以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照し、本発明に係る印刷データ作成装置の一例である印刷装置30について説明する。なお、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側は、夫々、印刷装置30の前側、後側、右側、左側、上側、下側である。
印刷装置30は、公知の布帛用インクジェットプリンタである。印刷装置30は、吐出ヘッド35を走査させ、記録媒体である布帛に印刷する。印刷装置30は、ケーブル9を介してパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)1に接続する。PC1は、布帛に対する印刷処理を印刷装置30に実行させるための印刷データを作成する。印刷データは、布帛上の所定の領域に個々の画素を形成するため吐出される液滴を、複数の吐出口36(図2参照)に夫々対応させる吐出情報を含む。印刷データはPC1から印刷装置30に送信される。なお、本実施形態では、印刷装置30は、PC1から取得した印刷データを加工し、布帛に対する印刷処理を複数回に分割するための印刷データである分割印刷データを作成する。以下では、PC1が作成した印刷データを、元印刷データという。
印刷装置30の概要について説明する。印刷装置30は、矩形箱状の筐体31を有する。印刷装置30は、筐体31内で左右方向略中央下部に、前後方向に延びる一対のガイドレール37を備える。一対のガイドレール37は、プラテン支持台38を前後方向へ移動可能な状態に支持する。プラテン支持台38上面の左右方向略中央には、取り換え可能なプラテン39が固定されている。プラテン39は、平面視略五角形状の板体である。プラテン39の上面には、例えば、記録媒体であるTシャツ等の布帛が載置される。詳細は図示しないが、プラテン支持台38は、副走査モータ47(図3参照)及びベルトを含む副走査機構(図示略)によって、副走査方向に搬送される。本実施形態においては、副走査方向は、布帛がプラテン39によって搬送される前後方向である。
印刷装置30は、筐体31内の前後方向略中央、且つプラテン39よりも上方に、左右方向に延びる一対のガイドレール33を備える。一対のガイドレール33は、キャリッジ34を左右方向へ移動可能な状態に支持する。キャリッジ34の下部には、複数(例えば8個)の吐出ヘッド35が搭載されている。複数の吐出ヘッド35を備えたキャリッジ34は、主走査モータ46(図3参照)及びベルトを含む主走査機構(図示略)によって、副走査方向に直交する主走査方向(左右方向)に搬送される。
図2を参照し、キャリッジ34の構成について説明する。図2に示すように、本実施形態におけるキャリッジ34には、4個の吐出ヘッド35Wと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとが搭載されている。便宜上、以下の説明では、4個の吐出ヘッド35Wと吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kの夫々を、吐出ヘッド35とも言う。夫々の吐出ヘッド35の底面には、複数(例えば128個)の吐出口36が設けられている。なお、図2では、簡略化のため、実際の個数よりも少ない数の吐出口36が図示されている。吐出口36は、夫々、インクを吐出可能である。詳細は図示しないが、印刷装置30に装着されたインクカートリッジから吐出ヘッド35に供給されたインクは、吐出チャンネルに設けられた圧電素子又は発熱体の駆動によって、各吐出口36から下向きに吐出される。
4個の吐出ヘッド35Wは、夫々、吐出口36の並びの向きを副走査方向に沿わせた状態で、主走査方向に並べられ、キャリッジ34に搭載される。吐出ヘッド35Wは、夫々の吐出口36から、白インクを吐出する。吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kも同様に、夫々、吐出口36の並びの向きを副走査方向に沿わせた状態で、主走査方向に並べられ、キャリッジ34に搭載される。吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kは、夫々の吐出口36から、カラーインクを吐出する。吐出ヘッド35Cは、吐出口36からシアンインクを吐出する。吐出ヘッド35Mは、吐出口36からマゼンタインクを吐出する。吐出ヘッド35Yは、吐出口36からイエローインクを吐出する。吐出ヘッド35Kは、吐出口36から黒インクを吐出する。白インクを吐出する4個の吐出ヘッド35Wと、カラーインクを吐出する吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとは、副走査方向に離間して配置されている。
印刷装置30は、吐出ヘッド35を主走査方向に走査させながらインクを吐出させることで、主走査方向に画素列を形成する印刷を行う。印刷装置30は、1回(1パス)の走査による画素列の印刷が終了すると、プラテン39を副走査方向に移動させて、再び1回の走査による画素列の印刷を行う。印刷装置30は、以上の動作を印刷データに従って繰り返し実行することで複数の画素列の印刷を行い、布帛上に、主走査方向と副走査方向の夫々に画素列が並ぶ画像を形成する。なお、便宜上、主走査方向に沿って並ぶ画素列の並びを「行」といい、副走査方向に沿って並ぶ画素列の並びを「列」という場合がある。
なお、吐出ヘッド35を移動させずにプラテン39を移動させて印刷を実行する場合にも、本発明は適用できる。つまり、印刷装置30は、吐出ヘッド35とプラテン39とを相対的に移動させるものであればよい。
図3を参照し、印刷装置30及びPC1の電気的構成について説明する。印刷装置30は、印刷装置30の制御を司るCPU40を備える。CPU40には、ROM41、RAM42、ヘッド駆動部43、モータ駆動部45、表示制御部48、操作処理部50、及びUSBインタフェース52が、バス55を介して接続されている。
ROM41には、印刷装置30の動作を制御するための制御プログラム、後述するメインプログラム、初期値等が記憶されている。RAM42には、各種データが一時的に記憶される。ヘッド駆動部43は、インクを吐出する吐出ヘッド35に接続しており、吐出ヘッド35の各吐出チャンネルに設けられた圧電素子又は発熱体を駆動する。モータ駆動部45は、主走査モータ46と副走査モータ47を駆動する。主走査モータ46は、吐出ヘッド35を主走査方向に移動させる。副走査モータ47は、プラテン39を副走査方向に移動させる。表示制御部48は、CPU40による指示に応じてディスプレイ49の表示を制御する。ディスプレイ49には、印刷装置30の操作に関する各種画面やメッセージ等が表示される。操作処理部50は、操作パネル51に対する操作の入力を受け付ける。ユーザは、操作パネル51から各種情報及び指示を入力できる。USBインタフェース52は、印刷装置30をPC1等の外部機器に接続する。
PC1は、PC1の制御を司るCPU10を備える。CPU10には、ROM11、RAM12、CD−ROMドライブ13、ハードディスク装置(以下、「HDD」という)14、表示制御部16、操作処理部17、USBインタフェース18、及びネットワークインタフェース15が、バス19を介して接続されている。
ROM11には、CPU10が実行するBIOS等のプログラムが記憶されているRAM12は各種情報を一時的に記憶する。CD−ROMドライブ13には、記録媒体であるCD−ROM6が挿入される。CD−ROM6に記録されているデータは、CD−ROMドライブ13によって読み出される。PC1は、CD−ROM6又はインターネット等を介して、元印刷データを作成するためのプログラム(プリンタドライバ)等を取得し、HDD14に記憶させる。HDD14は不揮発性の記憶装置であり、プリンタドライバ、各種テーブル等を記憶する。表示制御部16は、モニタ2の表示を制御する。操作処理部17は、ユーザが操作入力を行うためのキーボード3及びマウス4に接続し、操作入力を受け付ける。USBインタフェース18は、PC1を印刷装置30等の外部機器に接続する。ネットワークインタフェース15は、PC1をインターネット等の外部ネットワークに接続する。
本実施形態に係る印刷装置30は、PC1から元印刷データを取得し、後述するメインプログラムに従って分割印刷データを作成し、作成した分割印刷データ又は元印刷データに基づく印刷処理を行い、布帛に画像を印刷する。
図4を参照して元印刷データに基づく通常の印刷処理について説明する。なお、図4では、簡略化のため、実際の個数よりも少ない数の吐出口36が図示された1つの吐出ヘッド35により、実際よりも低い解像度で行われる印刷処理を例に説明する。
なお、吐出ヘッド35は複数の吐出口36を有する。例えば、吐出ヘッド35の夫々の吐出口36は、副走査方向における画素の並びで4画素分の間隔を有して形成されているものとする。吐出ヘッド35は、1回の走査において、夫々の吐出口36から吐出するインクによって、複数の画素列を夫々4画素離した位置(例えば、図4の例では、元印刷データに基づく1行目、5行目、9行目及び13行目)に同時に形成することができる。
印刷装置30は、印刷データに従って、吐出ヘッド35を主走査方向の一方向である往路方向に移動させながら、吐出口36からインクを吐出させ、元印刷データにおける1行目、5行目、9行目及び13行目の画素列に相当する第一画素列101を印刷する(P1)。第一画素列101の印刷が終了すると、印刷装置30は、プラテン39を副走査方向の一方向である搬送方向に1画素分移動させる。印刷装置30は、吐出ヘッド35を往路方向とは逆の復路方向に移動させながら、印刷データに従って吐出口36からインクを吐出させ、元印刷データにおける2行目、6行目、10行目及び14行目の画素列に相当する第二画素列102の印刷を行う(P2)。第二画素列102は、副走査方向において第一画素列101に隣り合う画素列である。印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に1画素分移動させ、上記同様の動作を繰り返して、往路で第三画素列103を印刷し(P3)、復路で第四画素列104を印刷する(P4)。第三画素列103は、元印刷データにおける3行目、7行目、11行目及び15行目の画素列に相当し、副走査方向において第二画素列102に隣り合う画素列である。第四画素列104は、元印刷データにおける4行目、8行目、12行目及び16行目の画素列に相当し、副走査方向において第三画素列103に隣り合う画素列である。副走査方向に4画素分離れた2つの第一画素列101間は、第二画素列102、第三画素列103及び第四画素列104の印刷によって埋められる。
