JP4744960B2 - 頭部保護用エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、自動車の側面衝突時やロールオーバー(横転)時にサイドドアの窓等に沿って膨張する頭部保護用エアバッグ装置に関する。
自動車が側面衝突からロールオーバーに移行しても、支障なく対処可能な頭部保護用エアバッグ装置としては、例えば特開2004−148976号公報に記載されているように、自動車の側面衝突検知時とロールオーバー検知時とに作動する構成のものが知られている(特許文献1)。
上記従来の頭部保護用エアバッグ装置は、側面衝突時に、エアバッグの上側膨張部が展開膨張して窓の車内側を覆い、乗員の頭部を保護し、その後、下縁側で棒状の膨張部位が形成され、ロールオーバー時の乗員を保護する。
特開2004−148976号公報
しかし、上記従来の頭部保護用エアバッグ装置は、上側膨張部と下側膨張部が独立して形成され、下側膨張部は上側膨張部とは別のガス導入口から膨張用ガスが流入させる構成であるか、あるいは上側・下側膨張部相互に連通させて上側膨張部だけにインフレーターを接続させて構成し、インフレーターは複数のガス発生部を備え、自動車のロールオーバー検知時に、全てのガス発生部から膨張ガスを吐出させ、側面衝突検知時にはロールオーバー検知時より少ない数のガス発生部から膨張用ガスを吐出させる構成であるので、側面衝突時とロールオーバー時を検知してインフレーターを制御する必要がある。
また、ロールオーバー対応として下側膨張部が下側に延長されて形成されているが、膨張部の高さ延長はOOP(Out of Position)領域での乗員の頭部保護を困難にする。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、特に側面衝突時とロールオーバー時を検知してインフレーターを制御することなく、自動車が側面衝突からロールオーバーに移行しても支障なく対処可能な頭部保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明の頭部保護用エアバッグ装置は、折り畳まれて収納されたエアバッグが、一個のインフレーターから供給される膨張用ガスによって自動車内の側面に沿って、カーテン状に膨張展開して乗員を保護する頭部保護用エアバッグ装置であって、前記エアバッグが、膨張展開完了時の上縁側に形成されたガス導入口と、膨張展開完了時の上縁側に配置され、側面衝突時に早期に膨張展開するように展開領域が分割された複数の通常チャンバーと、膨張展開完了時のエアバッグの中央部に対して前記ガス導入口と反対側に配置され、かつ幾つかの前記通常チャンバーの下にそれら通常チャンバーの配設範囲で形成され、側面衝突後のロールオーバー時に膨張展開するように、ガスの流入経路が、上方に位置する前記通常チャンバー以外の他の前記通常チャンバーを少なくとも経由して、前記通常チャンバーよりも長くとられた少なくとも一つのロールオーバー用チャンバーと、を備え、前記ロールオーバー用チャンバーの下部に上記ガスの流入経路からガスが導入される単一のガス入り口が絞りを備えて形成されることを特徴とする。
本発明の頭部保護用エアバッグ装置は、ロールオーバー用チャンバーが、側面衝突後のロールオーバー時に遅れて膨張展開するように、ガスの流入経路が、上方に位置する前記通常チャンバー以外の他の前記通常チャンバーを少なくとも経由して、すなわち少なくとも側面衝突用の通常チャンバーを経由して、前記通常チャンバーよりも長くとり、かつ前記ロールオーバー用チャンバーの下部に上記ガスの流入経路からガスが導入される単一のガス入り口を、絞りを備えて形成して、一個のインフレータで展開に時間差を設けるためにガス導入路に回り道を設けているので、膨張部の高さを延長することなしに、ロールオーバー時において、OOP(Out of Position)領域での乗員の頭部を保護し、膨張展開による乗員への傷害を減らすことができる。
本発明の実施の形態の一例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る膨張展開完了時の頭部保護用エアバッグ装置の正面図である。頭部保護用エアバッグ装置Mのエアバッグ10は、折り畳まれた状態で、例えば自動車のフロントピラーからリアピラーにかけてルーフサイド部に沿って配設され、自動車が側面衝突又はロールオーバー(横転)したとき等に、車室側面に沿ってカーテン状に膨張展開し、自動車内の前席及び後席の乗員の頭部を受けとめて頭部を保護し、あるいは窓が開口して乗員が車外に投げ出されることを防止する。
