JP2003016930A - 電界放射型電子源の製造方法 - Google Patents

電界放射型電子源の製造方法

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JP2003016930A
JP2003016930A JP2002122331A JP2002122331A JP2003016930A JP 2003016930 A JP2003016930 A JP 2003016930A JP 2002122331 A JP2002122331 A JP 2002122331A JP 2002122331 A JP2002122331 A JP 2002122331A JP 2003016930 A JP2003016930 A JP 2003016930A
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JP2002122331A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Honda
由明 本多
Koichi Aizawa
浩一 相澤
Takuya Komoda
卓哉 菰田
Tsutomu Kunugibara
勉 櫟原
Yoshifumi Watabe
祥文 渡部
Takashi Hatai
崇 幡井
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】信頼性の高い電界放射型電子源の製造方法を提
供する。 【解決手段】導電性基板の一部を構成する導電性層12
上に多結晶シリコン層3を形成した後、陽極酸化処理に
て多結晶シリコン層3の一部を多孔質化して多孔質多結
晶シリコン層4’を形成する。その後、多孔質多結晶シ
リコン層4’を不活性ガス中でアニールし、アニール後
の多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化するこ
とで強電界ドリフト層6’を形成する。次に、強電界ド
リフト層6’を不活性ガス中でアニールし、アニール後
の強電界ドリフト層6上に表面電極7を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料を用い
て電界放射により電子線を放射するようにした電界放射
型電子源の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電界放射型電子源として、例
えば米国特許3665241号などに開示されているい
わゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがあ
る。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタ
チップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部
を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに
対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真
空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として
高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端か
ら放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】しかしながら、スピント型電極は、製造プ
ロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッ
タチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面
発光装置やディスプレイなどへ応用する場合に大面積化
が難しいという問題があった。また、スピント型電極
は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エミ
ッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが存
在するような場合、放射された電子によって残留ガスが
プラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッタ
チップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端が
ダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、放
射される電子の電流密度や効率などが不安定になった
り、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問
題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種
の問題の発生を防ぐために、高真空(約10-5Pa〜約
10-6Pa)で使用する必要があり、コストが高くなる
とともに、取扱いが面倒になるという不具合があった。
【0004】この種の不具合を改善するために、MIM
(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxid
e Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されて
いる。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜
−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源
である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源
において電子の放出効率を高めるためには(多くの電子
を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜
厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の
膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に
電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、この
ような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸
化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率
(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合が
あった。
【0005】これらに対し、電子の放出効率を高めるこ
とができる電界放射型電子源として、近年では、例えば
特開平8−250766号公報に開示されているよう
に、シリコン基板などの単結晶の半導体基板を用い、そ
の半導体基板の一表面を陽極酸化することにより多孔質
