JP4782601B2 - 金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼、ステンレス鋼等の各種金属材料の防食技術に関するものであり、屋外環境、湿潤環境等において腐食しやすい金属材料を、有害金属や低埋蔵量金属資源を実質的に使用することなく、長期にわたって保護する防食方法に関する。また、有害金属や低埋蔵量金属資源を実質的に含有せず、長期の腐食効果を奏する高耐食性金属材料およびその製造方法に関する。
これまでの鉄鋼材料等の金属材料の防食方法は、主にめっき、または塗装によるものであった。めっきによる防食は、めっき金属と基材金属材料との腐食電位差を利用するもので、キズや塗膜欠陥部の腐食を抑制することができる。例えば、鉄鋼材料の表面に亜鉛めっきを施した場合では、鉄鋼材料の表面に達するキズが生じても鉄の赤錆の発生を一定期間防止することができる。
これは、亜鉛の方が鉄よりも卑な金属で腐食電位が低いので、鉄よりも亜鉛が先に腐食して鉄を腐食から守るためである。このような防食方法を一般に犠牲防食と呼ぶ。従って、腐食が起きていないのではなく、実際は亜鉛の腐食が生じている。つまり、犠牲防食において亜鉛は消費されている。
しかし、近年、めっきに使用する資源(例えば、金属亜鉛)の埋蔵量の減少が顕在化しており、自動車用鋼板や建築材料、家電製品等に今までと同様なめっき処理を続ければ、あと20数年で枯渇すると予測されている。
ところで、めっきとして用いた亜鉛等は、特に塩分濃度が高い環境下では急速に腐食が進行するため、防食効果が長続きしない。
そこで、これを改善する方法としてクロム酸で表面処理を行うクロメート処理法が従来から行われている。しかし、有害な6価クロムを使用するため、これを用いない方法が求められてきた。
一方、塗装による防食は、外部からの水や酸素、塩などの腐食性物質の遮断や電気絶縁性による腐食電流の防止効果に優れているが、傷つきや塗膜の剥がれには弱く、これらの欠陥から錆の進行が一気に進む問題があった。
さらに、防食機能を強化した塗料としてジンクリッチペイントがあり、中でも有害な6価クロムを含まないジンクリッチペイントに類するものがある。例えば、特許文献1には6価クロムを使用せずに水系塗料として安定化させた防食塗料について記載されている。
具体的には、亜鉛末100重量部、エポキシ樹脂のリン酸エステル及び水酸基含有樹脂のリン酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1種のリン酸エステル樹脂0.01〜70重量部、及びバインダー0〜69.99重量部を含有し、該リン酸エステル樹脂と該バインダーとの合計量が5〜70重量部であることを特徴とする亜鉛末含有水系組成物について特許文献1に記載されている。
しかし、このような組成物は金属亜鉛を使用するので、将来の亜鉛資源の枯渇に対応できない。
ところで、金属材料の防食方法としては、上記のようなめっき、塗装の他に、被防食金属体を電源装置に電気的に接続することによりカソード防食する電気防食法がある。
この方法は、鉄道レールやパイプライン、海洋構造物の防食などに使用されている。
この電気防食法として、例えば、特許文献2には、塩分を含有するコンクリート構造物のコンクリート内部の鋼材を内部電極とし、コンクリートの表面部に設置した電極を表面電極とし、該表面電極の間、及び/又は該表面電極と内部電極間に電流を流す方法において、両電極間に水溶性リチウム化合物を含む電解質材料を供給して、コンクリート中のリチウム/ナトリウムのモル比が0.1以上とすることを特徴とする塩分を含有するコンクリートの処理方法が記載されている。
しかし、このような電気防食法は、実質的には長期にわたる効果を維持することが困難があった。また、このような電気防食法では電源設備が常時必要なことや、制御にノウハウが必要であり適用範囲が限られていた。
特開平11−124520号公報 特開平8−40784号公報
本発明は、従来の防食(防錆)方法のみでは、地球環境問題、資源の枯渇から限界があるとの認識に立ち、上記に示したような問題を解決した新しい防食技術を提供することを目的としたものである。
従って、本発明は、従来の亜鉛めっきやジンクリッチペイント、電気防食法などと同程度の厳しい腐食環境に耐え、さらに、亜鉛などの稀少な金属資源を使用せず、クロム等の有害金属を使用せず、整流器・変圧器などの設備を必要としない画期的な防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の従来の防食方法だけでは将来、地球環境の保護や資源の枯渇の問題から逃れることができないとの予測のもと、従来のクロム酸処理や亜鉛めっき等に替わる新しい防食技術の研究開発に鋭意取り組んだ。
そして、環境汚染の心配がない、豊富で安価な資源を使用したアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを挿入したインサーション材料を利用する新しい原理に基づく防食技術により、上記課題を解決できることを見出した。
即ち本発明は、下記(1)〜(28)である。
(1)金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法。
(2)前記金属材料の前記表面の電位が、前記金属材料の腐食電位よりも0.1V以上低い上記(1)に記載の金属材料の防食方法。
(3)さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を含む上記(1)または(2)に記載の金属材料の防食方法。
(4)前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属材料の防食方法。
(5)金属材料の表面に被覆層を有する高耐食性金属材料であって、前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する高耐食性金属材料。
(6)前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(5)に記載の高耐食性金属材料。
(7)前記インサーション材料の充放電電位が、標準水素電極基準で−1.8〜−0.4Vである上記(5)または(6)に記載の高耐食性金属材料。
(8)前記インサーション材料が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、炭素材料および有機導電性材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む上記(5)〜(7)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(9)前記アルカリ金属化合物が、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)に記載の高耐食性金属材料。
(10)前記アルカリ土類金属化合物が、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウムおよびジルコニウム酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)または(9)に記載の高耐食性金属材料。
(11)前記金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化錫、酸化バナジウムおよび酸化ニオブからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)〜(10)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(12)前記酸化鉄が、FeOOH、γ−Feおよびα−Feからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(11)に記載の高耐食性金属材料。
(13)前記炭素材料が、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークスおよびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)〜(12)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(14)前記有機導電性材料が、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)〜(13)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(15)前記被覆層が、有機および/または無機のバインダーを含む上記(5)〜(14)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(16)前記有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する上記(15)に記載の高耐食性金属材料。
(17)前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(16)に記載の高耐食性金属材料。
