JP4782601B2 - 金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この方法は、鉄道レールやパイプライン、海洋構造物の防食などに使用されている。
そして、環境汚染の心配がない、豊富で安価な資源を使用したアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを挿入したインサーション材料を利用する新しい原理に基づく防食技術により、上記課題を解決できることを見出した。
(1)金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法。
(2)前記金属材料の前記表面の電位が、前記金属材料の腐食電位よりも0.1V以上低い上記(1)に記載の金属材料の防食方法。
(3)さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を含む上記(1)または(2)に記載の金属材料の防食方法。
(4)前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属材料の防食方法。
(6)前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(5)に記載の高耐食性金属材料。
(7)前記インサーション材料の充放電電位が、標準水素電極基準で−1.8〜−0.4Vである上記(5)または(6)に記載の高耐食性金属材料。
(8)前記インサーション材料が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、炭素材料および有機導電性材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む上記(5)〜(7)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(9)前記アルカリ金属化合物が、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)に記載の高耐食性金属材料。
(10)前記アルカリ土類金属化合物が、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウムおよびジルコニウム酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)または(9)に記載の高耐食性金属材料。
(12)前記酸化鉄が、FeOOH、γ−Fe2O3およびα−Fe2O3からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(11)に記載の高耐食性金属材料。
(13)前記炭素材料が、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークスおよびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)〜(12)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(14)前記有機導電性材料が、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(8)〜(13)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(15)前記被覆層が、有機および/または無機のバインダーを含む上記(5)〜(14)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(17)前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(16)に記載の高耐食性金属材料。
(19)前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層有する上記(5)〜(18)のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
(20)前記保護層が、粉体塗料、電着塗料、溶剤塗料および水系塗料からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いて形成される上記(19)に記載の高耐食性金属材料。
(22)前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである上記(21)に記載の高耐食性金属材料。
(24)建築材料、橋梁部材、鉄塔、門扉、フェンス、手すり、車輌・船舶外装材、自動車鋼板、建築機械、自動車足回り部材、自転車、コンクリート用鉄筋、鋼管、レール、道路標識板、看板、ガードレール、家電製品外板またはボイラー、ガスもしくは水道の配管に用いられる上記(5)〜(23)に記載の高耐食性金属材料。
(26)さらに、前記カソード分極の後に、前記電解液を除去する工程を具備する上記(25)に記載の高耐食性金属材料の製造方法。
(27)上記(5)〜(24)のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入された前記インサーション材料を含有する組成物を、前記金属材料の表面に塗工することで前記被覆層を形成する高耐食性金属材料の製造方法。
(28)さらに、前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層形成する工程を具備する上記(25)〜(27)のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法。
本発明は、金属材料の防食方法、高耐食性金属材料およびその製造方法である。
本発明の防食方法は、金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法である。
本発明で用いる金属材料は特に限定されず、例えば、鉄鋼、ステンレス鋼、めっき鋼、亜鉛、アルミニウム、銅などを挙げることができるが、鉄鋼材料(鉄鋼やステンレス鋼、およびこれらの表面に亜鉛等の各種めっきを施しためっき鋼)であることが最も好ましい。鉄鋼材料は、比較的卑な腐食電位を示すとともに、酸素および水分含有雰囲気下(例えば空気中)において形成される酸化皮膜に腐食防止効果がないので、カソード防食が効果的であるからである。
また、本発明の高耐食性金属材料は、このような金属材料の表面に被覆層を有する。
本発明において被覆層は、インサーション材料を含有する。
本発明で用いるインサーション材料は、固体/電解質(液体または固体)の物理界面を介してリチウムイオンなどのアルカリ金属イオンおよび/またはマグネシウムイオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンや水素イオンなどのイオンを固体としての形態を保ちながら出し入れする(インターカレーションまたはデインターカレーション)ことができる材料をいう。ここでは活性炭、ナノカーボンなどの高比表面積材料、多孔質材料も含まれる。
