JP4316301B2 - 層状デザートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業的に製造されるプリン、ゼリー、ババロア、ブラマンジェ等の二層状デザートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二層状デザートを2種類の原料液を用いて製造する場合、各々の原料液を容器に充填する方法として、以下の方法が挙げられる。
(A)下層液(例えば、プリンにおけるカラメルシロップ等。)を先に充填し、上層液(例えば、プリンにおけるプリンベース等。)を後から充填する方法。
(B)上層液を先に充填し、下層液を後から充填する方法。
(C)2種類の液を同時に充填する方法。
【0003】
この内、(B)の上層液を先に充填し、下層液を後から充填する方法としては、上層液より粘度と比重の高い下層液を後から充填して、二層状態を形成させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
また、充填液中の凝集塊の生成を防ぐ方法としては、ネイティブジェランガムと他のゲル化剤を含有させる方法(特許文献2参照。)、発酵セルロースと他のゲル化剤を含有させる方法(特許文献3参照。)などが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭50−36652号公報
【特許文献2】
特開平10−136914号公報
【特許文献3】
特開平11−178520号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上層液より高い粘度と比重の下層液を後から充填して、二層状態を形成させる方法では、上層液の粘度が低いほど二層間の分離性が良好になる反面、上層液中に凝集塊を生じるという問題があった。
これは、上層液の粘度が低く、かつゲル化までに時間がかかると、上層液中に分散している不溶性の微粒子(例えば、熱変性した卵成分、熱変性した乳清たんぱく質、ココア粒子、餡粒子、抹茶、果汁のパルプ成分等)が、マクロブラウン運動によって粒子同士衝突し凝集するためであると考えられている。
【0007】
また、ネイティブジェランガムや発酵セルロースに他のゲル化剤を含有させることにより液中の凝集塊の生成を防ぐ方法は、充填時の液の粘度を高くすることで凝集を防いでいるため、上層液より高い粘度の下層液を後から充填する2段階充填方法に適用すると、上層液成分の巻き込みや混合により二層間の分離性が悪くなる問題があり、2段階充填に適用できない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、上層液を先に充填した後、上層液よりも粘度および比重の高い下層液を充填して二層状態を形成させ、冷却固化させてデザートを製造する場合に、上層液に不溶性粒子が存在し、かつ、緩慢冷却によってゲル化までに時間がかかる場合であっても、二層間の分離性が良い二層状デザートの製造方法を提供することを課題とする。
さらに好ましくは、上層液に不溶性粒子が存在し、かつ、緩慢冷却によってゲル化までに時間がかかる場合であっても、上層液に凝集塊を生じず、移動等による振動を受けても二層界面が上下方向に安定である二層状デザートの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上層液を先に充填した後、前記上層液よりも粘度および比重の高い下層液を充填して二層状態を形成させ、冷却固化させる二層状デザートの製造方法において、熱変性した卵成分、熱変性した乳清たんぱく質、ココア粒子、餡粒子、抹茶および果汁のパルプ成分からなる群から選択される少なくとも1種以上の不溶性粒子と、ローメトキシルペクチン、キサンタンガムおよびネイティブジェランガムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤と、κ−カラギナン、寒天、ファーセルラン、ゼラチン、脱アシル型ジェランガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上のゲル化剤とを含有する上層液に、前記ゲル化剤のゲル化温度以上で機械的せん断力を与えて、前記上層液の粘度を50mPa・s以下にするせん断工程と、該せん断工程後に前記上層液を前記ゲル化剤のゲル化温度以上に保持しつつ容器に充填する上層液充填工程と、該上層液充填工程後に、粘度が200〜1000mPa・sであって、比重が前記上層液より0.08以上高い下層液を前記容器に充填する下層液充填工程とを有する二層状デザートの製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の二層状デザートの製造方法は、上層液の調整後のせん断工程、上層液充填工程、下層液調製後の下層液充填工程、冷却工程の各工程から構成される。
【0011】
<上層液の調整>
本発明に用いる上層液には、不溶性粒子、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤等が含まれる。
上層液成分中の不溶性粒子は、平均粒度を20μm以下とすることが好ましい。これにより、緩慢冷却によってゲル化までに時間がかかっても上層液の凝集を生じにくくすることができる。