(18)前記被覆層は、30〜40%の相対湿度条件下における表面の接触電気抵抗が1〜1010Ω/cmである上記(5)〜(17)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(19)前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層有する上記(5)〜(18)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(20)前記保護層が、粉体塗料、電着塗料、溶剤塗料および水系塗料からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いて形成される上記(19)に記載の高耐食性金属材料。
(21)前記保護層が、前記有機および/または無機のバインダーを含み、さらにこの有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する上記(19)または(20)に記載の高耐食性金属材料。
(22)前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(21)に記載の高耐食性金属材料。
(23)前記金属材料が、鉄鋼材料である上記(5)〜(22)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(24)建築材料、橋梁部材、鉄塔、門扉、フェンス、手すり、車輌・船舶外装材、自動車鋼板、建築機械、自動車足回り部材、自転車、コンクリート用鉄筋、鋼管、レール、道路標識板、看板、ガードレール、家電製品外板またはボイラー、ガスもしくは水道の配管に用いられる上記(5)〜(23)に記載の高耐食性金属材料。
(25)上記(5)〜(24)のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する被覆層を、金属材料の表面に形成する工程と、その後、前記被覆層が形成された前記金属材料を、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを含有する電解液中でカソード分極して、前記インサーション材料中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入する工程とを具備する高耐食性金属材料の製造方法。
(26)さらに、前記カソード分極の後に、前記電解液を除去する工程を具備する上記(25)に記載の高耐食性金属材料の製造方法。
(27)上記(5)〜(24)のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入された前記インサーション材料を含有する組成物を、前記金属材料の表面に塗工することで前記被覆層を形成する高耐食性金属材料の製造方法。
(28)さらに、前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層形成する工程を具備する上記(25)〜(27)のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法。
本発明の金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法によれば、これまで広く使用されてきた6価クロムによるクロメート処理や、亜鉛めっき材料、ジンクリッチペイント、電気防食などの従来方法にかわって、これらの従来方法と同様な厳しい腐食環境においても金属の腐食を防止することが可能であり、これらの従来方法なしでは防食できなかった多くの部材に対して、環境汚染を防止しつつ稀少な金属資源を使用することなく防食が可能となる。また、めっきや塗装による補修が困難な建造物、構造物の場合においてもカソード分極処理を定期的に行うことにより、従来よりも長期間の腐食防止を行うことができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は、金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法である。
まず、本発明の防食方法および本発明の高耐食性金属材料について説明する。
本発明の防食方法は、金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法である。
また、本発明の高耐食性金属材料は、金属材料の表面に被覆層を有する高耐食性金属材料であって、前記被覆層は、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する高耐食性金属材料である。
<金属材料>
本発明で用いる金属材料は特に限定されず、例えば、鉄鋼、ステンレス鋼、めっき鋼、亜鉛、アルミニウム、銅などを挙げることができるが、鉄鋼材料(鉄鋼やステンレス鋼、およびこれらの表面に亜鉛等の各種めっきを施しためっき鋼)であることが最も好ましい。鉄鋼材料は、比較的卑な腐食電位を示すとともに、酸素および水分含有雰囲気下(例えば空気中)において形成される酸化皮膜に腐食防止効果がないので、カソード防食が効果的であるからである。
また、このような金属材料の表面電位が、前記金属材料の腐食電位よりも0.1V以上低いことが好ましい。これにより防食効果がより高くなるからである。
なお、この表面電位は、ポテンシォスタットを使用し、標準水素電極や飽和甘コウ電極を標準電極として、NaClやKCl水溶液中で測定する。
本発明の防食方法は、このような金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有する。
また、本発明の高耐食性金属材料は、このような金属材料の表面に被覆層を有する。
<被覆層>
本発明において被覆層は、インサーション材料を含有する。
<インサーション材料>
本発明で用いるインサーション材料は、固体/電解質(液体または固体)の物理界面を介してリチウムイオンなどのアルカリ金属イオンおよび/またはマグネシウムイオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンや水素イオンなどのイオンを固体としての形態を保ちながら出し入れする(インターカレーションまたはデインターカレーション)ことができる材料をいう。ここでは活性炭、ナノカーボンなどの高比表面積材料、多孔質材料も含まれる。
本発明で用いるインサーション材料は、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを、後述する方法で挿入することができる材料であれば特に限定されないが、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、炭素材料および有機導電性材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの物質は、層間や粒子間あるいは微細空孔中にアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンを挿入または吸着しやすいためである。
ここで、アルカリ金属化合物とは、アルカリ金属元素(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)を含有する金属化合物であればよく、例えば、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウム、ジルコニウム酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、鉄酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、チタン酸セシウム、マンガン酸ルビジウムなどを例示することができる。
このようなアルカリ金属化合物において、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、層状結晶からなる化合物を作りやすく、リチウムイオンを容易に挿入、脱離できるためである。また、金属材料として鉄鋼材料を用いる場合、このリチウムイオンを鉄の腐食電位よりもやや卑な電位で挿入、脱離できるので、より好ましい。
また、アルカリ土類金属化合物とは、アルカリ土類金属元素(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)を含有する金属化合物であればよく、例えば、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウム、ジルコニウム酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸バリウムなどを例示することができる。
このようなアルカリ土類金属化合物において、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウムおよびジルコニウム酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。さらに、金属材料として鉄鋼材料を用いれば、Mg2+、Ca2+などのイオンの挿入、脱離電位が鉄の腐食電位よりもやや卑であるのでカソード防食効果が高まり、より好ましい。
