JP4285684B2 - 量子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノ結晶シリコンを利用した電子デバイスであって、電界励起によって量子効果を発現する量子デバイスおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ナノ結晶シリコンを利用した電子デバイスとして、電子源(例えば、特許文献1参照)や発光デバイス(例えば、特許文献2参照)が研究・開発されている。
【0003】
この種の電子源としては、下部電極と、下部電極に対向する金属薄膜よりなる表面電極(上部電極)と、下部電極と表面電極との間に介在し下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により下部電極から表面電極へ向かって電子がドリフトする強電界ドリフト層とを備えたものが提案されており、表面電極を真空中に配置するとともに表面電極に対向してコレクタ電極を配置し、表面電極と下部電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加するとともに、コレクタ電極と表面電極との間にコレクタ電極を高電位側として電圧を印加することにより、下部電極から注入され強電界ドリフト層をドリフトした電子が表面電極を通して放出される。ここにおいて、上述の電子源は、強電界ドリフト層が多数のナノ結晶シリコンを含んでおり、表面電極が10nm程度の膜厚の金属薄膜(例えば、金薄膜)により構成されている。なお、上述の電子源においては、抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い半導体基板と当該半導体基板の裏面に形成したオーミック電極とで下部電極を構成したものや、絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)上に形成された金属材料からなる導電性層により下部電極を構成したものなどがある。
【0004】
また、上述の発光デバイスは、多数のナノ結晶シリコンからなる発光層の厚み方向の両側に電極を設け、両電極間に電圧を印加することにより発光層にて発光した光を一方の電極を通して放出させるものであり、当該一方の電極を光が透過できる程度の膜厚の金属薄膜により構成されている。
【0005】
なお、上述の電子源や発光デバイスにおける金属薄膜はスパッタ法などにより形成されている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2966842号公報
【特許文献2】
特開平6−90019号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の電子源や発光デバイスなどの量子デバイスにおける金属薄膜は上述の説明から明らかなように、より薄膜化することが望ましいが、金属薄膜は薄膜化するにつれ下地層(強電界ドリフト層や発光層)に対する被覆性が低下したり、表面張力などにより凝集が起こるので、電子源や発光デバイスの寿命が短くなってしまうという不具合があった。また、電子源を真空封止する工程で熱がかかることによって、金属薄膜にて凝集が起こり下地層に対する被覆性が低下し寿命が短くなってしまうという不具合があった。
【0008】
これらの不具合を解消するために、金属薄膜の材料として、金に比べて被覆性の良いクロムを採用することが考えられるが、クロムは酸化しやすく(つまり、耐酸化性が低く)、金属薄膜が酸化することにより抵抗が高くなって、電子源の電子放出特性や発光デバイスの発光特性が低下するとともに消費電力が増加してしまうという不具合があった。また、クロムは真空中に残留する不純物ガス(特に、酸素)や水分の影響を受けやすく、不純物ガスや水分の影響で寿命が低下してしまうという不具合があった。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来に比べて長寿命化が可能な量子デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、下部電極と、下部電極上に形成され多数のナノ結晶シリコンを具備し電界励起によって量子効果を発現する結晶層と、少なくとも結晶層上で結晶層に接するように形成された炭素薄膜からなる表面電極とを備えてなることを特徴とするものであり、表面電極が下地となる結晶層との相性が良く且つ撥水性の高い炭素薄膜を有しており、しかも、炭素薄膜は薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて結晶層への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜は結晶層との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有するので、従来のように表面電極が金属薄膜のみにより形成されているものに比べて、出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記表面電極は、前記炭素薄膜と、前記炭素薄膜上に形成された金属薄膜とからなるので、前記表面電極を前記炭素薄膜のみにより構成する場合に比べて前記表面電極の低抵抗化を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記金属薄膜は、金、白金、銀、銅、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、イリジウム、ニオブ、クロム、アルミニウムから選択される金属材料あるいは前記金属材料の炭化物あるいは前記金属材料の窒化物により形成されているので、前記金属薄膜と前記炭素薄膜との密着性を高めることができ、製造時の歩留まりの向上を図れるとともに、より一層の長寿命化を図ることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記結晶層が電界励起により前記下部電極から注入された電子を前記表面電極へ向かって加速する強電界ドリフト層であり、前記下部電極と強電界ドリフト層と前記表面電極とで電子源素子を構成してあるので、従来のように表面電極が金属薄膜により形成されているものに比べて、電子放出効率の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記強電界ドリフト層は、多結晶シリコンおよび多結晶シリコンの粒界付近に存在する前記多数のナノ結晶シリコンおよび各ナノ結晶シリコンそれぞれの表面に形成されナノ結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜が混在する複合ナノ結晶層であるので、強電界ドリフト層で発生した熱を多結晶シリコンのグレインを通して放熱することができ、電子放出特性が安定する。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記結晶層が電界励起により発光する発光層であり、前記下部電極と発光層と前記表面電極とで発光デバイスを構成してあるので、発光層にて発光した光を前記表面電極を通して取り出すようにすれば、従来のように発光層にて発光した光を外部へ取り出す側の電極が金属薄膜により形成されているものに比べて、光出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記炭素薄膜は、グラファイト若しくはグラファイトライクカーボンよりなるので、前記炭素薄膜をアモルファスカーボンやダイヤモンドライクカーボンにより構成する場合に比べて、前記炭素薄膜の抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、前記炭素薄膜での発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることができる。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記炭素薄膜は、不純物のドーピングにより導電性が付与されてあるので、ドーピングしていない場合に比べて、前記炭素薄膜の抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、前記炭素薄膜での発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることができる。
【0018】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記炭素薄膜の膜厚は5nmを超えないように設定されているので、出力の低下を抑制することができる。なお、量子デバイスが電子源である場合にはエミッション電流の低下を抑制できて結果的に電子放出効率の低下を抑制することができ、量子デバイスが発光デバイスである場合には表面電極での光吸収による光出力の低下を抑制することができる。