前記エアバッグ10は、膨張展開完了時に車室側面と車室内とにそれぞれ面する内側シートと外側シートを重ね合わせ、これらシートを線状結合部11〜18及び環状結合部12a〜18aによって結合することにより、ガス導入口20,21、通常チャンバー23〜27,40〜42、ロールオーバー用チャンバー43及び非膨張部30,31が形成されている。
前記ガス導入口20は、膨張展開完了時の前記エアバッグ10の上縁側のリアピラー側の端部に形成され、前記ガス導入口21は、膨張展開完了時の前記エアバッグ10の上縁側のフロントピラー側の端部に形成される。そして、前記ガス導入口20と前記ガス導入口21は、前記エアバッグ10の上縁部に形成された上縁ガス通路22により連通される。
図1の実施の形態では、インフレーターから供給される膨張用ガスがリアピラー側のガス導入口20から導入されるが、別の実施の形態では、フロントピラー側のガス導入口21だけでも良いし、さらに別の実施の形態では、エアバッグの上縁部に形成された上縁通路部の中央付近に形成したガス導入口だけからガスを導入するようにしても良い。
前記通常チャンバーの多くは、側面衝突時に早期に膨張展開するように、膨張展開完了時の前記エアバッグ10の上縁側に配置され、展開領域が分割されている。前記通常チャンバーは前側通常チャンバー23,24、中央部通常チャンバー27,40,41,42、及び後側通常チャンバー25,26とからなる。
線状結合部11は、前記エアバッグ10を略周回するように配設される。前記ガス導入口21側に配設された線状結合部12は略W字形に形成され、これらにより並列した3つの前側通常チャンバー23と(図1において)その左側に前側通常チャンバー24が形成され、前記上縁ガス通路22に連通している。
前記線状結合部12の端部は、環状結合部12aに連なっており、環状結合部12aは線状結合部12の端部を補強している。
線状結合部13は、前記線状結合部12に連なり略ρ字形に配設され、これにより非膨張部30が前記エアバッグ10の前後方向の中央部に形成される。前記前記線状結合部13の端部及び前記線状結合部12との結節点は、それぞれ環状結合部13a及び環状結合部13bに連なっており、環状結合部13a,13bは線状結合部13の端部と結節点を補強している。
前記ガス導入口20側に配設され、前記線状結合部11の下縁部から上方向に延設された線状結合部14により、前記エアバッグ10のリアピラー側の端部に後側通常チャンバー25が形成される。そして、前記線状結合部14の端部は、環状結合部14aに連なっており、環状結合部14aは線状結合部14の端部を補強している。
前記線状結合部14と間隔をあけて前側に略逆σ字形に、線状結合部15が配設される。これにより非膨張部31が形成され、前記線状結合部14との間に後側通常チャンバー26が形成される。前記後側通常チャンバー25と前記後側通常チャンバー26は前記上縁ガス通路22に連通している。
前記線状結合部15は略J字形の線状結合部16に連なり、これらにより中央部通常チャンバー40が形成される。前記前記線状結合部15と前記線状結合部16の結節点は環状結合部15aに連なり、前記線状結合部16の端部は、環状結合部16aに連なっており、環状結合部15a,16aは線状結合部16の結節点と前記端部を補強している。
前記線状結合部16と間隔をあけて前側に略7字形に、前記線状結合部11の下縁部から上方向に延設された線状結合部17が配設される。これらにより中央部通常チャンバー27が形成される。なお、前記中央部通常チャンバー40は、前記後側通常チャンバー26及び中央部通常チャンバー27を介して前記上縁ガス通路22に連通している。前記線状結合部17の端部は、環状結合部17aに連なっており、環状結合部17aは線状結合部17の端部を補強している。
前記線状結合部17は、線状結合部18とにより中央部通常チャンバー41を形成する。前記線状結合部18の両端は環状結合部18a,18bに連なっている。前記環状結合部17aと前記環状結合部18aの隙間から膨張用ガスが側面衝突用の中央部通常チャンバー41に流れ込む。
