JP2018002789A - 複合材料および硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤を効率的かつ持続的に放出することができる複合材料を提供することである。
【解決手段】複合材料は、樹脂材料と、前記樹脂材料中に分散され、少なくとも一端に開口部を有するカーボンナノチューブ、および前記カーボンナノチューブに内包された薬剤を有する薬剤内包カーボンナノチューブと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、複合材料および硬化性樹脂組成物に関する。
従来、腐食等から基材を保護するために、基材の表面を覆うように樹脂材料からなる被膜が設けられている。しかし、従来の被膜においては、一部に損傷が発生すると、この部分を起点にして基材が連鎖的に腐食しやすい。例えば、被膜が損傷すると、この損傷した被膜に覆われていた部分の基材が腐食するとともに、その周囲の被膜が破壊され、この破壊された被膜に覆われていた部分の基材がさらに腐食する。
腐食を抑制する方法として、例えば、電気防食を併用する方法が挙げられる。しかし、電気防食を併用する場合、犠牲陽極材、電気装置等の追加の設備が必要となる。一方、腐食を抑制する方法として、被膜自体の性能を向上させる方法が挙げられる。被膜自体の性能を向上させる方法として、例えば、被膜から薬剤を放出させる方法が挙げられる。
薬剤の放出方法として、例えば、被膜を構成する樹脂材料自体に薬剤を保持させ、この樹脂材料の加水分解を利用して薬剤を放出させる方法が挙げられる。また、別の方法として、マイクロカプセルの内部に薬剤を保持させ、これを樹脂材料からなる被膜中に分散させる方法が知られている。マイクロカプセルの内部に薬剤を保持させる方法によれば、マイクロカプセルから徐々に薬剤が放出されることから、薬剤の放出期間を延長することができる。
特開平2−53875号公報
被膜から薬剤を放出させる場合、所定の効果を得るために薬剤を確実に放出させることが求められる。また、被膜から薬剤を放出させる場合、所定の効果を長期的に得るために薬剤を持続的に放出させることが求められる。
本発明が解決しようとする課題は、薬剤を確実にかつ持続的に放出することができる複合材料を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、このような複合材料を容易に製造することができる硬化性樹脂組成物を提供することである。
実施形態の複合材料は、樹脂材料と、前記樹脂材料中に分散され、少なくとも一端に開口部を有するカーボンナノチューブ、および前記カーボンナノチューブに内包された薬剤を有する薬剤内包カーボンナノチューブと、を有する。
実施形態の複合材料によれば、樹脂材料に薬剤内包カーボンナノチューブを分散させることにより、薬剤を確実にかつ持続的に放出させることができる。
実施形態の複合材料および被覆構造物を示す模式図である。 実施形態の複合材料および被覆構造物の作用を説明する概略図である。 実施形態の被覆構造物の変形例を示す断面図である。 実施例1で用いたカーボンナノチューブの先端のSTEM像である。 実施例1で用いた薬剤内包カーボンナノチューブのSTEM像である。 実施例1で用いた薬剤内包カーボンナノチューブの元素マッピング結果(炭素(C))を示す図である。 実施例1で用いた薬剤内包カーボンナノチューブの元素マッピング結果(酸素(O))を示す図である。 実施例1で用いた薬剤内包カーボンナノチューブの元素マッピング結果(ナトリウム(Na))を示す図である。 実施例1で用いた薬剤内包カーボンナノチューブの元素マッピング結果(リン(P))を示す図である。 腐食試験前における実施例2の試験片を示す図である。 腐食試験前における比較例1の試験片を示す図である。 腐食試験後(200時間経過後)における実施例2の試験片を示す図である。 腐食試験後(200時間経過後)における比較例1の試験片を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、実施形態の複合材料および被覆構造物を示す模式図である。
実施形態の被覆構造物10は、例えば、基材11および複合材料12を有する。複合材料12は、基材11を被覆するように被膜として設けられ、樹脂材料13と、この樹脂材料13中に分散された薬剤内包カーボンナノチューブ14と、を有する。薬剤内包カーボンナノチューブ14は、少なくとも一端に開口部15aを有するカーボンナノチューブ15と、このカーボンナノチューブ15に内包された薬剤16と、を有する。
カーボンナノチューブ15に薬剤16を内包させることにより、薬剤16を確実にかつ持続的に放出させることができる。例えば、薬剤16として防錆剤を用いることにより、基材11の腐食を確実にかつ持続的に抑制することができる。
具体的には、図2に示すように、複合材料12の一部が損傷した場合、基材11の一部が露出するとともに、新たな表面12aが形成される。このとき、新たな表面12aには、薬剤内包カーボンナノチューブ14の端部が露出する。薬剤内包カーボンナノチューブ14に用いられるカーボンナノチューブ15は少なくとも一端に開口部15aを有することから、この開口部15aから薬剤16としての防錆剤が放出されることにより、基材11の露出部分に薬剤16としての防錆剤が供給される。これにより、基材11の腐食が抑制される。