【0019】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記炭素薄膜の膜厚は1nm以上に設定されているので、出力の経時変化を小さくすることができる。
【0020】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記炭素薄膜の成膜にあたっては、前記結晶層の形成後に真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない加熱温度で前記結晶層の加熱を行ってから250℃以上の成膜温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない成膜温度で成膜するので、前記炭素薄膜の成膜前に前記結晶層に吸着している水分を除去することができ、しかも前記炭素薄膜を成膜することにより前記結晶層へ水分が吸着することが防止されるから、出力特性および出力特性の安定性を向上させることができる。なお、量子デバイスが電子源である場合の出力特性としてはエミッション電流、電子放出効率などが挙げられ、量子デバイスが発光デバイスである場合の出力特性としては光出力、発光効率などが挙げられる。
【0021】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜を形成した後で熱処理を施すので、前記炭素薄膜の膜質を向上させることができ、耐熱性が向上する。
【0022】
請求項13の発明は、請求項2または請求項3記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜および前記金属薄膜を形成した後で熱処理を施すので、前記炭素薄膜の膜質を向上させることができ、耐熱性が向上する。
【0023】
請求項14の発明は、請求項12または請求項13の発明において、前記熱処理を380℃〜420℃の温度範囲内で施すので、出力特性の経時安定性が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態では、ナノ結晶シリコンを利用した量子デバイス(電子デバイス)として電界放射により電子を放出する電子源を例示する。
【0025】
本実施形態の電子源10は、図1(a)に示すように、絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)1の一表面側に電子源素子10aが形成されている。ここにおいて、電子源素子10aは、絶縁性基板1の上記一表面側に形成された下部電極2と、下部電極2上に形成された後述の複合ナノ結晶層6と、複合ナノ結晶層6上に形成された表面電極7とで構成されている。つまり、電子源素子10aは、表面電極7と下部電極2とが対向しており、表面電極7と下部電極2との間に複合ナノ結晶層6が挟まれている。ここに、下部電極2の厚さは300nm程度(例えば、330nm)の厚さに設定してあり、表面電極7の厚さは10nm程度に設定してある。なお、本実施形態では、複合ナノ結晶層6が下部電極2上に形成された結晶層を構成している。
【0026】
ところで、下部電極2は金属材料からなる単層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる単層)または多層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる多層)の金属薄膜により構成されている。
【0027】
また、複合ナノ結晶層6は、多結晶シリコン層に対して後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを行うことにより形成されており、図1(b)に示すように、多結晶シリコンの複数のグレイン51と、各グレイン51それぞれの表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、隣り合うグレイン51間に介在する多数のナノ結晶シリコン63と、各ナノ結晶シリコン63の表面に形成され当該ナノ結晶シリコン63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とを含んでおり、グレイン51、ナノ結晶シリコン63、各シリコン酸化膜52,64以外の領域はアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンよりなるアモルファス領域65により構成されていると考えられる。すなわち、複合ナノ結晶層6は、多結晶シリコンおよび多結晶シリコンの粒界付近に存在する多数のナノ結晶シリコン63が混在している。なお、各グレイン51は、絶縁性基板1の厚み方向に沿って延びている(つまり、各グレイン51は下部電極2の厚み方向に延びている)。また、本実施形態では、複数ナノ結晶層6が強電界ドリフト層を構成している。
【0028】
また、表面電極7は、複合ナノ結晶層6に積層された炭素薄膜7aと、炭素薄膜7aに積層された金属薄膜7bとで構成している。表面電極7は、電子放出効率の低下を抑制するなどの観点から、炭素薄膜7aの膜厚が5nmを超えないように1nm以上5nm以下の範囲で設定してあり、炭素薄膜7aと金属薄膜7bとを合わせた厚さが10nm程度となるように設定してある。ここに、炭素薄膜7aの膜厚は1nm以上3nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
ここにおいて、炭素薄膜7aは、下地となる複合ナノ結晶層6の主成分であるシリコンと同じ4族元素の炭素を構成元素とするものであるから、複合ナノ結晶層6との相性が良く、また、撥水性が高いという特徴を有している。しかも、炭素薄膜7aは、薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて複合ナノ結晶層6への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜7aは、複合ナノ結晶層6との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有する。
【0030】
炭素薄膜7aは、アモルファスカーボン、グラファイト、グラファイトライクカーボン、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどをはじめ、各種形態の炭素薄膜を採用可能であるが、グラファイト若しくはグラファイトライクカーボンを採用すればアモルファスカーボンやダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどを採用する場合に比べて炭素薄膜7aの抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、炭素薄膜7aでの発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることが可能になる。また、不純物のドーピングにより炭素薄膜7aに導電性を付与しておけば、ドーピングしていない場合に比べて炭素薄膜7aの抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、炭素薄膜7aでの発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることが可能になる。
【0031】
また、金属薄膜7bには、導電率が比較的高く且つ仕事関数が比較的小さく、耐酸化性に優れ化学的に安定な金属材料を採用することが好ましく、例えば、金、白金、銀、銅、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、イリジウム、ニオブ、クロム、アルミニウムから選択される金属材料あるいは上記金属材料の炭化物あるいは上記金属材料の窒化物などを採用すれば、炭素薄膜7aとの密着性を高めることができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに、電子源10の長寿命化を図ることができる。なお、金属薄膜7bの金属材料としては、タングステンなどを採用してもよい。
【0032】