なお、ここで粒子径とは、顕微鏡または電子顕微鏡により測定した値である。
本発明において、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのイオンを意味する。
理由は、これらのイオンはイオン半径が小さいので前記インサーション材料へ挿入されやすく、挿入可能量も多いからである。さらに、後述するように被膜層の表面に形成され炭酸塩の層が水に溶解しにくいからである。
なお、この被覆層を形成する材料自体が、このようなイオンを透過する性質を具備していることが好ましいが、具備していなくても、インサーション材料と、後述する有機および/無機バインダー等との混合比(質量比)を50:1〜1:1とすることで、被覆層全体としてのアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備させることができる。
また、これらを任意に混合して用いてもよい。さらに、金属粒子、繊維、ガラス等を含有してもよい。この金属粒子、繊維、ガラス等の含有率は、50質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
このアニオン性基としては、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)、ペルオキシ基(−OOH)、イミノジ酢酸等を挙げることができる。これらの中でも、このアニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびフランシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がベリリウム、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
接触電気抵抗が低すぎると、被覆層中の電子が空気中の酸素や水と反応して失われやすいので好ましくない。このように被覆層表面の接触電気抵抗値が低すぎる場合には、樹脂などの高電気抵抗物質をコーティングまたは塗装したり後処理により酸化物等を表面に付着させて、後述する保護層を形成することにより接触電気抵抗値を高めることが好ましい。
この場合、後述するような、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを再度挿入して再生する作業が容易になるので好ましい。
このアニオン性基としては、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)、ペルオキシ基(−OOH)、イミノジ酢酸等を挙げることができる。これらの中でも、このアニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびフランシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
また、前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの種類がベリリウム、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンおよびラジウムイオンである場合には、この複数のアニオン性基がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)およびイミノジ酢酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つであることが好ましい。
本発明の被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを透過する性質を有するため、腐食性の使用環境において、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、インサーション材料から被覆層を透過して外部へ放出するとともに、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンをインサーション材料に挿入した際に同時に内部に蓄えられた電子も被覆層から金属材料の表面へ移動する。
そして、金属材料の表面が腐食しない卑な電位に保たれ、カソード防食効果が発現する。また、これらのアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが拡散により被覆層の表面に移動すると、空気中の炭酸ガスと反応し、安定な保護性の炭酸塩を主成分とする膜を形成する。そして、水素ガスの発生や溶存酸素の還元反応などの副反応が防止されることにより防食効果が持続する。
つまり、本発明の防食方法において、さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を設けることが好ましい。
本発明の被覆層は、その表面からアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが放出し、長期間の使用によりそのほとんど全てが放出されるが、このようなカソード分極を行えば、従来の亜鉛めっき等と異なり、再度効果を回復させることができる。
また、このような方法により、前記金属材料の前記表面の電位を、前記金属材料の腐食電位よりも低くすることが好ましい。
なお、カソード分極の具体的な方法は、後述の本発明の高耐食性金属材料の製造方法で示すものと同様である。
また、このような用途以外でも、鉄系材料をはじめとする一般の金属材料に使用できる。また、保護層として酸化チタンなどの光半導体層を設置することにより紫外線、光により防錆機能が維持される光カソード防食効果をあわせて得ることができる。
本発明の製造方法は、以下に示す2つ態様がある。以下、単に「本発明の製造方法」と示した場合は、この2つ態様を含むものとする。
なお、上記の本発明の高耐食性金属材料を製造する方法は、次に説明する本発明の製造方法に限定されるものではない。本発明の製造方法は、上記の本発明の高耐食性金属材料の製造方法の好ましい態様である。
また、前記被覆層形成後は、50〜120℃程度の条件下で乾燥することが好ましい。
この工程は上記の被覆層を金属材料の表面に形成する工程の後に行う。
図1では、高耐食性材料1とグラファイト製板2とが電解槽10に挿入され、リチウムイオンを含有する電解液5に完全に浸されている。ここで、高耐食性金属材料1は、上記の第1工程で製造されたものであり、ステンレス板11の表面に被覆層12を有している。さらに、この被覆層12はチタン酸リチウムを含有している。
