JP4265102B2 - エレベータの管制運転装置 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、エレベータのピット内への冠水を検出し、冠水に対応して運転制御するとともに、冠水に対応して表示報知するエレベータの管制運転装置に関するものである。
背景技術
冠水を検出してエレベータの管制運転を行う従来の技術は、数多くある。例えば、特開昭53−36274号公報、特開昭60−213673号公報、特開昭62−89269号公報などが有り、いずれも、冠水を検出し、これによりエレベータを退避運転させたり、運転休止を行うことが記載されているが、これらは、いずれも冠水を一律に検出しているため冠水の速度に対応した運転となっていない。
冠水検出器を有し、これが動作すると、エレベータを冠水の恐れのない階に退避運転させ、以後のかご呼び及び乗場呼びへのサービスを禁止させる。又、退避階で運転休止させる。更には冠水したことを、かご、乗場、管理人室等に表示・報知する。
従来のエレベータの管制運転装置は以上のように構成されているので、冠水が急激な時、冠水が緩慢な時等冠水の速度に応じた運転できない為、冠水が急激なときで、本来ならエレベータを急停止させる必要が有る時でも、一律な退避運転を行う為、エレベータが走行中にエレベータの安全上重要な機器が冠水し、かご内乗客の安全が保証されないという問題点が有った。また、冠水が緩慢なときで、本来なら退避運転を行う必要が無い時でも、一律な退避運転を行う為、以後のエレベータ使用が出来なくなり、ビルの縦の交通機関としてのエレベータが機能しなくなり、エレベータ利用客は不便を被るという問題点が有った。
また、従来、特開平4−209180号公報に示されるように、かご上への漏水を検出すると警報を発するエレベータの管制運転装置が提案されている。
エレベーターの乗りかごの上に漏水検出装置を設け、その信号により警報を発報する警報手段とエレベーターの運行を制御する手段とを備えている。
従来のエレベータの管制運転装置は以上のように構成されているので、冠水の有無のみしか検出できなかった。このため、警報を発報した時にはすでにエレベーターが利用できない状態になっているという問題点が有った。
また、エレベーターの利用者も突然エレベーターが使えなくなることや、また、冠水状態から復帰するまでの経過が分からず乗客に不便を与えるという問題点が有った。
発明の開示
本発明は上記のような問題点を解決するために、なされたもので冠水の速度を計測し、冠水の速度に合う最適な冠水時管制運転を提供するエレベータの管制運転装置を得ることを目的とする。また、万一の場合に備えて、バックアップ用の冠水時管制運転を行うエレベータの管制運転装置を得ることを目的とする。
また、冠水の状況を把握し表示報知することで、冠水時の増水・減水状態を管理人などに知らせることで、冠水状況に対応した処置を行えると共に、乗客にも今後のエレベーターの利用予測を事前に知らせ、利用しやすいエレベータの管制運転装置を得ることを目的とする。
本発明に係わるエレベータの管制運転装置は、エレベータの昇降路内の冠水量を検出する冠水検出器と、この冠水検出器の検出値を基に冠水速度を求める冠水速度演算手段と、この冠水速度演算手段で演算された冠水速度を基に、エレベータの冠水管制運転方法を設定し、エレベータに指令する冠水管制運転指令手段とを備えたものである。このことにより、昇降路内の水位の上昇状態を冠水速度として検出演算し、最適タイミングで冠水管制運転を実施することができる。すなわち、一律な管制運転の開始でなく、例えば急激な水位上昇時は緊急にエレベータを停止させ、ゆっくりとした水位上昇による冠水時には乗客をかご内に閉じ込めることなく、目的階に送り届けた後に避難階に回送する管制運転方法を取ることもできる。
また、冠水検出器で検出した冠水量と冠水速度演算手段で演算された冠水速度の少なくとも一つを基に、今後の冠水の進行状態を予測する冠水予測手段を備え、冠水管制運転指令手段は上記冠水予測手段の予測結果を基に、冠水管制運転方法を設定するものである。このことにより、例えば、運転を停止すべき時期を予測することにより、その時点までのエレベータの運行方法を判断することが容易になり、より最適タイミング・最適方法で冠水管制運転を実施することができる。
