JP2000331923A - 投影光学系およびその結像特性調整方法並びに投影露光装置 - Google Patents

投影光学系およびその結像特性調整方法並びに投影露光装置

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JP2000331923A
JP2000331923A JP11144131A JP14413199A JP2000331923A JP 2000331923 A JP2000331923 A JP 2000331923A JP 11144131 A JP11144131 A JP 11144131A JP 14413199 A JP14413199 A JP 14413199A JP 2000331923 A JP2000331923 A JP 2000331923A
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Kazuo Mazaki
和生 真崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電素子のストローク低下を防止する。 【解決手段】 複数の光学素子26〜29間に配置さ
れ、印加された電圧に基づき変位して光学素子26〜2
9間の距離を増減する圧電素子33a〜33c、34a
〜34cと、圧電素子33a〜33c、34a〜34c
に正電圧および負電圧を印加する電圧印加装置35と、
圧電素子33a〜33c、34a〜34cの変位に対す
るヒステリシス特性に基づいて電圧印加装置35による
印加電圧を制御する制御装置36とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスクのパターン
像を基板に投影する際に用いられる投影光学系およびそ
の結像特性調整方法並びに投影露光装置に関し、特に、
基板上に転写するパターンの像特性を補正する投影光学
系およびその結像特性調整方法並びに投影露光装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子、液晶表示素子、撮像素子
(CCD等)、薄膜磁気ヘッドなどのマイクロデバイス
を製造するためのフォトリソグラフィ工程では、例えば
ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置
(ステッパ)、またはステップ・アンド・スキャン方式
の縮小投影型走査露光装置(スキャニング・ステッパ)
などを用いて、基板(半導体ウエハ、ガラスプレート、
セラミックウエハ)上に投影光学系を介してマスクのパ
ターンを転写している。
【0003】このとき、投影光学系は、設置空間の圧力
変化や露光光の照射熱などにより結像特性が変化し、基
板上に転写されるパターンの像特性を変化させる。した
がって、従来では、投影光学系に含まれる一部のレンズ
群(光学素子)を駆動する機構や、一部のレンズ間を密
封して内部圧力を変更する機構等の補正手段を用いて結
像特性の変化を調整する種々の方法が提案されている。
【0004】この種の調整手段として、例えば、特開平
4−192317号が提供されている。この技術は、群
構成とされたレンズエレメントを支持部材に固定すると
ともに、周方向に複数配置された伸縮可能な駆動素子に
よって支持部材を投影光学系の鏡筒部に連結するもので
ある。そして、これらの駆動素子を個々に伸縮させるこ
とにより、投影光学系の種々の結像特性調整している。
例えば、レンズエレメントを光軸方向に移動させた場合
には、光軸を中心として倍率を変化させることができ
る。また、光軸に垂直に交わる軸を中心にレンズエレメ
ントを傾斜させた場合には、ディストーションを変化さ
せることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の投影光学系およびその結像特性調整方法
並びに投影露光装置には、以下のような問題が存在す
る。上記駆動素子として、印加された電圧に基づいて変
位する圧電素子を用いた場合、露光処理中この圧電素子
には連続して所定電圧が印加されることになる。特に近
年、上記基板の大型化が進行しており、これに伴って露
光時間も長くなり、ときには数日間に亙って露光処理が
継続されることもある。
【0006】この場合、圧電素子の伸縮特性が変化し
て、一定の電圧を印加しても所定の伸縮長、すなわちス
トロークが得られないという事態が起こりうる。具体的
には、伸長した圧電素子に零電圧を印加しても所定位置
まで縮まず、結果として、所定のストロークで駆動しな
いことになる。特に、圧電素子のヒステリシス特性が正
電圧および負電圧に跨って閉曲線、すなわちヒステリシ
スループを描く場合、圧電素子に正電圧のみを印加して
も、圧電素子は電圧零のときに所定位置まで縮まない。
そのため、露光処理中にレンズエレメントの位置を検知
する検知部からエラーが発せられ、露光処理を中断せざ
るを得ないという問題があり、生産効率の低下の一因に
なっていた。
【0007】また、露光装置の故障時やメンテナンス時
には、リセット動作を実施するが、このとき、圧電素子
のストロークを検出している。ここで、上記のように圧
電素子が所定のストロークを出力できない場合にはエラ
ーが発せられ、再度調整を実行しなければならず、調整
時間が長くなり生産効率が低下するという問題があっ
た。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、圧電素子のストローク低下を防止すること
で、生産効率の低下防止に寄与する投影光学系およびそ
の結像特性調整方法並びに投影露光装置を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、実施の形態を示す図1ないし図5に対応
付けした以下の構成を採用している。本発明の投影光学
系は、複数の光学素子(26〜29)間に配置され、印
加された電圧に基づき変位して光学素子(26〜29)
間の距離を増減する圧電素子(33a〜33c、34a
