JP4352458B2 - 投影光学系の調整方法、予測方法、評価方法、調整方法、露光方法及び露光装置、露光装置の製造方法、プログラム並びにデバイス製造方法 - Google Patents

投影光学系の調整方法、予測方法、評価方法、調整方法、露光方法及び露光装置、露光装置の製造方法、プログラム並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、投影光学系の調整方法、予測方法、評価方法、調整方法、露光方法及び露光装置、露光装置の製造方法、プログラム並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系の調整方法、投影光学系を介したパターンの像の特性を予測する予測方法、該予測方法を利用したパターンの像の特性を評価する評価方法、該評価方法を利用したパターンの像の形成状態を調整する調整方法、該調整方法又は前記投影光学系の調整方法を利用して物体上にパターンを形成する露光方法及び該露光方法又は投影光学系の調整方法の実施に好適な露光装置、前記投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を調整する工程を含む露光装置の製造方法、前記予測方法をコンピュータに実行させるプログラム、並びに前記露光方法又は露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
一般に、半導体素子、表示素子、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシーン等のマイクロデバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してウエハ又はガラスプレート等の感応物体(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写する、いわゆるステッパやいわゆるスキャナ(スキャニング・ステッパとも呼ばれる)などの投影露光装置が用いられている。
従来、この種の露光装置では、露光によりウエハ上に形成された縦線パターンと横線パターンとの転写像(レジスト像など)の線幅差が計測された場合に、投影光学系における縦線パターンと横線パターンとの像のコントラスト差の原因となるのはコマ収差等の非対称収差が主因であると考えられていた。このため、計測の結果、コマ収差等の非対称収差成分が計測されない場合には線幅差の補正は困難であった。
最近では、投影光学系の組立て時に、干渉計を用いて投影光学系の視野内(又は露光フィールド内)の各位置の波面収差を計測し、その計測された波面収差(収差関数)をツェルニケ(Zernike)多項式(例えばフリンジツェルニケ多項式)を用いて級数展開して、得られた級数の各項(各ツェルニケ項)の各係数(ツェルニケ係数)の大きさを、それぞれの目標値以下にするような調整が行われている。かかる調整をするのは、前記級数の各項(各ツェルニケ項)は、それぞれ特定の波面収差成分を表わし、各項の係数は各収差成分の大きさを表わすからである。
最近、投影光学系(投影レンズ)の収差の管理精度は、上述した投影光学系の製造工程への波面計測の導入、波面収差のツェルニケ多項式を用いた級数展開による管理により、飛躍的に向上した。
また、波面収差(収差関数)をツェルニケ多項式を用いて展開した各項(各ツェルニケ項)の大きさ(ツェルニケ係数)と、ツェルニケ感度(Zernike Sensitivity)表との線形結合に基づいて、投影光学系の結像性能、例えば収差(あるいはその指標値)を求める、所謂Zernike Sensitivity法により、収差の影響についても、簡易なものについては簡素な方法で判断することが可能になっている。ここで、Zernike Sensitivity(ツェルニケ感度)表とは、それぞれ異なる露光条件、すなわち光学条件(露光波長、最大N.A.、使用N.A.、照明N.A.照明系開口絞りの開口形状など)、評価項目(マスク種、線幅、評価量、パターンの情報など)と、これら光学条件と評価項目との組み合わせにより定まる複数の露光条件の下でそれぞれ求めた、投影光学系の結像性能、例えば諸収差(あるいはその指標値)の各ツェルニケ項の1λ当たりの変化量から成る計算表を指す。
しかしながら、所謂Zernike Sensitivity法が必ずしも適用できない評価量として、線幅変化がある。この線幅変化については、Proc.SPIE Vol.4346の第713頁に開示されているように、収差の回転対称成分(0θ成分)、2回回転対称成分(2θ成分)に応じて線幅が最大となるフォーカス位置が変化し、またその線幅の最大値も変化する。さらに、二つの収差(0θ成分、2θ成分)の相互作用が存在する。このために所謂Zernike Sensitivity法は線幅の推定には適用されてこなかった。
波面収差をフリンジツェルニケ多項式を用いて級数展開した上述の回転対称成分(0θ成分)項には、デフォーカスを表す低次の項すなわち第4項(係数Z4)や低次の球面収差を表す第9項(係数Z9)が含まれるが、これらの0θ成分項による波面の変化は等方的で、このため、V線(縦線)、H線(横線)のパターンの結像状態への影響は等しい。また、2回回転対称成分(2θ成分)項は低次の非点収差を表す第5項(係数Z5)、高次の非点収差を表す第12項(係数Z12)があるが、これらの2θ成分項の縦線のパターンの結像状態への影響と横線のパターンの結像状態への影響は符号は逆だが、その大きさは等しい。このため、従来は、この0θ成分項と2θ成分項の両方が存在する(すなわち両者の係数(成分)がともに零でない)ことによる、縦線、横線のパターン像の線幅に対する、収差の影響の差は考えられていなかった。
このような事情により、現状では、縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差に関しては、簡易かつ確実な判定方法がなく、従ってその調整が困難なものとなっている。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、特に、相互に直交するラインパターンの像同士の線幅差を自在に制御することを可能とする投影光学系の調整方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、投影光学系を介したパターンの像の特性を、簡易にかつ高精度に予測することができる予測方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、投影光学系を介したパターンの像の特性を簡易にかつ高精度に評価することができる評価方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、投影光学系を介したパターンの像の形成状態を簡易にかつ高精度に調整することができる調整方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、物体上にパターンを精度良く形成することができる露光方法及び露光装置を提供することにある。
本発明の第6の目的は、投影光学系を介したパターンの転写特性の予測を短時間かつ高精度にコンピュータに実行させるプログラムを提供することにある。
本発明の第7の目的は、デバイスの生産性の向上に寄与するデバイス製造方法を提供することにある。
一見、波面収差をツェルニケ多項式(例えばフリンジツェルニケ多項式)を用いて級数展開した回転対称成分(0θ成分)項と2回回転対称成分(2θ成分)項には相互に関連性がないように思われる。しかし、発明者等は、種々の実験(シミュレーションを含む)を繰り返した結果、実際には、動径多項式の独立変数ρが同一次数である0θ成分と2θ成分との各々による瞳面内の位相分布の相互作用により、瞳面内における波面の乱れが縦方向と横方向とで異なる場合があることを見出した。例えば、波面収差をフリンジツェルニケ多項式を用いて級数展開した第12項(係数Z12)の成分が零でないとき、球面収差成分である第9項(係数Z9)の大きさを投影光学系を構成する光学素子の移動や交換によって変更することにより、瞳面内の上下、左右方向の位相分布を制御することができ、前述の縦横線の線幅差を調整できることを見出した。
本発明は、発明者等が得た上記の新規知見に基づいてなされたもので以下のような方法及び構成を採用する。
本発明は、第1の観点からすると、第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系の調整方法であって、前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性の情報を得る第1工程と;前記第1面上に配置された所定方向に延びる第1のラインパターンとこれに直交する第2のラインパターンとの像を前記投影光学系を用いて前記第2面上に形成するとともに、前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差を計測する第2工程と;前記第1工程で得られた前記第1の光学特性の値と前記線幅差とに応じて、前記第1の光学特性との相互作用により前記線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを制御するように前記投影光学系を調整する第3工程と;を含む第1の投影光学系の調整方法である。
ここで、第2工程において第1のラインパターンと第2のラインパターンとの像を投影光学系を用いて形成しつつ、第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差を計測しても良いし、第1のラインパターンと第2のラインパターンとの像を形成した後に、前記線幅差を計測しても良い。
これによれば、例えば投影光学系の調整が困難な第1の光学特性の存在に起因して生じる前述の線幅差を、調整が容易な第2の光学特性の大きさを制御するように投影光学系を調整することで、制御することが可能となる。従って、従来困難とされていた、相互に直交するラインパターンの像同士の線幅差の制御を自在にかつ確実に行うことが可能となる。
この場合において、前記第1工程で得られる情報が、前記投影光学系の波面収差の情報である場合、前記第3工程では、前記第1工程で得た波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち4次以上(動径多項式の独立変数の次数が4次以上)の任意の2回回転対称成分項の大きさが零でないとき、前記2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに応じて、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを制御するように前記投影光学系を調整することとすることができる。
この場合において、前記2回回転対称成分項は、4次cos2θ成分項である第12項であり、前記回転対称成分項は4次0θ成分項である第9項であることとすることができるし、あるいは、前記2回回転対称成分項は、4次sin2θ成分項である第13項であり、前記回転対称成分項は4次0θ成分である第9項であることとすることができる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、第1工程で得られる情報が、投影光学系の波面収差の情報である場合、前記第1工程では、前記投影光学系の波面を直接計測することより前記波面収差の情報を得ることとすることができるし、あるいは、前記第1工程では、前記第1面上に配置されたサイズが異なる複数組の前記第1のラインパターンと前記第2のラインパターンとの像形成時におけるベストフォーカス位置の差を各組毎に計測し、この計測結果に基づいて、前記波面収差の情報として前記2回回転対称成分項の情報を推定することとすることもできる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、第1工程で得られる情報が、投影光学系の波面収差の情報である場合、前記第3工程では、前記2回回転対称成分項の大きさが零でなく、かつ前記第工程で計測された前記線幅差が零でないとき、前記2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに基づいて、前記線幅差が設計値に近づくように(例えば零となるように)、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを最適化するように前記投影光学系を調整することとすることができる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、第2工程において、第1、第2のラインパターンの空間像(投影像)を投影光学系を介して第2面上に形成し、それらの空間像を空間像計測器を用いて計測し、第1のラインパターンと第2のラインパターンの像の線幅を求めることもできるが、これに限らず、前記第2工程は、前記第2面上に配置された物体上に前記第1、第2のラインパターンの像を形成する像形成工程と;前記物体上に形成された前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅とを計測する線幅計測工程と;を含むこととすることができる。すなわち、物体上に形成された第1のラインパターン、第2のラインパターンの潜像、レジスト像、あるいはエッチング像などを露光装置のアライメント系、あるいはSEMなどを用いて計測し、その線幅を求めることができる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、前記第3工程では、前記投影光学系を構成する少なくとも1つの光学素子の少なくとも1自由度方向の位置制御及び一部の光路中の気体の気圧の制御の少なくとも一方により、前記第2の光学特性の大きさを制御することとすることができる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、前記第1のラインパターンは縦線パターンであり、前記第2のラインパターンは横線パターンであり、前記第1の光学特性と第2の光学特性とは、前記縦線パターンの像と前記横線パターンの像それぞれの線幅変化に対するツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおけるツェルニケ感度を求める工程と、そのクロスタームにおけるツェルニケ感度の符号が縦横線で異なるツェルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、を経て決定されていることとすることができる。
本発明の第1の投影光学系の調整方法では、前記第1工程で得られる情報は、前記投影光学系の波面収差の情報であり、前記第1及び第2の光学特性は、前記第1工程で得た波面収差を、ツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち同一次数で、かつ種類が異なる成分の項であることとすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、本発明の第1の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と;前記調整後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と;を含む第1の露光方法である。
これによれば、本発明の第1の投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を調整するので、縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差が設計値に忠実な値となるように投影光学系が調整される。例えば、同一線幅の縦線パターンと横線パターンの像の線幅差が最小(例えば零)となるように投影光学系が調整される。そして、この調整された投影光学系を用いて回路パターンが物体上に転写されるので、縦線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。
本発明は、第3の観点からすると、マスクに形成されたパターンを露光光学系を介して物体上に転写する露光装置であって、本発明の第1の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを特徴とする第1の露光装置である。
これによれば、本発明の第1の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を露光光学系として備えるので、その投影光学系を用いてマスクに形成されたパターンを物体上に転写することにより、縦線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。
本発明は、第4の観点からすると、第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系の調整方法であって、前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性の情報を得る第1工程と;前記第1工程で得られた前記第1の光学特性の値と、前記第1面上に配置された所定方向に延びる第1のラインパターンの線幅と前記第1のラインパターンに直交する第2のラインパターンの線幅との差とに応じて、前記第1の光学特性との相互作用によって前記投影光学系によって前記第2面上に形成される前記第1のラインパターンの像の線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅との差である線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを制御するように前記投影光学系を調整する第2工程と;を含む第2の投影光学系の調整方法である。
これによれば、第1の光学特性の値と、第1のラインパターンと第2のラインパターンの線幅との差とに応じて、第1の光学特性との相互作用によって投影光学系によって前記第2面上に形成される前記第1のラインパターンの像の線幅と前記第2のラインパターンの線幅との差である線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを制御するように投影光学系が調整される。このため、投影光学系によって第2面上に形成される第1のラインパターンの像の線幅と第2のラインパターンの線幅との差である線幅差が、第1面上の第1のラインパターンの線幅と第2のラインパターン線幅との差によって生じる場合、例えばマスク上のパターンの描画誤差などに起因して生じる場合に、直交するラインパターン同士の線幅差を自在に制御することが可能となる。
この場合において、前記第1のラインパターンは縦線パターンであり、前記第2のラインパターンは横線パターンであり、前記第1の光学特性と第2の光学特性とは、前記縦線パターンの像と前記横線パターンの像それぞれの線幅変化に対するツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおけるツェルニケ感度を求める工程と、そのクロスタームにおけるツェルニケ感度の符号が縦横線で異なるツェルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、を経て決定されていることとすることができる。
本発明は、第5の観点からすると、第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、本発明の第2の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と;前記調整後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と;を含む第2の露光方法である。
これによれば、本発明の第2の投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を調整するので、例えばマスク上のパターンの描画誤差などに起因して、投影光学系によって第2面上に形成される第1のラインパターンの像の線幅と第2のラインパターンの線幅との差である線幅差が生じる場合にも、直交するラインパターン同士の線幅差を自在に制御するような投影光学系の調整が行われ、この調整された投影光学系を用いて回路パターンが物体上に転写されるので、縦線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。
本発明は、第6の観点からすると、マスクに形成されたパターンを露光光学系を介して物体上に転写する露光装置であって、本発明の第2の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを特徴とする第2の露光装置である。
これによれば、本発明の第2の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を露光光学系として備えるので、その投影光学系を用いてマスクに形成されたパターンを物体上に転写することにより、縦線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。
本発明は、第の観点からすると、第1面上に配置されたパターンをエネルギビームで照明し、前記パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体上に転写する露光装置であって、前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性を計測する光学特性計測装置と;前記投影光学系により前記第2面上に形成された前記第1面上で所定方向に延びる第1のラインパターンとこれに直交する第2のラインパターンとの像の線幅をそれぞれ計測する線幅計測装置と;前記投影光学系によるパターン像の形成状態を調整する像形成状態調整装置と;前記光学特性計測装置で計測された前記第1の光学特性の値と、前記線幅計測装置で計測された前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差と、に応じて、前記第1の光学特性との相互作用により前記線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを、前記像形成状態調整装置を用いて制御する制御装置と;を備える第の露光装置である。
これによれば、光学特性計測装置により投影光学系の少なくとも第1の光学特性を含む光学特性が計測される。また、線幅計測装置により、投影光学系によって第2面(像面)上に形成された第1面(物体面)上で所定方向に延びる第1のラインパターンとこれに直交する第2のラインパターンとの像の線幅がそれぞれ計測される。ここで、線幅計測装置による線幅の計測は、第2面上に配置された物体上に形成された縦線パターンと横線パターンとの転写像(潜像、レジスト像、エッチング像)の線幅を計測しても良いし、縦線パターンと横線パターンとの空間像を第2面上に形成し、その空間像の線幅を計測しても良い。
そして、制御装置では、光学特性計測装置で計測された第1の光学特性が存在するとき、その第1の光学特性の値と,線幅計測装置で計測された前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差とに応じて、第1の光学特性との相互作用により線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを、像形成状態調整装置を用いて制御する。
このため、例えば第1の光学特性が調整が困難な光学特性である場合であっても、例えば調整が容易な第2の光学特性の大きさを像形成状態調整装置を用いて制御することで、第1の光学特性の存在に起因して生じる前述の線幅差を、制御することができる。
従って、第1面上に配置されたパターンをエネルギビームで照明し、そのパターンを、像形成状態調整装置により第2の光学特性が調整された後の投影光学系を介して第2面上に配置された物体上に転写することにより、直交するラインパターン転写像同士の線幅差が効果的に低減された良好な露光を実現することができる。
この場合において、前記光学特性計測装置は、前記投影光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置であることとすることができる。
この場合において、前記第1の光学特性は、前記波面収差計測装置で計測された波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち4次以上の任意の2回回転対称成分項であり、前記第2の光学特性は、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項であることとすることができる。
この場合において、前記2回回転対称成分項は、4次2θ成分項である第12項及び第13項のいずれかであり、前記回転対称成分項は4次0θ成分である第9項であることとすることができる。
本発明の第の露光装置では、前記線幅計測装置は、前記第2面上に形成された前記各パターンの投影像を計測する空間像計測器を含むこととすることもできるし、あるいは前記線幅計測装置は、前記第2面上に配置された物体上に形成された像を撮像する撮像装置を含むこととすることもできる。
本発明の第の露光装置では、前記像形成状態調整装置は、前記投影光学系を構成する少なくとも1つの光学素子の少なくとも1自由度方向の位置の調整、一部の光路中の気体の気圧の調整、前記エネルギビームの波長シフト量の調整、及び前記パターンが形成されたパターン形成部材及び前記物体の少なくとも一方の前記投影光学系の光軸方向に関する位置の調整、の少なくとも1つを行うこととすることができる。
本発明は、第8の観点からすると、投影光学系を介したパターンの像の特性を予測する予測方法であって、前記投影光学系の波面収差を所定の式を用いて級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因する移動量を算出して、前記算出された移動量に基づいて前記変動曲線を予測する予測工程を含む予測方法である。