また、金属酸化物とは、特に限定されないが、中性〜弱アルカリ性のpHにおいて安定な金属酸化物であることが好ましく、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化錫、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ネオジムなどを例示することができる。
このような金属酸化物において、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化錫、酸化バナジウムおよび酸化ニオブからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、導電性を有する層状化合物を形成しやすいためである。
さらに、この酸化鉄がFeOOH、γ−Feおよびα−Feからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの酸化鉄を用い、さらに、金属材料として鉄鋼材料を用いた場合、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンの挿入、脱離電位が、この鉄鋼材料の防食に好適な−0.5〜−1.2V/SHEの値となるので、さらに好ましい。
また、金属炭化物とは、その構造中にLi等(後述するアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオン)のイオンを挿入できる導電性の金属炭化物であればよく、例えば、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化モリブデン、炭化ジルコニウムなどを例示することができる。
このような金属炭化物において、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、挿入できるイオンの量が多いためである。
また、金属窒化物とは、同様に、その構造中にLi等のイオンを挿入できる導電性の金属窒化物であればよく、例えば、窒化チタン、窒化クロム、窒化珪素、窒化ニオブ、窒化鉄、窒化ジルコニウムなどを例示することができる。
このような金属窒化物において、窒化チタン、窒化クロム、窒化珪素および窒化ニオブからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、挿入可能なイオンの量が多いためである。
また、炭素材料とは、結晶性で層間にLi、Mg2+等(後述するアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオン)のイオンを挿入できる材料や、アモルファスで材料中にこれらのイオンを挿入できる空間を有する炭素材料であればよく、例えば、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークス、カーボンブラックなどを例示することができる。
このような炭素材料において、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークスおよびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、結晶性炭素材料の層間にLi等のイオンが挿入されたり、構造中の空隙や粒子間にこれらのイオンが挿入されやすいためである。
また、有機導電性材料とは、その分子骨格中に共役二重結合を有する有機材料で、その構造により電子が移動できる有機導電性材料であればよく、例えば、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリピロール、およびこれらに導電性キャリアをドープしたものなどを例示することができる。
このような有機導電性材料において、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選ばれる少なくとも1つを、本発明で用いるインサーション材料として用いることが好ましい。理由は、Li、Mg2+などのイオンを多量に挿入することができるためである。
このようなインサーション材料の大きさは特に限定されないが、数nm〜数μmの粒子径のものが好ましい。理由は、実表面積が大きく、イオンの速やかな挿入、脱離が可能なためである。
なお、ここで粒子径とは、顕微鏡または電子顕微鏡により測定した値である。
このような本発明で用いるインサーション材料は、その充放電電位が標準水素電極を基準とした電位で−1.8〜−0.4Vであることが好ましい。この電位が大きすぎるとカソード防食効果が弱まり、逆に小さすぎると水溶液に接触した場合に水素ガスが発生する可能性があるためである。前記金属材料が鉄鋼材料の場合に、特に好ましい充放電電位の範囲は−1.5〜−0.7Vである。
このような範囲の充放電電位を持つインサーション材料としては、γ−FeOOH等のFeOOH、γ−Fe、α−Feなどの酸化鉄、LiV(バナジン酸リチウム)、LiNb(ニオブ酸リチウム)などのアルカリ金属含有化合物、VO、SnOなどの金属酸化物があり、これらは本発明において特に好ましく使用できるインサーション材料である。
なお、ここでいう充放電電位は、Li等のイオンの挿入、脱離が主として行われる電位であり、定電流による充電または放電を行った場合の電位変化が少ない電位範囲として測定できるため、10mA/dmの定電流による充電−放電曲線(電位−時間)をプロットし、電位が平坦に近くなる電位を読みとるという方法で測定した場合の測定値である。
また、このようなインサーション材料は、被覆層に50質量%以上含有されることが好ましく、50質量%超含有されることが好ましい。さらに、この含有率は75質量%以上であることがさらに好ましく、85質量%以上であることが最も好ましい。また、後述するように、被覆層はインサーション材料のみからなるものであってもよい。
このようなインサーション材料は、次に示すアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入される。
<アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン>
本発明において、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのイオンを意味する。
このようなアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンにおいて、前記インサーション材料に挿入されるイオンは、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、リチウムイオンであることがさらに好ましい。
理由は、これらのイオンはイオン半径が小さいので前記インサーション材料へ挿入されやすく、挿入可能量も多いからである。さらに、後述するように被膜層の表面に形成され炭酸塩の層が水に溶解しにくいからである。
この被覆層は、上述したアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備するものであれば、その材質(前記インサーション材料以外の材料の材質)は特に限定されない。
なお、この被覆層を形成する材料自体が、このようなイオンを透過する性質を具備していることが好ましいが、具備していなくても、インサーション材料と、後述する有機および/無機バインダー等との混合比(質量比)を50:1〜1:1とすることで、被覆層全体としてのアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備させることができる。
このような被覆層を形成する材料としては、例えば、有機バインダーとして、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン・ポリプロピレン樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、ポリサルファイド系樹脂などを挙げることができる。また、無機バインダーとして、珪酸リチウム、珪酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの水ガラス、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化チタンゾルなどの酸化物ゾル、合成スメクタイト、セピオライトなどの粘土鉱物、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウムなどのリン酸系化合物やセメント、モルタルを挙げることができる。
また、これらを任意に混合して用いてもよい。さらに、金属粒子、繊維、ガラス等を含有してもよい。この金属粒子、繊維、ガラス等の含有率は、50質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
また、この有機バインダーおよび/または無機のバインダーがアニオン性基を有する化合物を含有することが好ましい。理由は、被覆層に挿入された前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを捕捉し、これらのイオンの急激な溶出を抑制して、カソード効果の持続性を向上させることができるからである。