〜34c)と、圧電素子(33a〜33c、34a〜3
4c)に正電圧および負電圧を印加する電圧印加装置
(35)と、圧電素子(33a〜33c、34a〜34
c)の変位に対するヒステリシス特性(図3)に基づい
て電圧印加装置(35)による印加電圧を制御する制御
装置(36)とを備えることを特徴とするものである。
【0010】従って、本発明の投影光学系では、制御装
置(36)が電圧印加装置(35)による印加電圧を制
御して、圧電素子(33a〜33c、34a〜34c)
に正電圧および負電圧を印加することで圧電素子(33
a〜33c、34a〜34c)をヒステリシス特性に基
づいて変位させることができる。ここで、圧電素子(3
3a〜33c、34a〜34c)は、正電圧(または負
電圧)が増加するように印加されたときと正電圧(また
は負電圧)が減少するように印加されたときとで変位量
の経路が異なるヒステリシス特性を有している。そし
て、このヒステリシス特性が正電圧および負電圧に跨っ
てヒステリシスループを描く場合、始点から一旦逆極の
電圧を印加した後に、電圧の極を反転することにより、
圧電素子(33a〜33c、34a〜34c)の変位を
ヒステリシスループに沿って始点まで戻すことが可能に
なり、圧電素子(33a〜33c、34a〜34c)を
初期状態にすることができる。
【0011】また、本発明の投影光学系の結像特性調整
方法は、複数の光学素子(26〜29)間に、印加され
た電圧に基づき変位して光学素子(26〜29)間の距
離を増減する圧電素子(33a〜33c、34a〜34
c)を配置した投影光学系(PL)を対象として、電圧
を操作することで光学素子(26〜29)の結像特性を
調整する投影光学系(PL)の結像特性調整方法におい
て、圧電素子(33a〜33c、34a〜34c)の変
位に対するヒステリシス特性(図3)に基づいて圧電素
子(33a〜33c、34a〜34c)に印加されてい
た電圧と逆極の電圧を印加して、圧電素子(33a〜3
3c、34a〜34c)を初期状態に変位させる初期化
工程(ステップS1〜S12)を有することを特徴とす
るものである。
【0012】従って、本発明の投影光学系の結像特性調
整方法では、初期化工程(ステップS1〜S12)にお
いて、圧電素子(33a〜33c、34a〜34c)に
逆極の電圧を印加することにより、圧電素子(33a〜
33c、34a〜34c)がヒステリシス特性(図3)
に基づいて変位して初期化される。したがって、光学素
子(26〜29)間の距離を所定量変位させることがで
きる。
【0013】そして、本発明の投影露光装置は、マスク
(R)のパターン像を投影光学系(PL)を介して基板
(W)に投影する投影露光装置(1)において、投影光
学系(PL)として請求項1から5のいずれかに記載さ
れた投影光学系(PL)が設置されることを特徴とする
ものである。
【0014】従って、本発明の投影露光装置では、マス
ク(R)のパターン像を所定の結像特性をもって基板
(W)に投影することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の投影光学系および
その結像特性調整方法並びに投影露光装置の実施の形態
を、図1ないし図5を参照して説明する。ここでは、例
えば、圧電素子としてピエゾ素子を用いる場合の例を用
いて説明する。
【0016】図1は、本発明の投影露光装置1の概略構
成図である。この図において、超高圧水銀ランプ、エキ
シマレーザ光源等の露光用の照明光源2は、g線、i線
あるいは紫外線パルス光(例えばKrFエキシマレーザ
等)のようなレジスト層を感光する波長(露光波長)を
発生する。照明光Bは、該照明光Bの光路を閉鎖、開放
するシャッター3および大部分(90%以上)の照明光
Bを透過させる半透過鏡4を透過した後、オプチカルイ
ンテグレータ(フライアイレンズ)等を含む照明光学系
5に達する。
【0017】シャッター3は、駆動部6により照明光B
の透過および遮断を制御するように駆動される。また、
半透過鏡4で反射された照明光Bの一部は、PINフォ
トダイオード等の光電検出器7に入射する。光電検出器
7は、照明光Bを光電検出して強度値等の光情報PSを
主制御系8に出力する。この光情報PSは、主制御系8
において投影光学系PLの結像特性の変動量を求めるた
めの基礎データとなっている。
【0018】照明光学系5において光束の一様化、スペ
ックルの低減化等を行われた照明光Bは、ミラー9で反
射されてリレーレンズ10,11および可変ブラインド
12を通過した後、ミラー13で垂直に下方に反射され
てメインコンデンサーレンズ14に至り、レチクル(マ
スク)Rのパターン領域を均一な照度で照明する。可変
ブラインド12の面は、レチクルRと共役関係にあるの
で、駆動モータ15により可変ブラインド12を構成す
る可動ブレードを開閉させて開口位置、形状を変えるこ
とによって、レチクルRの照明視野を任意に選択するこ
とができる。
【0019】また、本実施の形態では、照明光Bの照明
によりウエハ(基板)Wから発生する反射光が上記ミラ
ー9を通過して光検出器(反射量モニタ)16に入射す
るように構成されている。反射量モニタ16は、反射光
を光電検出して光情報RSを主制御系8に出力し、ここ
で光情報RSは投影光学系PLの結像特性の変動量を求
めるための基礎データとなる。
【0020】レチクルRは、水平面内で二次元移動可能
なレチクルステージ17上に載置され、パターン領域の
中心点が光軸AXと一致するように位置決めが行われ
る。レチクルRの初期設定は、レチクル周辺のアライメ
ントマーク(不図示)を光電検出するレチクルアライメ
ント系18からのマーク検出信号に基づいて、レチクル
ステージ17を微動することにより行われる。レチクル
Rは、不図示のレチクル交換器により適宜交換されて使
用される。特に、多品種少量生産を行う場合、交換は頻
繁に行われる。
【0021】レチクルRのパターン領域を透過した照明
光Bは、両側テレセントリックな投影光学系PLに入射