基材11の形状は、特に制限されるものではないが、板状、シート状、箔状等が挙げられる。また、基材11の構成材料は、特に制限されるものではないが、金属材料が挙げられる。金属材料としては、鉄系金属材料、アルミニウム系金属材料、亜鉛系金属材料、錫系金属材料等が挙げられる。なお、基材11は、各種の表面処理が行われたものでもよい。
樹脂材料13は、複合材料12におけるマトリックスを形成するものであり、公知の塗料等に用いられている樹脂材料を用いることができる。具体的には、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。樹脂材料13は、例えば、水中等での使用を考量して、非水溶性であることが好ましい。
薬剤内包カーボンナノチューブ14は、長手方向の全体が樹脂材料13中に配置されてもよいし、一端が露出するように樹脂材料13中に配置されてもよい。また、図1、図2においては、説明の都合上、薬剤内包カーボンナノチューブ14が一方向に延びるように配置されているが、薬剤内包カーボンナノチューブ14が延びる方向は互いに異なってもよい。
薬剤内包カーボンナノチューブ14は、カーボンナノチューブ15と、これに内包された薬剤16を有する。カーボンナノチューブ15は、筒状を有するものであり、少なくとも一端に開口部15aを有する。少なくとも一端に開口部15aを有することにより、内包された薬剤16を放出させることができる。カーボンナノチューブ15は、両端に開口部15aを有するものでもよい。
カーボンナノチューブ15は、単層構造のシングルウォールナノチューブ(SWNT)、二層構造のダブルウォールナノチューブ(DWNT)、多層構造のマルチウォールナノチューブ(MWNT)のいずれでもよい。
開口部15aは、カーボンナノチューブ15の製造と同時に形成されたものでもよいし、カーボンナノチューブ15の製造後に開口処理を行って形成されたものでもよい。
カーボンナノチューブ15として、例えば、カップスタック型カーボンナノチューブが挙げられる。カップスタック型カーボンナノチューブは、複数のカップが積層された構造を有する。また、個々のカップは、いずれも底部に孔部を有する。すなわち、カップスタック型カーボンナノチューブは、全体として筒状を有し、少なくとも一端に開口部15aを有する。カップスタック型カーボンナノチューブによれば、当初から開口部15aを有することから、開口処理が不要となるために好ましい。
カーボンナノチューブ15のアスペクト比は、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。アスペクト比が大きくなるほど、薬剤16の放出期間が長くなるために好ましい。アスペクト比の上限は必ずしも制限されないが、大きくなるほど複合材料12における分散性が低下することから、200以下が好ましい。なお、アスペクト比は、「長手方向の長さ/外径」により表される。
また、同様の理由から、カーボンナノチューブ15の長手方向における長さは、2nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、1000nm以上が特に好ましい。長手方向における長さの上限は必ずしも制限されないが、長くなるほど複合材料12における分散性が低下することから、10μm以下が好ましい。
なお、市販されているカーボンナノチューブは、必ずしもアスペクト比や長手方向における長さが一定ではない。このため、薬剤内包カーボンナノチューブ14を構成するカーボンナノチューブ15についても、必ずしも全てのものが上記したアスペクト比や長手方向における長さを満たす必要はなく、一部に上記したアスペクト比や長手方向における長さを満たさないものを含んでもよい。
カーボンナノチューブ15は、複合材料12中、0.01質量%以上含有されることが好ましい。すなわち、薬剤内包カーボンナノチューブ14は、複合材料12におけるカーボンナノチューブ15の含有量が0.01質量%以上となるように、その含有量が調整されることが好ましい。カーボンナノチューブ15の含有量が0.01質量%以上になると、薬剤内包カーボンナノチューブ14の効果が顕著に発揮される。
カーボンナノチューブ15の含有量は、複合材料12中、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましい。また、その上限は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
なお、複合材料12は、揮発成分を含んでいてもよい。複合材料12が揮発成分を含んでいる場合、カーボンナノチューブ15の含有量を求めるための基礎となる複合材料12の質量は揮発成分を含めた質量とする。
薬剤16は、各種の機能を有するものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、基材11の腐食を抑制する機能を有する防食剤、複合材料12に発生したき裂等の損傷を修復する機能(自己修復機能)を有する修復剤、基材11や複合材料12における表面の汚れを抑制する機能(防汚機能)を有する防汚剤が挙げられる。薬剤16の代表例として、例えば、防錆剤が挙げられる。
防錆剤は、無機酸系防錆剤、有機酸系防錆剤等を適宜選択して用いることができる。
