JP4415922B2 - シリコン酸化膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノメータオーダのシリコン微結晶(ナノ結晶シリコン)の表面にシリコン酸化膜を形成するシリコン酸化膜の形成方法に関するものである。
従来から、結晶粒径がナノメータオーダ(例えば、5nm程度)のシリコン微結晶を利用した電子デバイスであって、電界励起によって量子効果を発現する量子デバイスとして、電界放射型電子源や発光デバイスが研究開発されている(例えば、特許文献1参照)。
ここにおいて、上記特許文献1には、電界放射型電子源として、下部電極と、下部電極に対向する金属薄膜よりなる表面電極(上部電極)と、下部電極と表面電極との間に介在し下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により下部電極から表面電極へ向かって電子がドリフトする強電界ドリフト層とを備えたものが提案されている。
ここで、強電界ドリフト層の形成にあたっては、下部電極上にノンドープの多結晶シリコン層を成膜した後、当該多結晶シリコン層をフッ酸系溶液からなる電解液中で陽極酸化するナノ結晶化プロセスを行うことによって、多結晶シリコンのグレインおよび多数のナノメータオーダのシリコン微結晶を含む第1の複合ナノ結晶層を形成し、続いて第1の複合ナノ結晶層を急速熱酸化法ないし電気化学的な酸化方法によって酸化する酸化プロセスを行うことによって、多結晶シリコンのグレインおよび多数のナノメータオーダのシリコン微結晶および各グレインそれぞれの表面に形成された薄いシリコン酸化膜および各シリコン微結晶それぞれの表面に形成されシリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜を含む第2の複合ナノ結晶層からなる強電界ドリフト層を形成している。
なお、上記特許文献1には、抵抗率が導体の抵抗率に比較的近いシリコン基板と当該シリコン基板の裏面に形成したオーミック電極とで下部電極を構成したものや、絶縁性基板上に形成された金属材料からなる導電性層により下部電極を構成したものなどが例示されている。
また、上記特許文献1には、発光デバイスとして、下部電極と上部電極との間に上記第2の複合ナノ結晶層と同様の構成を有する発光層を備えたものが提案されている。なお、この発光デバイスでは、両電極間に電圧を印加することにより発光層にて発光した光を上部電極を通して放出させるものであり、上部電極を光が透過できる程度の膜厚の金属薄膜により構成してある。
上記特許文献1に開示された電界放射型電子源や発光デバイスの大面積化を図るには、シリコン基板や石英ガラス基板に比べて安価な無アルカリガラス基板や低アルカリガラス基板を用いればよい。
特開2003−338619号公報
ところで、上述の無アルカリガラス基板や低アルカリガラスなどの石英ガラス基板に比べて安価なガラス基板は石英ガラス基板に比べて耐熱温度が低いので、上述の酸化プロセスにおいて電気化学的な酸化方法を採用しているが、シリコン酸化膜の絶縁特性を向上させるためには、電気化学的な酸化方法による酸化を行った後で、急速熱酸化法による短時間の急速熱酸化を行う必要があった。
しかしながら、上述の安価なガラス基板を用いている場合に酸化プロセスで急速熱酸化を行うと、ガラス基板に反りやクラックなどが発生する恐れがあり、また、ガラス基板の大面積化に伴いシリコン酸化膜の絶縁特性の面内ばらつきが大きくなるとともに再現性が低下してしまうという不具合があった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電気化学的な酸化方法による酸化のみでシリコン酸化膜の絶縁特性を向上可能なシリコン酸化膜の形成方法を提供することにある。
請求項1の発明は、電気化学酸化の対象である多数のナノメータオーダのシリコン微結晶を有する被処理層の主表面とは反対側の電極を陽極として、陽極と電解液中で被処理層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって被処理層の各シリコン微結晶それぞれの表面に電気化学的にシリコン酸化膜を形成するシリコン酸化膜の形成方法であって、シリコン微結晶とシリコン酸化膜との界面近傍の遷移層の幅が1nm以下となるように陽極と陰極との間に流れる電流の電流密度を0.2mA/cm 〜2mA/cm の範囲内で設定することを特徴とする。
この発明によれば、シリコン微結晶とシリコン酸化膜との界面の急峻性を向上できるので、各シリコン微結晶それぞれの表面に形成される各シリコン酸化膜の膜質が向上し、電気化学的な酸化方法による酸化のみでシリコン酸化膜の絶縁特性を向上可能になる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流して陽極と陰極との間の電圧の単位時間での変動幅が予め定めた所定範囲内に入ると電流密度を増加させることを特徴とする。
