JP4315246B2 - エアバッグの改良 - Google Patents

Description

この発明は、エアバッグ、特に詳しくは、事故発生時、自動車に乗車している人を保護するエアバッグ構造に関するものである。

自動車事故が発生したとき、自動車に乗車している人の前側又は近接して保護“クッション”になるように膨張するエアバッグが種々提案されている。エアバッグが提案された当初では、空気でぴんと膨らんで、可能な限り長い時間にわたり膨らみ続けるエアバッグが好ましいものとされていたが、少なくとも一つのエア抜きがエアバッグが設けられていることの方がよいことが分かった。これは、乗車している人にエアバッグが当たったとき、その人がエアバッグに対しリバウンドしてしまうことを防ぐことができるからである。エア抜き口が設けてあるエアバッグは、該エアバッグが展開した後すぐに萎んでしまっても理想的なクッション保護作用を営むことができる。しかしながら、エアバッグは、一般的には、エアバッグで保護しようとする着座者がエアバッグに接触するように動くときに、適当なセンサ類によって展開するようになっている。

エアバッグの内部圧力又はエアバッグによる“保護クッション作用”が例えば、着座者の体形、着座者の位置・姿勢や着座者がシートベルトを装着しているか否などの各種のパラメータに応じて調節されることが理想的であることが現在分かっている。シートベルトを装着していない人には、シートベルトを装着している人よりもエアバッグの張り具合が強めになっていることが必要である。また、体形が大きな着座者には、体形が小さな着座者よりもエアバッグの張り具合が強めになっていることが必要である。しかしながら、エアバッグの近くに着座する人にとっては、できれば比較的“ソフト”なエアバッグの設置が望ましい。

関連するパラメータを感知し、ガス発生器によるエアバッグ内へのガスの吹込量を調節することで、前記のような特性をもつエアバッグの提供が試みられているが、どれも構成が複雑で、高価になる問題点を抱えている。これが、この発明の解決課題である。

この発明は、改良されたエアバッグを提供するものである。

この発明によれば、エアバッグの織物部分に調節可能なガス抜き口が形成されており、このガス抜き口は、クランプにより保持されるエアバッグの織物要素によりセンサが作動しない場合は閉止状態に保持され、このクランプは、センサからの信号に応答して保持解除されるように構成されており、前記エアバッグの織物要素は、エアバッグの内部へ延びているチューブの形状をしており、このチューブは、エアバッグの内部へ潜り込めるようになっていて、該チューブの自由端が制御可能なガス抜き口になっているエアバッグが提供される。

前記チューブは、エアバッグと一体になっていることが好ましい。

前記チューブの自由端は、クランプにより保持されていることが好ましい。

一つの実施の態様においては、前記チューブの自由端には、ストラップ又はコードが設けられていて、ストラップ又はコードはクランプにより保持されている。

別の実施の態様においては、前記織物要素は、エアバッグの内側に設けられた内側の織物フラップであり、このフラップが前記ガス抜き口の内部を覆うようになっている。

好ましくは、センサにより着座者の体重、着座者の位置、着座者がシートベルトを着用しているか否かの何れか少なくとも一つを検知するようになっている。

この発明がさらに容易に理解され、さらなる特徴が認識されるために、この発明を添付の図面を参照しながら実施の態様により説明する。

添付の図１を参照すると、エアバッグ１は、ガス発生器２を備えており、図１のエアバッグは、一部が膨らんだ状態になっている。

このエアバッグには、ガス抜き口３が設けられている。

図１のエアバッグには、エアバッグの生地（織物）の一部で作られたチューブ４が設けられており、このチューブ４は、エアバッグ本体と一体のもので、エアバッグの内部へ潜りこんでいて、この潜りこんだ先端がクランプ５により保持されている。この潜り込んだ先端は、後記するように前記クランプによる保持が解除されるとエアバッグ本体から外部へ飛び出すことができるようになっている。前記クランプは、図示の例では、ガス発生器２に取り付けられている。このように、前記チューブは、前記クランプにより閉止されてガスが前記チューブを経て抜け出ないようになっている。

略図的に図示されたセンサ６が設けられていて、このセンサで膨らんだエアバッグの張り具合、即ち、“しっかり膨らんでぴんと張った状態”又は“ソフトに膨らんだ状態”のいずれの膨らみ具合が望ましいかを決めるのに役立つ一つ又は複数のパラメータを検知するようになっている。したがって、例えば、前記センサは着座者の体重、エアバッグに対する着座者の相対位置及び着座者がシートベルトを着用しているか否かを検知する。他のパラメータも前記センサで検知できる。