このアニオン性基としては、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)、ペルオキシ基(−OOH)、イミノジ酢酸等を挙げることができる。これらの中でも、このアニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、このアニオン性基がさらにキレート性を有することが好ましい。つまり、前記有機バインダーおよび/または無機のバインダーが複数のアニオン性基を有するキレート化合物を含むことが好ましい。理由は、前記有機バインダーおよび/または無機のバインダーが前記被覆層に挿入された前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを捕捉する程度が高まるからである。
前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびフランシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がベリリウム、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、この被覆層は、前記有機バインダーおよび/または前記無機バインダーを被覆層の全質量に対して、50質量%以下含むことが好ましく、50質量%未満含むことがさらに好ましい。この含有率は25質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが最も好ましい。この含有率が高すぎると被覆層の電子導電性が不足してカソード効果が低下する傾向がある。
このようなアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入された、または挿入され得るインサーション材料を含有する材料(組成物)を、前記金属材料の表面に塗布等して被覆層を形成する方法は、後述する本発明の高耐食性金属材料の製造方法に示す方法を好ましく適用することができる。
また、このような被覆層の厚さは特に限定されないが、0.1〜1000μmが好ましい。また、バインダーとしてモルタルを用いる場合には、数十μm〜数cmの厚さであることが好ましい。理由は、モルタル中には多くのアルカリイオン、アルカリ土類金属イオンを含むため厚膜化により充分な防食効果が得られるためである。
また、このような被覆層は電子伝導性を具備する。ここで「電子伝導性を具備する」とは、常温、常圧下の室内で測定した体積抵抗率が10−2〜1010Ω・cmであることを意味する。
また、このような被覆層は、インサーション材料から前記金属材料の表面へ電子を移動させるので、電子伝導性が高いことが好ましい。前記組成物が、導電性バインダーを含有すれば電子伝導性がより高まるので好ましい。つまり、この被覆層が導電性バインダーを含有すれば電子導電性がより高まるので好ましい。
したがって、電子伝導性が高く、常温、常圧下の室内で測定した体積抵抗率が1〜1010Ω・cmであることが好ましい。
また、このような被覆層は、30〜40%の相対湿度条件下における表面の接触電気抵抗が1〜1010Ω/cmであることが好ましく、10〜1010Ω/cmの範囲がさらに好ましい。
接触電気抵抗が低すぎると、被覆層中の電子が空気中の酸素や水と反応して失われやすいので好ましくない。このように被覆層表面の接触電気抵抗値が低すぎる場合には、樹脂などの高電気抵抗物質をコーティングまたは塗装したり後処理により酸化物等を表面に付着させて、後述する保護層を形成することにより接触電気抵抗値を高めることが好ましい。
なお、ここでいう接触電気抵抗は、相対湿度30〜40%の環境下で、直径0.9mmφの黒鉛電極に100gの荷重をかけ、前記被覆層の表面に垂直に黒鉛電極を接触させて電位差(12V)を与え、前記金属材料と黒鉛電極の間に流れる電流値から算出したものである。
また、このような被覆層は、その表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層有することが好ましい。さらに、この保護層の接触電気抵抗値が前記被覆層よりも5倍以上高いことが好ましい。また、この保護層のアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの透過性が、前記被覆層よりも低いことが、さらに好ましい。
このような保護層を有することで、前記被覆層の表面(外部環境)からもたらされる酸素や水の供給や還元反応により、電子が無駄に消費されることを防止することができるので、本発明の高耐食性材料の耐食性がより向上する。また、本発明の防食方法による耐食効果がより向上する。さらに、これらの耐食性がより長期間保持される。
なお、この保護層の材質、形成方法等は前記被覆層と同様であってもよく、前記インサーション材料を含有してもよい。
この場合、後述するような、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを再度挿入して再生する作業が容易になるので好ましい。
また、後述するように本発明の被覆層の表面には、炭酸塩の層が形成される。この炭酸塩の層を保護層と見なすこともできる。
また、この保護層が、粉体塗料、電着塗料、溶剤塗料および水系塗料からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いて形成されることが好ましい。理由は、これらの方法により工業的に容易に皮膜を形成できるからである。
また、この保護層が前記有機バインダーおよび/または無機のバインダーを含有する場合、この有機バインダーおよび/または無機のバインダーがアニオン性基を有することが好ましい。理由は、前記被覆層および/またはこの保護層に挿入された前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを捕捉し、これらのイオンの急激な溶出を抑制して、カソード効果の持続性を向上させることができるからである。
このアニオン性基としては、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)、ペルオキシ基(−OOH)、イミノジ酢酸等を挙げることができる。これらの中でも、このアニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、このアニオン性基がさらにキレート性を有することが好ましい。つまり、前記有機バインダーおよび/または無機のバインダーが複数のアニオン性基を有するキレート化合物を含むことが好ましい。理由は、前記有機バインダーおよび/または無機のバインダーが前記被覆層および/またはこの保護層に挿入された前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを捕捉する程度が高まるからである。
前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびフランシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がベリリウム、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、保護層の厚さは特に限定されないが、前記被覆層と前記保護層との厚さの合計が0.1〜1000μmであることが好ましい。
また、このような保護層は30〜40%の相対湿度条件下における表面の接触電気抵抗が10Ω/cm以上あることが好ましく、10Ω/cm以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが、1018Ω/cm以下であることが好ましく、1012Ω/cm以下であることがさらに好ましい。
このような本発明の防食方法により前記金属材料が防食される理由、および、本発明の高耐食性金属材料が高い耐食性を有する理由は、次のように推定される。
本発明の被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを透過する性質を有するため、腐食性の使用環境において、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、インサーション材料から被覆層を透過して外部へ放出するとともに、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンをインサーション材料に挿入した際に同時に内部に蓄えられた電子も被覆層から金属材料の表面へ移動する。
そして、金属材料の表面が腐食しない卑な電位に保たれ、カソード防食効果が発現する。また、これらのアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが拡散により被覆層の表面に移動すると、空気中の炭酸ガスと反応し、安定な保護性の炭酸塩を主成分とする膜を形成する。そして、水素ガスの発生や溶存酸素の還元反応などの副反応が防止されることにより防食効果が持続する。