平均粒度が20μm以下の不溶性粒子としては、熱変性した卵成分、熱変性した乳清たんぱく質、ココア粒子、餡粒子、抹茶および果汁のパルプ成分から選択される1種以上のものが好ましい。具体的には、卵成分としては、卵黄粉末や全卵粉末が、乳清たんぱく質としては、ホエイプロテインコンセントレイト(WPC)やホエイプロテインアイソレイト(WPI)が、果汁のパルプ成分としては、オレンジ混濁果汁などが挙げられる。
【0012】
不溶性粒子は単独、または2種類以上混合して用いてよい。また、上層液中に含まれる不溶性粒子の量としては、食品100質量%あたり、0.1〜20質量%とするのが好ましく、1.0〜12.0質量%とするのがより好ましい。
【0013】
上層液成分中の増粘剤とは、ゾル状態での粘度を高める能力を有する添加物をいう。
凝集塊の生成を防ぐため、機械的せん断を受けた後、適度な速度で粘度回復性を示す性質を持っているものが好ましい。そのなかでも、二層間の分離性を上げ、上層液中の不溶性粒子の凝集を防ぎ、二層界面の上下方向の安定性を上げる目的で、ローメトキシルペクチン、キサンタンガム、ネイティブジェランガムを単独、あるいは2種類以上混合させて用いるのが好ましい。
上層液中に含まれる増粘剤の量としては、食品100質量%あたり、0.01〜0.30質量%とするのが好ましく、0.05〜0.15質量%とするのがより好ましい。
【0014】
また、上層液成分中のゲル化剤とは、ゾルからゲルに変化する性能を有する添加物であって、ゾルからゲルへの遷移期以降は無せん断状態にして使用するものをいう。
本発明のゲル化剤としては、加熱溶解後に冷却することによってゲル化するゲル化剤が用いられる。そのなかでも、
・ κ−カラギナン(ゲル化温度:40〜45℃)
・ 寒天(ゲル化温度:35〜40℃)
・ ファーセルラン(ゲル化温度:40〜45℃)
・ ゼラチン(ゲル化温度:15〜20℃)
・ ジェランガム(脱アシル型)(ゲル化温度:35〜45℃)
・ ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合ゲル化剤(ゲル化温度:45〜55℃)
・ アルギン酸ナトリウム(ゲル化温度:35〜45℃)
・ ローメトキシルペクチン(35〜45℃)
等が好ましい。これらのゲル化剤を単独、または2種類以上混合して用いてもよい。
【0015】
「ゲル化剤のゲル化温度」とは、そのゲル化剤を入れた溶液が、ゾル状態からゲル状態に遷移する温度である。
2種類以上のゲル化剤を混合して用いる場合の「ゲル化剤のゲル化温度」は、最も高いゲル化温度を持つゲル化剤が実質的にゲル化剤として機能するため、「最も高いゲル化温度を持つゲル化剤のゲル化温度」で近似できる。最も高いゲル化温度を持つゲル化剤が、そのゲル化温度でゲル化組織を形成した後で、さらに静置冷却しても、液成分はすでにゲル化組織を形成しているので、低いゲル化温度をもつゲル化剤で新たなゲル化組織を構成することはできないからである。
なお、低いゲル化温度を持つゲル化剤は、ゲル構造の主成分にはなり得ず、食感改良や離水防止などの役割を果たすと考えられる。
上層液中に含まれるゲル化剤の量としては、食品100質量%あたり、0.1〜3.0質量%とするのが好ましく、0.2〜1.5質量%とするのがより好ましい。
【0016】
また、上層液成分中の乳化剤としては、コハク酸モノグリセリド、トリグリセリドモノオレイン酸エステル等の公知の乳化剤が挙げられる。これらの乳化剤を単独、または2種類以上混合して用いてもよい。
上層液中に含まれる乳化剤の量としては、食品100質量%あたり、0.01〜0.3質量%とするのが好ましく、0.05〜0.2質量%とするのがより好ましい。
【0017】
上層液には、上記の成分の他に、糖類、油脂、色素、調味料、香料、チョコレート等を適宜添加することができる。
二層状デザートの製造工程では、上層液成分を配合後、加温・溶解し、殺菌機で殺菌した後、均質化を行う。その後、冷却して調整する。配合、加温・溶解、殺菌、均質化、冷却には、公知の方法・装置を用いることができる。
【0018】
<下層液の調整>
本発明に用いる下層液には、公知の増粘剤、糖類、その他香料等が含まれる。下層液には、上層液よりも粘度および比重が高いものが用いられる。二層の分離性を良くするためである。そのなかでも、下層液としては、粘度が200〜1000mPa・sであって、その比重が上層液より0.08以上高いものが好ましい。
下層液は原料を配合し、加温・溶解し、殺菌処理等を行った後、冷却して調製する。配合、加温・溶解、殺菌、冷却は公知の方法・装置を用いることができる。
【0019】
<二層状デザートの製造工程>
[せん断工程]
上層液中のゲル化剤のゲル化温度以上で、上層液を攪拌して機械的せん断力を与えて、上層液の粘度を50mPa・s以下にする。
このとき、せん断力を与える機械の種類は、一般的に用いられる公知の機械であれば、限定されるものではない。例えば、ホモミキサー、セントリフューガルポンプ、シェアーポンプ、均質機などが挙げられる。これにより、上層液の粘度が一時的に下層液の粘度より低くなるため、後から充填する下層液が上層液を通過することが容易となり、良好な2段階充填が可能となる。
なお、ゲル化剤のゲル化温度以上で機械的せん断力を与えるのは、ゲルは降伏値以上のせん断力を受けると組織が崩壊して、ゾル状態になるため、ゾルからゲルへの遷移期以降にせん断力を加えるとゲル形成が妨げられるからである。