投影光学系を介してパターンを転写する場合、そのパターンの像のサイズは、その転写位置の最良フォーカス位置からのデフォーカス量に応じて変動し、その変動を示す変動曲線、すなわちいわゆるCD−フォーカス曲線は、投影光学系の波面収差によって変化することが知られている。また、投影光学系の波面収差は、所定の式、例えばツェルニケ多項式を用いて級数展開することにより複数のツェルニケ項(収差成分項)に分解可能であることが知られている。
発明者等が鋭意研究した結果、上記ツェルニケ項の係数、すなわち収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値と、投影光学系を介して投影されるパターンの像に関する、前述の変動曲線の変化(すなわち、デフォーカス量及びパターン像のサイズをそれぞれ座標軸とする座標系上での、デフォーカス量方向及び像のサイズの方向に関するその変動曲線の平行移動)とに密接な関係があることが、判明した。
従って、本発明の予測方法によれば、上記の関係を利用して、多大な計算時間を要する複雑な計算を伴う結像シミュレーションを用いずとも、収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値を求めるという至極単純な演算により、所定の収差状態にある投影光学系を介した所定露光条件下でのパターンに関するCD−フォーカス曲線を短時間に予測することが可能となり、その予測結果に基づき、パターンの投影像(又は転写像)の特性を短時間に予測することが可能となる。
この場合において、前記予測工程に先立って、前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を、シミュレーションによって求め、求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むこととすることができる。
この場合において、前記予測工程では、前記所定露光条件下での前記デフォーカス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関する移動量を算出し、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を算出することとすることができる。
前述のように、変動曲線の移動は、デフォーカス量を示す軸の方向(デフォーカス量軸方向)に関する曲線の移動と、パターン像のサイズを示す軸の方向(像サイズ軸方向)に関する移動とに分解することができる。デフォーカス量の軸方向に関する変動曲線の移動は、投影光学系の波面収差を展開したときの各収差成分に感度があり、その移動量を、各収差成分の線形結合によって予測することができる。また、像のサイズの軸方向に関する変動曲線の移動は、各収差成分の二乗に感度があり、その移動量を、各収差成分の二乗の線形結合によって予測することができる。
この場合において、前記予測工程では、前記各収差成分の二乗の線形結合に加え、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化の方向に対する、互いに異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化に関する移動量を算出することとすることができる。
像のサイズの軸方向に関する変動曲線の移動は、各収差成分の二乗に感度があるだけでなく、互いに異なる収差成分同士のクロス項にも感度があるので、それらのクロス項の線形結合をさらに考慮すれば、像のサイズの軸方向の移動量をさらに精度良く予測することができる。
本発明の予測方法では、前述の高次関数は、偶数次の項のみから成る関数であることとすることができる。
本発明の予測方法では、前記予測工程において、前記各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記波面収差に起因する変形具合を算出し、前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予測することとすることができる。かかる場合には、変動曲線の移動量だけでなく、各収差成分を含む項の線形結合に基づいて、投影光学系の波面収差に起因する変動曲線の変形具合も算出するので、変動曲線をさらに精度良く予測することができる。
この場合において、前記予測工程に先立って、前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線をシミュレーションによって求め、求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むこととすることができる。
この場合において、前記予測工程に先立って、実際の収差状態における前記投影光学系を介して前記所定露光条件下で投影される前記パターンの像に関する、前記変動曲線を算出する算出工程をさらに含み、前記予測工程では、前記移動量に基づいて移動した変動曲線を近似する高次関数と、前記算出工程で求められた変動曲線を表す関数との差分を示す差分関数を、前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求めることとすることができる。
この場合において、前記算出工程は、シミュレーションによって行われることとすることができる。
本発明の予測方法では、前記予測工程において、前記移動量に基づいて移動した変動曲線を近似する高次関数と、前記算出工程で求められた変動曲線を表す関数との差分を示す差分関数を、前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求める場合に、前記予測工程では、前記所定露光条件下における前記差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記差分関数のその偶数次の項の係数を算出し、前記所定露光条件下における前記差分関数の奇数次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記差分関数のその奇数次の項の係数を算出することとすることができる。かかる場合には、変動関数の変形具合を示す差分関数の偶数次の項の係数は、投影光学系の波面収差を展開したときの各収差成分の二乗に感度があり、その係数を各収差成分の二乗の線形結合によって予測することができる。また、差分関数の奇数次の項の係数は、各収差成分に感度があり、その係数を、各収差成分の線形結合によって予測することができる。そのため、変動曲線の変形具合についても、投影光学系の波面収差の各収差成分を含む項の線形結合などを用いて、短時間で、かつ精度良く予測することができる。
本発明の予測方法では、前記所定の式は、ツェルニケ多項式であり、前記各収差成分は、各ツェルニケ項の係数であることとすることができる。
本発明は、第の観点からすると、投影光学系を介したパターンの像の特性を評価する評価方法であって、前記投影光学系の有効視野内の少なくとも1つの計測点について、本発明の予測方法を用いて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して前記少なくとも1つの計測点に投影される所定パターンの像に関する、最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を予測する工程と;前記予測結果に基づいて、前記所定パターンの像の特性を評価する工程と;を含む第1の評価方法である。
これによれば、本発明の予測方法を用いて、所定露光条件下で投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する上記変動曲線を、投影光学系の有効視野内の少なくとも1つの計測点について精度良く予測することができるようになるので、その変動曲線に基づいて、投影光学系の有効視野内における所定パターンの像の特性を精度良く評価することが可能となる。
この場合において、前記所定パターンは、前記投影光学系の有効視野内の複数の計測点のそれぞれに対応して配置され、前記特性は、前記投影光学系の有効視野内における前記像の均一性を含むこととすることができる。
本発明の第1の評価方法では、前記所定パターンは、前記投影光学系の光軸方向に直交する平面上に設けられた互いに直交する2つのラインパターンを含み、前記予測する工程では、前記ラインパターン毎に、前記変動曲線を予測することとすることができる。
この場合において、前記評価する工程では、前記像の特性としてラインパターンの像同士の線幅差を評価することとすることができる。かかる場合には、少なくとも1つの計測点において、前記特性として、例えば主に非点収差による直交する2つのラインパターン同士の線幅差を評価することができる。
本発明の第1の評価方法では、前記所定パターンは、前記投影光学系の光軸方向に直交する平面上に設けられた互いに平行な2つのラインパターンを含み、前記予測する工程では、前記ラインパターン毎に、前記変動曲線を予測することとすることができる。
この場合において、前記評価する工程では、前記像の特性としてラインパターンの像同士の線幅差を評価することとすることができる。かかる場合には、前記特性として主にコマ収差による線幅異常値などを評価することができる。
本発明は、第10の観点からすると、投影光学系を介したパターンの像の形成状態を調整する調整方法であって、本発明の第1の評価方法を用いて、前記投影光学系の有効視野内の少なくとも1つの計測点に対応して配置された所定パターンの像の特性を評価する評価工程と;前記評価結果に基づいて、前記投影光学系を介した前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整工程と;を含む第1の調整方法である。
これによれば、本発明の第1の評価方法を用いて、投影光学系の有効視野内における少なくとも1つの計測点における所定パターンの像の特性が評価され、その評価結果に基づいて、前記投影光学系を介した所定パターンの像の形成状態が調整される。従って、評価結果に応じて所定パターンの像の特性を所望の状態に調整することが可能となる。
この場合において、前記調整工程では、前記少なくとも1つの計測点に関する、前記所定露光条件下における前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整パラメータの単位調整量当たりの前記各収差成分の変化量と、前記所定パターンの像のサイズの変化に対する前記各収差成分の感度と、前記デフォーカス量に対する前記所定パターンの像のサイズの変動を示す変動曲線の各次の項の係数に関する目標値からのずれとを用いて算出された調整量に基づいて、前記所定パターンの像の形成状態を調整することとすることができる。
計測点における変動曲線は、投影光学系の収差などの影響を受けて変化する。従って、投影光学系を調整するなどして収差成分を変化させれば、その計測点における変動曲線を所望の曲線(目標)に近づけることも可能である。そこで、本発明では、計測点における変動曲線と所望の曲線とのずれをキャンセルするのに必要な調整パラメータ(パターンの像の形成状態を調整する調整パラメータ)の調整量を、該調整パラメータの単位調整量当たりの前記各収差成分の変化量と、前記所定露光条件下における前記所定パターンの像のサイズの変化に対する前記各収差成分の感度と、前記デフォーカス量に対する前記所定パターンの像のサイズの変動を示す変動曲線の各次の項の係数に関する目標値からのずれとを用いて前記調整パラメータの調整量を算出し、算出された調整量に基づいて、前記所定パターンの像の形成状態を調整する。これにより、デフォーカス量に対するパターン像のサイズの変動曲線を所望の変動曲線に近づけるようなパターンの像の形成状態の調整が可能となる。
この場合、所望の曲線(目標)をどのようなものとするかは、求められるパターンの像の調整項目によって異なる。例えば、前記評価工程では、前記投影光学系の有効視野内の複数の計測点にそれぞれ対応して配置された所定パターンの像の特性をそれぞれ評価し、前記調整工程では、前記変動曲線の同一次の項の係数に関する目標値を、前記計測点間で同一とすることとすることができる。かかる場合には、投影光学系の有効視野内におけるパターンの像の面内均一性を向上させることができる。また、所定パターンが複数のパターンを含む場合には、前記変動曲線の同一次の項の係数に関する目標値を、前記パターン間で同一とすることとすることができる。かかる場合には、同一計測点における、例えば縦線パターンの像と横線パターンの像との線幅や、平行パターンの像同士の線幅などが可能な限り同一となるような調整が可能となる。
本発明の第1の調整方法では、前述の調整量を、最小二乗法を用いて求めることとすることができる。
本発明は、第11の観点からすると、第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、本発明の第1の調整方法を用いて、前記投影光学系を介した前記回路パターンの像の形成状態を調整する工程と;前記調整された像の形成状態で、前記回路パターンを、前記投影光学系を介して前記物体に転写する工程と;を含む第の露光方法である。
これによれば、本発明の第1の調整方法を用いて投影光学系を介した回路パターンの像の形成状態が調整され、調整された像の形成状態で、回路パターンが物体上に転写されるので、その回路パターンを物体上に精度良く形成することが可能となる。
本発明は、第12の観点からすると、投影光学系を介したパターンの像の特性の予測をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記投影光学系の波面収差を所定の式を用いて級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、前記最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因する移動量を算出して、前記算出された移動量に基づいて前記変動曲線を予測する予測手順を、前記コンピュータに実行させるプログラムである。
このプログラムがコンピュータにインストールされると、コンピュータが、上記各手順を実行する。これにより、本発明の予測方法が、コンピュータによって実行される。従って、前述と同様に、多大な計算時間を要する複雑な計算を伴う結像シミュレーションを用いずとも、収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値を求めるという至極単純な演算により、所定の収差状態にある投影光学系を介した所定露光条件下でのパターンに関するCD−フォーカス曲線を短時間に予測することが可能となり、その予測結果に基づき、パターンの転写特性を短時間に予測することが可能となる。
この場合において、前記予測手順に先立って、前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、前記コンピュータにさらに実行させることとすることができる。
この場合において、前記予測手順として、前記所定露光条件下での前記デフォーカス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関する移動量を予測する手順と、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を予測する手順と、を前記コンピュータに実行させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、前記予測手順として、前記各収差成分の二乗の線形結合に加え、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する、互いに異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を予測する手順を、前記コンピュータに実行させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、前述の高次関数は、偶数次の項のみから成る関数であることとすることができる。
本発明のプログラムでは、前記予測手順として、前記各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記波面収差に起因する変形具合を算出し、前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予測する手順を、前記コンピュータに実行させることとすることができる。
この場合において、前記予測手順に先立って、前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、前記コンピュータにさらに実行させることとすることができる。
この場合において、前記予測手順に先立って、前記所定露光条件下における実際の収差状態での前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を算出する算出手順を、前記コンピュータにさらに実行させ、前記予測手順として、前記移動量に基づいて移動した高次関数と、前記算出手順で求められた変動関数との差分を示す差分関数を、前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求める手順を、前記コンピュータに実行させることとすることができる。
この場合において、前記予測手順として、前記所定露光条件下における前記差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記差分関数のその偶数次の項の係数を予測する手順と、前記所定露光条件下における前記差分関数の奇数次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記差分関数のその奇数次の項の係数を予測する手順と、を前記コンピュータに実行させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、前記所定の式は、ツェルニケ多項式であり、前記各収差成分は、各ツェルニケ項の係数であることとすることができる。
本発明のプログラムは、情報記録媒体に記録した状態で、販売等の対象とすることができる。従って、本発明は、第13の観点からすると、本発明のプログラムが記録されたコンピュータによる読み取りが可能な情報記録媒体であるとも言える。
また、本発明は、第14の観点からすると、マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体上に転写する露光装置を製造する露光装置の製造方法であって、本発明の第1又は第2の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程を含む露光装置の製造方法である。
また、リソグラフィ工程において、本発明の第1〜第の露光装置のいずれかを用いて露光を行うことにより、物体上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造することができ、その生産性を向上させることができる。同様に、リソグラフィ工程において、本発明の第1〜第の露光方法のいずれかを用いて露光を行うことにより、物体上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造することができ、その生産性を向上させることができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の第1〜第の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法、あるいは本発明の第1〜第の露光方法のいずれかを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
本発明の一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。 図1の波面収差計測装置を示す断面図である。 図3Aは、光学系に収差が存在しない場合においてマイクロレンズアレイから射出される光束を示す図、図3Bは、光学系に収差が存在する場合においてマイクロレンズアレイから射出される光束を示す図である。 直交2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差の調整を目的とする、投影光学系PLの調整方法を示すフローチャートである。 計測用レチクルをパターン面側から見た平面図である。 図6A〜図6Fは、投影光学系の波面収差を展開したツェルニケ多項式の第9項と第12項との値の変化に応じた瞳面における波面の乱れ方を説明するための図である。 図7A〜図7Fは、投影光学系の波面収差を展開したツェルニケ多項式の第4項と第5項との値の変化に応じた瞳面における波面の乱れ方を説明するための図である。 縦線パターンと横線パターンとのベストフォーカス位置の差に対応して縦線パターンの像(V)と横線パターンの像(H)との線幅の差が生じる様子を説明するためのCD−フォーカス線図である。 波長248.3nmのKrFレーザを光源とし、照明σ=0.75の2/3輪帯照明条件、投影光学系PLの開口数(N.A.)=0.68の場合に、計測用レチクル上のパターンを転写して得られるレジスト像の線幅計測の結果得られる、縦横線の線幅差(実験結果)の一例を示す図である。 図9のZ12=40mλ、20mλ、0mλの部分(上3段の部分)をより詳細に示す図(等高線マップ)である。 図9のZ12=−20mλ、−40mλの部分(下2段の部分)をより詳細に示す図である。 図12A〜図12Dは、図9の各等高線マップの意味を説明するための図である。 所定の条件下でシミュレーションにより求めた収差間のクロスタームの計算結果の一例を示す図表である。 線幅ばらつきΔCDに関するZS(Zernike Sensitivity)の計算結果の一例を示す図である。 線幅ばらつきΔCDに関して、従来のZS法を用いた計算結果と、空間像による計算結果との関係を示す図である。 一実施形態の予測方法を示すフローチャート(その1)である。 図17Aは10次関数の一例を示す図、図17Bは、そのフィッティング誤差の一例を示す図である。 ツェルニケ感度Sαiの一例を示すグラフである。 −50mλ〜50mλまで10mλピッチでフォーカス方向の移動量を11点計算して、最小二乗法を使って直線の傾きを計算した計算結果の一例を示す図である。 図19の場合と同様の像計算で得た11点の線幅変化量の計算結果に二次関数を仮定して、最小二乗法による近似をした結果の一例を示す図である。 ツェルニケ感度Sβiの一例を示すグラフである。 図22Aは、Z6とZ13のクロストークを示す図、図22Bは、Z9とZ12のクロストークを示す図である。 各クロス項の感度の一例を示すグラフである。 一実施形態の予測方法を示すフローチャート(その2)である。 ツェルニケ項の感度Sγ5iの感度の一例を示す図である。 ツェルニケ項の感度Sγ3iの感度の一例を示す図である。 ツェルニケ項の感度Sγ1iの感度の一例を示す図である。 ツェルニケ項の感度Sδ4iの感度の一例を示す図である。 ツェルニケ項の感度Sδ2iの感度の一例を示す図である。 CD−フォーカス曲線y”k,y”k+1を、求める際の動作を示す模式図である。 図31Aは、精密な結像シミュレーションによって算出された、代表的な計測点におけるCD−フォーカス曲線の一例を示す図、図31Bは、本発明の一実施形態の予測方法によって予測された同一露光条件、同一パターンでの代表的な計測点におけるCD−フォーカス曲線の一例を示す図である。 線幅ばらつきにΔCDに関して、新たなZS法を用いた計算結果と、空間像の計算結果との関係を示す図である。 本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。 図33のステップ204の詳細を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1には、一実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、露光用光源(以下「光源」という)にパルスレーザ光源を用いたステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャナ)である。
露光装置100は、光源16及び照明光学系12から成る照明系、この照明系からのエネルギビームとしての露光用照明光ELにより照明されるマスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRから出射された露光用照明光ELを物体としてのウエハW上(像面上)に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源16としては、ここでは、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)が用いられている。なお、光源16として、F2レーザ(出力波長157nm)あるいはArFエキシマレーザ(出力波長193nm)等の真空紫外域のパルス光を出力するパルス紫外光源を用いても良い。
前記光源16は、実際には、照明光学系12の各構成要素及びレチクルステージRST、投影光学系PL、及びウエハステージWST等から成る露光装置本体が収納されたチャンバ11が設置されたクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルームに設置されており、チャンバ11にビームマッチングユニットと呼ばれる光軸調整用光学系を少なくとも一部に含む不図示の送光光学系を介して接続されている。この光源16では、主制御装置50からの制御情報TSに基づいて、内部のコントローラにより、レーザビームLBの出力のオン・オフ、レーザビームLBの1パルスあたりのエネルギ、発振周波数(繰り返し周波数)、中心波長及びスペクトル半値幅(波長幅)などが制御されるようになっている。