半導体層(ポーラスシリコン層)を形成して、その多孔
質半導体層上に金属薄膜(導電性薄膜)よりなる表面電
極を形成し、半導体基板と表面電極との間に電圧を印加
して電子を放射させるように構成した電界放射型電子源
(半導体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】しかしながら、上述の特開平8−2507
66号公報に記載の電界放射型電子源では、電子放出時
にいわゆるポッピング現象が生じやすく、放出電子量に
むらが起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイ
装置などに応用すると、発光むらができてしまうという
不具合がある。
【0007】そこで、本願発明者らは、特願平10−2
72340号、特願平10−272342号において、
導電性基板と金属薄膜(表面電極)との間に介在し導電
性基板から注入された電子がドリフトする強電界ドリフ
ト層を酸化した多孔質多結晶シリコン層により構成した
電界放射型電子源を提案した。この電界放射型電子源1
0’は、例えば、図4に示すように、導電性基板たるn
形シリコン基板1の主表面側に酸化した多孔質多結晶シ
リコン層よりなる強電界ドリフト層6”が形成され、強
電界ドリフト層6”上に金属薄膜よりなる表面電極7が
形成され、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極
2が形成されている。なお、図4に示す例では、n形シ
リコン基板1と強電界ドリフト層6”との間にノンドー
プの多結晶シリコン層3を介在させてあるが、多結晶シ
リコン層3を介在させずにn形シリコン基板上に強電界
ドリフト層6”を形成した構成も提案されている。
【0008】図4に示す構成の電界放射型電子源10’
から電子を放出させるには、表面電極7に対向配置され
たコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極
21との間を真空とした状態で、表面電極7をn形シリ
コン基板1(オーミック電極2)に対して高電位側(正
極)となるように表面電極7とn形シリコン基板1との
間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極2
1が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ
電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加す
る。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、n形シ
リコン基板1から注入された電子が強電界ドリフト層
6”をドリフトし表面電極7を通して放出される(な
お、図4中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された
電子e-の流れを示す)。表面電極7には仕事関数の小
さな材料(例えば、金)が採用され、表面電極7の膜厚
は10nm〜15nm程度に設定されている。
【0009】上述の構成を有する電界放射型電子源1
0’では、表面電極7とオーミック電極2との間に流れ
る電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極21
と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流
(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図4参
照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流I
eの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率が高
くなる。なお、この電界放射型電子源10’では、表面
電極7とオーミック電極2との間に印加する直流電圧V
psを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させ
ることができる。
【0010】この電界放射型電子源10’では、電子放
出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピ
ング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で
放出することができる。
【0011】上述の電界放射型電子源10’では、強電
界ドリフト層6”が、導電性基板たるn形シリコン基板
1上にノンドープの多結晶シリコン層を堆積させた後
に、該多結晶シリコン層を陽極酸化処理にて多孔質化
し、多孔質化された多結晶シリコン層(多孔質多結晶シ
リコン層)を急速加熱法によって例えば900℃の温度
で酸化することにより形成されている。ここにおいて、
陽極酸化処理に用いる電解液としては、フッ化水素水溶
液とエタノールとを略1:1で混合した液を用いてい
る。また、急速加熱法によって酸化する工程では、ラン
プアニール装置を用い、基板温度を乾燥酸素中で図5に
示すように室温から900℃まで上昇させた後、基板温
度を900℃で1時間維持することで酸化し、その後、
基板温度を室温まで下降させている。
【0012】上述のようにして形成された強電界ドリフ
ト層6”は、図6に示すように、少なくとも、柱状の多
結晶シリコンのグレイン51と、グレイン51の表面に
形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間
に介在するナノメータオーダのシリコン微結晶63と、
シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結
晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜であるシリ
コン酸化膜64とから構成されると考えられる。すなわ
ち、強電界ドリフト層6”は、陽極酸化処理を行う前の
多結晶シリコン層に含まれていた各グレインの表面が多
孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持され
ているものと考えられる。したがって、強電界ドリフト
層6”に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64
に集中的にかかり、注入された電子はシリコン酸化膜6
4にかかった強電界により加速されグレイン51間を表
面に向かって図6中の矢印Aの向きへ(図6中の上方向
へ向かって)ドリフトするので、電子放出効率を向上さ
せることができる。なお、強電界ドリフト層6’の表面
に到達した電子はホットエレクトロンであると考えら
れ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出され
る。
【0013】ところで、上述の電界放射型電子源10’
では、導電性基板としてn形シリコン基板を用いている
が、図7に示すように、ガラス基板からなる絶縁性基板
11の一表面に導電性層12を形成したものを用いた電