印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に吐出ヘッド35の長さ分移動させ、印刷データに従って、上記同様、往路で第五画素列105を印刷し(P5)、復路で第六画素列106を印刷する(P6)。第五画素列105は、元印刷データにおける17行目、21行目、25行目及び29行目の画素列に相当し、副走査方向において第四画素列104に隣り合う画素列である。第六画素列106は、元印刷データにおける18行目、22行目、26行目及び30行目の画素列に相当し、副走査方向において第五画素列105に隣り合う画素列である。更に、印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に1画素分移動させ、上記同様の動作を繰り返して、往路で第七画素列107を印刷し(P7)、復路で第八画素列108を印刷する(P8)。第七画素列107は、元印刷データにおける19行目、23行目、27行目及び31行目の画素列に相当し、副走査方向において第六画素列106に隣り合う画素列である。第八画素列108は、元印刷データにおける20行目、24行目、28行目及び32行目の画素列に相当し、副走査方向において第七画素列107に隣り合う画素列である。副走査方向に4画素分離れた2つの第五画素列105間は、第六画素列106、第七画素列107及び第八画素列108の印刷によって埋められる。
印刷装置30は、以上の動作を繰り返し実行し、副走査方向において隣り合う画素列の印刷を順に行う。布帛上には、元印刷データに基づく印刷処理によって、複数の画素列によって構成される画像等が印刷される。以下の説明においては、元印刷データに基づいて画素が形成される布帛上の所定の領域を元領域80という。
ここで、例えば布帛に対してベタ塗りによる印刷が行われる場合を例に、布帛に吐出されたインクの状態について着目する。第一画素列101の印刷開始当初に吐出されたインク111は、布帛に染み込み、布帛の厚み方向と平面方向に広がりながら徐々に乾燥する。第一画素列101の印刷終了間際に吐出されたインク112は、第一画素列101の印刷開始当初のインク111と比べ、インクがまだ湿った状態であり、布帛への染み込みが少ない。第二画素列102の印刷が開始されると、第一画素列101の印刷終了間際のインク112に対し、副走査方向において1画素分離れた位置に、インク113が吐出される。そして、第二画素列102の印刷終了時には、第一画素列101の印刷開始当初のインク111に対し、副走査方向において1画素分離れた位置に、インク114が吐出される。第二画素列102の印刷開始当初のインク113と、第一画素列101の印刷終了間際のインク112とは、布帛への染み込みの度合いと乾燥の度合いが、ほぼ同じ状態である。どちらのインクも、徐々に布帛に染みこんで広がりながら乾燥するため、夫々のインク112,113によって形成された画素間の濃さに差を生じにくい。
これに対し、第一画素列101の印刷開始当初のインク111と、第二画素列102の印刷終了間際のインク114とは、布帛への染み込みの度合いと乾燥の度合いが異なった状態である。第二画素列102の印刷終了間際のインク114は、第一画素列101の印刷開始当初のインク111が布帛に沿った平面方向に大きく広がり乾燥が進んだ状態で吐出される。故に、第二画素列102の印刷終了間際のインク114は、一部が、第一画素列101の印刷開始当初のインク111が乾燥して形成した膜の上に載る形態で布帛上に配置される。インク111の膜上に載ったインク114の部分は、布帛への厚み方向に染み込みにくく、インク111の膜上で乾燥する。インク111の膜上に載らなかったインク114の部分は、布帛に染み込み、広がりながら乾燥する。よって、インク111とインク114とが重なって配置された部分と、重ならなかった部分との間で、インク111,114によって形成された画素間の濃さに差が生ずる。このため、通常の印刷処理によって印刷された画像では、画素列の境界がスジとして現れる所謂バンディングを、画素の濃さの差によって主走査方向においてグラデーション状に生ずる可能性がある。
次に、図5を参照し、分割印刷データに基づいて印刷を行う場合の印刷処理について説明する。なお、以下の説明において、一例として、元印刷データを、副走査方向の解像度が夫々1/2となるように分割した2つの分割印刷データ、即ち第一分割印刷データと第二分割印刷データとを用いて印刷する場合について説明する。
ここで、本実施形態の分割印刷データは、元印刷データに含まれる吐出情報を、画像を構成する画素の行(即ち主走査方向)に沿って並ぶ画素の組ごとに、以下に示す(1)式を満たし、i組目の分割印刷データに基づき形成されるn行目又はn列目の画素列を、元印刷データに基づき形成されるN行目又はN列目の画素列に対応させた、m組の吐出情報の組に分割したデータである。
N=m×n+(i−m)・・・(1)
但し、(1)式において、Nは元印刷データに基づき形成される画素の並びにおける行の通し番号を表す整数であり、mは分割数を表す整数であり、nは分割印刷データに基づき形成される画素の並びにおける行の通し番号を表す整数であり、iは分割の組の通し番号を表す1からmまでの整数である。
例えば、元印刷データを、解像度が夫々1/2である第一分割印刷データと第二分割印刷データに分割する場合、分割数mは2である。第一分割印刷データの組番号を1(i=1)、第二分割印刷データの組番号を2(i=2)とする。例えば、第一分割印刷データの1〜3行目の画素列に対応する元印刷データの画素列の行番号Nは、(1)式によれば、以下の値をとる。
N=2×1+(1−2)=1
N=2×2+(1−2)=3
N=2×3+(1−2)=5
このように、第一分割印刷データ(i=1)の1〜3行目(n=1、2、3)の画素列は、夫々、元印刷データの1、3、5行目(N=1、3、5)の画素列に対応する。即ち、第一分割印刷データの各行の画素列は、元印刷データの奇数行の画素列に対応する。
同様に、例えば、第二分割印刷データの1〜3行目の画素列に対応する元印刷データの画素列の行番号Nは、(1)式によれば、以下の値をとる。
N=2×1+(2−2)=2
N=2×2+(2−2)=4
N=2×3+(2−2)=6
このように、第二分割印刷データ(i=2)の1〜3行目(n=1、2、3)の画素列は、夫々、元印刷データの2、4、6行目(N=2、4、6)の画素列に対応する。即ち、第二分割印刷データの各行の画素列は、元印刷データの偶数行の画素列に対応する。
具体例を以下に説明する。印刷装置30は、吐出ヘッド35を往路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口36からインクを吐出させ、元印刷データに基づく画像における1行目、5行目、9行目及び13行目の画素列に相当する第一画素列121を印刷する(P11)。第一画素列121の印刷が終了すると、印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させる。印刷装置30は、吐出ヘッド35を復路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口36からインクを吐出させ、元印刷データに基づく画像における3行目、7行目、11行目及び15行目の画素列に相当する第二画素列122を印刷する(P12)。
印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に吐出ヘッド35の長さ分移動させる。印刷装置30は、吐出ヘッド35を往路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口36からインクを吐出させ、元印刷データに基づく画像における17行目、21行目、25行目及び29行目の画素列に相当する第三画素列123を印刷する(P13)。印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させ、上記と同様の動作を行って、元印刷データに基づく画像における19行目、23行目、27行目及び31行目の画素列に相当する第四画素列124を印刷する(P14)。第一画素列121、第二画素列122、第三画素列123及び第四画素列124は、いずれも元印刷データに基づく画像における奇数行の画素列であり、夫々、副走査方向において1行分の間隙を有する。
印刷装置30は、プラテン39を、副走査方向において搬送方向とは逆の方向に移動させ、印刷開始位置に戻す。更に、印刷装置30は、搬送方向において第一画素列121から1画素分移動した位置に吐出ヘッド35を配置させる。印刷装置30は、吐出ヘッド35を往路方向に移動させながら、第二分割印刷データに従って、元印刷データにおける2行目、6行目、10行目及び14行目の画素列に相当する第五画素列125を印刷する(P15)。第五画素列125は、副走査方向において第一画素列121と第二画素列122との間に印刷される。印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させ、上記同様、第二分割印刷データに従って、吐出ヘッド35を復路方向に移動させながら、元印刷データにおける4行目、8行目、12行目及び16行目の画素列に相当する第六画素列126を印刷する(P16)。第六画素列126は、副走査方向において第二画素列122と第一画素列121との間に印刷される。
印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に吐出ヘッド35の長さ分移動させる。印刷装置30は、第二分割印刷データに従って、吐出ヘッド35を往路方向に移動させながら、元印刷データにおける18行目、22行目、26行目及び30行目の画素列に相当する第七画素列127を印刷する(P17)。第七画素列127は、副走査方向において第三画素列123と第四画素列124との間に印刷される。更に印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させ、上記同様、元印刷データにおける20行目、24行目、28行目及び32行目の画素列に相当する第八画素列128を印刷する(P18)。第八画素列128は、副走査方向において第四画素列124と第二画素列122との間に印刷される。第五画素列125、第六画素列126、第七画素列127及び第八画素列128は、いずれも元印刷データにおける偶数行の画素列であり、第一画素列121、第二画素列122、第三画素列123及び第四画素列124の夫々の間隙を埋めて印刷される。
このように、印刷装置30は、第一分割印刷データに従って、副走査方向に半分の解像度で、元印刷データの奇数行の画素列に相当する第一画素列121、第二画素列122、第三画素列123及び第四画素列124の印刷を行う。印刷装置30は、プラテン39を印刷前の位置に戻し、第二分割印刷データに従って、副走査方向に半分の解像度で、元印刷データの偶数行の画素列に相当する第五画素列125、第六画素列126、第七画素列127及び第八画素列128の印刷を行う。第一画素列121、第二画素列122、第三画素列123及び第四画素列124の間が第五画素列125、第六画素列126、第七画素列127及び第八画素列128によって埋められ、布帛上に複数の画素列によって構成される画像等が印刷される。
