形成装置1には、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM64、イメージメモリ65、時計回路66、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下「NCU」と称す)67、モデム68、CODEC69、スキャナ70、プリンタ部71、インターフェース(I/F)81、操作パネル14、LCD15が設けられており、これらはバスラインなどを介して
互いに接続されている。また、画像形成装置1には、この他、音声LSI、バッファ、アンプなど、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能の各機能を発現するために必要な各種の装置が設けられている。
NCU67は回線制御を行うためのものであり、画像形成装置1はこのNCU67を介して電話回線(一般公衆回線)90に接続されている。NCU67は、一般公衆回線上の交換機から送られる呼出信号や相手側装置(発信者)の電話番号(発信者番号)を示す信号などの各種信号を受信するとともに、操作パネル14上のボタンの操作に応じた発信時のダイヤル信号を交換機へ送信したり、更には通話時におけるアナログ音声信号の送受信を行うものである。NCU67は、データ受信時には、電話回線90からの発呼に対して自動的に着信し、データ送出時には相手先に対して自動的に発呼するものである。相手先の番号を表すデジタルデータは、CPU61からNCU67に供給される。
演算装置であるCPU61は、NCU67を介して送受信される各種信号に従って、バスライン等により接続された各部を制御し、ファクシミリ動作や電話動作のデータ通信を実行するとともに、電話回線90を介して送信されたファクシミリデータ(画情報を含むデータ)や、インターフェース81を介して接続されるパーソナルコンピュータや外部メモリから入力される印刷データの印刷(記録用紙Pへの記録)を実行するものである。
このCPU61は、ROM62に予め記憶されている制御プログラムに従い、インク滴の吐出やカートリッジ内のインクの残量やインクの有無の検出等の制御を実行する。また、吐出タイミング信号およびリセット信号を生成し、各信号を非図示のゲートアレイへ転送する。また、CPU61には、画像形成装置1内に設けられた各デバイスが接続されており、各デバイスの動作はCPU61により制御されている。
ROM62は、この画像形成装置1で実行される制御プログラムや固定値などを格納した書換不能なメモリである。このROM62には、固定値として記録開始位置(副走査方向において記録を開始する位置を示すデータ)を記憶する記録開始位置テーブル62aが記憶されている。また、図6から図8までのフローチャートに示すプログラムは、制御プログラムの一部としてこのROM62内に格納されている。
記録開始位置テーブル62aは、プリンタ部71にて記録を実行する場合の記録用紙Pの記録開始位置を記憶するテーブルである。記録開始位置は、記録開始時に記録用紙Pの先端がセットされる位置である。
上記したように、本実施形態では、縁有り画像記録と縁無し画像記録との両者を実行する。縁の有無によって、記録開始位置は異なっており、また、縁無し画像記録においては、初期に設定されている位置の他に、操作者の操作によって選択されるはみだし量によって異なる記録開始位置に、記録用紙Pの先端縁をセットすることができるようになっている。はみだし量は、記録開始位置にセットされた記録用紙Pの先端縁と、縁無し画像記録で使用される搬送方向最下流側のノズル(第7番目のノズル)との距離を示す情報、つまり、記録用紙Pの先端縁からはみ出して記録される幅である。
縁無し画像記録である場合、初期設定では、記録用紙Pに対し、その先端縁から2.5mmはみ出した位置から記録が開始されるように、記録開始位置は、記録ヘッド4のX軸方向の第7番目のノズルから2.5mm上流側(はみだし量2.5mm)とされている。また、操作者が操作パネル14を用いて所定の入力操作を行うことにより、記録用紙Pの先端縁から1,0mm、0.5mm、0mmはみ出した位置(それぞれはみだし量1mm、0.5mm、0mm)のいずれかから記録を開始できるようになっており、それぞれの記録開始位置は、記録ヘッド4のX軸方向の第7番目のノズルから1.0mm、0.5mm、0mm搬送方向上流側とされている。また、縁有り画像記録の記録開始位置は、記録ヘッド4のX軸方向の第1番目のノズルよりも初期設定で5mm下流側とされている。
記録開始位置は、レジストローラ対27のニップ点(両ローラにより記録用紙Pが挟持される位置)から各記録開始位置までの距離に相当する搬送モータ79の回転量で示されており、縁有り画像記録の1つの記録開始位置と、縁無し画像記録の4つの記録開始位置とにそれぞれ対応する回転量が、縁の有無および先端縁からのはみだし量にそれぞれ対応つけられて、この記録開始位置テーブル62aに記憶されている。
RAM63は、ROM62内に記憶されるプログラムの実行に際して各種のデータを一時的に記憶するための揮発性のメモリであり、CR速度メモリ63aを備えている。CR速度メモリ63aは、キャリッジ5の移動速度を記憶するためのメモリであり、キャリッジ5の移動が開始される際に(その移動毎に)、その速度が書き込まれる。