本発明の製造方法の第2態様は、例えば、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料と、前記有機および/または無機バインダー等とを含有する組成物を、前記金属材料の表面に従来法、例えばステンレスワイヤーバーを用いて塗工することで前記被覆層を形成することができる。
硝酸第二鉄などの鉄の水溶性塩の水溶液に水酸化リチウム等のアルカリ水溶液を添加してFeOOHの沈殿を生成させ、この沈殿を必要に応じて洗浄し、100〜400℃で乾燥(焼成)する。このようにして本発明において特に好ましい材料のひとつであるα−Fe2O3を製造することができる。このα−Fe2O3はリチウムイオンが挿入されている。
このようにして得られたα−Fe2O3を粉砕し、適当なバインダー成分、溶媒成分と混合してインサーション材料を含む被覆層形成のための組成物とする。そして、この組成物を公知の方法で金属材料の表面に塗布することで、本発明の高耐食性金属材料を製造することができる。
具体的には、脱イオン水による洗浄や、アルコールなどの有機溶剤により置換するという方法で電解液を除去することができる。
インサーション材料としてチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)粒子(チタン工業社製、LT-FP:平均粒子径 約1μm)を使用した。
そして、このチタン酸リチウムの90gと、導電性カーボン粉末の10gと、バインダーとしてポリ塩化ビニリデンエマルジョン(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックス、固形分濃度:20質量%)の60gとに、さらに水を加えて合計200gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料をアルカリ洗浄剤(日本パーカライジング社製、FC−4360)で脱脂洗浄した鋼板(SPCC:70×150×0.8mm)の表面にステンレスワイヤーバーで均一に塗布した。そして、さらに80℃で乾燥し、約20μmの厚さの被覆層を鋼板表面に形成した。このようにして得られた鋼板を被覆鋼板1とする。
このように作製した被覆鋼板1を、六フッ化リンリチウム(LiPF6)を含むエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネート混合非水系電解質液中でカソード電解し試験板1を得た。処理に用いた具体的な装置は図1と同様であり、正極にはグラファイト製板を使用した。カソード電解は、3Vの電圧で20分間行って被覆層中にリチウムイオンを挿入した。ここで、試験板1の被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板1を耐食性試験に供した。
この接触電気抵抗値は、相対湿度30〜40%の環境下で、直径0.9mmφの黒鉛電極に100gの荷重をかけ、試験板の表面に垂直に黒鉛電極と試験板とを接触させて電位差(12V)を与え、試験板と黒鉛電極の間に流れる電流値から算出したものである。
インサーション材料として人造黒鉛微粉末(昭和電工社製、SCMG)を使用した。
そして、この人造黒鉛微粉末の50gと、バインダーであるポリフッ化ビニリデン粉末の8gとに、さらに水を加えて合計100gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板2とする。得られた被覆層の厚さは約80μmであった。
このように作製した被覆鋼板2を、実施例1と同じ方法で電解し試験板2を得た。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は60Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板2を耐食性試験に供した。
インサーション材料としてα−Fe2O3を調製した。
まず、60gの硝酸第二鉄(Fe(NO3)3・9H2O)を、500gの蒸留水に溶解し、これに8%の水酸化リチウム水溶液を135g添加して攪拌した。そして、さらに1%の過酸化リチウム(Li2O2)水溶液を20g添加してFeOOHの沈殿を得た。これを、洗浄、吸引ろ過し、沈殿を分離した後乾燥し、約300℃で焼成した。このようにしてα−Fe2O3調整した。なお、焼成後の沈殿は3μm以下に粉砕し、X線回折によりα−Fe2O3であることを確認した。
このようにして調製したα−Fe2O3の8gと、導電性カーボン粉末の0.1gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50%、群栄化学工業社製)の5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板3とする。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
このように作製した被覆鋼板3を、実施例1と同様な方法で電解し試験板3を得た。実施例1との相違点は電圧を3Vから2.5Vへ変更した点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は15Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板3を耐食性試験に供した。
30gの硝酸第二鉄(Fe(NO3)3・9H2O)と、20gの硝酸ナトリウムとを蒸留水に溶解して1000gとし、これを電解液とした電解処理を行った。
ここで、実施例1と同じ鋼板に同じ方法で脱脂洗浄したものをカソードとし、カーボン電極をアノード対極として電圧4Vで電解処理を10分間行った。
その後、カソードに使用した鋼板を水洗、乾燥し、200〜300℃で焼成して鋼板表面上にα−Fe2O3の被膜層を形成した。このようにして得られた鋼板を被覆鋼板4とする。この被膜層の厚さは1〜3μmであった。
このように作製した被覆鋼板4を、実施例1と同様な方法で電解し試験板4を得た。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化マグネシウム10g/Lを含む水系電解質液であり、さらに、電解時間が10分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は3Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板4を耐食性試験に供した。
インサーション材料としてγ−FeOOHを調製した。
まず、80gの塩化第一鉄(FeCl2・nH2O)に鉄粉3gを共存させてpHを弱酸性に調
整した。このような溶液を、約70℃に保持しながら空気を連続的に吹き込むことによりγ−FeOOHを得た。
