JP3966776B2 - 乗員拘束装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体のドア開口部の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグを配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開させる乗員拘束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる乗員拘束装置は、例えば、特開2000−33847号公報、特開平11−235965号公報により公知である。この種の乗員拘束装置のエアバッグはガスの供給を受けて膨張する膨張部を備えており、この膨張部を車室の側部内面に沿って展開させて乗員を拘束するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の乗員拘束装置のエアバッグはベントホールを備えていないため、インフレータからガスの供給を受けたエアバッグが固く膨張してしまい、乗員を柔らかく拘束できなくなる可能性があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開するエアバッグで乗員を柔らかく拘束できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車体のドア開口部の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグを配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、エアバッグの膨張部からガスを排出するベントホールを、エアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたことを特徴とする乗員拘束装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開するエアバッグの膨張部にベントホールを設けたので、ベントホールの作用でエアバッグが過剰に固く膨張するのを防止して乗員を柔らかく拘束することができる。またベントホールをエアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたので、そのベントホールが車体や乗員によって塞がれるのを防止してガス排出機能を確実に発揮させることができ、しかもベントホールから排出されるガスが乗員に直接当たるのを防止することができ、更にエアバッグの展開が完了する前にベントホールからガスが逃げて展開が不完全になるのを防止することができる。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、車体のドア開口部の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグを配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、エアバッグは乗員の保護エリアに対応する位置に膨張部を備えており、膨張部からガスを排出するベントホールを、保護エリアから外れた位置であって、エアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたことを特徴とする乗員拘束装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開するエアバッグの膨張部からガスを排出するベントホールを乗員の保護エリアから外れた位置に開口させたので、ベントホールの作用でエアバッグが過剰に固く膨張するのを防止して乗員を柔らかく拘束することができるだけでなく、保護エリアに位置する乗員にベントホールから排出されるガスが直接当たるのを防止することができる。またベントホールをエアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたので、そのベントホールが車体や乗員によって塞がれるのを防止してガス排出機能を確実に発揮させることができ、しかもベントホールから排出されるガスが乗員に直接当たるのを一層確実に防止することができ、更にエアバッグの展開が完了する前にベントホールからガスが逃げて展開が不完全になるのを防止することができる。
【0009】
尚、実施例の前部保護エリア26および後部保護エリア27は本発明の保護エリアをに対応し、実施例の前部ベントホール31および後部ベントホール32は本発明のベントホールに対応する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、図1は自動車の車室内部に乗員拘束装置のエアバッグが展開した状態を示す図、図2はエアバッグが展開した乗員拘束装置の拡大図、図3は図2の部分拡大図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図である。
【0012】
図1に示すように、車両の車体側面にはフロントピラー11およびセンターピラー12間にフロントドア13が取り付けられるドア開口部14が形成され、センターピラー12およびリヤピラー15間にリヤドア16が取り付けられるドア開口部17が形成される。フロントピラー11の上端とリヤピラー15の上端とを接続するように車体前後方向に延びるルーフサイドレール(図示せず)はフロントドア13およびリヤドア16のドア開口部14,17の上縁を区画しており、このルーフサイドレールに沿って乗員拘束装置Cが設けられる。尚、乗員拘束装置Cは、実質的に同一構造のものが車体の左右両側にそれぞれ設けられているが、以下その代表として車体の右側に設けられたものについて説明する。