図1(a)に示す構成の電子源素子10aから電子を放出させるには、例えば、図2に示すように、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極9を設け、表面電極7とコレクタ電極9との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極2に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極2との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極9が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極9と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極2から注入された電子が複合ナノ結晶層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図2中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。なお、複合ナノ結晶層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。つまり、複合ナノ結晶層6では、下部電極2に対して表面電極7を高電位側としたときに作用する電界により下部電極2から表面電極7へ向かう向きへ電子が加速されてドリフトする量子効果が発現することになる。
【0033】
電子源素子10aでは、表面電極7と下部電極2との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極9と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図2参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなるが、表面電極7と下部電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができ、電子放出特性の真空度依存性が小さくポッピング現象が発生せず安定して電子を放出することができる。
【0034】
上述の電子源素子10aでは、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。電子源素子10aから電子を放出させるには、例えば、表面電極7と下部電極2との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極9と表面電極7との間にコレクタ電極9を高電位側として直流電圧Vcを印加する。ここで、電子eは下部電極2から複合ナノ結晶層6に熱的に励起されて注入される。一方、複合ナノ結晶層6に直流電圧Vpsを印加すると、大部分の電界はシリコン酸化膜64にかかる。このため、複合ナノ結晶層6に注入された電子eはシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、複合ナノ結晶層6内でグレイン51の間の領域を表面電極7に向かって図1(b)中の矢印の向き(図1(b)における上向き)にドリフトする。ここで、直流電圧Vpsが所定値(例えば、表面電極7の電位が仕事関数以上となる電圧)以上であれば、表面電極7に到達した電子eが表面電極7をトンネルし真空中に放出される。ここで、複合ナノ結晶層6中の各ナノ結晶シリコン63はボーア半径程度の大きさであり、電子eはナノ結晶シリコン63で散乱されることなくトンネルする。このため、ナノ結晶シリコン63表面の薄いシリコン酸化膜64にかかっている強電界で加速された電子eは、複合ナノ結晶層6中をほとんど散乱されることなくドリフトし、表面電極7を通して真空中に放出される。また、強電界ドリフト層6で発生した熱はグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。以上説明した動作原理の電子源素子は、弾道電子面放出型電子源(Ballistic electron Surface-emitting Device)と呼ばれている。
【0035】
しかして、本実施形態の電子源10では、表面電極7が下地となる複合ナノ結晶層6との相性が良く且つ撥水性の高い炭素薄膜7aを介して金属薄膜7bを形成してあり、しかも、炭素薄膜7aは薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて複合ナノ結晶層6への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜7aは複合ナノ結晶層6との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有するので、表面電極7が複合ナノ結晶層6から剥離したり、表面電極7の構成材料の凝集が起こったり、表面電極7が酸化したりするような不具合の発生を抑制することができ、従来のように表面電極が金属薄膜のみにより形成されているものに比べて、電子放出効率の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができる。
【0036】
以下、上述の電子源10の製造方法について図3を参照しながら説明する。
【0037】
まず、絶縁性基板1の一表面側に第1の金属層と第2の金属層との積層膜からなる所定膜厚(例えば、チタンからなる第1の金属層の膜厚を80nm、タングステンからなる第2の金属層の膜厚を250nmとすれば、330nm)の下部電極2を形成し、続いて、下部電極2上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層3を形成することにより、図3(a)に示すような構造が得られる。なお、下部電極2の形成方法としては、例えば、スパッタ法や蒸着法などを採用すればよい。また、ノンドープの多結晶シリコン層3の形成方法としては、例えば、CVD法(LPCVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法、アモルファスシリコンを堆積させた後にレーザアニールする方法などを採用すればよい。
【0038】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、上述のナノ結晶化プロセスを行うことにより、多結晶シリコンのグレイン51とナノ結晶シリコン63とアモルファスシリコンとが混在する複合ナノ結晶層4が形成され、図3(b)に示すような構造が得られる。ここにおいて、ナノ結晶化プロセスでは、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に電圧を印加して、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の電流を流すことによって複合ナノ結晶層4が形成される。
【0039】
上述のナノ結晶化プロセスの終了した後に、酸化プロセスを行うことによって上述の図1(b)のような構成の複合ナノ結晶層6が形成され、図3(c)に示すような構造が得られる。酸化プロセスでは、電解質溶液(例えば、1mol/lのHSO、1mol/lのHNO、王水など)の入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に所定の電圧を印加し複合ナノ結晶層4を電気化学的に酸化することによって上述のグレイン51、ナノ結晶シリコン63、各シリコン酸化膜52,64を含む複合ナノ結晶層6を形成している。なお、酸化プロセスは、電気化学的な酸化方法に限らず、例えば、急速加熱法により急速熱酸化する方法を採用してもよい。
【0040】
複合ナノ結晶層6を形成した後は、炭素薄膜7a、金属薄膜7bを順次形成することで炭素薄膜7aと金属薄膜7bとの積層膜からなる表面電極7が複合ナノ結晶層6上に形成されることになり、図3(d)に示す構造の電子源10が得られる。ここに、炭素薄膜7aの形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、熱CVD法、PECVD法などをはじめ種々の薄膜形成方法が採用可能であるが、膜厚均一性、被覆性に優れた薄膜形成方法を採用することは勿論である。また、金属薄膜7bの形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法など種々の薄膜形成方法が採用可能である。なお、炭素薄膜7aは、複合ナノ結晶層6の形成後に250℃以上の成膜温度であって且つ複合ナノ結晶層6および下部電極12および絶縁性基板1へ悪影響を与えない成膜温度で成膜することが好ましく、例えば絶縁性基板1としてガラス基板を採用している場合にはガラス基板へ悪影響を与えないようにガラス基板の耐熱温度以下の成膜温度で成膜することが好ましく、また、複合ナノ結晶層6のナノ結晶シリコン63が酸化されないような成膜温度で成膜することが好ましく、このような成膜温度で成膜することにより、電子放出特性および電子放出特性の安定性を向上させることができる。ここに、炭素薄膜7aをスパッタ法で成膜する場合には成膜温度を例えば300℃〜400℃の範囲で設定すればよい。
【0041】
以上説明した製造方法によれば、電子放出特性の低下を抑制しながらも長寿命化を図った電子源10を高歩留まりで製造することができる。
【0042】
