JP6102857B2 - 車両用カーテンエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用カーテンエアバッグ装置に関する。
下記特許文献1に記載されたカーテンエアバッグ装置は、側面衝突時における前後席乗員の頭部保護エリアを含んで膨張展開される前側主チャンバ及び後側主チャンバを備えている。これらの前側主チャンバ及び後側主チャンバの車両前方には、下端部がドアベルトラインよりも下方に至る遅れ展開部としてのディレイチャンバ(前側副チャンバ、及び後側副チャンバの一部)がそれぞれ膨張展開する。これにより、ロールオーバー時の乗員保護性能、すなわち車外放出抑制性能を向上させている。
特開2012−201312号公報
上述の如きカーテンエアバッグ装置では、例えば、斜め衝突時にフロントピラーに向かって斜め前方へ慣性移動する乗員の頭部を、前側副チャンバによって保護することが考えられる。しかしながらその場合、側面衝突、斜め衝突、ロールオーバーといった各種の衝突形態においてそれぞれ適切な乗員保護性能を得るための要件により、カーテンエアバッグが大容量化し、それに伴いインフレータの高出力化が必要になる。その結果、インフレータから噴出される高圧のガスによってカーテンエアバッグがダメージを受けるため、カーテンエアバッグを丈夫な基布によって製造する等の対策が必要になり、大幅なコスト高となる。
本発明は上記事実を考慮し、インフレータの高出力化を回避しつつ、各種の衝突形態において適切な乗員保護性能を得ることに寄与する車両用カーテンエアバッグ装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、側面衝突に対して前席乗員及び後席乗員を保護する前後の主チャンバと、前側の前記主チャンバの車両前方に設けられ、斜め衝突に対して前席乗員を保護する前側の斜突チャンバと、前記前側の主チャンバと後側の前記主チャンバとの間に設けられ、ロールオーバーに対して後席乗員を保護するロールオーバーチャンバと、インフレータからのガスを前記前後の主チャンバに供給するガス供給通路と、前記前側の主チャンバを経由したガスを前記前側の斜突チャンバに供給する前側の斜突供給口と、前記前側の主チャンバを経由したガスを前記ロールオーバーチャンバに供給するロールオーバー供給口と、をカーテンエアバッグが備え、前記前側の斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、膨張展開した状態で、前記カーテンエアバッグの外周非膨張部の下部が下端となるように設けられ、前記各チャンバがインフレータからガス供給を受けて膨張展開する際に、前記前後の主チャンバ、前記前側の斜突チャンバ、前記ロールオーバーチャンバの順序で前記各チャンバの内圧が上昇するように構成されている。
請求項1に記載の発明では、カーテンエアバッグが、側面衝突に対して前席乗員及び後席乗員を保護する前後の主チャンバと、斜め衝突に対して前席乗員を保護する前側の斜突チャンバと、ロールオーバーに対して後席乗員を保護するロールオーバーチャンバとを有している。これらのチャンバがインフレータからガス供給を受けて膨張展開する。この際には、前後の主チャンバ、前側の斜突チャンバ、ロールオーバーチャンバの順序で各チャンバの内圧が上昇する。これにより、側面衝突、斜め衝突及びロールオーバーの各種の衝突形態において適切な乗員保護性能を得ることに寄与する。しかも、各チャンバの内圧上昇のタイミングをずらすことにより、インフレータのガスを有効に活用することができるので、インフレータの高出力化を回避することができる。さらに、インフレータからのガスがガス供給通路によって前後の主チャンバに供給される。これにより、前後の主チャンバの内圧を同じタイミングで上昇させることができる。また、前側主チャンバに供給されたガスの一部は、前側の斜突供給口及びロールオーバー供給口を通って前側の斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバに供給される。これにより、前側の斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバの内圧上昇を、前後の主チャンバの内圧上昇よりも遅らせることができる。
請求項2に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、請求項1において、前記カーテンエアバッグは、前記前側の主チャンバと前記ロールオーバーチャンバとの間に設けられると共に、斜め衝突に対して後席乗員を保護する後側の斜突チャンバと、前記前側の主チャンバを経由したガスを前記後側の斜突チャンバに供給する後側の斜突供給口と、を更に備え、前記後側の斜突供給口は、膨張展開した状態で、前記カーテンエアバッグの外周非膨張部の下部が下端となるように設けられ、前記各チャンバがインフレータからガス供給を受けて膨張展開する際に、前記前後の主チャンバ、前記前側の斜突チャンバ及び前記後側の斜突チャンバ、前記ロールオーバーチャンバの順序で前記各チャンバの内圧が上昇するように構成されている。
請求項2に記載の発明では、後側の斜突チャンバの内圧が前側の斜突チャンバの内圧と同じ順序、すなわち、前後の主チャンバより後でロールオーバーチャンバよりも先に上昇する。これにより、斜め衝突に対して後席乗員を保護するための後側の斜突チャンバの内圧を、斜め衝突に適したタイミングで上昇させることができる。さらに、インフレータからのガスがガス供給通路によって前後の主チャンバに供給される。これにより、前後の主チャンバの内圧を同じタイミングで上昇させることができる。また、前側主チャンバに供給されたガスの一部は、前後の斜突供給口及びロールオーバー供給口を通って前後の斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバに供給される。これにより、前後の斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバの内圧上昇を、前後の主チャンバの内圧上昇よりも遅らせることができる。