本実施形態の画像形成装置1では、記録動作を実行する場合のキャリッジ5の移動速度は、常に40ipsとされており、記録動作の実行に際しては、40ipsがこのCR速度メモリ63aに書き込まれる。このため、CRモータ25の駆動によりキャリッジ5が往路を移動する場合も復路を移動する場合も記録ヘッド4が記録動作を行う双方向記録においては、このCR速度メモリ63aには、毎回、40ipsが書き込まれる。即ち、キャリッジ5は、往路と復路とで実質的に同じ速度で移動することとなる。
一方で、縁無し画像記録であれば、キャリッジ5の復動時の移動速度は、4ips(インチ/秒)に設定される。このため、キャリッジ5の移動開始に際して、CR速度メモリ63aには、「4」が書き込まれる。尚、縁無し画像記録であっても、記録用紙Pの先端縁から1インチを越えると、即ち、記録用紙Pが、記録開始位置から1インチ+はみ出し量を越えて搬送されると、キャリッジ5の移動が開始される際には(その移動毎に毎回)40ipsがこのCR速度メモリ63aに書き込まれ、キャリッジ5は、常に40ipsで移動される。
なお、このRAM63の少なくとも一部の領域(受信データを記憶するバッファを含む領域)には、電源が遮断されてもデータを記憶保持できるように、バックアップ電源(図示せず)が供給されている。よって、電話回線90を介して発呼側のファクシミリ装置などから受信したデータ等は、電源遮断後も消去されずに記憶保持される。
ここで、図4を参照して、本実施形態の画像形成装置1において実行される記録の種類について説明する。図4に示すように、画像形成装置1で実行できる記録の種類には、上記したように、縁無し画像記録(「縁なし印刷」)と縁有り画像記録(「縁有り印刷」)とがあり、縁無し画像記録においては、更に、高画質モードと高速印字モードとがある。高画質モードは、入力された印刷データ(ファクシミリデータを含む)に高画質での記録(高画質モード)が指定されている場合に対応して実行されるものである。高画質モードは、記録速度よりも画像品質を優先することが要求されているものであるので、高画質モードが指定された場合には片方向記録が実行される。片方向記録は、記録ヘッド4に記録動作を実行させつつ、CRモータ25の駆動によりキャリッジ5を往路移動させる一方、復路においては記録ヘッド4の記録動作を非実行とした状態(空打ち)で、キャリッジ5を移動(復動)させる記録手法であり、記録用紙Pに対する記録を往路のみの片方向で行うものである。片方向記録は、双方向記録に比べ、記録速度は遅くなるが、双方向記録に比べてドットのずれが小さいので、画像品質が向上する。
片方向記録が実行される(記録方向が「片方向」)高画質モードである場合には、更に、待機時間(「待機時間」)が異なる組み合わせの4種類の記録を実行できるようになっている。待機時間は、往路の移動が終了した記録ヘッド4(キャリッジ5)が、復路の移動を開始するまでの時間であり、0秒、1秒、2秒、3秒のいずれかの値から選択される。待機時間が0秒であれば、(記録動作を実行しつつ)往路を移動した記録ヘッド4が、往路の移動を終了したこと(停止)を確認するために必要な20msecが経過すると、直ちに、記録ヘッド4(キャリッジ5)の復動が開始される。待機時間が1秒であれば、往路の移動を終了した後1秒が経過してから、待機時間が2秒であれば2秒経過後、待機時間が3秒であれば3秒経過後に、記録ヘッド4の復動が開始される。また、リターン速度(キャリッジ5の復動速度)には4ipsがそれぞれ設定されている。
一方、高速印字モードは、記録する印刷データやファクシミリデータに高速での記録(高速印字モード)が指定されている場合に対応して実行されるものである。高速印字モードは、画像品質よりも記録速度を優先することが要求されているものであるので、高速印字モードが指定された場合には双方向記録が実行される。双方向記録は、往路においても復路においても記録を実行するので、片方向記録に比べて画像品質は劣るが記録速度は高速となる。
双方向記録が実行される(記録方向が「双方向」)高速印字モードである場合には、待機時間(「待機時間」)が異なる組み合わせの4種類の記録を実行できるようになっている。設定される待機時間は、高画質モードと同様に、0秒、1秒、2秒、3秒のいずれかである。また、リターン速度には40ipsがそれぞれ設定されている。
この待機時間は、操作パネル14において、所定の操作を実行することにより、選択(設定)できるようになっている。尚、初期値として待機時間には1秒が記憶されている。また、縁有り画像記録(「縁有り印刷」)では、記録の種類は、高速印字モードで、待機時間0、リターン速度40ipsで設定される1種類のみとなる。
図5に戻って説明する。
EEPROM64は書換可能な不揮発性のメモリであり、EEPROM64へ記憶されたデータは、画像形成装置1の電源オフ後も保持される。このEEPROM64は、はみだし量メモリ64a、待機時間メモリ64b、リターン速度メモリ64cを備えている。はみだし量メモリ64aは、はみだし量を記憶するメモリであり、操作パネル14において所定の操作が行われることにより、0mm、0.5mm、1mmの中から選択された1つの値が記憶される。新たにはみだし量の選択が実行される毎に、このはみだし量メモリ64aには、新たなはみだし量が書き込まれて、先の値は更新される。尚、はみだし量メモリ64aには、初期値として、2.5mmが記憶されている。
待機時間メモリ64bは、上記した待機時間を記憶するメモリであり、操作パネル14において所定の操作が行われることにより、0秒、1秒、2秒、3秒の中から選択された1つの値が記憶される。新たに待機時間の選択が実行される毎に、この待機時間メモリ64bには、新たな待機時間が書き込まれて、先の値は更新される。尚、待機時間メモリ64bには、初期値として、1秒が記憶されている。