また、冠水検出器で検出した冠水量と冠水速度演算手段で演算された冠水速度と冠水予測手段で予測された今後の冠水状況との少なくとも一つを表示形態に編集する表示内容形成手段と、この表示内容形成手段で編集形成された内容を表示する冠水表示器とを備えたものである。このことにより、冠水の状況をエレベータの利用客あるいは管理者に知らせることができるので、利用客にとっては普段と異なる運行となるに冠水管制運転に対して、その理由を知ることで不安を和らげることができ、また管理人にあっては適正な対応を速やかに実施することが可能となる。
また、冠水表示器は、昇降路内の冠水を検出して冠水量が所定の水位へ到達するまでの予測時間を表示するものである。このことにより、運転停止するまでの時間を冠水表示器で表示・報知することで、利用者あるいは管理人に今後を推測できる情報を与えることができる。従って、利用者にとってはエレベータが利用できなくなる理由が認識できるので通常と異なる動きをしても理解できる。
また、昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第1の所定の速度以上のとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを即時停止させるものである。このことにより、例えば所定の水位がエレベータの運転継続を困難とするものである時、それまでの時間が最寄り階まで通常走行を続け停止するに要する時間より短い場合には、即時停止させるもので、少なくとも所定の水位に達する前に停止させ、運転上の異常事態の発生を未然に防ぐことができる。
また、昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第1の所定の速度以内で、かつ第2の所定の速度以上であるとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを最寄り階に停止させるものである。このことにより、例えば所定の水位がエレベータの運転継続を困難とするものである時、それまでの時間が最寄り階まで通常走行を続け停止するに要する時間より長い場合であって、複数階床を運転継続するには短い場合には、エレベータを最寄り階まで運転させ、そこで休止させることで、エレベータの乗客を急停止によりかご内に閉じ込めることなく最寄り階で降車させることができる。尚この後、第2の所定時間に達していなければ、必要に応じて乗客を乗せないまま、避難階まで運転することもできる。
また、昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第2の所定時間以内のとき、冠水管制運転指令手段はエレベータに新規の呼びの割り当てを阻止し、すでに割り当て済の呼びの少なくとも一つに応答した後、エレベータを最寄りの避難階に停止させるものである。このことにより、例えば所定の水位がエレベータの運転継続を困難とするものである時、その水位に達するまで十分な余裕時間がある時には、最小限その時点で割り当てられている呼びに答えた後に最寄りの避難階にかごを着床させるもので、利用者に対し、すでに予定されているサービスを実施した上でエレベータを休止させることで、利用者に違和感を与えること無しに休止させることができる。ちなみに、新規に発生する呼びに対しては、他号機に割り当てることが可能であり、また応答できたエレベータがこの1台のみしかない場合でも新たな呼びの登録ができないだけであり、すでに受け付けた呼びに対してその余裕時間の中で実行するものである。
また、冠水検出器が冠水を検出したとき、終端近傍の所定の階床には応答させないものである。このことにより、昇降路内の冠水は、通常下部のピットに溜まっていくことが普通であり、かごが最下階に停止する時、あるいはかごが最上階にある場合は釣合い重りが最下階に位置する時に冠水の影響を受けることとなる。従って、冠水を検出した時には終端近傍の所定の階床へはかごを運転しないようにして、かごあるいは釣合い重りが水に浸かることの無いようにするものである。
また、少なくとも冠水検出器が検出すべき範囲の水位を検出する補助冠水検出器を備え、上記冠水検出器が検出すべき範囲の水位で動作しないで、上記補助検出器が動作したとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを最寄りの避難階に停止させるものである。このことにより、補助冠水検出器が冠水を検出している時、冠水検出器が同等の冠水を検出しない場合には冠水検出器1に何らかの異常が発生している可能性がある。このような場合には実際に水位が上昇している恐れがあり、エレベータを早急に安全な所に待避させる必要がある。そこで最寄りの避難階まで運行し停止させることで、検出器の故障からエレベータにダメージを与えることを防ぐことができる。