する。投影光学系PLは、レチクルRの回路パターンの
投影像を、表面にレジスト層が形成され、その表面が結
像面とほぼ一致するように保持されたウエハWの上の一
つのショット領域に重ね合わせて投影(結像)する。こ
のウエハWは、駆動モータ19により光軸AX方向(Z
方向)に微動可能なZステージ20上に載置されてい
る。さらに、Zステージ20は、駆動モータ21により
ステップ・アンド・リピート方式で二次元移動可能なX
Yステージ22上に載置されている。XYステージ22
は、ウエハW上の一つのショット領域に対するレチクル
Rの転写露光が終了すると、次のショット位置までステ
ッピングされる。
【0022】XYステージ22の二次元的な位置は、レ
ーザ干渉計23によって、例えば、0.01μm程度の
分解能で常時検出されている。Zステージ20上には、
照射量モニタ(例えば、投影光学系PLのイメージフィ
ールドもしくはレチクルパターンの投影領域とほぼ同じ
面積の受光面を備えた光電検出器)24がウエハWの表
面位置とほぼ一致するように設けられている。照射量モ
ニタ24が検出した照射量に関する情報LSも主制御系
8に出力され、投影光学系PLの結像特性の変動量を求
めるための基礎データとなっている。
【0023】また、投影光学系PLの下端近傍には、斜
入射方式の面検出系25が設けられている。面検出系2
5は、ウエハWの光軸方向の位置を検出するものであっ
て、照射光学系25aと受光光学系25bとから構成さ
れている。照射光学系25aは、投影光学系PLの結像
面へ向けてピンホールまたはスリットの像を形成するた
めの結像光束もしくは平行光束を、光軸AXに対して斜
め方向より供給するものである。
【0024】受光光学系25bは、照射光学系25aが
供給した結像光束もしくは平行光束のウエハW表面での
反射光束を受光するものである。ここで、面検出系22
の構成は、例えば、特公平2−10361号公報に開示
されており、ウエハWの表面の結像面に対する上下方向
(Z方向)の位置を検出しウエハWと投影光学系PLと
の合焦状態を検出する焦点検出系と、ウエハW上の所定
領域の結像面に対する傾きを検出する水平位置検出系と
を組み合わせたものである。
【0025】一方、本実施の形態の投影光学系PLは、
レンズエレメントを移動させることにより、投影倍率、
ディストーション等の結像特性を調整する構成になって
いる。すなわち、投影光学系PLのレチクルRに最も近
い第一群のレンズエレメント(光学素子)26,27
は、支持部材30により固定されている。また、第二群
のレンズエレメント(光学素子)28は、支持部材31
により固定されている。そして、レンズエレメント(光
学素子)29を含むレンズエレメント28より下部に位
置するレンズエレメントは、投影光学系PLの鏡筒部3
2に固定されている。
【0026】なお、投影光学系PLの光軸AXとは、こ
の鏡筒部32に固定されているレンズエレメント29等
の光軸を指すものとする。また、図示したレンズエレメ
ント26等は、少なくとも一つの光学素子(レンズ)か
ら構成されるものを図中一つの光学素子で表している。
【0027】支持部材31は、伸縮可能なピエゾ素子
(圧電素子)34a〜34cによって投影光学系PLの
鏡筒部32と連結されている。また、支持部材30は、
ピエゾ素子(圧電素子)33a〜33cによって支持部
材31に連結されている。これらのレンズエレメント2
6〜28は、投影倍率、ディストーション特性に与える
影響が、他のレンズエレメントに比べて大きく制御しや
すいものが選択されている。
【0028】ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34
cは、印加された電圧に基づいてZ方向に伸縮(変位)
することでレンズエレメント26〜29間の距離を増減
させるものであって、高電圧発生電源(電圧印加装置)
35からそれぞれ電圧を印加されるようになっている。
図2は、投影光学系PLを上方(レチクルR側)から見
た図である。この図に示すように、ピエゾ素子33a〜
33cは、周方向に120°間隔で配置され、高電圧発
生電源35により独立制御可能になっている。ピエゾ素
子34a〜34cは、周方向に120°間隔で、且つピ
エゾ素子33a〜33cに対して互いに60°ずつずれ
るように配置されており、ピエゾ素子33a〜33cと
同様に、高電圧発生電源35により独立制御可能になっ
ている。
【0029】高電圧発生電源35は、上記ピエゾ素子3
3a〜33c、34a〜34cに対して正電圧のみを印
加する、いわゆるユニポーラ・モードと、正電圧および
負電圧を印加する、いわゆるバイポーラ・モードとを切
り替え可能になっている。この高電圧発生電源35は、
制御装置36によってその駆動を制御される構成になっ
ている。制御装置36は、主制御系8から指定されるレ
ンズエレメント26〜28の位置、傾斜に関する情報に
基づいて、高電圧発生電源35の駆動を制御するもので
ある。
【0030】一方、支持部材30の上方近傍には、位置
センサ(検出部)37が配設されている。位置センサ3
7は、支持部材30を介してレンズエレメント26〜2
8の位置、すなわちピエゾ素子33a〜33c、34a
〜34cの位置を高精度に検出し、検出結果を制御装置
36に出力するものである。そして、制御装置36に
は、この位置センサ37から出力される検出信号に対し
て閾値を設定する設定部38が付設されている。また、
制御装置36は、位置センサ37と高電圧発生電源35
とをソフト的にクローズ・ループを構成することで、高
精度な位置サーボが可能になっている。
【0031】上記の構成によって、二群のレンズエレメ
ント(26,27)、28の周辺三点を独立に、投影光
学系PLの光軸AX方向に主制御系8から与えられる駆
動指令に応じた量だけ移動させることができる。この結
果、二群のレンズエレメント(26,27)、28のそ
れぞれを光軸AXにほぼ沿って平行移動させることがで
きるとともに、光軸AXとほぼ垂直な平面に対して任意
に傾斜させることが可能になる。