ここで、上記同様、ベタ塗りの場合を例に、布帛に吐出されたインクの状態について着目する。第一分割印刷データに従って、第一画素列121の印刷開始当初に吐出されたインク131は、布帛に染み込み、布帛の厚み方向と平面方向に広がりながら徐々に乾燥する。第一画素列121の印刷終了間際に吐出されたインク132も同様に、布帛に染み込んで広がりながら、徐々に乾燥する。第二画素列122の印刷が開始され、第一画素列121の印刷終了間際のインク132から2画素分離れた位置に、第二画素列122の印刷開始当初のインク133が吐出される。また、第一画素列121の印刷開始当初のインク131から2画素分離れた位置に、第二画素列122の印刷終了間際のインク134が吐出される。第二画素列122のインク133,134は、いずれも、第一画素列121のインク132,131から2画素分離れているので、夫々が独立に布帛に染み込み、広がりながら乾燥する。
第二分割印刷データに従って、第一画素列121と第二画素列122との間に第五画素列125が印刷される時、インク131〜134の状態は、平面方向に大きく広がり乾燥が進んだ状態である。第五画素列125の印刷開始当初のインク135は、一部が、第一画素列121の印刷開始当初のインク131と、第二画素列122の印刷終了間際のインク134とが夫々乾燥して形成した膜の上に載る形態で、布帛上に配置される。インク131,134の膜上に載ったインク135の部分は、布帛への厚み方向に染み込みにくく、インク131,134の膜上で乾燥する。同様に、第五画素列125の印刷終了間際のインク136は、一部が、第一画素列121の印刷終了間際のインク132と、第二画素列122の印刷開始当初のインク133とが夫々乾燥して形成した膜の上に載る形態で、布帛上に配置される。インク132,133の膜上に載ったインク136の部分は、布帛への厚み方向に染み込みにくく、インク132,133の膜上で乾燥する。第五画素列125の印刷過程における他のインクについても同様である。よって、インク131〜136によって形成された画素間の濃さの差が小さくなる。このため、分割した印刷処理によって印刷された画像では、バンディングが発生しづらく、印刷品質を向上することができる。更に、第二分割印刷データに基づいて吐出されたインクが、第一分割印刷データに基づいて吐出されたインクが乾燥して生じた膜上に載るように配置されるので、インクの重なる部分を形成でき、インクによって形成する画素の濃さを、画像全体において高めることができる。
このように、元印刷データに示される吐出情報の組を上記(1)式に基づいてm組に分割した分割印刷データが作成されることによって、印刷装置30は、分割印刷データごとに、副走査方向に(m−1)画素分の間隔を空けた画素列を印刷することができる。即ち、印刷装置30は、一つの分割印刷データに基づく印刷処理において、副走査方向に隣り合う画素列に連続して画素列を形成することがない。従って、印刷装置30は、インクの吐出位置による色濃度差を生じさせにくく、バンディングの発生を抑制することができる。
また、例えば、吐出ヘッド35の夫々の吐出口36が、上記の例のように4画素分の間隔を有して形成されているとする。(1)式によって副走査方向に(m−1)画素分の間隔を空けた画素列を印刷するように設定することができるので、4画素分の間隔をあけた画素列を印刷するように設定することができる。このため、4画素分の間隔をあけた画素列を、吐出ヘッド35の夫々の吐出口36を用いて1回の走査で印刷することができる。よって、例えば、(1)式が用いられず、副走査方向にランダムな間隔を空けた画素列を印刷するように設定され、走査回数が増える場合に比べて、印刷時間を短くすることができる。
印刷装置30が印刷処理を分割して行うための分割印刷データは、PC1から受信する元印刷データを、印刷装置30のCPU40がメインプログラムに従って加工することで作成される。CPU40は、分割印刷データに従って印刷処理を分割して行うことで、布帛への画像等の印刷を分割して行う。
図6を参照し、CPU40が実行するメイン処理について説明する。印刷装置30の電源スイッチ(図示略)がオンにされた場合に、CPU40はROM41からメインプログラムを読み出してメイン処理を実行する。
PC1では、ユーザの操作に基づいて、布帛に形成する画像を編集するためのアプリケーションが実行される。PC1のCPU10は、アプリケーションから画像の印刷命令が出力されたら、プリンタドライバを実行し、アプリケーションにおいて作成された画像のデータから、元印刷データを作成する。CPU10は、元印刷データを印刷装置30に送信する。
図6に示すように、CPU40は、PC1から送信される元印刷データを取得したか否かを判断する(S11)。元印刷データが取得されていない場合(S11:NO)、CPU40は、ユーザによる操作パネル51(図3参照)の操作による、各種設定の指示が入力されたか否かを判断する(S12)。例えば、S12においては、後述する第一作成処理と第二作成処理との一方を実行する指示が受け付けられる。また、S12においては、後述する待機時間の設定の有無についての指示が受け付けられる。また、S12においては、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成する指示が受け付けられる。各種設定の指示が入力されていない場合(S12:NO)、CPU40は処理をS11に戻す。各種設定の指示が入力された場合(S12:YES)、CPU40は、S12において入力された指示をRAM42に記憶する(S13)。次いで、CPU40は処理をS11に戻す。
元印刷データが取得された場合(S11、YES)、CPU40は、S11において取得した元印刷データに含まれる分割印刷フラグがオンか否か判断する(S14)。分割印刷フラグは、分割印刷データを作成して印刷処理を行うか否かの指示を示すフラグである。PC1のCPU10は、プリンタドライバを実行して元印刷データを作成する場合に、ユーザの操作に基づいて、分割印刷フラグのオン・オフを設定し、元印刷データに含める。分割印刷フラグがオフの場合(S14:NO)、CPU40は、分割印刷データを作成せず、元印刷データに基づく印刷を実行する(S15)。S15においては、図4において説明した印刷処理と同様に印刷を実行する。すなわち、CPU40は、元印刷データに含まれる吐出情報に従って、吐出ヘッド35とプラテン39とを相対的に主走査方向及び副走査方向に移動させながら、各吐出口36からインクを吐出させ、プラテン39上に載置した布帛に画像を印刷する公知の処理を実行して印刷する。CPU40は、元印刷データに基づく印刷が終了すると、CPU40は、処理をS11に戻す。元印刷データに含まれる分割印刷フラグがオンの場合(S14:YES)、CPU40は、分割印刷データ作成処理を実行する(S16)。
図7を参照し、分割印刷データ作成処理について説明する。CPU40は、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成するか否かを判断する(S31)。例えば、S13(図6参照)によって印刷面積に基づいて分割印刷データを作成する設定がRAM42に記憶されている場合、CPU40は、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成すると判断する(S31:YES)。また、例えば、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成する指示を示すフラグが元印刷データに含まれている場合、CPU40は、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成すると判断する(S31:YES)。
印刷面積に基づいて分割印刷データを作成しない場合(S31:NO)、CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成するか否かを判断する(S32)。以下の説明に置いては、分割印刷データに基づいて形成される画素列の形成領域である分割領域が元領域80に対して占める割合を占有率という。第一作成処理は、個々の分割印刷データについての占有率が100%未満であり、全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%となるように、複数の分割印刷データを作成する処理である。全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%であるので、個々の分割印刷データに基づく分割領域は互いに重複しない。よって、個々の分割印刷データに基づくインクの吐出位置は重複しない。
例えば、S13(図6参照)によって第一作成処理によって分割印刷データを作成する設定がRAM42に記憶されている場合、CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成すると判断する(S32:YES)。また、例えば、第一作成処理によって分割印刷データを作成する指示を示すフラグが元印刷データに含まれている場合、CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成すると判断する(S32:YES)。
第一作成処理によって分割印刷データを作成する場合(S32:YES)、CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成する(S33)。以下の説明においては、第一具体例として、元領域80における奇数行の画素列を形成するための吐出情報で構成される第一分割印刷データと、元領域80における偶数行の画素列を形成するための吐出情報で構成される第二分割印刷データとを作成する場合について説明する。この場合、第一分割印刷データと第二分割印刷データとの占有率は、夫々50%であり、その合計値は100%である。
第一具体例における第一分割印刷データと第二分割印刷データとを作成する場合、S33においては、以下のように処理が行われる。CPU40は、上記(1)式に基づき、元印刷データに含まれる吐出情報を、奇数行の画素列を形成するための吐出情報の組と、偶数行の画素列を形成するための吐出情報の組とに分割する。そして、CPU40は、奇数行の画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第一分割印刷データを作成し、偶数行の画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第二分割印刷データを作成する。すなわち、CPU40は、元印刷データに示される吐出情報を、副走査方向に沿って並ぶ画素列の組ごとに複数(第一具体例においては2つ)に分割し、分割した夫々の組を設定した第一分割印刷データと第二分割印刷データとを作成する。CPU40は、作成した第一分割印刷データと第二分割印刷データとをRAM42に記憶する。