また、昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達すること無しに減少するとき、冠水予測手段は運転再開を可能とする水位に達する時間を推定し、冠水表示器は上記推定された復帰予測時間を表示するものである。このことにより、利用者あるいは管理人に今後を推測できる情報を与えることができる。従って、復旧するまでの予測もできるので利用者が焦燥感を持つようなことも無い。
また、昇降路内の冠水量が運転再開を可能とする水位に達したとき、冠水管制運転指令手段は冠水管制運転を解消し通常運転に復帰させるものである。このことにより、冠水がエレベータを停止することを要するレベルまで達せずに止まり、その後減少することがあれば運転を再開してもエレベータにダメージを与えるようなことはない。そこで運転再開が可能となるまでの時間が推定できる場合には、その時間に合わせて冠水管制運転を解消するように事前に準備を開始し、適正な水位になった所で冠水管制運転を解消することで、保守員の到着を待つこと無しに適時に運転再開できるので、早期復旧が可能となりサービスが向上する。
また、昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達すると、水位が減少しても冠水管制運転を継続するものである。このことにより、冠水がエレベータを停止することを要するレベルまで達した場合には、エレベータに何らかのダメージが発生している可能性があり、冠水の水位が減少しても自動的に運転再開すると異常が発生する可能性があり、運転再開させないほうがよい。そこで冠水管制運転を継続させ、再開には例えば保守員の点検後とすることにより安全性を高めることができる。
また、復帰スイッチを設け、冠水管制運転が継続されているとき、上記復帰スイッチを操作することで冠水管制運転の指令を解除するものである。
このことにより、保守員が点検し、その結果運転再開しても問題ないと判断される時に、復帰スイッチを操作するだけで運転再開することができる。
発明を実施するための最良の形態
次に、本発明の実施の形態について以下のとうり説明する。
実施の形態1.
第1図は、本発明の実施の形態1によるエレベータの管制運転装置を示すブロック図である。
この第1図において、1は冠水検出器であり、昇降路内ピットに進入した水など主に液体からなる進入物質を検出するもので、少なくとも2レベル以上、通常は連続的に水位(液量)を検出するものである。その検出方法には種々あり、例えば、水位検出素子を深さに応じて複数配置するもの、あるいは垂直に連通管を立て上端より液面に超音波などを照射し、その反射信号を計測するものなどである。
2は冠水速度演算手段であり、冠水検出器1の検出値を基に冠水の変化量を求めるものである。3は冠水管制運転指令手段であり、冠水速度演算手段2で演算された冠水速度を基に、一つもしくは複数の中から選択されたエレベータの管制運転方法をエレベータに指令するものである。
4は冠水予測手段であり、冠水検出器1で検出した冠水量と冠水速度演算手段2で演算された冠水速度の少なくとも一つを基に、今後の冠水の進行状態を予測するものである。
5は表示内容形成手段であり、冠水検出器1で検出した冠水量と冠水速度演算手段2で演算された冠水速度と冠水予測手段4で予測された今後の冠水状況の少なくとも一つを表示形態に編集するものである。6はエレベータの冠水状況を表示する冠水表示器であり、表示内容形成手段5で編集形成された内容を表示する。
7は昇降路内ピットの冠水が冠水検出器1における所定の水位近傍に到達したことを検出する補助冠水検出器であり、絶対水位を少なくとも1レベル計測できればよいので、例えば浮子式の水位計を設けることで実現できる。
8は、冠水後保守員によって当該エレベータが復帰させて運転可能かを点検し、OKの場合にこのスイッチを一度投入し、通常運転に戻すための復帰スイッチである。
9は、エレベータ制御装置である。
本発明の実施の形態1によるエレベータの管制運転装置の動作を一つの冠水状況において第2図のタイムチャートにより説明する。