ところで、本実施形態では、複合ナノ結晶層6が多結晶シリコンのグレイン51およびナノ結晶シリコン63以外にシリコン酸化膜52,64を含んでいるが、シリコン酸化膜52,64の代わりにシリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜を含むようにしてもよい。なお、この場合には、上述の酸化プロセスの代わりに、窒化プロセスや酸窒化プロセスを採用すればよい。
【0043】
なお、本実施形態の電子源10をディスプレイの電子源として利用する場合には、下部電極2、表面電極7、複合ナノ結晶層6などを適宜にパターニングして多数の電子源素子10aを絶縁性基板1の上記一表面側にマトリクス状に配列すればよい。また、上記実施形態では、表面電極7を炭素薄膜7aと金属薄膜7bとの積層膜により構成してあるが、表面電極7を炭素薄膜7aのみにより構成するようにしてもよく、このように表面電極7を炭素薄膜7aのみにより構成する場合には、表面電極7の抵抗を小さくするために炭素薄膜7aの膜厚を3nm以上に設定することが望ましい。また、金属薄膜7bについては、単層構造に限らず多層構造としてもよい。
【0044】
(実施例1)
上記実施形態1にて説明した電子源10の製造方法に基づいて電子源10を作成してダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの経時特性を測定した結果を図4に示す。
【0045】
ただし、本実施例では、絶縁性基板1としてはガラス基板を採用し、下部電極2としては80nmのチタン層と250nmのタングステン層との積層膜をスパッタ法により形成した。
【0046】
また、ノンドープの多結晶シリコン層3(図3(a)参照)の厚さは1.5μmとしプラズマCVD法により形成した。また、ナノ結晶化プロセスでは、電解液として、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した電解液を用い、電解液を0℃に冷却した状態で光源としての500Wのタングステンランプから多結晶シリコン層3の主表面に光照射を行いながら、陽極たる下部電極12と白金電極からなる陰極との間に電源から25mA/cmの定電流を8秒だけ流した。また、酸化プロセスでは、電気化学的な酸化方法を採用し、1mol/lのHSOの入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に27Vの電圧を30秒だけ印加した。
【0047】
また、表面電極7としては2nmの炭素薄膜7aと10nmの金薄膜よりなる金属薄膜7bとの積層膜をスパッタ法により形成した。
【0048】
本実施例の電子源10のダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの測定は、真空チャンバ(図示せず)内に電子源10を導入して、上述の図2のように、表面電極7に対向してコレクタ電極9を配置し、表面電極7を下部電極2に対して高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極9を表面電極7に対して高電位側として直流電圧Vcを印加することによって行った。図4は真空チャンバ内の真空度を1×10−3Pa、上述の直流電圧Vpsを19Vとしたときの電子放出特性の測定結果を示したものであって、横軸が経過時間、縦軸が電流密度であり、「イ」がダイオード電流Ipsの電流密度の経時特性、「ロ」がエミッション電流Ieの電流密度の経時特性を示している。
【0049】
図4から、本実施例の電子源10では、ダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieについて良好な経時特性が得られていることが分かる。
【0050】
また、図5には本実施例の電子源10と比較例1の電子源との経時特性を合わせて示してある。ここに、図5では、横軸が経過時間、左側の縦軸がダイオード電流Ipsの電流密度、右側の縦軸がエミッション電流Ieの電流密度であり、「イ」が本実施例の電子源10のダイオード電流Ipsの電流密度の経時特性、「ロ」が本実施例の電子源10のエミッション電流Ieの電流密度の経時特性を示し、「ハ」が比較例1の電子源のダイオード電流Ipsの電流密度の経時特性、「ニ」が比較例1のエミッション電流Ieの電流密度の経時特性を示している。ただし、図5の測定に用いた本実施例の電子源10では、上述の酸化プロセスでの印加電圧を32Vとしている点のみ図4の測定に用いたものと相違し、比較例1の電子源は表面電極が10nmの金薄膜のみにより構成されている点が相違する。
【0051】
図5から、表面電極7として炭素薄膜7aと金属薄膜7bとの積層膜を採用した本実施例の電子源10では、表面電極を金属薄膜のみにより構成した比較例1に比べてエミッション電流Ieの経時特性が改善されていることが分かる。すなわち、本実施例の電子源10では、エミッション電流Ieおよび電子放出効率の経時安定性が比較例1に比べて向上することが分かる。
【0052】
(実施例2)
図6には、上述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスの条件を実施例1とは異ならせて作成した本実施例の電子源10のダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの経時特性を示してある。図6の結果が得られた本実施例の電子源10は、上述のナノ結晶化プロセスにおいて2.5mA/cmの電流を2秒間流す低電流期間と25mA/cmの電流を4秒流す高電流期間とを1サイクルとして3サイクル繰り返した点、および、酸化プロセスとして急速熱酸化を行った点が相違するが、図4の結果が得られた実施例1の電子源10と同様に、良好な経時安定性が得られていることが分かる。
【0053】
(実施例3)
上記実施形態1にて説明した電子源10の製造方法に基づいて電子源10を作成してダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの経時特性を測定した結果を図7に示す。なお、本実施例の電子源10の基本構成および製造方法は実施例1と略同じであって、炭素薄膜7aの膜厚を1nmに設定している点が相違するだけである。また、比較例2として炭素薄膜7aの膜厚を0.5nmに設定して作成した電子源についてダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの経時特性を測定した結果を図8に示す。
【0054】
ここに、図7および図8では、横軸が経過時間、左側の縦軸が電流密度、右側の縦軸が電子放出効率であり、「イ」がダイオード電流Ipsの電流密度の経時特性、「ロ」がエミッション電流Ieの電流密度の経時特性を示し、「ハ」が電子放出効率の経時特性を示している。
【0055】
図7および図8から、表面電極7における炭素薄膜7aの膜厚を1nmに設定した本実施例の電子源10では、表面電極7における炭素薄膜7aの膜厚を0.5nmに設定した比較例2に比べてエミッション電流Ieの経時特性が改善されていることが分かる。すなわち、本実施例の電子源10では、エミッション電流Ieおよび電子放出効率の経時安定性が比較例2に比べて向上していることが分かる。
【0056】
なお、炭素薄膜7aの膜厚を1nmに設定した本実施例の電子源10に比べて炭素薄膜7aの膜厚を0.5nmに設定した比較例2のエミッション電流Ieの経時変化が大きい理由としては、炭素薄膜7aの膜厚を0.5nmとした場合には炭素薄膜7aの成膜時に結晶核が島状に成長して平坦な膜を形成することができなかったり膜厚が薄過ぎることによって、結晶層たる複合ナノ結晶層6へ酸素や水分などの不純物が侵入して複合ナノ結晶層6が劣化してしまうことが考えられる。
【0057】
(実施形態2)
本実施形態の量子デバイスは、実施形態1と同様の電子源10であって、表面電極7における炭素薄膜7aをスパッタ法により形成するにあたって、結晶層たる複合ナノ結晶層6の形成後にスパッタ装置の真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ複合ナノ結晶層6および下部電極12および絶縁性基板1へ悪影響を与えない加熱温度で複合ナノ結晶層6の加熱を行ってから、連続して、同一チャンバ内で250℃以上の成膜温度であって且つ複合ナノ結晶層6および下部電極12および絶縁性基板1へ悪影響を与えない成膜温度(例えば、250℃〜600℃)で炭素薄膜7aが成膜されている点が相違する。
【0058】
ここにおいて、複合ナノ結晶6を形成して大気に曝した後で昇温脱離ガス分析法(TDS法)による分析を行った結果を図9に示す。図9の横軸は温度、縦軸はイオン電流であって、図9にはHOの脱離スペクトルを示してある。
【0059】
図9から、複合ナノ結晶層6には250℃以下の温度で脱離する水分が比較的多く吸着していることが分かる。