この発明によれば、より緻密なシリコン酸化膜を形成できて絶縁耐圧が向上するとともに、シリコン酸化膜の膜厚のばらつきを低減できる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流し、予め測定した酸化速度に基づいて隣り合うシリコン微結晶間でシリコン酸化膜同士が接合されたと推定される時点で電流密度を増加させることを特徴とする。
この発明によれば、より緻密なシリコン酸化膜を形成できて絶縁耐圧が向上するとともに、シリコン酸化膜の膜厚のばらつきを低減できる。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明において、電流密度を増加させた後、電流密度を再び初期の電流密度まで減少させて当該初期の電流密度を規定時間だけ維持して通電を終了することを特徴とする。
この発明によれば、シリコン酸化膜中の欠陥を低減することができ、絶縁耐圧を向上できる。
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4の発明において、電流密度を変化させる際には段階的もしくは連続的に変化させることを特徴とする。
この発明によれば、電流密度を即時に変化させる場合に比べてシリコン酸化膜の膜質を向上できる。
請求項1の発明では、電気化学的な酸化方法による酸化のみでシリコン酸化膜の絶縁特性を向上可能になるという効果がある。
本実施形態では、シリコン酸化膜の形成方法を利用して製造される量子デバイス(電子デバイス)の一例として電界放射型電子源について例示し、その電界放射型電子源の製造方法の説明の中でシリコン酸化膜の形成方法について詳述する。
本実施形態における電界放射型電子源10は、図2(a)に示すように、絶縁性を有するガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板、低アルカリガラス基板など)からなる絶縁性基板1の一表面側に電子源素子10aが形成されている。ここにおいて、電子源素子10aは、絶縁性基板1の上記一表面側に形成された下部電極2と、下部電極2上に形成された強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト層6上に形成された表面電極7とで構成されている。つまり、電子源素子10aは、表面電極7と下部電極2とが対向しており、表面電極7と下部電極2との間に強電界ドリフト層6が介在している。ここに、下部電極2の厚さは300nm程度に設定してあり、表面電極7の厚さは10nm程度に設定してある。
ところで、下部電極2は金属材料からなる単層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる単層)または多層(例えば、Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる多層)の金属薄膜により構成されている。
また、表面電極7の材料には仕事関数の小さな材料(例えば、金)が採用されているが、表面電極7の材料は金に限定されるものではなく、また、単層構造に限らず、多層構造としてもよい。
図2(a)に示す構成の電子源素子10aから電子を放出させるには、例えば、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極(図示せず)を設け、表面電極7とコレクタ電極との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極2に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極2との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極2から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図2(b)中の上向きの矢印は電子eの流れを示す)。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。つまり、強電界ドリフト層6では、下部電極2に対して表面電極7を高電位側としたときに作用する電界により下部電極2から表面電極7へ向かう向きへ電子が加速されてドリフトする量子効果が発現することになる。
電子源素子10aでは、表面電極7と下部電極2との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなるが、表面電極7と下部電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができ、電子放出特性の真空度依存性が小さくポッピング現象が発生せず安定して電子を放出することができる。
また、強電界ドリフト層6は、多結晶シリコン層に対して後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを行うことにより形成されており、図2(b)に示すように、多結晶シリコンの複数のグレイン51と、各グレイン51それぞれの表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、隣り合うグレイン51間に介在する多数のナノメータオーダ(5nm程度)のシリコン微結晶(ナノ結晶シリコン)63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とを含んでいる。なお、各グレイン51は、下部電極2の厚み方向に延びている。