この例のエレベータでは、昇降路内の冠水に対する排水設備(図示せず)があり、進入する水と排水される水との差によって冠水の増減が変化するものである。
昇降路内の冠水が始まり、時間tにおいて、第2の所定水位に達し、この時まだ水位は増加しており、その時の冠水速度から第1の所定水位になるまでの予測時間を演算したものがTである。このTを所定時間と比較することにより複数のエレベータの管制運転方法から抽出され、その時点の状況に適応した管制運転が指令される。
その後上昇した水位はいったん減少になる。そして時間tにおいてエレベータの運転を復帰させる復帰予測時間を推定したものがTである。例えば、この復帰予測時間を表示することにより、利用客に復帰までの推定待ち時間を示し、利用者の不満を解消することができる。
その後、水位は再度上昇し、時間tになると冠水速度が非常に増加し、冠水予測時間がTのように短くなる。従って、その時点の状況に適応した管制運転が指令される。しかし、この時点でのエレベータは前に出された管制運転指令に基づいて停止中であり、特に運転する必要はない。但し、前の管制運転指令で階間に停止しているものがあれば、冠水予測時間が遠のいた時に最寄り階まで運転し、乗客が、かごの中に残って居る場合に救出することが可能となる。次に水位は、また減少に転じ時間tにおいて冠水運転を解除してよい第2の所定水位になり、冠水運転指令は解除される。
この例の場合に水位は第1の所定水位に達していないので、保守員の復帰スイッチの操作を待つことなく、通常運転に戻ることができる。予測時間T、T、Tに応じて冠水管制運転の方式が選択され、またその内容に促した表示が冠水表示器6に表示され、木目の細かいサービスを実行することができる。
さらに、本発明の実施の形態1によるエレベータの管制運転装置の動作を第3図のフローチャートにより説明する。
まず、S301で冠水検出器1が動作していなければ、S302で冠水表示器6の表示を解消する。冠水検出器1が動作していれば、S303に進み、管制継続フラグをチェックする。管制継続フラグがセットされていなくて、S304で補助冠水検出器7が動作していなければ、S305に進み、水位が第1の所定の水位に到達しているか否かを確認する。第1の所定の水位に到達していなけいれば、S306で冠水の増減をチェックする。冠水が増えていれば、S307において水位が第1の所定の水位に到達するまでの冠水時間を予測する。次にS308に進み、予測時間が第1の所定時間以内、すなわち冠水の予測増水速度が第1の所定の速度以上であればS309でエレベータを即時停止させる冠水運転指令を出し、その旨冠水表示器6に表示する。
S308で、予測時間が第1の所定時間を越えていればS310に進み、予測時間が第2の所定時間以内、すなわち冠水の予測増水速度が第1の所定の速度以下で、第2の所定の速度以上であればエレベータを最寄りの階に停止させる冠水運転指令を出し、その旨冠水表示器6に表示する。予測時間が第2の所定時間以上、すなわち冠水の予測増水速度が第2の所定の速度以下であればS312で新規の呼登録を禁止し、既存の呼びに応答した後最寄り階に停止させる冠水運転指令を出し、その旨冠水表示器6に表示する。
S306で冠水が減少していれば、S313で水位が第2の所定の水位にまで減少する時間つまりエレベータの運転を復帰させる時間を予測する。さらに、S314に進み、水位が第2の所定の水位以下であればS315でエレベータの冠水管制運転指令を解除する。水位が第2の所定の水位まで減少していなければ、復帰予測時間を冠水表示器6に表示する。
S303で、管制継続フラグがセットされているとき、また、S304で補助冠水検出器7が動作しS317でエレベータを冠水の恐れのない最寄りの避難階に停止させる冠水管制運転を指令するとき、またS305で水位が第1の所定の水位に到達しているとき、いずれもS318に進む。ここで冠水管制運転を継続し、管制継続フラグをセットする。次にS319で復帰スイッチを操作すれば管制継続フラグをオフセットする。
なお、S301の「冠水検出器は動作したか?」は、状況に応じて「第2の所定水位を超えたか?」としても変わらない効果を得ることができる。特に後者ではわずかな冠水では問題としないエレベータにおいては水の浸入で即時冠水管制運転に入ることが無く、通常サービスを継続することで利用客の利便性に寄与する。
実施の形態2.