尚、本実施の形態では、待機時間メモリ64bには、時間が記憶される構成としたが、時間そのものが記憶されている必要はなく、0秒〜3秒のいずれかを示す情報(時間に対応する情報)が記憶されていればよい。例えば、計時がタイマなどによって実行される場合には、待機時間に相当するカウント値(タイマにセットする値)を記憶するものとしても良い。更に、時間が2種類(1秒と2秒とであるなど)の場合は、待機時間メモリ64bをフラグで構成し、例えば、フラグオンによって一方の時間を、フラグオフによって他方の時間を示すことにより、間接的に時間を記憶しても良い。
リターン速度メモリ64cは、上記したリターン速度を記憶するメモリであり、操作パネル14において、所定の操作が行われることにより、4ips、40ipsの中から選択された1方の速度を示す値(「4」または「40」)が記憶される。新たにリターン速度の選択が実行される毎に、このリターン速度メモリ64cには、新たなリターン速度が書き込まれて先の値は更新される。尚、このリターン速度メモリ64cには、初期値として4ipsが記憶されている。
また、このリターン速度メモリ64cに記憶される値に基づいたキャリッジ5の復動は、操作者により所定のボタンがオンされた場合のみ実行される。CPU61は、かかる所定のボタンがオンされている場合に限って、このリターン速度メモリ64cに記憶される値を読み取り、その読み取った値をS25の処理においてCR速度メモリにセットする。このため、このリターン速度メモリ64cに40ipsが記憶されている場合には、(操作者により所定のボタンがオンされていることを条件に)、縁無し画像記録が片方向記録にて実行される場合であっても、記録用紙Pの先端部分(記録用紙Pの先端縁を含む領域)においてキャリッジは40ipsで復動されることとなる。
尚、リターン速度メモリ64cには、速度そのものが記憶されている必要はなく、設定された速度を示す情報(速度に対応する情報)、例えば、予め設定された複数の速度の内の1の速度を指定する情報など、が記憶されていればよい。本実施の形態では、設定されるリターン速度は2種類であるので、リターン速度メモリ64cをフラグで構成し、そのオンとオフとによって、設定された速度を示してもよい。
かかるはみだし量メモリ64aおよび待機時間メモリ64bと、場合に応じてはリターン速度メモリ64cは、縁無し画像記録の実行時に、CPU61に参照され、かかるメモリ64a,64b,64cに記憶される各値に基づいて、制御が行われる。このため、操作者は、自己の要求を反映させた記録を実行することができる。
時計回路66は時刻の計時を行うためのものであり、所定周波数のクロックと、分周回路、分周回路から出力されるパルスの例えば立ち下がり毎に1ずつ(所定範囲内で)更新されるカウンタとを備えている。時計回路66により計時された時刻(カウンタのカウント値)はCPU61によって読み出され、各処理に使用される。
モデム68は、復変調装置であり、NCU67に接続され、電話回線90を介して送信されたアナログデータ(符号化された画情報を含むデータなど)をデジタルデータに変換すると共に、画像形成装置1から電話回線90に出力するデータ(符号化された画情報を含むデータなど)をデジタルデータからアナログデータに変換するものである。そのため、変調および復調機構を有し、また、送信されて来る音声アナログデータを音声に再生する音声再生機構を有する。更に、モデム68は、伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものであり、また、相手側装置との間でデータを送受信する際にそのデータを一時記憶するために使用される送信バッファや受信バッファが設けられている。
CODEC69は、スキャナ70により読み取られた画情報の符号化と、電話回線90を介して受信される符号化された画情報を復号化するものであり、復号化されたデータ(画情報)は、プリンタ部71により記録用紙Pに記録される。
イメージメモリ65は、記録のためのビットイメージ(ビットデータ)を記憶するためのメモリであり、安価な大容量メモリであるダイナミックRAM(DRAM)により構成されている。CODEC65により復号化されたデータ(画情報)は、一旦イメージメモリ65に記憶され、プリンタ部71によって記録用紙Pに記録された後に、このイメージメモリ65から消去される。また、スキャナ70によって読み取られた画情報も、このイメージメモリ65に記憶される。スキャナ70によって読み取られた画情報は、CODEC65により符号化され電話回線90に出力された後に、このイメージメモリ65から消去される。
プリンタ部71は、画像形成装置1内に供給される記録用紙Pに対し記録(印刷)を行うための装置であり、ペーパセンサ72、キャリッジホームポジションセンサ73、記録ヘッド4、記録ヘッド4を駆動するヘッドドライバ75、CRモータ25、CRモータ25を駆動制御するCRモータドライバ76、給紙ローラ6を駆動する給送モータ77、給送モータ77を駆動制御する給送モータドライバ78、搬送モータ79を駆動制御する搬送モータドライバ80とを備えている。
ヘッドドライバ75は、非図示のゲートアレイから出力される信号に応じて、その信号に合った波形の駆動パルスを各ノズルに対応した駆動素子に印加する駆動回路である。この駆動パルスにより駆動素子が作動して、各ノズルからインク滴が吐出される。