前記照明光学系12は、シリンダレンズ、ビームエキスパンダ(いずれも不図示)及びオプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)22等を含むビーム整形・照度均一化光学系20、照明系開口絞り板24、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を備えている。なお、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子などを用いることができる。本実施形態では、オプティカルインテグレータ22としてフライアイレンズが用いられているので、以下ではフライアイレンズ22とも呼ぶものとする。
前記ビーム整形・照度均一化光学系20は、チャンバ11に設けられた光透過窓17を介して不図示の送光光学系に接続されている。このビーム整形・照度均一化光学系20は、光源16でパルス発光され光透過窓17を介して入射したレーザビームLBの断面形状を、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダを用いて整形する。また、このビーム整形・照度均一化光学系20において、レーザビームLBは、透過率を等比級数的に複数段階で又は連続的に変更可能なNDフィルタを備えるエネルギ粗調器(不図示)と、交換可能に配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニット(不図示)とを経て、オプティカルインテグレータ22に至る。上記光学ユニットは、オプティカルインテグレータ22がフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光の強度分布、オプティカルインテグレータ22が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光の入射角度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわちレチクルRの照明条件を変更する。また、この光学ユニットは、その照明条件の変更の際に、光量損失を極力抑えるようになっている。
そして、ビーム整形・照度均一化光学系20内部の射出端側に位置するフライアイレンズ22は、レチクルRを均一な照度分布で照明するために、前記断面形状が整形されたレーザビームの入射により、照明光学系12の瞳面とほぼ一致するように配置されるその射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源(2次光源)を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「照明光EL」と呼ぶものとする。
なお、フライアイレンズ22の射出側焦点面の近傍に、ほぼ等角度間隔で、複数の開口絞り、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞りなどが形成された円板状部材から成る照明系開口絞り板を配置しても良い。かかる場合には、前述の光学ユニットとともに、この照明系開口絞り板を用い、いずれかの開口絞りを照明光ELの光路上に選択的に設定することにより、照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわちレチクルRの照明条件の変更を行うことが可能となる。特に、前述の光学ユニットのみで設定できない照明条件であっても、照明系開口絞り板を設けることで、光量損失を少なくしつつその照明条件を簡単に設定することができる。
フライアイレンズ22(又は照明系開口絞り板)から射出された照明光ELの光路上に、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30Bを介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系が配置されている。固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスして配置され、レチクルR上の矩形の照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍に走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド30Bを介して照明領域を更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。さらに、可動レチクルブラインド30Bは走査方向と直交する非走査方向(図1における紙面直交方向であるX軸方向)に対応する方向に関しても開口部の幅が可変であり、ウエハW上に転写すべきレチクルRのパターンに応じて照明領域の非走査方向の幅を調整できるようになっている。
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ28B後方の照明光ELの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過した照明光ELをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーM後方の照明光ELの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
以上の構成において、フライアイレンズ22の入射面、可動レチクルブラインド30Bの配置面、及びレチクルRのパターン面は、光学的に互いに共役に設定され、フライアイレンズ22の射出側焦点面に形成される光源面(照明光学系の瞳面)、投影光学系PLのフーリエ変換面(射出瞳面)は光学的に互いに共役に設定され、ケーラー照明系となっている。
このようにして構成された照明系の作用を簡単に説明すると、光源16からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形・照度均一化光学系20に入射して断面形状が整形されるなどした後、フライアイレンズ22に入射する。これにより、フライアイレンズ22の射出側焦点面に前述した2次光源が形成される。
上記の2次光源から射出された照明光ELは、第1リレーレンズ28Aを経て固定レチクルブラインド30Aに至り、該固定レチクルブラインド30Aの開口及び可動レチクルブラインド30B、さらには第2リレーレンズ28Bを通過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域IARを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが装填され、不図示の静電チャック(又はバキュームチャック)等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示の駆動系により水平面(XY平面)内で微小駆動(回転を含む)が可能な構成となっている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動部によって、照明系の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能(Z軸回りの回転を含む)であるとともに、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置は、レチクルステージRSTに設けられた又は形成された反射面を介してレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)54Rによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計54RからのレチクルステージRSTの位置情報は、本体チャンバ11の外部に設置された主制御装置50に供給される。主制御装置50は、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動部(不図示)を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
なお、レチクルRに用いる材質は、使用する光源によって使い分ける必要がある。すなわち、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザを光源とする場合は、合成石英、ホタル石等のフッ化物結晶、あるいはフッ素ドープ石英等を用いることができるが、F2レーザを用いる場合には、ホタル石等のフッ化物結晶や、フッ素ドープ石英等で形成する必要がある。
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率は例えば1/4、1/5あるいは1/6等である。このため、前記の如くして、照明光ELによりレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターン等の縮小像がその照明領域IARと共役なウエハW上の照明光ELの照射領域(露光領域)IAに形成される。
投影光学系PLとしては、複数枚、例えば10〜20枚程度の屈折光学素子(レンズ素子)13のみから成る屈折系が用いられている。この投影光学系PLを構成する複数枚のレンズ素子13のうち、物体面側(レチクルR側)の複数枚(ここでは、説明を簡略化するために5枚とする)のレンズ素子131,132,133,134,135は、結像性能補正コントローラ48によって外部から駆動可能な可動レンズとなっている。レンズ素子131〜135は、不図示の二重構造のレンズホルダをそれぞれ介して鏡筒に保持されている。これらレンズ素子131〜135は、内側レンズホルダにそれぞれ保持され、これらの内側レンズホルダが不図示の駆動素子、例えばピエゾ素子などにより重力方向に3点で外側レンズホルダに対して支持されている。そして、これらの駆動素子に対する印加電圧を独立して調整することにより、レンズ素子131〜135のそれぞれを投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向にシフト駆動、及びXY面に対する傾斜方向(すなわちX軸回りの回転方向(θx)及びY軸回りの回転方向(θy))に駆動可能(チルト可能)な構成となっている。
その他のレンズ素子13は、通常のレンズホルダを介して鏡筒に保持されている。なお、レンズ素子131〜135に限らず、投影光学系PLの瞳面近傍、又は像面側に配置されるレンズ、あるいは投影光学系PLの収差、特にその非回転対称成分を補正する収差補正板(光学プレート)などを駆動可能に構成しても良い。更に、それらの駆動可能な光学素子の自由度(移動可能な方向)は3つに限られるものではなく1つ、2つあるいは4つ以上でも良い。
また、投影光学系PLの瞳面の近傍には、開口数(N.A.)を所定範囲内で連続的に変更可能な瞳開口絞り15が設けられている。この瞳開口絞り15としては、例えばいわゆる虹彩絞りが用いられている。この瞳開口絞り15は、主制御装置50によって制御される。
なお、照明光ELとしてKrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光を用いる場合には、投影光学系PLを構成する各レンズ素子としてはホタル石等のフッ化物結晶や前述したフッ素ドープ石英の他、合成石英をも用いることができるが、F2レーザ光を用いる場合には、この投影光学系PLに使用されるレンズの材質は、全てホタル石等のフッ化物結晶やフッ素ドープ石英が用いられる。
前記ウエハステージWST上には不図示のウエハホルダを介してウエハWが静電吸着(あるいは真空吸着)等により保持されている。
ウエハステージWSTは、投影光学系PLの下方に配置され、リニアモータ、ボイスコイルモータ(VCM)等から成る不図示のウエハステージ駆動部により、XY平面内方向及びZ軸方向に駆動可能であり、XY面に対する傾斜方向(X軸回りの回転方向(θx方向)及びY軸回りの回転方向(θy方向))にも微小駆動可能となっている。すなわち、ウエハステージWSTは、走査方向(Y軸方向)の移動のみならず、ウエハW上の複数のショット領域をそれぞれ露光領域IAに対して相対移動して走査露光を行うことができるように、走査方向に直交する非走査方向(X軸方向)にも移動可能に構成されており、これにより、ウエハW上の各ショット領域を走査(スキャン)露光する動作と、次ショットの露光のための加速開始位置まで移動(ステップ)する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキャン動作が可能となる。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)は、ウエハステージWSTに設けられた又は形成された反射面を介してウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」と略述する)54Wによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ウエハ干渉計54Wは、測長軸を複数有する多軸干渉計を複数含み、これらの干渉計によって、ウエハステージWSTの回転(θz回転(ヨーイング)、Y軸回りの回転であるθy回転(ピッチング)、及びX軸回りの回転であるθx回転(ローリング))が計測可能となっている。
ウエハ干渉計54Wによって検出されたウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は主制御装置50に供給される。主制御装置50は、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)に基づいて、不図示のウエハステージ駆動部を介してウエハステージWSTの位置を制御する。
また、ウエハステージWST上には、後述するアライメント系ALGのいわゆるベースライン計測用の基準マーク等の基準マークが形成された基準マーク板FMが、その表面がほぼウエハWの表面と同一高さとなるように固定されている。
また、ウエハステージWSTの+Y側(図1における紙面内右側)の側面には、着脱自在のポータブルな光学特性計測装置としての波面収差計測装置80が取り付けられている。
この波面収差計測装置80は、図2に示されるように、中空の筐体82と、該筐体82の内部に所定の位置関係で配置された複数の光学素子から成る受光光学系84と、筐体82の内部のーX側端部に配置された受光部86とを備えている。
前記筐体82は、XZ断面L字状で内部に空間が形成された部材から成り、その最上部(+Z方向端部)には、筐体82の上方からの光が筐体82の内部空間に向けて入射するように、平面視(上方から見て)円形の開口82aが形成されている。また、この開口82aを筐体82の内部側から覆うようにカバーガラス88が設けられている。カバーガラス88の上面には、クロム等の金属の蒸着により中央部に円形の開口を有する遮光膜が形成され、該遮光膜によって、投影光学系PLの波面収差の計測の際に周囲からの不要な光が受光光学系84に入射するのが遮られている。
前記受光光学系84は、筐体82の内部のカバーガラス88の下方に、上から下に順次配置された、対物レンズ84a,リレーレンズ84b,折り曲げミラー84cと、該折り曲げミラー84cのーX側に順次配置されたコリメータレンズ84d、及びマイクロレンズアレイ84eから構成されている。折り曲げミラー84cは、45°で斜設されており、該折り曲げミラー84cによって、上方から鉛直下向きに対物レンズ84aに対して入射した光の光路がコリメータレンズ84dに向けて折り曲げられるようになっている。なお、この受光光学系84を構成する各光学部材は、筐体82の壁の内側に不図示の保持部材を介してそれぞれ固定されている。前記マイクロレンズアレイ84eは、複数の小さな凸レンズ(レンズ素子)が光路に対して直交する面内にアレイ状に配置されて構成されている。
前記受光部86は、2次元CCD等から成る受光素子と、例えば電荷転送制御回路等の電気回路等から構成されている。受光素子は、対物レンズ84aに入射し、マイクロレンズアレイ84eから出射される光束のすべてを受光するのに十分な面積を有している。なお、受光部86による計測データは、不図示の信号線を介して、あるいは無線送信にて主制御装置50に出力される。
上述した波面収差計測装置80を用いることにより、投影光学系PLの波面収差の計測を、オン・ボディ(すなわち、投影光学系PLが露光装置に組み込まれた状態)にて行うことができる。なお、この波面収差計測装置80を用いた投影光学系PLの波面収差の計測方法については後述する。
図1に戻り、本実施形態の露光装置100には、主制御装置50によってオン・オフが制御される光源を有し、投影光学系PLの結像面に向けて多数のピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を光軸AXに対して斜め方向より照射する照射系60aと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光系60bとからなる射入射方式の多点焦点位置検出系(以下、単に「焦点位置検出系」と呼ぶ)が設けられている。なお、本実施形態の焦点位置検出系(60a、60b)と同様の多点焦点位置検出系の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
なお、上記公報及び米国特許に記載の多点焦点位置検出系は、露光領域IA内で少なくとも非走査方向に離れて設定される複数点でそれぞれ投影光学系PLの光軸AXと平行な方向(Z軸方向)に関するウエハWの位置情報を検出するだけでなく、走査方向のウエハWの起伏を先読みする機能等を有しているが、それらの機能は有していなくても良く、また、照射系60aによって照射される光束の形状は、平行四辺形その他の形状であっても良い。
主制御装置50では、走査露光時等に、受光系60bからの焦点ずれ信号(デフォーカス信号)、例えばSカーブ信号に基づいて焦点ずれが零あるいは焦点深度内となるように、ウエハWのZ位置及びXY面に対する傾斜をウエハステージ駆動部(不図示)を介して制御することにより、オートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。また、主制御装置50では、後述する波面収差の計測の際に、焦点位置検出系(60a,60b)を用いて波面収差計測装置80のZ位置の計測及び位置合わせを行う。このとき、必要に応じて波面収差計測装置80の傾斜計測も行うようにしても良い。
さらに、露光装置100は、ウエハステージWST上に保持されたウエハW上のアライメントマーク及び基準マーク板FM上に形成された基準マークの位置計測等に用いられるオフ・アクシス(off-axis)方式のアライメント系ALGを備えている。このアライメント系ALGとしては、例えばウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系のセンサが用いられる。なお、FIA系に限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出したり、その対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出したりするアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマークと対応する基準マーク板上の基準マークとを同時に観察するための露光波長を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられている。これらのレチクルアライメント検出系としては、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
前記制御系は、図1中、前記主制御装置50によって主に構成される。主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等からなるいわゆるワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等から構成され、前述した種々の制御動作を行う他、装置全体を統括して制御する。主制御装置50は、例えば露光動作が的確に行われるように、例えば、ウエハステージWSTのショット間ステッピング、露光タイミング等を統括して制御する。
また、主制御装置50には、例えばハードディスクから成る記憶装置42、キーボード,マウス等のポインティングデバイス等を含んで構成される入力装置45及びCRTディスプレイ(又は液晶ディスプレイ)等の表示装置44が接続されている。また、主制御装置50には、LANなどの通信ネットワークを通じてワークステーションやパーソナルコンピュータ等のシミュレーション用コンピュータ46が接続されている。このシミュレーション用コンピュータ46には、露光装置100の光学モデルが設定された結像シミュレーションソフトウエア、すなわち結像シミュレータがインストールされている。
次に、メンテナンス時などに行われる露光装置100における波面収差の計測方法について説明する。なお、以下の説明においては、説明の簡略化のため、波面収差計測装置80内の受光光学系84の収差は無視できるほど小さいものとする。
通常の露光時には、波面収差計測装置80は、ウエハステージWSTから取り外されているため、波面計測に際しては、まず、オペレータあるいはサービスエンジニア等(以下、適宜「オペレータ等」という)によりウエハステージWSTの側面に対して波面収差計測装置80を取り付ける作業が行われる。この取り付けに際しては、波面計測時に波面収差計測装置80が、ウエハステージWSTの移動ストローク内に収まるように、所定の基準面(ここでは+Y側の面)にボルトあるいはマグネット等を介して固定される。
上記の取り付け終了後、オペレータ等による計測開始のコマンドの入力に応答して、主制御装置50では、アライメント系ALGの下方に波面収差計測装置80が位置するように、ウエハステージ駆動部(不図示)を介してウエハステージWSTを移動させる。そして、主制御装置50では、アライメント系ALGにより波面収差計測装置80に設けられた不図示の位置合わせマークを検出し、その検出結果とそのときのウエハ干渉計54Wの計測値とに基づいて位置合わせマークの位置座標を算出し、波面収差計測装置80の正確な位置を求める。そして、波面収差計測装置80の位置計測後、主制御装置50では以下のようにして波面収差の計測を実行する。
まず、主制御装置50は、不図示のレチクルローダによりピンホールパターンが形成された不図示の計測用レチクル(以下、「ピンホールレチクル」と呼ぶ)をレチクルステージRST上にロードする。このピンホールレチクルは、そのパターン面の複数点にピンホール(ほぼ理想的な点光源となって球面波を発生するピンホール)が形成されたレチクルである。なお、例えば中心が投影光学系PLの光軸AXと一致するようにピンホールレチクルが設定されるとき、複数のピンホールは照明領域IAR内に配置され、かつその投影像が投影光学系PLの視野内で波面収差を計測すべき複数点(後述の第1〜第n計測点)にそれぞれ形成されるようになっている。
なお、ここで用いられるピンホールレチクルには、上面に拡散面を設けるなどして、投影光学系PLの瞳面のほぼ全面にピンホールパターンからの光を分布させることで、投影光学系PLの瞳面の全面で波面収差が計測されるようになっているものとする。なお、本実施形態では投影光学系PLの瞳面近傍に開口絞り15が設けられているので、実質的に開口絞り15で規定されるその瞳面で波面収差が計測されることになる。
ピンホールレチクルのロード後、主制御装置50では、前述のレチクルアライメント検出系を用いて、ピンホールレチクルに形成されたレチクルアライメントマークを検出し、その検出結果に基づいて、ピンホールレチクルを所定の位置に位置合わせする。これにより、ピンホールレチクルの中心と投影光学系PLの光軸とがほぼ一致する。
この後、主制御装置50では、光源16に制御情報TSを与えてレーザビームLBを発光させる。これにより、照明光学系12からの照明光ELが、ピンホールレチクルに照射される。そして、ピンホールレチクルの複数のピンホールから射出された光が投影光学系PLを介して像面上に集光され、ピンホールの像が像面に結像される。
次に、主制御装置50は、ピンホールレチクル上のいずれかのピンホール(以下においては、着目するピンホールと呼ぶ)の像が結像する結像点に波面収差計測装置80の開口82aのほぼ中心が一致するように、ウエハ干渉計54Wの計測値をモニタしつつ、ウエハステージ駆動部(不図示)を介してウエハステージWSTを移動する。この際、主制御装置50は、焦点位置検出系(60a,60b)の検出結果に基づいて、ピンホール像が結像される像面に波面収差計測装置80のカバーガラス88の上面を一致させるべく、ウエハステージ駆動部(不図示)を介してウエハステージWSTをZ軸方向に微少駆動する。このとき、必要に応じてウエハステージWSTの傾斜角も調整する。これにより、着目するピンホールの像光束がカバーガラス88の中央の開口を介して受光光学系84に入射し、受光部86を構成する受光素子によって受光される。
これを更に詳述すると、ピンホールレチクル上の着目するピンホールからは球面波が発生し、この球面波が、投影光学系PL、及び波面収差計測装置80の受光光学系84を構成する対物レンズ84a、リレーレンズ84b、ミラー84c、コリメータレンズ84dを介して平行光束となって、マイクロレンズアレイ84eを照射する。これにより、投影光学系PLの瞳面がマイクロレンズアレイ84eにリレーされ、分割される。そして、このマイクロレンズアレイ84eの各レンズ素子によってそれぞれの光が受光素子の受光面に集光され、該受光面にピンホールの像がそれぞれ結像される。
このとき、投影光学系PLが、波面収差の無い理想的な光学系であるならば、投影光学系PLの瞳面における波面は理想的な波面(ここでは平面)になり、その結果マイクロレンズアレイ84eに入射する平行光束が平面波となり、その波面は理想的な波面となる筈である。この場合、図3Aに示されるように、マイクロレンズアレイ84eを構成する各レンズ素子の光軸上の位置にスポット像(以下、「スポット」とも呼ぶ)が結像する。