上述の電子源素子10aでは、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。電子源素子10aから電子を放出させるには、例えば、表面電極7と下部電極2との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極と表面電極7との間にコレクタ電極を高電位側として直流電圧Vcを印加する。ここで、電子eは下部電極2から強電界ドリフト層6に熱的に励起されて注入される。一方、強電界ドリフト層6に直流電圧Vpsを印加すると、大部分の電界はシリコン酸化膜64にかかる。このため、強電界ドリフト層6に注入された電子eはシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、強電界ドリフト層6内でグレイン51の間の領域を表面電極7に向かって図2(b)中の矢印の向き(図2(b)における上向き)にドリフトする。ここにおいて、直流電圧Vpsが所定値(例えば、表面電極7の電位が仕事関数以上となる電圧)以上であれば、表面電極7に到達した電子eが表面電極7をトンネルし真空中に放出される。ここで、強電界ドリフト層6中の各シリコン微結晶63はボーア半径程度の大きさであり、電子eはシリコン微結晶63で散乱されることなくトンネルする。このため、シリコン微結晶63表面の薄いシリコン酸化膜64にかかっている強電界で加速された電子eは、強電界ドリフト層6中をほとんど散乱されることなくドリフトし、表面電極7を通して真空中に放出される。また、強電界ドリフト層6で発生した熱はグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。以上説明した動作原理の電子源素子10aは、弾道電子面放出型電子源(Ballistic electron Surface-emitting Device)と呼ばれている。
なお、上述の電界放射型電子源10をディスプレイの電子源として利用する場合には、下部電極2、表面電極7、強電界ドリフト層6などを適宜にパターニングして多数の電子源素子10aを絶縁性基板1の上記一表面側にマトリクス状に配列すればよい。
以下、上述の電界放射型電子源10の製造方法について図3を参照しながら説明する。
まず、絶縁性基板1の一表面上に所定膜厚(例えば300nm)の金属膜(例えば、タングステン膜)からなる下部電極2をスパッタ法によって形成し、続いて、下部電極2上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層3を形成することにより、図3(a)に示すような構造が得られる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層3の成膜方法としては、例えば、CVD法(LPCVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法、アモルファスシリコンを堆積させた後にレーザアニールする方法などを採用すればよい。
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、上述のナノ結晶化プロセス(陽極酸化処理工程)を行うことにより、多結晶シリコンの多数のグレイン51と多数のシリコン微結晶63とが混在する第1の複合ナノ結晶層4が形成され、図3(b)に示すような構造が得られる。ここにおいて、ナノ結晶化プロセスでは、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に電圧を印加して、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の電流を流すことによって第1の複合ナノ結晶層4が形成される。
上述のナノ結晶化プロセスの終了した後に、酸化プロセスを行うことによって上述の図2(b)のような構成の第2の複合ナノ結晶層6が形成され、図3(c)に示すような構造が得られる。酸化プロセスでは、電解質溶液からなる電解液(例えば、1mol/lのHSO、1mol/lのHNO、王水など)の入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に電流を流して第1の複合ナノ結晶層4を電気化学的に酸化することによって上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含む第2の複合ナノ結晶層からなる強電界ドリフト層6を形成している。
強電界ドリフト層6を形成した後は、例えば蒸着法などによって金薄膜からなる表面電極7を強電界ドリフト層6上に形成することにより、図3(d)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。
ところで、本願発明者らは、鋭意研究の結果、酸化プロセスにおいて電気化学的な酸化方法を採用した場合、下部電極2からなる陽極と白金電極からなる陰極との間に流す電流の電流密度が電子放出効率や絶縁耐圧、寿命などの特性に影響を与えるという知見を得た。