CRモータドライバ76、給送モータドライバ78、搬送モータドライバ80は、CRモータ25、給送モータ77、搬送モータ79にそれぞれ接続され、接続される各モータ25,77,79に電圧を印加する回路である。各ドライバ76,78,80は電圧を印加する時間により、DCモータで構成されている各モータ25,77,79の回転量を制御する。
インターフェース81は、電気的接点の規格であって、異なる装置を接続するための装置である。このインターフェース81を介して、画像形成装置1は、他の装置であるパーソナルコンピュータやローカルエリアネットワーク(LAN)に接続され、かかるパーソナルコンピュータやLANとの間でデータの送受信(印刷データの受信)を実行する。受信された印刷データは、画情報(ビットイメージ)に変換されてイメージメモリ65に書き込まれる。また、外部メモリ挿入部11は、コネクタとなっており、バスラインを介してCPU61に接続されている。
画像形成装置1では、高画質の記録を目的としてインク滴の微小化が行われており、通常時に吐出するインク量は2ピコリットルとなるように設計されている。インク滴が微小となると、ノズルから着弾面までの距離を短くしておくことが重要になる。着弾面までの距離が遠いと、インク滴が着弾面へ到達する難易度が大きくなり、その結果、インク滴が記録用紙Pの汚染原因となるインクミストとなってノズルと着弾面との間の空間を浮遊してしまうからである。一方、縁無し画像記録を行う場合には、記録用紙Pの先端縁および後端縁の外側に(記録用紙Pからはみ出して)までインクを吐出して、画像記録が行われる。プラテン26上に吐出されたインク滴に記録用紙Pが摺接して、記録用紙Pの裏面が汚染されることを避けるため、プラテン26には、上記した段落ち棚板43が設けられており、この段落ち棚板43の上面に形成される縁無し画像記録領域G2において画像の記録(インクの吐出)が実行される。
ところが、段落ち棚板43は、棚板40の上面よりも記録ヘッド4のノズル面からの距離が遠くなっているため、段落ち棚板43に吐出された(記録用紙Pにかからなかった)インク滴によってインクミストが発生する。このインクミストによる記録用紙P(裏面)の汚染を改善するために、本実施形態では、はみだし量、待機時間、リターン速度を変更できるように構成されている。
ここで、図9を参照して、記録用紙Pの裏面の汚染の程度と、はみだし量、待機時間、リターン速度との関係について説明する。図9は、はみだし量、待機時間、リターン速度と記録用紙Pの裏面の汚染面積との関係を示した図であり、図9(a)は、これらの関係を示した表であり、図9(b)はこれらの関係を示したグラフである。
図9(a)に示す表の最左端には、はみだし量が「1」mm、「0.5」mm、「0.5」mmが表示されており、かかるはみだし量の表示欄の右方には、該はみだし量で縁無し画像記録を実行した場合の汚染面積が、待機時間「1」〜「4」秒に応じてそれぞれ表示されている。尚、上段の2段に表示された汚染面積は、キャリッジ5のリターン速度(復動速度)を40ipsとした場合であり、最下段に表示された汚染面積は、キャリッジ5の復動速度を4ipsとした場合である。
図9(b)に示すグラフは、横軸を待機時間(「wait時間」)とし、縦軸を記録用紙Pの裏面の汚染面積(「ミストによる汚れ面積」)として作成されている。グラフ中においては、白抜きの三角形によりはみだし量1mm、リターン速度4ipsの場合の汚染面積を示し、実線にてこれらの三角形を結んで、はみだし量1mm、リターン速度4ipsにおいて、待機時間を変更した場合の汚染面積の傾向を示している。
また、黒塗りの菱形によりはみだし量1mm、リターン速度40ipsの場合の汚れ面積を示し、2点鎖線にてこれらの菱形を結んで、はみだし量1mm、リターン速度40ipsにおいて、待機時間を変更した場合の汚染面積の傾向を示している。更に、黒塗りの四角形によりはみだし量0.5mm、リターン速度40ipsの場合の汚れ面積を示し、1点鎖線にてこれらの四角形を結んで、はみだし量0.5mm、リターン速度40ipsにおいて、待機時間を変更した場合の汚染面積の傾向を示している。
かかる図9(a)、図9(b)に示すように、はみだし量を小さくする(記録用紙Pの縁の外側に吐出されるインク量を低減する)ことにより汚染面積が小さくなる傾向が示されている。これにより、本実施形態のように、画像形成装置1に、はみだし量を小さくする設定を行う構成を設けることにより、記録用紙Pの裏面の汚染を効果的に抑制することができることが示されている。
また、待機時間、即ち、記録動作を終了してからキャリッジ5の移動を開始するまでの時間を長くするほど汚染面積が小さくなる傾向が示されている。従来の画像形成装置においては縁無し画像記録であっても、縁有り画像記録と同様に、記録ヘッドは、記録動作の終了後、その停止が確認された後に直ちに復動されている(例えば、本実施形態に示す20mmsec後に復動、待機時間0秒の状態)。このため、画像形成装置1に、記録後のキャリッジ5に復動を待機させる構成を設けることにより、記録用紙Pの裏面の汚染を効果的に抑制することができることが示されている。
更に、リターン速度が遅いほうが汚染面積の低下に有効であることが示されている。従って、本実施形態のように縁無し画像記録を実行する場合に、キャリッジ5の復動時の速度(リターン速度)に遅い速度を適用する構成を設けることにより、記録用紙Pの裏面の汚染を効果的に抑制することができる。