次いで、CPU40は、待機時間を設定するか否かを判断する(S35)。待機時間とは、印刷装置が複数の分割印刷データのいずれかに基づく印刷処理(以下、第一印刷処理という)を実行した後、複数の分割印刷データのうちの他の分割印刷データに基づく印刷処理(以下、第二印刷処理という)を実行する場合に、第一印刷処理を終了してから第二印刷処理を開始するまでの間の待機する時間である。なお、第一具体例の場合は、第一分割印刷データに基づく第一印刷処理が実行された後に、第二分割印刷データに基づく第二印刷処理が実行される。
例えば、S13(図6参照)によって待機時間を設定する指示に基づく設定がRAM42に記憶されている場合、CPU40は、待機時間を設定すると判断する(S35:YES)。また、例えば、待機時間を設定する指示を示すフラグが元印刷データに含まれている場合、CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成すると判断する(S35:YES)。また、例えば、CPU40は、S33又はS34において作成した複数の分割印刷データを用いた印刷処理をシミュレーションして、想定される印刷時間等に基づいて、待機時間を設定するか否かを判断してもよい。
待機時間を設定しない場合(S35:NO)、CPU40は、処理をメイン処理に戻す。図6に示すように、CPU40は、変数Pを1に設定し、RAM42に記憶する(S17)。次いで、CPU40は、プラテン39を、印刷開始位置に配置する(S18)。
次いで、CPU40は、変数Pが示すP番目の分割印刷データに基づき、印刷処理を実行する(S19)。変数P=1である場合、処理順において1番目の分割印刷データである第一分割印刷データに基づき、印刷処理が実行される。第一具体例においては、第一分割印刷データに基づき、図5において説明した場合と同様に、布帛上に、奇数行の画素列のみの印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度の1/2である画像が形成される。また、奇数行の画素列のみが印刷されるので、CPU40は、元印刷データに基づく印刷処理による全ての画素列の印刷にかかる時間のおよそ半分の時間で、第一分割印刷データに基づく印刷処理を終了することができる。
次いで、CPU40は、全ての分割印刷データに基づく印刷処理を実行したか否かを判断する(S20)。第一具体例においては第二分割印刷データに基づく印刷処理が実行されていないと判断され(S20:NO)、CPU40は、変数Pをインクリメントし、RAM42に記憶する(S21)。次いで、CPU40は、S19によって搬送方向に移動したプラテン39を、印刷開始位置に戻す(S22)。次いで、CPU40は、待機時間が設定されているか否かを判断する(S23)。第一具体例の場合、S36(図7参照)が実行されていないので、待機時間が設定されていない。このため、待機時間が設定されていないと判断され(S23:NO)、CPU40は処理をS19に戻す。
S21においてP=2に設定されているので、CPU40は、処理順において2番目の分割印刷データである第二分割印刷データに基づき、印刷処理を実行する(S19)。第一具体例においては、第二分割印刷データに基づき、図5において説明した場合と同様に、布帛上に、偶数行の画素列のみの印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度の1/2である画像が更に形成される。また、偶数行の画素列のみが印刷されるので、CPU40は、元印刷データに基づく印刷処理による全ての画素列の印刷にかかる時間のおよそ半分の時間で、第二分割印刷データに基づく印刷処理を終了することができる。
偶数行の画素列は、既に印刷された奇数行の画素列の間に印刷される。従って、布帛上には、全ての画素列の印刷が行われ、元印刷データに基づく画像と同様の画像が形成される。このように、第二分割印刷データに基づく偶数行の画素列の印刷は、第一分割印刷データに基づく全ての奇数行の画素列の印刷を終えてから行われる。即ち、前述したように、奇数行の画素列を構成する画素を形成するインクが乾燥して形成した膜の上に、偶数行の画素列を形成するインクが載る形態で印刷される。従って、布帛上には、インクによって形成される画素の濃さが全体において高められた画像が形成される。
第一具体例の場合、第二分割印刷データを用いた印刷を実行した後、CPU40は、全ての分割印刷データに基づく印刷処理を実行したと判断し(S20:YES)、処理をS11に戻す。
このように、本実施形態の印刷装置30は、作成した第一分割印刷データに基づき、吐出ヘッド35を布帛に対して一通り走査させ、布帛上に奇数行の画素列を印刷する。印刷装置30は、第二分割印刷データに基づき、吐出ヘッド35を布帛に対して再度走査させ、副走査方向において、奇数行の画素列に隣り合う偶数行の画素列を布帛上に印刷する。すなわち、印刷装置30は、奇数行の画素列を印刷してから、偶数行の画素列を形成するためのインクが吐出されるまでの間に、吐出ヘッド35が布帛に対して一通り走査することによる時間差を有する。従って、奇数行の画素列のインクは、乾燥時間を確保できる。偶数行の画素列の形成に要するインクは、奇数行の画素列のインクがある程度乾燥して形成した膜の上に吐出されることによって、布帛への染み込みが抑制されるので、色濃度の低下を抑制できる。このように、印刷装置30は、複数の分割印刷データを作成することによって、印刷した画像の色濃度を従来よりも高めることができる。よって、印刷装置30は、印刷品質を向上させることができる。
また、画像全体において、偶数行の画素列のインクは、いずれの吐出位置においても、奇数行の画素列のインクがある程度乾燥した状態で、その隣に吐出される。即ち、奇数行の画素列に含まれるいずれかの画素のインクの状態と、その画素の隣に形成される偶数行の画素列に含まれる画素のインクの状態との関係は、画素列の一端側、他端側を問わず、画像全体においてほぼ同様の関係となる。よって、印刷装置30は、複数の分割印刷データを作成することによって、インクの吐出位置による色濃度差を生じさせにくく、バンディングの発生を抑制することができる。よって、印刷装置30は、印刷品質を向上させることができる。
また、分割印刷データに基づく画像を構成する画素列は、元印刷データに基づく画像を構成する画素列の一部を間引いて構成される画素列である。従って、分割印刷データに基づく画像の解像度は、元印刷データに基づく画像の解像度よりも低い。よって、分割印刷データに基づく印刷処理において吐出ヘッド35が布帛上を走査する回数は、元印刷データに基づく印刷処理における走査の回数よりも少ない。即ち、一つの分割印刷データに基づく印刷処理にかかる時間は、元印刷データに基づく印刷処理にかかる時間と比べて、走査回数の差の分、短い。全ての分割印刷データに基づく吐出ヘッドの走査回数の合計は、元印刷データに基づく吐出ヘッドの走査回数と略同じである。故に、全ての分割印刷データに基づく印刷処理にかかる時間は、プラテン39が1つの分割印刷データに基づく印刷処理の後、印刷開始位置に戻るのに要する時間分、元印刷データに基づく印刷処理にかかる時間より多い程度である。従って、印刷装置30は、分割印刷データに基づいて印刷処理を分割して行っても、印刷処理にかかる時間を、元印刷データに基づく印刷処理にかかる時間と比較して大幅に増やすことがない。すなわち、本実施形態における印刷装置30は、印刷の時間の増加を抑制しつつ、印刷した画像の印刷品質を向上させることができる。後述するS39(図7参照)において作成される分割印刷データについても同様である。
また、CPU40は、個々の分割印刷データについての占有率が100%未満であり、且つ全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%となるように、複数の分割印刷データを作成する第一作成処理を実行する(S33)。このため、個々の分割印刷データに基づいて形成される画像の解像度は、元印刷データに基づいて形成される画像の解像度よりも低い。しかし、全ての分割印刷データに基づく印刷処理が、インクの吐出位置が重複することなく、且つ占有率が100%未満の分割領域に対して夫々行われることによって、元領域80には、元印刷データに基づいて形成される画像の解像度と同じ解像度の画像が形成される(図5参照)。つまり、印刷処理を分割する場合のインクの使用量は、元印刷データに基づいて印刷処理を行う場合のインクの使用量と同じである。従って、印刷装置30は、印刷処理に使用するインクの量を増やすことなく、従来よりも印刷品質を高めることができる。後述するS39(図7参照)において作成される分割印刷データについても同様である。
次に、第一具体例の場合に加えて、待機時間を設定する場合を第二具体例として説明する。第二具体例の場合、第一具体例と同様に、CPU40は、図6に示すS11〜S14、S16、図7に示すS31、S32、S33、及びS35の処理を実行する。CPU40は、待機時間を設定すると判断し(S35:YES)、待機時間を設定し、RAM42に記憶する(S36)。
本実施形態においては、一例として、待機時間は15秒に設定されるとする。次いで、CPU40は、処理を図6に示すメイン処理に戻し、S17〜S23の処理を行う。CPU40は、待機時間が設定されていると判断し(S23:YES)、S36又はS42(後述)において設定した待機時間が経過したか否かを判断する(S24)。待機時間が経過していない場合(S24:NO)、CPU40は、S24を繰り返す。すなわち、待機時間が経過するまで待機する。なお、図示しないが、S36又はS42(後述)において待機時間が設定された場合、ソフトウェアタイマー等によってS19による印刷処理が終了した時点からの時間が計測される。CPU40は、計測された時間が待機時間である15秒を経過するまで待機する。待機時間が経過した場合(S24:YES)、CPU40は、処理をS19に戻し、第二分割印刷データによる印刷処理を実行する。
このように、第二分割印刷データに基づく第二印刷処理を開始する前に、待機時間の経過を待つことによって、CPU40は、第一分割印刷データに基づく印刷処理において吐出されたインクの乾燥のため、少なくとも待機時間分の乾燥時間をさらに確保することができる。例えば、待機時間が設定されていない場合において、印刷面積が比較的小さい場合、第一分割印刷データに基づく印刷処理の時間が短く、インクが乾く前に、第二分割印刷データに基づく印刷処理が開始される可能性がある。しかし、本実施形態においては待機時間が設定されるので、印刷面積が比較的小さい画像の印刷であっても、インクの乾燥時間を確保できる可能性が高くなる。このため、画素間の濃さの差が、印刷面積が比較的大きい画像の印刷と同等の印刷品質を確保することができる。