後記するように、比較的“ソフト”にエアバッグが膨らむようになることが望ましい場合には、前記センサは、クランプ５を作動し、チューブ４を釈放する。

エアバッグが“通常の”膨らみ具合で膨らむときには、クランプ５は、チューブ４を釈放しない。したがって、図１，２に示すように、エアバッグは、通常の膨らみ具合で膨らむ。ガス抜き孔３がエアバッグ本体に設けられていて、エアバッグ本体の内部からガスが抜け出るようになっており、着座者がこのエアバッグに打ち当たると、エアバッグ内部のガス圧力が上昇し、ガス抜き孔３からガスの一部が排出され、これによって、エアバッグの膨らみが減り、所望の“クッション”作用が働くようになる。

しかしながら、エアバッグが膨らみ出し、センサ６がさらにソフトなエアバッグが必要であると判断すると、クランプ５の保持が解除されることになる。そして、エアバッグの内部のガス圧力により、チューブ４がエアバッグの外部へ徐々に強制的に押し出される。例えば、図４を見ると、チューブ４は、その一部がエアバッグの外側へ張り出し、ついで図５に示すような完全にエアバッグの外部へ該チューブの長さ一杯飛び出すようになる。完全に長さ一杯飛び出したチューブ４の開口先端は、さらに別のガス抜き口となり、このガス抜き口を経てガスが逃げ出すことで、チューブ４がクランプ５により保持されて閉じられていた状態の場合よりも大量のガスがエアバッグ内部から排出されることになる。

当然なことではあるが、複数のチューブ４を設け、各チューブの内径を変え、各チューブにクランプを取り付け、これらクランプを個別に制御することができる。前記センサにより展開時のエアバッグに必要な“ソフト”な具合の程度をきめこまかく正確に検知することができ、適切なクランプ又は複数のクランプを適切に組み合わせ、該クランプにより釈放するチューブを選択することで、着座者がエアバッグに打ち当たったときのエアバッグによる“ソフト”な張り具合を適切なものにすることができる。

図１から図５に示す実施の態様においては、チューブ４のエアバッグに潜り込んでいる内側端部は、クランプ５により保持され、閉止されている。しかしながら、図６に示す実施の態様では、チューブ４は、クランプ５に達しておらず、ストラップ又はコード８がチューブ４の端部からクランプ５に達している。図６に示す実施の態様では、クランプ５は、エアバッグが展開するとき、クランプ５は、前記ストラップ又はコードを保持していて、エアバッグの内部のガス圧力で、チューブ４が扁平にされ、これによって、ガスがチューブ４を経て外部へ抜け出ないようになる。クランプ５による保持が解除されると、チューブ４が図４の状態になって、さらに、図５の飛び出し状態になり、そこでガスがエアバッグの内部からチューブ４を経て排出されるようになる。

図７，８，９を参照すると、これら図に示される実施の態様においては、チューブの代わりにエアバッグ本体にガス抜き口を設け、これをエアバッグ内側の織物フラップにより閉じておく構成になっている。図７に示すように、エアバッグ１０には、ガス発生器１１が設けられていて、このエアバッグは、通常のガス抜き口を有している。このエアバッグには、また、補助ガス抜き口１３が設けてあり、この補助ガス抜き口１３は、エアバッグ本体に位置するエアバッグ本体の一部として織られたエアバッグ生地からなるフラップ１４により閉じられるようになっている。内側のフラップ１４は、一方の端部１５が図８に示すように補助ガス抜き口１３に近接してエアバッグ本体に取り付けられ、フラップ１４が前記端部からクランプ１６に連結しており、前記ガス抜き口１３を覆うようになっていて、このガス抜き口からガスがエアバッグ本体の外部へ放出されないようになっており、前記クランプは、ガス発生器１１に取り付けられている。前記したセンサ６に相当するセンサ１７が設けられている。

図７から図９に示すエアバッグにあっては、通常の膨張展開するときは、クランプ１５は、フラップ１４を保持し、エアバッグ本体の内部に噴射されたガスの内部圧力によりフラップ１４が前記ガス抜き口１３を囲むようにしてエアバッグ本体の内面にぴったり寄り添い、前記ガス抜き口１３を閉鎖し、前記ガス抜き口１３からガスがエアバッグ本体の外部へ放出されず、前記通常設けられているガス抜き口１２から所望のガス量がエアバッグ本体から放出され、エアバッグは、通常の膨らみ具合になる。