なお、本発明の被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有する材料からなるが、この材料が前記インサーション材料のみを含有する場合であっても、本発明の範囲とする。
また、このような本発明の高耐食性金属材料において、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極することが好ましい。
つまり、本発明の防食方法において、さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を設けることが好ましい。
本発明の被覆層は、その表面からアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが放出し、長期間の使用によりそのほとんど全てが放出されるが、このようなカソード分極を行えば、従来の亜鉛めっき等と異なり、再度効果を回復させることができる。
また、このような方法により、前記金属材料の前記表面の電位を、前記金属材料の腐食電位よりも低くすることが好ましい。
なお、カソード分極の具体的な方法は、後述の本発明の高耐食性金属材料の製造方法で示すものと同様である。
従って、本発明の防食方法および本発明の高耐食性金属材料を従来の電気防食法(カソード防食法等)に応用すれば、従来の電気防食法(カソード防食法等)では常時電源の接続が必要であったものが、断続的、定期的な通電のみで効果を持続することができるようになる。そして、本発明の防食方法および本発明の高耐食性金属材料を、従来利用が困難であった太陽電池や風力発電設備、その他の断続的発電装置と組合わせて用いることができる。
本発明の高耐食性金属材料は、建築材料、橋梁部材、鉄塔、門扉、フェンス、手すり、車輌・船舶外装材、自動車鋼板、建築機械、自動車足回り部材、自転車、コンクリート用鉄筋、鋼管、レール、道路標識板、看板、ガードレール、家電製品外板またはボイラー、ガス、水道の配管に好ましく用いることができる。
また、このような用途以外でも、鉄系材料をはじめとする一般の金属材料に使用できる。また、保護層として酸化チタンなどの光半導体層を設置することにより紫外線、光により防錆機能が維持される光カソード防食効果をあわせて得ることができる。
次に本発明の高耐食性金属材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)について説明する。
本発明の製造方法は、以下に示す2つ態様がある。以下、単に「本発明の製造方法」と示した場合は、この2つ態様を含むものとする。
なお、上記の本発明の高耐食性金属材料を製造する方法は、次に説明する本発明の製造方法に限定されるものではない。本発明の製造方法は、上記の本発明の高耐食性金属材料の製造方法の好ましい態様である。
本発明の製造方法の第1態様は、本発明の高耐食性金属材料の製造方法であって、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する被覆層を、金属材料の表面に形成する工程と、その後、前記被覆層が形成された金属材料を、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを含有する電解液中でカソード分極して、前記インサーション材料中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入する工程とを具備する高耐食性金属材料の製造方法である。
また、本発明の製造方法の第2態様は、本発明の高耐食性金属材料の製造方法であって、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有する組成物を、前記金属材料の表面に塗工することで前記被覆層を形成する高耐食性金属材料の製造方法である。
このような本発明の製造方法において用いる金属材料、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオン、インサーション材料、組成物の含有成分の種類、好ましい態様、組成物の混合比、被覆層の厚さ等は、全て、上述した本発明の高耐食性金属材料と同様である。
なお、ここで用いるインサーション材料は次のような方法で製造することが好ましい。例えばγ−FeOOHは、塩化第一鉄水溶液に鉄粉を共存させて弱酸性にした溶液を70℃程度に保持して空気を吹き込むことにより得らることが好ましい。またγ−Feは、このようにして得たγ−FeOOHを、さらに260℃程度で乾燥焼成することにより得られる。
まず、本発明の製造方法の第1態様の、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する被覆層を、金属材料の表面に形成する工程について説明する。
この被膜層を前記金属材料の表面に形成する方法は特に限定されない。例えば、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料と、前記有機および/または無機バインダー等とを含有する組成物を、前記金属材料の表面に従来法、例えばステンレスワイヤーバーを用いて塗工することで前記被覆層を形成することができる。
また、前記被覆層形成後は、50〜120℃程度の条件下で乾燥することが好ましい。
また、前記被膜層を前記金属材料の表面に形成する方法としては、上記の工程の他に、水溶液からの電解析出や化成処理、無電解液相析出、熱処理による酸化処理やそれらを組み合わせた処理によって前記金属材料の表面にインサーション材料の被膜を直接成膜する方法を挙げることができる。この方法は、特に酸化鉄や金属酸化物のインサーション材料を用いた場合には好ましい。
例えば、インサーション材料としてα−Feを用いる場合、硝酸第二鉄水溶液などの鉄塩水溶液に被処理金属材料を浸漬し、これをカソードとして陰極電解を行うことによって被処理金属材料表面にFeOOHの被覆層を形成し、しかるのちに空気中において100〜400℃で乾燥(焼成)することによって得ることができる。この場合には電解液中に硝酸イオンや過酸化水素などの酸化剤が含まれることにより陰極表面でpHが上昇してFeOOHが析出しやすいため好ましい。
次に、本発明の製造方法の第1態様の、前記被覆層が形成された金属材料を、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを含有する電解液中でカソード分極して、前記インサーション材料中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入する工程について説明する。
この工程は上記の被覆層を金属材料の表面に形成する工程の後に行う。
この工程における好ましい態様を図1を用いて説明する。
図1では、高耐食性材料1とグラファイト製板2とが電解槽10に挿入され、リチウムイオンを含有する電解液5に完全に浸されている。ここで、高耐食性金属材料1は、上記の第1工程で製造されたものであり、ステンレス板11の表面に被覆層12を有している。さらに、この被覆層12はチタン酸リチウムを含有している。
そして、高耐食性材料1とグラファイト製板2とは、電解槽10の内部で、被覆層12とグラファイト製板2とが多孔質有機材料からなるセパレータ3を挟んで設置されている。さらに、高耐食性金属材料1とグラファイト製板2とは整流器15に接続されており、グラファイト製板2が正極、高耐食性金属材料1のステンレス板11が負極に接続されている。
このような図1に示した態様によれば、電解により、電解液5内のリチウムイオンが、負極に接続されカソード分極している被覆層12内のチタン酸リチウムの内部に取り込まれる。
このようにして、インサーション材料(チタン酸リチウム)中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオン(リチウムイオン)を挿入することができる。
なお、カソード分極は上述の態様に特に限定されず、従来公知の方法で行うことができる。
次に、本発明の製造方法の第2態様について説明する。
本発明の製造方法の第2態様は、例えば、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料と、前記有機および/または無機バインダー等とを含有する組成物を、前記金属材料の表面に従来法、例えばステンレスワイヤーバーを用いて塗工することで前記被覆層を形成することができる。
本発明の製造方法の第2態様について、具体例を示す。
硝酸第二鉄などの鉄の水溶性塩の水溶液に水酸化リチウム等のアルカリ水溶液を添加してFeOOHの沈殿を生成させ、この沈殿を必要に応じて洗浄し、100〜400℃で乾燥(焼成)する。このようにして本発明において特に好ましい材料のひとつであるα−Feを製造することができる。このα−Feはリチウムイオンが挿入されている。
このようにして得られたα−Feを粉砕し、適当なバインダー成分、溶媒成分と混合してインサーション材料を含む被覆層形成のための組成物とする。そして、この組成物を公知の方法で金属材料の表面に塗布することで、本発明の高耐食性金属材料を製造することができる。
また、本発明の製造方法においては、さらに、前記カソード分極の後に、前記電解液を除去する工程を具備することが好ましい。