第4図は、冠水検出器のエレベータピット内への取り付け図である。第5図は、冠水速度の説明図である。第6図は、本発明の実施の形態2によるエレベータ管制運転装置の動作を示すフローチャートである。
なお、エレベータ管制運転装置の構成は基本的には第1図の構成と同じである。
以下に図について詳細説明をする。
冠水検出器1は、第4図に示すようにピット内に設けられ、ピット底面に近接した位置での冠水を検出出来る様に設置された、第1の冠水検出器1aと第1の冠水検出器1aよりピット底面から高い位置に設置されている第2の冠水検出器1bとで構成されている。補助冠水検出器7は第2の冠水検出器1bより高い位置に設置され、冠水検出する。
本発明の実施の形態2によるエレベータの管制運転装置の動作を一つの冠水状況において第5図により説明する。
横軸に時間(単位は秒)、縦軸に冠水検出器の動作を示す。第1の冠水検出器1aが動作してから第2の冠水検出器1bが動作するまでの時間(間隔)で冠水速度を検出する。第1の冠水検出器1aが動作してから第2の冠水検出器1bが動作する迄の時間が第1の一定時間(例えば4秒)以内の時、急激な冠水速度とし、図ではAの領域がこれに概当する。また、第1の冠水検出器1aが動作してから第2の冠水検出器1bが動作する迄の時間が第2の一定時間(例えば8秒)以内の時、早い冠水速度とし、図ではBの領域がこれに概当する。さらに、第1の冠水検出器1aが動作してから第2の冠水検出器1bが動作するまでの時間が第3の一定時間(例えば24秒)以内と時、普通の冠水速度とし、図ではCの領域がこれに概当する。そして、第1の冠水検出器1aが動作してから第2の冠水検出器1bが動作するまでの時間が第3の一定時間を超える時、遅い冠水速度とし、図ではDの領域がこれに概当する。
次に、本発明の実施の形態2によるエレベータの管制運転装置の動作を第6図のフローチャートにより説明する。
S601では、安全を配慮し、補助冠水検出器7が動作した否かを最優先 で確認する。補助冠水検出器7が動作していなければS602に進む。ここでは、第1の冠水検出器1aが動作した否かを検出し検出いていればS603に進む。検出して無ければS613に進み平常運転を継続する。S603では第2の冠水検出器1bが第1の冠水検出器1a動作後、第1の一定時間(例えば4秒)以内に動作したか否か判断し、動作したら急激な冠水速度としS606に進む。ここでは、エレベータを急停止させ、S607で以後の運転を休止させる。この後S614に進み、かご、乗場又は係員管理盤に冠水検出を表示・報知する。
第2の冠水検出器1bが第1の一定時間以内に動作しなければ、S604に進み、第2の冠水検出器1bが第1の冠水検出器1a動作後第2の一定時間以内に動作したか否かを判断し、動作したら速い冠水速度とし、S608に進む。ここでは、エレベータを最寄り階に停止させ、さらにS609に進み、ここでは、最寄り階に停止後戸開させ、所定時間後戸閉させ、運転休止させる。この後S614に進み、かご、乗場又は係員管理盤に冠水検出を表示・報知する。
第2の冠水検出器1bが第2の一定時間以内に動作しなければ、S605に進み、第2の冠水検出器1bが第1の冠水検出器1a動作後第3の一定時間(例えば24秒)以内に動作したか否かを判断し、動作したら普通の冠水速度とし、S610に進む。ここでは、エレベータが、かご呼び、または乗場で走行中であれば、走行中に最初の呼びで停止する迄走行させる。この後、S611に進み、ここでは、最初の呼びで停止したら全てのかご及び乗場呼びを打ち消し、所定時間後戸閉させ、運転休止させる。この後S614に進み、かご、乗場又は係員管理盤に冠水検出を表示・報知する。
第2の冠水検出器1bが第3の一定時間以内に動作しなければ、S612に進み、運転を継続する。この後S614に進み、かご、乗場又は係員管理盤に冠水検出を表示・報知する。また、始めに戻り、S601で補助冠水検出器7が動作したら、S608に進み、上述のように最寄り階停止運転を行う。
以上のように、この実施の形態によれば、エレベータのピットが冠水した時、冠水速度を検出し、冠水速度に対応した冠水時管制運転を行う為、乗客の安全を確保し、更にはエレベータを継続使用できる限界近く迄運転出来る。
なお、冠水速度検出は2個の冠水検出器で説明したが、3個以上使用しても達成出来る。また、冠水速度検出は水位の異なる複数個の冠水検出器を持つことで説明したが、冠水重量の検出、ピットに超音波を照射してその反射時間から水位を測定する等種々の方法がある。