請求項3に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、請求項1において、前記ロールオーバー供給口は、前記前側の斜突供給口よりも断面積が小さく設定されている。
請求項3に記載の発明では、ロールオーバー供給口の断面積は、前側の斜突供給口の断面積よりも小さく設定されているため、ロールオーバーチャンバの内圧上昇を、前側の斜突チャンバの内圧上昇よりも遅らせることができる。以上のことから、前後の主チャンバ、前側の斜突チャンバ、ロールオーバーチャンバの順序で各チャンバの内圧を上昇させることができる。
請求項4に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、請求項2において、前記ロールオーバー供給口は、前記前側の斜突供給口及び前記後側の斜突供給口よりも断面積が小さく設定されている。
請求項4に記載の発明では、ロールオーバー供給口の断面積は、前後の斜突供給口の断面積よりも小さく設定されているため、ロールオーバーチャンバの内圧上昇を、前後の斜突チャンバの内圧上昇よりも遅らせることができる。以上のことから、前後の主チャンバ、前後の斜突チャンバ、ロールオーバーチャンバの順序で各チャンバの内圧を上昇させることができる。
請求項5に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、請求項3又は請求項4において、前記ガス供給通路は、前記カーテンエアバッグの上端側に設けられ、前記斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、前記カーテンエアバッグの下端側に設けられ、前記カーテンエアバッグは、下端側から上端側へロール折りにされた状態で車室側部の上端側に収納される。
請求項5に記載の発明では、インフレータからのガスが、カーテンエアバッグの上端側に設けられたガス供給通路を通って前後の主チャンバに供給される。これにより、前後の主チャンバが膨張展開し始めると、カーテンエアバッグが上端側からロール折りを解かれつつ下方側へ展開する。そして、カーテンエアバッグの下端側がロール折りを解かれると、前側の主チャンバに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグの下端側に設けられた斜突供給口及びロールオーバー供給口を通って斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバに供給される。つまり、カーテンエアバッグの下端側がロール折りを解かれるまで斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバへのガス供給を阻止することができる。これにより、斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバの内圧上昇のタイミングを簡単な構成で調整することができる。
請求項6に記載の発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置は、請求項3又は請求項4において、前記ガス供給通路は、前記カーテンエアバッグの上端側に設けられ、前記斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、前記カーテンエアバッグの下端側に設けられ、前記カーテンエアバッグは、下端側が折り畳まれ、当該下端側における前記前側の主チャンバ側がティアシームにより縫製されると共に、更に上端側へ折り畳まれた状態で車室側部の上端側に収納される。
請求項6に記載の発明では、インフレータからのガスが、カーテンエアバッグの上端側に設けられたガス供給通路を通って前後の主チャンバに供給される。これにより、前後の主チャンバが膨張展開し始めると、カーテンエアバッグが上端側から折り畳み状態を解かれつつ下方側へ展開する。そして、カーテンエアバッグの下端側における前側の主チャンバ側を縫製したティアシームが、前側の主チャンバの膨張圧で破断すると、カーテンエアバッグの下端側が折り畳み状態を解かれる。これにより、前側の主チャンバに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグの下端側に設けられた斜突供給口及びロールオーバー供給口を通って斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバに供給される。つまり、ティアシームが破断してカーテンエアバッグの下端側が折り畳み状態を解かれるまで斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバへのガス供給を阻止することができる。これにより、斜突チャンバ及びロールオーバーチャンバの内圧上昇のタイミングを簡単な構成で調整することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両用カーテンエアバッグ装置では、インフレータの高出力化を回避しつつ、各種の衝突形態において適切な乗員保護性能を得ることに寄与する。