無機酸系防錆剤としては、亜硝酸、リン酸、縮合リン酸(リン酸が2個以上縮合したものの塩)、亜リン酸、リン珪酸、ケイ酸、クロム酸、硝酸、ホウ珪酸、ホウ酸、メタホウ酸、モリブデン酸、リンモリブデン酸等の無機酸の塩が挙げられる。塩としては、金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。金属塩は、カドミウム、鉛、水銀、6価クロム等の有害な重金属を含まないことが好ましく、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、マグネシウム等から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
有機酸系防錆剤としては、有機酸類およびその塩(以下、有機酸塩ともいう。)を用いることができる。
有機酸類およびその塩としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシン酸、アルキルカルボン酸、二塩基酸等のカルボン酸、芳香族石油スルホン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リノール酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ドデカジエン二酸等のジカルボン酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
有機酸塩としては、有機酸とアミン化合物との塩、有機酸の金属塩、金属水酸化物塩、金属炭酸塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ドデシルアニリン、メチルベンジルアミン、アルキルジフェニルアミン、アルキルナフチルアミン等の芳香族アミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、環式アミン等が挙げられる。
有機酸の金属塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等が挙げられる。
防錆剤は、無機酸系防錆剤のみを用いてもよいし、有機酸系防錆剤のみを用いてもよいし、両者を混合して用いてもよい。無機酸系防錆剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。同様に、有機酸系防錆剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
薬剤16は、水溶性を有することが好ましい。水溶性を有する場合、水中で使用されたときに大きな効果を得ることができる。
薬剤16は、カーボンナノチューブ15の少なくとも内部に担持されていればよいが、内部および外部の両方に担持されてもよい。内部および外部の両方に担持される場合、内部だけに担持される場合に比べて、担持量が増加することから大きな効果を期待することができる。
なお、カーボンナノチューブ15の外部に薬剤16が担持されると、樹脂材料13と薬剤内包カーボンナノチューブ14との間の接着力が低下することがある。このような場合には、カーボンナノチューブ15の外部に薬剤16を担持させないことが好ましい。
なお、薬剤内包カーボンナノチューブ14は、薬剤16以外の成分を担持することができる。薬剤16以外の成分としては、薬剤16を担持させるときに用いた水分等が挙げられる。
薬剤16は、複合材料12中、0.01質量%以上含有されることが好ましい。すなわち、薬剤内包カーボンナノチューブ14は、複合材料12における薬剤16の含有量が0.01質量%以上となるように、その含有量が調整されることが好ましい。薬剤16の含有量が0.01質量%以上になると、薬剤内包カーボンナノチューブ14の効果が顕著に発揮される。
薬剤16の含有量は、複合材料12中、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましい。また、その上限は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
なお、薬剤16の含有量には、薬剤16を担持させるときに用いた水分は含めないものとする。また、カーボンナノチューブ15の内部および外部に薬剤16が担持されている場合、薬剤16の含有量は、カーボンナノチューブ15の内部および外部に担持された成分の合計とする。また、複合材料12が揮発成分を含んでいる場合、薬剤16の含有量を求めるための基礎となる複合材料12の質量は揮発成分を含めた質量とする。
複合材料12は、その効果を損なわない範囲において、樹脂材料13、薬剤内包カーボンナノチューブ14以外の成分を含有することができる。このようなものとしては、顔料、充填材、添加剤等が挙げられる。
顔料としては、カドニウム赤、べんがら、トルイジンレッド、黄鉛、鉄黄、チタン黄、ファストイエロー、アントラキノンイエロー、ベンジジンイエロー、酸化クロム、フタロシアニングリーン、紺青、群青、フタロンシアニンブルー、カーボンブラック、鉄墨、黒鉛等の無機顔料、有機顔料が挙げられる。
充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、酸化カルシウム、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、珪砂、寒水砂、金属粉等が挙げられる。