また、冠水速度に対応した冠水時管制運転は、4段階の運転で説明したが、5段階以上の管制運転も可能であることは言うまでも無い。さらに、冠水速度に対応して冠水時管制運転を区分したが、冠水速度からエレベータを運転出来る時間を推定し、安全に運転できる時間から運転を行うこともできる。
実施の形態3.
第7図は、増水速度検出プログラムの動作説明図である。第8図は、冠水速度の説明図である。第9図は、満水予測検出プログラムの動作説明図である。第10図は、増水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作説明図である。第11図は、減水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作説明図である。第12図は、冠水時の表示例である。
なお、エレベータ管制運転装置の構成は基本的には第1図の構成と同じである。
次に、この実施の形態によるエレベータの冠水管制運転装置において冠水速度表示の動作について第7図に従い説明する。
S701で冠水検出器1の動作を判定し、動作した場合はS702に進み、1分タイマーカウント中か判断する。初期時はタイマーカウント中でないため、S703に進み、1分タイマーをスタートさせると共に、1分タイマーカウント中フラグをセットする。次に、S704で1分間カウントをするまではENDへ進み、以下、START→S701→S702→S704→ENDの順で処理して、タイマーカウントを行う。
その後、1分間のカウントが終了すると、S705へ進み、増水量を計算する。この値から、S706で増水速度を乗場やかご、管理人室などに設置された冠水表示器6に表示する。さらにS707で1分タイマーをリセットして、再度増水速度を計算して表示する。表示例を第12図に示す。なお、満水量は重量やエア方式により検出する。
次に、この実施の形態によるエレベータの冠水管制運転装置において満水予測検出の動作について第8図、第9図に従い説明する。
第8図は横軸に時間、縦軸に冠水量の変化を示す。
冠水検出器1が動作してから、Ta1時間後の変化量を把握し、Ta1までの増水時間を検出する。また、この時間Ta1から今後の増水時間Ta2−Ta1、及びTa3−Ta1を演算する。
次に、満水予測検出の動作について説明する。S701からS705,S707は第7図と同様、START→S701→S702→S704→ENDの順で、START→S701→S702→S705、S707の順で、冠水量検出器1の動作から冠水による変化量を測定する。この変化量よりSS709で満水になるまでの時間を次式のように予測する。
満水時間=(満水量−現在の水位)/変化量
この満水時間が3分以下の場合(S710)S712で満水までの時間として0分を乗場やかご、管理人室などに設置された冠水表示器6に表示させる。前記満水時間が3分以上で10分以下の場合(S711)、S713で満水までの時間として5分を表示させ、前記満水時間が10分以上の場合、S714で満水までの時間として10分を表示させる。表示例を第12図に示す。
次に、この実施の形態によるエレベータの冠水管制運転装置において増水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作について第10図に従い説明する。
次に、増水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作について説明する。S701からS705,S707は第7図と同様、START→S701→S702→S704→ENDの順で、START→S701→S702→S705、S707の順で、冠水検出器1の動作から冠水による変化量を測定する。この変化量よりS715でエレベーターが休止運転に移行するまでの休止時間を次式のように予測する。
休止時間=(休止水位−現在の水位)/変化量
S716で、休止時間が3分以下の場合、S718でエレベーターが休止する時間として乗場やかご、管理人室などに設置された冠水表示器6に0分を表示させる。休止時間が3分以上で10分以下の場合(S717)、S719で休止する時間として5分を表示させる。また、休止時間が10分以上の場合、S720で休止する時間として10分を表示させる。なお、乗場やかご、管理人室などに設置されたアナウンス装置(図示せず)でエレベーターが休止するまでの時間をアナウンスする。表示例を第12図に示す。