しかるに、投影光学系PLには通常、波面収差が存在するため、マイクロレンズアレイ84eに入射する平行光束の波面は理想的な波面からずれ、そのずれ、すなわち波面の理想波面に対する傾きに応じて、図3Bに示されるように、各スポットの結像位置がマイクロレンズアレイ84eの各レンズ素子の光軸上の位置からずれることとなる。この場合、各スポットの基準点(各レンズ素子の光軸上の位置)からの位置のずれは、波面の傾きに対応している。
そして、受光部86を構成する受光素子上の各集光点に入射した光(スポット像の光束)が受光素子でそれぞれ光電変換され、該光電変換信号が電気回路を介して主制御装置50に送られる。主制御装置50では、その光電変換信号に基づいて各スポットの結像位置を算出し、更に、その算出結果と既知の基準点の位置データとを用いて、位置ずれ(Δξ,Δη)を算出してRAMに格納する。このとき、主制御装置50には、ウエハ干渉計54Wのそのときの計測値(Xi,Yi)が供給されている。
上述のようにして、1つの着目するピンホール像の結像点における波面収差計測装置80による、スポット像の位置ずれの計測が終了すると、主制御装置50では、次のピンホール像の結像点に、波面収差計測装置80の開口82aのほぼ中心が一致するように、ウエハステージWSTを移動する。この移動が終了すると、前述と同様にして、主制御装置50により、光源16からレーザビームLBの発光が行われ、同様にして主制御装置50によって各スポットの結像位置が算出される。以後、他のピンホール像の結像点で同様の計測が順次行われる。
このようにして、必要な計測が終了した段階では、主制御装置50のRAMには、前述した各ピンホール像の結像点における位置ずれデータ(Δξ,Δη)と、各結像点の座標データ(各ピンホール像の結像点における計測を行った際のウエハ干渉計54Wの計測値(Xi,Yi))とが格納されている。なお、上記計測時に全てのピンホールに照明光ELを同時に照射しても良いが、可動レチクルブラインド30Bを用いて、レチクル上の着目するピンホールのみ、あるいは少なくとも着目するピンホールを含む一部領域のみが照明光ELで照明されるように、例えばピンホール毎に、レチクル上での照明領域の位置や大きさなどを変更しても良い。
次に、主制御装置50では、RAM内に格納されている各ピンホール像の結像点における位置ずれデータ(Δξ,Δη)と、各結像点の座標データとに基づいて、以下に説明する原理に従ってピンホール像の結像点に対応する、すなわち投影光学系PLの視野内の第1計測点(評価点)〜第n計測点(評価点)に対応する波面(波面収差)、ここでは、後述する式(3)のフリンジツェルニケ多項式(以下、適宜「ツェルニケ多項式」と略述する)の各項(ツェルニケ項)の係数、例えば第1項の係数Z1〜第37項の係数Z37を変換プログラムに従って演算する。本実施形態では、ツェルニケ多項式として、フリンジツェルニケ多項式を採りあげて、以下説明を行うものとする。
本実施形態では、上記の位置ずれ(Δξ,Δη)に基づいて、変換プログラムに従った演算により投影光学系PLの波面を求める。すなわち、位置ずれ(Δξ,Δη)は、波面の理想波面に対する傾斜をそのまま反映した値になり、逆に位置ずれ(Δξ,Δη)に基づいて波面を復元することができる。なお、上述した位置ずれ(Δξ,Δη)と波面との物理的な関係から明らかなように、本実施形態における波面の算出原理は、周知のShack-Hartmannの波面算出原理そのものである。
次に、上記の位置ずれに基づいて、波面を算出する方法について、簡単に説明する。
上述の如く、位置ずれ(Δξ,Δη)は波面の傾きに対応しており、これを積分することにより波面の形状(厳密には基準面(理想波面)からのずれ)が求められる。波面(波面の基準面からのずれ)の式をW(x,y)とし、比例係数をkとすると、次式(1)、(2)のような関係式が成立する。
Figure 0004352458
スポット位置のみでしか与えられていない波面の傾きをそのまま積分するのは容易ではないため、面形状を級数に展開して、これにフィットするものとする。この場合、級数は直交系を選ぶものとする。ツェルニケ多項式は軸対称な面の展開に適した級数で、円周方向は三角級数に展開する。すなわち、波面Wを極座標系(ρ,θ)で表すと、次式(3)のように展開できる。
Figure 0004352458
直交系であるから各項の係数Ziを独立に決定することができる。iを適当な値で切ることはある種のフィルタリングを行うことに対応する。なお、一例として第1項〜第37項までのfi(ρ,θ)(ρを独立変数とする動径多項式)を係数Ziとともに例示すると、次の表1のようになる。但し、表1中の第37項は、実際のツェルニケ多項式では、第49項に相当するが、本明細書では、i=37の項(第37項)として取り扱うものとする。すなわち、本発明において、ツェルニケ多項式の項の数は、特に限定されるものではない。
Figure 0004352458
実際には、その微分が上記の位置ずれとして検出されるので、フィッティングは微係数に
ついて行う必要がある。極座標系(x=ρcosθ,y=ρsinθ)では、次式(4)、
(5)のように表される。
Figure 0004352458
ツェルニケ多項式の微分形は直交系ではないので、フィッティングは最小二乗法で行う必要がある。1つのスポット像の結像点の情報(ずれ量)はXとY方向につき与えられるので、ピンホールの数をn(nは、投影光学系PLの視野内の計測点(評価点)の数に対応しており、本実施形態では、説明の簡略化のためにnは例えば33とする)とすると、上記式(1)〜(5)で与えられる観測方程式の数は2n(=66)となる。
ツェルニケ多項式のそれぞれの項は光学収差に対応する。しかも低次の項(iの小さい項)は、ザイデル収差にほぼ対応する。ツェルニケ多項式を用いることにより、投影光学系PLの波面収差を求めることができる。
上述のような原理に従って、変換プログラムの演算手順が決められており、この変換プログラムに従った演算処理により、投影光学系PLの視野内の第1計測点〜第n計測点に対応する波面の情報(波面収差)、ここでは、ツェルニケ多項式の各項の係数、例えば第1項の係数Z1〜第37項の係数Z37が求められる。
前記記憶装置42内には、投影光学系PLの波面収差変化表のデータベースが記憶されている。ここで、波面収差変化表とは、投影光学系PLと実質的に等価なモデルを用いて、シミュレーションを行い、このシミュレーション結果として得られた、パターンの投影像のウエハ上での形成状態を最適化するのに使用できる調整パラメータの単位調整量の変化と、投影光学系PLの視野内の複数の計測点それぞれに対応する結像性能、具体的には波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の第1項〜第37項の係数の変動量との関係を示すデータを所定の規則に従って並べたデータ群から成る変化表である。
本実施形態では、上記の調整パラメータとしては、可動レンズ131,132,133,134、135の各自由度方向(駆動可能な方向)の駆動量z1、θx1、θy1、z2、θx2、θy2、z3、θx3、θy3、z4、θx4、θy4、z5、θx5、θy5と、ウエハW表面(ウエハステージWST)の3自由度方向の駆動量Wz、Wθx、Wθy、及び照明光ELの波長のシフト量Δλの合計19のパラメータが用いられる。
ここで、上記の波面収差変化表のデータベースの作成手順について、簡単に説明する。まず、特定の光学ソフトがインストールされているシミュレーション用コンピュータに、露光装置100の光学条件(例えば、投影光学系PLの設計値(開口数N.A.や各レンズデータなど)、コヒーレンスファクタσ値(照明σ)又は照明光学系の開口数N.A.、及び照明光ELの波長(露光波長)λ等)を入力する。次に、シミュレーション用コンピュータ46に、投影光学系PLの視野内の任意の第1計測点のデータを入力する。
次いで、可動レンズ131〜135の各自由度方向(可動方向)、ウエハW表面の上記各自由度方向、照明光の波長のシフト量のそれぞれについての単位量のデータを入力する。例えば可動レンズ131をZ方向シフトの+方向に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、シミュレーション用コンピュータ46により、投影光学系PLの視野内の予め定めた第1計測点についての第1波面の理想波面からの変化量のデータ、例えばツェルニケ多項式の各項(例えば第1項〜第37項)の係数の変化量が算出され、その変化量のデータがシミュレーション用コンピュータ46のディスプレイの画面上に表示されるとともに、その変化量がパラメータPARA1P1としてメモリに記憶される。
次いで、可動レンズ131をY方向チルト(x軸回りの回転θx)の+方向に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、シミュレーション用コンピュータ46により、第1計測点についての第2波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、その変化量のデータが上記ディスプレイの画面上に表示されるとともに、その変化量がパラメータPARA2P1としてメモリに記憶される。
次いで、可動レンズ131をX方向チルト(y軸回りの回転θy)の+方向に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、シミュレーション用コンピュータ46により、第1計測点についての第3波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、その変化量のデータが上記ディスプレイの画面上に表示されるとともに、その変化量がパラメータPARA3P1としてメモリに記憶される。
以後、上記と同様の手順で、第2計測点〜第n計測点までの各計測点の入力が行われ、可動レンズ131のZ方向シフト、Y方向チルト,X方向チルトの指令入力がそれぞれ行われる度毎に、シミュレーション用コンピュータ46によって各計測点における第1波面、第2波面、第3波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、各変化量のデータがディスプレイの画面上に表示されるとともに、パラメータPARA1P2,PARA2P2,PARA3P2、……、PARA1Pn,PARA2Pn,PARA3Pnとしてメモリに記憶される。
他の可動レンズ132,133,134,135についても、上記と同様の手順で、各計測点の入力と、各自由度方向に関してそれぞれ単位量だけ+方向に駆動する旨の指令入力が行われ、これに応答してシミュレーション用コンピュータ46により、可動レンズ132,133,134,135を各自由度方向に単位量だけ駆動した際の第1〜第n計測点のそれぞれについての波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の各項の変化量が算出され、パラメータ(PARA4P1,PARA5P1,PARA6P1,……,PARA15P1)、パラメータ(PARA4P2,PARA5P2,PARA6P2,……,PARA15P2)、……、パラメータ(PARA4Pn,PARA5Pn,PARA6Pn,……,PARA15Pn)がメモリ内に記憶される。
また、ウエハWについても、上記と同様の手順で、各計測点の入力と、各自由度方向に関してそれぞれ単位量だけ+方向に駆動する旨の指令入力が行われ、これに応答してシミュレーション用コンピュータ46により、ウエハWをZ、θx、θyの各自由度方向に単位量だけ駆動した際の第1〜第n計測点のそれぞれについての波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の各項の変化量が算出され、パラメータ(PARA16P1,PARA17P1,PARA18P1)、パラメータ(PARA16P2,PARA17P2,PARA18P2)、……、パラメータ(PARA16Pn,PARA17Pn,PARA18Pn)がメモリ内に記憶される。
さらに、波長シフトに関しても、上記と同様の手順で、各計測点の入力と、単位量だけ+方向に波長をシフトする旨の指令入力が行われ、これに応答してシミュレーション用コンピュータにより、波長を+方向に単位量だけシフトした際の第1〜第n計測点のそれぞれについての波面のデータ、例えばツェルニケ多項式の各項の変化量が算出され、PARA19P1、PARA19P2、……、PARA19Pnがメモリ内に記憶される。
ここで、上記パラメータPARAiPj(i=1〜19、j=1〜n)のそれぞれは、37行1列の列マトリックス(縦ベクトル)である。すなわち、n=33とすると、調整パラメータPARA1について、次式(6)のようになる。なお、パラメータPARAiPjは、いずれも列マトリックスであるが、次式(6)以下の式では、便宜上、行マトリックスであるかのような表現形式を採用している。
Figure 0004352458
また、調整パラメータPARA2について、次式(7)のようになる。
Figure 0004352458
同様に、他の調整パラメータPARA3〜PARA19についても、次式(8)のようになる。
Figure 0004352458
そして、このようにしてメモリ内に記憶されたツェルニケ多項式の各項の係数の変化量から成る列マトリックス(縦ベクトル)PARA1P1〜PARA19Pnは、調整パラメータ毎に纏められ、19個の調整パラメータ毎の波面収差変化表として並べ替えが行われる。その結果、列マトリックス(縦ベクトル)PARA1P1〜PARA19Pnを要素とする次式(9)で示されるマトリックス(行列)Oが作成される。なお、式(9)では、m=19である。
Figure 0004352458
そして、このようにして作成された、投影光学系PLの波面収差変化表から成るデータベースが、記憶装置42の内部に格納されている。
次に、本実施形態の露光装置100のメンテナンス時などにおいて行われる、投影光学系PLによるパターン像の結像状態を調整するための、可動レンズ13〜135などの前述の19個の調整パラメータの設定方法、すなわち投影光学系PLの通常の調整方法について、その原理説明を含めて詳述する。
まず、前述した手順で投影光学系PLの波面収差を、波面収差計測装置80を用いて計測する。その計測結果、すなわち投影光学系PLの視野内の第1計測点(評価点)〜第n計測点(評価点)に対応する波面(波面収差)のデータ、すなわちツェルニケ多項式の各項、例えば第1項の係数Z1〜第37項の係数Z37が求められ、主制御装置50のRAMなどのメモリ内に記憶される。
以下の説明においては、第1計測点〜第n計測点に対応する波面(波面収差)のデータを、次式(10)のような列マトリックスQで表現する。
Figure 0004352458
なお、上式(10)において、マトリックスQの要素P1〜Pnは、それぞれがツェルニケ多項式の第1項〜第37項の係数(Z1〜Z37)から成る列マトリックス(縦ベクトル)である。
次に、主制御装置50により、次のようにして前述した可動レンズ131〜135の各自由度方向の調整量、ウエハWの各自由度方向の調整量、照明光ELの波長シフト量が演算される。
すなわち、第1計測点〜第n計測点に対応する波面(波面収差)のデータQと、前述したデータベース(マトリックスO)と、前述の19個の調整量Pとの間には、次式(11)のような関係が成立する。
Q=O・P ……(11)
上式(11)において、Pは、次式(12)で表されるm個、すなわち19個の要素から成る列マトリックス(すなわち縦ベクトル)である。
Figure 0004352458
従って、上式(12)より、次式(13)の演算を行うことにより、すなわち最小二乗法により、Pの各要素ADJ1〜ADJm、すなわち可動レンズ131〜135の各自由度方向の調整量(目標調整量)、ウエハWの各自由度方向の調整量(目標調整量)、及び照明光ELの波長シフト量(目標シフト量)を求めることができる。
P=(OT・O)-1・OT・Q ……(13)
上式(13)において、OTは、行列Oの転置マトリックスであり、(OT・O)-1は、(OT・O)の逆マトリックスである。
従って、主制御装置50は、記憶装置42内のデータベースをRAM内に順次読み込みつつ、調整量ADJ1〜ADJmを算出する。
次に、主制御装置50では、記憶装置42に記憶された調整量ADJ1〜ADJ15に従って、可動レンズ131〜135を各自由度方向に駆動すべき旨の指令値を、結像性能補正コントローラ48に与える。これにより、結像性能補正コントローラ48により、可動レンズ131〜135をそれぞれの自由度方向に駆動する各駆動素子に対する印加電圧が制御され、可動レンズ131〜135の位置及び姿勢の少なくとも一方がほぼ同時に調整される。これと同時に、主制御装置50は、実際の走査露光時には、露光領域IA内でウエハWが、常に調整量ADJ16〜ADJ18によって調整されたのと等価な姿勢に保たれるように、ウエハWをZ、θx、θyの各自由度方向に駆動するための指令値を、ウエハステージ駆動部(不図示)に与えて、ウエハステージWSTを駆動する。さらに、上記の各動作と同時に、主制御装置50は、調整量ADJ19に従って光源16に指令を与え、照明光ELの波長をシフトする。これにより、投影光学系PLの光学特性、例えばディストーション、像面湾曲、コマ収差、球面収差、及び非点収差等が補正される。なお、コマ収差、球面収差、及び非点収差については、低次のみならず高次の収差をも補正可能である。
次に、本実施形態の露光装置100で行われる直交2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差の調整を目的とする、投影光学系PLの調整方法について、図4のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
まず、図4のステップ102において、前述した手順で投影光学系PLの波面収差が、波面収差計測装置80を用いて計測され、その計測結果、すなわち投影光学系PLの視野内のn個(ここではn=33とする)の計測点(評価点)における、ツェルニケ多項式の各項、例えば第1項の係数Z1〜第37項の係数Z37が求められ、主制御装置50のRAMなどのメモリ内に記憶される。
次のステップ104では、次に説明する計測用レチクルRT(以下、「レチクルRT」と略述する)がレチクルステージRST上にロードされるとともに、計測用ウエハ(便宜上ウエハWTと呼ぶ)がウエハステージWST上にロードされる。かかるレチクルRTのロードとウエハWTのロードは、主制御装置50の指示の下、不図示のレチクルローダ、ウエハローダによって行われる。
ここで、レチクルRTについて、図5に基づいて説明する。この図5は、レチクルRTを、パターン面側から見た平面図である。この図5に示されるように、レチクルRTは、正方形のガラス基板から成り、そのパターン面の中央部に、遮光帯SBで囲まれる、照明領域IARとほぼ同様の形状を有する長方形のパターン領域PAが形成されている。パターン領域PAの内部には、合計33個の計測用パターンMP1〜MP33が形成されている。各計測用パターンMPj(j=1〜33)は、例えばレチクルRT(パターン領域PA)の中心が投影光学系PLの光軸AXと一致するときに、前述の波面収差が計測される投影光学系PLの有効視野内の各計測点(評価点)に対応する位置に配置されるようにその位置関係が設定されている。
各計測用パターンMPjは、図5に示されるように、Y軸方向に延びる設計上の線幅が例えば600nmの第1ラインパターンと、X軸方向に延びる設計上の線幅が例えば600nmの第2ラインパターンとを含む。投影光学系PLの投影倍率を1/4として、これら第1ラインパターンと第2ラインパターンとをウエハ上に転写すると、投影光学系PLに球面収差、非点収差などの諸収差が存在しない理想的な状態では、第1ラインパターンと第2ラインパターンの像として、線幅150nmのラインパターン像がそれぞれ得られることとなる。
また、パターン領域PAの中心(レチクルセンタに一致)を通るX軸上のパターン領域PAの両外側には、レチクルアライメントマークM1、M2が形成されている。このレチクルRTは、レチクルステージRST上にロードされた状態では、パターン面(図5における紙面手前側の面)が、投影光学系PLに対向する側の面となる。
図5に戻り、次のステップ106では、レチクルアライメントが行われる。このレチクルアライメントは、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号などに詳細に開示されるように、主制御装置50が、前述のレチクルアライメント検出系を用いて、レチクルRTに形成されたレチクルアライメントマークM1、M2とこれらに対応してウエハステージWST上の基準マーク板FM上に形成された基準マークとの位置ずれをそれぞれ検出し、その検出結果に基づいて、位置ずれがともに最小になるように、レチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)を調整することにより行われる。このレチクルアライメントにより、レチクルRTの中心と投影光学系PLの光軸とがほぼ一致する。
次のステップ108では、所定の照明条件下で照明領域IAR内に配置されたレチクルRTの各計測用パターンMPjが投影光学系PLを介してウエハWT上に、レチクルステージRST及びウエハステージWSTが静止したまま転写され、パターン領域PA内の計測用パターンMPjの像(潜像)が、ウエハWT表面に塗布されたポジレジスト層に形成される。なお、レチクルRT上のパターン領域PAの転写に先立って、主制御装置50では、焦点位置検出系(60a,60b)の検出結果に基づいて、計測用パターンMPjの像が結像される像面にウエハWTの表面を一致させるべく、ウエハステージ駆動部(不図示)を介してウエハステージWSTをZ軸方向に微少駆動し、必要に応じてウエハステージWSTの傾斜角も調整する。なお、ウエハステージWSTをステッピング移動させて、ウエハWT上の複数の領域にレチクルRTのパターン領域PAを、順次転写しても勿論良い。
次のステップ110では、上記のレチクルRT上の計測用パターンMPjが転写されたウエハWTが、主制御装置50からの指示に基づき、ウエハステージWSTからアンロードされ、露光装置100にインラインにて接続されている不図示のレジスト塗布現像装置(コータ・デベロッパ)に不図示の搬送系によって送られる。
次のステップ112では、主制御装置50が不図示のコータ・デベロッパの制御系に指示を与え、この指示に基づいて不図示のコータ・デベロッパによってウエハWT上に計測用パターンMPjのレジスト像が形成される。
次のステップ114では、その現像後のウエハWTが、前述と同様にして再びウエハステージWST上にロードされる。
次のステップ116では、ウエハWT上の計測用パターンMPjのレジスト像の線幅計測が行われる。この線幅計測は、一例として、主制御装置50により、ウエハステージWSTをXY面内で移動しつつ、ウエハWT上の少なくとも1つの計測用パターンMPjのレジスト像を、アライメント系ALGを用いて順次撮像し、その撮像の結果得られた撮像信号に基づいて所定の処理(演算を含む)を行うことにより行われる。この結果、投影光学系PLの評価点(計測点)毎、すなわち計測用パターンMPj毎に第1ラインパターンの像(この場合レジスト像)の線幅である第1の線幅L1と第2ラインパターンの像(この場合レジスト像)の線幅である第2の線幅L2が求められ、RAMなどのメモリ内に格納される。
次のステップ118では、主制御装置50は、上で求めた各計測用パターンMPjについての線幅L1と線幅L2とに基づいて、各計測用パターンMPiについての線幅差ΔL=L1−L2を求め、RAMなどのメモリ内に格納する。
ここで、ウエハWT上の複数の領域について、上記の計測用パターンMPjの転写、レジスト像の形成が行われている場合には、複数の領域のそれぞれについて、上記の線幅計測、線幅差の算出が行われる。この場合、複数の領域のそれぞれから得られた各計測用パターンMPjについての線幅差の例えば単純平均値を、各計測用パターンMPjについての線幅差とすれば良い。かかる場合には、平均化効果により、計測誤差が低減され、各計測用パターンMPjについての線幅差(すなわち第1ラインパターン(縦線パターン)の像の線幅と第2ラインパターン(横線パターン)の像の線幅との差(以下、「縦横線の線幅差」とも呼ぶ))をより精度良く求めることができる。
次のステップ120では、評価点毎に縦横線の線幅差ΔLと、ツェルニケ多項式の第12項の係数Z12の値(大きさ)とに応じて、第9項の係数Z9を設定する。
ここでは、いずれの評価点についても、波面収差の計測結果として得られた第12項の係数Z12は零でない、すなわち表1中に4次(ρの次数が4次)cos2θ成分として表される高次非点収差が存在していたものとする。これは、図6のシミュレーション結果に示されるように、Z12が零、すなわちZ12=0mλの場合、4次0θ成分である第9項の係数Z9の大きさの如何にかかわらず、瞳面内の波面はいずれの方向についても同様の乱れ方になっている。このことは、Z12=0、すなわち図6中の上段(図6A〜図6C)では、いずれの図面にも複数の同心円から成る等高線図形が描かれていることからわかる。
すなわち、Z12が零では、ここで目的にしている縦横線の線幅差の制御(調整)は、困難であるから、いずれの評価点についても、波面収差の計測結果として得られた第12項の係数Z12は零でないものとしたのである。現実の投影光学系では、視野内のいずれの評価点においても、波面収差を展開したツェルニケ多項式の第12項の係数Z12は零でないことが通常であり、このような仮定は、実情にあっているものと言える。
また、本実施形態において、第9項の係数Z9を設定するとは、次のような処理を行うことを意味する。
すなわち、評価点毎に、縦横線の線幅差ΔLと、ツェルニケ多項式の第12項の係数Z12の値(大きさ)とに応じて、所定の演算を行い、第9項の係数Z9の変化量の目標値r1、r2、……、rn(n=33)を算出し(この算出方法の根拠については後述する)、その他の項の変化量の目標値を零とする次式(14)で表されるような波面収差の変化量の目標値Q’を算出する。