次に、図6〜図8を参照して、画像形成装置1において実行される各処理について説明する。図6は、画像形成装置1で実行される印刷処理のフローチャートである。画像形成装置1では、電話回線90を介して画情報を含むデータ(ファクシミリデータ)を受信した場合や、インターフェース81を介してパーソナルコンピュータなどから印刷データが入力された場合、更には、操作パネル14の所定の入力操作によって、外部メモリなどに記憶されるデータの印刷(記録)を指示するコマンドが入力された場合などが、画像形成装置1に対する記録の要求となって、図6に示す印刷処理が開始される。
この印刷処理では、まず、搬送モータ79を逆回転で駆動し、レジストローラ対27を逆方向(反紙送り方向)に回転させる(S1)。その後、給送モータ77を駆動し、給紙ローラ6を紙送り方向に、予め定めた回転量、回転させる(S2)。これにより、給紙ローラ6に当接する給紙カセット3内に堆積された最上部の記録用紙P(または給紙カセット3上に挿入された記録用紙P)が1枚、分離搬送され、給送路9を経由してレジストローラ対27まで給送される。
給送路9の距離は既知であるので、記録用紙Pを給送路9の距離分に相当する給紙ローラ6の回転量も既知である。この給送路9の距離に対応する回転量に余剰の回転量が加算された回転量が、記録用紙Pを給紙カセット3からレジストローラ対27まで給送(搬送)するために必要な回転量として予め定められている。給送モータ77は、給紙ローラ6を、この予め定めた回転量、回転させることにより、給送路9の距離分以上に相当する回転量にて給紙ローラ6を回転させ、確実に、記録用紙Pをレジストローラ対27まで給送する。このとき、レジストローラ対27は、反紙送り方向に回転しているので、記録用紙Pはレジストローラ対27から先には送出されず、記録用紙Pの先端縁がレジストローラ対27に到達すると記録用紙給紙ローラ6は記録用紙Pに対し滑った状態で回転する。これにより、記録ヘッド4の側に送り出す記録用紙Pの先端縁を、主走査方向(Y軸方向)に沿って揃えることができる。
そして、給送モータ77の駆動を停止し(S3)、記録開始位置テーブル62aから、縁の有無とはみだし量メモリ64aに記憶されているはみだし量とに基づいて、対応する記録開始位置を読み出す(S4)。上記したように、縁有り画像記録である場合と、縁無し画像記録である場合には、記録開始位置が異なっており、縁無し画像記録である場合には、更に、操作者によりはみだし量が指定されている場合がある。縁無し画像記録であるか縁有り画像記録であるかは、画像形成装置1に入力された印刷データ(ファクシミリデータ)に縁無しの指定がなされている(余白「0」の指示が印刷データと共に入力されている)か否かによって判断される。また、画像形成装置1では、縁無し画像記録である場合には、操作者によりはみだし量の指定(選択入力)が可能となっている。はみだし量メモリ64aには、初期値(2.5mm)が記憶されているが、はみだし量メモリ64aの値は、操作者にて指定されたはみだし量にて更新されるようになっている。このため、縁無し画像記録である場合には、はみだし量メモリ64aに記憶されている値を読みとり、読みとった値に対応する記録開始位置を、記録開始位置テーブル62aから読み出すのである。
続いて、搬送モータ79を正回転で駆動してレジストローラ対27を紙送り方向に回転させ、記録用紙Pを読み出した記録開始位置まで搬送する(S5)。記録開始位置テーブル62aには、レジストローラ対27のニップ点から記録開始位置までの回転量が記録開始位置として記憶されている。従って、読み出した回転量分搬送モータ79を駆動することにより、対応する記録開始位置まで記録用紙Pが搬送される。その後、主走査方向に移動させるキャリッジ5の速度40ipsをCR速度メモリ63aにセットし(S6)、CR速度メモリ63aにセットされた速度でCRモータ25を駆動しつつ1バンド分の記録を実行する(S7)。ここで、1バンドとは、1回の記録(往路または復路の1回の移動に伴う記録)にて記録される範囲であり、使用されるノズル本数によって定められるものである。1回の記録で使用されるノズルは1ラインではなく、複数ラインのノズルが使用されるので、1ラインの記録ではなく、1バンドの記録となる。
記録ヘッド4による1バンドの記録が終了するタイミングで、CPU61はCRモータドライバ76に減速指示を出力する。これにより、キャリッジ5は減速され停止に至る。このキャリッジ5の停止は、エンコーダストリップにより検出される。尚、記録用紙の幅(主走査方向の長さ)に対して、印刷データ(ビットデータ)が、記録用紙の縁よりも内側で終了する場合には、印刷データの終了位置(記録端)をキャリッジ5の停止位置としても良く、また、印刷データの終了位置(記録端)に関わらず、常に、キャリッジ5の往路の終端を記録用紙の幅よりも外方の所定位置とし、かかる所定位置をキャリッジ5の停止位置としても良い。
次に、記録用紙Pを搬送方向に搬送するためのフィード処理を実行してから(S8)、記録ヘッド4を駆動して記録用紙Pに対し記録を実行する印刷実行処理(S9)を実行した後(S9)、1頁の記録(印刷)が終了したか否かを確認する(S10)。その結果、1頁の記録(印刷)が終了していなければ(S10:No)、その処理をフィード処理(S8)に移行し、1頁の記録(印刷)が終了するまで繰り返してフィード処理(S8)と印刷実行処理(S9)とを繰り返す。一方、S10の処理で確認した結果、1頁の記録(印刷)が終了していれば(S10:Yes)、搬送モータ79により排紙ローラ28bの回転速度を増大させ、高速で記録用紙Pを排出して(S11)、この印刷処理を終了する。