具体的には、脱イオン水による洗浄や、アルコールなどの有機溶剤により置換するという方法で電解液を除去することができる。
また、本発明の製造方法においては、さらに、前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層形成する工程を具備することが好ましい。
ここで、保護層の材質、形成方法等、および接触電気抵抗値の定義は、前述の本発明の高耐食性金属材料と同様である。
以下に本発明の金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
<実施例1>
インサーション材料としてチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)粒子(チタン工業社製、LT-FP:平均粒子径 約1μm)を使用した。
そして、このチタン酸リチウムの90gと、導電性カーボン粉末の10gと、バインダーとしてポリ塩化ビニリデンエマルジョン(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックス、固形分濃度:20質量%)の60gとに、さらに水を加えて合計200gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料をアルカリ洗浄剤(日本パーカライジング社製、FC−4360)で脱脂洗浄した鋼板(SPCC:70×150×0.8mm)の表面にステンレスワイヤーバーで均一に塗布した。そして、さらに80℃で乾燥し、約20μmの厚さの被覆層を鋼板表面に形成した。このようにして得られた鋼板を被覆鋼板1とする。
このように作製した被覆鋼板1を、六フッ化リンリチウム(LiPF6)を含むエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネート混合非水系電解質液中でカソード電解し試験板1を得た。処理に用いた具体的な装置は図1と同様であり、正極にはグラファイト製板を使用した。カソード電解は、3Vの電圧で20分間行って被覆層中にリチウムイオンを挿入した。ここで、試験板1の被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cmであった。
このようにして得た試験板1を耐食性試験に供した。
この接触電気抵抗値は、相対湿度30〜40%の環境下で、直径0.9mmφの黒鉛電極に100gの荷重をかけ、試験板の表面に垂直に黒鉛電極と試験板とを接触させて電位差(12V)を与え、試験板と黒鉛電極の間に流れる電流値から算出したものである。
<実施例2>
インサーション材料として人造黒鉛微粉末(昭和電工社製、SCMG)を使用した。
そして、この人造黒鉛微粉末の50gと、バインダーであるポリフッ化ビニリデン粉末の8gとに、さらに水を加えて合計100gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板2とする。得られた被覆層の厚さは約80μmであった。
このように作製した被覆鋼板2を、実施例1と同じ方法で電解し試験板2を得た。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は60Ω/cmであった。
このようにして得た試験板2を耐食性試験に供した。
<実施例3>
インサーション材料としてα−Feを調製した。
まず、60gの硝酸第二鉄(Fe(NO3)3・9H2O)を、500gの蒸留水に溶解し、これに8%の水酸化リチウム水溶液を135g添加して攪拌した。そして、さらに1%の過酸化リチウム(Li2O2)水溶液を20g添加してFeOOHの沈殿を得た。これを、洗浄、吸引ろ過し、沈殿を分離した後乾燥し、約300℃で焼成した。このようにしてα−Fe調整した。なお、焼成後の沈殿は3μm以下に粉砕し、X線回折によりα−Feであることを確認した。
このようにして調製したα−Feの8gと、導電性カーボン粉末の0.1gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50%、群栄化学工業社製)の5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板3とする。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
このように作製した被覆鋼板3を、実施例1と同様な方法で電解し試験板3を得た。実施例1との相違点は電圧を3Vから2.5Vへ変更した点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は15Ω/cmであった。
このようにして得た試験板3を耐食性試験に供した。
<実施例4>
30gの硝酸第二鉄(Fe(NO3)3・9H2O)と、20gの硝酸ナトリウムとを蒸留水に溶解して1000gとし、これを電解液とした電解処理を行った。
ここで、実施例1と同じ鋼板に同じ方法で脱脂洗浄したものをカソードとし、カーボン電極をアノード対極として電圧4Vで電解処理を10分間行った。
その後、カソードに使用した鋼板を水洗、乾燥し、200〜300℃で焼成して鋼板表面上にα−Feの被膜層を形成した。このようにして得られた鋼板を被覆鋼板4とする。この被膜層の厚さは1〜3μmであった。
このように作製した被覆鋼板4を、実施例1と同様な方法で電解し試験板4を得た。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化マグネシウム10g/Lを含む水系電解質液であり、さらに、電解時間が10分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は3Ω/cmであった。
このようにして得た試験板4を耐食性試験に供した。
<実施例5>
インサーション材料としてγ−FeOOHを調製した。
まず、80gの塩化第一鉄(FeCl2・nH2O)に鉄粉3gを共存させてpHを弱酸性に調
整した。このような溶液を、約70℃に保持しながら空気を連続的に吹き込むことによりγ−FeOOHを得た。
このようにして調製したγ−FeOOHの10gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとしてエポキシ系樹脂エマルジョン(日立化成社製、W790)の15gとに、さらに水を加えて合計35gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料を実施例1と同様な方法で脱脂洗浄した耐候性鋼板(新日本製鉄社製コルテン鋼:70×150×5mm)の表面にステンレスワイヤーバーで均一に塗布した。そして、さらに80℃で乾燥し、約40μmの厚さの被覆層を耐候性鋼板の表面に形成した。これを被覆鋼板5とする。
このようにして作製した被覆鋼板5を、実施例1と同様な方法で電解し試験板5を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化カルシウム20g/Lを含む水系電解質液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は20Ω/cmであった。
このようにして得た試験板5を耐食性試験に供した。
<実施例6>
実施例5で得たγ−FeOOHを、さらに260℃程度で乾燥焼成することによりγ−Feを得た。
このようにして調製したγ−Feの10gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとしてエポキシ系樹脂エマルジョン(日立化成社製、W790)の3gとに、さらに水を加えて合計20gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。このようにして得られた被覆鋼板6とする。得られた被覆層の厚さは約20μmであった。
このように作製した被覆鋼板6を、実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は用いた電解液が塩化マグネシウム20g/Lを含む水系電解質液であり、さらに、電解電圧が2.5Vであることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は25Ω/cmであった。
このような方法でγ−Feにマグネシウムイオンを挿入した。
その後、水洗、乾燥したのち、この被覆層の保護層として、さらにポリエステル系粉体塗装を静電粉体塗装法で行った。そして、γ−Feを含む被覆層とこの保護層との合計の厚さを80μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板6とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm以上であった。
このようにして得た試験板6を耐食性試験に供した。
<実施例7>
実施例4と同じ方法で、実施例4と同じα−Feからなる被覆層を有する被覆鋼板7を得た。