Figure 0004352458
上式(14)において、各要素P1’、P2’、……、Pn’(n=33)は、それぞれが、次式(151)、(152)、……、(15n)で表される37行1列の列マトリックス(列ベクトル)である。
Figure 0004352458
上記の式(151)、(152)、……、(15n)からも分かるように、各要素P1’、P2’、……、Pn’は、各評価点(計測点)における、ツェルニケ多項式の第9項以外の係数が全て零で、第9項の係数がrj(j=1〜33)である37行1列の列マトリックス(列ベクトル)であると見なすことができる。
従って、この場合の各調整パラメータの調整量を列マトリックスP’であらわすと、前述のマトリックスOを用いて、次式(16)の関係が成立する。
Q’=O・P’ ……(16)
上式(16)において、P’は、次式(17)で示される列マトリックスである。
Figure 0004352458
次のステップ122では、主制御装置50が、上式(16)を最小二乗法で解いて、各調整量からなる列マトリックスP’を求める。すなわち、次式(18)の演算を行う。
P’=(OT・O)-1・OT・Q’ ……(18)
次のステップ124では、主制御装置50が、上で算出したP’、すなわち調整量ADJ1〜ADJ15、ADJ19に従って、前述と同様にして可動レンズ131〜135などの調整各部を制御して投影光学系PL等を調整した後、一連の処理を終了する。なお、ウエハの位置及び姿勢に関する調整量ADJ16〜調整量18については、後述する走査露光時のウエハステージWSTの位置制御に用いるため、RAM又は記憶装置44に記憶しておく。これにより、投影光学系PLの視野内の33個の評価点における波面収差、具体的にはツェルニケ多項式の第9項の係数がrj分だけ変動するような投影光学系PLの調整が終了する。
この結果、調整が終了した投影光学系PLを用いて、縦線(V線)パターンと横線(H線)パターンとが混在するレチクルR上の回路パターンをウエハW上に転写することにより、それらの縦線(V線)パターンの像と横線(H線)パターンの像との線幅差(縦横線の線幅差)が設計値に近づくように、例えば零に近づくように補正される。
ここで、上述した投影光学系PLの調整により、縦横線の線幅差を補正できる理由について詳述する。
図6の下段(図6D〜図6F)には、高次非点収差項であるツェルニケ多項式の第12項の係数Z12=+20mλの場合の、低次球面収差項であるツェルニケ多項式の第9項の係数Z9の変化に応じた瞳面内の波面の変化の様子(シミュレーション結果)が示されている。この内、図6Dは、Z9=−20mλの場合を示し、図6Eは、Z9=0mλの場合を示し、図6Fは、Z9=+20mλの場合を示す。
これらの図から明らかなように、第12項成分が零でないときに第9項を変化させると、足し合わされた波面の形状は、縦方向と横方向とで異なる。
第12項の符号が正のとき、例えば図6Eに示されるように、瞳の左右は位相が正、上下は位相が負となる。一方、第9項の符号が正のとき、例えば図6Cに示されるように、瞳の外周縁部は位相が正となり、第9項の符号が負のときは、例えば図6Aに示されるように、瞳の外周縁部は位相が負となる。従って、第12項の符号が正のとき、第9項の符号が正なら、瞳の左右では第12項による位相変化と第9項による位相変化はともに正方向で強め合うが、瞳の上下では第12項による位相変化は負で、第9項による位相変化は正なので互いに弱め合う。この場合、例えば図6Fに示されるように瞳の左右方向で波面が大きく乱れ、上下方向の波面の乱れが小さくなる。
ここで、レチクル上の縦線(V線)パターンは横方向に空間周波数成分を持つため、縦線(V線)パターンからは左右方向に回折光が発生し、横線(H線)パターンは、縦方向に空間周波数成分を持つため、横線(H線)パターンからは上下方向に回折光が発生する。
従って、上述した如く、第9項と第12項の符号が等しい場合(図6Fのような場合)には位相変化が大きい左右方向に回折光が発生する縦線パターンの像のコントラストが低くなり、線幅が細くなる。これに対して、位相変化が小さい上下方向に回折光が発生する横線パターンの像のコントラスト低下は殆どないので、線幅はほぼ設計値通りになる。この結果、縦横線の線幅差は、負の値になる。
上記と反対に、第12項の符号が正のとき、第9項の符号が負なら、瞳の左右では第12項による位相変化は正で、第9項による位相変化は負なので互いに弱め合うが、瞳の上下では第12項による位相変化と第9項による位相変化はともに負で強め合う。この場合、例えば図6Dに示されるような瞳面内の波面分布となる。この場合には位相変化が大きい上下方向に回折光が発生する横線パターンの像のコントラストが低くなり、線幅が細くなる。これに対して、位相変化が小さい左右方向に回折光が発生する縦線パターンの像のコントラスト低下は殆どないので、線幅はほぼ設計値通りになる。この結果、縦横線の線幅差は、正の値になる。
以上のことより、第9項と第12項がともに零でないとき、瞳の上下方向と左右方向の波面の乱れ方は、第9項と第12項の符号の正負に応じて異なり、この点に着目して、第12項の値を固定したままの状態で、比較的調整が容易な第9項(低次球面収差成分)を調整することにより、縦横線の線幅差を調整できることがわかる。
上述した第9項(ρの次数が4次の0θ成分)と第12項(ρの次数が4次の2θ成分(cos2θ成分))の位相変化の方向差は、ρの次数を下げて、第4項(ρの次数が2次の0θ成分のデフォーカス項:係数Z4)と第5項(ρの次数が2次の2θ成分(cos2θ成分)の低次非点収差項:係数Z5)の相関との比較を考えると理解し易い。
第5項の符号が正のとき、例えば図7Eに示されるように、瞳の左右方向の位相は正、上下方向の位相は負である。一方、第4項の符号が正のとき、例えば図7Cに示されるように、瞳の外周縁部の位相は正であり、第4項の符号が負のとき、例えば図7Aに示されるように、瞳の外周縁部の位相は負である。このため、第5項と第4項との符号が等しい図7Fのような場合には、瞳の左右方向の位相変化は大きく、上下方向の位相変化は小さい。これと反対に、第5項と第4項との符号が等しくない(逆である)図7Dのような場合には、瞳の左右方向の位相変化は小さく、上下方向の位相変化が大きい。
ところで、第5項が零でないときには、その係数Z5の値に応じて縦線パターンと横線パターンとでベストフォーカス位置が異なるため、第4項を変化させると、縦線(V線)パターンと横線(H線)パターンの像の線幅の差(線幅差)が、デフォーカス、すなわち第4項の変化に応じて生じる。すなわち、線幅がデフォーカスによって変化する場合には、図8のCD−フォーカス線図に示されるように、第4項が0でないフォーカス位置では、第5項による縦線パターンと横線パターンとのベストフォーカス位置の差に対応して縦線パターンの像(V)と横線パターンの像(H)との線幅の差が生じる。これが、通常みられる、2θ成分である非点収差存在時の、0θ成分変化(デフォーカス)に伴う、縦線パターンの像と横線パターンの像の線幅への影響の差である。これより、低次の非点収差成分第5項が零でないとき、デフォーカスを示す第4項を調整することで、縦線パターンの像と横線パターンの像との線幅差を小さくできることは明らかであろう。
図9には、波長248.3nmのKrFレーザを光源とし、照明σ=0.75の2/3輪帯照明条件、投影光学系PLの開口数(N.A.)=0.68の場合に、前述の計測用レチクルRT上のパターンを転写して得られるレジスト像の線幅計測の結果得られる、縦横線の線幅差の実験結果の一例が示されている。また、図10には、図9のZ12=40mλ、20mλ、0mλの部分(上3段の部分)がより詳細に示され、図11には、図9のZ12=−20mλ、−40mλの部分(下2段の部分)がより詳細に示されている。図10、図11において、各等高線マップにおける横軸は、第4項の係数Z4を示し、縦軸は第5項の係数Z5を示す。
これらの説明からわかるように、図9は、第9項の係数Z9と第12項の係数Z12の値を、それぞれ±40mλの範囲内でかつ20mλステップで変化させたそれぞれのZ9、Z12の組み合わせについて、Z4とZ5とがそれぞれ変化したときの縦横線の線幅差の関係を示す図である。図9中の各領域内に付されたハッチング等は、図9の下欄に示されるような縦横線の線幅差を示す。線幅差の値が正の領域は、縦線(V線)パターンの像の線幅が横線(H線)パターンの像の線幅より太いことを、線幅差の値が負の領域は、縦線(V線)パターンの像の線幅が横線(H線)パターンの像の線幅より細いことを、それぞれ示す。
図12Aには、図9における左上に示されるZ12=40mλ、Z9=−40mλの等高線マップが取り出して示され、図12Cには、図12AのC−C線に対応するCD−フォーカス線図が示されている。また、図12Bには、図10における上段中央に示されるZ12=40mλ、Z9=0mλの等高線マップが取り出して示され、図12Dには、図12BのD−D線に対応するCD−フォーカス線図が示されている。これらの図から明らかなように、図9の各等高線マップは、Z12、Z9のある組み合わせ条件下において、デフォーカス項(係数Z4)と低次非点収差項(係数Z5)との変化に応じて、V線パターンの像とH線パターンの像との線幅差(以下、「VH差」とも呼ぶ)がどのように変化するかを示す図である。
12の値が0のとき(図9中の上から3段目に並ぶ5つの等高線マップ)では、Z9の値がそれぞれのマップで異なっているが、図10の下段の各マップに示されるように、どのマップのどのフォーカス位置でも、Z5の値が0であれば、VH差は生じない。
これに対して、Z12が0でないとき、例えばZ12=+40mλのときには、図10の上段の各マップから明らかなように、Z5=0ではZ12に起因してV線パターンとH線パターンとのベストフォーカス差が生じ、Z4の値によって線幅のVH差が変化するが、このときも、各Z4におけるVH差の値は、Z9の大きさに依存して変化している。このVH差の値のZ9依存性がもっとも明確にわかるのは、高次非点収差項の係数Z12の値の1/2に相当する20mλのZ5を与え、高次非点収差項である第12項によるV線パターンとH線パターンとのベストフォーカス差を低次非点収差項(係数Z5)で補正し、線幅差のフォーカス依存性がないようにした場合である。
線幅のVH差がZ9の値に依存し、Z12が正の値のときにはV線パターンの像の線幅はH線パターンの像の線幅より細く、逆にZ12が負のときにはV線はH線より太く、先に図6を用いて説明した内容が裏付けられることがわかる。
発明者等が行った実験の結果、球面収差Z9項の大きさを、ベストフォーカス差(照明σ=0.4の通常照明条件下での線幅0.72μmラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)と線幅1.4μmL/Sパターンとのベストフォーカス位置の差)で、−0.18μmから−0.02μmへと変更することにより、線幅のVH差を27nmから7〜8nmへと低減できることが確認された。
以上説明したことから、前述した如く、投影光学系の視野内の評価点毎に、縦横線の線幅差(VH差)ΔLと、ツェルニケ多項式の第12項の係数Z12の値(大きさ)とに応じて、所定の演算を行い、第9項の係数Z9の変化量の目標値r1、r2、……、rn(n=33)を算出し、その算出した第9項の係数Z9の変化量の目標値に基づいて、前述の投影光学系の調整を行うことにより、縦横線の線幅差を調整できることが裏付けられた。
ところで、本実施形態の露光装置100では、半導体デバイスの製造時には、デバイス製造用のレチクルRがレチクルステージRST上に装填され、その後、レチクルアライメント及びいわゆるベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等のウエハアライメントなどの準備作業が行われる。
なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号などに詳細に開示され、また、これに続くEGAについては、特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されており、上記各公報並びにこれらに対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
その後、ウエハアライメント結果に基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われる。なお、露光時の動作等は通常の走査型露光装置と異なることがないので、詳細説明については省略する。但し、本実施形態の露光装置100では、上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光に際し、前述した図4のフローチャートで示される調整方法により調整された投影光学系PLが用いられ、また、走査露光時に露光領域IAにおけるウエハWの位置及び姿勢が、算出された調整量ADJ16〜ADJ18に基づいて制御される。これにより、本実施形態では、レチクルRに形成された回路パターン中の縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差が低減された状態で、これらの像(潜像)がウエハW上の各ショット領域に形成される。
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、可動レンズ131〜135、ウエハステージWST、光源16によって調整部が構成され、可動レンズ131〜135、ウエハステージWSTのZ、θx、θy方向の位置(あるいはその変化量)、及び光源16からの照明光の波長のシフト量が調整量となっている。そして、上記各調整部と、可動レンズを駆動する駆動素子及び結像性能補正コントローラ48、ウエハステージWSTを駆動するウエハステージ駆動部(不図示)とによって、像形成状態調整装置が構成されている。また、主制御装置50によって、この像形成状態調整装置を制御する制御装置が構成されている。しかしながら、像形成状態調整装置の構成は、上記のものに限定されるものではなく、例えば調整部として可動レンズ131〜135のみを含んでいても良い。かかる場合であっても、投影光学系の結像性能(諸収差)の調整は可能だからである。
また、本実施形態では、ウエハ上に形成された計測用パターンのレジスト像を撮像するアライメント系ALGと、このアライメント系ALGによる撮像信号に基づいて計測用パターンに含まれる縦線パターンと横線パターンとのレジスト像の線幅を算出する主制御装置50とによって、線幅計測装置が構成されている。なお、線幅計測装置として、例えば露光装置100の外部に設けられた専用の計測装置(SEMなど)を用いても良い。
なお、これまでの説明では、投影光学系PLの調整等に際して行われる波面収差の計測は、波面収差計測装置80を用い、ピンホール及び投影光学系PLを介して形成された空間像に基づいて行うものとしたが、これに限らず、例えば米国特許第5,978,085号などに開示されている特殊な構造の計測用マスクを用い、そのマスク上の複数の計測用パターンのそれぞれを、個別に設けられたピンホール及び投影光学系を順次介して基板上に焼き付けるとともに、マスク上の基準パターンを集光レンズ及びピンホールを介することなく、投影光学系を介して基板上に焼き付けて、それぞれの焼き付けの結果得られる複数の計測用パターンのレジスト像それぞれの基準パターンのレジスト像に対する位置ずれを計測して所定の演算により、波面収差を算出することとしても良い。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る投影光学系PLの調整方法によると、例えば投影光学系PLの調整が困難な高次非点収差(第12項)の存在に起因して生じる前述の縦横線の線幅差を、調整が容易な低次球面収差(第9項)の大きさを制御するように投影光学系PLを調整することで、制御することが可能となる。従って、従来困難とされていた、縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差の制御を自在にかつ確実に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る露光装置100及びその露光方法によると、波面収差計測装置80により投影光学系PLの波面収差が計測される。また、計測用レチクルRTの計測用パターンが投影光学系PLを介してウエハW上に転写され、そのウエハを現像後にウエハ上に形成された計測用パターンのレジスト像が、主制御装置50によってアライメント系ALGを用いて撮像され、その撮像信号に基づいて計測用パターンに含まれる縦線パターンと横線パターンとのレジスト像の線幅がそれぞれ算出される。
そして、主制御装置50では、波面収差計測装置80により計測された波面収差を展開したツェルニケ多項式の第12項である高次非点収差項(第1の光学特性)が零でないとき、その第12項(係数Z12)の値と、上で計測された縦線パターンの像の線幅である第1線幅と横線パターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差とに応じて、第12項との相互作用により上記の線幅差に影響を与えるツェルニケ多項式の第9項である低次球面収差項(第2の光学特性)の大きさを、前述の像形成状態調整装置を用いて制御する。すなわち、調整が容易な低次球面収差の大きさを像形成状態調整装置を用いて制御することで、調整が困難とされている高次非点収差の存在に起因して生じる前述の線幅差を、制御することが可能となる。
そして、レチクルRの回路パターンを照明光ELで照明し、その回路パターンを、調整後の投影光学系PLを介してウエハW上に転写する。これにより、縦線パターンと横線パターンの転写像同士の線幅差が効果的に低減された良好な露光を実現することができる。
なお、上記実施形態では、第1の光学特性が波面収差を展開したツェルニケ多項式の第12項である高次非点収差項であり、第2の光学特性がツェルニケ多項式の第9項である低次球面収差項である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、第1の光学特性として、上記第12項(ρの次数が4次のcos2θ成分)と同じρの次数が4次の2θ成分(sin2θ成分)である第13項を計測しても良い。この場合、第2の光学特性としては、上記実施形態と同じ第9項をそのまま用いることができる。第9項と第13項との相互作用により、レチクル上で前述の縦線(V線)、横線(H線)に対してそれぞれ45°で交差する方向の第1の斜め線パターンとこれに直交する第2の斜め線パターンとの像の線幅差が影響を受ける。従って、上記実施形態と同様に、ツェルニケ多項式の第13項が零でないとき、その第13項(係数Z13)の値と、計測された第1の斜め線パターン像の線幅である第1線幅と第2の斜め線パターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差とに応じて、ツェルニケ多項式の第9項である低次球面収差項の大きさを、前述の像形成状態調整装置を用いて制御することで、前述の線幅差を、制御することが可能となる。
この他、第1の光学特性を、波面収差を展開したツェルニケ多項式の上記第12項、第13項以外のρの次数がm(m≧4)の2回回転対称成分とし、第2の光学特性を、第9項以外の前記2回回転対称成分と同一次数の回転対称成分としても良い。このようにしても、第1の光学特性の大きさが零でないとき、その第1の光学特性の大きさと計測された直交2軸方向のラインパターン同士の像の線幅差とに応じて、第2の光学特性を制御するように投影光学系PLを調整することにより、上記実施形態と同等の効果を得ることができるものと推測される。
さらに、前述の縦横線の線幅差(VH差)に影響を与える第1の光学特性と第2の光学特性の組み合わせとして、これまでに説明したツェルニケ多項式の第9項と第12項の他、第6項(係数Z6)と第18項(係数Z18)、第13項(係数Z13)と第18項(係数Z18)、第12項(係数Z12)と第17項(係数Z17)などの組み合わせが挙げられる。
発明者等は、波面収差を展開したツェルニケ多項式の項(ツェルニケ項)の組み合わせがVH差の原因となるかを、効率的に判断するため、VH差の原因となる組み合わせを体系的に発見するためのシミュレーションを行った。
図13には、光源がArFエキシマレーザ(波長193nm)、投影光学系PLの開口数(N.A.)=0.68、照明σ=0.85、2/3輪帯照明条件にて、ウエハ上換算値で線幅140nm(マスクバイアス:+40nmを含む)の孤立線(2μmピッチ)をレチクルパターンとし、透過率が6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(レチクル)を用いて、ウエハ上で孤立線の線幅を100nmに仕上げるときの収差間のクロスタームの計算結果が、図表にて示されている。この図13において、Zi(i=4〜20)は、ツェルニケ項第i項を示す。
この図13において、斜めの境界線の右上側が横線、左下側が縦線に対する各収差(ツェルニケ項)のクロスタームの大きさである。この図13の表より、第9項(Z9)と第12項(Z12)の組み合わせのクロスタームは、横線で759、縦線で−759となっており、ちょうど符号が反転していることがわかる。
この他にも、前述した第6項(Z6)と第18項(Z18)、第13項(Z13)と第18項(Z18)、第12項(Z12)と第17項(Z17)などの組み合わせで、縦横線のクロスタームの符号が反転しており、VH差の原因となることがわかる。
第1の光学特性と第2の光学特性との組み合わせとしては、上述した種々のツェルニケ項同士の組み合わせが考えられるが、これに限らず、第1の光学特性を非点収差とし、第2の光学特性を球面収差としても良い。このようにしても、非点収差と球面収差との相互作用が、縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差に影響を与えることを考えれば、投影光学系の光学特性の計測の結果、非点収差が存在するとき、その非点収差の大きさと計測された直交2軸方向のラインパターン同士の像の線幅差とに応じて、球面収差を制御するように投影光学系PLを調整することにより、線幅差を抑制することは可能である。
また、この場合を考えれば明らかであるが、投影光学系PLの光学特性計測装置は、波面収差計測装置に限らず、投影光学系PLの球面収差、非点収差などのいわゆるザイデルの5収差を計測するための装置であっても良い。例えば、このような装置としては、ウエハステージWST上にスリット状あるいは矩形状の開口パターンを形成し、この開口パターンを投影光学系PLによって形成された所定の計測用パターンの空間像に対して走査し、開口パターンを介した光を光電素子にて検出する、いわゆる空間像計測器などが挙げられる。
なお、上記実施形態では、投影光学系PLの波面収差は波面収差測定器80を用いて直接計測するものとしたが、これに限らず、第12項(係数Z12)は高次非点収差項であるから、例えば周期方向の異なる複数種類のL/Sパターン(あるいは方向の異なる孤立ラインパターン)のベストフォーカス位置をそれぞれ求め、その結果得られる非点収差が、低次非点収差項(係数Z5)と高次非点収差項(係数Z12)との線形結合であると仮定した計算式の各未定係数を最小二乗法などで算出することにより、第12項(係数Z12)を近似的に求めても良い。上記の周期方向の異なる複数種類のL/Sパターンのベストフォーカス位置は、上記のパターンをウエハの光軸方向の位置を変えながらそのウエハ上に焼き付けた結果得られるウエハ上の各ショット領域に形成されたレジスト像をSEMなどで計測して、求めても良いし、前述の空間像計測器を用いて、その空間像計測器の光軸方向の位置を変えながら上記のパターンの空間像計測を行い、その空間像の計測結果に基づいて求めても良い。
また、線幅計測装置を上記実施形態と同様の構成で構成する場合に、レジスト像に限らず、ウエハ上に形成された前記縦線パターンと横線パターンとの潜像あるいはエッチング像の線幅を計測しても良い。あるいは、線幅計測装置を、前述の空間像計測装置によって構成しても良い。この場合には、例えば縦線パターンと横線パターンとの空間像を像面上に形成し、その空間像の線幅を空間像計測装置によって計測することとなる。すなわち、像の形成と線幅の計測とが同時に行われることとなる。
なお、上記実施形態では、説明の簡略化のため、同一線幅の縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差がほぼ零となるような線幅差の制御を行う場合について説明したが、本発明の投影光学系の調整方法などでは、これに限らず、直交2軸方向のラインパターン同士であれば、線幅の如何にかかわらず(その線幅が異なっていても)、それらの像同士の線幅差の制御を行うことが可能である。線幅差の制御としては、設計上の線幅差に正確に近づけるようなパターン像の線幅差の制御が可能である。
また、上記実施形態では、オン・ボディ(投影光学系が露光装置に搭載された状態)で投影光学系の調整を行うものとしたが、例えば露光装置(特に投影光学系)の製造工程などで、露光装置への搭載前に投影光学系を単体で調整しても良い。
ところで、直交2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差が生じる要因は、投影光学系の収差によるものに限られず、レチクル上のパターンの描画誤差に起因する場合も考えられる。このような要因に起因する、直交2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差の低減のためにも、本発明に係る投影光学系の調整方法、露光方法、あるいは露光装置を用いることができる。この場合には、上記実施形態と同様にして計測された第1の光学特性、例えばツェルニケ多項式の第12項の値と、既知の第1のラインパターンの線幅とこれに直交する第2のラインパターンの線幅との差(描画誤差)とに応じて、第1の光学特性との相互作用によって投影光学系によって像面上に形成される前記第1のラインパターンの像の線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅との差である線幅差に影響を与える第2の光学特性、例えばツェルニケ多項式の第9項の大きさを制御するように投影光学系が調整される。このため、投影光学系によって像面上に形成される第1のラインパターンの像の線幅と第2のラインパターンの線幅との差である線幅差が、レチクル上のパターンの描画誤差などに起因して生じる場合に、直交するラインパターン同士の線幅差を自在に制御することが可能となる。