【0020】
[上層液充填工程]
機械的せん断工程終了後、容器への上層液の充填を開始する。上層液充填中に、液の温度がゲル化温度以下に下がると下層液の充填が行えないので、上層液はゲル化温度以上に保持する必要がある。
【0021】
[下層液充填工程]
下層液の粘度および比重が上層液よりも高いことを利用して、上層液充填工程終了後、容器への下層液の充填を開始する。
上層液に機械的せん断力を与えてから上層液の充填を開始し、次いで下層液を充填し終えるまでの時間は、10分間以内であるのが好ましい。充填終了までに時間がかかりすぎると、上層液の粘度が、機械的せん断工程前の高い粘度に回復し過ぎて二層間の分離性が悪くなってしまうからである。
【0022】
なお、粘度の低い状態でゲル化までに時間がかかると凝集を生じる問題がある。したがって、下層液充填後は、適度な速度で粘度が回復することが望ましい。
【0023】
[冷却工程]
充填終了後、容器を密封して冷却する。冷却は、ゆっくり行ってもよいし、あるいは急速に行ってもよい。緩慢冷却でゲル化までに時間がかかっても、上層液中の増粘剤の粘度回復により、不溶性粒子のマクロブラウン運動が制限されて粒子同士の衝突確率が低下し、凝集が防止できると考えられるからである。
緩慢冷却した後、急速冷却するのが好ましい。
【0024】
次に、2層状デザートの製造条件について種々検討した試験例について説明する。なお、以下の試験例において、%は特に断りのない限り質量%とする。
【0025】
[試験例1]
二層状デザートにおいて、二層間の界面の分離性が良く、緩慢冷却によっても、上層液が凝集せず、また、移動等による振動を受けても二層界面が上下方向に安定である条件を検索する目的で、以下の手順で、試料番号「A−1」〜「A−7」の試料を製造した。
【0026】
(1)上層液の調整
表1に示す配合割合の原料を、表2の「混合・加温温度(℃)」80℃に加温して溶解・混合し、原料液とした。
なお、これらの原料のうちゲル化剤として使用したものは、寒天であり、そのゲル化温度は35〜40℃である。
【0027】
【表1】
Figure 0004316301
【0028】
【表2】
Figure 0004316301
【0029】
これらの原料液を、バッチパストライザー(商品名:Bパス、ヤスダファインテ社製)に導入し、表2の「殺菌温度(℃)」85℃、「殺菌保持時間(分)」10分間の条件で殺菌し、次いで均質機(商品名:HOMOGENIZER、三丸機械工業社製)を用いて、表2の「均質化温度(℃)」85℃、「均質化圧力(MPa)」15MPaの条件での均質化を行った。
その後、殺菌、均質化済みの原料液を、表2の「冷却温度(℃)」60℃まで冷却して上層液とした。
【0030】
(2)下層液の調整
表3に示す配合割合で原料を混合し、85℃に加温して溶解し、10分間保持した後、60℃に冷却して調製した。
【0031】
【表3】
Figure 0004316301
【0032】
(3)せん断工程
(1)で調整した上層液に、ホモミキサー(商品名:T.K.ROBOMICS、特殊機化工業社製)を用いて、表2の「機械的せん断時間(分)」攪拌してせん断力を与え、上層液の粘度を表2の「機械的せん断後の粘度(mPa・s)」とした。
なお、機械的せん断後の粘度は、B型粘度計(商品名:VISCOMETERB8L、トキメック社製)を用いて55℃の温度条件でせん断後直ちに測定した。
【0033】
(4)上層液充填工程
表2の「上層液の充填温度(℃)」60℃に保温しつつ上層液90gを透明ポリプロピレン容器(岸本産業社製、型式PP71Φ−115 口径71mm、高さ56mm、容量115mL)に充填した。
【0034】
(5)下層液充填工程
(4)の上層液充填工程に続いて、(2)で調整した下層液10gを表3の「下層液の充填温度(℃)」60℃で前記容器に充填した。
(3)のせん断工程終了後、下層液の充填を終了するまでの時間を、表2の「せん断後から上層液および下層液の充填終了までの時間(分)」に示した。
【0035】
(6)冷却工程
(5)の下層液充填工程終了後、容器を密封して、40℃の恒温器に1時間静置保持(緩慢冷却)した後、5℃の冷蔵庫に4時間静置保持(急速冷却)した。
【0036】
<試料の評価>
得られた試料「A−1」〜「A−7」について、分離性、凝集性、界面の上下方向の安定性の評価を行った。
【0037】
(分離性)
各試料番号毎に10個の試料について、各々冷却固化後の二層の界面を容器側面から目視観察し、以下の評価をした。
各試料番号毎に10個の試料の評価点を合計し、表4の「分離性点数」の欄に示した。「分離性点数」が40点以上を「良好」と評価した。
5点 明瞭に分離。
4点 界面に部分的に混合部分が存在。
3点 側面から見て、界面が3〜5mmの幅で混合状態になっている。
2点 界面の混合が下層側面に及んでいる。
1点 界面の混合が下層全体に及んでいる。
【0038】
(凝集性)
各試料番号毎に10個の試料について、各々冷却固化後の上層成分を垂直方向に切断し、切断面を目視観察し、以下の評価をした。
0.5mm以上の凝集塊が成分中に1個以上認められれば、凝集していると評価し、各試料番号毎に10個の試料で凝集が見られた試料数を、表4の「凝集個数」の欄に示した。