界放射型電子源10”も提案されている。ここに、上述
の電界放射型電子源10’と同様の構成要素には同一の
符号を付して説明を省略する。
【0014】図7に示す構成の電界放射型電子源10”
から電子を放出させるには、表面電極7に対向配置され
たコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極
21との間を真空とした状態で、表面電極7が導電性層
12に対して高電位側(正極)となるように表面電極7
と導電性層12との間に直流電圧Vpsを印加するととも
に、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側と
なるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流
電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設
定すれば、導電性層12から注入された電子が強電界ド
リフト層6”をドリフトし表面電極7を通して放出され
る(なお、図7中の一点鎖線は表面電極7を通して放出
された電子e-の流れを示す。)上述の構成を有する電
界放射型電子源10”では、表面電極7と導電性層12
との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレ
クタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッ
ション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば
(図7参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッショ
ン電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出
効率が高くなる。なお、この電界放射型電子源10”で
は、表面電極7と導電性層12との間に印加する直流電
圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出
させることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
に陽極酸化処理にて形成された多孔質多結晶シリコン層
は、陽極酸化処理において電解液としてフッ化水素水溶
液とエタノールとの混合液を利用しているので、多孔質
多結晶シリコン層の最表面が図8に示すように水素原子
によって終端され、さらに多孔質多結晶シリコン層の表
面には水分が吸着していると考えられる。このため、陽
極酸化処理にて形成された多孔質多結晶シリコン層を図
5に示すような温度プロファイルにおいて900℃で酸
化させると、図9に示すように、水素原子が残ったり、
Si−OHの結合が生じたりして、SiO2という構造
の緻密な酸化膜にはなりにくく絶縁耐圧が低くなってし
まうという不具合があった。しかも、水素原子以外にフ
ッ素原子も強電界ドリフト層6”中に残ってしまうとい
う不具合があった。また、強電界ドリフト層6”中の水
素の含有量が比較的多くなり、強電界ドリフト層6”中
の水素の分布が経時変化する(例えば、水素原子が強電
界ドリフト層6”の表面から脱離する)ことにより、電
子放出効率の経時安定性が悪くなる恐れがある。また、
導電性基板の材料として金属材料を用いた場合には、導
電性基板と多結晶シリコン層のような多結晶半導体層と
の界面近傍にショットキ障壁が形成されたり、高抵抗の
アモルファス層が形成されたりして、結果的に導電性基
板から強電界ドリフト層6”への電子注入が阻害された
り、発熱による信頼性の低下につながることが考えられ
る。
【0016】本発明は上記事由に鑑みて為されたもので
あり、その目的は、信頼性の高い電界放射型電子源の製
造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するために、導電性基板と、導電性基板の一
表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強
電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された
表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極
として電圧を印加することにより導電性基板から注入さ
れた電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通
して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、
導電性基板の一表面上に半導体層を形成する工程と、陽
極酸化処理にて前記半導体層の少なくとも一部を多孔質
化することにより多孔質半導体層を形成する工程と、不
活性ガス中で多孔質半導体層をアニールする工程と、ア
ニール後の多孔質半導体層を酸化することにより強電界
ドリフト層を形成する工程とを有することを特徴とし、
陽極酸化処理にて形成された多孔質半導体層を不活性ガ
ス中でアニールした後に多孔質半導体層を酸化すること
で強電界ドリフト層が形成されるので、陽極酸化処理の
直後に多孔質半導体層に水分などが吸着した状態で多孔
質半導体層を酸化した場合に比べて強電界ドリフト層に
含まれる水素やフッ素などの不純物に起因した欠陥を低
減できるとともに、緻密な酸化膜を形成することがで
き、電子放出効率の経時変化が少なくて絶縁耐圧が高く
信頼性の高い電界放射型電子源を実現することができ
る。また、多孔質半導体層をアニールすることにより、
導電性基板と多孔質半導体層との界面近傍に導電性基板
の構成元素と多孔質半導体層の構成元素とからなる化合
物層や合金層を形成させたり、導電性基板と多孔質半導
体層との界面近傍での多孔質半導体層の結晶化を促進さ
せることができ、導電性基板と多孔質半導体層との界面
近傍でのショットキ障壁の高さを低くしたり界面近傍の
抵抗を低減することができるので、結果的に発熱による
特性劣化を防止することができて、電子放出効率が高く
且つ信頼性が高い電界放射型電子源を実現することがで
きる。
【0018】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記多孔質半導体層をアニールする工程は、100
℃から700℃の温度範囲で行うことを特徴とし、望ま
しい実施態様である。
【0019】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、O2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸
化工程、オゾンを用いた酸化工程から選択されるので、
酸化膜中に水分が取り込まれにくく、欠陥の比較的少な
い酸化膜を形成することができる。
【0020】請求項4の発明は、請求項1または請求項
2の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、電気化学的に酸化する工程なので、従来に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することが可能となり、プ
ロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少なくな
り、大面積化および低コスト化が容易になる。
【0021】請求項5の発明は、請求項4の発明におい
て、前記多孔質半導体層を酸化することにより強電界ド
リフト層を形成した後、強電界ドリフト層上に表面電極
を形成する以前に、真空中若しくは不活性ガス雰囲気中
で強電界ドリフト層をアニールする工程を有するので、
電気化学的に酸化した際に強電界ドリフト層中や強電界
ドリフト層の表面に取り込まれた水分などの不純物が強
電界ドリフト層のアニールにより取り除かれるから、酸
化膜中の欠陥を低減でき、信頼性を向上できる。
【0022】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、前記強電界ドリフト層をアニールする工程は、10
0℃から700℃の温度範囲で行うことを特徴とし、望
ましい実施態様である。
【0023】請求項7の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面
電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法で
あって、導電性基板の一表面上に半導体層を形成する工
程と、陽極酸化処理にて前記半導体層の少なくとも一部
を多孔質化することにより多孔質半導体層を形成する工
程と、多孔質半導体層を酸化する工程と、酸化した多孔
質半導体層を真空中若しくは不活性ガス中でアニールす
ることにより強電界ドリフト層を形成する工程とを有す
ることを特徴とし、陽極酸化処理にて形成された多孔質
半導体層を酸化した後で真空中若しくは不活性ガス中で
アニールすることで強電界ドリフト層が形成されるの
で、従来に比べて強電界ドリフト層に含まれる水素やフ
ッ素などの不純物に起因した欠陥を低減できるととも
に、緻密な酸化膜を形成することができ、電子放出効率
の経時変化が少なくて絶縁耐圧が高く信頼性の高い電界
放射型電子源を実現することができる。また、酸化した
多孔質半導体層をアニールすることにより、導電性基板
と強電界ドリフト層ないし前記半導体層との界面近傍に
導電性基板の構成元素と強電界ドリフト層ないし前記半
導体層の構成元素とからなる化合物層や合金層を形成さ
せたり、導電性基板と強電界ドリフト層ないし前記半導
体層との界面近傍での強電界ドリフト層ないし前記半導
体層の結晶化を促進させることができ、導電性基板と強
電界ドリフト層ないし前記半導体層との界面近傍でのシ
ョットキ障壁の高さを低くしたり界面近傍の抵抗を低減
することができるので、結果的に発熱による特性劣化を
防止することができて、電子放出効率が高く且つ信頼性
が高い電界放射型電子源を実現することができる。
【0024】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、前記酸化した多孔質半導体層をアニールする際に
は、100℃から700℃の温度範囲で行うことを特徴
とし、望ましい実施態様である。
【0025】請求項9の発明は、請求項7または請求項
8の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、O2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸
化工程、オゾンを用いた酸化工程から選択されるので、
酸化膜中に水分が取り込まれにくく、欠陥の比較的少な
い酸化膜を形成することができる。
【0026】請求項10の発明は、請求項7または請求
項8の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工
程は、電気化学的に酸化する工程なので、従来に比べて
低温で強電界ドリフト層を形成することが可能となり、
プロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少なく
なり、大面積化および低コスト化が容易になる。
【0027】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本実施形態では、
図1(g)に示すように導電性基板としてガラス基板か
らなる絶縁性基板11の一表面上に導電性層(例えば、
クロム膜などの金属膜やITO膜など)12を設けたも
のを用いている。このように絶縁性基板11の一表面側
に導電性層12を形成した基板を用いる場合には、導電
性基板として半導体基板を用いる場合に比べて、電子源
の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0028】本実施形態の電界放射型電子源10の基本
構成は、図7に示した従来構成と同じであって、図1
(g)に示すように、絶縁性基板11上の導電性層12
上に半導体層としてノンドープの多結晶シリコン層3が
形成され、多結晶シリコン層3上に酸化した多孔質多結
晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、
強電界ドリフト層6上に表面電極7が形成されている。
表面電極7には仕事関数の小さな材料(例えば、金)が
採用され、表面電極7の膜厚は10〜15nm程度に設
定されている。強電界ドリフト層6の構造については後
述する。なお、図1(g)の例では、導電性層12と強
電界ドリフト層6との間に多結晶シリコン層3の一部を
介在させてあるが、多結晶シリコン層3を介在させずに
導電性層12上に強電界ドリフト層6を形成した構成を
採用してもよい。
【0029】図1(g)に示す構成の電界放射型電子源
10から電子を放出させるには、図7に示した従来構成
と同様に、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極2
1(図7参照)を設け、表面電極7とコレクタ電極21
との間を真空とした状態で、表面電極7が導電性層12
に対して高電位側(正極)となるように表面電極7と導
電性層12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、
コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となる
ようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧
Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定す
れば、導電性層12から注入された電子が強電界ドリフ
ト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される。
【0030】以下、本実施形態の電界放射型電子源10
の製造方法について図1を参照しながら説明する。
【0031】まず、絶縁性基板11の一表面側にスパッ
タ法などによって導電性層12を形成して導電性基板を
構成することで図1(a)に示す構造が得られる。
【0032】その後、導電性基板の一表面側に所定膜厚