【0013】
車両の側面衝突時あるいはロールオーバー時に所定値以上の加速度が検出されると、車体の内部側面、即ちフロントピラー11、センターピラー12、リヤピラー15、フロントドア13のドアガラス13aおよびリヤドア16のドアガラス16aと、フロントシートおよびリヤシートに座った乗員との間に遮るように、乗員拘束装置Cのエアバッグ18がドア開口部14,17の上縁から下向きにカーテン状に展開する。
【0014】
図2〜図5に示すように、車体前後方向に延びるエアバッグ18は略同一形状の第1基布21および第2基布22を2重に重ね合わせて外周部を縫製23し、かつその内側を所定のパターンに縫製24したものであり、第1、第2基布21,22を縫製23,24した部分にはガスの漏れを防ぐためのシール材25が挟持される。エアバッグ18は、フロントシートの乗員Dの頭部を保護するための前部保護エリア26と、リヤシートの乗員Pの頭部を保護するための後部保護エリア27と、前部保護エリア26および後部保護エリア27間に挟まれた非膨張部28とを備える。
【0015】
前部保護エリア26および後部保護エリア27には、内側の縫製24によって複数の膨張部29…が相互に連通するように形成されており、それら複数の膨張部29…はエアバッグ18の上縁に沿って前後方向に延びる上部連通路30に連通する。前部保護エリア26の下縁においてシール材25および縫製23,24が一部途切れており、そこに下向きに開口する前部ベントホール31が形成され、同様に後部保護エリア27の下縁においてシール材25および縫製23,24が一部途切れており、そこに下向きに開口する後部ベントホール32が形成される。
【0016】
リヤピラー15の内部に収納されたインフレータ33から前方に延びるガス供給パイプ34の前部は上部連通路30内に挿入され、ガス供給パイプ34の先端と、その中間部外周に形成した開口34a…とから噴出するガスが、上部連通路30から各膨張部29…に分配される。
【0017】
図1に示すように、前部側突センサ41および後部側突センサ42が電子制御ユニット43に接続されており、電子制御ユニット43が両側突センサ41,42からの信号に基づいて車両の側面衝突(あるいは車両のロールオーバー)を検知すると、エアバッグ18を展開すべくインフレータ33に作動信号を出力する。
【0018】
次に、上記構成を備えた第1実施例の作用について説明する。
【0019】
前部側突センサ41および後部側突センサ42によって車両の側面衝突やロールオーバーが検知されると電子制御ユニット43からの指令でインフレータ33が作動し、インフレータ33内に蓄圧されていたガスがガス供給パイプ34および上部連通路30を経て前部保護エリア26および後部保護エリア27の膨張部29…に流入する。その結果、折り畳み状態でルーフサイドレールに沿って収納されていたエアバッグ18の膨張部29…が膨張し、その圧力でルーフガーニッシュが下方に押し下げられて形成された開口を通して、エアバッグ18が車室内に下向きに展開する。展開したエアバッグ18の前部保護エリア26はフロントシートの乗員Dと車室内壁との間に介在して乗員Dの頭部を保護し、後部保護エリア27はリヤシートの乗員Pと車室内壁との間に介在して乗員Pの頭部を保護する。
【0020】
このようにしてエアバッグ18が展開した後、前部保護エリア26の膨張部29…内の余剰のガスは前部ベントホール31から排出され、後部保護エリア27の膨張部29…内の余剰のガスは後部ベントホール32から排出されるので、膨張部29…が過剰に固く膨張して乗員を柔らかく拘束できなくなる事態を確実に回避することができる。このとき、前部ベントホール31および後部ベントホール32はエアバッグ18の下縁に下向きに開口しているため、その前部ベントホール31および後部ベントホール32がフロントドア13、センターピラー15、リヤドア16あるいは乗員D,Pによって閉塞されることがなく、余剰のガスを排出する機能を確実に発揮させることができ、しかも前部ベントホール31および後部ベントホール32から排出されたガスが乗員D,Pに直接当たることが防止される。またエアバッグ18の第1、第2基布21,22にベントホールを形成すると、その周囲に環状の当て布を縫製して補強する必要があったが、本実施例によれば当て布が不要になって部品点数および加工工数の削減に寄与することができる。
【0021】
次に、図6に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0022】
第2実施例は後部保護エリア27に比べて膨張部29…の容積が大きい前部保護エリア26に2個の前部ベントホール31,31を形成したものである。これにより前部保護エリア26の膨張部29…からの余剰のガスの排出を一層確実に行うことができる。
【0023】
次に、図7に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
【0024】
