JP2010538169A - 高密度金属酸化物層の製造方法及び当該方法によって製造される層 - Google Patents
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Abstract
酸化物層の製造方法であって、金属表面を参加する工程であって、前記金属表面が電子制御装置(ECU)に電気的に接続されており、製造された金属酸化物層が、EUCの不在下で金属表面を酸化させることによって製造した金属酸化物層に存在するものよりも大量の金属をその中に有する、工程を含むか;或いは酸化可能な非金属導電面を参加する工程であって、前記酸化可能な非金属導電面が電子制御装置(ECU)に電気的に接続されており、製造された酸化物層が、ECUの不在下に酸化可能な非金属導電面を酸化させることによって製造する場合よりも高密度である、工程を含む、方法;並びにその方法によって製造される金属酸化物又は酸化物層を提供する。
Description
本発明は、高密度酸化物層、好ましくは金属酸化物の製造方法、並びに半導体、腐食抑制、及び他の酸化物コーティングの用途を含むが、それらに限らない用途における当該相の使用に関する。
腐食は、世界中において被害の大きい問題となっている。腐食による被害の試算が様々な国で行われており、国民総生産の2〜5%の範囲であると見積もられている。こうした問題の中で、鋼鉄の腐食は主要な問題であり、建築物、道路、橋、乗り物、船などに影響を与える。鋼鉄の腐食を予防すること自体が1つの大きな産業である。腐食防止の進歩には、世界経済に大きな影響を当たる潜在能力がある。
亜鉛は、一般的に、亜鉛めっき工程において鋼鉄の保護コーティングとして使用される。より反応性の高い亜鉛が選択的に腐食を受け、下層の鋼鉄を無傷のままに留める。溶融亜鉛めっきは、表面全体に亘って亜鉛の薄層を与える。他のコーティングシステムは、より複雑であり、ジンクリッチコーティングプライマー(下塗り)、多くの場合には接着性の中間コーティング、及び障壁として働くトップコート(上塗り)を利用する。本明細書では、特にジンクリッチコーティングの特性に焦点を当てて議論する。
電気接点における亜鉛による鋼鉄の電気防食は、陰極防食の一態様である。すなわち、より活性の高い亜鉛は選択的に腐食を受け、電池対物質(galvanic couple)において陰極となり、そして、鋼鉄を陽極として維持することによって鋼鉄を保護する。印加電流技術は陽極保護の他の態様であり、外部電源を使用して、鋼鉄に電子を一定供給し、そして、鋼鉄を陽極として維持して鉄の溶解を防ぐ。
ジンクリッチコーティング(ZRC)は、鉄構造物の防食に昔から利用されている(Munger, C. G.; Vincent, L. D. Corrosion Prevention by Protective Coatings; 2nd ed.; NACE: Houston, 1999)。ZRCは、無機(例えば、エチルシリケート)又は有機(例えば、エポキシ)バインダー中で結合した亜鉛末(ジンクダスト)(典型的には80重量%超)を含む。互いに及び鋼鉄基材に電気的に接続されている亜鉛粉末によって提供される、犠牲的な電気防食によって最初に保護が生じると広く解されている(Feliu, S.; Barajas, R.; Bastidas, J. M.; Morcillo, M. Journal of Coatings Technology 1989, 61, 63-69)。数週間又は数ヶ月の期間の後に、亜鉛腐食産物がZRC内又は上に構築され、防護層が生じる(Feliu, S.; Barajas, R.; Bastidas, J. M.; Morcillo, M. Journal of Coatings Technology 1989, 61, 71-76)。このように腐食性分子種が下層の鉄に接近するのを物理的に防ぐことが、主な防食手段となる。
ECU(電子制御装置)のコンセプトは、Riffeによって原型が最初に開発され(Riffe, W. J. 米国特許第5,055,165号 1991)、後にDowlingらによって洗練された(米国特許第6,562,201号; 第6,811,681号、及び他の特許)。
Dowlingの米国特許第6,562,201号では、回路においてコンデンサによって提供される電子的フィルタリングについて考察されている。そして、腐食プロセスと関連する無作為電圧変動(電気化学的ノイズ)を抑制することによって、腐食がより遅く進行し、コーティングの寿命が延長することが議論されている。Dowling及びKhorramiの米国特許第6,811,681号では、保護しようとする個々の対象が受ける腐食ノイズの周波数応答に対して、ECUの周波数応答を一致させる能動可変装置が開示されている。
Munger, C. G.; Vincent, L. D. Corrosion Prevention by Protective Coatings; 2nd ed.; NACE: Houston, 1999