(例えば、1.5μm)の半導体層たるノンドープの多
結晶シリコン層3を形成(成膜)することにより図1
(b)に示す構造が得られる。なお、多結晶シリコン層
3の成膜方法としては、例えばCVD法(例えばLPC
VD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパ
ッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法など
を採用すればよい。
【0033】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、多結晶シリコン層3上に後述の多結晶多結晶シリ
コン層4’を所定領域にのみ形成するためのマスク材
(図示せず)を設け、その後、55wt%のフッ化水素
水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液より
なる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極
(図示せず)を負極、導電性層12を正極として、多結
晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極
酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層
4’が形成され、上記マスク材を除去することにより図
1(c)に示す構造が得られる。ここにおいて、本実施
形態では、陽極酸化処理の条件として、陽極酸化処理の
期間、多結晶シリコン層3の表面に照射する光パワーを
一定、電流密度を一定としたが、この条件は適宜変更し
てもよい(例えば、電流密度を変化させてもよい)。
【0034】上述の陽極酸化処理が終了した後、多孔質
多結晶シリコン層4’を不活性ガスであるN2ガス中で
400℃にてアニールすることにより、図1(d)に示
す構造が得られる。図1(d)中の4はアニール後の多
孔質多結晶シリコン層を示している。ここにおいて、ア
ニール前は多孔質多結晶シリコン層4’の最表面が図8
に示すように水素原子により終端されるとともに、フッ
素原子が多孔質多結晶シリコン層4’中に取り込まれ、
さらに多孔質多結晶シリコン層4’の表面に水分が吸着
していると考えられるが、上記アニールを行うことによ
って、アニール後の多孔質多結晶シリコン層4の最表面
は図2に示すように水素原子、フッ素原子および水分が
脱離した状態になると考えられる。多孔質多結晶シリコ
ン層4’をアニールする際の温度は、導電性基板の材料
や半導体層の材料などに応じて100℃〜700℃の温
度範囲で適宜に設定すればよい。なお、多孔質多結晶シ
リコン層4’をアニールする際の不活性ガスはN2ガス
に限らず、例えばArガスなどを採用してもよい。
【0035】次に、アニール後の多孔質多結晶シリコン
層4を1モルの硫酸(H2SO4)水溶液中で電気化学的
に酸化して強電界ドリフト層6’を形成することによ
り、図1(e)に示す構造が得られる。なお、電気化学
的な酸化の際に用いる水溶液および濃度は特に限定する
ものではなく、例えば硝酸水溶液などを用いてもよい。
【0036】上述の電気化学的な酸化が終了した後、強
電界ドリフト層6’を不活性ガスであるN2ガス中で4
00℃にてアニールすることにより、図1(f)に示す
構造が得られる。ここにおいて、図1(f)中の6はア
ニール後の強電界ドリフト層6を示している。強電界ド
リフト層6’をアニールする際の温度は、導電性基板の
材料や半導体層の材料などに応じて100℃〜700℃
の温度範囲で適宜に設定すればよい。なお、強電界ドリ
フト層6’をアニールする際の不活性ガスはN 2ガスに
限らず、例えばArガスなどを採用してもよい。また、
強電界ドリフト層6’のアニールは不活性ガス中に限ら
ず真空中で行ってもよい。
【0037】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に導電性薄膜(例えば、金薄膜)から
なる表面電極7を例えば蒸着法により形成することによ
って、図1(g)に示す構造の電界放射型電子源10が
得られる。なお、表面電極7の形成方法は蒸着法に限定
されるものではなく、例えばスパッタ法を用いてもよ
い。
【0038】ところで、上述の製造方法によって製造さ
れた電界放射型電子源10の強電界ドリフト層6は、従
来構成において図6を用いて説明した強電界ドリフト層
6”と同様に、少なくとも、柱状の多結晶シリコンのグ
レイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシ
リコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナノメ
ータオーダのシリコン微結晶63と、シリコン微結晶6
3の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径
よりも小さな膜厚の酸化膜であるシリコン酸化膜64と
から構成されると考えられる。ただし、本実施形態の電
界放射型電子源10では、陽極酸化処理にて形成した多
孔質多結晶シリコン層4’を不活性ガス中でアニールし
た後にアニール後の多孔質多結晶シリコン層4を酸化す
ることで強電界ドリフト層6’が形成され、強電界ドリ
フト層6’を不活性ガス中でアニールした後に表面電極
7を形成しているから、陽極酸化処理の直後に多孔質多
結晶シリコン層に水分などが吸着した状態で多孔質多結
晶シリコン層を酸化した場合に比べて強電界ドリフト層
6に含まれる水素やフッ素などの不純物に起因した欠陥
を比較的少なくすることができるとともに、SiO2
構造若しくはSiO2の構造に近い緻密な酸化膜を形成
することができ、電子放出効率の経時変化が少なくて絶
縁耐圧が高く信頼性の高い電界放射型電子源10を実現
することができる。また、多孔質多結晶シリコン層4’
をアニールすることにより、導電性層12と多結晶シリ
コン層3との界面近傍に導電性層12の構成元素と多結
晶シリコン層3の構成元素とからなる化合物層や合金層
を形成させたり、導電性層12と多結晶シリコン層3と
の界面近傍での多結晶シリコン層3の結晶化を促進させ
ることができ、導電性層12と多結晶シリコン層3との
界面近傍でのショットキ障壁の高さを低くしたり界面近
傍の抵抗を低減することができるので、結果的に発熱に
よる特性劣化を防止することができて、電子放出効率が
高く且つ信頼性が高い電界放射型電子源10を実現する
ことができる。
【0039】ところで、上述の製造方法では、アニール
後の多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化して
いるので、比較的低温でアニール後の多孔質多結晶シリ
コン層4を酸化することができるが、アニール後の多孔
質多結晶シリコン層4を酸化する工程は電気化学的な酸
化工程に限らず、O2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラ
ズマを用いた酸化工程、オゾンを用いた酸化工程などの
ドライプロセスを採用してもよく、これらの工程は電気