添加剤としては、増粘剤等の粘性調整剤、湿潤剤、分散剤等の界面活性剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、シランカップリング剤、防腐剤、防藻剤等が挙げられる。
図3に示すように、基材11と複合材料12との間にはアンダーコート17が設けられてもよい。アンダーコート17が設けられることにより、例えば、薬剤16が基材11に悪影響を及ぼすような場合、基材11に薬剤16が接触しにくくなり、基材11における薬剤16の悪影響が抑制される。
また、同図に示すように、複合材料12を覆うようにトップコート18が設けられてもよい。トップコート18が設けられることにより、例えば、複合材料12の表面から薬剤16を放出させる必要がない場合、この複合材料12の表面からの薬剤16の不要な放出を抑制することができる。
なお、図示しないが、複合材料12は、必ずしも基材11を覆うような被膜として用いられるものに限定されない。例えば、複合材料12は、それ自体が単独で用いられる部材であってもよい。このようなものとしては、電気・電子機器、機械、家電製品、車輌、建築物、容器、照明機器等を構成する部品が挙げられる。
複合材料12は、樹脂材料および薬剤内包カーボンナノチューブを含有する硬化性樹脂組成物を用いて製造することができる。例えば、複合材料12からなる被膜を形成する場合、硬化性樹脂組成物としての塗料組成物を基材11に塗布し、硬化させる。また、複合材料12からなる部材を形成する場合、硬化性樹脂組成物としての成形材料を成形し、硬化させる。
硬化性樹脂組成物は、樹脂材料および薬剤内包カーボンナノチューブの必須成分、必要に応じて添加される任意成分、例えば、硬化剤、硬化促進剤、溶媒、顔料、充填材、添加剤、等を混合して調製することができる。
硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂材料としては、硬化により被膜や部材を形成できるものであればよく、既に説明したように、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等を用いることができる。
硬化性樹脂組成物に用いられる薬剤内包カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブに薬剤を担持させることにより製造することができる。カーボンナノチューブとしては、市販のカーボンナノチューブを用いることができる。
薬剤の担持方法としては、公知の担持方法を採用することができる。このような担持方法としては、例えば、薬剤を含む溶液中にカーボンナノチューブを浸漬する方法、真空中で薬剤を蒸発させてカーボンナノチューブの内部に薬剤を導入する方法等が挙げられる。これらの方法においては、必要に応じて加熱を行うことができる。
なお、上記方法を採用した場合、カーボンナノチューブの内部および外部に薬剤が担持される。カーボンナノチューブの外部に担持された薬剤は、例えば、薬剤に対して溶解性を有する溶液中に、外部に薬剤が担持されたカーボンナノチューブを浸漬して洗浄することにより除去することができる。
塗布方法としては、一般的な塗布方法を採用することができる。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、フローコーター、ロールコーター、カーテンコーター等の器具または装置を用いた方法が挙げられる。また、ディッピング等を採用することもできる。成形方法についても、一般的な成形方法を採用することができる。
以下、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されない。
(実施例1)
カーボンナノチューブとして、GSIクレオス社製のカップスタック型カーボンナノチューブであるカルベール24PSを用意した。上記カーボンナノチューブは、カタログ上、外径が100nm程度、長手方向の長さが5μm程度、アスペクト比が50程度のものから主として構成されている。
図4に、上記カーボンナノチューブの先端のSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像を示す。同図からも明らかなように、上記カーボンナノチューブは、筒状を有するものであり、先端に開口部(図中、中央付近)を有する。
次に、上記カーボンナノチューブを水中に分散させ、さらに薬剤として防錆剤であるリン酸ナトリウムを添加し、カーボンナノチューブの内部および外部にリン酸ナトリウムを担持させた。その後、水分を蒸発させて、薬剤内包カーボンナノチューブを作製した。
図5に、薬剤内包カーボンナノチューブのSTEM像を示す。また、図6〜図9に、薬剤内包カーボンナノチューブのSTEM−EDX(Scanning Transmission Electron Microscope − Energy Dispersive X−ray Spectroscope)による元素マッピング結果(炭素(C)、酸素(O)、ナトリウム(Na)、リン(P))を示す。図5〜図9からも明らかなように、カーボンナノチューブの内部にリン酸ナトリウムが担持されていることがわかる。
次に、シリコーン樹脂に薬剤内包カーボンナノチューブを加えて3本ロールにより分散させた後、硬化剤を加えて硬化性樹脂組成物とした。この硬化性樹脂組成物を板状に成形し、硬化させて複合材料としての試験片を作製した。