本発明の第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置の概略的な構成を車内側から見た側面図であり、カーテンエアバッグの膨張展開状態を示す図である。 第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置の変形例の概略的な構成を示す図1に対応した側面図である。 (A)はインフレータが起動してからの時間と主チャンバの内圧との関係を示す線図であり、(B)はインフレータが起動してからの時間と斜突チャンバの内圧との関係を示す線図であり、(C)はインフレータが起動してからの時間とロールオーバーチャンバの内圧との関係を示す線図である。 第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置の全体構成を車内側から見た側面図であり、カーテンエアバッグの膨張展開状態を示す図である。 図4に示される構成の一部を示す側面図である。 図4に示されるカーテンエアバッグの収納状態を車両前方側から見た縦断面図である。 上記変形例の主要部の構成を示す図5に対応した側面図である。 図5に示されるカーテンエアバッグの膨張展開途中における第1の状態を示す側面図である。 図5に示されるカーテンエアバッグの膨張展開途中における第2の状態を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置の主要部の構成を示す図5に対応した側面図である。 図10に示されるカーテンエアバッグの収納状態を車両前方側から見た縦断面図である。
<第1の実施形態>
本発明の第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置10について、図1〜図9に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両の前方向(進行方向)、上方向、車両幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
本発明の第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置10は、側面衝突、斜め衝突及びロールオーバーに対して乗員(特に頭部)を保護するための装置である。この車両用カーテンエアバッグ装置10の具体的な構成について説明する前に、先ず図1〜図3を用いて第1実施形態の概要について説明する。
(第1実施形態の概要)
図1に概略的に示されるように、第1実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置10は、セダンタイプの自動車12に搭載されており、カーテンエアバッグ14と、インフレータ16(図4参照:図1では図示省略)とを備えている。カーテンエアバッグ14は、インフレータ16からガス供給を受け、車室側部に設けられた前後のサイドウインドガラス18、20及びBピラー(センタピラー)24に沿ってカーテン状に膨張展開するように形成されている。前側のサイドウインドガラス18は、図示しない前席の側方に位置するフロントサイドドア17に設けられており、後側のサイドウインドガラス20は、図示しない後席の側方に位置するリヤサイドドア19に設けられている。これらのサイドウインドガラス18、20がカーテンエアバッグ14によって覆われる構成になっている。
上記のカーテンエアバッグ14は、側面衝突に対して前席乗員及び後席乗員を保護するための前後の主チャンバ14A及び14Bを備えている。また、このカーテンエアバッグ14は、斜め衝突に対して前席乗員及び後席乗員を保護するための前後の斜突チャンバ14C及び14Dを備えている。さらに、このカーテンエアバッグ14は、ロールオーバーに対して後席乗員を保護するためのロールオーバーチャンバ14E(以下、R/Oチャンバ14Eと称する)を備えている。なお、図2に示される車両用カーテンエアバッグ装置11(変形例)のカーテンエアバッグ15のように、後側の斜突チャンバ14Dが省略されると共に、R/Oチャンバ14Eが後側の斜突チャンバ14Dの形成部位まで延長された構成にしてもよい。この図2では、車両用カーテンエアバッグ装置10と同様の構成には同符号を付している。
本実施形態では、図1に示されるカーテンエアバッグ14に対しては、前後の主チャンバ14A及び14B、前後の斜突チャンバ14C及び14D、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧を上昇させる。また、図2に示されるカーテンエアバッグ14に対しては、前後の主チャンバ14A及び14B、前側の斜突チャンバ14C、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧を上昇させる。つまり、本実施形態では、側面衝突に対応するチャンバ、斜め衝突に対応するチャンバ、ロールオーバーに対応するチャンバの順序で各チャンバの内圧を上昇させる。
具体的には、図3(A)に示されるように、側面衝突に対応するチャンバ(前後の主チャンバ14A及び14B)の内圧P1を、インフレータ16が起動した時点から10〜30msecの間にピーク内圧の80%に到達させる。また、図3(B)に示されるように、斜め衝突に対応するチャンバ(前後の斜突チャンバ14C及び14D)の内圧P2を、インフレータ16が起動した時点から30〜70msecの間にピーク内圧の80%に到達させる。さらに、図3(C)に示されるように、ロールオーバーに対応するチャンバ(R/Oチャンバ14E)の内圧P3を、インフレータ16が起動した時点から70msec以降にピーク内圧の80%に到達させる。以下、車両用カーテンエアバッグ装置10、11の具体的な構成について説明する。