【0060】
しかして、上述のように、複合ナノ結晶層6の形成後にスパッタ装置の真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ複合ナノ結晶層6および下部電極12および絶縁性基板1へ悪影響を与えない加熱温度で複合ナノ結晶層6の加熱を行うことにより、炭素薄膜7aの成膜前に複合ナノ結晶層6に吸着している水分を除去することができ、その後、大気に曝すことなく連続して、炭素薄膜7aを同一チャンバ内で250℃以上の成膜温度であって且つ複合ナノ結晶層6および下部電極12および絶縁性基板1へ悪影響を与えない成膜温度で成膜することにより、複合ナノ結晶層6の表面が炭素薄膜7aによりキャップされて複合ナノ結晶層6へ水分が吸着することが防止されるから、エミッション電流、電子放出効率など出力特性および出力特性の安定性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、表面電極7が、炭素薄膜7aを形成した後で結晶層たる複合ナノ結晶層6に電界を印加する前に熱処理が施されている点が相違する。ここにおいて、熱処理は、炭素薄膜7aを形成して金属薄膜7bを形成する前に行ってもよいし、炭素薄膜7aおよび金属薄膜7bを形成した後に行うようにしてもよい。ここにおいて、上記熱処理の温度としては、380℃〜400℃の温度範囲内に設定することが望ましい。なお、本実施形態においても表面電極7を炭素薄膜7aのみにより構成してもよいことは勿論である。
【0062】
本実施形態の電子源10では、上述の熱処理を施してあることにより、実施形態1の電子源10に比べて炭素薄膜7aの膜質を向上させることができ、耐熱性が向上する。
【0063】
(実施例4)
上記実施形態2にて説明した電子源10の製造方法に基づいて電子源10を作成して電子放出特性を測定した結果を図10に示す。ここに、本実施例の電子源10の基本構成および製造方法は実施例2と略同じであって、炭素薄膜7aの形成にあたってスパッタ装置の真空チャンバ内の真空度を1×10−5Pa以下としてから基板温度を250℃に昇温して複合ナノ結晶層6の水分を脱離させた後で膜厚が1nmの炭素薄膜7aを250℃で成膜し、真空度を維持したまま室温に戻し、炭素薄膜7a上に膜厚が2nmのクロム薄膜と膜厚が8nmの金薄膜との積層膜からなる金属薄膜7bを成膜している点と、表面電極7の形成後であって電界を印加する前にN雰囲気で400℃、1時間の熱処理を行っている点が相違する。また、比較例3として表面電極7形成後の熱処理を行っていない電子源についてダイオード電流Ipsおよびエミッション電流Ieの経時特性を測定した結果を図11に示す。なお、本実施例では、炭素薄膜7aの形成にあたってスパッタ装置の真空チャンバ内の真空度を1×10−5Pa以下としてから基板温度を250℃に昇温して複合ナノ結晶層6の水分を脱離させる際に真空度が一旦低下するが、大部分の水分が脱離すると昇温前の真空度まで回復するので、真空度が昇温前の真空度に回復した後に炭素薄膜7aの成膜を行っている。要するに、真空チャンバ内の真空度を監視することで炭素薄膜7aの成膜開始時期を判断することができる。
【0064】
図10(a),(b)および図11(a),(b)では、横軸が駆動電圧(上記直流電圧Vps)、縦軸が電流密度であり、各グラフの上側の3種類のマークで区別した特性はダイオード電流Ipsの電流密度Jps、各グラフの下側の3種類のマークで区別した特性はエミッション電流Ieの電流密度Jeを示しており、同じグラフ中において同じマークが同一のサンプル(電子源)の特性を示している。また、図10(a)および図11(a)はN雰囲気で400℃、1時間の加熱試験を行う前の電子放出特性を示し、図10(b)および図11(b)は加熱試験後の電子放出特性を示している。
【0065】
図10および図11から、表面電極7の形成後に上記熱処理を施した本実施例の電子源10では、上記熱処理を施していない比較例3に比べて加熱試験前後での電子放出特性の変化が少ないことが分かる。すなわち、本実施例の電子源10では、比較例3に比べて耐熱性が向上していることが分かる。ここにおいて、比較例3の電子源の電子放出特性が加熱試験によって劣化した原因としては、熱処理を行わずに電界を印加した場合、炭素薄膜7aの膜質が不安定な状態で量子(ここでは、電子)が炭素薄膜7aを通過するため、炭素薄膜7aの劣化が起こったものと考えられる。
【0066】
なお、本実施例の電子源10を表示装置や発光装置などの電子源として利用する場合には、本実施例の電子源10の製造後に容器内に配置してフリットガラスなどにより容器を真空封止する封止工程を行う必要があるが、この封止工程はフリットガラスを溶融させるために400℃程度の行われるので、400℃での耐熱性は実用上重要な特性である。
【0067】
(実施形態3)
本実施形態では、ナノ結晶シリコンを利用した量子デバイス(電子デバイス)として電界励起により量子効果が発現して発光する発光デバイスを例示する。
【0068】
本実施形態の発光デバイス20は、図12(a)に示すように、n形のシリコン基板21の裏面にオーミック電極22が形成され、シリコン基板21の表面上に多数のナノ結晶シリコン63(図12(b)参照)を具備した後述の発光層26が形成され、発光層26上に上部電極27が形成されている。本実施形態では、シリコン基板21とオーミック電極22とで下部電極25を構成しており、下部電極25と上部電極27との間に発光層26が挟まれている(つまり、発光層26の厚み方向の一方に下部電極25が形成され他方に上部電極27が形成されており、下部電極25と上部電極27とが一対の電極を構成している)。ここに、本実施形態の発光デバイス20は、発光層26にて発光した光を上部電極27を通して外部へ出力するものであり、上部電極27の厚さは10nm程度に設定してある。
【0069】
上述の発光層26は、シリコン層である多結晶シリコン層に対して後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを行うことにより形成されており、図12(b)に示すように、多結晶シリコンの複数のグレイン51と、各グレイン51それぞれの表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、隣り合うグレイン51間に介在する多数のナノ結晶シリコン63と、各ナノ結晶シリコン63の表面に形成され当該ナノ結晶シリコン63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とを含んでおり、グレイン51、ナノ結晶シリコン63、各シリコン酸化膜52,64以外の領域はアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンにより構成されていると考えられる。すなわち、発光層26は、多結晶シリコンおよび多結晶シリコンの粒界付近に存在する多数のナノ結晶シリコン63が混在している。なお、各グレイン51は、シリコン基板21の厚み方向に沿って延びている(つまり、各グレイン51は下部電極25の厚み方向に延びている)。
【0070】
また、上部電極27は、発光層26に積層された炭素薄膜27aと、炭素薄膜27aに積層された金属薄膜27bとで構成している。ところで、上部電極27は、発光層26にて発光した光の吸収を抑制して光出力の低下を防止するという観点から、炭素薄膜27aの膜厚が5nmを超えないように1nm以上5nm以下の範囲で設定してあり、炭素薄膜27aと金属薄膜27bとを合わせた厚さが10nm程度となるように設定してある。ここに、炭素薄膜27aの膜厚は1nm以上3nm以下の範囲とすることがより好ましい。なお、本実施形態では、発光層26が下部電極25上に形成された結晶層を構成し、上部電極27が結晶層上の表面電極を構成している。
【0071】
ここにおいて、炭素薄膜27aは、下地となる発光層26の主成分であるシリコンと同じ4族元素の炭素を構成元素とするものであるから、発光層26との相性が良く、また、撥水性が高いという特徴を有している。しかも、炭素薄膜27aは、薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて発光層26への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜27aは、発光層26との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有する。
【0072】