【0039】
(界面の上下方向の安定性)
各試料番号毎に10個の試料について、下記に記す振動試験を行い、振動後の試料を目視観察し、以下の評価をした。
容器側面から見える二層界面の位置が振動前より1mm以上上昇していれば、「界面の上下方向の安定性は不良」と評価し、各試料番号毎に10個の試料で界面の上下方向の安定性の不良が見られた試料数を、表4の「界面不良個数」の欄に示した。
【0040】
なお、上記の振動試験は、振動試験機(商品名:DAS−300−2、IMVコーポレーション社製)を用いた。JIS Z0232の方法A−1に従い、振動数5〜50Hz、振動加速度7.53m/s、加振時間は輸送距離1000〜2000km未満40分の条件で行った。
【0041】
【表4】
Figure 0004316301
【0042】
表4の結果から、分離性は、試料番号「A−1」、「A−2」、「A−4」、「A−5」、「A−7」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「A−1」、「A−2」で凝集が見られ不良であった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「A−5」で界面上昇が見られ不良であった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「A−4」と「A−7」であった。
【0043】
試験例1の結果から、二層の分離性、凝集性、界面の上下方向の安定性に影響を及ぼすのは、上層液中にキサンタンガムを含み、容器充填前に上層液に機械的せん断力を与えて、上層液の粘度を40mPa・sまで低下させたか否かであり、上層液中の乳化剤の成分等には無関係であることがわかった。
【0044】
[試験例2]
上層液に機械的せん断力を与えて、低下させる粘度の範囲を検索する目的で、機械的せん断時間と機械的せん断後の粘度を変化させて、試料番号「B−1」〜「B−6」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 下層液の調整
試験例1と同様の条件。
・ せん断工程
試験例1と同様の条件の装置で、「機械的せん断時間(分)」と「機械的せん断後の粘度(mPa・s)」を変えた。
粘度測定は試験例1と同様の条件で、55℃で測定した。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0004316301
【0046】
表5の結果から、分離性は、試料番号「B−4」、「B−5」、「B−6」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「B−1」〜「B−6」中で凝集を生じたものはなかった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「B−1」〜「B−6」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「B−4」〜「B−6」であった。
【0047】
試験例2の結果から、上層液に機械的せん断力を与えると、二層の分離性にのみ影響を及ぼすことがわかり、かかる分離性を良好にするには、充填前に機械的せん断力を与えて上層液の粘度を50mPa・s以下にする必要があることがわかった。
【0048】
[試験例3]
上層液に機械的せん断力を与えるにあたっての機械の種類を検索する目的で、機械の種類と機械的せん断後の粘度を変化させて、試料番号「C−1」〜「C−8」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 下層液の調整
試験例1と同様の条件。
・ せん断工程
せん断には、ホモミキサー(商品名:T.K.ROBOMICS、特殊機化工業社製)、セントリフューガルポンプ(商品名:STAMP、ヤスダファインテ社製)、シェアーポンプ(商品名:シャーポンプ、ヤスダファインテ社製)、均質機(商品名:HOMOGENIZER、三丸機械工業社製)を用いた。
せん断条件を変えて、せん断後の粘度が50mPa・sおよび100mPa・sになるようにした。
粘度測定は試験例1と同様の条件で、55℃で測定した。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表6に示す。
【0049】
【表6】
Figure 0004316301
【0050】
表6の結果から、分離性は、試料番号「C−2」、「C−4」、「C−6」、「C−8」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「C−1」〜「C−8」中で凝集を生じたものはなかった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「C−1」〜「C−8」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「C−2」、「C−4」、「C−6」、「C−8」であった。
【0051】
試験例3の結果から、上層液に機械的せん断力を与える機械の種類には関係なく、二層の分離性を良好にするには、充填前に機械的せん断力を与えて上層液の粘度を50mPa・s以下にする必要があることがわかった。
【0052】
[試験例4]