なお、これまでの説明からもわかるように、投影光学系の波面収差の情報を得、さらにパターンの投影像に関する情報を得、さらにこれらの情報に基づいて、投影光学系を調整する際に、前記波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち、その相互作用が前記投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して前記投影光学系を調整することとしても良い。このようにしても、従来考慮されていなかったその相互作用がパターンの投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して投影光学系を調整するので、従来調整が困難であった収差成分、例えば高次収差成分などの調整も可能となり、パターンの像の形成状態がより良好となるような投影光学系の調整が可能となる。この場合において、パターンが、ラインパターンを含む場合、前記投影像の特性として、そのラインパターンの線幅を少なくとも含む特性の変化に対する上記のツェルニケ感度を考慮することとしても良い。また、この場合も調整された投影光学系を用いて回路パターンをウエハ等の物体上に転写することとしても良い。かかる場合にも、高精度なパターンの転写を実現することが可能となる。
ところで、縦横線の線幅差だけでなく、孤立のラインパターンの像の線幅なども、デフォーカス量による影響を受ける。そこで、発明者等は、前述のCD−フォーカス曲線を求めるため、実験を行った。
露光条件としては、光源がArFエキシマレーザ(波長193nm)、投影光学系PLの開口数(N.A.)=0.78、照明σ=0.85、2/3輪帯照明条件、対象パターンが6%ハーフトーンマスク(レチクル)に形成される、ウエハ上換算値で線幅100nmの孤立線(2μmピッチ)を仮定した。また、露光量(スライスレベル)は、無収差でデフォーカスなしの条件で求め、+0.15μmデフォーカスした位置での線幅ばらつきΔCDを求めた。
単純にツェルニケ項毎に例えば50mλの収差を光学シミュレーション用のコンピュータに入力してツェルニケ感度(Zernike Sensitivity)を第1項から第37項について求めると、図14のようになる。この図14において、横軸のZ.i(i=1〜37)は、各ツェルニケ項を示す。
線幅ばらつきΔCDは、従来のツェルニケ感度法(Zernike Sensitivity法:以下、適宜「ZS法」と呼ぶ)では、次式(19)で表されるようなZernike Sensitivity(以下、適宜「ツェルニケ感度」又は「ZS」と略述する)si(i=1〜37)と、第n計測点(以下では計測点nとも呼ぶ)における各ツェルニケ項の大きさCn,i(=係数Zi)との線形結合で表現することができる。なお、以下では、Cn,iを各計測点のツェルニケ項の成分(ツェルニケ項成分)と略述する。
Figure 0004352458
しかしながら、上式(19)を用いたZS法を用いた計算結果と、適当な波面収差を与えて直接空間像を計算する手法との間には、図15のグラフに示されるような乖離が見られる。すなわち、上式(19)を用いたZS法による計算では誤差が大きすぎる。
このため、発明者等は、CD−フォーカス曲線を、フォーカスと線幅を座標軸とする2次元面内で移動させて線幅を推定する方法を考えてみた。
上述したように、ΔCDを直接ツェルニケ項成分の線形結合で表現する手法による線幅予測誤差は大きいので、ツェルニケ感度の算出と、ΔCDの計算との間に、CD−フォーカス曲線の平行移動という1ステップを加え、そのステップ(平行移動)実行後のCD−フォーカス曲線に基づいて、ΔCDを算出するという手法を採用することとした。
例えば、CD−フォーカス曲線の移動に関しては、各計測点nのフォーカス方向の移動量(αn)と線幅(CD)方向の移動量(βn)をそれぞれツェルニケ感度で表現する。次に例えばy=f(x)という関数であったCD−フォーカス曲線を平行移動してy=f(x−αn)+βnというCD−フォーカス曲線を作成し、新しくできた関数についてΔCDを計算すれば良い。
《予測方法》
以下、本発明の予測方法の一例に係るCD−フォーカス曲線の予測方法の実施形態について、その処理の流れを示すフローチャート(図16、図24)に沿って、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
本実施形態においても、露光装置100の前述の波面収差の各計測点n(n=1〜33)について、パターンの投影像の特性の1つである、CD−フォーカス曲線を、ツェルニケ項成分Cn,iを含む複数の項の線形結合を用いたツェルニケ感度法を用いて予測する。各ツェルニケ項成分Cn,iとしては、シミュレーション用コンピュータ46上の結像シミュレータによって予め求められたものを用いても良いし、前述のように、波面収差計測装置80による計測によって求められた値を用いても良い。
まず、図16のステップ202において、実際の露光時の光学条件(例えば、照明光ELの波長、即ち露光波長(及び露光用の光源16の種類など)、投影光学系PLの最大N.A.(開口数)、使用N.A.(本実施形態では、露光時に開口絞り15にて設定される開口数)、コヒーレンスファクタσ値(照明σ)又は照明N.A.(照明光学系の開口数)、及びレチクルの照明条件(照明光学系の瞳面上での照明光ELの光量分布、即ち2次光源の形状や大きさ)など)等を含む露光条件を、シミュレーション用コンピュータ46にその入力装置を介して設定する。このとき、シミュレーション用コンピュータ46上では、すでに結像シミュレータが起動しており、その画面上には、結像シミュレータの露光条件設定画面が表示されているものとする。オペレータ等は、その設定画面にしたがって、実際の露光に用いられる光学条件などを設定する。なお、この露光条件の設定時には、各計測点n(n=1〜33)にそれぞれ転写されるレチクル上のパターンの形状、寸法などのパターンに関する情報もここで併せて設定する。パターンに関する情報としては、例えば、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペース(L/S)パターン、ラインパターンが直交している直交パターンなどのパターン種別(位相シフトパターンであるか否か及びその種類なども含む)、ラインパターンの線幅、長さ、ピッチなどのパターンサイズ情報などがある。パターンの選択は、評価すべき評価項目に応じて決定される。例えば、上述の動作と同様に縦横の線幅差を評価項目とするならば、図5に示されるレチクルRTのような、互いに直交するラインパターンが形成されたレチクルを用いるものと仮定し、そのレチクル上のパターンに関する情報を設定する必要がある。ここでは、説明を簡単にするため、計測点毎に同一サイズの孤立ラインパターンが形成されたレチクルを用いるものとし、そのレチクル上のパターンの情報が設定されたものとする。
次のステップ204において、結像シミュレーションにより投影光学系PLが無収差のときのCD−フォーカス曲線の作成が行われる。具体的には、オペレータ等は、シミュレーション用コンピュータ46に対し、投影光学系PLが無収差である場合のCD−フォーカス曲線の作成を入力装置を介して指示する。
この指示に応答して、シミュレーション用コンピュータ46は、上記ステップ202で設定された露光条件下で投影光学系PLを無収差と仮定した状態、すなわち(すなわち式(3)に示されるツェルニケ項成分Zi(i=1〜37、すなわちCn,i)をすべて0にした状態)での、デフォーカス量に対するラインパターンの線幅の変動、すなわちCD−フォーカス曲線を結像シミュレータによって作成する。
次のステップ206において、シミュレーション用コンピュータ46は、作成したCD−フォーカス曲線を、次式(20)に示される10次関数でフィッティングする。
Figure 0004352458
ここで、xは、デフォーカス量であり、yは、そのデフォーカス量に対応する対象パターン(上記ステップ202においてパターン情報が設定されたラインパターン)の像の線幅であり、Ca〜Cfは、この10次関数の各次の項の係数である。この式(20)からも明らかなように、この関数は、2次から10次までの偶数次の項のみから成る関数である。図17Aに、このフィッティングの結果得られた10次関数の一例が示され、図17Bに、その10次関数と、結像シミュレーションによって得られたCD−フォーカス曲線とのフィッティング誤差の一例が示されている。図17Bに示されるように、10次関数のフィッティング誤差は、±0.02nm以下に収まっており、フィッティング精度が非常に高くなっているのがわかる。
次に、ステップ208において、オペレータ等は、シミュレーション用コンピュータ46を用いて、デフォーカス量に対する、各ツェルニケ項のツェルニケ感度Sαiを空間像計算により求める。ここで、ツェルニケ多項式で表現された収差を例えば1種類だけ入力してCD−フォーカス曲線を作ってみると、項ごとに異なる振る舞いをすることがわかる。ここでは、その振る舞いのうち、ベストフォーカス位置の変化を求める。
図18には、そのツェルニケ感度Sαiが示されている。この図18において、横軸のZ.i(i=1〜37)は、各ツェルニケ項を示す。図18に示されるように、デフォーカス量に対して感度があるのは、ツェルニケ項Z4、Z9、Z16、Z25、Z36、Z37の回転成分やZ5、Z12、Z17、Z21、Z28、Z32などの2回回転成分、すなわち偶数θ成分のみとなっている。他(奇数θ成分)はツェルニケ感度が0であるため、CD−フォーカス曲線は、フォーカス方向のシフトに関しては、奇数θ成分には影響を受けず、収差間のクロス項の影響を受けることもない。
図19には、第9項(Z.9)、第12項(Z.12)、第16項(Z.16)の3種類の各ツェルニケ項を、それぞれ−50mλから50mλまで10mλピッチで11点動かしたときのフォーカス方向の移動量(αn)の変化の様子が示されている。図19には、各11点での各移動量に基づいて最小二乗法を使って求められた直線の傾きも併せて示されている。すなわち、各直線の傾きがそれぞれのツェルニケ項の感度の値となる。なお、この図19には、第9項(Z.9)、第12項(Z.12)、第16項(Z.16)の3種類だけが代表的に示されているが、他のツェルニケ項についても収差量がこの範囲であれば、ほぼ完全に線形性が保たれていることが確認されている。図19からもわかるように、相関係数R2≒1なので、通常のツェルニケ感度の計算では、計算時間を節約するために、収差を1値だけ入力して直線の傾きを求めれば良いが、ここでは、再確認と、より正確な値を導き出すことを目的に、−50mλ〜50mλまで10mλピッチでフォーカス方向の移動量(αn)を11点計算して、最小二乗法を使って直線の傾き(すなわちツェルニケ感度の値)を計算した。
次に、ステップ210において、シミュレーション用コンピュータ46は、各ツェルニケ項のツェルニケ感度Sαiと、各計測点n(n=1〜33)におけるツェルニケ項成分Cn,i(i=1〜37)とを用いて、総合焦点差(TFD)、非点収差、球面収差量などを求めるツェルニケ感度法と同様な式である次式(21)を用いて、計測点n(n=1〜33)におけるCD−フォーカス曲線のフォーカス方向のずれ量αnを求める。
Figure 0004352458
ところで、ツェルニケ項毎に−50mλ〜50mλまで10mλピッチで11点収差を入力して、その振る舞いからβn(ベストフォーカス位置における線幅の変化)と収差の関係を求めた場合、収差の量がプラスであってもマイナスであっても影響が同じであることや、収差が増えると比例関係以上に像の劣化が観察されることから、βnは、各ツェルニケ項成分の二乗の線形結合で表されるものと仮定することができる。
そこで、次のステップ212において、オペレータ等は、シミュレーション用コンピュータ46を用いて、設定された露光条件下での、ラインパターンの線幅に対する、各ツェルニケ項成分の二乗のツェルニケ感度Sβiを、空間像計算により求める。像計算で得た11点の線幅変化量の計算に2次関数を仮定し、最小二乗法によって近似をしてみると、図20に示されるように、y=sx2という関数に乗っていることが観察される。なお、この図20には、第6項(Z.6)、第7項(Z.7)、第9項(Z.9)の3種類だけが代表的に示されているが、他のツェルニケ項についても二次関数で表現できることが確認されている。なお、各ツェルニケ項の感度Sβi(i=1〜37)を図21に示す。この図21において、横軸のZ.i(i=1〜37)は、各ツェルニケ項を示す。図21に示されるように、この線幅変化に対しては、奇数θ成分、偶数θ成分ともに感度がある。
次に、ステップ214において、シミュレーション用コンピュータ46は、各計測点におけるツェルニケ項成分Cn,iをメモリから読み出すとともに、次式(22)を用いて、ラインパターンの線幅方向のCD−フォーカス曲線のずれ量βnを求める。
Figure 0004352458
次に、ステップ216において、シミュレーション用コンピュータ46は、上記ステップ210で求めたαnと、上記ステップ214で求めたβnとを用いて、次式(23)に基づき、計測点n(n=1〜33)におけるCD−フォーカス曲線を求める。これにより求められたCD−フォーカス曲線が、計測点nにおける投影光学系PLの収差を考慮したときに予想される各計測点nにおけるCD−フォーカス曲線となる。但し、ここで求められたCD−フォーカス曲線では、未だその変形は考慮されていない。
Figure 0004352458
なお、βnを求める際には、上述の式(22)に代えて、次式(24)を用いることもできる。
Figure 0004352458
上述の式(24)は、互いに異なるツェルニケ項同士の積、すなわち前述のクロスターム(クロス項)を考慮するように、式(22)を拡張したものである。すなわち、パターン像の線幅は、式(22)に示される各ツェルニケ項成分の二乗だけでなく、クロスタームの影響も受ける。図22A、図22Bのグラフに示されるように、収差の組み合わせによっては、線幅分布が傾いた楕円上に分布していることがある(図22Aでは、Z.6とZ.13との関係であり、図22BではZ.9とZ.12との関係である)。この場合には、それらの収差の組み合わせのクロスタームは、線幅変化に対して感度を有することとなる。図23には、ラインパターンの線幅に対する各クロスタームの感度(クロストーク)が示されている。なお、式(24)において、i=jのSβi,jのところには、式(22)のSβiと同じ値が入り、式(24)の中で、2項だけ取り出すと、例えば次式(25)のような形となる。
Figure 0004352458
これより、図22A、図22Bのグラフに示されるような傾いた楕円分布の表現が可能であることがわかる。実際にクロスタームの計算をしてみると、かなり多くの項の間でクロスタームが存在することを確認できる。
これまでの説明から明らかなように、ある収差のツェルニケ項のCD−フォーカス曲線への影響はCD−フォーカス曲線のフォーカス方向への移動と最大線幅の変化として表現できる。
次に、図24のステップ302において、シミュレーション用コンピュータ46は、結像シミュレータを用いた空間像計算により、実際に収差が存在する状態での投影光学系PLにおけるCD−フォーカス曲線を計測点毎に求める。実際の収差に関する情報は、前述のように求められた波面収差を、主制御装置50を介して、記憶装置42から読み出すことによって行なうようにしても良い。
次いで、ステップ304において、シミュレーション用コンピュータ46は、上記ステップ302で結像シミュレータにより算出されたCD−フォーカス曲線と、上述した式(23)を用いて算出されたCD−フォーカス曲線との差分を表す差分関数y’nを、次式(26)に示されるような、5次関数で近似する。
Figure 0004352458
ここで、γ5n、δ4n、γ3n、δ2n、γ1nは、5次関数y’nの各次の項の係数である。
この各係数γ5n、δ4n、γ3n、δ2n、γ1nも、ツェルニケ項成分Cn,iを含む項の線形結合で表現することができる。具体的には、奇数次の項(以下では奇数項とも呼ぶ)の係数γ5n、γ3n、γ1nは、各ツェルニケ項成分Cn,iの線形結合で表すことができ、偶数次の項(以下では偶数項とも呼ぶ)の係数δ4n、δ2nは、各ツェルニケ項成分の二乗Cn,i 2の線形結合で表すことができる。
そこで、次のステップ306では、シミュレーション用コンピュータ46は、式(26)で示されるy’nの奇数項に着目し、5次、3次、1次の係数γ5n、γ3n、γ1nに対するツェルニケ項の感度Sγ5i,Sγ3i,Sγ1iを空間像計算により求める。図25〜図27には、各ツェルニケ項の感度Sγ5i,Sγ3i,Sγ1iの一例がそれぞれ示されている。
次のステップ308では、シミュレーション用コンピュータ46は、関数y’nの偶数項に着目し、4次、2次の係数δ4n,δ2nに対する各ツェルニケ項成分の二乗Cn,i 2の感度Sδ4i,Sδ2iを空間像計算により求める。図28、図29には、各ツェルニケ項成分の二乗Cn,i 2の感度Sδ4i,Sδ2iの一例がそれぞれ示されている。
そして、ステップ310において、シミュレーション用コンピュータ46は、投影光学系PLの現在の収差状態での計測点n(n=1〜33)における、5次、3次、1次の係数γ5n、γ3n、γ1n、及び、4次、2次の係数δ4n,δ2nを、次の式(27)、式(28)を用いて求める。
Figure 0004352458
以上により、式(23)に示される関数ynと式(26)で表される関数y’nとの和を示す関数y”n(=yn+y’n)の各次の項の係数が全て計算され、計測点n(n=1〜33)におけるCD−フォーカス曲線(変形をも考慮したもの)がすべて予測されたことになる。
図30には、設定された露光条件下で、各計測点n(n=1〜33)のうち、代表的に示される計測点k、k+1(k=1〜32)のCD−フォーカス曲線y”k,y”k+1を、求める際の模式図が示されている。図30に示されるように、本実施形態の予測方法では、上述したステップ202〜ステップ310を実行することにより、投影光学系PLの収差が0であると仮定した場合のCD−フォーカス曲線を、10次関数yで近似し、その10次関数yを、計測点kにおけるツェルニケ項成分Ck,iの線形結合によって求められるデフォーカス量(横軸)の方向及び線幅(縦軸)の方向に、それぞれαk、βkだけずらし、さらに、5次関数y’k分変形させることによって計測点kにおける関数y”kを予測している。前述のように、投影光学系PLの瞳面上の波面は、計測点によって異なるため、ツェルニケ項成分Cn,iも計測点によって異なる。したがって、上述のy”kとy”k+1は、違う曲線となる。
図31Aには、精密な結像シミュレーションによって算出された、計測点1、11、17、33におけるCD−フォーカス曲線の一例が示されており、図31Bには、上述の予測方法によって予測された同一露光条件、同一パターンでの計測点1、11、17、33におけるCD−フォーカス曲線の一例が示されている。図31A、図31Bに示されるように、結像シミュレーションによるCD−フォーカス曲線と、上述の予測方法によって予測されたCD−フォーカス曲線とは、各計測点において良く一致しており、精度良くCD−フォーカス曲線を予測できているのがわかる。すなわち、上述の予測方法を実行すれば、所定露光条件下での所定パターンの転写の際の、CD−フォーカス曲線を精度良く予測することが可能となる。
図32には、線幅ばらつきΔCDに関して、上で説明した新たなZS法を用いた計算結果と、適当な波面収差を与えて直接空間像を計算する手法との関係が示されている。この図32と前述の図15とを比較すると明らかなように、新たなZS法によると、誤差が格段に低減されていることがわかる。
図32からも明らかなように、結像シミュレーションによる空間像計算を行なわなくても、ZS法を拡張することで線幅を正確に計算できることがわかる。
なお、上述のステップ202〜310の説明では、オペレータ等が介在することを前提として説明を行ったが、オペレータ等は、露光条件等の指定(ステップ202)のみを行い、ステップ204以降の処理は、シミュレーション用コンピュータ46(又はその他のコンピュータがシミュレーション用コンピュータと連携して)が全て行うようにすることも勿論可能である。あるいは、前述のオペレータ等の操作に代えて、ホストコンピュータなどから指令を与えるようにしても良い。このような変形は、ソフトウェアプログラムを変更することによって容易に実現が可能である。
上述した露光条件等の指定以外の処理を、シミュレーション用コンピュータ46などのコンピュータに行わせるプログラムは、例えばCD(compact disc),DVD(digital versatile disc),MO(magneto-optical disc)あるいはFD(flexible disc)等の情報記録媒体に記録した状態で譲渡(販売等)の対象にすることができる。勿論、インターネットなどの電気通信回線を介してデジタルコンテンツとして譲渡等することもできる。
《評価方法》
上述のようにして予測された計測点1〜計測点nのCD−フォーカス曲線を用いて、露光装置100におけるパターンの投影像(又は転写像)の特性を評価することが可能である。例えば、上述のように、投影光学系PLの物体面側で、計測点1〜nに対応する位置にそれぞれ孤立ラインパターンを配置した場合を想定し、計測点毎にCD−フォーカス曲線を予測すれば、評価点毎にCD−フォーカス曲線のずれに基づいて、露光領域IA内における孤立ラインパターンの像の特性、例えば面内均一性を評価することができるようになる。
また、図5に示されるような、計測点1〜nに対応する位置にそれぞれ互いに直交するラインパターンが配置されたレチクルRTを使用する場合を想定し、縦ラインパターン、横ラインパターンについてそれぞれ上述したステップ202〜ステップ310を実行してCD−フォーカス曲線を予測すれば、前述の図8に示されるような、縦パターン及び横パターンのCD−フォーカス曲線が作成され、CDフォーカス曲線の差に基づいて各計測点における縦横線幅差を評価することもできる。
すなわち、縦線と横線それぞれの像のCD(線幅)変化に対するツェルニケ感度を求め、収差(ツェルニケ項)の組み合わせのクロスタームのツェルニケ感度Sβi,j(i≠j)を求め、その符号が縦横線で異なる組み合わせが、VH差に影響を及ぼす収差(ツェルニケ項)の組合わせとして探し出せる。この理由は、V線とH線とで、式(25)中の第2項以外は、同一の値となるので、VH差=ΔCD(V)−ΔCD(H)の計算においても、βnに関しては、縦線と横線とでクロスタームの感度Sβi,j(i≠j)の符号が異なる場合に、線幅差に影響を与えることとなるためである。
また、計測点1〜nに対応する位置にそれぞれL/Sパターンを配置した場合を想定し、そのL/Sパターンの像の両端のラインパターン像についてそれぞれCD−フォーカス曲線を予測すれば、CDフォーカス曲線の差に基づいて各計測点における両端の像の線幅差を評価することができ、これにより例えば投影光学系PLのコマ収差を評価できるようになる。
なお、これまでの式(21)、式(22)(又は式(24))、式(27)、式(28)をまとめてマトリックス形式で表現すると、以下の式(29)のようになる。
Figure 0004352458
ただし、Wα、Wβ、Wγ、Wδは、それぞれ、以下のようになる。
Figure 0004352458
Wβは、式(22)または式(24)のいずれを選択するかで、マトリックスが異なったものとなる。なお、上述の式(29)は、以下のように纏められる。
Figure 0004352458
ここで、fは、CD−フォーカス曲線の各係数のマトリックスであり、Waは波面収差に関するマトリックスであり、ZSは、ツェルニケ感度に関するマトリックスである。
《調整方法》
次に、上述のCD−フォーカス曲線の予測方法、その予測方法によって予測されたCD−フォーカス曲線に基づく露光装置100におけるパターンの転写状態を評価する評価方法を実行後、その評価結果に基づいてパターンの転写状態を調整する調整方法について説明する。なお、ここでは、前述のステップ102において設定した孤立ラインパターンの像における面内均一性を高めることを目標として調整を行うものとする。
前述のように、各計測点n(n=1〜33)に対応するパターンが全て均一であっても、各計測点間のCD−フォーカス曲線がずれていれば、その計測点上に結像するパターン像は均一とはならない。したがって、本実施形態の調整方法では、上述のように予測された各計測点のCD−フォーカス曲線ができるだけ均一となるように、露光装置100におけるパターンの転写状態を調整する。以下では、その調整方法について説明するが、まず、その調整方法に用いる算出式の根拠について説明する。
各計測点n(n=1〜33)におけるCD−フォーカス曲線を均一にするには、前述のように求めた、αn、βn、γ5n、δ4n、γ3n、δ2n、γ1nが、各計測点において、できるだけ同一となるように、前述の19個のパラメータを調整すれば良い。そこで、各計測点n(n=1〜33)におけるαn、βn、γ5n、δ4n、γ3n、δ2n、γ1nの目標値を計測点間で同一としたうえで、αn、βn、γ5n、δ4n、γ3n、δ2n、γ1nをそれぞれの目標値に近づけることができるような調整パラメータの調整量を算出する。