Feliu, S.; Barajas, R.; Bastidas, J. M.; Morcillo, M. Journal of Coatings Technology 1989, 61, 63-69
Feliu, S.; Barajas, R.; Bastidas, J. M.; Morcillo, M. Journal of Coatings Technology 1989, 61, 71-76
したがって、本発明の1つの主題は、環境酸化条件下で通常生じるよりも高い、高密度の金属をその中に有する金属酸化物層の製造方法を提供することである。
本発明の更なる主題は、出発物質として任意の形態の金属を使用することが可能な、高密度金属酸化物層の製造方法を提供することである。
本発明の更なる主題は、合金又は混合物の高密度酸化物層の製造方法を提供することである。
本発明の更なる主題は、酸化物を形成することが可能な非金属導電基材上に高密度酸化物層を製造するための方法を提供することである。
本発明の更なる主題は、本発明の方法によって製造される高密度酸化物層を提供することである。
これら又は他の本発明の主題は、個々に又は組み合わせにおいて、
電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている金属表面を酸化させる工程を含む、金属酸化物層の製造方法であって、製造された金属酸化物層が、ECUの不在下において金属表面を酸化させることによって製造された金属酸化物層に存在するものよりも大量の、その中に存在する金属を有する、方法;又は
電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている酸化可能な非金属導電面を酸化する工程を含む、酸化物層の製造方法であって、製造された酸化物層が、ECUの不在下において酸化可能な非金属導電面を酸化させることによって製造されたものよりも高密度である、方法;及び
それらの方法によって製造される酸化物又は金属酸化物
の発見によって満たされた。
電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている金属表面を酸化させる工程を含む、金属酸化物層の製造方法であって、製造された金属酸化物層が、ECUの不在下において金属表面を酸化させることによって製造された金属酸化物層に存在するものよりも大量の、その中に存在する金属を有する、方法;又は
電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている酸化可能な非金属導電面を酸化する工程を含む、酸化物層の製造方法であって、製造された酸化物層が、ECUの不在下において酸化可能な非金属導電面を酸化させることによって製造されたものよりも高密度である、方法;及び
それらの方法によって製造される酸化物又は金属酸化物
の発見によって満たされた。
以下の詳細な説明を参照し、添付の図面を共に考察することによって、本発明及び本発明に伴う多数の利点がより良好に理解され、より完全な理解が容易に得られるであろう。
本発明は、金属を豊富に含む塗料及び/又は金属表面上に高密度な酸化層を生じさせる方法である。本発明との関連において、金属を豊富に含む塗料又は金属表面内の金属は、単独の金属、合金、又は金属混合物であってよい。
本発明の方法によって製造される酸化物層は、何ら介入せずに生じたものよりも高密度である。酸化物層の密度は、純粋な金属自体に含まれる量に対する、金属酸化物層内部の金属(又は合金若しくは混合物)の量を測定することによって決定される。かくして、本発明の酸化物層は、環境酸化条件下で従来どおりに生じさせる場合よりも大量の、酸化物構造体に存在する金属、合金、又は金属混合物を有する。
本発明の方法は、その全体を参照によって本明細書に取り込む米国特許第6,325,915号、第6,562,201号、及び第6,811,681号に開示されているような電子制御装置の金属含有表面(金属を豊富に含む塗料、金属シート、又は他の金属体のいずれか)に適用することを含む。その様な電子制御装置(ECU)は、腐食を防止するのが有用であると上記の特許に示されている。しかしながら、本発明者は、酸化条件下で金属含有表面にECUを接続することによって、その表面上に、ECUの非存在下において環境酸化条件下で生じる場合よりも金属含量が高密度である、高密度酸化物層を生じさせ得ることを見出した。
金属上に高密度の酸化物層を生じさせることは、亜鉛メッキ鋼に使用される亜鉛コーティングなどの任意の金属被覆製品上の防食に有用である。本発明における金属、金属を豊富に含む塗料、又は金属表面は、環境条件下で酸化する任意の金属であってよい。好ましい金属は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、Cu、及びCs、並びにそれらの合金及び混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属を含むが、それらに限らず、最も好ましい金属としては、Zn、Ti、Mg、Al、並びにそれらの合金及び混合物が含まれるが、それらに限らない。