図7は、図6の印刷処理の中で実行されるフィード処理(S8)のフローチャートである。フィード処理(S8)では、まず、要求された記録が縁無し画像記録(縁無し印刷)であるか否かを判断する(S21)。縁無し画像記録であるか否かは、入力された印刷データに縁無しを指定する情報が付加されているか否かにより判断される。ここで、縁無し画像記録であると判断されると(S21:Yes)、記録開始位置から「1インチ+はみだし量メモリ64aに記憶される値」分、記録用紙Pが搬送されたか否かを確認する(S22)。
縁無し画像記録時のはみだし量には、初期値として2.5mmが設定されている。本実施形態においては、記録用紙P上、その先端縁から1インチ搬送方向上流側に後退した位置まで、縁無し画像記録特有の制御でキャリッジ5を動作させる区間(特有の制御区間)としている。つまり、画像形成装置1では、縁無し画像記録におけるはみだし量の初期値を2.5mmとしているので、インクを吐出する最下流側のノズルから2.5mm搬送方向上流側の位置が基準となる記録開始位置となる。従って、記録用紙Pの先端縁から1インチまでを縁無し画像記録特有の制御でキャリッジ5を動作させる区間とした場合には、記録開始位置から1インチ+2.5mmが搬送されることにより、該特有の制御区間が終了する。はみだし量が1mmに指定されている場合には、記録用紙Pの先端縁は、初期値よりも1.5mm搬送方向下流側に搬送された状態で記録が開始され、記録開始位置から「1インチ+1mm」、記録用紙Pが搬送されると、上記の特有の制御区間が終了する。同様にはみだし量が0.5mmで設定されていると、記録開始位置から「1インチ+0.5mm」、はみだし量が0mmで設定されていると、記録開始位置から「1インチ+0mm」記録用紙Pが搬送されると、上記の特有の制御区間が終了する。S22の処理では、この特有の制御区間が終了したか否かを判断しているのである。尚、かかる特有の制御区間である「1インチ+はみだし量」が請求項1および10に記載の先端縁を含む領域に該当する。かかる先端縁を含む領域は、郵便はがきなどで宛名面の反対面に縁無し画像を形成する場合に、裏面となる宛名面の郵便番号欄をインクミストで汚すことなく記録するために必要とされる領域となっている。
このS22の処理において、記録用紙Pが、記録開始位置から「1インチ+はみだし量メモリ64aに記憶される値」分、未だ搬送されていない判断されると(S22:No)、時計回路66の時間を読み取って、待機時間メモリ64bに記憶される待機時間、S24以降の処理をウェイトし、キャリッジ5の搬送を待機する(S23)。つまり、CPU61は、キャリッジ5の停止後、このS23の処理の中で、時計回路の時間(時刻)を監視し、待機時間メモリ64bに記憶される待機時間が経過するまで、キャリッジ5の搬送を待機する。
待機時間メモリ64bには、初期値として待機時間「1秒」が記憶されているので、操作者による待機時間の更新がなされていなければ、「1秒」、キャリッジ5の駆動(移動開始)が待機される。操作者による操作によって、待機時間メモリ64bに記憶される待機時間が「2秒」、または「3秒」に設定されていると、設定された待機時間に応じて、「2秒」、または「3秒」キャリッジ5の駆動が待機される。また、待機時間メモリ64bに待機時間「0秒」が記憶されている場合には、待機時間は「0秒」であるので、直ちに、S24の処理が実行される。
そして、要求された記録に対し双方向記録が指定されているか(高速印刷モードが指定された印刷データであるか)否かが確認され(S24)、双方向記録の指定でなければ(S24:No)、要求された記録に対しては、高画質の記録(高画質モード、片方向記録)が指定されているものと認識し、CR速度メモリ63aに4ipsをセットする(S25)。続いて、搬送モータ79を駆動して記録用紙を所定量搬送した後(S26)、CR速度メモリ63aにセットされた速度が4ipsであるか否かを確認し(S27)、4ipsがセットされていれば(S27:Yes)、CR速度メモリ63aにセットされた速度で、キャリッジ5を往路の印刷開始位置に移動して(S28)、このフィード処理(S8)を終了する。これにより、引き続き実行される印刷実行処理において、キャリッジ5に往路を移動させつつ記録ヘッド4による記録を実行することとなる。
尚、印刷開始位置とは、主走査方向において次の記録が開始される開始位置である。即ち、片方向記録においては、この印刷開始位置は、往路側の印字の始点となり、双方向記録においては、往路側の印字の始点または復路側の印字の始点のいずれかとなる。
このように、縁無し画像記録である場合に、記録動作を終了したキャリッジ5の移動開始を待機させ、更に、キャリッジ5の移動速度を4ipsという低速度で行うことにより、記録用紙Pの先端縁近傍の裏面に生じるインクミストによる汚れを抑制することができる。
また、S21の処理で確認した結果、要求された記録が縁無し画像記録(縁無し印刷)でないと判断されると(S21:No)、要求された記録は縁有り画像記録(縁有り印刷)である。従って、ノズルから吐出されるインクは、全て記録用紙上に着弾するので、インクミストの発生を懸念する必要はない。このため、CR速度メモリ63aに40ipsをセットして(S29)、その処理をS26の処理に移行する。これによりキャリッジ5の移動開始を待機するS23などの処理が回避される。