炭素薄膜27aは、アモルファスカーボン、グラファイト、グラファイトライクカーボン、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどをはじめ、各種形態の炭素薄膜を採用可能であるが、グラファイト若しくはグラファイトライクカーボンを採用すればアモルファスカーボンやダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどを採用する場合に比べて炭素薄膜27aの抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、炭素薄膜27aでの発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることが可能になる。また、不純物のドーピングにより炭素薄膜27aに導電性を付与しておけば、ドーピングしていない場合に比べて炭素薄膜27aの抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、炭素薄膜7aでの発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることが可能になる。
【0073】
また、金属薄膜27bには、導電率が比較的高く、耐酸化性に優れ化学的に安定な金属材料を採用することが好ましく、例えば、金、白金、銀、銅、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、イリジウム、ニオブ、クロム、アルミニウムから選択される金属材料あるいは上記金属材料の炭化物あるいは上記金属材料の窒化物などを採用すれば、炭素薄膜27aとの密着性を高めることができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに、発光デバイス20の長寿命化を図ることができる。なお、金属薄膜27bの金属材料としては、タングステンなどを採用してもよい。
【0074】
図12(a)に示す構成の発光デバイス20から光を放出させるには、上部電極27と下部電極25との間に電圧を印加すればよく、上部電極27と下部電極25との間に電圧を印加することによって発光層26に電界が作用して発光層26が発光する量子効果が発現し、発光層26にて発光した光が上部電極27を透過して外部へ放出される。
【0075】
しかして、本実施形態の発光デバイス20では、上部電極27が下地となる発光層26との相性が良く且つ撥水性の高い炭素薄膜27aを介して金属薄膜27bを形成してあり、しかも、炭素薄膜27aは薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて発光層26への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜27aは発光層26との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有するので、上部電極27が発光層26から剥離したり、上部電極27の構成材料の凝集が起こったり、上部電極27が酸化したりするような不具合の発生を抑制することができ、従来のように上部電極27が金属薄膜のみにより形成されているものに比べて、光出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができる。
【0076】
以下、上述の発光デバイス20の製造方法について図13を参照しながら説明する。
【0077】
まず、シリコン基板21の裏面にオーミック電極2を形成した後、シリコン基板21の主表面上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層23を形成することにより、図13(a)に示すような構造が得られる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層23の形成方法としては、例えば、CVD法(LPCVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法、アモルファスシリコンを堆積させた後にレーザアニールする方法などを採用すればよい。
【0078】
ノンドープの多結晶シリコン層23を形成した後、上述のナノ結晶化プロセスを行うことにより、多結晶シリコンとナノ結晶シリコンとアモルファスシリコンとが混在するナノ結晶層24が形成され、図13(b)に示すような構造が得られる。ここにおいて、ナノ結晶化プロセスでは、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極25との間に電圧を印加して、多結晶シリコン層23に光照射を行いながら電流を流すことによってナノ結晶層24が形成される。
【0079】
上述のナノ結晶化プロセスの終了した後に、酸化プロセスを行うことによって上述の図12(b)のような構成の発光層26が形成され、図13(c)に示すような構造が得られる。酸化プロセスでは、電解質溶液(例えば、1mol/lのHSO、1mol/lのHNO、王水など)の入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極25との間に所定の電圧を印加しナノ結晶層24を電気化学的に酸化することによって上述のグレイン51、ナノ結晶シリコン63、各シリコン酸化膜52,64を含む発光層26を形成している。なお、酸化プロセスは、電気化学的な酸化方法に限らず、例えば、急速加熱法により急速熱酸化する方法を採用してもよい。
【0080】
発光層26を形成した後は、炭素薄膜27a、金属薄膜27bを順次形成することで炭素薄膜27aと金属薄膜27bとの積層膜からなる上部電極27が発光層26上に形成されることになり、図13(d)に示す構造の発光デバイス20が得られる。ここに、炭素薄膜27aの形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、熱CVD法、PECVD法などをはじめ種々の薄膜形成方法が採用可能であるが、膜厚均一性、被覆性に優れた薄膜形成方法を採用することは勿論である。また、金属薄膜27bの形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法など種々の薄膜形成方法が採用可能である。なお、炭素薄膜27aは、結晶層たる発光層26の形成後に250℃以上の成膜温度であって且つ発光層26および下部電極25へ悪影響を与えない成膜温度で成膜することが好ましく、発光層26のナノ結晶シリコン63が酸化されないような成膜温度で成膜することが好ましく、このような成膜温度で成膜することにより、光出力特性および光出力特性の安定性を向上させることができる。ここに、炭素薄膜27aをスパッタ法で成膜する場合には成膜温度を例えば300℃〜400℃の範囲で設定すればよい。
【0081】
以上説明した製造方法によれば、光出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図った発光デバイス20を高歩留まりで製造することができる。
【0082】
ところで、本実施形態では、発光層26が多結晶シリコンのグレイン51およびナノ結晶シリコン63以外にシリコン酸化膜52,64を含んでいるが、シリコン酸化膜52,64の代わりにシリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜を含むようにしてもよく、これらの場合には、上述の酸化プロセスの代わりに、窒化プロセスや酸窒化プロセスを採用すればよい。また、本実施形態では、発光層26が多結晶シリコンのグレイン51およびグレイン51の表面に形成されたシリコン酸化膜52を含んでいるが、グレイン51およびグレイン51表面のシリコン酸化膜52は必ずしも設ける必要はない。
【0083】
なお、上記実施形態では、上部電極27を炭素薄膜27aと金属薄膜27bとの積層膜により構成してあるが、上部電極27を炭素薄膜27aのみにより構成するようにしてもよく、このように上部電極27を炭素薄膜27aのみにより構成する場合には、上部電極27の抵抗を小さくするために炭素薄膜27aの膜厚を3nm以上に設定することが望ましい。
【0084】
また、本実施形態では、シリコン基板21とオーミック電極22とで下部電極25を構成しているが、絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)上に形成した金属材料からなる単層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる単層)または多層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる多層)の金属薄膜により下部電極25を構成するようにしてもよい。
【0085】