このようにして調製したγ−FeOOHの10gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとしてエポキシ系樹脂エマルジョン(日立化成社製、W790)の15gとに、さらに水を加えて合計35gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料を実施例1と同様な方法で脱脂洗浄した耐候性鋼板(新日本製鉄社製コルテン鋼:70×150×5mm)の表面にステンレスワイヤーバーで均一に塗布した。そして、さらに80℃で乾燥し、約40μmの厚さの被覆層を耐候性鋼板の表面に形成した。これを被覆鋼板5とする。
このようにして作製した被覆鋼板5を、実施例1と同様な方法で電解し試験板5を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化カルシウム20g/Lを含む水系電解質液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は20Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板5を耐食性試験に供した。
実施例5で得たγ−FeOOHを、さらに260℃程度で乾燥焼成することによりγ−Fe2O3を得た。
このようにして調製したγ−Fe2O3の10gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとしてエポキシ系樹脂エマルジョン(日立化成社製、W790)の3gとに、さらに水を加えて合計20gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。このようにして得られた被覆鋼板6とする。得られた被覆層の厚さは約20μmであった。
このように作製した被覆鋼板6を、実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は用いた電解液が塩化マグネシウム20g/Lを含む水系電解質液であり、さらに、電解電圧が2.5Vであることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は25Ω/cm2であった。
このような方法でγ−Fe2O3にマグネシウムイオンを挿入した。
その後、水洗、乾燥したのち、この被覆層の保護層として、さらにポリエステル系粉体塗装を静電粉体塗装法で行った。そして、γ−Fe2O3を含む被覆層とこの保護層との合計の厚さを80μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板6とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm2以上であった。
このようにして得た試験板6を耐食性試験に供した。
実施例4と同じ方法で、実施例4と同じα−Fe2O3からなる被覆層を有する被覆鋼板7を得た。
このように作製した被覆鋼板7を、実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化カルシウム20g/Lを含む水系電解質液であり、電解時間が10分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は3Ω/cm2であった。
このような方法でα−Fe2O3にカルシウムイオンを挿入した。
その後、水洗、乾燥したのち、この被覆層の保護層として、さらにカチオン電着塗装を行い、α−Fe2O3を含む被覆層とこの保護層との合計の厚さを30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板7とする。この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm2以上であった。
このようにして得た試験板7を耐食性試験に供した。
インサーション材料としてSnO2を調製した。
まず、25gの塩化第一すずを、200gの蒸留水に溶解し、これを蒸発皿に移して乾燥させ、空気を供給しながら450℃で2時間焼成した。生成したSnO2を粉砕して3μm以下の粒径としてSnO2粉体を調製した。
このようにして調製したSnO2粉体の10gと、導電性カーボン粉末の1gと、バインダーとして珪酸リチウム(濃度:20質量%)の5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、この塗料を、実施例1と鋼板に、実施例1と同じ方法で塗布した後、160℃で乾燥し、約20μmの厚さの被覆層を形成した。ここで得られた鋼板を被覆鋼板8とする。
このように作製した被覆鋼板8を、実施例1と同様な方法で電解し試験板8を得た。実施例1との相違点は、用いた電解液が塩化リチウム30g/Lを含む水系電解質液であり、さらに電解電圧が1.5Vであり、電解時間が5分間であることのみであり、その他の条件は全て実施例1と同じ方法で電解した。ここで、被覆層の接触電気抵抗値は10Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板8を耐食性試験に供した。
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
このように作製した被覆鋼板1を実施例1と同様な方法で電解し試験板9を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム10g/Lと塩化マグネシウム10g/Lとを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板9を耐食性試験に供した。
インサーション材料としてチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)粒子(チタン工業製、LT−FP:平均粒子径 約1μm)を使用した。
そして、このチタン酸リチウムの90gと、導電性カーボン粉末の10gと、バインダーとしてポリ塩化ビニリデンエマルジョン(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックス、固形分20質量%)の48gと、スチレン−イソプレンスルホン酸共重合ポリマー(固形分40質量%)6gとに、さらに水を加えて合計200gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板10とする。得られた被覆層の厚さは約20μmであった。
このように作製した被覆鋼板10を実施例1と同様な方法で電解し試験板10を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵値は30Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板10を耐食性試験に供した。
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