そこで、本願発明者らは、上述の酸化プロセスによって電気化学酸化の対象である多数のシリコン微結晶63それぞれの表面に形成される各シリコン酸化膜64の膜質、シリコン微結晶63とシリコン酸化膜64との界面特性を間接的に評価するために、シリコン基板の裏面に下部電極2を形成してから、当該シリコン基板の主表面に陰極を対向配置してシリコン基板の主表面を電気化学的に酸化することでシリコン酸化膜(SiO膜)を形成し、当該シリコン酸化膜の厚さ方向の密度分布をX線反射率測定法(Grazing Incidence X−ray Reflectivity:GIXR)により測定した。その結果を図1に示す。図1において、「イ」は陽極と陰極との間に流す電流の電流密度を2mA/cmとしてシリコン酸化膜を形成してからHとNとの混合ガス(Hの濃度が3%)中において550℃でフォーミングアニールを行った参考例1、「ロ」は陽極と陰極との間に流す電流の電流密度を10mA/cmとした参考例2、「ハ」は陽極と陰極との間に流す電流の電流密度を10mA/cmとしてシリコン酸化膜を形成してから上記混合ガス中において550℃でフォーミングアニールを行った参考例3、「ニ」は陽極と陰極との間に流す電流の電流密度を10mA/cmとしてシリコン酸化膜を形成してから上記混合ガス中において550℃でフォーミングアニールを行い更に700℃で急速熱酸化処理を行った参考例4、それぞれの測定結果を示している。なお、参考例1〜4では、電気化学的に酸化を行う際の電解液として、1mol/lのHSOを用いた。
図1において参考例1の密度分布「イ」と参考例3の密度分布「ハ」とを比較することにより、電流密度を2mA/cmとした参考例1の方が、電流密度を10mA/cmとした参考例3に比べて、シリコン基板とシリコン酸化膜との界面近傍の遷移層の幅が小さくなっていることが分かる。ここで、参考例1,3についてはフォーミングアニールを施してあるが、電流密度を10mA/cmとした場合について、フォーミングアニール無しの参考例2の密度分布「ロ」とフォーミングアニール有りの参考例3の密度分布「ハ」とを比較すると、遷移層の幅は略同じであり、フォーミングアニールが界面の改善には寄与していないことが分かる。なお、フォーミングアニールは、電気化学的な酸化により形成したシリコン酸化膜中の水素を脱離させて欠陥を補償するためのアニールである。
これに対して、電流密度を10mA/cmとしてフォーミングアニール有りの場合について、急速熱酸化処理を行っていない参考例3の密度分布「ハ」と急速熱酸化処理を行っている参考例4の密度分布「ニ」とを比較すると、急速熱酸化処理を行った参考例4の方が遷移層の幅が小さくなっている(つまり、シリコン酸化膜とシリコン基板との界面がより急峻になっている)ことが分かる。ここで、上述の参考例1の密度分布「イ」と参考例4の密度分布「ニ」とを比較すると、電流密度を2mA/cmとした参考例1では、急速熱酸化処理を行っていないにもかかわらず、遷移層の幅が約1nmであり、急速熱酸化処理を行っている参考例4と略同じになっていることが分かり、電流密度を2mA/cmとすることにより、シリコン基板とシリコン酸化膜との界面近傍の遷移層の幅が1nm以下の急峻な界面特性を実現できることが分かる。なお、電流密度を2mA/cm以下とすれば、遷移層の幅を1nm以下とすることが可能であるが、電流密度を小さくしすぎると酸化速度が遅くなりすぎるので、電流密度は例えば0.2mA/cm〜2mA/cm程度の範囲内で適宜設定することが望ましい。
上述の結果から、電気化学酸化の対象である多数のナノメータオーダのシリコン微結晶63を有する上記第1の複合ナノ結晶層4を被処理層とし、当該被処理層の主表面とは反対側の電極である下部電極2を陽極として、陽極と電解液中で被処理層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって被処理層の各シリコン微結晶63それぞれの表面に電気化学的にシリコン酸化膜64を形成するシリコン酸化膜の形成方法では、シリコン微結晶63とシリコン酸化膜64との界面近傍の遷移層の幅が1nm以下となるように陽極と陰極との間に流れる電流の電流密度を制御すれば、シリコン微結晶63とシリコン酸化膜64との界面の急峻性を向上できて、各シリコン微結晶63それぞれの表面に形成される各シリコン酸化膜64の膜質が向上し、電気化学的な酸化方法による酸化のみで急速熱酸化処理を行うことなくシリコン酸化膜64の絶縁特性を向上可能になるものと考えられる。ここで、無アルカリガラス基板や低アルカリガラス基板などの耐熱温度は600℃程度であるから、絶縁性基板1の耐熱温度よりも低いプロセス温度でシリコン酸化膜64の絶縁特性を向上可能になるものと考えられる。
そこで、上述の酸化プロセスにおいて電流密度を2mA/cmとした実施例の電界放射型電子源10および電流密度を10mA/cmとした比較例の電界放射型電子源10それぞれについて電子放出特性の測定を行ったところ、実施例の方が比較例に比べて電子放出効率および絶縁耐圧が高く、寿命が長くなることが確認された。