センダ１７によりエアバッグの膨らみ具合が“柔らかな膨らみ”になることが望ましいと判断されたときには、エアバッグが膨らむ間クランプ１６からフラップ１４が外れる。そしてエアバッグ本体に噴射されたガスの圧力が高まると、この圧力の上昇で、フラップ１４の一部が補助ガス抜き口１３に押し込まれ、風船が膨らむように外側へ押し出され、さらにエアバッグ本体のガスの内部圧力が高まるにつれ、フラップ１４は、完全に前記補助ガス抜き口１３からひらひらと押し出され、この補助ガス抜き口１３が図９に示すように開放される。このように補助ガス抜き口１３が図９に示すように開放されれば、通常、エアバッグ本体からガス抜き口１２を介して放出されるガスよりも多い量のガスが補助ガス抜き口１３から放出され、かくしてエアバッグの膨らみ具合は、“柔らかな膨らみ”のものとなる。

ここで再び付言する点は、補助ガス抜き口１３を複数に設け、これらそれぞれに対応するフラップ１４及びクランプ１６を設けてもよい点である。センサ１７は、エアバッグの膨らみ具合の所望の度合いを検出し、どのクランプを解除し、どのフラップを自由にして、補助ガス抜き口を開放するかを決定し、ガスの放出量を所望の程度にし、エアバッグの膨らみ具合の柔らかさの度合いを種々のパラメータが示す状況に応じて適切なものにすることができる。

前記フラップ１４とエアバッグ本体の内面との間に適当なシーラントを介在させ、前記フラップ１４をエアバッグ本体の内面に対し仮止め状態とし、クランプ１５からフラップ１４が外れると、この仮止め状態は、解除され、フラップ１４が前記したように補助ガス抜き口１３から抜け出るようにすることもできる。

前記の実施の態様は、この発明を限定するものではなく、この発明は、特許請求の範囲の記載により解釈されるべきものである。

この発明によるエアバッグの一つの実施の態様における部分的に膨張した状態のエアバッグの説明図。 図１のエアバッグが膨張し、ガス抜き口が開放された状態を示す説明図。 図１と図２とにおけるエアバッグの下部側の説明図。 図１から図３のエアバッグの展開時の図１に相当する説明図。 エアバッグの展開時の図４に相当する説明図。 この発明の別の実施の態様における図２に相当する説明図。 図示されたエアバッグが部分的に膨張した状態の図１に相当するエアバッグの説明図。 図７のエアバッグの下面図。 エアバッグの展開時の図７に示したフラップが飛び出している状態の説明図。

符号の説明

１ エアバッグ
２，１１ ガス発生器
３，１３ ガス抜き口
４ チューブ
５，１６ クランプ
６，１７ センサ
１４ フラップ

Claims (7)

1. エアバッグの織物部分に調節可能なガス抜き口が形成されており、このガス抜き口は、クランプにより保持されるエアバッグの織物要素によりセンサが作動しない場合は閉止状態に保持され、このクランプは、センサからの信号に応答して保持解除されるように構成され、
   前記エアバッグの織物要素は、エアバッグの内部へ延びているチューブの形状をしており、このチューブは、エアバッグの内部へ潜り込めるようになっていて、該チューブの自由端が調節可能なガス抜き口になっているエアバッグ。
2. 前記チューブは、エアバッグと一体になっている請求項１に記載されたエアバッグ。
3. 前記チューブの自由端は、クランプにより保持されている請求項２に記載されたエアバッグ。
4. 前記チューブの自由端には、ストラップ又はコードが設けられていて、ストラップ又はコードはクランプにより保持されている請求項１又は請求項２のいずれかに記載されたエアバッグ。
5. エアバッグの織物部分に調節可能なガス抜き口が形成されており、このガス抜き口は、クランプにより保持されるエアバッグの織物要素によりセンサが作動しない場合は閉止状態に保持され、このクランプは、センサからの信号に応答して保持解除されるように構成され、
   前記織物要素は、エアバッグの内側に設けられた内側の織物フラップであり、このフラップが前記ガス抜き口の内部を覆うようになっているエアバッグ。
6. センサにより着座者の体重、着座者の位置、着座者がシートベルトを着用しているか否かの何れか少なくとも一つを検知するようになっている請求項１〜５のいずれか一つに記載されたエアバッグ。
7. 複数の調節可能なガス抜き口が設けられている請求項１〜６のいずれか一つに記載されたエアバッグ。

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