このように作製した被覆鋼板1を実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cm2であった。
その後、水洗、乾燥し、この被覆層の保護層として、さらにアニオン性基であるスルホ基を有する樹脂を添加した水系塗料で水系塗装を行い、被覆層とこの保護層との合計の厚さを30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板11とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm2以上であった。
このようにして得た試験板11を耐食性試験に供した。
実施例3と同じ方法で調整したα−Fe2O3の8gと、導電性カーボン粉末の0.1gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50質量%、群栄化学工業社製)の4.0gとアクリル酸−スルホン酸共重合体ポリマー(日本触媒社製、アクアリック、固形分30質量%)の1.5gとに、さらに水を加えて合計30gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。これを被覆鋼板12とする。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
このように作製した被覆鋼板12を実施例1と同様な方法で電解し試験板12を得た。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。ここで、被覆層の接触電気抵値は30Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板12を耐食性試験に供した。
実施例3と同じ方法で被覆鋼板3を得た。
このように作製した被覆鋼板3を実施例1と同様な方法で電解した。実施例1との相違点は、電解液として塩化リチウム30g/Lを含む水系電解液を用いた点と、電圧を2.5Vとした点のみであり、その他の条件は全て実施例1と同じである。
ここで、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cm2であった。
その後、実施例11と同じ方法でこの被覆層の保護層を形成した。被覆層とこの保護層との合計の厚さは30μmとした。このようにして得られた鋼板を試験板13とする。
この保護層形成後の接触電気抵抗値は108Ω/cm2以上であった。
このようにして得た試験板13を耐食性試験に供した。
実施例1と同じ方法で被覆鋼板1を得た。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板1を、比較例1における試験板14とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は30Ω/cm2であった。
実施例2と同じ方法で被覆鋼板2を得た。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板2を、比較例2における試験板15とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は60Ω/cm2であった。
実施例3と同じ方法で調製したα−Fe2O3の8gと、導電性カーボン粉末の0.5gと、バインダーとして水溶性フェノール樹脂(濃度:50質量%、群栄化学工業社製)の4gとに、さらに水を加えて合計20gとしたものを均一に混合して被覆層形成用塗料とした。
次に、実施例1と同じ鋼板を、同じ方法で脱脂洗浄したものの表面に同じ方法で被覆層を形成した。このようにして得た鋼板を被覆鋼板16とした。得られた被覆層の厚さは約10μmであった。
そして、これにはリチウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板16を、比較例3における試験板16とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は15Ω/cm2であった。
このようにして得た試験板16を耐食性試験に供した。
実施例5と同じ方法で被覆鋼板5を得た。
そして、これにはカルシウムイオンの挿入は行わず、耐食性試験に供した。すなわち、被覆鋼板5を比較例4における試験板17とする。なお、被覆層の接触電気抵抗値は20Ω/cm2であった。
その結果、実施例1〜3および実施例8〜13の電解液中からリチウムイオンが検出された。同様に、実施例4、実施例6、実施例9ではマグネシウムイオンが、実施例5および7ではカルシウムイオンが検出された。これより、各々の試験板に形成された被覆層(実施例6、実施例7、実施例11、実施例13は上層塗装前のもの)には、アルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオン透過性があることが確認された。
この複合サイクル試験は、3%NaCl水溶液に浸漬したのち、50℃に保持した乾燥機にいれ1時間保持し、さらに1時間、50℃の湿潤環境で保持するサイクルを5サイクル行い、錆の程度により判定した。錆の程度は、観察面積に対する錆面積の百分率で示した。表1に試験結果を示した。
11 ステンレス板
12 被覆層
2 グラファイト製板
3 セパレータ
5 電解液
10 電解槽
15 整流器
Claims (28)
- 金属材料の腐食を防止する金属材料の防食方法であって、
前記金属材料の表面に被覆層を形成させる工程を有し、
前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備し、
前記インサーション材料中の前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが前記被覆層の表面から放出されることで前記金属材料の腐食が防止される金属材料の防食方法。 - 前記金属材料の前記表面の電位が、前記金属材料の腐食電位よりも0.1V以上低い請求項1に記載の金属材料の防食方法。
- さらに、連続的または断続的に、前記金属材料をカソード分極する工程を含む請求項1または2に記載の金属材料の防食方法。
- 前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の金属材料の防食方法。
- 金属材料の表面に被覆層を有する高耐食性金属材料であって、
前記被覆層は、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが挿入されたインサーション材料を含有し、かつ、電子伝導性を具備するとともに、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する高耐食性金属材料。 - 前記アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、リチウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項5に記載の高耐食性金属材料。