本発明は、全体的に金属、合金、又は金属混合物で製造された対象に対して実施してよく、或いは金属、合金、又は金属混合物がその上に存在する基材を含む対象に対して実施してよい。金属、合金、又は金属混合物を使用するのに加えて、本発明は、参照によってその全体を本明細書に取り込むDowlingの米国特許第6,325,915号、第6,402,933号、第6,551,491号、及び第6,562,201号に開示されている金属/金属酸化物/バインダーコーティングなどの、バインダー中に金属及び金属酸化物を含有するコーティングを使用してよい。
代替的な実施態様では、基材は、酸化条件下で酸化物を形成する、酸化可能な非金属導電基材(半導体)であってよい。その様な場合には、酸化物層は、本発明の方法の使用によって、ECUの不在下において非金属導電基材を酸化させる際に生じる酸化物層と比較してより高密度である。
本発明の方法によって製造される高密度金属酸化物層は、高密度多結晶半導体の製造などの各種の金属酸化物用途において使用されてよい。本発明の方法は、各種の金属被覆材料の前処理として使用してもよい。本発明の方法は、薄膜太陽電池又は燃焼のためのガスセンサーを含むが、それらに限らない用途のための金属酸化物半導体の製造にも使用してよい。本発明の方法は、スパッタリング又は化学蒸着を含む他の金属付着技術、或いはその後に本発明の方法で酸化させ得る金属層又は表面を生じさせる他の方法と合わせて使用してよい。
高密度亜鉛酸化物層の製造における亜鉛又は亜鉛被覆金属の使用に関して、本発明の方法を説明する。しかしながら、以下の議論は、説明だけのために提供され、亜鉛又は亜鉛合金の使用のみに本発明を限定することを意図しない。
本発明の方法は、対象とする亜鉛又は亜鉛被覆金属とECUを電気的に接続することを含む。亜鉛が腐食環境に曝された際に、酸化物層が生じ始める。
異なる複数の腐食環境(塩水噴霧、塩水、真水など)が、環境中の元素が異なることから、異なる組成の酸化物層を生じさせるであろう。例えば、塩水又は塩水噴霧を使用する場合には、高密度酸化物層がある程度のCl−を含み、典型的にはZnClが存在するであろう。望ましい場合には、腐食環境条件を特定及び制御することによって、特定の組成の層に調整して生じさせてよい。
亜鉛コーティングなどの金属コーティングは、まずガルバニック作用によって、その後に環境からその表面を切り離す亜鉛腐食産物の障壁を作製することによって下層の金属を保護する。典型的には、当該障壁層は環境条件下において経時的に生じる。本発明に従ったECUの適用によって、障壁層の成長過程が影響を受け、亜鉛が保存され、驚くべきことに製造させる酸化物層中の亜鉛量が増大する。本出願人は本発明の方法の働きをいずれかの理論に拘泥させることを望まないが、亜鉛酸化物はZnOとZn(OH)2との組み合わせであると典型的に解されているため、本発明の方法は、非ECU条件下よりもECUの存在下においてより多くのZnOが製造され、ZnO及びZn(OH)2の相対的な製造量を変更することによって、よりコンパクトかつ高密度な亜鉛酸化物を生じさせるのだと解される。本発明の方法において得られる酸化物層は、存在する亜鉛のレベルが顕著に高く、より緊密に詰まっており、より高密度な酸化物層であることが実験的に示されている。
実験的な証拠によって、ECUを用いる本発明の方法を利用することによって、ECUなしで生じた層よりも顕著に高密度な相が形成される。酸化物の成長とECUの相互作用が、金属、合金、又は金属混合物の表面安定化処理或いは高密度金属酸化物の製造が必要である任意の方法に拡張されてよいであろう。
本発明を一般的に説明してきたが、説明のためにのみ本明細書に提供し、そうでないと特定しない限り本発明を限定することを意図しない、ある具体的な実施例を参照することによって更なる理解が得られてよい。
酸化物障壁層の密度及び接着
走査電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散X線分析による元素分析によって、ECUが、対照と比較して、より高密度の亜鉛酸化物層(ZnO及び/又はZn(OH)2を意味する)の形成を容易にすることが示されている(図1及び図2)。酸化物層における亜鉛の平均密度は、対照プレートが40.4%±4.7%であり、ECUプレートが47.6%±4.3%であった(実験手法については下記参照)。これらの分布に対する統計的なt試験は99.99%の確率であり、2つの平均値は統計的に異なるものである。