上層液に機械的せん断力を与えた後、上層液および下層液の充填が終了するまでの時間を検索する目的で、機械的せん断力を与えた後からの経過時間を変化させて、試料番号「D−1」〜「D−7」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 下層液の調整
試験例1と同様の条件。
・ せん断工程
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
機械的せん断力を与えた後からの経過時間を変えて充填した。粘度測定は試験例1と同様の条件で、55℃で測定した。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表7に示す。
【0053】
【表7】
Figure 0004316301
【0054】
表7の結果から、分離性は、試料番号「D−1」、「D−2」、「D−3」、「D−4」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「D−1」〜「D−7」中で凝集を生じたものはなかった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「D−1」〜「D−7」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「D−1」〜「D−4」であった。
【0055】
試験例4の結果から、上層液に機械的せん断力を与えた後の経過時間は、二層の分離性のみに影響を与えることがわかり、かかる分離性を良好にするには、上層液に機械的せん断力を与えた後、10分間以内に上層液および下層液の充填を終了する必要があることがわかった。
また、機械的せん断力を与えて上層液の粘度を45mPa・sまで低下させても10分間で100mPa・sまで回復することがわかった。
【0056】
[試験例5]
上層液に含有させる増粘剤の種類を検索する目的で、増粘剤の種類を変えて、試料番号「E−1」〜「E−9」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
表8に示す配合割合の原料を、試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件で調整した。
なお、これらの原料のうちゲル化剤として使用したものは、寒天であり、そのゲル化温度は35〜40℃である。
【0057】
【表8】
Figure 0004316301
・ 下層液の調整
試験例1と同様の条件。
・ せん断工程
試験例1と同様の条件の装置で、上層液の機械的せん断後の粘度が50mPa・s以下になるように調製した。
粘度測定は試験例1と同様の条件で、55℃で測定した。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表9に示す。
【0058】
【表9】
Figure 0004316301
【0059】
表9の結果から、分離性は、試料番号「E−1」〜「E−8」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「E−1」、「E−2」、「E−5」、「E−7」で凝集が見られ不良であった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「E−2」、「E−4」、「E−7」で界面上昇が見られ不良であった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「E−3」、「E−6」、「E−8」であった。
【0060】
試験例5の結果から、上層液中の増粘剤が、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性に影響を及ぼすことがわかり、それらの増粘剤の種類が、ローメトキシルペクチン、キサンタンガム、ネイティブジェランガムのいずれかであってそれらを含む必要があることがわかった。
【0061】
[試験例6]
下層液の粘度の適性範囲を検索する目的で、下層液の粘度を変化させて、試料番号「F−1」〜「F−8」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 下層液の調整
表10の配合割合の原料を、試験例1と同様の条件で調整。
下層液の粘度は、試験例1と同様の条件で、55℃で測定した。
【0062】
【表10】
Figure 0004316301
・ せん断工程
試験例1と同様の条件の装置で、試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表11に示す。
【0063】
【表11】
Figure 0004316301
【0064】
表11の結果から、分離性は、試料番号「F−2」〜「F−7」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「F−1」〜「F−8」中で凝集を生じたものはなかった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「F−1」〜「F−8」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「F−2」〜「F−7」であった。