次に、第二作成処理によって分割印刷データを作成する場合について説明する。第二作成処理は、全ての分割印刷データについての占有率が100%以下であり、少なくとも1つの分割印刷データについての占有率が100%未満であり、全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%より大きくなるように、複数の分割印刷データを作成する処理である。全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%より大きいので、個々の分割印刷データに基づく分割領域が互いに重複する領域が存在する。よって、個々の分割印刷データに基づくインクの吐出位置には、互いに重複する部分がある。
CPU40は、第一作成処理によって分割印刷データを作成しないと判断し(S32:NO)、第二作成処理によって分割印刷データを作成する(S34)。以下の説明においては、第三具体例として、元印刷データにおける4の倍数の行の画素列を形成するための吐出情報で構成される第一分割印刷データと、元印刷データにおける全ての吐出情報で構成される第二分割印刷データとを作成する場合について説明する。この場合、第一分割印刷データの占有率は25%であり、第二分割印刷データの占有率は100%であり、その合計値は125%である。
第三具体例における第一分割印刷データと第二分割印刷データとを作成する場合、S34においては、以下のように処理が行われる。CPU40は、元印刷データに含まれる吐出情報を、(1)式に基づき4の倍数の行の画素列を形成するための吐出情報の組と、全ての画素列を形成するための吐出情報の組とに分割する。そして、CPU40は、4の倍数の行の画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第一分割印刷データを作成し、全ての画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第二分割印刷データを作成する。すなわち、CPU40は、元印刷データに示される吐出情報を、副走査方向に沿って並ぶ画素列の組ごとに複数(2つ)に分割し、分割した夫々の組を設定した第一分割印刷データと第二分割印刷データとを作成する。CPU40は、作成した第一分割印刷データと第二分割印刷データとをRAM42に記憶する。
次いで、CPU40は、処理をS35に進める。なお、第三具体例においては説明しないが、第二具体例の場合と同様に、S36の処理が実行され、待機時間が設定されてもよい。
図6に示すように、CPU40は、印刷処理を実行する(S19)。第三具体例においては、変数P=1である場合、第一分割印刷データに基づき、布帛上に、4の倍数の行の画素列のみの印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度の1/4である画像が形成される。また、4の倍数の行の画素列のみが印刷されるので、CPU40は、元印刷データに基づく印刷処理による全ての画素列の印刷にかかる時間のおよそ1/4の時間で、第一分割印刷データに基づく印刷処理を終了することができる。
CPU40は、プラテン39を印刷開始位置に戻した後(S22)、S19の処理を実行する。S21においてP=2に設定されているので、CPU40は、処理順において2番目の分割印刷データである第二分割印刷データに基づき、印刷処理を実行する(S19)。第三具体例においては、第二分割印刷データに基づき、布帛上に、全ての画素列の印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度と同じ画像が更に形成される。この場合、4の倍数の行の画素列においては、第一分割印刷データに基づく分割領域と、第二分割印刷データに基づく分割領域とが重複する。
前述したように、第二作成処理においては、全ての分割印刷データについての占有率が100%以下であり、少なくとも1つの分割印刷データについての占有率が100%未満であり、全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%より大きくなるように、複数の分割印刷データが作成される(S34)。このため、夫々の分割印刷データに基づいて布帛上に印刷がなされる領域である分割領域は、少なくとも一部の領域が重複する状態で、元印刷データに基づく印刷がなされる元領域80内の全ての領域を占める。すなわち、元領域80には、元印刷データに基づいて形成される画像の解像度と同じ解像度の画像が形成される。従って、CPU40は、印刷処理を分割して行い、印刷した画像の色濃度を従来よりも高めることができる。更に、CPU40は、インクを重複して吐出させ、更なる色濃度の向上を図ることができる。よって、印刷装置30は、印刷品質を向上させることができる。なお、S34において作成される第一分割印刷データは、例えば、奇数行の画素列を形成するための吐出情報のみから構成されてもよい。
また、第一分割印刷データに基づく画像を構成する画素列は、元印刷データに基づく画像を構成する画素列の一部を間引いて構成される画素列である。従って、第一分割印刷データに基づく画像の解像度は、元印刷データに基づく画像の解像度よりも低い。よって、第一分割印刷データに基づく印刷処理において吐出ヘッド35が布帛上を走査する回数は、元印刷データに基づく印刷処理における走査の回数よりも少ない。故に、全ての分割印刷データに基づく印刷処理にかかる時間は、元印刷データに基づく印刷処理にかかる時間と比べて、第一分割印刷データに基づく印刷処理分、及び、プラテン39が第一分割印刷データに基づく印刷処理の後、印刷開始位置に戻るのに要する時間分、多い程度である。従って、印刷装置30は、分割印刷データに基づいて印刷処理を分割して行っても、印刷処理にかかる時間を、元印刷データに基づく印刷処理かかる時間と比較して大幅に増やすことがない。また、第一分割印刷データと第二分割印刷データとが両方とも、元印刷データにおける全ての吐出情報で構成する場合に比べて、印刷処理に係る時間を削減することができる。すなわち、本実施形態における印刷装置30は、印刷の時間の増加を抑制しつつ、印刷した画像の印刷品質を向上させることができる。後述するS40(図7参照)において作成される分割印刷データについても同様である。
次に、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成する場合について説明する。CPU40は、印刷面積に基づいて分割印刷データを作成すると判断し(S31:YES)、印刷面積算出処理を実行する(S37)。
図8を参照して、印刷面積算出処理について説明する。印刷面積算出処理においては、CPU40は、元印刷データに示される吐出情報に基づいて、布帛上に印刷される画像の面積を算出する。以下詳細に説明する。
CPU40は、元印刷データのうちの1行又は1列の画素列に注目し、処理対象とする(S51)。CPU40は、注目した画素列を形成するための吐出情報に基づいて、注目した画素列の印刷によって形成される画素の数を求める(S52)。CPU40は、求めた画素数を合計数に加算し、RAM42に記憶する(S53)。CPU40は、S51において元印刷データに含まれる全ての画素列について注目したか否か判断する(S54)。CPU40は、未注目の画素列があれば(S54:NO)、処理をS51に戻して未注目の画素列に注目し、上記同様、画素数を求めて合計数に加算する。CPU40は、全ての画素列の画素数を合計数に加算し、未注目の画素列がなければ(S54:YES)、印刷面積を算出する(S55)。本実施形態の印刷装置30は、例えば、1200×1200dpiの解像度での印刷が可能であり、1平方cmあたりの画素数は、約22万3200画素である。従って、CPU40は、合計数を223200で割ることで、印刷面積[cm2]を算出する。CPU40は、算出した印刷面積をRAM42に記憶し、処理を分割印刷データ作成処理(図7参照)に戻す。
図7に示すように、CPU40は、S37において算出された印刷面積が、予め設定された所定面積以下か否かを判断する(S38)。なお、所定面積は、ROM41(図3参照)に予め記憶されている。印刷面積が所定面積以下でない場合(S38:NO)、CPU40は、S33と同様に、第一作成処理によって分割印刷データを作成する(S39)。また、印刷面積が所定面積以下である場合(S38:YES)、CPU40はS33と同様に、第二作成処理によって分割印刷データを作成する(S40)。
CPU40は、S39又はS40を実行後、S37において算出された印刷面積が、予め設定された所定面積以下か否かを判断する(S41)。なお、本実施形態においては、S38の判断に用いられる所定面積と、S41の判断に用いられる所定面積とは同じ面積であるとするが、異なる面積であってもよい。
印刷面積が所定面積以下である場合(S41:YES)、S36と同様に、待機時間が設定される(S42)。印刷面積が所定面積以下でない場合(S41:NO)、又は、S42が実行された後、CPU40は、処理をメイン処理(図6参照)に戻し、S17〜S24の処理を実行する。
なお、印刷装置30において、印刷処理が行われる場合の吐出ヘッド35とプラテン39の相対的な移動速度は、印刷条件に因らず、一定であるものとする。従って、第一分割印刷データに基づく印刷処理にかかる時間は、おおむね、印刷面積に対応する。故に、印刷面積が所定面積より大きければ、第一分割印刷データに基づく印刷処理に続いて第二分割印刷データに基づく印刷処理を行っても、第一分割印刷データに基づく印刷処理において吐出されたインクの乾燥時間を得ることができる。
また、印刷面積が所定面積以下の場合(S41:YES)、待機時間が設定される(S42)。一方、印刷面積が所定面積より大きい場合(S41:NO)、待機時間が設定されない。すなわち、CPU40はS41において、S37において算出した印刷面積に応じて、待機時間の設定の有無を設定している。そして、CPU40は、S41において待機時間の設定ありと設定された場合に(S41:YES)、待機時間を設定している(S42)。印刷面積が所定面積以下である場合に、待機時間を設定することで、第一分割印刷データに基づく印刷処理の実行後、待機時間経過後に、第二分割印刷データに基づく第二印刷処理の実行を開始させ、インクの乾燥時間を確保することができる。このように、印刷面積に応じて待機時間の有無を設定することで、CPU40は、印刷した画像の色濃度を確保し、印刷品質を高めることができる。
また、CPU40は、印刷面積が所定面積以下の場合、分割領域が重複しない複数の分割印刷データを作成し(S39)、且つ、待機時間を設定する(S42)。このため、印刷装置30は、待機時間の経過を待ってから、第二分割印刷データに基づく印刷処理を行うので、印刷結果における色濃度を高め、印刷品質を確保することができる。さらに、インクの吐出を重複させないため、印刷装置30は、インクの使用量を節約し、印刷コストを低減することができる。