ところで、上述の酸化プロセスでは、陰極と陽極との間に一定の電流密度の電流を電流密度に応じて設定した設定時間(電流密度が大きいほど短い時間)だけ流すようにしているが、陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流して陽極と陰極との間の電圧が略一定になったときに電流密度を増加させる、例えば、陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流して陽極と陰極との間の電圧の単位時間(例えば、1sec)での変動幅が電圧が予め定めた所定範囲(例えば、0〜10mV/sec)内に入ると電流密度を増加させるようにすれば、より緻密なシリコン酸化膜64を形成できて絶縁耐圧が向上するとともに、シリコン酸化膜64の膜厚のばらつきを低減できる。また、電流密度を増加させて増加後の電流密度を所定時間だけ維持した後、電流密度を再び初期の電流密度まで減少させて当該初期の電流密度を規定時間だけ維持して通電を終了するようにすれば、シリコン酸化膜64中の欠陥を低減することができ、絶縁耐圧を向上できる。
また、上記第1の複合ナノ結晶層4について断面TEM観察を行ったところ、各シリコン微結晶63の結晶粒径は5nm程度であり、隣り合うシリコン微結晶63間の間隔は2nm程度であることが確認された。そこで、上述の酸化プロセスにおいて、陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流し、予め測定した酸化速度に基づいて隣り合うシリコン微結晶63間でシリコン酸化膜64同士が接合されたと推定される時点で電流密度を増加させるようにすれば、陰極と陽極との間に一定の電流密度の電流を上記設定時間だけ流す場合に比べて、より緻密なシリコン酸化膜64を形成できて絶縁耐圧が向上するとともに、シリコン酸化膜64の膜厚のばらつきを低減できる。
また、上述のように電流密度を変化させる際には段階的もしくは連続的に変化させるようにすれば、電流密度を即時に変化させる場合に比べてシリコン酸化膜64の膜質を向上できる。
ところで、絶縁性基板1の大面積化に伴って上記被処理層の面積が大きくなった場合には、例えば、下部電極2に接触する導電性のコンタクト部材を時間経過に伴って移動させることで上記被処理層において電流を流す領域を走査する技術(このように電流を流す領域を走査する技術は、例えば、特開2005−72059号公報に開示されている)を利用すればよく、例えば電流を流す領域の走査を2段階で行うようにして、1回目は遷移層の幅が1nm以下となるような電流密度で上記被処理層の全域を走査し、2回目は1回目よりもを大きな電流密度で上記被処理層の全域を走査するようにすればよい。
なお、上記実施形態では、本発明の技術思想を適用する量子デバイスとして電界放射型電子源10を例示したが、量子デバイスは、電界放射型電子源10に限らず、例えば、電界励起により量子効果が発現して発光する発光デバイスでもよい。
実施形態におけるシリコン酸化膜の形成方法の参考となるシリコン酸化膜/シリコン界面の密度分布図である。 同上における電界放射型電子源を示し、(a)は概略断面図、(b)は(a)の要部説明図である。 同上における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。

Claims (5)

  1. 電気化学酸化の対象である多数のナノメータオーダのシリコン微結晶を有する被処理層の主表面とは反対側の電極を陽極として、陽極と電解液中で被処理層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって被処理層の各シリコン微結晶それぞれの表面に電気化学的にシリコン酸化膜を形成するシリコン酸化膜の形成方法であって、シリコン微結晶とシリコン酸化膜との界面近傍の遷移層の幅が1nm以下となるように陽極と陰極との間に流れる電流の電流密度を0.2mA/cm 〜2mA/cm の範囲内で設定することを特徴とするシリコン酸化膜の形成方法。
  2. 陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流して陽極と陰極との間の電圧の単位時間での変動幅が予め定めた所定範囲内に入ると電流密度を増加させることを特徴とする請求項1記載のシリコン酸化膜の形成方法。
  3. 陽極と陰極との間に一定の電流密度の電流を流し、予め測定した酸化速度に基づいて隣り合うシリコン微結晶間でシリコン酸化膜同士が接合されたと推定される時点で電流密度を増加させることを特徴とする請求項1記載のシリコン酸化膜の形成方法。
  4. 電流密度を増加させた後、電流密度を再び初期の電流密度まで減少させて当該初期の電流密度を規定時間だけ維持して通電を終了することを特徴とする請求項2または請求項3記載のシリコン酸化膜の形成方法。
  5. 電流密度を変化させる際には段階的もしくは連続的に変化させることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のシリコン酸化膜の形成方法。
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