更に、S22の処理で確認した結果、記録用紙Pが、記録開始位置から「1インチ+はみだし量メモリ64aに記憶される値」分、すでに搬送されたと判断されると(S22:Yes)、縁無し画像記録であっても、縁無し画像記録特有の制御でキャリッジ5を動作させる区間(特有の制御区間)は終了している。このため、その処理をS29の処理に移行する。これにより、特有の制御区間が終了すると、待機時間「0秒」、往路の移動速度40ips、復路の移動速度40ipsで、キャリッジ5が駆動される。
縁無し画像記録では、記録用紙Pの先端縁のみならず、後端縁を越えても記録動作が行われる。このため、記録用紙Pの後端縁を越えて記録動作を行う場合にも、インクミストが発生する。しかし、記録用紙Pの後端縁は、インクミストの発生箇所(段落ち棚板43)から離れる方向に搬送されるので、発生したインクミストにより、先端縁のように記録用紙Pが汚染されることはない。従って、画像形成装置1では、記録用紙Pの先端縁から1インチを、縁無し画像記録特有の制御でキャリッジ5を動作させる区間(特有の制御区間)としている。
尚、記録用紙P上にノズルから吐出されるインクが全て着弾する状態、つまり、記録用紙Pの先端縁が、インクを吐出する最も下流側のノズル(本実施の形態では7番目のノズル)を越えて搬送方向下流側に配置される位置関係となると、インクミストは未発生となるので、かかるインクミストによる記録用紙Pの先端縁近傍の裏面の汚染を懸念する必要がなくなる。従って、上記の特有の制御区間(記録用紙Pの先端縁を含む領域)は、記録用紙Pの先端縁から1インチに限られるものではなく、例えば、記録用紙Pの先端縁がインクを吐出する最も下流側のノズルをわずかに越える程度(例えば記録用紙Pの先端縁から1mmなど)としてもよい。
更に、S24の処理で確認した結果、双方向記録の指定(高速印刷モードが指定された印刷データ)であれば(S24:Yes)、その処理をS29の処理に移行して、キャリッジ5の移動開始を待機するS23などの処理を回避する。
操作者が記録を行う記録物には、各種のものが存在する。このため、縁無し画像記録であっても、操作者は、一様に、高画質の記録を望むものではなく、また、先端縁近傍の裏面の汚染についても、重要な問題となる場合と否である場合がある。例えば、郵便はがきなどで宛名面の反対面に縁無し画像を形成した場合、裏面となる宛名面の先端縁近傍に設けられた郵便番号欄がインクミストで汚れてしまうと、郵便番号が読みとり不能となるなどの許容しがたい問題となる。一方で、記録物の種類によっては、裏面の汚れの程度よりも、記録速度が優先されるものもある。
このため、本実施形態においては、操作者により、はみだし量、待機時間、(場合によってはリターン速度)を選択可能とし、操作者が記録物の種類や嗜好に応じて、所望の品質の記録物を作製することができるように構成されているのである。
図8は、図6の印刷処理の中で実行される印刷実行処理(S9)のフローチャートである。印刷実行処理(S9)では、キャリッジ5が印刷開始位置にセットされているか否かを確認し(S40)、ここで、キャリッジ5が印刷開始位置にセットされている場合は(S40:Yes)、片方向記録での往路の印字の始点にキャリッジがセットされているので、CR速度メモリ63aに40ipsをセットした後(S41)、CR速度メモリ63aにセットされた速度でCRモータ25を駆動しつつ、1バンド分の記録を実行し(S42)、この印刷実行処理(S9)を終了する。
一方、S40の処理で確認した結果、キャリッジ5が印刷開始位置にセットされていなければ(S40:No)、CR速度メモリ63aにセットされた速度でCRモータ25を駆動しつつキャリッジ5を印刷開始位置に移動させる(S43)。この場合、開始する記録が復路の記録であれば、復路の印字の始点にキャリッジ5は移動され、開始する記録が往路の記録であれば、往路の印字の始点にキャリッジ5は移動される。その後、CR速度メモリ63aにセットされた速度でCRモータ25を駆動しつつ、1バンド分の記録を実行して(S44)、この印刷実行処理(S9)を終了する。これにより、双方向記録である場合、および、縁無し記録で且つ片方向記録であっても、記録用紙Pの先端縁を含む領域に対する特有の制御区間が終了すると、CR速度メモリ63aには、必ず40ipsがセットされる。従って、双方向記録である場合、キャリッジ5の移動速度を一定として、同じ記録速度で安定した記録を実現できる。
この印刷実行処理(S9)によれば、縁無し画像記録である場合に、復動速度が4ipsに設定されていても、記録速度(記録時のキャリッジ5の移動速度)は40ipsに設定される。このため、記録用紙Pの裏面の汚染を低減するためにウェイトやリターン速度の低速化などが実行されても、記録については通常と同じ速度で実行することにより、全体的な記録速度の低下幅を圧縮することができる。
このように、画像形成装置1によれば、縁無し画像記録である場合に、記録ヘッド4にて記録を実行しつつ往路を移動したキャリッジ5が、復路の移動を開始するまでの待機時間を通常よりも長くする事ができる上、復路を移動するキャリッジの速度(リターン速度)を遅くすることができる。このため、発生したインクミストによる記録用紙Pの(先端縁近傍の裏面に対する)汚染を改善することができる。更に、待機時間およびリターン速度は、操作パネル14への操作者の入力操作により、変更することができる。このため、操作者の所望する様式で記録を実行できる。