【0032】主制御系8は、パワーモニタ7、反射量モ
ニタ16、照射量モニタ24から情報を得て、投影光学
系PLの結像特性を演算にて算出するとともに、制御装
置36を初めとして投影露光装置1全体を統括制御す
る。なお、投影光学系PLの結像特性を調整する具体的
な方法は、例えば、特開平4−192317号公報と同
様であるため、ここでは割愛する。
【0033】ここで、ピエゾ素子33a〜33c、34
a〜34cのヒステリシス特性について説明する。図3
に示すように、各ピエゾ素子33a〜33c、34a〜
34cは、約+40Vの正電圧を印加されたときに変位
量が零となり、ここから正電圧が増加する方向へ印加さ
れると曲線L1に沿って変位量が増し、約+150Vで
最大の変位量(ストローク)を示す。また、ピエゾ素子
33a〜33c、34a〜34cは、正電圧が減少する
方向へ印加されると、正電圧が増加するときよりも小さ
い変化量で曲線L2に沿って変位量が減少し、−40V
程度の負電圧を印加されたときに変位量が零となる。
【0034】さらに、負電圧が増加する方向へピエゾ素
子33a〜33c、34a〜34cを印加すると、分極
反転が起こり曲線L3に沿って再度変位量が増加し、約
−150Vで最大の変位量を示す。また、ここから負電
圧が減少する方向へピエゾ素子33a〜33c、34a
〜34cを印加すると、負電圧が増加するときよりも小
さい変化量で曲線L4に沿って変位量が減少し、+40
V程度の正電圧を印加されたときに変位量が零となり、
曲線L1と曲線L4とが交差する。このようなヒステリ
シス特性を利用することにより、ピエゾ素子33a〜3
3c、34a〜34cを初期化して当初のストロークを
回復させることができる。なお、本実施の形態における
ピエゾ素子は、通常、曲線L2の部分で用いられ、例え
ば駆動電圧が0V〜100Vの間で伸縮するものとす
る。そして、時間が経つにつれ0電圧印加時の変位量が
上昇する(縮まなくなる)。
【0035】続いて、上記の構成の投影光学系PLおよ
び投影露光装置1において、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cをそのヒステリシス特性に基づいて
初期化する動作を、図4および図5に示すフローチャー
トに基づいて説明する。まず、リセット時にピエゾ素子
33a〜33c、34a〜34cを初期化する動作を説
明する。
【0036】図4に示すように、投影露光装置1に対す
るメンテナンス時等には、主制御系8からリセット・シ
ーケンスの要求が発生し、制御装置36がリセット・シ
ーケンスを開始する(ステップS0)ことにより、初期
化工程RPが実行される。まず、制御装置36は、高電
圧発生電源35をバイポーラ・モードに切り替える(ス
テップS1)。制御装置36は、高電圧発生電源35に
対して0Vを出力するように指令を出すことにより、ピ
エゾ素子33a〜33c、34a〜34cに0Vの電圧
を印加させ(ステップS2)、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cの変位量を曲線L2に沿って減少さ
せる。
【0037】次に、制御装置36は、高電圧発生電源3
5に指令を出し、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜
34cに−30Vの負電圧を印加させる(ステップS
3)。この−30Vは、ピエゾ素子33a〜33c、3
4a〜34cが負電圧側で分極反転を起こす手前の値と
して設定される。
【0038】次に、制御装置36は、高電圧発生電源3
5に指令を出し、−30Vから−180Vまでリニア
に、且つ十分遅い速度で変化するように印加させる(ス
テップS4)。ここで、ピエゾ素子33a〜33c、3
4a〜34cに対して急激に分極反転が発生すると破損
等の可能性があるため、印加速度を低減させている。ま
た、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cに分極
反転が発生する電圧は、個々に若干のバラツキがあるた
め、このバラツキを吸収できるように−30Vから印加
速度を落としている。これにより、ピエゾ素子33a〜
33c、34a〜34cは、−40V付近で分極反転を
起こすとともに、曲線L3に沿って変位量が増加する。
【0039】ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34
cが最大に変位すると、制御装置36は高電圧発生電源
35に指令を出し、ピエゾ素子33a〜33c、34a
〜34cに0Vの電圧を印加させ(ステップS5)、ピ
エゾ素子33a〜33c、34a〜34cの変位量を曲
線L4に沿って減少させる。
【0040】続いて、制御装置36は、高電圧発生電源
35に指令を出し、ピエゾ素子33a〜33c、34a
〜34cに+30Vの正電圧を印加させる(ステップS
6)。この+30Vは、ピエゾ素子33a〜33c、3
4a〜34cが正電圧側で分極反転を起こす手前の値と
して設定される。
【0041】次に、制御装置36は、高電圧発生電源3
5に指令を出し、上記負電圧側と同様に、ピエゾ素子3
3a〜33c、34a〜34cの破損を防止するため
に、+30Vから+180Vまでリニアに、且つ十分遅
い速度で変化するように印加させる(ステップS7)。
これにより、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34
cは、+40V付近で分極反転を起こすとともに、曲線
L1に沿って変位量が増加する。
【0042】ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34
cが最大に変位すると、位置センサ37がレンズエレメ
ントの位置、すなわちピエゾ素子33a〜33c、34
a〜34cの伸長位置P1を計測する(ステップS8)
とともに制御装置36へ出力する。制御装置36は、こ
の位置を記憶する。
【0043】この後、制御装置36は、高電圧発生電源