【0065】
試験例6の結果から、下層液の粘度は、二層の分離性にのみ影響を及ぼすことがわかり、かかる分離性を良好にするには、下層液の粘度を200〜1000mPa・sにする必要があることがわかった。
【0066】
[試験例7]
上層液と下層液の比重差の適性範囲を検索する目的で、下層液の比重を変化させて、試料番号「G−1」〜「G−7」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件。
・ 下層液の調整
表12の配合割合の原料を、試験例1と同様の条件で調整。
ローカストビーンガムの添加量を変化させて、各試料の調製後の粘度が300〜600mPa・sの範囲内になるようにした。
下層液の粘度は、試験例6と同様の条件で、55℃で測定した。
上層液と下層液の比重は、比重瓶(商品名:ゲーリュサック型比重瓶、中村医科理科社製)を用いて55℃で測定した。
【0067】
【表12】
Figure 0004316301
【0068】
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表13に示す。
【0069】
【表13】
Figure 0004316301
【0070】
表13の結果から、分離性は、試料番号「G−2」〜「G−7」が40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「G−1」〜「G―7」中で凝集を生じたものはなかった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「G−1」〜「G−7」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「G−2」〜「G−7」であった。
【0071】
試験例7の結果から、下層液と上層液との比重の差は、二層の分離性にのみ影響を及ぼすことがわかり、かかる分離性を良好にするには、下層液と上層液との比重差を0.08以上にする必要があることがわかった。
【0072】
[試験例8]
上層液に含有させる不溶性粒子の種類と平均粒度を検索する目的で、不溶性粒子の種類と平均粒度を変えて、試料番号「H−1」〜「H−10」の試料を製造した。
・ 上層液の調整
表14に示す配合割合の原料を、試験例1の試料番号「A−4」と同様の条件で調整した。
なお、これらの原料のうちゲル化剤として使用したものは、寒天であり、そのゲル化温度は35〜40℃である。
【0073】
【表14】
Figure 0004316301
ここで、「WPC」はホエイプロテインコンセントレイトをいい、原料名の後の数値はその原料の平均粒度を表す。
・ 下層液の調整
試験例1と同様の条件。
・ せん断工程
試験例1と同様の条件の装置で、上層液の機械的せん断後の粘度が50mPa・s以下になるように調製した。
・ 上層液充填工程、下層液充填工程、冷却工程
試験例1と同様の条件。
・ 試料の評価
試験例1と同様の条件。
結果を表15に示す。
【0074】
【表15】
Figure 0004316301
【0075】
表15の結果から、分離性は、試料番号「H−1」〜「H−10」のすべてが40点以上で良好であった。
上層液の凝集性は、試料番号「H−2」、「H−4」、「H−6」、「H−10」で凝集が見られ不良であった。
また、界面の上下方向の安定性は、試料番号「H―1」〜「H−10」中で界面が上昇したものはなかった。
したがって、二層の分離性、上層液の凝集性、界面の上下方向の安定性のすべてについて良好だったのは、試料番号「H−1」、「H−3」、「H−5」、「H−7」、「H−8」、「H−9」であった。
【0076】
試験例8の結果から、不溶性粒子の平均粒度は、上層液の凝集性にのみ影響を及ぼすことがわかり、上層液の凝集を防ぐには、それらの不溶性粒子の平均粒度が20μm以下であって、ココア,抹茶、乳清たんぱく質、餡、卵黄粉末、オレンジ混濁果汁にする必要があることがわかった。
【0077】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
[実施例1]
上層液は、表16のプリンベースの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、均質機付きのUHT殺菌機(商品名:MOプレート式UHT殺菌機、森永エンジニアリング社製)で、125℃で2秒間殺菌を行った後、85℃で15MPaの圧力で均質化を行った後、60℃に冷却して調製した。
下層液は、表16のカラメルシロップの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、チューブラー殺菌機(商品名:MOチューブラ式殺菌機、森永エンジニアリング社製)で120℃で15秒間の殺菌を行った後、55℃に冷却して調製した。
【0078】
上層液のプリンベースのゲル化剤として使用したものは、κ−カラギナンで、ゲル化温度は40〜45℃である。
このプリンベースに充填前55℃で、セントリフューガルポンプ(商品名:STAMP、ヤスダファインテ社製)で機械的せん断力を与えた後に充填機に送液して充填した。
【0079】
両液の充填は、充填機(商品名:MTYパッカー、トーワテクノ社製)を用いて、プラスチックカップ(岸本産業社製)にプリンベースを90g充填し、続いてカラメルシロップを10g充填し、上層液に機械的せん断力を与えてから10分間以内に終了させた。