このように作製した被覆鋼板7を、実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化カルシウム20g/Lを含む水系電解質液であり、電解時間が10分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は3Ω/cmであった。
このような方法でα−Feにカルシウムイオンを挿入した。
その後、水洗、乾燥したのち、この被覆層の保護層として、さらにカチオン電着塗装を行い、α−Feを含む被覆層とこの保護層との合計の厚さを30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板7とする。この保護層形成後の接触電気抵抗値は10Ω/cm以上であった。
このようにして得た試験板7を耐食性試験に供した。
<実施例8>
インサーション材料としてSnOを調製した。
まず、25gの塩化第一すずを、200gの蒸留水に溶解し、これを蒸発皿に移して乾燥させ、空気を供給しながら450℃で2時間焼成した。生成したSnOを粉砕して3μm以下の粒径としてSnO粉体を調製した。
このようにして調製したSnO粉体の10gと、導電性カーボン粉末の1gと、バインダーとして珪酸リチウム(濃度:20質量%)の5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料を、実施例1と鋼板に、実施例1と同じ方法で塗布した後、160℃で乾燥し、約20μmの厚さの被覆層を形成した。ここで得られた鋼板を被覆鋼板8とする。
このように作製した被覆鋼板8を、実施例1と同様な方法で電解し試験板8を得た。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化リチウム30g/Lを含む水系電解質液であり、さらに電解電圧が1.5Vであり、電解時間が5分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は10Ω/cmであった。
このようにして得た試験板8を耐食性試験に供した。
<実施例9>
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
このように作製した被覆鋼板1を実施例1と同様な方法で電解し試験板9を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム10g/Lと塩化マグネシウム10g/Lとを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cmであった。
このようにして得た試験板9を耐食性試験に供した。
<実施例10>
インサーション材料としてチタン酸リチウム(LiTi12)粒子(チタン工業製、LT−FP:平均粒子径 約1μm)を使用した。
そして、このチタン酸リチウムの90gと、導電性カーボン粉末の10gと、バインダーとしてポリ塩化ビニリデンエマルジョン(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックス、固形分20質量%)の48gと、スチレン−イソプレンスルホン酸共重合ポリマー(固形分40質量%)6gとに、さらに水を加えて合計200gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板10とする。得られた被覆層の厚さは約20μmであった。
このように作製した被覆鋼板10を実施例1と同様な方法で電解し試験板10を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵値は30Ω/cmであった。
このようにして得た試験板10を耐食性試験に供した。
<実施例11>
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
このように作製した被覆鋼板1を実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cmであった。
その後、水洗、乾燥し、この被覆層の保護層として、さらにアニオン性基であるスルホ基を有する樹脂を添加した水系塗料で水系塗装を行い、被覆層とこの保護層との合計の厚さを30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板11とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm以上であった。
このようにして得た試験板11を耐食性試験に供した。
<実施例12>
実施例3と同じ方法で調整したα−Feの8gと、導電性カーボン粉末の0.1gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50質量%、群栄化学工業社製)の4.0gとアクリル酸−スルホン酸共重合体ポリマー(日本触媒社製、アクアリック、固形分30質量%)の1.5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板12とする。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
このように作製した被覆鋼板12を実施例1と同様な方法で電解し試験板12を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵値は30Ω/cmであった。
このようにして得た試験板12を耐食性試験に供した。
<実施例13>
実施例3と同じ方法で被覆鋼板3を得た。
このように作製した被覆鋼板3を実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cmであった。
その後、実施例11と同じ方法でこの被覆層の保護層を形成した。被覆層とこの保護層との合計の厚さは30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板13とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm以上であった。
このようにして得た試験板13を耐食性試験に供した。
<比較例1>
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板1を、比較例1における試験板14とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cmであった。
<比較例2>
実施例2と同じ方法で被覆鋼板2を得た。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板2を、比較例2における試験板15とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は60Ω/cmであった。
<比較例3>
実施例3と同じ方法で調製したα−Feの8gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50質量%、群栄化学工業社製)の4gとに、さらに水を加えて合計20gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。このようにして得た鋼板を被覆鋼板16とした。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板16を、比較例3における試験板16とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は15Ω/cmであった。
このようにして得た試験板16を耐食性試験に供した。
<比較例4>
実施例5と同じ方法で被覆鋼板5を得た。
そして、これにはカルシウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板5を比較例4における試験板17とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は20Ω/cmであった。
このような実施例および比較例で作製した試験板について、中性の5%NaCl水溶液中での腐食電位をポテンシオスタットにより測定したところ、比較例では全てがほぼ鉄の腐食電位(−0.44Vvs.SHE)に近い数値を示したが、実施例では全ての試験板で鉄の腐食電位よりも0.2V以上低い−0.7〜−1.5Vvs.SHEの数値であった。
また、これらの実施例で作製した試験板の各々と、標準水素電極とをポテンシォスタットに接続し、NaCl水溶液(電解液)に浸した。そして、試験板の電位を+0.5Vとし、そのまま20分間保持した後、電解液中の元素分析を行った。
その結果、実施例1〜3および実施例8〜13の電解液中からリチウムイオンが検出された。同様に、実施例4、実施例6、実施例9ではマグネシウムイオンが、実施例5および7ではカルシウムイオンが検出された。これより、各々の試験板に形成された被覆層(実施例6、実施例7、実施例11、実施例13は上層塗装前のもの)には、アルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオン透過性があることが確認された。
前記実施例および比較例で作製した試験板の中央にカッターナイフで素地に達する幅約0.5mmのクロスカットをいれた試験板を用い、複合サイクル試験(CCT)により耐食性試験を行った。