(カーテンエアバッグ装置の全体構成)
図4には、車両用カーテンエアバッグ装置10の全体構成が車室内側から見た側面図にて示されている。この図4には、カーテンエアバッグ14がインフレータ16からのガス供給を受けて膨張展開した状態が示されている。カーテンエアバッグ14は、通常時には、ロール折り(図6参照)で折り畳まれて長尺状にされた上で、車室側部の上端部に設けられたルーフサイド部28にインフレータ16と共に収納される。この収納状態では、長尺状にされたカーテンエアバッグ14が、Aピラー(フロントピラー)22からルーフサイド部28に亘ってCピラー(リヤピラー)26の近傍まで延在する。なお、上記のルーフサイド部28は、ルーフサイドレール29と図示しないルーフヘッドライニングとを含んでおり、カーテンエアバッグ14及びインフレータ16はルーフサイドレール29とルーフヘッドライニングとの間に収納される。
インフレータ16は、カーテンエアバッグ14内にガスを供給するためのガス発生手段であり、例えば燃焼式又はコールドガス式のものが採用されている。このインフレータ16のガス噴出部は、後述する接続通路14Gを介してカーテンエアバッグ14の内部と連通されている。このインフレータ16が起動されると、上記のガス噴出部から噴出したガスがカーテンエアバッグ14内に供給されるようになっている。
上述のカーテンエアバッグ14及びインフレータ16は、自動車12の車両幅方向両側にそれぞれ設けられている。つまり、車両用カーテンエアバッグ装置10は、左右一対のカーテンエアバッグ14及び左右一対のインフレータ16を備えて構成されている。さらに、車両用カーテンエアバッグ装置10は、図4に示される如く、側突センサ32、ロールオーバーセンサ34及び斜突センサ36のそれぞれと電気的に接続されたエアバッグECU38を備えている。
側突センサ32は、自動車12の側面衝突(の不可避)を予測又は検出してエアバッグECU38に側突検出信号を出力するように構成されている。ロールオーバーセンサ34は、自動車12のロールオーバー(の不可避)を予測又は検出してエアバッグECU38にロールオーバー検出信号を出力するように構成されている。また、斜突センサ36は、自動車12の斜め衝突(の不可避)を予測又は検出してエアバッグECU38に斜突検出信号を出力するように構成されている。
エアバッグECU38は、左右のインフレータ16にそれぞれ電気的に接続されており(図1では、一方のインフレータ16との接続のみを示している)、側突検出信号又は斜突検出信号が入力されると、側面衝突側又は斜め衝突側(何れもニアサイド)のインフレータ16を起動させる構成になっている。したがって、自動車12に側面衝突又は斜め衝突が生じると、ニアサイドのカーテンエアバッグ14がガス供給を受けて膨張し、展開されるようになっている。また、エアバッグECU38は、ロールオーバー検出信号が入力されると、車両幅方向両側のインフレータ16を起動させる構成になっている。なお、エアバッグECU38は、側面衝突後又は斜め衝突後にロールオーバー検出信号が入力されると、すでに起動されたニアサイドとは反対側(ファーサイド)のインフレータ16を起動させるようになっている。
(カーテンエアバッグの構成)
以下、カーテンエアバッグ14の具体的な構成を説明する。なお、特に断りのない場合、カーテンエアバッグ14の膨張展開状態の構成(形状)を説明するものとする。
カーテンエアバッグ14は、例えばOPWと略称されるワンピースウーブン(One Piece Woven)方式によって一体に袋織りされている。OPW方式では、ジャガード織機を用いて、二枚の布を同時に製織しながら、必要な個所を多重織りすることで、無縫製の袋体を形成する。なお、カーテンエアバッグ14の製造方法は、上記に限るものではない。例えばナイロン系又はポリエステル系の布材を切り出して形成された1枚又は複数枚の基布を袋状に縫製することによりカーテンエアバッグ14を製造してもよい。
このカーテンエアバッグ14は、前述したように、前後の主チャンバ14A及び14Bと、前後の斜突チャンバ14C及び14Dと、R/Oチャンバ14Eと、を備えている。さらに、このカーテンエアバッグ14は、前側の主チャンバ14Aと後側の主チャンバ14Bとを相互に連通させたガス供給通路14Fと、インフレータ16が接続された接続通路14Gとを備えている。
前側の主チャンバ14A(以下、前側主チャンバ14Aと称する)は、サイドウインドガラス18の後部の側方に膨張展開する。この前側主チャンバ14Aは、車両側面視において、後端部がBピラー24に対して重なるように形成されている。この前側主チャンバ14Aには、側面衝突に対して前席乗員の頭部を保護する側突頭部保護エリアが設定されている。
後側の主チャンバ14B(以下、後側主チャンバ14Bと称する)は、サイドウインドガラス20の後部の側方に膨張展開する。この後側主チャンバ14Bは、車両側面視において、後端部の上部側がCピラー26に対して重なるように形成されている。この後側主チャンバ14Bには、側面衝突に対して後席乗員の頭部を保護する側突頭部保護エリアが設定されている。
ガス供給通路14Fは、カーテンエアバッグ14の上端部における前後方向中間部においてカーテンエアバッグ14の前後方向に延びており、前側主チャンバ14Aの上部と後側主チャンバ14Bの上部とを相互に連通させている。ガス供給通路14Fの前端側からは、上方側かつ後方側へ向けて筒状の接続通路14Gが延出されている。この接続通路14Gの先端部(後端部)には、インフレータ16のガス噴出部が接続されている。このインフレータ16は、カーテンエアバッグ14の前部である前側主チャンバ14Aと後部である後側主チャンバ14Bとの間に配置されており、図示しないブラケットを介してルーフサイドレール29に固定されている。