35に指令を出し、ピエゾ素子33a〜33c、34a
〜34cに0Vの電圧を印加させて、初期状態に変位さ
せる(ステップS9)。ここで、位置センサ37がレン
ズエレメントの位置、すなわちピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cの縮小位置P2を計測する(ステッ
プS10)とともに制御装置36へ出力する。制御装置
36は、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cの
ストロークSを次式で算出する。 S=|P1−P2| …(1)
【0044】制御装置36は、式(1)で算出されたス
トロークSが許容範囲内であるかどうかを確認し(ステ
ップS11)、許容範囲外であれば上記ステップS2以
降を順次繰り返す。ストロークSが許容範囲内であれ
ば、制御装置36は、高電圧発生電源35をユニポーラ
・モードに切り替え(ステップS12)、出力電圧を0
V〜180Vの範囲に設定する。これにより、初期化工
程RPが完了する。
【0045】初期化工程RPが完了すると、制御装置3
6は主制御系8から指定された初期目標値になるよう
に、高電圧発生電源35を介してピエゾ素子33a〜3
3c、34a〜34cを駆動する(ステップ13)。こ
のとき、制御装置36は、位置センサ37を用いた位置
サーボを行う。
【0046】続いて、露光中にピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cを初期化する動作について説明す
る。なお、予め設定部38に、位置センサ37から出力
される検出信号に対する閾値を入力しておく。具体的に
は、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cの縮小
側限界範囲に入ることを示す値として5μmを入力して
おく。
【0047】図5に示すように、露光シーケンス実施時
(ステップS20)に制御装置36は、主制御系8から
指定される目標値に向けてピエゾ素子33a〜33c、
34a〜34cを駆動するが、位置センサ37の検出結
果からピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cの変
位量の縮小側限界値から5μm以内に、指定された目標
値が入った場合(ステップS21)、主制御系8に対し
てストローク回復、すなわち、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cの初期化工程RPの必要性を通知す
る。
【0048】主制御系8は、制御装置36からの要求を
受けた時点が、露光シーケンスに鑑み影響のない時点か
どうかを判断する(ステップS22)。ここで、露光シ
ーケンスに影響がない時点とは、初期化工程RPを実施
することで露光処理が中断することのない、例えばレチ
クルRを交換する工程や、ウエハWを交換する工程のこ
とである。
【0049】主制御系8は、現時点が初期化工程RPを
実施するタイミングでないと判断すると、露光シーケン
スを継続する指令を制御装置36に出力する。一方、主
制御系8は、初期化工程RPを実施可能と判断した場
合、制御装置36に初期化工程RPの実施を出力する。
制御装置36は、主制御系8からの指令を受け取ると、
まず位置センサ37を用いた位置サーボを停止する(ス
テップS23)。次に、初期化工程RPに移行し、上記
リセット時に行ったステップS2〜S12を実行して
(ステップRP)ピエゾ素子33a〜33c、34a〜
34cのストロークSを初期化する。
【0050】制御装置36は、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cのストロークSが許容範囲内である
かどうかを確認すると、初期化が完了した信号を主制御
系8に出力する(ステップS24)。主制御系8は初期
化完了信号を受信すると、現在の目標値を算出し、制御
装置36へ出力する。これにより、制御装置36には、
新たな目標値が設定される(ステップS25)。
【0051】そして、制御装置36は、設定された目標
値になるように、高電圧発生電源35を介してピエゾ素
子33a〜33c、34a〜34cを駆動する(ステッ
プS26)。なお、この時以降、位置センサ37を用い
た位置サーボを再開する。主制御系8は、制御装置36
が位置サーボを開始したことを知ると、露光シーケンス
に復帰する(ステップS27)。以後、露光シーケンス
が完了(ステップS28)するまで上記の動作を順次繰
り返す。
【0052】本実施の形態の投影光学系およびその結像
特性調整方法並びに投影露光装置では、初期化工程RP
においてピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cが
曲線L1〜L4で示すヒステリシスループを描くように
高電圧発生電源35によって正電圧および負電圧を印加
するので、変位に対するヒステリシス特性が正電圧およ
び負電圧に跨る、いわゆるバタフライ曲線を描く場合で
も当初のストロークを有するようにピエゾ素子33a〜
33c、34a〜34cを初期化することができる。そ
のため、本実施の形態では、ストローク不足に起因して
露光処理が中断したり、メンテナンス時の調整時間が長
くなる等、生産効率の低下を未然に防ぐことができる。
【0053】また、本実施の形態の投影光学系およびそ
の結像特性調整方法並びに投影露光装置では、露光中に
主制御系8が指示する目標値が、位置センサ37の検出
結果からピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cの
縮小側限界に対して設定された閾値を越えた場合に初期
化工程を実施しているので、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cが縮小側限界に到る前に確実にスト
ローク回復を実施することができ、露光処理を中断せざ
るを得ない事態を未然に防ぐことができる。
