JP2004034766A - 乗員拘束装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグ18の前部保護エリア26および後部保護エリア27に挟まれた部分に副室28を形成し、前部保護エリア26をベントホール31を介して副室28に連通させる。膨張したエアバッグ18が乗員D,Pを拘束した荷重で膨張部29の内圧が高まると、保護エリア26,27の膨張部29のガスの一部がベントホール31を介して副室28に流入することで膨張部29の圧力が低下し、乗員D,Pが受けるピーク加速度を減少させてリバウンド現象の発生を回避することができ、またエアバッグ18の過剰な収縮を防止して充分な乗員拘束時間を確保することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体のドア開口部の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグを配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる乗員拘束装置は、例えば、特開2000−33847号公報、特開平11−235965号公報により公知である。この種の乗員拘束装置のエアバッグはガスの供給を受けて膨張する膨張部を備えており、この膨張部で乗員を拘束するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エアバッグがベントホールを備えていないと、インフレータからガスの供給を受けたエアバッグが固く膨張するため、乗員を柔らかく拘束することが難しくなる可能性があって乗員が受けるピーク加速度が増加するだけでなく、乗員がエアバッグに跳ね返されるリバウンド現象が発生する可能性がある。そこでエアバッグ内のガスの一部をベントホールから逃がしてエアバッグの内圧が過剰になるのを防止しているが、ベントホールを設けるとエアバッグ内のガスの保持ができないため、乗員を拘束したときの荷重でエアバッグが過剰に収縮して乗員を拘束できる時間が短くなってしまう可能性がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開するエアバッグから乗員が受けるピーク加速度を減少させてリバウンド現象の発生を回避しながら、エアバッグの過剰な収縮を防止して充分な乗員拘束時間を確保することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車体のドア開口部の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグを配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、エアバッグは保護エリアに形成された膨張部と、保護エリア外に形成された副室とを備え、膨張部をベントホールを介して副室に連通させたことを特徴とする乗員拘束装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開するエアバッグが、乗員の保護エリアに形成された膨張部と保護エリア外に形成された副室とを備えており、膨張部がベントホールを介して副室に連通するので、膨張したエアバッグが乗員を拘束した荷重で膨張部の内圧が高まると、膨張部のガスの一部がベントホールを介して副室に流入することで膨張部の圧力が低下し、乗員が受けるピーク加速度を減少させてリバウンド現象の発生を回避することができる。しかもベントホールを通過したガスは大気に放散されることなく容積が限られた副室に流入するので、乗員を拘束した荷重でエアバッグが過剰に収縮するのを防止して充分な乗員拘束時間を確保するができる。
【0007】
またベントホールがエアバッグの外部に開口していないので、ベントホールが車体や乗員によって閉塞されて機能を発揮できなくなったり、ベントホールから排出されたガスが乗員に直接当たったりすることが防止される。
【0008】
尚、実施例の前部保護エリア26および後部保護エリア27は本発明の保護エリアをに対応する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図6は本発明の第1実施例を示すもので、図1は自動車の車室内部に乗員拘束装置のエアバッグが展開した状態を示す図、図2はエアバッグが展開した乗員拘束装置の拡大図、図3は図2の部分拡大図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図、図6は時間の経過に伴うエアバッグの内圧の変化を示すグラフである。
【0011】
図1に示すように、車両の車体側面にはフロントピラー11およびセンターピラー12間にフロントドア13が取り付けられるドア開口部14が形成され、センターピラー12およびリヤピラー15間にリヤドア16が取り付けられるドア開口部17が形成される。フロントピラー11の上端とリヤピラー15の上端とを接続するように車体前後方向に延びるルーフサイドレール(図示せず)はフロントドア13およびリヤドア16のドア開口部14,17の上縁を区画しており、このルーフサイドレールに沿って乗員拘束装置Cが設けられる。尚、乗員拘束装置Cは、実質的に同一構造のものが車体の左右両側にそれぞれ設けられているが、以下その代表として車体の右側に設けられたものについて説明する。
【0012】
車両の側面衝突時あるいはロールオーバー時に所定値以上の加速度が検出されると、車体の内部側面、即ちフロントピラー11、センターピラー12、リヤピラー15、フロントドア13のドアガラス13aおよびリヤドア16のドアガラス16aと、フロントシートおよびリヤシートに座った乗員との間に遮るように、乗員拘束装置Cのエアバッグ18がドア開口部14,17の上縁から下向きにカーテン状に展開する。
【0013】
図2〜図5に示すように、車体前後方向に延びるエアバッグ18は略同一形状の第1基布21および第2基布22を2重に重ね合わせて外周部を縫製23し、かつその内側を所定のパターンに縫製24したものであり、第1、第2基布21,22を縫製23,24した部分にはガスの漏れを防ぐためのシール材25が挟持される。エアバッグ18は、フロントシートの乗員Dの頭部を保護するための前部保護エリア26と、リヤシートの乗員Pの頭部を保護するための後部保護エリア27と、前部保護エリア26および後部保護エリア27間に挟まれた副室28とを備える。
【0014】