尚、本実施形態において、請求項1および10に記載の制御手段としては、図7のフローチャートのフィード処理が該当する。請求項3記載の制御手段としては、図8のフローチャートのS41,S42の処理が該当する。請求項8および請求項15記載の判断手段としては、図7のフローチャートのS21の処理が該当する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態においては、待機時間は、0〜3秒の範囲で1秒単位で設定されるものとしたが、これに限られるものでなく、例えば、設定される時間の単位を更に小さく、または大きくしてもよく、3秒以上の待機時間が設定できるようにしても良い。また、任意の待機時間を入力できるように構成してもよい。更に、待機時間は予め定めた固定値を採用するものとし、待機を行うか否かを操作者の操作に応じて切り替える(画像形成装置1に指示する)スイッチと、そのスイッチの状態を示すフラグとを設けると共に、該フラグの状態を判断するステップをフィード処理(S8)に設け、フィード処理(S8)にてかかるフラグがオンであると判断されるとS23の処理を実行し、オフであると判断されるとS23の処理を回避するように構成しても良い。尚、かかるスイッチおよびフラグが請求項6記載の第1指示手段に該当し、該スイッチおよびフラグの状態に基づいて実行されるフィード処理(S8)が請求項6記載の制御手段に該当する。
更に、上記実施形態においては、操作者の入力操作によりリターン速度を40ipsまたは4ipsのいずれかに設定可能とされたが、設定される速度はこれに限られるものでなく、40ips以下の任意の速度を設定できるように構成しても良い。更に、設定できるリターン速度を複数(3以上)の速度の中から選択できるように構成しても良い。
また、片方向記録の場合に4ipsでの復動を行うことを指定するスイッチと、そのスイッチの状態を示すフラグとを設けると共に、該フラグの状態を判断するステップをフィード処理(S8)に設け、フィード処理(S8)にてかかるフラグがオンであると判断されると、S23の処理の処理にて4ipsをCR速度メモリ63aにセットし、オフであると判断されるとかかるS23の処理を回避するように構成しても良い。尚、かかるスイッチおよびフラグが請求項14記載の第2指示手段に該当し、該スイッチおよびフラグの状態に基づいて実行されるフィード処理(S8)が請求項14記載の制御手段に該当する。尚、上記したように、CR速度メモリ63aにセットされる値は、操作者により入力された値(リターン速度メモリ64cに設定された値)であっても良い。
このように、スイッチのオンオフにより、キャリッジ5の移動開始の待機あるいはキャリッジ5のリターン速度の遅い速度への変更を実行する構成とすれば、操作パネル14を使用した待機時間およびリターン速度の設定に比べ、その設定を簡便とすることができ、操作者の手間を軽減できる。
更に、画像形成装置1に入力された印刷データに縁無しの指定がなされている(余白「0」の指示が印刷データと共に入力されている)場合であっても、縁部のビットデータの密度が(所定の閾値より)小さい印刷データである場合には、キャリッジ5の移動開始待機を非実行とし、また、リターン速度を40ipsに設定するようにしてもよい。縁部でのインク吐出量が少ない記録物については、縁無し画像記録であってもインクミストの発生量が少ない。従って、高速で印刷を行っても十分な記録品質を実現でき、無駄に記録時間が長くなることを回避できる。
また、待機時間は、時計回路66が示す時間をCPU61にて読み取る(監視する)ことにより計時されたが、これに代えて、待機時間に対応するカウント値がセットされるカウンタを備え、所定時間間隔で信号を出力する回路からの信号に応じて、該カウンタのカウント値を減算し、カウント値が「0」になると計時を終了するタイマによって待機時間を計時してもよい。
更には、本実施形態においては、フィード処理(S8)において、S23の処理においてキャリッジ5が停止している間は、記録用紙Pの搬送についても停止したが、これに代えて、キャリッジ5が停止中であっても、記録用紙Pについては搬送を実行するように構成しても良い。記録用紙Pが搬送されても、キャリッジ5を駆動させた場合ほど、インクミストが巻き上げられることはない。従って、記録用紙Pの搬送を行っても、インクミストによる汚染を十分に抑制できると共に、次の記録を迅速に開始することができ、全体の記録効率を向上させることができる。
更に、本実施の形態においては、フィード処理(S8)においては、先端縁を含む領域における縁無し画像記録である場合に限って、キャリッジ5の待機や復路の速度を4ipsとする処理を実行したが、主走査方向の端部におけるはみだしが大きい場合には、かかる処理を主走査方向の端部においても適用しても良い。これによれば、主走査方向の端部において記録用紙Pにインクミストによる汚染が発生する場合にも、これに対応して、その汚染を改善することができる。
また、本実施の形態においては、キャリッジ5の移動開始に際して、その都度、CR速度メモリ63aに4ipsまたは40ipsのいずれかを書き込み、そのCR速度メモリ63aに記憶される値に基づいて、キャリッジ5を移動させた。これに代えて、4ipsがセットされたことを示すフラグを設け、かかるフラグがオンであれば4ipsで、フラグがオフであれば40ipsでキャリッジ5を移動させても良い。また、先端縁を含む領域に対する記録動作が終了した場合には、CR速度メモリ63aへの速度の書込み及び参照を非実行として、記録終了まで40ipsで移動するように構成しても良い。