上述のように各調整パラメータを調整した場合には、投影光学系PLの波面収差等が変化する。計測点n(n=1〜33)における前述の19個の調整パラメータ(これらをそれぞれ調整パラメータPARA1〜PARA19とする)の単位調整量当たりの上述のマトリックスWaの各要素(すなわちCn,i(i=1〜37)を含む項)の変化)を、それぞれマトリックスPARA1P’〜PARA19P’で表すと、例えばPARA1P’は以下に示すようになる。
Figure 0004352458
ただし、Wα’、Wβ’、Wγ’、Wδ’は、それぞれ、以下に示されるようになる。
Figure 0004352458
ここで、各マトリックスWα’、Wβ’、Wγ’、Wδ’の各要素に含まれるZn,i(n=1〜33、i=1〜37)は、調整パラメータPARA1の計測点nにおけるCn,iの変化である。
したがって、次式(32)に示されるように、マトリックスPARA1Pn’を上述した各係数の感度を要素とする列ベクトルZSに掛け合わせれば、調整パラメータPARA1の単位量当たりの計測点nにおける係数の変化量(例えばαn (P1))の列ベクトルB’[1]を求めることができる。
Figure 0004352458
同様に、調整パラメータPARA2’〜PARA19’についても、単位量当たりの計測点nにおける係数の変化量の列ベクトルB’[2]〜B’[19]が求まる。
ここで、各調整パラメータの調整量の縦ベクトルを次式(33)に示す縦ベクトルPとする。
Figure 0004352458
調整パラメータPARA1〜PARA19の調整量に対するCD−フォーカス曲線の係数の変化f’は、次式(34)のようになる。
Figure 0004352458
ここでは、調整パラメータの調整量と、それに伴うCD−フォーカス曲線の係数との上述した関係を利用し、以下に示す計算を行って、各計測点におけるパターンの均一化を図る。すなわち、CD−フォーカス曲線の各係数の目標値の列ベクトルをftとし、現在の各係数の列ベクトルをfとし、前述の列ベクトルB’[1]〜B’[19]の1次結合によって形成されるマトリックスをBとすると、それらの関係は、次式(35)で表される。
Figure 0004352458
上式を最小二乗法で解くと、次式(36)のようになる。
Figure 0004352458
ここで、BTは、前述のマトリックスBの転置マトリックスであり、(BT・B)-1は、(BT・B)の逆マトリックスである。
この調整方法では、主制御装置50が、上述の式(36)を用いて、調整量の列ベクトルPを求め、調整量ADJ1〜調整量ADJ19を算出する。なお、式(36)を用いて列ベクトルPを求めるためには、各計測点におけるCD−フォーカス曲線の各係数の目標値、すなわち列ベクトルftを決定する必要があるが、ここでは、前述のように、孤立ラインパターンの像の面内均一性を高めることを目標としているため、各計測点における関数y”nについての各次の係数の目標値をすべて同じ値に設定するようにすれば良い。
次に、縦横線幅差を調整する場合の調整方法について説明する。これには、前述のように、図5に示されるようなレチクルRTの計測用パターンがそれぞれ計測点1〜nに対応する位置に配置される場合を想定し、前述の予測方法を実行すれば、同一計測点において、ラインパターン毎にCD−フォーカス曲線が得られる。
この場合にも、上述の式(36)と同様の式を用いて調整量ADJ1〜調整量ADJ19を算出するが、前述のように、各計測点において、2つのCD−フォーカス曲線が得られるようになるため、係数マトリックスft及びfの要素数は、上述の式(30)におけるfの要素数(33×7=231)の2倍、すなわち462となり、同一計測点における縦ラインパターン及び横ラインパターンに対応する係数の目標値を同一の値とすれば、縦横線幅差を最も低減することができる調整量ADJ1〜ADJ19を算出することが可能となる。
次に、主制御装置50では、記憶装置42に記憶された調整量ADJ1〜ADJ15に従って、前述と同様に、結像性能補正コントローラ48により、可動レンズ131〜135の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整し、上記の各動作と同時に、主制御装置50は、調整量ADJ19に従って光源16に指令を与え、照明光ELの波長をシフトする。
なお、本実施形態では、投影光学系PL等の調整後の状態で、さらに、上述したステップ202〜ステップ310を実行して、調整後の各計測点のCD−フォーカス曲線を予測し、さらに上述した評価方法、調整方法を繰り返し実行し、各計測点のパターンの転写状態を逐次接近的に均一化するようにしても良い。
《露光方法》
半導体デバイスの製造時における露光工程では、デバイス製造用のレチクルRがレチクルステージRST上に装填され、前述した動作により、ステップ・アンド・スキャン式の露光が行われる。なお、本実施形態の露光装置100では、上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光に際し、前述の露光領域IA内におけるウエハWの位置及び姿勢を、算出された調整量ADJ16〜ADJ18に基づいて制御することは、前述した通りである。
また、本実施形態では、露光条件の設定や、レチクルRの交換により、実際に転写する回路パターンが変更された場合には、図18、図21、図23、図25〜図28に示される各ツェルニケ項成分を含む項のツェルニケ感度が変化するため、それらの感度を求め直して、改めて上述の予測方法、評価方法、調整方法を実行する必要があることはいうまでもない。
以上詳細に説明したように、上述の予測方法によれば、投影光学系PLの波面収差W(ρ,θ)を級数展開して得られる各収差成分Cn,i(n=1〜33、i=1〜37)をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値に基づいて、投影光学系PLを介して投影されるパターンの像に関する変動曲線としてのCD−フォーカス曲線を求めることができる。従って、多大な計算時間を要する複雑な計算を伴う結像シミュレーションを用いずとも、各収差成分Cn,i(n=1〜33、i=1〜37)を含む項の線形結合の値を求めるという至極単純な演算により、所定露光条件下での所定の収差状態にある投影光学系PLを介したパターンの像に関するCD−フォーカス曲線を予測することが可能となり、その予測結果に基づき、パターンの投影像(又は転写像)の特性を短時間に予測することが可能となる。
また、この予測方法によれば、CD−フォーカス曲線の移動量だけでなく、各収差成分Cn,i(n=1〜33、i=1〜37)を含む項の線形結合に基づいて、投影光学系PLの波面収差W(ρ,θ)に起因するCD−フォーカス曲線の変形具合も算出するので、CD−フォーカス曲線をさらに精度良く予測することができる。
また、この予測方法によれば、像サイズ軸方向(線幅変化方向)に関するCD−フォーカス曲線の移動は、各収差成分の二乗Cn,i 2に感度があるだけでなく、互いに異なる収差成分同士のクロス項にも感度があるので、それらのクロス項の線形結合をさらに考慮すれば、像のサイズ軸方向の移動量をさらに精度良く予測することができる。
また、この予測方法によれば、計測点nにおける変動関数の変形具合を示す差分関数y’nの奇数次の項の係数は、投影光学系PLの波面収差W(ρ,θ)を展開したときの各ツェルニケ項成分Cn,i(n=1〜33、i=1〜37)に感度があるため、差分関数y’nの奇数次の項の係数を、各ツェルニケ項成分Cn,iの線形結合によって予測することができる。また、差分関数y’nの偶数次の項の係数は、各ツェルニケ項成分の二乗Cn,i 2に感度があるため、その偶数次の項の係数を、各ツェルニケ項成分の二乗Cn,i 2の線形結合によって予測することができるので、短時間で、かつ精度良くCD−フォーカス曲線の変形を予測することができる。
また、上述の評価方法によれば、上述の予測方法を用いて、所定露光条件下で投影光学系PLを介して投影される所定パターンの像についてのCD−フォーカス曲線を、投影光学系PLの有効視野内の各計測点についてそれぞれ短時間に精度良く予測することができるようになるので、そのCD−フォーカス曲線に基づいて、投影光学系PLの有効視野内における所定パターンの像の特性、例えば均一性を、短時間に、精度良く評価することが可能となる。
また、この評価方法を用いる調整方法によれば、本実施形態の評価方法を用いて、投影光学系PLの有効視野内における所定パターンの像の均一性が評価され、その評価結果に基づいて、投影光学系PLを介した所定パターンの像の形成状態が調整される。従って、評価結果に応じて所定パターンの像の特性を所望の状態、例えば転写像の均一性が改善する方向に調整することが可能となる。
また、上記実施形態の予測方法では、投影光学系PLが無収差である仮定した場合に求めたCD−フォーカス曲線をフィッティングする関数として、偶数次の項のみ有する10次関数を選択したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィッティングする関数の最高次数は、8次以下であっても良いし、12次以上であっても良い。いずれにしても、CD−フォーカス曲線をフィッティングする関数は、高次偶関数であれば良い。
また、上記実施形態の予測方法では、差分関数y’nを5次の関数としたが、これは4次以下であっても良いし、6次以上であっても良い。
また、上記実施形態の予測方法では、各計測点に対応する点に配置される計測用レチクルのパターンを、縦ラインパターン及び横パターン(すなわち交差パターン)が1つずつ設けられたパターン、あるいは、孤立ラインパターンとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の平行ラインパターン(L/Sパターン)であっても良いし、交差パターンや平行ラインパターンが組み合わされたパターンであっても良い。また、縦、横だけでなく、斜めに延びるラインパターンが含まれていても良い。なお、L/Sパターンを採用した場合には、そのL/Sパターンの両端のラインパターンの線幅をそれぞれ本実施形態の予測方法で予測し、それらの線幅差、すなわち線幅異常値を本実施形態の評価方法で評価し、本実施形態の調整方法と同様に、その評価結果に基づいて、パターンの像の形成状態を調整した上で、線幅異常値の大きさを低減したうえで、露光を実行すれば、高精度な露光が可能となる。
また、上記実施形態の評価方法では、ラインパターンの面内均一性、縦横線幅差、線幅異常値を評価項目としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、CD−フォーカス曲線に基づいて評価可能なあらゆる項目を評価項目とすることができる。
なお、上記実施形態の評価方法では、所定露光条件下で投影光学系PLを介して投影される所定パターンの像についてのCD−フォーカス曲線を、投影光学系PLの有効視野内の各計測点についてそれぞれ短時間に精度良く予測し、そのCD−フォーカス曲線に基づいて、投影光学系PLの有効視野内における所定パターンの像の特性、例えば均一性を評価する場合について説明したが、本発明の評価方法がこれに限定されるものではない。すなわち、投影光学系PLの波面収差の情報を得、さらにパターンの投影像に関する情報を得る。そして、これらに基づいて、波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち、その相互作用が前記投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して前記パターンの像の特性を評価することとしても良い。かかる場合であっても、従来考慮されていなかったその相互作用がパターンの投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮してパターンの像の特性を評価するので、パターンの像の特性をより高精度に評価することができる。
また、上記実施形態の調整方法では、前述した式(36)等を用いて算出された最適な調整量に基づいて、主制御装置50の制御の下、結像性能補正コントローラ48等による調整を自動的に行うものとしたが、これに限らず、前記調整量に基づいて、投影光学系の結像性能などを手動で調整しても良い。
また、上記実施形態の予測方法には、様々な変形例が考えられ得る。また、上記実施形態では、CD−フォーカス曲線の予測方法、予測されたCD−フォーカス曲線で露光装置100におけるパターンの転写状態を評価する評価方法、その評価結果に応じてパターンの転写状態を調整する調整方法、その調整後に露光を行う露光方法を、一連の処理によって説明したが、すべての方法を一連の処理で行う必要はなく、本発明の予測方法、評価方法、調整方法は、それぞれ単独で、あるいは任意に組み合わせて実行しうるものである。上記実施形態の予測方法の後に続く、評価方法、調整方法、露光方法は、それら予測方法の様々な変形例の後にも実行しうるものである。また、上記実施形態の予測方法及びその変形例の実行後には、上記実施形態の評価方法、調整方法、露光方法の他、上述したような、様々な項目を評価項目とする評価方法、手動による調整方法、ステップ・アンド・リピート方式による露光方法など、様々な評価方法、調整方法、露光方法を適用可能であることはいうまでもない。
なお、上記実施形態において、投影光学系PLの波面収差の計測に用いる波面収差計測器として全体形状がウエハホルダと交換可能な形状を有する波面収差計測器を用いても良い。かかる場合には、この波面収差計測器は、ウエハ又はウエハホルダをウエハステージWST上に搬入し、ウエハステージWSTから搬出する搬送系(ウエハローダなど)を用いて自動搬送することが可能である。さらに、上記実施形態では、ウエハステージに対して波面収差計測装置80を着脱自在としたが、常設としても良い。このとき、波面収差計測装置80の一部のみをウエハステージに設置し、残りをウエハステージの外部に配置しても良い。さらに上記実施形態では、波面収差計測装置80の受光光学系の収差を無視するものとしたが、その波面収差を考慮して投影光学系の波面収差を決定しても良い。また、波面収差の計測に例えば前述の米国特許第5,978,085号などに開示された計測用レチクルを用いる場合には、ウエハ上のレジスト層に転写され形成された計測用パターンの潜像の基準パターンの潜像に対する位置ずれを、例えば露光装置が備えるアライメント系ALGによって検出することとしても良い。なお、計測用パターンの潜像を検出する場合には、ウエハなどの基板上の感光層としてフォトレジストを用いても良いし、あるいは光磁気材料などを用いても良い。このような種々の工夫により、前述した投影光学系PLの調整を、オペレータやサービスエンジニアを介在させることなく露光装置100によって全て自動的に行うようにすることも可能である。
さらに、上記実施形態では、投影光学系PLの光学素子を移動して結像性能を調整するものとしたが、これに限らず、その駆動機構に加えて、あるいはその代わりに、例えば投影光学系PLの光学素子間での気体の圧力を変更する、レチクルRを投影光学系の光軸方向に移動又は傾斜させる、あるいはレチクルとウエハとの間に配置される平行平面板の光学的な厚さを変更する機構などを用いても良い。但し、この場合には上記実施形態における自由度の数が変更され得る。また、上記実施形態では19個の調整パラメータを用いるものとしたが、その数や種類は任意で良く、例えばウエハ表面(ウエハステージWST)の駆動量や照明光ELの波長シフトなどを含まなくても良い。
なお、上記実施形態では、露光装置として走査型露光装置を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えばステップ・アンド・リピート型の露光装置を用いても良い。
この場合の露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、プラズマディスプレイ又は有機ELなどの表示装置、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気へッド、マイクロマシーン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態の露光装置の光源は、F2レーザ、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザなどの紫外パルス光源に限らず、連続光源、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプを用いることも可能である。さらに、照明光ELとして、X線、特にEUV光などを用いても良い。
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良い。また、投影光学系としては、屈折系に限らず、反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系(カタッディオプトリック系)あるいは反射光学素子のみを用いる反射系を用いても良い。なお、投影光学系PLとして反射屈折系又は反射系を用いるときは、前述した可動の光学素子として反射光学素子(凹面鏡や反射鏡など)の位置などを変更して投影光学系の結像性能を調整する。また、照明光ELとして、特にAr2レーザ光、又はEUV光などを用いる場合には、投影光学系PLを反射光学素子のみから成るオール反射系とすることもできる。但し、Ar2レーザ光やEUV光などを用いる場合にはレチクルRも反射型とする。
なお、露光装置100などの製造に際しては、まず、複数のレンズ素子、ミラー等の光学素子などを含む照明光学系12をユニット単体として組み立てるとともに、投影光学系PLを単体として組み立てる。また、多数の機械部品から成るレチクルステージ系やウエハステージ系などを、それぞれユニットとして組み立てる。そして、それぞれユニット単体としての所望の性能を発揮するように、光学的な調整、機械的な調整、及び電気的な調整等を行う。なお、この調整に際して、特に投影光学系PLについては、上記各実施形態で説明した投影光学系の調整方法、又は予測方法及びこれに続く評価方の少なくとも一部を含む投影光学系を介したパターンの像の特性の調整方法を用いて、調整を行うことができる。
次に、照明光学系12や投影光学系PLなどを露光装置本体に組むとともに、レチクルステージ系やウエハステージ系などを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続する。
次いで、照明光学系12や投影光学系PLについては、光学的な調整を更に行う。これは、露光装置本体への組み付け前と組み付け後とでは、それらの光学系、特に投影光学系PLの結像性能が微妙に変化するからである。本実施形態では、この露光装置本体に対する組み込み後に行われる投影光学系PLの光学的な調整に際し、前述した波面収差計測装置80をウエハステージWSTに取り付け、前述と同様にして波面収差を計測し、その波面収差の計測結果をコンピュータに入力し、前述と同様の手順で、例えば各レンズ素子の6自由度方向それぞれの調整量を算出し、その算出結果を、そのコンピュータのディスプレイ上に表示させる。そして、この表示に従って、技術者(作業者)などが、各レンズ素子を調整する。これにより、所望の結像性能を確実に満たすような投影光学系PLの調整が完了する。なお、この段階で、修正されていない収差、主として高次収差は自動調整が困難な収差であると判断できるので、レンズ等の組付けなどを再調整することが望ましい。
なお、上記の再調整により所望の性能が得られない場合などには、一部のレンズを再加工又は交換する必要も生じる。なお、投影光学系PLの光学素子の再加工を容易に行うため、投影光学系PLを露光装置本体に組み込む前に波面収差を専用の波面計測装置等を用いて計測し、この計測結果に基づいて再加工が必要な光学素子の有無や位置などを特定し、その光学素子の再加工と他の光学素子の再調整とを並行して行うなどしても良い。
その後、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をする。これにより、光学特性が高精度に調整された投影光学系PLを用いて、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することができる、本実施形態の露光装置10などの露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図33には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシーン等)の製造例のフローチャートが示されている。図33に示されるように、まず、ステップ401(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ402(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ403(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ404(ウエハ処理ステップ)において、ステップ401〜ステップ403で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ405(デバイス組立てステップ)において、ステップ404で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ405には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ406(検査ステップ)において、ステップ405で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図34には、半導体デバイスにおける、上記ステップ404の詳細なフロー例が示されている。図34において、ステップ411(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ412(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ413(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ414(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ411〜ステップ414それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ415(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ416(露光ステップ)において、上で説明した露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ417(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ418(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ419(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ416)において上記実施形態の露光装置が用いられるので、縦線パターンと横線パターンの転写像同士の線幅差、あるいは孤立パターンの線幅均一性などが効果的に低減された良好な露光を実現することができる。従って、最終製品であるデバイスの歩留まりが向上し、その生産性の向上が可能となる。
以上説明したように、本発明の投影光学系の調整方法は、相互に直交するラインパターンの像の投影に用いられる投影光学系の調整に適している。また、本発明の予測方法及びプログラムは、投影光学系を介したパターンの像の特性を予測するのに適している。また、本発明の評価方法は、投影光学系を介したパターンの像の特性を評価するのに適している。本発明の調整方法は、投影光学系を介したパターンの像の形成状態を調整するのに適している。また、本発明の露光方法及び露光装置は、物体上にパターンを転写するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、デバイスの生産に適している。

Claims (61)

  1. 第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系の調整方法であって、
    前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性の情報を得る第1工程と;
    前記第1面上に配置された所定方向に延びる第1のラインパターンとこれに直交する第2のラインパターンとの像を前記投影光学系を用いて前記第2面上に形成するとともに、前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差を計測する第2工程と;
    前記第1工程で得られた前記第1の光学特性の値と前記線幅差とに応じて、前記第1の光学特性との相互作用により前記線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを制御するように前記投影光学系を調整する第3工程と;を含む投影光学系の調整方法。
  2. 請求項1に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1工程で得られる情報は、前記投影光学系の波面収差の情報であり、
    前記第3工程では、前記第1工程で得た波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち4次以上の任意の2回回転対称成分項の大きさが零でないとき、前記2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに応じて、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを制御するように前記投影光学系を調整することを特徴とする投影光学系の調整方法。