化学的な酸化工程のようなウェットプロセスではないか
ら、酸化工程後のアニールは必ずしも行う必要がなく、
電気化学的な酸化を行う場合に比べて工程数を削減でき
る。しかも、多孔質多結晶シリコン層4’のアニール処
理と、アニール後の多孔質多結晶シリコン層4の酸化処
理とを例えばランプアニール装置中で連続して行うこと
も可能となる。
【0040】(実施形態2)本実施形態では図3(f)
に示す構成の電界放射型電子源10の製造方法について
説明するが、電界放射型電子源10の基本構成は実施形
態1と同じなので、以下では製造方法についてのみ図3
を参照しながら説明する。
【0041】まず、絶縁性基板11の一表面側にスパッ
タ法などによって導電性層12を形成して導電性基板を
構成することで図3(a)に示す構造が得られる。
【0042】その後、導電性基板の一表面側に所定膜厚
(例えば、1.5μm)の半導体層たるノンドープの多
結晶シリコン層3を形成(成膜)することにより図3
(b)に示す構造が得られる。なお、多結晶シリコン層
3の成膜方法としては、例えばCVD法(例えばLPC
VD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパ
ッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法など
を採用すればよい。
【0043】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、多結晶シリコン層3上に後述の多結晶多結晶シリ
コン層4’を所定領域にのみ形成するためのマスク材
(図示せず)を設け、その後、55wt%のフッ化水素
水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液より
なる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極
(図示せず)を負極、導電性層12を正極として、多結
晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極
酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層
4’が形成され、上記マスク材を除去することにより図
3(c)に示す構造が得られる。ここにおいて、本実施
形態では、陽極酸化処理の条件として、陽極酸化処理の
期間、多結晶シリコン層3の表面に照射する光パワーを
一定、電流密度を一定としたが、この条件は適宜変更し
てもよい(例えば、電流密度を変化させてもよい)。
【0044】次に、多孔質多結晶シリコン層4’を1モ
ルの硫酸(H2SO4)水溶液中で電気化学的に酸化し
て、酸化した多孔質多結晶シリコン層からなる強電界ド
リフト層6’を形成することにより、図3(d)に示す
構造が得られる。なお、電気化学的な酸化の際に用いる
水溶液および濃度は特に限定するものではなく、例えば
硝酸水溶液などを用いてもよい。
【0045】上述の電気化学的な酸化が終了した後、強
電界ドリフト層6’を不活性ガスであるN2ガス中で4
00℃にてアニールすることにより、図3(e)に示す
構造が得られる。ここにおいて、図3(e)中の6はア
ニール後の強電界ドリフト層6を示している。強電界ド
リフト層6’をアニールする際の温度は、導電性基板の
材料や半導体層の材料などに応じて100℃〜700℃
の温度範囲で適宜に設定すればよい。なお、強電界ドリ
フト層6’をアニールする際の不活性ガスはN 2ガスに
限らず、例えばArガスなどを採用してもよい。また、
強電界ドリフト層6’のアニールは不活性ガス中に限ら
ず真空中で行ってもよい。
【0046】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に導電性薄膜(例えば、金薄膜)から
なる表面電極7を例えば蒸着法により形成することによ
って、図3(f)に示す構造の電界放射型電子源10が
得られる。なお、表面電極7の形成方法は蒸着法に限定
されるものではなく、例えばスパッタ法を用いてもよ
い。
【0047】ところで、上述の製造方法によって製造さ
れた電界放射型電子源10の強電界ドリフト層6は、従
来構成において図6を用いて説明した強電界ドリフト層
6”と同様に、少なくとも、柱状の多結晶シリコンのグ
レイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシ
リコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナノメ
ータオーダのシリコン微結晶63と、シリコン微結晶6
3の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径
よりも小さな膜厚の酸化膜であるシリコン酸化膜64と
から構成されると考えられる。ただし、本実施形態の電
界放射型電子源10では、陽極酸化処理にて形成された
多孔質多結晶シリコン層4’を酸化した後で真空中若し
くは不活性ガス中でアニールすることで強電界ドリフト
層6が形成されるから、従来に比べて強電界ドリフト層
6に含まれる水素やフッ素などの不純物に起因した欠陥
を低減できるとともに、SiO2の構造若しくはSiO2
の構造に近い緻密な酸化膜を形成することができ、電子
放出効率の経時変化が少なくて絶縁耐圧が高く信頼性の
高い電界放射型電子源10を実現することができる。ま
た、酸化した多孔質多結晶シリコン層をアニールするこ
とにより、導電性層12と多結晶シリコン層3との界面
近傍に導電性層12の構成元素と多結晶シリコン層3の
構成元素とからなる化合物層や合金層を形成させたり、
導電性層12と多結晶シリコン層3との界面近傍での多
結晶シリコン層3の結晶化を促進させることができ、導
電性層12と多結晶シリコン層3との界面近傍でのショ
ットキ障壁の高さを低くしたり界面近傍の抵抗を低減す
ることができるので、結果的に発熱による特性劣化を防
止することができて、電子放出効率が高く且つ信頼性が
高い電界放射型電子源を実現することができる。
【0048】ところで、上述の製造方法では、多孔質多
結晶シリコン層4を電気化学的に酸化しているので、従
来に比べて比較的低温で多孔質多結晶シリコン層4を酸
化することができるが、多孔質多結晶シリコン層4を酸
化する工程は電気化学的な酸化工程に限らず、O2ガス
を用いた熱酸化工程、O2プラズマを用いた酸化工程、
オゾンを用いた酸化工程などのドライプロセスを採用し
てもよく、これらの工程は電気化学的な酸化工程のよう
なウェットプロセスではないから、酸化膜中に水分が取
り込まれにくく、電気化学的な酸化を行う場合に比べて
欠陥の比較的少ない酸化膜を形成することができる。
【0049】ところで、上記各実施形態では、導電性基
板としてガラス基板からなる絶縁性基板11の一表面に
導電性層12を形成したものを用いているが、導電性基
板としては、クロムなどの金属基板を用いてもよいし、
半導体基板(例えば、抵抗率が導体の抵抗率に比較的近
いn形シリコン基板や、一表面側に導電性層としてn形
領域が形成されたp形シリコン基板など)などを用いて
もよい。絶縁性基板11もガラス基板の他にセラミック