その後、アルミ箔蓋(東洋アルミ社製)をヒートシールして密封した。充填後冷蔵庫までのコンベアは1時間停止させて、充填後から冷却前までの工程にある試料は緩慢冷却させ、最終的には冷蔵庫で10℃まで急速冷却して、カラメルシロップ入りプリンを製造した。
【0080】
このとき、上層液と下層液の比重は、比重瓶(商品名:ゲーリュサック型比重瓶、中村医科理科社製)を用いて55℃で測定した。
また、下層液と機械的せん断後の上層液の粘度は、B型粘度計(商品名:VISCOMETER B8L、トキメック社製)を用いて55℃で測定した。
それらの値を表16に示す。このときの下層液と上層液との比重差は0.16であった。
【0081】
【表16】
Figure 0004316301
その結果、できあがったプリンは、カラメルシロップとプリンベースの分離が良く、緩慢冷却させたにもかかわらず凝集は認められなかった。また、外観も良好で、風味と食感の良いカラメルシロップ入りプリンであった。
【0082】
[実施例2]
上層液は、表17のババロアベースの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、均質機付きのUHT殺菌機(商品名:MOプレート式UHT殺菌機、森永エンジニアリング社製)で、125℃で2秒間の殺菌を行った後、85℃で15MPaの圧力で均質化を行った後、50℃に冷却して調製した。
下層液は、表17のストロベリーソースの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、チューブラー殺菌機(商品名:MOチューブラ式殺菌機、森永エンジニアリング社製)で100℃で15秒間の殺菌を行った後、40℃に冷却して調製した。
【0083】
上層液のババロアベースのゲル化剤として使用したものは、寒天とゼラチンであり、ゲル化温度がそれぞれ35〜40℃と15〜20℃であるため、主たるゲル化剤は寒天であると考えられる。
このババロアベースに充填前50℃で、シェアーポンプ(商品名:シャーポンプ、ヤスダファインテ社製)で機械的せん断力を与えた後に充填機に送液して充填した。
【0084】
両液の充填は、充填機(商品名:MTYパッカー、トーワテクノ社製)を用いて、プラスチックカップ(岸本産業社製)にババロアベースを80g充填し、続いてストロベリーソースを20g充填し、上層液に機械的せん断力を与えてから10分間以内に終了させた。
その後、アルミ箔蓋(東洋アルミ社製)をヒートシールして密封した。充填後冷蔵庫までのコンベアは1時間停止させて、充填後から冷却前までの工程にある試料は緩慢冷却させ、最終的には冷蔵庫で10℃まで急速冷却して、ストロベリーソース入りババロアを製造した。
【0085】
このとき、上層液と下層液の比重、下層液と機械的せん断後の上層液の粘度は、実施例1と同じ装置で、表17に示した温度条件で測定した。
それらの値を表17に示す。このときの下層液と上層液との比重差は0.13であった。
【0086】
【表17】
Figure 0004316301
ここで、「WPC」はホエイプロテインコンセントレイトをいう。
その結果、できあがったババロアは、ババロアベースとストロベリーソースの分離が良く、緩慢冷却させたにもかかわらず凝集は認められなかった。また、外観も良好で、風味と食感の良いストロベリーソース入りババロアであった。
【0087】
[実施例3]
上層液は、表18のチョコレートプリンの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、均質機付きのUHT殺菌機(商品名:MOプレート式UHT殺菌機、森永エンジニアリング社製)で、130℃で2秒間の殺菌を行った後、85℃で10MPaの圧力で均質化を行った後、50℃に冷却して調製した。
下層液は、表18のコーヒーソースの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、チューブラー殺菌機(商品名:MOチューブラ式殺菌機、森永エンジニアリング社製)で120℃で15秒間の殺菌を行った後、25℃に冷却して調製した。
【0088】
上層液のチョコレートプリンのゲル化剤として使用したものは、ファーセルランであり、ゲル化温度は40〜45℃である。
このチョコレートプリンを充填前、チューブラー式熱交換機(商品名:スピフレックス、新光産業社製)で85℃に加温してゲル化力を回復させた後、60℃に冷却して、均質機(商品名:HOMOGENIZER、三丸機械工業社製)で機械的せん断力を与えた後に充填機に送液して充填した。
【0089】
両液の充填は、充填機(商品名:MTYパッカー、トーワテクノ社製)を用いて、プラスチックカップ(岸本産業社製)にチョコレートプリンを90g充填し、続いてコーヒーソースを10g充填し、上層液に機械的せん断力を与えてから10分間以内に終了させた。
その後、アルミ箔蓋(東洋アルミ社製)をヒートシールして密封した。充填後冷蔵庫までのコンベアは1時間停止させて、充填後から冷却前までの工程にある試料は緩慢冷却させ、最終的には冷蔵庫で10℃まで急速冷却して、コーヒーソース入りチョコレートプリンを製造した。
【0090】