【0054】また、この露光中の初期化工程も、閾値を
越えると即実施するのではなく、露光シーケンスに影響
を与えない時点になってから行うので、無用な露光処理
の中断を招かず、生産効率の低下を回避できる。しか
も、初期化工程を実施するかどうかの閾値を別途設定部
38で設定するようにしているので、求められる露光精
度に応じて閾値の変更も容易に行うことが可能である。
【0055】一方、本実施の形態の投影光学系およびそ
の結像特性調整方法並びに投影露光装置では、上記初期
化工程RP中でピエゾ素子33a〜33c、34a〜3
4cに分極反転が発生する際に、高電圧発生電源35に
よる印加速度を低減させているので、急激な分極反転で
ピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cが破損して
しまうことを防止できる。また、この印加速度の低減を
分極反転が発生する直前ではなく、余裕をみて手前から
行っているので、ピエゾ素子33a〜33c、34a〜
34cに分極反転が発生する電圧が個々にバラツキがあ
っても、このバラツキを吸収できる。
【0056】なお、上記実施の形態において、リセット
時および露光中に初期化工程を実施したが、これに限ら
れず、ウエハWのロット毎や、ウエハW内のショット毎
に初期化工程を設けてもよい。また、上記実施の形態に
おいて示した分極反転の電圧値等は一例を示したもので
あり、この例に限定されるものではない。また、圧電素
子としてピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cを
用いる構成としたが、これに限定されず他の圧電素子で
あってもよい。
【0057】また、上記実施の形態において、ピエゾ素
子33a〜33c、34a〜34cの縮小側限界範囲に
入る目標値を閾値として設定する構成としたが、これに
限られることなく、例えば、ピエゾ素子33a〜33
c、34a〜34cのストローク許容値を閾値として設
定し、ストロークがこの閾値よりも小さくなったときに
初期化工程を実施するかどうか判断するような構成であ
ってもよい。
【0058】一方、投影光学系PLに配置されたレンズ
エレメント26〜28を二つの支持部材30,31を介
してピエゾ素子33a〜33c、34a〜34cによっ
て移動させる構成としたが、レンズエレメントの数は、
これ以下やこれ以上であってもよく、また支持部材も一
つや三つ以上配置される構成であってもよい。
【0059】なお、基板としては、半導体デバイス用の
半導体ウエハWのみならず、液晶表示デバイス用のガラ
ス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるい
は投影露光装置1で用いられるマスクまたはレチクルR
の原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0060】投影露光装置1としては、レチクルRとウ
エハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光
し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アン
ド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)に限ら
ず、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルR
のパターンをウエハWに露光するステップ・アンド・ス
キャン方式の走査型投影露光装置(スキャニング・ステ
ッパー)にも適用することができる。
【0061】投影露光装置1の種類としては、上記半導
体製造用のみならず、液晶表示デバイス製造用の投影露
光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるい
はレチクルRなどを製造するための露光装置などにも広
く適用できる。
【0062】また、照明光学系5の照明光源2として、
水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、i
線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248n
m)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レー
ザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電
粒子線などを用いることができる。例えば、電子線を用
いる場合には、電子銃として熱電子放射型のランタンヘ
キサボライト(LaB 6)、タンタル(Ta)を用いる
ことができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の
高周波などを用いてもよい。
【0063】投影光学系PLの倍率は、縮小系のみなら
ず、等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影
光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を
用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透
過する材料を用い、F2レーザを用いる場合は反射屈折
系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイ
プのものを用いる)、また電子銃を用いる場合には光学
系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を
用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状
態にすることはいうまでもない。
【0064】Zステージ20、XYステージ22を有す
るウエハステージやレチクルステージ17にリニアモー