基板などを用いることができる。
【0050】また、上記各実施形態では表面電極7の材
料として金を採用しているが、表面電極7の材料は金に
限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、クロ
ム、タングステン、ニッケル、白金などを採用してもよ
い。
【0051】また、表面電極7を厚み方向に積層された
少なくとも2層の薄膜層で構成してもよい。表面電極7
が2層の薄膜層で構成される場合には、上層の薄膜層の
材料として例えば金などを採用し、下層の薄膜層(強電
界ドリフト層6側の薄膜層)の材料として例えば、クロ
ム、ニッケル、白金、チタン、イリジウムなどを採用す
ればよい。
【0052】また、上記各実施形態では、強電界ドリフ
ト層6を酸化した多孔質多結晶シリコン層により構成し
ているが、強電界ドリフト層6を酸化した多孔質単結晶
シリコン、あるいはその他の酸化した多孔質半導体層に
より構成してもよい。
【0053】
【発明の効果】請求項1の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に
対して正極として電圧を印加することにより導電性基板
から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表
面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法
であって、導電性基板の一表面上に半導体層を形成する
工程と、陽極酸化処理にて前記半導体層の少なくとも一
部を多孔質化することにより多孔質半導体層を形成する
工程と、不活性ガス中で多孔質半導体層をアニールする
工程と、アニール後の多孔質半導体層を酸化することに
より強電界ドリフト層を形成する工程とを有するので、
陽極酸化処理にて形成された多孔質半導体層を不活性ガ
ス中でアニールした後に多孔質半導体層を酸化すること
で強電界ドリフト層が形成されるから、陽極酸化処理の
直後に多孔質半導体層に水分などが吸着した状態で多孔
質半導体層を酸化した場合に比べて強電界ドリフト層に
含まれる水素やフッ素などの不純物に起因した欠陥を低
減できるとともに、緻密な酸化膜を形成することがで
き、電子放出効率の経時変化が少なくて絶縁耐圧が高く
信頼性の高い電界放射型電子源を実現することができる
という効果がある。また、多孔質半導体層をアニールす
ることにより、導電性基板と多孔質半導体層との界面近
傍に導電性基板の構成元素と多孔質半導体層の構成元素
とからなる化合物層や合金層を形成させたり、導電性基
板と多孔質半導体層との界面近傍での多孔質半導体層の
結晶化を促進させることができ、導電性基板と多孔質半
導体層との界面近傍でのショットキ障壁の高さを低くし
たり界面近傍の抵抗を低減することができるので、結果
的に発熱による特性劣化を防止することができて、電子
放出効率が高く且つ信頼性が高い電界放射型電子源を実
現することができるという効果がある。
【0054】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、O2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸
化工程、オゾンを用いた酸化工程から選択されるので、
酸化膜中に水分が取り込まれにくく、欠陥の比較的少な
い酸化膜を形成することができるという効果がある。
【0055】請求項4の発明は、請求項1または請求項
2の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、電気化学的に酸化する工程なので、従来に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することが可能となり、プ
ロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少なくな
り、大面積化および低コスト化が容易になるという効果
がある。
【0056】請求項5の発明は、請求項4の発明におい
て、前記多孔質半導体層を酸化することにより強電界ド
リフト層を形成した後、強電界ドリフト層上に表面電極
を形成する以前に、真空中若しくは不活性ガス雰囲気中
で強電界ドリフト層をアニールする工程を有するので、
電気化学的に酸化した際に強電界ドリフト層中や強電界
ドリフト層の表面に取り込まれた水分などの不純物が強
電界ドリフト層のアニールにより取り除かれるから、酸
化膜中の欠陥を低減でき、信頼性を向上できるという効
果がある。
【0057】請求項7の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面
電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法で
あって、導電性基板の一表面上に半導体層を形成する工
程と、陽極酸化処理にて前記半導体層の少なくとも一部
を多孔質化することにより多孔質半導体層を形成する工
程と、多孔質半導体層を酸化する工程と、酸化した多孔
質半導体層を真空中若しくは不活性ガス中でアニールす
ることにより強電界ドリフト層を形成する工程とを有す
るので、陽極酸化処理にて形成された多孔質半導体層を
酸化した後で真空中若しくは不活性ガス中でアニールす
ることで強電界ドリフト層が形成されるから、従来に比
べて強電界ドリフト層に含まれる水素やフッ素などの不
純物に起因した欠陥を低減できるとともに、緻密な酸化
膜を形成することができ、電子放出効率の経時変化が少
なくて絶縁耐圧が高く信頼性の高い電界放射型電子源を
実現することができるという効果がある。また、酸化し
た多孔質半導体層をアニールすることにより、導電性基
板と強電界ドリフト層ないし前記半導体層との界面近傍
に導電性基板の構成元素と強電界ドリフト層ないし前記
半導体層の構成元素とからなる化合物層や合金層を形成
させたり、導電性基板と強電界ドリフト層ないし前記半
導体層との界面近傍での強電界ドリフト層ないし前記半
導体層の結晶化を促進させることができ、導電性基板と
強電界ドリフト層ないし前記半導体層との界面近傍での
ショットキ障壁の高さを低くしたり界面近傍の抵抗を低
減することができるので、結果的に発熱による特性劣化
を防止することができて、電子放出効率が高く且つ信頼
性が高い電界放射型電子源を実現することができるとい
う効果がある。
【0058】請求項9の発明は、請求項7または請求項
8の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工程
は、O2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸
化工程、オゾンを用いた酸化工程から選択されるので、
酸化膜中に水分が取り込まれにくく、欠陥の比較的少な
い酸化膜を形成することができるという効果がある。
【0059】請求項10の発明は、請求項7または請求
項8の発明において、前記多孔質半導体層を酸化する工
程は、電気化学的に酸化する工程なので、従来に比べて
低温で強電界ドリフト層を形成することが可能となり、
プロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少なく
なり、大面積化および低コスト化が容易になるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の製造方法を説明するための主要工
程断面図である。
【図2】同上の製造過程における要部説明図である。
【図3】実施形態2の製造方法を説明するための主要工
程断面図である。
【図4】従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図で
ある。
【図5】同上の製造方法の説明図である。
【図6】同上の電界放射型電子源の電子放出機構の説明
図である。
【図7】他の従来例を示す電界放射型電子源の動作説明
図である。
【図8】同上の製造過程における要部説明図である。
【図9】同上の製造過程における要部説明図である。
【符号の説明】
3 多結晶シリコン層 4’ 多孔質多結晶シリコン層 4 アニール後の多孔質多結晶シリコン層 6’ 強電界ドリフト層 6 アニール後の強電界ドリフト層 7 表面電極 10 電界放射型電子源 11 絶縁性基板 12 導電性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菰田 卓哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 櫟原 勉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 渡部 祥文 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 幡井 崇 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 5C127 AA01 CC15 CC18 DD07 DD08 DD09 DD34 DD76 DD77 DD78 DD99 EE17

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板と、導電性基板の一表面側に
    形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリ
    フト層と、該強電界ドリフト層上に形成された表面電極
    とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電
    圧を印加することにより導電性基板から注入された電子
    が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出
    される電界放射型電子源の製造方法であって、導電性基
    板の一表面上に半導体層を形成する工程と、陽極酸化処
    理にて前記半導体層の少なくとも一部を多孔質化するこ
    とにより多孔質半導体層を形成する工程と、不活性ガス
    中で多孔質半導体層をアニールする工程と、アニール後
    の多孔質半導体層を酸化することにより強電界ドリフト
    層を形成する工程とを有することを特徴とする電界放射
    型電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔質半導体層をアニールする工程
    は、100℃から700℃の温度範囲で行うことを特徴
    とする請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔質半導体層を酸化する工程は、
    2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸化工
    程、オゾンを用いた酸化工程から選択されることを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の電界放射型電子源
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多孔質半導体層を酸化する工程は、
    電気化学的に酸化する工程であることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の電界放射型電子源の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記多孔質半導体層を酸化することによ
    り強電界ドリフト層を形成した後、強電界ドリフト層上
    に表面電極を形成する以前に、真空中若しくは不活性ガ
    ス雰囲気中で強電界ドリフト層をアニールする工程を有
    することを特徴とする請求項4記載の電界放射型電子源
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記強電界ドリフト層をアニールする工
    程は、100℃から700℃の温度範囲で行うことを特
    徴とする請求項5記載の電界放射型電子源の製造方法。
  7. 【請求項7】 導電性基板と、導電性基板の一表面側に
    形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリ
    フト層と、該強電界ドリフト層上に形成された表面電極
    とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電
    圧を印加することにより導電性基板から注入された電子
    が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出
    される電界放射型電子源の製造方法であって、導電性基
    板の一表面上に半導体層を形成する工程と、陽極酸化処
    理にて前記半導体層の少なくとも一部を多孔質化するこ
    とにより多孔質半導体層を形成する工程と、多孔質半導
    体層を酸化する工程と、酸化した多孔質半導体層を真空
    中若しくは不活性ガス中でアニールすることにより強電
    界ドリフト層を形成する工程とを有することを特徴とす
    る電界放射型電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化した多孔質半導体層をアニール
    する際には、100℃から700℃の温度範囲で行うこ
    とを特徴とする請求項7記載の電界放射型電子源の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記多孔質半導体層を酸化する工程は、
    2ガスを用いた熱酸化工程、O2プラズマによる酸化工
    程、オゾンを用いた酸化工程から選択されることを特徴
    とする請求項7または請求項8記載の電界放射型電子源
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記多孔質半導体層を酸化する工程
    は、電気化学的に酸化する工程であることを特徴とする
    請求項7または請求項8記載の電界放射型電子源の製造
    方法。
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