第3実施例は前部保護エリア26および後部保護エリア27の膨張部29…を上下方向に平行に延びる筒状に形成し、その所定間隔毎の膨張部29…の下端にそれぞれ4個の前部ベントホール31…および2個の後部ベントホール32…を形成したものである。この第3実施例によっても、前記第2実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0025】
次に、図8に基づいて本発明の第4実施例を説明する。
【0026】
第4実施例は、前部保護エリア26の前部ベントホール31を、エアバッグ18の非膨張部28の前端に接する位置に設けるとともに、後部保護エリア27の後部ベントホール32を、エアバッグ18の非膨張部28の後端に接する位置に設けたものである。このように、前部ベントホール31および後部ベントホール32を前部保護エリア26および後部保護エリア27から外れた位置に開口させることで、そこから排出されるガスが乗員D,Pに直接当たるのを確実に防止することができる。勿論、本第4実施例の前部ベントホール31および後部ベントホール32はエアバッグ18の下縁に下向きに開口しているため、第1実施例の作用効果も併せて達成することができる。
【0027】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0028】
例えば、実施例では第1、第2基布21,22を縫製23,24してエアバッグ18を構成しているが、それを接着やジャガード織り(シームレス)で構成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開するエアバッグの膨張部にベントホールを設けたので、ベントホールの作用でエアバッグが過剰に固く膨張するのを防止して乗員を柔らかく拘束することができる。またベントホールをエアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたので、そのベントホールが車体や乗員によって塞がれるのを防止してガス排出機能を確実に発揮させることができ、しかもベントホールから排出されるガスが乗員に直接当たるのを防止することができ、更にエアバッグの展開が完了する前にベントホールからガスが逃げて展開が不完全になるのを防止することができる。
【0030】
また請求項2に記載された発明によれば、車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開するエアバッグの膨張部からガスを排出するベントホールを乗員の保護エリアから外れた位置に開口させたので、ベントホールの作用でエアバッグが過剰に固く膨張するのを防止して乗員を柔らかく拘束することができるだけでなく、保護エリアに位置する乗員にベントホールから排出されるガスが直接当たるのを防止することができる。またベントホールをエアバッグが最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたので、そのベントホールが車体や乗員によって塞がれるのを防止してガス排出機能を確実に発揮させることができ、しかもベントホールから排出されるガスが乗員に直接当たるのを一層確実に防止することができ、更にエアバッグの展開が完了する前にベントホールからガスが逃げて展開が不完全になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車の車室内部に乗員拘束装置のエアバッグが展開した状態を示す図
【図2】 エアバッグが展開した乗員拘束装置の拡大図
【図3】 図2の部分拡大図
【図4】 図3の4−4線断面図
【図5】 図3の5−5線断面図
【図6】 本発明の第2実施例に係る、前記図2に対応する図
【図7】 本発明の第3実施例に係る、前記図2に対応する図
【図8】 本発明の第4実施例に係る、前記図2に対応する図
【符号の説明】
14 ドア開口部
17 ドア開口部
18 エアバッグ
26 前部保護エリア(保護エリア)
27 後部保護エリア(保護エリア)
29 膨張部
31 前部ベントホール
32 後部ベントホール
33 インフレータ
Claims (2)
- 車体のドア開口部(14,17)の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグ(18)を配置し、車両の衝突時にインフレータ(33)が発生するガスでエアバッグ(18)を膨張させて車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、
エアバッグ(18)の膨張部(29)からガスを排出するベントホール(31,32)を、エアバッグ(18)が最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたことを特徴とする乗員拘束装置。 - 車体のドア開口部(14,17)の上縁に沿って折り畳み状態のエアバッグ(18)を配置し、車両の衝突時にインフレータ(33)が発生するガスでエアバッグ(18)を膨張させて車室の側部内面に沿って下向きにカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、
エアバッグ(18)は乗員の保護エリア(26,27)に対応する位置に膨張部(29)を備えており、膨張部(29)からガスを排出するベントホール(31,32)を、保護エリア(26,27)から外れた位置であって、エアバッグ(18)が最後に展開する部分である下縁に下向きに開口させたことを特徴とする乗員拘束装置。
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