タを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型
およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気
浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ1
7,20,22は、ガイドに沿って移動するタイプでも
よく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよ
い。
【0065】基板ステージの移動により発生する反力
は、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がし
てもよい。レチクルステージ17の移動により発生する
反力は、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃
がしてもよい。
【0066】複数の光学素子から構成される照明光学系
5および投影光学系PLをそれぞれ露光装置本体に組み
込んでその光学調整をするとともに、多数の機械部品か
らなるレチクルステージ17やZステージ20、XYス
テージ22を露光装置本体に取り付けて配線や配管を接
続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をするこ
とにより本実施の形態の投影露光装置1を製造すること
ができる。なお、投影露光装置1の製造は、温度および
クリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが
望ましい。
【0067】液晶表示素子や半導体デバイス等のデバイ
スは、各デバイスの機能・性能設計を行うステップ、こ
の設計ステップに基づいたレチクルRを製作するステッ
プ、ガラス基板、ウエハW等を製作するステップ、前述
した実施の形態の投影露光装置1によりレチクルRのパ
ターンをガラス基板、ウエハWに露光するステップ、各
デバイスを組み立てるステップ、検査ステップ等を経て
製造される。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る投
影光学系は、電圧印加装置が圧電素子に正電圧および負
電圧を印加し、制御装置が圧電素子の変位に対するヒス
テリシス特性に基づいて電圧印加装置による印加電圧を
制御する構成となっている。これにより、この投影光学
系では、圧電素子の変位に対するヒステリシス特性が正
電圧および負電圧に跨る、いわゆるバタフライ曲線を描
く場合でも当初のストロークを有するように初期化する
ことができるため、ストローク不足に起因して露光処理
が中断したり、メンテナンス時の調整時間が長くなる
等、生産効率の低下を未然に防ぐことができるという効
果が得られる。
【0069】請求項2に係る投影光学系は、圧電素子と
してピエゾ素子が用いられる構成となっている。これに
より、この投影光学系では、ピエゾ素子の変位に対する
ヒステリシス特性が正電圧および負電圧に跨る、いわゆ
るバタフライ曲線を描く場合でも当初のストロークを有
するように初期化することができるため、ストローク不
足に起因して露光処理が中断したり、メンテナンス時の
調整時間が長くなる等、生産効率の低下を未然に防ぐこ
とができるという効果が得られる。
【0070】請求項3に係る投影光学系は、制御装置が
検出部からの検出信号に応じてヒステリシス特性に基づ
く印加電圧の制御を行う構成となっている。これによ
り、この投影光学系では、圧電素子がストローク不足を
起こす前に確実にストローク回復を実施することがで
き、露光処理を中断せざるを得ない事態を未然に防ぐこ
とができるという効果が得られる。
【0071】請求項4に係る投影光学系は、設定部で設
定された閾値を検出信号が越えたときにヒステリシス特
性に基づく印加電圧の制御を行う構成となっている。こ
れにより、この投影光学系では、圧電素子がストローク
不足を起こす前に確実にストローク回復を実施すること
ができ、露光処理を中断せざるを得ない事態を未然に防
ぐことができるとともに、初期化工程を実施するかどう
かの閾値を別途設定部で設定することで、求められる露
光精度に応じて容易に閾値を変更できるという効果も得
られる。
【0072】請求項5に係る投影光学系は、ヒステリシ
ス特性に基づいて圧電素子に印加されていた電圧と逆極
の電圧を印加することにより、圧電素子を初期状態にす
る構成となっている。これにより、この投影光学系で
は、圧電素子の変位に対するヒステリシス特性が正電圧
および負電圧に跨る、いわゆるバタフライ曲線を描く場
合でも当初のストロークを有するように初期化すること
ができるため、ストローク不足に起因して露光処理が中
断したり、メンテナンス時の調整時間が長くなる等、生
産効率の低下を未然に防ぐことができるという効果が得
られる。
【0073】請求項6に係る投影光学系の結像特性調整
方法は、初期化工程において、圧電素子のヒステリシス
特性に基づいて圧電素子に印加されていた電圧と逆極の
電圧を印加して、圧電素子を初期状態に変位させる構成
となっている。これにより、この投影光学系の結像特性
調整方法では、圧電素子の変位に対するヒステリシス特
性が正電圧および負電圧に跨る、いわゆるバタフライ曲
線を描く場合でも、ストローク不足に起因して露光処理
が中断したり、メンテナンス時の調整時間が長くなる
等、生産効率の低下を未然に防ぐことができるという効
果が得られる。
【0074】請求項7に係る投影光学系の結像特性調整
方法は、圧電素子の変位量の情報に基づいて初期化工程
に移行する構成となっている。これにより、この投影光
学系の結像特性調整方法では、圧電素子がストローク不
足を起こす前に確実にストローク回復を実施することが
でき、露光処理を中断せざるを得ない事態を未然に防ぐ
ことができるという効果が得られる。
【0075】請求項8に係る投影光学系の結像特性調整
方法は、圧電素子に関する情報が所定の閾値を越えたと
きに初期化工程に移行する構成となっている。これによ