また、CPU40が実行するS38は、S37において算出した印刷面積に応じて、S39又はS40の処理を実行させる処理である。第一作成処理(S39)によって作成される複数の分割印刷データと、第二作成処理(S40)によって作成される複数の分割印刷データとでは、分割領域の重複の有無及び占有率が異なる。すなわち、CPU40はS40において、S37において算出した印刷面積に応じてS39の実行とS40の実行とを選択することによって、分割領域の重複の有無及び占有率を設定している。このため、印刷面積に応じて分割領域の重複の有無及び占有率が設定されない場合に比べて、印刷した画像の色濃度を確保し、印刷品質を高めることができる。
より詳細に説明する。例えば、布帛に印刷される画像の面積が小さいほど、第一分割印刷データに基づき吐出されたインクの乾燥が不十分な状態で、第二分割印刷データに基づくインクが吐出される可能性がある。第一分割印刷データに基づき吐出されるインクと、その隣に吐出される第二分割印刷データに基づき吐出されるインクは、共に記録媒体に染み込んで広がりながら乾燥するので、色濃度が薄くなりやすい。本実施形態においては、印刷面積が所定面積以下であれば、十分な乾燥時間を得られる。このため、CPU40は、分割領域が重複する複数の分割印刷データを作成し(S38:YES、及びS40)、分割領域を重複させて印刷し、印刷した画像の色濃度を高める。そして、印刷面積が所定面積より大きければ、分割領域を重複させずに印刷しても、印刷した画像の色濃度を高めることができる。このため、CPU40は、分割領域が重複しない複数の分割印刷データを作成する(S38:NO、及びS39)。このように、CPU40は、画像の面積に応じて、分割領域の重複の有無を設定することで、印刷した画像の色濃度を確保し、印刷品質を高めることができる。
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態においては、CPU40は、第一作成処理と第二作成処理との一方を実行する指示を受け付け(S12:YES)、RAM42に記憶する(S13)。そして、CPU40は、第一作成処理と第二作成処理とのうち、S12において受け付けた指示が示す処理を実行する(S32、S33、及びS34)。すなわち、分割領域が重複しない複数の分割印刷データを作成する第一作成処理を実行する指示が受け付けられた場合、第一作成処理によって複数の分割印刷データを作成する。これによって、印刷処理に使用するインクの量を増やすことなく、従来よりも印刷品質を高めることができる。また、分割領域が重複する複数の分割印刷データを作成する第二作成処理を実行する指示が受け付けられた場合、第二作成処理によって複数の分割印刷データを作成する。これによって、分割印刷による本実施形態の効果に加え、インクを重複して吐出させることによる更なる色濃度の向上を図ることができる。また、操作パネル51(図3参照)の操作によって第一作成処理と第二作成処理とを選択できるので、ユーザの利便性が向上する。
また、CPU40は、待機時間の設定の有無についての指示を受け付け(S12:YES)、RAM42に記憶する(S13)。そして、CPU40は、S12によって待機時間の設定ありを示す指示を受け付けた場合に(S35:YES)、待機時間を設定する(S36)。すなわち、待機時間が設定されない場合、CPU40は、第一印刷処理の実行後、直ちに第二印刷処理を開始する(S23:NO)。このため、印刷データに基づく印刷処理にかかる時間を低減することができる。待機時間が設定された場合、CPU40は、第一印刷処理の実行後、待機時間が経過するまで、第二印刷処理の開始を待機する(S24)。これによって、第一印刷処理において吐出されたインクの乾燥時間を確実に確保することができる。従って、印刷装置30は、従来よりも確実に印刷品質を高めることができる。また、操作パネル51(図3参照)の操作によって待機時間の有無を設定できるので、ユーザの利便性が向上する。
上記実施形態において、印刷装置30が本発明の「印刷データ作成装置」の一例である。S11の処理を行うCPU40は本発明の「元印刷データ取得手段」の一例である。S33,S34,S39,及びS40の処理を行うCPU40は本発明の「分割印刷データ作成手段」の一例である。S37〜S40の処理を行うCPU40は本発明の「第一設定手段」の一例である。S36及びS42の処理を行うCPU40は本発明の「待機時間設定手段」の一例である。S41及びS42の処理を行うCPU40は本発明の「第二設定手段」の一例である。S12の処理を行うCPU40は本発明の「第一受付手段」及び「第二受付手段」の一例である。S11の処理は本発明の「元印刷データ取得ステップ」の一例である。S33,S34,S39,及びS40の処理は本発明の「分割印刷データ作成ステップ」の一例である。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、S12及びS13の処理が実行されず、各種設定の指示が受け付けられなくてもよい。
また、CPU40は、第一作成処理によって2つの分割印刷データを作成していた(S33及びS39)。しかし、個々の分割印刷データについての占有率が100%未満であり、且つ全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%となるように分割印刷データを作成すればよく、第一作成処理によって3つ以上の分割印刷データを作成してもよい。一例として、CPU40は、副走査方向の解像度が夫々1/3となるように元印刷データを分割した第一分割印刷データ、第二分割印刷データ及び第三分割印刷データを作成してもよい。この場合、第一分割印刷データ、第二分割印刷データ、第三分割印刷データは、夫々、上記(1)式に基づき、例えば3の倍数から2を引いた画素列、3の倍数から1を引いた画素列、3の倍数の行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。また、CPU40は、元印刷データを夫々1/4ずつに分割してもよいし、夫々1/5ずつに分割してもよい。
また、元印刷データを分割する割合は、等分でなくてもよい。一例として、CPU40は、副走査方向の解像度が夫々1/2、1/4、1/4となるように分割した第一分割印刷データ、第二分割印刷データ、及び第三分割印刷データを作成してもよい。この場合、第一分割印刷データは、例えば奇数行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。また、第二分割印刷データは、例えば4の倍数の行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。そして第三分割印刷データは、残りの画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。
また、CPU40は、第二作成処理によって第一分割印刷データと第二分割印刷データとの2つの分割印刷データを作成していた(S34及びS40)。しかし、全ての分割印刷データについての占有率が100%以下であり、少なくとも1つの分割印刷データについての占有率が100%未満であり、全ての分割印刷データについての占有率の合計値が100%より大きくなるように、複数の分割印刷データを作成すればよく、第二作成処理によって3つ以上の分割印刷データを作成してもよい。一例として、CPU40は、副走査方向の解像度が夫々1/2、1/2、1/2となるように分割した第一分割印刷データ、第二分割印刷データ及び第三分割印刷データを作成してもよい。なお、例えば、元印刷データに基づく画像全体の解像度が1200dpiの場合、第一〜第三分割印刷データに基づく画像の解像度1/2は、夫々、600dpi(占有率は50%)である。この場合、第一分割印刷データと第三分割印刷データは、例えば奇数行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。また、第二分割印刷データは、例えば偶数行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。
また、CPU40は一例として、副走査方向の解像度が夫々1/4、1/2、1/2、1/4となるように分割した第一分割印刷データ、第二分割印刷データ、第三分割印刷データ、及び第四分割印刷データを作成してもよい。なお、例えば、元印刷データに基づく画像全体の解像度が1200dpiの場合、第一,第四分割印刷データに基づく画像の解像度1/4は、夫々、300dpi(占有率は25%)であり、第二,第三分割印刷データに基づく画像の解像度1/2は、夫々、600dpi(占有率は50%)である。この場合、第一分割印刷データは、例えば4の倍数から2を引いた画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。第二分割印刷データは、例えば奇数行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。第三分割印刷データは、例えば偶数行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。そして第四分割印刷データは、例えば4の倍数の行の画素列を印刷するための吐出情報のみから構成すればよい。
また、S36及びS42において設定される待機時間の設定方法は限定されない。例えば、印刷装置30が第一印刷処理を開始してから第二印刷処理を開始するまでの間隔が、所定時間となる待機時間を設定してもよい。所定時間はROM41に予め記憶されている。所定時間は、例えば、第一印刷処理を開始後に印刷した最初の画素列のインクが十分に乾く時間に設定されている。所定時間は、一例として30秒であるとする。この場合、待機時間そのものではなく、所定時間30秒が設定され、RAM42に記憶される(S36及びS42)。そして、図示しないが、ソフトウェアタイマー等によってS19による印刷処理が開始した時点からの時間が計測される。第一印刷処理を実行し(S19)、プラテン39を開始位置に戻し(S22)。所定時間が経過するまで待機する(S24:NO)、そして、所定時間が経過した場合に(S24:YES)、第二印刷処理を開始する(S19)。ここで、第一印刷処理が実行される時間が20秒であるとする。この場合、第一印刷処理を終了してから第二印刷処理を開始するまでの間の待機する時間である待機時間は、10秒となる。すなわち、S36においては、所定時間が設定されることで、待機時間10秒が設定されていることとなる。
また、所定時間が設定されることで、待機時間が設定されていたが、CPU40は、印刷装置30が第一印刷処理を開始してから第二印刷処理を開始するまでの間隔が、所定時間となる待機時間そのものを設定してもよい(S36及びS42)。この場合、CPU40は、第一印刷処理に要する想定時間を、分割印刷データに基づいて算出する。そして、ROM41に記憶されている所定時間から、算出した第一印刷処理に要する想定時間を減算した値を待機時間として設定する(S36及びS42)。そして、CPU40は、S19による印刷処理が終了した時点からの時間を計測し、計測した時間が待機時間を経過するまで待機する(S24)。