前側の斜突チャンバ14C(以下、前側斜突チャンバ14Cと称する)は、前側主チャンバ14Aの前方で膨張展開されてカーテンエアバッグ14の前端部分を構成し、斜め衝突及びロールオーバーの際に前席乗員の頭部を前席の前方側で保護するようになっている。この前側斜突チャンバ14Cは、車両側面視で、その前端部の上部側がAピラー22に対して重なると共に、その下端側が前側主チャンバ14Aよりも下方側に突出してフロントサイドドア17のドアベルトラインBLを上下に跨ぐように形成されている。
この前側斜突チャンバ14Cは、カーテンエアバッグ14の上下方向に延びる非膨張部(線状結合部)42によって前側主チャンバ14Aと部分的に区画されて(仕切られて)いる。この非膨張部42の上端部は、カーテンエアバッグ14の外周部に設定された外周非膨張部(線状結合部)40の上部40Aに一体に接続されている。非膨張部42の下端部(環状結合部)42Aと外周非膨張部40の下部40Bとの間で、カーテンエアバッグ14の下端部には、前側の斜突供給口としての絞り流路52が設けられている。この絞り流路52を介して前側主チャンバ14Aの下端部と前側斜突チャンバ14Cの下端部とが相互に連通されている。なお、図4、図5、図7〜図9において符号40Bは、外周非膨張部40の下部を示しており、符号40Cは、外周非膨張部40の前部を示しており、符号40Dは、外周非膨張部40の後部を示している。この外周非膨張部40の上部40Aは、接続通路14Gの後端部において分割されており、当該分割部分にインフレータ16のガス噴出部が取り付けられている。
上記の前側斜突チャンバ14Cは、ロールオーバー試験(FMVSS226規格)において前席乗員の頭部に相当するインパクタを当てる試験ポイント(インパクタ打撃点又は打点)のうち、最も前側の試験ポイントをカバーするように設けられている。なお、上記ロールオーバー試験における前席乗員に対する他の試験ポイントは、前側主チャンバ14Aによってカバーされる構成になっている。
後側の斜突チャンバ14D(以下、必要に応じて後側斜突チャンバ14Dと称する)は、前側主チャンバ14Aの後方で膨張展開され、斜め衝突及びロールオーバーの際に後席乗員の頭部を後席の前方側で保護するようになっている。この後側斜突チャンバ14Dは、車両側面視で、その前端部の上部側がBピラー24に対して重なるように形成されている。
この後側斜突チャンバ14Dは、ガス供給通路14Fの前部の下方に位置しており、カーテンエアバッグ14の前後方向に延びる非膨張部(線状結合部)44によってガス供給通路14Fと区画されて(仕切られて)いる。また、この後側斜突チャンバ14Dは、非膨張部44の前端部からカーテンエアバッグ14の下端側へ延びる非膨張部(線状結合部)46によって前側主チャンバ14Aと部分的に区画されて(仕切られて)いる。この非膨張部46の下端部(環状結合部)46Aと外周非膨張部40の下部40Bとの間で、カーテンエアバッグ14の下端部には、後側の斜突供給口としての絞り流路54が設けられている。この絞り流路54を介して前側主チャンバ14Aの下端部と後側斜突チャンバ14Dの下端部とが相互に連通されている。
R/Oチャンバ14Eは、後側主チャンバ14Bと後側斜突チャンバ14Dとの間で膨張展開され、ロールオーバーの際に後席乗員の頭部を後席の前方側で保護するようになっている。このR/Oチャンバ14Eは、ガス供給通路14Fの後部の下方に位置しており、上述の非膨張部44によってガス供給通路14Fと区画されて(仕切られて)いる。この非膨張部44の後端部からは、カーテンエアバッグ14の下端側へ向けて非膨張部(線状結合部)48が一体に延出されている。この非膨張部48の下端部は、外周非膨張部40の下部40Bに一体に接続されている。この非膨張部48によってR/Oチャンバ14Eが後側主チャンバ14Bと区画されて(仕切られて)いる。
さらに、非膨張部44の前後方向中間部からは、カーテンエアバッグ14の下端側へ向けて非膨張部(線状結合部)50が一体に延出されており、当該非膨張部50によってR/Oチャンバ14Eと後側斜突チャンバ14Dとが部分的に区画されて(仕切られて)いる。非膨張部50の下端部(環状結合部)50Aと外周非膨張部40の下部40Bとの間で、カーテンエアバッグ14の下端部には、ロールオーバー供給口としての絞り流路56が設けられている。この絞り流路56を介して後側斜突チャンバ14Dの下端部とR/Oチャンバ14Eの下端部とが相互に連通されている。
上記のR/Oチャンバ14Eは、前述したロールオーバー試験(FMVSS226規格)において後席乗員の頭部に相当するインパクタを当てる試験ポイント(インパクタ打撃点又は打点)のうち、前後方向中間部の試験ポイントをカバーするように設けられている。そして、このロールオーバー試験における後席乗員に対する前側及び後側の試験ポイントは、後側斜突チャンバ14D及び後側主チャンバ14Bによってカバーされる構成になっている。
また、上記構成のカーテンエアバッグ14では、前側斜突チャンバ14Cのガス供給口である絞り流路52の断面積と、後側斜突チャンバ14Dのガス供給口である絞り流路54の断面積とが同等に設定されている。一方、R/Oチャンバ14Eのガス供給口である絞り流路56の断面積は、絞り流路52、54の断面積よりも十分に小さく設定されている。具体的には、図5に示される絞り流路52、54、56の直径d1、d2、d3は、d1≒d2>>d3の関係に設定されている。