- 前記インサーション材料の充放電電位が、標準水素電極基準で−1.8〜−0.4Vである請求項5または6に記載の高耐食性金属材料。
- 前記インサーション材料が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、炭素材料および有機導電性材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項5〜7のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記アルカリ金属化合物が、チタン酸リチウム、鉄酸リチウム、バナジン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8に記載の高耐食性金属材料。
- 前記アルカリ土類金属化合物が、チタン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、ニオブ酸カルシウム、マンガン酸カルシウム、ジルコニウム酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、鉄酸マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、ニオブ酸マグネシウム、マンガン酸マグネシウムおよびジルコニウム酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8または9に記載の高耐食性金属材料。
- 前記金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化錫、酸化バナジウムおよび酸化ニオブからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜10のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記酸化鉄が、FeOOH、γ−Fe2O3およびα−Fe2O3からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項11に記載の高耐食性金属材料。
- 前記炭素材料が、グラファイト、活性炭、ナノカーボン、メソカーボン、コークスおよびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜12のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記有機導電性材料が、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8〜13のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記被覆層が、有機および/または無機のバインダーを含む請求項5〜14のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する請求項15に記載の高耐食性金属材料。
- 前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項16に記載の高耐食性金属材料。
- 前記被覆層は、30〜40%の相対湿度条件下における表面の接触電気抵抗が1〜1010Ω/cm2である請求項5〜17のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層有する請求項5〜18のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 前記保護層が、粉体塗料、電着塗料、溶剤塗料および水系塗料からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いて形成される請求項19に記載の高耐食性金属材料。
- 前記保護層が、前記有機および/または無機のバインダーを含み、さらにこの有機および/または無機のバインダーがアニオン性基を有する請求項19または20に記載の高耐食性金属材料。
- 前記アニオン性基が、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−PO3H2)およびペルオキシ基(−OOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項21に記載の高耐食性金属材料。
- 前記金属材料が、鉄鋼材料である請求項5〜22のいずれかに記載の高耐食性金属材料。
- 建築材料、橋梁部材、鉄塔、門扉、フェンス、手すり、車輌・船舶外装材、自動車鋼板、建築機械、自動車足回り部材、自転車、コンクリート用鉄筋、鋼管、レール、道路標識板、看板、ガードレール、家電製品外板またはボイラー、ガスもしくは水道の配管に用いられる請求項5〜23に記載の高耐食性金属材料。
- 請求項5〜24のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、
前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入可能なインサーション材料を含有し、かつ、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを透過する性質を具備する被覆層を、金属材料の表面に形成する工程と、
その後、前記被覆層が形成された前記金属材料を、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを含有する電解液中でカソード分極して、前記インサーション材料中に、前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンを挿入する工程とを具備する高耐食性金属材料の製造方法。 - さらに、前記カソード分極の後に、前記電解液を除去する工程を具備する請求項25に記載の高耐食性金属材料の製造方法。
- 請求項5〜24のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法であって、
前記アルカリ金属イオンおよび/または前記アルカリ土類金属イオンが挿入された前記インサーション材料を含有する組成物を、前記金属材料の表面に塗工することで前記被覆層を形成する高耐食性金属材料の製造方法。 - さらに、前記被覆層の表面に、前記被覆層よりも接触電気抵抗値が高い保護層を少なくとも1層形成する工程を具備する請求項25〜27のいずれかに記載の高耐食性金属材料の製造方法。
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