前部保護エリア26および後部保護エリア27には、内側の縫製24によって複数の膨張部29…が相互に連通するように形成されており、それら複数の膨張部29…はエアバッグ18の上縁に沿って前後方向に延びる上部連通路30に連通する。そして前部保護エリア26の下部後端がベントホール31を介して副室28に連通する。
【0015】
リヤピラー15の内部に収納されたインフレータ33から前方に延びるガス供給パイプ34の前部は上部連通路30内に挿入され、ガス供給パイプ34の先端と、その中間部外周に形成した開口34a…とから噴出するガスが、上部連通路30から各膨張部29…に分配される。
【0016】
図1に示すように、前部側突センサ41および後部側突センサ42が電子制御ユニット43に接続されており、電子制御ユニット43が両側突センサ41,42からの信号に基づいて車両の側面衝突(あるいは車両のロールオーバー)を検知すると、エアバッグ18を展開すべくインフレータ33に作動信号を出力する。
【0017】
次に、上記構成を備えた第1実施例の作用について説明する。
【0018】
前部側突センサ41および後部側突センサ42によって車両の側面衝突やロールオーバーが検知されると電子制御ユニット43からの指令でインフレータ33が作動し、インフレータ33内に蓄圧されていたガスがガス供給パイプ34および上部連通路30を経て前部保護エリア26および後部保護エリア27の膨張部29…に流入する。その結果、折り畳み状態でルーフサイドレールに沿って収納されていたエアバッグ18の膨張部29…が膨張し、その圧力でルーフガーニッシュが下方に押し下げられて形成された開口を通して、エアバッグ18が車室内に下向きに展開する。展開したエアバッグ18の前部保護エリア26はフロントシートの乗員Dと車室内壁との間に介在して乗員Dの頭部を保護し、後部保護エリア27はリヤシートの乗員Pと車室内壁との間に介在して乗員Pの頭部を保護する。
【0019】
このようにして展開したエアバッグ18が乗員D,Pの頭部を拘束することで膨張部29…の内圧が高まると、膨張部29…内のガスの一部がベントホール31を介して副室28内に流入することで該膨張部29…の内圧が若干低下するため、乗員D,Pがエアバッグ18に拘束された際に受けるピーク加速度を減少させるとともに、乗員D,Pがエアバッグ18に跳ね返されるリバウンド現象の発生を回避することができる。更に、ベントホール31を通過したガスは大気に放散されることなく容積が限られた副室28に溜められるので、エアバッグ18が乗員を拘束した荷重で過剰に収縮するのを防止し、その後も展開状態を維持して乗員D,Pを確実に拘束することができる。
【0020】
またベントホール31がエアバッグ18の外部に開口せずに閉じられた副室28に開口しているので、ベントホール31が車体内面や乗員によって閉塞されてガス排出機能を発揮できなくなったり、ベントホール31から排出されたガスが乗員に直接当たったりすることが防止される。
【0021】
図6から明らかなように、従来のベントホールを全くを持たないエアバッグは内圧が過剰に高い状態に維持され、また従来の大気開放のベントホールを持つエアバッグは内圧が急激に低下してしまうが、本実施例の副室28に開放するベントホール31を持つものでは、エアバッグ18の内圧が継続的に適切な値に保持されることが分かる。
【0022】
次に、図7に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0023】
第2実施例は、前部保護エリア26および後部保護エリア27間に挟まれた副室28に加えて、前部保護エリア26の前方にも副室28を備えており、容積の大きい前部保護エリア26の膨張部29…は2個のベントホール31,31を介して2個の副室28,28に連通する。この第2実施例によれば、2個の副室28,28を設けたことにより、その容積を充分に確保することができる。
【0024】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
例えば、実施例では第1、第2基布21,22を縫製23,24してエアバッグ18を構成しているが、それを接着やジャガード織り(シームレス)で構成することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開するエアバッグが、乗員の保護エリアに形成された膨張部と保護エリア外に形成された副室とを備えており、膨張部がベントホールを介して副室に連通するので、膨張したエアバッグが乗員を拘束した荷重で膨張部の内圧が高まると、膨張部のガスの一部がベントホールを介して副室に流入することで膨張部の圧力が低下し、乗員が受けるピーク加速度を減少させてリバウンド現象の発生を回避することができる。しかもベントホールを通過したガスは大気に放散されることなく容積が限られた副室に流入するので、乗員を拘束した荷重でエアバッグが過剰に収縮するのを防止して充分な乗員拘束時間を確保するができる。
【0027】
またベントホールがエアバッグの外部に開口していないので、ベントホールが車体や乗員によって閉塞されて機能を発揮できなくなったり、ベントホールから排出されたガスが乗員に直接当たったりすることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の車室内部に乗員拘束装置のエアバッグが展開した状態を示す図
【図2】エアバッグが展開した乗員拘束装置の拡大図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】時間の経過に伴うエアバッグの内圧の変化を示すグラフ
【図7】本発明の第2実施例に係る、前記図2に対応する図
【符号の説明】
14 ドア開口部
17 ドア開口部
18 エアバッグ
26 前部保護エリア(保護エリア)
27 後部保護エリア(保護エリア)
28 副室
29 膨張部
31 ベントホール
33 インフレータ
Claims (1)
- 車体のドア開口部(14,17)の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグ(18)を配置し、車両の衝突時にインフレータ(33)が発生するガスでエアバッグ(18)を膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、
エアバッグ(18)は保護エリア(26,27)に形成された膨張部(29)と、保護エリア(26,27)外に形成された副室(28)とを備え、膨張部(29)をベントホール(31)を介して副室(28)に連通させたことを特徴とする乗員拘束装置。
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