次に、この実施の形態によるエレベータの冠水管制運転装置において減水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作について第11図に従い説明する。
次に、減水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作について説明する。S701からS705,S707は第7図と同様、START→S701→S702→S704→END、START→S701→S702→S705、S707の順で、演算して冠水検出器1の動作からS722で最大増水量を常時記憶する。S719で現在の水位と1分前の水位を比較し増水していればS726で乗場やかご、管理人室などに設置された冠水表示器6に「しばらく、ご利用できません」というメッセージを表示させる。また、乗場やかご、管理人室などに設置されたアナウンス装置(図示せず)で、その旨アナウンスする。また、減水していればS720で前記記憶されている最大増水量と復旧禁止水位を比較し、最大増水量が復旧禁止水位より大きければS726で前記と同様の処理をする。最大増水量が復旧禁止水位より小さければS721に進み、復旧時間を次式のように計算する。
復旧時間=(現在の水位−復旧禁止水位)/変化量
そして、S722で復旧時間が2分以下であればS724で冠水表示器6に復旧時間として1分を表示し、アナウンス装置で、その旨アナウンスする。また、復旧時間が2分以上であればS723に進み、復旧時間が12分以上であればS726で前記と同様の処理をする。また、復旧時間が12分以下であればS725で冠水表示器6に復旧時間として10分を表示し、アナウンス装置で、その旨アナウンスする。表示例を第12図に示す。
なお、冠水量検出は重量やエア方式により検出するが、これに限るものではない。冠水の表示報知はかご、乗場、管理人室で説明したが、保守会社への通報も容易に実施できる。エレベーターが使用可能になる時間を最大増水量から判断したが、保守時間等を加算して表示してもよい。表示方式は第12図の例を示したが、LED表示の組み合わせなどによる表示も可能であり、これに限るものではない。
以上のように、この実施の形態によれば、エレベーターのピットが冠水した時、冠水量や冠水速度を表示したり、今後の冠水状況を予測して表示報知制御を行うため、管理人がエレベーターを事前に所定の位置で休止させたり、ピット内の水を排出したり、冠水に対する所定の行動を事前にとることができるとともに、乗客の安全を確保することができる。
また、エレベーターの利用者も冠水によりエレベーターが利用できなくなることが事前に理解することができる。また、復帰する時はエレベーターが利用可能になる時間が分かるため、より使いやすいエレベーターを得ることができる。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明は、エレベータのピット内への冠水を検出し、冠水に対応して運転制御するとともに、冠水に対応して表示報知するエレベータの管制運転装置に関するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態1によるエレベータの管制運転装置を示すブロック図である。
第2図は、第1図のエレベータの管制運転装置の動作を一つの冠水状況において説明するタイムチャートである。
第3図は、第1図のエレベータの管制運転装置の動作を説明するフローチャートである。
第4図は、本発明による実施の形態2によるエレベータの管制運転装置の冠水検出器のエレベータピット内への取り付け図である。
第5図は、冠水速度の説明図である。
第6図は、本発明の実施の形態2によるエレベータ管制運転装置の動作を示すフローチャートである。
第7図は、本発明の実施の形態3によるエレベータ管制運転装置において、増水速度検出プログラムの動作説明図である。
第8図は、冠水速度の説明図である。
第9図は、本発明の実施の形態3によるエレベータ管制運転装置において、満水予測検出プログラムの動作説明図である。
第10図は、本発明の実施の形態3によるエレベータ管制運転装置において、増水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作説明図である。
第11図は、本発明の実施の形態3によるエレベータ管制運転装置において、減水時のエレベーター利用状況報知プログラムの動作説明図である。