り、この投影光学系の結像特性調整方法では、圧電素子
がストローク不足を起こす前に確実にストローク回復を
実施することができ、露光処理を中断せざるを得ない事
態を未然に防ぐことができるとともに、初期化工程を実
施するかどうかの閾値を別途設定することで、求められ
る露光精度に応じて容易に閾値を変更できるという効果
も得られる。
【0076】請求項9に係る投影光学系の結像特性調整
方法は、初期化工程で圧電素子に分極反転が発生する際
に、圧電素子に対する印加速度を低減させる構成となっ
ている。これにより、この投影光学系の結像特性調整方
法では、急激な分極反転で圧電素子が破損してしまうこ
とを防止できるという効果が得られる。
【0077】請求項10に係る投影露光装置は、請求項
1から5のいずれかに記載された投影光学系を介してマ
スクのパターン像を基板に投影する構成となっている。
これにより、この投影露光装置では、圧電素子のストロ
ーク不足に起因して露光処理が中断したり、メンテナン
ス時の調整時間が長くなる等、生産効率の低下を未然に
防ぐことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す図であって、投影
露光装置の概略構成図である。
【図2】 本発明の投影露光装置を構成する投影光学系
を上方から見た平面図である。
【図3】 本発明の投影露光装置を構成するピエゾ素子
のヒステリシス特性図である。
【図4】 本発明の実施の形態を示す図であって、リセ
ット時にピエゾ素子を初期化する動作の流れを示すフロ
ーチャート図である。
【図5】 本発明の実施の形態を示す図であって、露光
中にピエゾ素子を初期化する動作の流れを示すフローチ
ャート図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系 RP 初期化工程 R レチクル(マスク) W ウエハ(基板) 1 投影露光装置 26〜29 レンズエレメント(光学素子) 33a〜33c、34a〜34c ピエゾ素子(圧電素
子) 35 高電圧発生電源(電圧印加装置) 36 制御装置 37 位置センサ(検出部) 38 設定部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学素子間に配置され、印加され
    た電圧に基づき変位して前記光学素子間の距離を増減す
    る圧電素子と、 該圧電素子に正電圧および負電圧を印加する電圧印加装
    置と、 前記圧電素子の変位に対するヒステリシス特性に基づい
    て前記電圧印加装置による印加電圧を制御する制御装置
    とを備えることを特徴とする投影光学系。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の投影光学系において、 前記圧電素子には、ピエゾ素子が用いられることを特徴
    とする投影光学系。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の投影光学系にお
    いて、 前記制御装置は、前記圧電素子の変位量に関する情報を
    検出する検出部を備え、該検出部からの検出信号に応じ
    て前記ヒステリシス特性に基づく前記印加電圧の制御を
    行うことを特徴とする投影光学系。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の投影光学系において、 前記制御装置は、前記検出部からの検出信号に対して閾
    値を設定する設定部を備え、前記検出信号が前記閾値を
    越えたときに前記ヒステリシス特性に基づく前記印加電
    圧の制御を行うことを特徴とする投影光学系。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の投影
    光学系において、 前記制御装置は、前記ヒステリシス特性に基づいて前記
    圧電素子に印加されていた電圧と逆極の電圧を印加する
    ことにより、前記圧電素子を初期状態にすることを特徴
    とする投影光学系。
  6. 【請求項6】 複数の光学素子間に、印加された電圧に
    基づき変位して前記光学素子間の距離を増減する圧電素
    子を配置した投影光学系を対象として、前記電圧を操作
    することで前記光学素子の結像特性を調整する投影光学
    系の結像特性調整方法において、 前記圧電素子の変位に対するヒステリシス特性に基づい
    て前記圧電素子に印加されていた電圧と逆極の電圧を印
    加して、前記圧電素子を初期状態に変位させる初期化工
    程を有することを特徴とする投影光学系の結像特性調整
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の投影光学系の結像特性調
    整方法において、 前記圧電素子の変位量に関する情報に基づいて、前記初
    期化工程に移行することを特徴とする投影光学系の結像
    特性調整方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の投影光学系の結像特性調
    整方法において、 前記圧電素子の変位量に関する情報が所定の閾値を越え
    たとき、前記初期化工程に移行することを特徴とする投
    影光学系の結像特性調整方法。
  9. 【請求項9】 請求項6から8のいずれかに記載の投影
    光学系の結像特性調整方法において、 前記初期化工程で前記圧電素子に分極反転が発生する際
    に、該圧電素子に対する印加速度を低減させることを特
    徴とする投影光学系の結像特性調整方法。
  10. 【請求項10】 マスクのパターン像を投影光学系を介
    して基板に投影する投影露光装置において、 前記投影光学系として請求項1から5のいずれかに記載
    された投影光学系が設置されることを特徴とする投影露
    光装置。
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