また、前記非膨張部30と前記環状結合部18aの下に前記中央部通常チャンバー42が形成され、さらに、前記線状結合部12、前記環状結合部13a及び前記線状結合部11により、前記通常チャンバー23の下にロールオーバー用チャンバー43が形成される。具体的には、ロールオーバー用チャンバー43は、略W字形の線状結合部12で並列に3つ形成された前側通常チャンバー23の下に当該前側通常チャンバー23の配設範囲で形成される。前記中央部通常チャンバー42は、前記中央部通常チャンバー41とも連通しており、また前記ロールオーバー用チャンバー43は、前記中央部通常チャンバー42と連通している。すなわち、ロールオーバー用チャンバー43へのガスの流入経路は、上方に位置する前側通常チャンバー23以外の他の通常チャンバーを少なくとも経由して、具体的には前記中央部通常チャンバー41を経由して、通常チャンバー23〜27,40〜42よりも長くとられている。さらに、前記ロールオーバー用チャンバー43の下部には、環状結合部13aにより、上記ガスの流入経路からガスが導入される、絞りを備えた単一のガス入り口が形成される。
各線状結合部11〜18及び各環状結合部12a〜18aは、前記内側シートと外側シート同士を気密に結合し、なおかつ前記エアバッグ10の内圧が設計上限圧力まで上昇しても前記内側シートと外側シート同士が離反しないような強固な結合手段(例えば、強度の高い縫糸による縫合や、接着力の高い接着剤による接着、あるいは溶着)により形成される。
前記エアバッグ10を周回するように配設された線状結合部11を囲むように膨張用ガスを流入させない上周縁部50と下周縁部51と有する。前記上周縁部の上縁側には、前記エアバッグ10をルーフサイド部に取り付けるための複数の取付部53が形成されている。また、前記下周縁51のフロントピラー側には、クランプ54が固着され、自動車内の所定の接続部に接続される。
このように構成されたエアバッグ10を有する頭部保護用エアバッグ装置Mは、自動車が側面衝突すると、インフレーターが作動して膨張ガスがガス導入口20から上縁ガス通路22を介して通常チャンバー23〜27に供給され、エアバッグ10の上縁側が膨張し、併せて通常チャンバー40〜42も膨張する。エアバッグ10は、自動車内の側面に沿ってカーテン状に下方へ広がり、自動車の乗員と車室側面との間に膨張する。通常チャンバー23〜27及び40〜42の膨張により側面衝突時に、乗員の頭部がピラーや窓ガラスに強打されることが防止される。
側面衝突後のロールオーバー時には、上縁ガス通路22からのガスの流入経路が通常チャンバーよりも長く取られたロールオーバー用チャンバー43に膨張用ガスが供給される。すなわち、膨張用ガスの流れ(供給)は、通常チャンバー(41,42)→絞り(13a)→ロールオーバー用チャンバー43となっている。これらにより、側面衝突時に側面衝突用の通常チャンバー41,42等に遅れてロールオーバー用チャンバー43が膨張する。従って、前記環状結合部13aの個所に絞り(ガス入り口)がありガスが回り道をしてロールオーバー用チャンバー43にガスが届くので、側面衝突後にロールオーバーが発生しても、OOP領域での乗員の頭部の保護をすることが可能である。なお、このロールオーバー用チャンバーの下部に形成された絞りは、当該チャンバーの断面積の半分程度以下の広さであることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る膨張展開完了時の頭部保護用エアバッグ装置の正面図である。
符号の説明
10 エアバッグ
20,21 ガス導入口
30,31 非膨張部
23〜27,40〜42 通常チャンバー
43 ロールオーバー用チャンバー
M 頭部保護用エアバッグ装置

Claims (1)

  1. 折り畳まれて収納されたエアバッグが、一個のインフレーターから供給される膨張用ガスによって自動車内の側面に沿って、カーテン状に膨張展開して乗員を保護する頭部保護用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグが、
    膨張展開完了時の上縁側に形成されたガス導入口と、
    膨張展開完了時の上縁側に配置され、側面衝突時に早期に膨張展開するように展開領域が分割された複数の通常チャンバーと、
    膨張展開完了時のエアバッグの中央部に対して前記ガス導入口と反対側に配置され、かつ幾つかの前記通常チャンバーの下にそれら通常チャンバーの配設範囲で形成され、側面衝突後のロールオーバー時に膨張展開するように、ガスの流入経路が、上方に位置する前記通常チャンバー以外の他の前記通常チャンバーを少なくとも経由して、前記通常チャンバーよりも長くとられた少なくとも一つのロールオーバー用チャンバーと、
    を備え、前記ロールオーバー用チャンバーの下部に上記ガスの流入経路からガスが導入される単一のガス入り口が絞りを備えて形成されることを特徴とする頭部保護用エアバッグ装置。
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