走査電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散X線分析による元素分析によって、ECUが、対照と比較して、より高密度の亜鉛酸化物層(ZnO及び/又はZn(OH)2を意味する)の形成を容易にすることが示されている(図1及び図2)。酸化物層における亜鉛の平均密度は、対照プレートが40.4%±4.7%であり、ECUプレートが47.6%±4.3%であった(実験手法については下記参照)。これらの分布に対する統計的なt試験は99.99%の確率であり、2つの平均値は統計的に異なるものである。
磨いた後、亜鉛/亜鉛酸化物/アルミニウムシリケートコーティングで鋼鉄を被覆し、次いで、そのプレートを3%NaCl溶液、pH7における一年間の腐食に供して、サンプルを調製した。対照はECUに接続しなかったが、試験サンプルは一年間の腐食の間、ECUに接続した。各々100箇所からなる16のEDXライン走査を、3つの対照プレートに実施した。同様に、16のライン走査を3つのECUプレートに実施した。ラインを選択し、純亜鉛であることが既知の領域内で停止して、純亜鉛からのX線カウントで基準平均値を得た。酸化物層に関しては、亜鉛X線カウントの平均値を、基材との境界のすぐ上の10箇所で得た。境界の位置はAl、Si、又はClシグナルの上昇によって示され、Al及びSiはアルミニウムシリケートバインダー中に存在し、Clは、亜鉛粒子が腐食した後に残されるZnCl中に確かに存在する。酸化物の平均亜鉛X線カウントと亜鉛粒子のX線カウントとの比は、酸化物層における亜鉛「密度」を与え、純亜鉛に対する割合として表示される。
ECUサンプルは、基材に対する酸化物層の優れた接着も示した。対照サンプルについては、顕著な割れ目が酸化物/基材境界において多くの場合に認められたが(図3)、ECUサンプルはその様な割れ目を殆ど示さなかった(図4)。これは、より急速な腐食による対象酸化物の急速な成長による可能性があり、又は酸化物形成過程自体に対するECUの直接的な作用による可能性がある。
明らかに、本発明の更なる修飾又は変形が、上記の技術に鑑みれば可能である。そのため、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に具体的に開示していない発明を実施してよいと解されるべきである。
Claims (14)
- 電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている金属表面を酸化させる工程を含む、金属酸化物層の製造方法であって、製造された金属酸化物層が、ECUの不在下で金属表面を酸化させることによって製造された金属酸化物層に存在するものよりも大量のその中に存在する金属を有する、方法。
- 前記金属表面が、金属、合金、又は金属混合物の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記金属表面が、下層に存在する基材上に形成された金属表面である、請求項1に記載の方法。
- 前記下層に存在する基材が導電基材である、請求項3に記載の方法。
- 前記下層に存在する基材が非導電基材である、請求項3に記載の方法。
- 前記金属表面が、金属/金属酸化物/バインダー樹脂構造を含むコーティングである、請求項3に記載の方法。
- 前記金属表面が、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、Cu、及びCs、並びにそれらの合金及び混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記金属表面が、Zn、Ti、Mg、Al、並びにそれらの合金及び混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項7に記載の方法。
- 前記金属表面が、亜鉛並びにその合金及び混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項8に記載の方法。
- 前記金属/金属酸化物/バインダー構造が、亜鉛/亜鉛酸化物/アルミニウムシリケートを含む、請求項6に記載の方法。
- 電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている酸化可能な非金属導電面を酸化させる工程を含む、酸化物層の製造方法であって、製造された酸化物層が、ECUの不在下で酸化可能な非金属導電面を酸化させることによって製造されたものよりも高密度である、方法。
- 請求項1に記載の方法によって製造される金属酸化物層。
- 請求項11に記載の方法によって製造される酸化物層。
- 請求項1に記載の方法によって製造される金属酸化物層を有する半導体部品。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110818 |
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A02 | Decision of refusal |
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