また、発光層26は、少なくともナノ結晶シリコン63を含んでいればよく、必ずしもグレイン51を含んでいる必要はなく、このような場合には、シリコン基板21の主表面上に多結晶シリコン層23を形成することなくシリコン基板21の主表面側の一部に対してナノ結晶化プロセス、酸化プロセスを施すようにしてもよい。また、シリコン酸化膜52,64についても必ずしも必要とせず、この場合には酸化プロセスを省略したり、シリコン酸化膜52,64を形成した後に当該シリコン酸化膜52,64を除去するようにすればよい。なお、本実施形態では、n形のシリコン基板21上にノンドープの多結晶シリコン層23を形成しているが、多結晶シリコン層23の導電形をn形としてもよく、また、シリコン基板21の導電形をp形として多結晶シリコン層23の導電形をp形としてもよい。
【0086】
(実施例5)
上記実施形態3にて説明した発光デバイス20の製造方法に基づいて発光デバイス20を作成して両電極27,25間への電圧印加時の電圧電流特性およびエレクトロルミネセンス強度(EL強度)を測定した結果を図14に示す。
【0087】
ただし、本実施例では、シリコン基板21としては導電形がn形で、抵抗率が0.1Ωcmの(100)基板を用いている。
【0088】
また、ノンドープの多結晶シリコン層23(図13(a)参照)の厚さは1.5μmとしプラズマCVD法により形成した。また、ナノ結晶化プロセスでは、電解液として、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した電解液を用い、電解液を0℃に冷却した状態で光源としての500Wのタングステンランプから多結晶シリコン層23の主表面に光照射を行いながら、陽極たる下部電極12と白金電極からなる陰極との間に電源から25mA/cmの定電流を8秒だけ流した。また、酸化プロセスでは、電気化学的な酸化方法を採用し、1mol/lのHSOの入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に27Vの電圧を30秒だけ印加した。
【0089】
また、上部電極27としては2nmの炭素薄膜27aと10nmの金薄膜よりなる金属薄膜27bとの積層膜をスパッタ法により形成した。
【0090】
本実施例の発光デバイス20の特性を示した図14では、横軸が上部電極27と下部電極25との間に印加する電圧、左側の縦軸が上部電極27と下部電極25との間に流れる電流の電流密度、右側の縦軸がエレクトロルミネセンス強度であり、「イ」が両電極27,25間に流れる電流の電流密度の印加電圧依存性、「ロ」がエレクトロルミネセンス強度の印加電圧依存性を示している。
【0091】
図14から、本実施例の発光デバイス20では、上部電極27と下部電極25との間の印加電圧の極性にかかわらず光出力が得られていることが分かる。
【0092】
また、図15には本実施例の発光デバイス20における両電極27,25間に流れる電流の電流密度およびエレクトロルミネセンス強度の経時特性を示してある。ここに、図15では、横軸が経過時間、左側の縦軸が上部電極27と下部電極25との間に流れる電流の電流密度、右側の縦軸がエレクトロルミネセンス強度であり、「イ」が上部電極27と下部電極25との間に流れる電流の電流密度の経時特性、「ロ」がエレクトロルミネセンス強度の経時特性を示しており、良好な経時特性が得られていることが分かる。なお、図15には図示していないが、上部電極27を金属薄膜のみにより構成したものに比べて電流密度、エレクトロルミネセンス強度のいずれの経時特性も改善されている。
【0093】
なお、上記実施形態3の発光デバイス20においても、上記実施形態2と同様に、表面電極たる上部電極27における炭素薄膜27aをスパッタ法により形成するにあたって、結晶層たる発光層26の形成後にスパッタ装置の真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ発光層26および下部電極25およびシリコン基板21へ悪影響を与えない加熱温度で発光層26の加熱を行ってから、連続して、同一チャンバ内で250℃以上の成膜温度であって且つ発光層26および下部電極25およびシリコン基板21へ悪影響を与えない成膜温度(例えば、250℃〜600℃)で炭素薄膜27aを成膜するようにしてもよい。このようなプロセスを採用することにより、炭素薄膜27aの成膜前に発光層26に吸着している水分を除去することができ、その後、大気に曝すことなく連続して、炭素薄膜27aを同一チャンバ内で250℃以上の成膜温度であって且つ発光層26および下部電極25およびシリコン基板21へ悪影響を与えない成膜温度で成膜することにより、発光層26の表面が炭素薄膜27aによりキャップされて発光層26へ水分が吸着することが防止されるから、光出力特性および光出力特性の安定性を向上させることができる。
【0094】
さらに、実施形態3の発光デバイス20において、実施形態2と同様に、表面電極たる上部電極27が、炭素薄膜27aを形成した後で結晶層たる発光層26に電界を印加する前に熱処理が施されているようにしてもよい。ここにおいて、熱処理は、炭素薄膜27aを形成して金属薄膜27bを形成する前に行ってもよいし、炭素薄膜27aおよび金属薄膜27bを形成した後に行うようにしてもよい。このようなプロセスを採用することにより、実施形態3の発光デバイス20に比べて炭素薄膜27aの膜質を向上させることができ、耐熱性が向上する。
【0095】
【発明の効果】
請求項1の発明は、下部電極と、下部電極上に形成され多数のナノ結晶シリコンを具備し電界励起によって量子効果を発現する結晶層と、少なくとも結晶層上で結晶層に接するように形成された炭素薄膜からなる表面電極とを備えてなるものであり、表面電極が下地となる結晶層との相性が良く且つ撥水性の高い炭素薄膜を有しており、しかも、炭素薄膜は薄膜化を図りながらも良好な被覆性を得ることができて結晶層への酸素や水分などの不純物の侵入を防ぐことができ、さらに、炭素薄膜は結晶層との密着性に優れ、耐熱性および耐酸化性にも優れるという性質を有するので、従来のように表面電極が金属薄膜のみにより形成されているものに比べて、出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0096】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記表面電極は、前記炭素薄膜と、前記炭素薄膜上に形成された金属薄膜とからなるので、前記表面電極を前記炭素薄膜のみにより構成する場合に比べて前記表面電極の低抵抗化を図ることができるという効果がある。
【0097】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記金属薄膜は、金、白金、銀、銅、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、イリジウム、ニオブ、クロム、アルミニウムから選択される金属材料あるいは前記金属材料の炭化物あるいは前記金属材料の窒化物により形成されているので、前記金属薄膜と前記炭素薄膜との密着性を高めることができ、製造時の歩留まりの向上を図れるとともに、より一層の長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0098】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記結晶層が電界励起により前記下部電極から注入された電子を前記表面電極へ向かって加速する強電界ドリフト層であり、前記下部電極と強電界ドリフト層と前記表面電極とで電子源素子を構成してあるので、従来のように表面電極が金属薄膜により形成されているものに比べて、電子放出効率の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0099】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記強電界ドリフト層は、多結晶シリコンおよび多結晶シリコンの粒界付近に存在する前記多数のナノ結晶シリコンおよび各ナノ結晶シリコンそれぞれの表面に形成されナノ結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜が混在する複合ナノ結晶層であるので、強電界ドリフト層で発生した熱を多結晶シリコンのグレインを通して放熱することができ、電子放出特性が安定するという効果がある。
【0100】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記結晶層が電界励起により発光する発光層であり、前記下部電極と発光層と前記表面電極とで発光デバイスを構成してあるので、発光層にて発光した光を前記表面電極を通して取り出すようにすれば、従来のように発光層にて発光した光を外部へ取り出す側の電極が金属薄膜により形成されているものに比べて、光出力の低下を抑制しながらも長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0101】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記炭素薄膜は、グラファイト若しくはグラファイトライクカーボンよりなるので、前記炭素薄膜をアモルファスカーボンやダイヤモンドライクカーボンにより構成する場合に比べて、前記炭素薄膜の抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、前記炭素薄膜での発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることができるという効果がある。