このカーテンエアバッグ14の上端縁である外周非膨張部40の上部40Aには、図示しない複数のタブが設けられている。これらのタブを貫通したクリップやボルト・ナット等の固定具によって、カーテンエアバッグ14が車体骨格(Aピラー22、ルーフサイドレール29、Cピラー26)に固定されている。また、このカーテンエアバッグ14の前端部は、テンションクロス58を介してAピラー22の下部に支持されている。このカーテンエアバッグ14は、通常時には、図6に示されるように、下端側から上端側へロール折りにされた状態でルーフサイド部28に収納される構成になっている。以上が、図1を用いて概要を説明した車両用カーテンエアバッグ装置10の具体的な構成である。
なお、図7には、図2を用いて概要を説明した車両用カーテンエアバッグ装置11(変形例)における主要部の具体的な構成が、図5に対応した側面図にて示されている。この図7では、車両用カーテンエアバッグ装置10と同様の構成に同符号を付している。この図7に示される車両用カーテンエアバッグ装置11のカーテンエアバッグ15では、前述したカーテンエアバッグ14における後側斜突チャンバ14D、非膨張部50及び絞り流路54(後側の斜突供給口)が省略されると共に、R/Oチャンバ14Eが後側斜突チャンバ14Dの形成部位まで延長されている。また、このカーテンエアバッグ15では、非膨張部46の下端部と外周非膨張部40の下部40Bとの間には、ロールオーバー供給口としての絞り流路56が設けられている。この絞り流路56を介して前側主チャンバ14Aの下端部とR/Oチャンバ14Eの下端部とが相互に連通されている。このカーテンエアバッグ15は、上記以外の構成がカーテンエアバッグ14と同様とされており、通常には、下端側から上端側へロール折りにされた状態でルーフサイド部28に収納される構成になっている(図6参照)。
(作用及び効果)
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
第1実施形態では、自動車12に側面衝突又は斜め衝突が発生すると、側突センサ32からの側突検出信号又は斜突センサ36からの斜突検出信号がエアバッグECU38に入力される。これにより、エアバッグECU38は、ニアサイドのインフレータ16を起動させる。
インフレータ16が起動すると、インフレータ16から噴出されたガスが、カーテンエアバッグ14のガス供給通路14Fに流入し、当該ガス供給通路14Fによって前後の主チャンバ14A及び14Bにガスが供給される(図8の矢印G1、G2参照)。これにより、前後の主チャンバ14A及び14Bが膨張展開し始めると、図8に示されるように、カーテンエアバッグ14が上端側からロール折りを解かれつつ下方側へ展開する。
そして、カーテンエアバッグ14の下端側がロール折りを解かれると、前側主チャンバ14Aに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグ14の下端側に設けられた絞り流路52、54を通って前後の斜突チャンバ14C及び14Dに供給される(図9の矢印G3、G4参照)。これにより、前後の斜突チャンバ14C及び14Dが、前後の主チャンバ14A及び14Bに対して時間的に遅れて膨張する。
さらに、後側斜突チャンバ14Dに供給されたガスの一部は、絞り流路56を通ってR/Oチャンバ14Eに供給される(図9の矢印G5参照)。この場合、絞り流路56の断面積が、絞り流路52、54の断面積よりも小さく設定されていることにより、R/Oチャンバ14Eへのガスの流入が制限され、R/Oチャンバ14Eが、前後の斜突チャンバ14C及び14Dに対して時間的に遅れて膨張する。
以上のことにより、本実施形態では、前後の主チャンバ14A及び14B、前後の斜突チャンバ14C及び14D、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧が上昇する。それにより、側面衝突に対応する前後の主チャンバ14A及び14Bの内圧P1、斜め衝突に対応する前後の斜突チャンバ14C及び14Dの内圧P2、及びロールオーバーに対応するR/Oチャンバ14Eの内圧P3を、図3(A)〜図3(C)に示されるタイミングで上昇させることが可能になる。その結果、側面衝突、斜め衝突及びロールオーバーの各種の衝突形態において適切な乗員保護性能を得ることに寄与する。
つまり、側面衝突時には、前席乗員及び後席乗員に近い車体側部に相手車両が衝突するため、早期に前後の主チャンバ14A及び14Bを膨張展開させて、前席乗員及び後席乗員の頭部を速やかに保護することが求められる。一方、斜め衝突時には、前席乗員及び後席乗員から離れた車体前部に相手車両が衝突し、車体前部の変形によって衝撃が吸収されるため、斜め衝突が発生した時点よりも若干遅れて前席乗員及び後席乗員が斜め前方へ慣性移動する。したがって、この慣性移動のタイミングに合わせて前後の斜突チャンバ14C及び14Dを膨張展開させることが求められる。また一方、側面衝突又は斜め衝突に伴って発生する可能性があるロールオーバー時には、側面衝突又は斜め衝突が発生したタイミングに遅れて前席乗員及び後席乗員の車外放出の可能性が生じる。このため、当該車外放出のタイミングに合わせてR/Oチャンバ14Eを膨張展開させることが求められる。この点、本実施形態では、前後の主チャンバ14A及び14B、前後の斜突チャンバ14C及び14D、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧が上昇するので、上記各種の衝突形態においてそれぞれ適切な乗員保護性能を得るための要件を満たすことができる。