このように、印刷装置30が第一印刷処理を開始してから第二印刷処理を開始するまでの間隔が、所定時間となる待機時間を設定した場合、第一印刷処理を開始してから第二印刷処理を開始するまでの間隔が考慮されない場合に比べて、より確実にインクの乾燥時間を確保できる。従って、CPU40は、印刷面積が比較的小さい画像の印刷であっても、画素間の濃さの差が、印刷面積が比較的大きい画像の印刷と同等の印刷品質をより確実に確保することができる。
なお、所定時間が第一印刷処理の時間より短い場合には、S24においてすぐに待機時間が経過したと判断される(S24:NO)。または、S36及びS42において待機時間が0秒に設定される。また、S35、S36、S41、及びS42の処理が実行されず、待機時間が設定されなくてもよい。
また、S24において待機時間が経過するまで待機されていた。ここで、第一分割印刷データに基づく印刷処理の時間と、待機時間とを合わせた時間を待機合計時間というとする。この場合において、S24において待機時間が経過するまで待機するのではなく、第一分割印刷データに基づく印刷処理において、吐出ヘッド35とプラテン39の主走査方向及び副走査方向への相対的な移動速度を調整し、第一分割印刷データに基づく印刷処理の終了時、又は印刷処理が終了してプラテンを開始位置を戻した時に、待機合計時間が経過するようにしてもよい。すなわち、本実施形態における待機時間とは、印刷装置30が印刷処理を実行していない時間に限られず、吐出ヘッド35とプラテン39の主走査方向及び副走査方向への相対的な移動速度を調整して、印刷処理の終了時間を遅らせる時間という概念も含む。
また、本実施形態では、CPU40は、複数の分割印刷データを作成する場合に、元印刷データに示される吐出情報を主走査方向に並ぶ画素列の組ごとに分割した。これに限らず、CPU40は、元印刷データに示される吐出情報を副走査方向に並ぶ画素列の組ごとに分割し、複数の分割印刷データを作成してもよい。この場合においても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、PC1のCPU10がプリンタドライバの実行において複数の分割印刷データを作成してもよい。即ちCPU10は、PC1において実行されるアプリケーションから出力される印刷命令に基づいて、アプリケーションにおいて作成された画像のデータから、元印刷データを作成する。次いでCPU10は、本実施形態のメイン処理におけるS11及びS16、及び図7〜図8に示す各処理を実行し、元印刷データから、複数の分割印刷データを作成する。CPU10は、複数の分割印刷データを1つの印刷データとして結合して印刷装置30に送信する。なお、待機時間が設定される場合には、印刷データに待機時間を示す情報が含まれればよい。印刷装置30のCPU40は、印刷データを受信し、印刷データに含まれる複数の分割印刷データ及び待機時間を示す情報に基づいて印刷すればよい。PC1は、元印刷データに基づいて、複数の分割印刷データを含む印刷データを作成し、印刷装置30に分割印刷を行わせることによって、本実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、PC1が、本発明の「印刷データ作成装置」に相当する。
また、全ての分割印刷データを作成した後に(S33、S34、S39、及びS40)、印刷が行われていたが(S19)。これに限定されない。例えば、CPU40は、第一分割印刷データを作成した直後に、第一分割印刷データに基づいて印刷を行い、プラテン39を開始位置に戻す。次に、第二分割印刷データを作成し、第二分割印刷データに基づいて印刷を行う。すなわち、CPU40は、分割印刷データを作成しつつ、印刷を行ってもよい。CPU40はさらに待機時間を設定し、印刷装置30を待機させるようにしてもよい。この場合においても、本実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、CPU40は、S33、S34、S39、及びS40において、元印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、個々の分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度の整数倍であり、且つ、個々の分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、吐出ヘッドの吐出口の配列における解像度の整数倍となるように、複数の分割印刷データを作成してもよい。例えば、元印刷データの解像度が1200dpiであり、吐出ヘッド35の吐出口36の配列における解像度が150dpiである場合、分割印刷データの解像度は、150dpi、300dpi、600dpiなどであってもよい。
仮に、分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、吐出口36の配列における解像度の整数倍でない場合、印刷装置30は、分割印刷データに基づく画像の形成において使用されない吐出口36を生じさせ、印刷効率が低下して印刷速度が遅くなる可能性がある。元印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度の整数倍でない場合についても同様である。本変形例においては、個々の分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、吐出口36の配列における解像度の整数倍であるので、整数倍でない場合に比べて、印刷装置30は、吐出ヘッド35の全ての吐出口36を余らせることなく効率よく使用して、分割印刷データに基づく画像を形成することができる。また、元印刷データに基づき印刷される画像の解像度が、分割印刷データに基づき印刷される画像の解像度の整数倍であるので、整数倍でない場合に比べて、印刷装置30は、吐出ヘッド35の全ての吐出口36を余らせることなく効率よく使用して、元印刷データに基づく画像と同じ画像を、印刷データに基づいて形成することができる。
また、複数の分割印刷データが作成される場合に、(1)式と異なる条件によって作成されてもよい。分割印刷データを作成する処理の一例として、第一作成処理と第二作成処理とを示したが、他の方法によって、分割印刷データが作成されてもよい。例えば、図9に示す分割条件テーブル110を用いて分割印刷データが作成されてもよい。この場合、図7に示す分割印刷データ作成処理に代えて、図10に示す変形例に係る分割印刷データ作成処理が実行されてもよい(図6のS16)。以下、この変形例について詳述する。
図10に示す分割条件テーブル110は、予め印刷面積に応じて、分割条件、分割合計値、及び待機時間の有無が設定され、テーブル化されたものであり、ROM41に記憶されている。図10に示すように、CPU40は、S37(図7参照)と同様に、印刷面積算出処理を実行する(S61)。これによって、印刷面積が算出される。
CPU40は、図9に示す分割条件テーブル110に基づいて、印刷面積に応じた分割条件を決定する(S62)。一例として、印刷面積が25cm2未満の場合、CPU40は、第一分割印刷データ及び第二分割印刷データの副走査方向の解像度が夫々1/4及び1となるように元印刷データを分割し、且つ、待機時間の設定ありのパターンを決定する。例えば、元印刷データに基づく画像全体の解像度が1200dpiの場合、第一分割印刷データに基づく画像の解像度1/4は、300dpi(占有率は25%)であり、第二分割印刷データに基づく画像の解像度1は、1200dpi(占有率は100%)である。なお、仮に分割印刷データに基づく画像の解像度が1/2であれば、600dpi(占有率は50%)である。
印刷面積が25cm2未満の場合、第一分割印刷データの分割条件が解像度を1/4とする条件であり、第二分割印刷データの分割条件が解像度を1とする条件である。このため、CPU40は、元印刷データに含まれる吐出情報を、4の倍数の行の画素列を形成するための吐出情報の組と、全ての画素列を形成するための吐出情報の組とに分割する。そして、CPU40は、4の倍数の行の画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第一分割印刷データを作成し、全ての画素列を形成するための吐出情報の組で構成される第二分割印刷データを作成する。
次いで、CPU40は、待機時間を設定するか否かを判断する(S64)。印刷面積が25cm2未満の場合、待機時間の設定ありのパターンであるので、CPU40は、待機時間を設定すると判断する(S64:YES)。CPU40は、図7に示すS36及びS42と同様に待機時間を設定する(S65)。次いで、CPU40は、処理をメイン処理(図6参照)に戻す。CPU40は、S17〜S24の処理を実行し布帛上に画像を印刷する。
第一分割印刷データに基づき、布帛上に、4の倍数の行の画素列のみの印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度の1/4である画像が形成される。そして、待機時間経過後に(S24:YES)、第二分割印刷データに基づき、布帛上に、全ての画素列の印刷が行われる。これによって、副走査方向の解像度が、元印刷データに基づく印刷により形成される画像の副走査方向の解像度と同じ画像が更に形成される。
なお、分割条件テーブル110(図9参照)によれば、印刷面積が60cm2以上の場合は、待機時間を設定せず(S64:NO)、処理をメイン処理(図6参照)に進める。分割条件テーブル110によれば、印刷面積が60cm2未満の場合は、待機時間が設定され、印刷面積が60cm2以上の場合は、待機時間が設定されない。すなわち、CPU40は、S61において算出した印刷面積に応じて、待機時間の設定の有無を設定している。ここで、前述したように、印刷面積が小さいほど、第一分割印刷データに基づき吐出されたインクの乾燥が不十分な状態で、第二分割印刷データに基づくインクが吐出される可能性が高くなる。第一分割印刷データに基づくインクと、その隣に吐出される第二分割印刷データに基づくインクは、共に記録媒体に染み込んで広がりながら乾燥するので、色濃度が薄くなりやすい。故に、CPU40は、印刷面積が60cm2未満であれば、第一分割印刷データに基づく印刷処理の実行後、待機時間経過後に、第二分割印刷データに基づく第二印刷処理の実行を開始させ、インクの乾燥時間を確保する。このように、印刷面積に応じて待機時間の設定の有無を設定することで、CPU40は、印刷した画像の色濃度を確保し、印刷品質を高めることができる。
また、S61において算出された印刷面積に応じて、第一分割印刷データと第二分割印刷データとの解像度が異なる。すなわち、CPU40は、S61において算出した印刷面積に応じて、分割領域の重複の有無及び占有率を設定している(S62及びS63)。このため、印刷面積に応じて分割領域の重複の有無及び占有率を設定されない場合に比べて、印刷した画像の色濃度を確保し、印刷品質を高めることができる。