第12図は、冠水時の表示例である。

Claims (13)

  1. エレベータの昇降路内の冠水量を検出する冠水検出器と、この冠水検出器の検出値を基に冠水速度を求める冠水速度演算手段と、この冠水速度演算手段で演算された冠水速度を基に、エレベータの冠水管制運転方法を設定し、エレベータに指令する冠水管制運転指令手段とを備えたことを特徴とするエレベータの管制運転装置。
  2. 冠水検出器で検出した冠水量と冠水速度演算手段で演算された冠水速度の少なくとも一つを基に、今後の冠水の進行状態を予測する冠水予測手段を備え、冠水管制運転指令手段は上記冠水予測手段の予測結果を基に、冠水管制運転方法を設定することを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  3. 冠水検出器で検出した冠水量と冠水速度演算手段で演算された冠水速度と冠水予測手段で予測された今後の冠水状況との少なくとも一つを表示形態に編集する表示内容形成手段と、この表示内容形成手段で編集形成された内容を表示する冠水表示器とを備えたことを特徴とする請求項2記載のエレベータの管制運転装置。
  4. 冠水表示器は、昇降路内の冠水を検出して冠水量が所定の水位へ到達するまでの予測時間を表示することを特徴とする請求項3記載のエレベータの管制運転装置。
  5. 昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第1の所定の速度以上のとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを即時停止させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  6. 昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第1の所定の速度以内で、かつ第2の所定の速度以上であるとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを最寄り階に停止させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  7. 昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達するまでの冠水速度が第2の所定時間以内のとき、冠水管制運転指令手段はエレベータに新規の呼びの割り当てを阻止し、すでに割り当て済の呼びの少なくとも一つに応答した後、エレベータを最寄りの避難階に停止させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  8. 冠水検出器が冠水を検出したとき、終端近傍の所定の階床には応答させないことを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  9. 少なくとも冠水検出器が検出すべき範囲の水位を検出する補助冠水検出器を備え、上記冠水検出器が検出すべき範囲の水位で動作しないで、上記補助検出器が動作したとき、冠水管制運転指令手段はエレベータを最寄りの避難階に停止させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  10. 昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達すること無しに減少するとき、冠水予測手段は運転再開を可能とする水位に達する時間を推定し、冠水表示器は上記推定された復帰予測時間を表示することを特徴とする請求項3記載のエレベータの管制運転装置。
  11. 昇降路内の冠水量が運転再開を可能とする水位に達したとき、冠水管制運転指令手段は冠水管制運転を解消し通常運転に復帰させることを特徴とする請求項10記載のエレベータの管制運転装置。
  12. 昇降路内の冠水量が所定の水位へ到達すると、水位が減少しても冠水管制運転を継続することを特徴とする請求項1記載のエレベータの管制運転装置。
  13. 復帰スイッチを設け、冠水管制運転が継続されているとき、上記復帰スイッチを操作することで冠水管制運転の指令を解除することを特徴とする請求項12記載のエレベータの管制運転装置。
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