しかも、本実施形態では、上記のように各チャンバの内圧上昇のタイミングをずらすことにより、インフレータ16のガスを有効に活用することができるので、インフレータ16の高出力化を回避することができる。その結果、インフレータ16から噴出される高圧のガスによってカーテンエアバッグ14がダメージを受けないようにできるため、カーテンエアバッグ14を丈夫な基布によって製造したり、補強布を追加する等の対策が不要になり、製造コストの増加を回避することができる。
また、本実施形態では、インフレータ16からのガスがガス供給通路14Fによって前後の主チャンバ14A及び14Bに分配(供給)されると共に、前側主チャンバ14Aに供給されたガスの一部が、絞り流路52及び54を通って前後の斜突チャンバ14C及び14Dに供給される。さらに、後側の斜突チャンバ14Dに供給されたガスの一部が、絞り流路52及び54よりも断面積が小さい絞り流路56を通ってR/Oチャンバ14Eに供給される。これにより、簡単な構成によって、前後の主チャンバ14A及び14B、前後の斜突チャンバ14C及び14D、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧を上昇させることができる。
また、本実施形態では、前側主チャンバ14Aに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグ14の下端部に設けられた絞り流路52、54、56を通って前後の斜突チャンバ14C及び14D並びにR/Oチャンバ14Eに供給される。つまり、カーテンエアバッグ14の下端側がロール折りを解かれるまで前後の斜突チャンバ14C及び14D並びにR/Oチャンバ14Eへのガス供給を阻止することができる。これにより、前後の斜突チャンバ14C及び14D並びにR/Oチャンバ14Eの内圧上昇のタイミングを簡単な構成で調整することができる。
なお、図7に示される車両用カーテンエアバッグ装置11に関しては、図面を用いた作用効果の説明を省略するが、この車両用カーテンエアバッグ装置11においても、上述した車両用カーテンエアバッグ装置10と基本的に同様の作用効果が得られる。
つまり、この車両用カーテンエアバッグ装置11では、インフレータ16が起動した際には、インフレータ16から噴出されたガスが、カーテンエアバッグ14のガス供給通路14Fに流入し、当該ガス供給通路14Fによって前後の主チャンバ14A及び14Bにガスが供給される。これにより、前後の主チャンバ14A及び14Bが膨張展開し始めると、カーテンエアバッグ14が上端側からロール折りを解かれつつ下方側へ展開する。そして、カーテンエアバッグ14の下端側がロール折りを解かれると、前側主チャンバ14Aに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグ14の下端側に設けられた絞り流路52を通って前側の斜突チャンバ14Cに供給されると共に、絞り流路52よりも断面積が小さい絞り流路56を通ってR/Oチャンバ14Eに供給される。
これにより、前後の主チャンバ14A及び14B、前側の斜突チャンバ14C、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧が上昇するので、側面衝突、斜め衝突及びロールオーバーの各種の衝突形態において適切な乗員保護性能を得ることに寄与する。しかも、各チャンバの内圧上昇のタイミングをずらすことにより、インフレータ16のガスを有効に活用することができるので、インフレータ16の高出力化を回避することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図10には、本発明の第2実施形態に係る車両用カーテンエアバッグ装置60の主要部の構成が図5に対応した側面図にて示されている。この車両用カーテンエアバッグ装置60では、カーテンエアバッグ62の構成が前記第1実施形態に係るカーテンエアバッグ14とは異なっている。このカーテンエアバッグ62は、前記第1実施形態に係るカーテンエアバッグ14と基本的に同様の構成とされているが、前側斜突チャンバ14Cの下端部が前側主チャンバ14Aの下端部よりも下方側へ突出していない構成になっている。また、このカーテンエアバッグ62では、外周非膨張部40の下部40Bからは、下方側へ向けて前後一対のタブ64、66が延出されている。これらのタブ64、66は、非膨張部42、46の下方に位置している。
このカーテンエアバッグ62が製造される際には、カーテンエアバッグ14の下端側が蛇腹折り(図11参照)で折り畳まれると共に、タブ64、66と非膨張部42、46の下端部42A、46Aとが重ね合わされてティアシームにより縫製される(図11の縫製部S参照)。つまり、このカーテンエアバッグ62は、下端側における前側主チャンバ14A側(ここでは、絞り流路52、54の形成部位)がティアシームにより縫製される。その後、図11に示されるように、カーテンエアバッグ62が更に上端側へ蛇腹折りで折り畳まれ、ルーフサイド部28に収納される。上記以外の構成は、前記第1実施形態と同様とされている。
この車両用カーテンエアバッグ装置60では、インフレータ16からのガスが、カーテンエアバッグ14の上端側に設けられたガス供給通路14Fを通って前後の主チャンバ14A及び14Bに供給される。これにより、前後の主チャンバ14A及び14Bが膨張展開し始めると、カーテンエアバッグ62が上端側から折り畳み状態を解かれつつ下方側へ展開する。そして、カーテンエアバッグ62の下端側における前側主チャンバ14A側を縫製したティアシームが、前側主チャンバ14Aの膨張圧で破断すると、カーテンエアバッグ62の下端側が折り畳み状態を解かれる。これにより、前側の主チャンバ14Aに供給されたガスの一部が、カーテンエアバッグ62の下端側に設けられた絞り流路52、54を通って前後の斜突チャンバ14C及び14Dに供給される。さらに、後側斜突チャンバ14Dに供給されたガスの一部が、絞り流路56を通ってR/Oチャンバ14Eに供給される。