【0102】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記炭素薄膜は、不純物のドーピングにより導電性が付与されてあるので、ドーピングしていない場合に比べて、前記炭素薄膜の抵抗を小さくすることができ、駆動電圧の低電圧化、低消費電力化、前記炭素薄膜での発熱や電圧降下による影響の低減などを図ることができるという効果がある。
【0103】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記炭素薄膜の膜厚は5nmを超えないように設定されているので、出力の低下を抑制することができるという効果がある。
【0104】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記炭素薄膜の膜厚は1nm以上に設定されているので、出力の経時変化を小さくすることができるという効果がある。
【0105】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記炭素薄膜の成膜にあたっては、前記結晶層の形成後に真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない加熱温度で前記結晶層の加熱を行ってから250℃以上の成膜温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない成膜温度で成膜するので、前記炭素薄膜の成膜前に前記結晶層に吸着している水分を除去することができ、しかも前記炭素薄膜を成膜することにより前記結晶層へ水分が吸着することが防止されるから、出力特性および出力特性の安定性を向上させることができるという効果がある。
【0106】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜を形成した後で熱処理を施すので、前記炭素薄膜の膜質を向上させることができ、耐熱性が向上するという効果がある。
【0107】
請求項13の発明は、請求項2または請求項3記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜および前記金属薄膜を形成した後で熱処理を施すので、前記炭素薄膜の膜質を向上させることができ、耐熱性が向上するという効果がある。
【0108】
請求項14の発明は、請求項12または請求項13の発明において、前記熱処理を380℃〜420℃の温度範囲内で施すので、量子デバイスの製造後に例えば容器内に配置してフリットガラスなどにより容器を真空封止する際の加熱温度(例えば、400℃)に起因して特性が劣化するのを防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、(a)は電子源の概略断面図、(b)は(a)の要部説明図である。
【図2】同上の電子源の動作説明図である。
【図3】同上の電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図4】実施例1の電子源の特性図である。
【図5】実施例1の電子源と比較例1の電子源との特性比較図である。
【図6】実施例2の電子源の特性図である。
【図7】実施例3の電子源の特性図である。
【図8】比較例2の電子源の特性図である。
【図9】実施形態2における製造方法により形成した複合ナノ結晶層の昇温脱離ガス分析法による脱離スペクトル図である。
【図10】実施例4の電子源の特性図である。
【図11】比較例3の電子源の特性図である。
【図12】実施形態3を示し、(a)は発光デバイスの概略断面図、(b)は(a)の要部説明図である。
【図13】同上の発光デバイスの製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図14】実施例5の発光デバイスの特性図である。
【図15】実施例5の発光デバイスの特性図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
2 下部電極
6 複合ナノ結晶層
7 表面電極
7a 炭素薄膜
7b 金属薄膜
10 電子源
10a 電子源素子
20 発光デバイス
21 シリコン基板
22 オーミック電極
25 下部電極
26 発光層
27 上部電極
27a 炭素薄膜
27b 金属薄膜
51 グレイン
52 シリコン酸化膜
63 ナノ結晶シリコン
64 シリコン酸化膜

Claims (14)

  1. 下部電極と、下部電極上に形成され多数のナノ結晶シリコンを具備し電界励起によって量子効果を発現する結晶層と、少なくとも結晶層上で結晶層に接するように形成された炭素薄膜からなる表面電極とを備えてなることを特徴とする量子デバイス。
  2. 前記表面電極は、前記炭素薄膜と、前記炭素薄膜上に形成された金属薄膜とからなることを特徴とする請求項1記載の量子デバイス。
  3. 前記金属薄膜は、金、白金、銀、銅、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、イリジウム、ニオブ、クロム、アルミニウムから選択される金属材料あるいは前記金属材料の炭化物あるいは前記金属材料の窒化物により形成されてなることを特徴とする請求項2記載の量子デバイス。
  4. 前記結晶層が電界励起により前記下部電極から注入された電子を前記表面電極へ向かって加速する強電界ドリフト層であり、前記下部電極と強電界ドリフト層と前記表面電極とで電子源素子を構成してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の量子デバイス。
  5. 前記強電界ドリフト層は、多結晶シリコンおよび多結晶シリコンの粒界付近に存在する前記多数のナノ結晶シリコンおよび各ナノ結晶シリコンそれぞれの表面に形成されナノ結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜が混在する複合ナノ結晶層であることを特徴とする請求項4記載の量子デバイス。
  6. 前記結晶層が電界励起により発光する発光層であり、前記下部電極と発光層と前記表面電極とで発光デバイスを構成してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の量子デバイス。
  7. 前記炭素薄膜は、グラファイト若しくはグラファイトライクカーボンよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の量子デバイス。
  8. 前記炭素薄膜は、不純物のドーピングにより導電性が付与されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の量子デバイス。
  9. 前記炭素薄膜の膜厚は5nmを超えないように設定されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の量子デバイス。
  10. 前記炭素薄膜の膜厚は1nm以上に設定されてなることを特徴とする請求項9記載の量子デバイス。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記炭素薄膜の成膜にあたっては、前記結晶層の形成後に真空チャンバ内で250℃以上の加熱温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない加熱温度で前記結晶層の加熱を行ってから250℃以上の成膜温度であって且つ前記下部電極および前記結晶層へ悪影響を与えない成膜温度で成膜することを特徴とする量子デバイスの製造方法
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜を形成した後で熱処理を施すことを特徴とする量子デバイスの製造方法
  13. 請求項2または請求項3記載の量子デバイスの製造方法であって、前記表面電極の形成にあたっては、前記炭素薄膜および前記金属薄膜を形成した後で熱処理を施すことを特徴とする量子デバイスの製造方法
  14. 前記熱処理を380℃〜420℃の温度範囲内で施すことを特徴とする請求項12または請求項13記載の量子デバイスの製造方法
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