更に、印刷面積に応じて、インクの吐出を重複させて色濃度を高める処理と、待機時間を設定することによって色濃度を高める処理とを組み合わせることによって、CPU40は、印刷品質を確保しながらも、印刷時間の短縮を図ることができる。
なお、CPU40は、分割条件テーブル110に基づき、印刷面積に応じて印刷処理の分割パターンを決定したが、印刷面積に限らず、スキャン時間等に応じて印刷処理の分割パターンを決定してもよい。
スキャン時間とは、印刷処理において、全ての画素列形成のため吐出ヘッド35がプラテン39に対して相対的に走査するのにかかる時間である。S61の処理において、CPU40は、単純に、画素列上でインクが吐出される位置に対応する印刷面積を求めたが、画素列上にはインクが吐出されない位置も含まれる。このため、印刷面積が比較的小さくとも、印刷範囲が広く、インクの乾燥時間を確保できる場合がある。スキャン時間に応じて印刷処理の分割パターンを決定する場合、CPU40は、図10に示す分割印刷データ作成処理において、図11に示す分割条件テーブル120に基づいて、分割条件を決定する。スキャン時間は、例えば、図8の印刷面積算出処理の一部の処理を変更し、以下のように求める。印刷面積算出処理のS52において、CPU40は、注目した画素列の主走査方向の一端の画素を形成するための吐出情報と、主走査方向の他端の画素を形成するための吐出情報とに基づいて、両画素の形成位置間の画素数を求める。即ち、両画素の形成位置間の画素数には、画素列上でインクが吐出されない位置も含まれる。CPU40は、印刷面積算出処理と同様に、全ての画素列の画素数の合計数を求めた後、スキャン時間を算出する。本実施形態の印刷装置30は、例えば、1秒当りA個の画素の印刷が可能であり、また、1回の走査による複数行の画素列を形成した後、吐出ヘッド35の往復移動における移動方向の変更にかかる時間としてB秒を要する。この場合、CPU40は、合計数をAで割った秒数と、全ての画素列を形成するための移動方向を変更する回数にBを掛け合わせた秒数とを加算し、スキャン時間を求める。
図11に示すように、CPU40は、以上のように求めたスキャン時間が15秒未満であれば、インクの吐出を重複させ、待機時間ありのパターンで印刷処理を行う。スキャン時間が15秒以上30秒未満であれば、CPU40は、インクの吐出を重複させず、待機時間ありのパターンで印刷処理を行う。スキャン時間が30秒以上50秒未満であれば、CPU40は、インクの吐出を重複させ、待機時間なしのパターンで印刷処理を行う。そして、スキャン時間が50秒以上であれば、CPU40は、インクの吐出を重複させず、待機時間なしのパターンで印刷処理を行う。このように、スキャン時間に応じて、インクの吐出を重複させて色濃度を高める処理と、設定時間の経過を待機することによって色濃度を高める処理とを組み合わせることによって、印刷装置30は、印刷品質を確保しながら印刷時間の短縮を図ることができる。
また、第一印刷処理と第二印刷処理の間の待機時間が予め設定されている場合において、CPU40は、待機時間の長さに応じて、分割領域の重複の有無及び占有率を設定してもよい。
また、前述したように、本実施形態のキャリッジ34は、複数の吐出ヘッド35を複数備え、4個の吐出ヘッド35Wと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとを副走査方向に離間して配置する構成である。印刷装置30は、4個の吐出ヘッド35Wを、夫々シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、黒インクを吐出する第一の吐出ヘッド351として使用し、元の吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kを第二の吐出ヘッド352として使用してもよい。この場合、CPU40は、印刷を第一の吐出ヘッド351に実行させる情報を含む少なくとも1つの分割印刷データと、印刷を第二の吐出ヘッドに実行させる情報を含む他の分割印刷データとを作成する(S33、S34、S39、及びS40)。そして、CPU40は、各分割印刷データに含めた情報に基づいて第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352とによって印刷を行えばよい(S19)。
例えば、第一の吐出ヘッド351で第一分割印刷データに基づく印刷処理を行い、第二の吐出ヘッド352で第二分割印刷データに基づく印刷処理を行ってもよい。図12を参照し、2つの吐出ヘッドで分割して印刷を行う本変形例における印刷処理ついて説明する。なお、図12では、簡略化のため、実際の個数よりも少ない数の吐出口361と吐出口362が夫々図示された1つの第一の吐出ヘッド351と1つの第二の吐出ヘッド352により、実際よりも低い解像度で行われる印刷処理を例に説明する。なお、以下の説明において、一例として、元印刷データを、副走査方向の解像度が夫々1/2となるように分割した第一分割印刷データと第二分割印刷データとを用いて画像を形成するとする。本変形例の場合、CPU40は、印刷を第一の吐出ヘッド351に実行させる情報を含む第一分割印刷データと、印刷を第二の吐出ヘッド352に実行させる情報を含む第二分割印刷データとを作成する(S33、S34、S39、及びS40)。
CPU40は、各分割印刷データに含まれる情報に基づいて印刷を実行する(S19)。すなわち、印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を往路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って第一の吐出ヘッド351の吐出口361からインクを吐出させ、元印刷データにおける1行目、5行目、9行目及び13行目の画素列に相当する第一画素列321印刷する(P21)。第一画素列321の印刷が終了すると、印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させる。印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を復路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口361からインクを吐出させ、元印刷データにおける3行目、7行目、11行目及び15行目の画素列に相当する第二画素列322を印刷する(P22)。
印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に第一の吐出ヘッド351の長さ分移動させる。印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を往路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口361からインクを吐出させ、元印刷データにおける17行目、21行目、25行目及び29行目の画素列に相当する第三画素列323を印刷する(P23)。同時に、印刷装置30は、第二分割印刷データに従って第二の吐出ヘッド352の吐出口362からインクを吐出させ、元印刷データにおける2行目、6行目、10行目及び14行目の画素列に相当する第四画素列324を印刷する(P23)。第四画素列324は、第一画素列321と第二画素列322の間に印刷される。印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させる。印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を復路方向に移動させながら、第一分割印刷データに従って吐出口361からインクを吐出させ、元印刷データにおける19行目、23行目、27行目及び31行目の画素列に相当する第五画素列325を印刷する(P24)。同時に、印刷装置30は、第二分割印刷データに従って第二の吐出ヘッド352の吐出口362からインクを吐出させ、元印刷データにおける4行目、8行目、12行目及び16行目の画素列に相当する第六画素列326を印刷する(P24)。第六画素列326は、第二画素列322と第一画素列321との間に印刷される。
印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に第一の吐出ヘッド351の長さ分移動させる。印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を往路方向に移動させながら、第二分割印刷データに従って吐出口362からインクを吐出させ、元印刷データにおける18行目、22行目、26行目及び30行目の画素列に相当する第七画素列327を印刷する(P25)。第七画素列327は、第三画素列323と第五画素列325との間に印刷される。印刷装置30は、プラテン39を搬送方向に2画素分移動させる。印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を復路方向に移動させながら、第二分割印刷データに従って吐出口362からインクを吐出させ、元印刷データにおける20行目、24行目、28行目及び32行目の画素列に相当する第八画素列328を印刷する(P26)。第八画素列328は、第五画素列325と第三画素列323との間に印刷される。
このように、印刷装置30は、第一分割印刷データに従って、第一の吐出ヘッド351の吐出口361からインクを吐出させ、第一画素列321、第二画素列322、第三画素列323及び第五画素列325を印刷する。更に、印刷装置30は、第二分割印刷データに従って、第二の吐出ヘッド352の吐出口362からインクを吐出させ、第四画素列324、第六画素列326、第七画素列327及び第八画素列328を印刷する。第一画素列321、第二画素列322、第三画素列323、及び第五画素列325の間が第四画素列324、第六画素列326、第七画素列327及び第八画素列328によって埋められ、布帛上に複数の画素列からなる画像等が形成される。
このように、印刷装置30は、第一分割印刷データに基づく印刷処理と、第二分割印刷データに基づく印刷処理とを夫々異なる吐出口361,362からのインクの吐出によって行うことができる。故に、印刷装置30は、2つの吐出ヘッド(第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352)を用いて異なる分割印刷データに基づく印刷を行わせることで、本実施形態同様の分割印刷の効果を得ることができる。更に、印刷装置30は、布帛の搬送方向への移動回数を減らし、印刷時間を短くすることができる。そして、本変形例のように、分割数が2であれば、印刷装置30は、第一の吐出ヘッド351と第二の吐出ヘッド352を副走査方向に相対的に一度移動させるだけで、全ての画素列の印刷を行うことができる。