このとき、上層液と下層液の比重、下層液と機械的せん断後の上層液の粘度は、実施例1と同じ装置で、表18に示した温度条件で測定した。
それらの値を表18に示す。このときの下層液と上層液との比重差は0.12であった。
【0091】
【表18】
Figure 0004316301
その結果、できあがったチョコレートプリンは、チョコレートプリンとコーヒーソースの分離が良く、緩慢冷却させたにもかかわらず凝集は認められなかった。また、外観も良好で、風味と食感の良いコーヒーソース入りチョコレートプリンであった。
【0092】
[実施例4]
上層液は、表19の抹茶ゼリーの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、均質機付きのUHT殺菌機(商品名:MOプレート式UHT殺菌機、森永エンジニアリング社製)で、130℃で2秒間の殺菌を行った後、85℃で15MPaの圧力で均質化を行った後、25℃に冷却して調製した。
下層液は、表19の餡ソースの配合割合で、原料を混合しながら60℃に加温して溶解し、チューブラー殺菌機(商品名:MOチューブラ式殺菌機、森永エンジニアリング社製)で120℃で15秒間の殺菌を行った後、50℃に冷却して調製した。
【0093】
上層液の抹茶ゼリーのゲル化剤として使用したものは、寒天であり、ゲル化温度は35〜40℃である。
この抹茶ゼリーを充填前、チューブラー式熱交換機(商品名:スピフレックス、新光産業社製)で95℃に加温してゲル化力を回復させた後、50℃に冷却して、セントリフューガルポンプ(商品名:STAMP、ヤスダファインテ社製)で機械的せん断力を与えた後に充填機に送液して充填した。
【0094】
両液の充填は、充填機(商品名:DOGAseptic、GASTI社製)を用いて、プラスチックカップ(生駒化学社製)に抹茶ゼリーを90g充填し、続いて餡ソースを30g充填し、上層液に機械的せん断力を与えてから10分間以内に終了させた。
その後、アルミ箔蓋(東洋アルミ社製)をヒートシールして密封した。充填後冷蔵庫までのコンベアは1時間停止させて、充填後から冷却前までの工程にある試料は緩慢冷却させ、最終的には冷蔵庫で10℃まで急速冷却して、餡ソース入り抹茶ゼリーを製造した。
【0095】
このとき、上層液と下層液の比重、下層液と機械的せん断後の上層液の粘度は、実施例1と同じ装置で、表19に示した温度条件で測定した。
それらの値を表19に示す。このときの下層液と上層液との比重差は0.13であった。
【0096】
【表19】
Figure 0004316301
その結果、できあがった抹茶ゼリーは、抹茶ゼリーと餡ソースの分離が良く、緩慢冷却させたにもかかわらず凝集は認められなかった。また、外観も良好で、風味と食感の良い餡ソース入り入り抹茶ゼリーであった。
【0097】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の二層状デザートの製造方法によれば、上層液に不溶性粒子が存在し、かつ、緩慢冷却によってゲル化までに時間がかかる場合であっても、二層間の分離性が良い二層状デザートを製造することができる。
特に、上層液中の増粘剤として、ローメトキシルペクチン、キサンタンガムおよびネイティブジェランガムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤を使用することにより、上層液に不溶性粒子が存在し、かつ、緩慢冷却によってゲル化までに時間がかかる場合であっても、上層液に凝集塊を生じず、移動等による振動を受けても二層界面が上下方向に安定である二層状デザートを製造することができる。

Claims (3)

  1. 上層液を先に充填した後、前記上層液よりも粘度および比重の高い下層液を充填して二層状態を形成させ、冷却固化させる二層状デザートの製造方法において、
    熱変性した卵成分、熱変性した乳清たんぱく質、ココア粒子、餡粒子、抹茶および果汁のパルプ成分からなる群から選択される少なくとも1種以上の不溶性粒子と、
    ローメトキシルペクチン、キサンタンガムおよびネイティブジェランガムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤と、
    κ−カラギナン、寒天、ファーセルラン、ゼラチン、脱アシル型ジェランガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上のゲル化剤とを含有する上層液に、
    前記ゲル化剤のゲル化温度以上で機械的せん断力を与えて、前記上層液の粘度を50mPa・s以下にするせん断工程と、
    該せん断工程後に前記上層液を前記ゲル化剤のゲル化温度以上に保持しつつ容器に充填する上層液充填工程と、
    該上層液充填工程後に、粘度が200〜1000mPa・sであって、比重が前記上層液より0.08以上高い下層液を前記容器に充填する下層液充填工程とを有する二層状デザートの製造方法。
  2. 前記上層液充填工程と、前記下層液充填工程とを、
    前記せん断工程終了後10分間以内に行う請求項1に記載の二層状デザートの製造方法。
  3. 前記不溶性粒子が、平均粒度20μm以下である請求項1または2に記載の二層状デザートの製造方法。
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