この複合サイクル試験は、3%NaCl水溶液に浸漬したのち、50℃に保持した乾燥機にいれ1時間保持し、さらに1時間、50℃の湿潤環境で保持するサイクルを5サイクル行い、錆の程度により判定した。錆の程度は、観察面積に対する錆面積の百分率で示した。表1に試験結果を示した。
Figure 0004782601
前記実施例および比較例のうち、実施例1、3および実施例10〜13、比較例1、3で作製した試験板を用い、前記複合サイクル試験を更に5サイクル行い、計10サイクル行った。表2に試験結果を示した。
Figure 0004782601
図1は、本発明の製造方法の具体例の説明図である。
符号の説明
1 高耐食性金属材料
11 ステンレス板
12 被覆層
2 グラファイト製板
3 セパレータ
5 電解液
10 電解槽
15 整流器

Claims (28)

  1. 金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、
    前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、
    前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、
    前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法。
  2. 前記金属材料の前記表面の電位が、前記金属材料の腐食電位よりも0.1V以上低い請求項1に記載の金属材料の防食方法。
  3. さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を含む請求項1または2に記載の金属材料の防食方法。
  4. 前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の金属材料の防食方法。
  5. 金属材料の表面に被覆層を有する高耐食性金属材料であって、
    前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する高耐食性金属材料。
  6. 前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項5に記載の高耐食性金属材料。
  7. 前記インサーション材料の充放電電位が、標準水素電極基準で−1.8〜−0.4Vである請求項5または6に記載の高耐食性金属材料。
  8. 前記インサーション材料が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、炭素材料および有機導電性材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項5〜7のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  9. 前記アルカリ金属化合物が、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8に記載の高耐食性金属材料。
  10. 前記アルカリ土類金属化合物が、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウムおよびジルコニウム酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8または9に記載の高耐食性金属材料。
  11. 前記金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化錫、酸化バナジウムおよび酸化ニオブからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜10のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  12. 前記酸化鉄が、FeOOH、γ−Feおよびα−Feからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項11に記載の高耐食性金属材料。
  13. 前記炭素材料が、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークスおよびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜12のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  14. 前記有機導電性材料が、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜13のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  15. 前記被覆層が、有機および/または無機のバインダーを含む請求項5〜14のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  16. 前記有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する請求項15に記載の高耐食性金属材料。
  17. 前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項16に記載の高耐食性金属材料。
  18. 前記被覆層は、30〜40%の相対湿度条件下における表面の接触電気抵抗が1〜1010Ω/cmである請求項5〜17のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  19. 前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層有する請求項5〜18のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  20. 前記保護層が、粉体塗料、電着塗料、溶剤塗料および水系塗料からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いて形成される請求項19に記載の高耐食性金属材料。
  21. 前記保護層が、前記有機および/または無機のバインダーを含み、さらにこの有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する請求項19または20に記載の高耐食性金属材料。
  22. 前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホ基(−PO)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項21に記載の高耐食性金属材料。
  23. 前記金属材料が、鉄鋼材料である請求項5〜22のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
  24. 建築材料、橋梁部材、鉄塔、門扉、フェンス、手すり、車輌・船舶外装材、自動車鋼板、建築機械、自動車足回り部材、自転車、コンクリート用鉄筋、鋼管、レール、道路標識板、看板、ガードレール、家電製品外板またはボイラー、ガスもしくは水道の配管に用いられる請求項5〜23に記載の高耐食性金属材料。
  25. 請求項5〜24のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、
    前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する被覆層を、金属材料の表面に形成する工程と、
    その後、前記被覆層が形成された前記金属材料を、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを含有する電解液中でカソード分極して、前記インサーション材料中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入する工程とを具備する高耐食性金属材料の製造方法。
  26. さらに、前記カソード分極の後に、前記電解液を除去する工程を具備する請求項25に記載の高耐食性金属材料の製造方法。
  27. 請求項5〜24のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、
    前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入された前記インサーション材料を含有する組成物を、前記金属材料の表面に塗工することで前記被覆層を形成する高耐食性金属材料の製造方法。
  28. さらに、前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層形成する工程を具備する請求項25〜27のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法。
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