以上のことにより、本実施形態においても、前後の主チャンバ14A及び14B、前後の斜突チャンバ14C及び14D、R/Oチャンバ14Eの順序で各チャンバの内圧が上昇する。したがって、前記第1実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることができる。しかも、ティアシームが破断してカーテンエアバッグ62の下端側が折り畳み状態を解かれるまで前後の斜突チャンバ14C及び14D並びにR/Oチャンバ14Eへのガス供給を阻止することができる。これにより、斜突チャンバ14C及び14D並びにR/Oチャンバ14Eの内圧上昇のタイミングを簡単な構成で調整することができる。
<実施形態の補足説明>
前記1実施形態では、カーテンエアバッグ14が下端側から上端側へロール折りにされた構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、カーテンエアバッグ14の下端側がロール折りにされる一方、カーテンエアバッグ14の上端側が蛇腹折りにされた構成にしてもよい。
また、前記第2実施形態では、カーテンエアバッグ62が下端側から上端側へ蛇腹折りにされた構成にしたが、本発明はこれに限らず、カーテンエアバッグ62が蛇腹折り以外の折り畳み方で下端側から上端側へ折り畳まれる構成にしてもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
10 車両用カーテンエアバッグ装置
11 車両用カーテンエアバッグ装置
14 カーテンエアバッグ
14A 前側の主チャンバ
14B 後側の主チャンバ
14C 前側の斜突チャンバ
14D 後側の斜突チャンバ
14E ロールオーバーチャンバ
14F ガス供給通路
15 カーテンエアバッグ
16 インフレータ
52 絞り流路(前側の斜突供給口)
54 絞り流路(後側の斜突供給口)
56 絞り流路(ロールオーバー供給口)
60 車両用カーテンエアバッグ装置
62 カーテンエアバッグ

Claims (6)

  1. 側面衝突に対して前席乗員及び後席乗員を保護する前後の主チャンバと、
    前側の前記主チャンバの車両前方に設けられ、斜め衝突に対して前席乗員を保護する前側の斜突チャンバと、
    前記前側の主チャンバと後側の前記主チャンバとの間に設けられ、ロールオーバーに対して後席乗員を保護するロールオーバーチャンバと、
    インフレータからのガスを前記前後の主チャンバに供給するガス供給通路と、
    前記前側の主チャンバを経由したガスを前記前側の斜突チャンバに供給する前側の斜突供給口と、
    前記前側の主チャンバを経由したガスを前記ロールオーバーチャンバに供給するロールオーバー供給口と、
    をカーテンエアバッグが備え、
    前記前側の斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、膨張展開した状態で、前記カーテンエアバッグの外周非膨張部の下部が下端となるように設けられ、
    前記各チャンバがインフレータからガス供給を受けて膨張展開する際に、前記前後の主チャンバ、前記前側の斜突チャンバ、前記ロールオーバーチャンバの順序で前記各チャンバの内圧が上昇するように構成された車両用カーテンエアバッグ装置。
  2. 前記カーテンエアバッグは、前記前側の主チャンバと前記ロールオーバーチャンバとの間に設けられると共に、斜め衝突に対して後席乗員を保護する後側の斜突チャンバと、前記前側の主チャンバを経由したガスを前記後側の斜突チャンバに供給する後側の斜突供給口と、を更に備え、
    前記後側の斜突供給口は、膨張展開した状態で、前記カーテンエアバッグの外周非膨張部の下部が下端となるように設けられ、
    前記各チャンバがインフレータからガス供給を受けて膨張展開する際に、前記前後の主チャンバ、前記前側の斜突チャンバ及び前記後側の斜突チャンバ、前記ロールオーバーチャンバの順序で前記各チャンバの内圧が上昇するように構成された請求項1に記載の車両用カーテンエアバッグ装置。
  3. 前記ロールオーバー供給口は、前記前側の斜突供給口よりも断面積が小さく設定された請求項1に記載の車両用カーテンエアバッグ装置。
  4. 前記ロールオーバー供給口は、前記前側の斜突供給口及び前記後側の斜突供給口よりも断面積が小さく設定された請求項2に記載の車両用カーテンエアバッグ装置。
  5. 前記ガス供給通路は、前記カーテンエアバッグの上端側に設けられ、
    前記斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、前記カーテンエアバッグの下端側に設けられ、
    前記カーテンエアバッグは、下端側から上端側へロール折りにされた状態で車室側部の上端側に収納される請求項3又は請求項4に記載の車両用カーテンエアバッグ装置。
  6. 前記ガス供給通路は、前記カーテンエアバッグの上端側に設けられ、
    前記斜突供給口及び前記ロールオーバー供給口は、前記カーテンエアバッグの下端側に設けられ、
    前記カーテンエアバッグは、下端側が折り畳まれ、当該下端側における前記前側の主チャンバ側がティアシームにより縫製されると共に、更に上端側へ折り畳まれた状態で車室側部の上端側に収納される請求項3又は請求項4に記載の車両用カーテンエアバッグ装置。
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