ここで、上記複合材料は、カーボンナノチューブを8質量%含有するものである。なお、このカーボンナノチューブの含有量は、カーボンナノチューブ単独での含有量であり、カーボンナノチューブの内部および外部に担持されている薬剤や水分を含まないものである。
また、上記複合材料は、薬剤を16質量%含有するものである。なお、この薬剤の含有量は、カーボンナノチューブの内部および外部に担持されている薬剤の合計である。また、この薬剤の含有量は、薬剤単独での含有量であり、カーボンナノチューブに薬剤を担持するときに用いた水分を含まないものである。なお、カーボンナノチューブには、薬剤を担持するときに用いた水分が薬剤とともに担持されている。
別途、純水にpH指示薬としてのフェノールフタレインを滴下してフェノールフタレイン溶液を作製した。その後、フェノールフタレイン溶液に試験片を浮かべて、フェノールフタレイン溶液の色変化を観察した。その結果、試験片周辺のフェノールフタレイン溶液が赤変することが認められた。すなわち、試験片周辺のpHが8.3以上となっており、試験片から薬剤であるリン酸ナトリウムが有効に放出されることが認められた。
(実施例2)
実施例1の硬化性樹脂組成物を塗料組成物として用いて基材の表面に塗布し、硬化させて被膜を形成した。その後、被膜に傷部を設けて、図10に示すような塩水噴霧腐食試験用の試験片を作製した。なお、図10からも明らかなように、傷部は、2本の直線が交差した形状とし、基材が露出するものとした。
(比較例1)
薬剤内包カーボンナノチューブを含有しない硬化性樹脂組成物を塗料組成物として用いたことを除いて、実施例2と同様にして、図11に示すような腐食試験用の試験片を作製した。なお、上記硬化性樹脂組成物は、薬剤内包カーボンナノチューブを含有しないことを除き、実施例2の硬化性樹脂組成物と同様の組成を有する。
その後、実施例2および比較例1の試験片に対して以下に示すような腐食試験を実施し、その表面状態の変化を観察した。腐食試験は、大気中に実施例2および比較例1の試験片を隣り合うように並べて配置した後、両試験片に同時に塩水を噴霧することにより行った。塩水の濃度は、1000ppm程度とした。噴霧の回数は、200時間の試験時間に対して20回程度とした。
図12は、腐食試験後(200時間経過後)における実施例2の試験片を示したものである。実施例2の試験片については、腐食試験後(200時間経過後)も錆の発生は認められなかった。
一方、図13は、腐食試験後(200時間経過後)における比較例1の試験片を示したものである。比較例1の試験片については、腐食試験後(200時間経過後)に傷部を起点として広範囲に錆が発生することが認められた。なお、図示しないが、比較例1の試験片においては、8時間程度で傷部の部分に錆が発生することが認められた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…被覆構造物、11…基材、12…複合材料、13…樹脂材料、14…薬剤内包カーボンナノチューブ、15…カーボンナノチューブ、15a…開口部、16…薬剤。

Claims (9)

  1. 樹脂材料と、
    前記樹脂材料中に分散され、少なくとも一端に開口部を有するカーボンナノチューブ、および前記カーボンナノチューブに内包された薬剤を有する薬剤内包カーボンナノチューブと、
    を有することを特徴とする複合材料。
  2. 前記複合材料は、基材を被覆する被膜として用いられることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  3. 前記カーボンナノチューブの少なくとも一部のアスペクト比が3以上であることを特徴とする請求項1または2記載の複合材料。
  4. 前記カーボンナノチューブの少なくとも一部の長手方向の長さが2nm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合材料。
  5. 前記カーボンナノチューブは、前記複合材料中、0.01質量%以上50質量%未満含有されていることを特徴とする請求項1及至4のいずれか1項記載の複合材料。
  6. 前記薬剤は、水溶性を有することを特徴とする請求項1及至5のいずれか1項記載の複合材料。
  7. 前記薬剤は、防食剤、修復剤、防汚剤、防錆剤から選択される薬剤であることを特徴とする請求項1及至6のいずれか1項記載の複合材料。
  8. 前記薬剤は、ケイ酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、クロム酸塩、およびアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を有することを特徴とする請求項1及至7のいずれか1項記載の複合材料。
  9. 樹脂材料と、
    少なくとも一端に開口部を有するカーボンナノチューブ、および前記カーボンナノチューブに内包された薬剤を有する薬剤内包カーボンナノチューブと、
    を有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
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