  3. 請求項2に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記2回回転対称成分項は、4次cos2θ成分項である第12項であり、前記回転対称成分項は4次0θ成分項である第9項であることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  4. 請求項2に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記2回回転対称成分項は、4次sin2θ成分項である第13項であり、前記回転対称成分項は4次0θ成分である第9項であることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1工程では、前記投影光学系の波面を直接計測することより前記波面収差の情報を得ることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  6. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1工程では、前記第1面上に配置されたサイズが異なる複数組の前記第1のラインパターンと前記第2のラインパターンとの像形成時におけるベストフォーカス位置の差を各組毎に計測し、この計測結果に基づいて、前記波面収差の情報として前記2回回転対称成分項の情報を推定することを特徴とする投影光学系の調整方法。
  7. 請求項2〜6のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第3工程では、前記2回回転対称成分項の大きさが零でなく、かつ前記第工程で計測された前記線幅差が零でないとき、前記2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに基づいて、前記線幅差が設計値に近づくように、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを最適化するように前記投影光学系を調整することを特徴とする投影光学系の調整方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第2工程は、前記第2面上に配置された物体上に前記第1、第2のラインパターンの像を形成する像形成工程と;
    前記物体上に形成された前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅とを計測する線幅計測工程と;を含むことを特徴とする投影光学系の調整方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第3工程では、前記投影光学系を構成する少なくとも1つの光学素子の少なくとも1自由度方向の位置制御及び一部の光路中の気体の気圧の制御の少なくとも一方により、前記第2の光学特性の大きさを制御することを特徴とする投影光学系の調整方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1のラインパターンは縦線パターンであり、前記第2のラインパターンは横線パターンであり、
    前記第1の光学特性と第2の光学特性とは、前記縦線パターンの像と前記横線パターンの像それぞれの線幅変化に対するツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおけるツェルニケ感度を求める工程と、そのクロスタームにおけるツェルニケ感度の符号が縦横線で異なるツェルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、を経て決定されていることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  11. 請求項1に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1工程で得られる情報は、前記投影光学系の波面収差の情報であり、
    前記第1及び第2の光学特性は、前記第1工程で得た波面収差を、ツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち同一次数で、かつ種類が異なる成分の項であることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  12. 第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と;
    前記調整後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と;を含む露光方法。
  13. マスクに形成されたパターンを露光光学系を介して物体上に転写する露光装置であって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを特徴とする露光装置。
  14. 第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系の調整方法であって、
    前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性の情報を得る第1工程と;
    前記第1工程で得られた前記第1の光学特性の値と、前記第1面上に配置された所定方向に延びる第1のラインパターンの線幅と前記第1のラインパターンに直交する第2のラインパターンの線幅との差とに応じて、前記第1の光学特性との相互作用によって前記投影光学系によって前記第2面上に形成される前記第1のラインパターンの像の線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅との差である線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを制御するように前記投影光学系を調整する第2工程と;を含む投影光学系の調整方法。
  15. 請求項14に記載の投影光学系の調整方法において、
    前記第1のラインパターンは縦線パターンであり、前記第2のラインパターンは横線パターンであり、
    前記第1の光学特性と第2の光学特性とは、前記縦線パターンの像と前記横線パターンの像それぞれの線幅変化に対するツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおけるツェルニケ感度を求める工程と、そのクロスタームにおけるツェルニケ感度の符号が縦横線で異なるツェルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、を経て決定されていることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  16. 第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、
    請求項14又は15に記載の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と;
    前記調整後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と;を含む露光方法。
  17. マスクに形成されたパターンを露光光学系を介して物体上に転写する露光装置であって、
    請求項14又は15に記載の投影光学系の調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを特徴とする露光装置。
  18. マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体上に転写する露光装置を製造する露光装置の製造方法であって、
    請求項1〜11、14、15のいずれか一項に記載の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程を含む露光装置の製造方法。
  19. 第1面上に配置されたパターンをエネルギビームで照明し、前記パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体上に転写する露光装置であって、
    前記投影光学系の第1の光学特性を含む光学特性を計測する光学特性計測装置と;
    前記投影光学系により前記第2面上に形成された前記第1面上で所定方向に延びる第1のラインパターンとこれに直交する第2のラインパターンとの像の線幅をそれぞれ計測する線幅計測装置と;
    前記投影光学系によるパターン像の形成状態を調整する像形成状態調整装置と;
    前記光学特性計測装置で計測された前記第1の光学特性の値と、前記線幅計測装置で計測された前記第1のラインパターンの像の線幅である第1線幅と前記第2のラインパターンの像の線幅である第2線幅との差である線幅差と、に応じて、前記第1の光学特性との相互作用により前記線幅差に影響を与える第2の光学特性の大きさを、前記像形成状態調整装置を用いて制御する制御装置と;を備える露光装置。
  20. 請求項19に記載の露光装置において、
    前記光学特性計測装置は、前記投影光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置であることを特徴とする露光装置。
  21. 請求項20に記載の露光装置において、
    前記第1の光学特性は、前記波面収差計測装置で計測された波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち4次以上の任意の2回回転対称成分項であり、前記第2の光学特性は、前記2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項であることを特徴とする露光装置。
  22. 請求項21に記載の露光装置において、
    前記2回回転対称成分項は、4次2θ成分項である第12項及び第13項のいずれかであり、前記回転対称成分項は4次0θ成分である第9項であることを特徴とする露光装置。
  23. 請求項19〜22のいずれか一項に記載の露光装置において、
    前記線幅計測装置は、前記第2面上に形成された前記各パターンの投影像を計測する空間像計測器を含むことを特徴とする露光装置。
  24. 請求項19〜22のいずれか一項に記載の露光装置において、
    前記線幅計測装置は、前記第2面上に配置された物体上に形成された像を撮像する撮像装置を含むことを特徴とする露光装置。
  25. 請求項19〜24のいずれか一項に記載の露光装置において、
    前記像形成状態調整装置は、前記投影光学系を構成する少なくとも1つの光学素子の少なくとも1自由度方向の位置の調整、一部の光路中の気体の気圧の調整、前記エネルギビームの波長シフト量の調整、及び前記パターンが形成されたパターン形成部材及び前記物体の少なくとも一方の前記投影光学系の光軸方向に関する位置の調整、の少なくとも1つを行うことを特徴とする露光装置。
  26. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項13、17、19〜25のいずれか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
  27. 投影光学系を介したパターンの像の特性を予測する予測方法であって、
    前記投影光学系の波面収差を所定の式を用いて級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因する移動量を算出して、前記算出された移動量に基づいて前記変動曲線を予測する予測工程を含む予測方法。
  28. 請求項27に記載の予測方法において、
    前記予測工程に先立って、
    前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を、シミュレーションによって求め、求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むことを特徴とする予測方法。
  29. 請求項28に記載の予測方法において、
    前記予測工程では、
    前記所定露光条件下での前記デフォーカス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関する移動量を算出し、
    前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を算出することを特徴とする予測方法。
  30. 請求項29に記載の予測方法において、
    前記予測工程では、
    前記各収差成分の二乗の線形結合に加え、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化の方向に対する、互いに異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化に関する移動量を算出することを特徴とする予測方法。
  31. 請求項28〜30のいずれか一項に記載の予測方法において、
    前記高次関数は、偶数次の項のみから成る関数であることを特徴とする予測方法。
  32. 請求項27に記載の予測方法において、
    前記予測工程では、
    前記各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記波面収差に起因する変形具合を算出し、前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予測することを特徴とする予測方法。
  33. 請求項32に記載の予測方法において、
    前記予測工程に先立って、
    前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線をシミュレーションによって求め、求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むことを特徴とする予測方法。
  34. 請求項33に記載の予測方法において、
    前記予測工程に先立って、
    実際の収差状態における前記投影光学系を介して前記所定露光条件下で投影される前記パターンの像に関する、前記変動曲線を算出する算出工程をさらに含み、
    前記予測工程では、前記移動量に基づいて移動した変動曲線を近似する高次関数と、前記算出工程で求められた変動曲線を表す関数との差分を示す差分関数を、前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求めることを特徴とする予測方法。
  35. 請求項34に記載の予測方法において、
    前記算出工程は、シミュレーションによって行われることを特徴とする予測方法。
  36. 請求項34に記載の予測方法において、
    前記予測工程では、
    前記所定露光条件下における前記差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記差分関数のその偶数次の項の係数を算出し、
    前記所定露光条件下における前記差分関数の奇数次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記差分関数のその奇数次の項の係数を算出することを特徴とする予測方法。
  37. 請求項27〜36のいずれか一項に記載の予測方法において、
    前記所定の式は、ツェルニケ多項式であり、
    前記各収差成分は、各ツェルニケ項の係数であることを特徴とする予測方法。
  38. 投影光学系を介したパターンの像の特性を評価する評価方法であって、
    前記投影光学系の有効視野内の少なくとも1つの計測点について、請求項2737のいずれか一項に記載の予測方法を用いて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して前記少なくとも1つの計測点に投影される所定パターンの像に関する、最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を予測する工程と;
    前記予測結果に基づいて、前記所定パターンの像の特性を評価する工程と;を含む評価方法。
  39. 請求項38に記載の評価方法において、
    前記所定パターンは、前記投影光学系の有効視野内の複数の計測点のそれぞれに対応して配置され、
    前記特性は、前記投影光学系の有効視野内における前記像の均一性を含むことを特徴とする評価方法。
  40. 請求項38に記載の評価方法において、
    前記所定パターンは、前記投影光学系の光軸方向に直交する平面上に設けられた互いに直交する2つのラインパターンを含み、
    前記予測する工程では、前記ラインパターン毎に、前記変動曲線を予測することを特徴とする評価方法。
  41. 請求項40に記載の評価方法において、
    前記評価する工程では、前記像の特性としてラインパターンの像同士の線幅差を評価することを特徴とする評価方法。
  42. 請求項38に記載の評価方法において、
    前記所定パターンは、前記投影光学系の光軸方向に直交する平面上に設けられた互いに平行な2つのラインパターンを含み、
    前記予測する工程では、前記ラインパターン毎に、前記変動曲線を予測することを特徴とする評価方法。
  43. 請求項42に記載の評価方法において、
    前記評価する工程では、前記像の特性としてラインパターンの像同士の線幅差を評価することを特徴とする評価方法。
  44. 投影光学系を介したパターンの像の形成状態を調整する調整方法であって、
    請求項38に記載の評価方法を用いて、前記投影光学系の有効視野内の少なくとも1つの計測点に対応して配置された所定パターンの像の特性を評価する評価工程と;
    前記評価結果に基づいて、前記投影光学系を介した前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整工程と;を含む調整方法。
  45. 請求項44に記載の調整方法において、
    前記調整工程では、
    前記計測点に関する、前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整パラメータの単位調整量当たりの前記各収差成分の変化量と、前記所定露光条件下における前記所定パターンの像のサイズの変化に対する前記各収差成分の感度と、前記デフォーカス量に対する前記所定パターンの像のサイズの変動を示す変動曲線の各次の項の係数に関する目標値からのずれとを用いて前記調整パラメータの調整量を算出し、算出された調整量に基づいて、前記所定パターンの像の形成状態を調整することを特徴とする調整方法。
  46. 請求項45に記載の調整方法において、
    前記評価工程では、前記投影光学系の有効視野内の複数の計測点にそれぞれ対応して配置された所定パターンの像の特性をそれぞれ評価し、
    前記調整工程では、前記変動曲線の同一次の項の係数に関する目標値を、前記計測点間で同一とすることを特徴とする調整方法。
  47. 請求項45に記載の調整方法において、
    所定パターンが複数のパターンを含む場合には、
    前記変動曲線の同一次の項の係数に関する目標値を、前記パターン間で同一とすることを特徴とする調整方法。
  48. 請求項45〜47のいずれか一項に記載の調整方法において、
    前記調整量を、最小二乗法を用いて求めることを特徴とする調整方法。
  49. 第1面上の回路パターンを投影光学系を介して第2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、
    請求項44〜48のいずれか一項に記載の調整方法を用いて、前記投影光学系を介した前記回路パターンの像の形成状態を調整する工程と;
    前記調整された像の形成状態で、前記回路パターンを、前記投影光学系を介して前記物体に転写する工程と;を含む露光方法。
  50. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項49に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
  51. 投影光学系を介したパターンの像の特性の予測をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記投影光学系の波面収差を所定の式を用いて級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、所定露光条件下で前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、前記最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因する移動量を算出して、前記算出された移動量に基づいて前記変動曲線を予測する予測手順を、前記コンピュータに実行させるプログラム。
  52. 請求項51に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順に先立って、
    前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とするプログラム。
  53. 請求項52に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順として、
    前記所定露光条件下での前記デフォーカス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関する移動量を予測する手順と、
    前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を予測する手順と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  54. 請求項53に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順として、
    前記各収差成分の二乗の線形結合に加え、前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する、互いに異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量を予測する手順を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  55. 請求項52〜54のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記高次関数は、偶数次の項のみから成る関数であることを特徴とするプログラム。
  56. 請求項51に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順として、
    前記各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づいて、前記変動曲線の前記波面収差に起因する変形具合を算出し、前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予測する手順を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  57. 請求項56に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順に先立って、
    前記所定露光条件下で前記投影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とするプログラム。
  58. 請求項57に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順に先立って、
    前記所定露光条件下における実際の収差状態での前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関する、前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を算出する算出手順を、前記コンピュータにさらに実行させ、
    前記予測手順として、前記移動量に基づいて移動した高次関数と、前記算出手順で求められた変動関数との差分を示す差分関数を、前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求める手順を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  59. 請求項58に記載のプログラムにおいて、
    前記予測手順として、
    前記所定露光条件下における前記差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、前記差分関数のその偶数次の項の係数を予測する手順と、
    前記所定露光条件下における前記差分関数の奇数次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の線形結合に基づいて、前記差分関数のその奇数次の項の係数を予測する手順と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  60. 請求項5159のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記所定の式は、ツェルニケ多項式であり、
    前記各収差成分は、各ツェルニケ項の係数であることを特徴とするプログラム。
  61. 請求項5159のいずれか一項に記載のプログラムが記録されたコンピュータによる読み取りが可能な情報記録媒体。
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