JP2010265053A - エレベータの管制運転装置および方法 - Google Patents

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淳 尾崎
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Abstract

【課題】非常運転中に昇降路への冠水が発生した場合にも、退避活動を円滑に行うことができるエレベータを提供する。
【解決手段】ビルに設置された昇降路内を運行する乗りかご5と、この昇降路内に設置されて昇降路への冠水を検出する第1検出器6と、上記第1検出器の冠水水位よりも上方の第2冠水水位を検出して動作する第2検出器7と、エレベータのかご内および乗り場側に設置された警報装置8,9とを備え、第1検出器6が平常運転時に昇降路内への冠水を検出した場合にエレベータのピット冠水退避運転を行ない、火災管制運転などの非常運転指令と、第1検出器6による冠水検出が並存したときは、非常運転を優先する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレベータのピットへの冠水から乗り客の安全確保と昇降路内機器を保護するエレベータの管制運転装置および方法に関するものである。
従来、エレベータの昇降路は雨天時に冠水しない場所に設けられる。しかし、予期せぬ集中豪雨や消防活動による排水などが発生した場合には、昇降路下部にあるピット部へ水が浸入し、その中に乗りかごが沈んだり、昇降路内機器が損傷したりする恐れがある。前記のピット冠水を防止するエレベータとしては、昇降路底部に液面検出装置を設置し、検出器が動作し、かつ乗りかごが冠水の恐れのある特定の階にあるときは、乗りかごをその階より上の階に自動的に運転した後、下降運転が不可能とする方式が知られている。
さらに、昇降路ピット内に2個の液面検出器を床から異なる高さとなるように設置し、第1検出器が冠水を検知すると乗りかごを避難階へ退避させ、その状態で第2検出器が冠水を検知すると電源を遮断する技術が知られている。
実開昭58−154265号公報 実開平2−132081号公報
上記のような従来のピット冠水退避運転では、ピット冠水退避運転と同時に火災管制運転或いは非常運転が行われた場合に、火災管制運転或いは非常運転が冠水のために途中で中断され、退避活動が円滑に行えない可能性がある。
本発明の目的は、上記問題点を解消するためになされたもので、平常運転時に昇降路内への冠水を検出した場合にエレベータのピット冠水退避運転を行ない、火災管制運転等の非常運転時に昇降路内への冠水を検出した場合にも、可能な限り、退避活動を円滑に行うことができるエレベータを提供することにある。
本発明の望ましい実施態様においては、昇降路内を運行する乗りかごと、昇降路内に設置されて昇降路への冠水を検出する第1の冠水検出器と、この第1の冠水検出器の冠水水位よりも上方の第2の冠水水位を検出して動作する第2の冠水検出器と、乗りかご内及び/又は乗り場に設置された警報装置と、昇降路ピットへの冠水により前記第1,第2の冠水検出器のうち、前記第1の冠水検出器のみが動作しているとき、ピット冠水退避運転を実行する冠水退避運転装置とを備えたエレベータの管制運転装置において、火災管制運転等の非常運転指令が発生し、かつ前記第1の冠水検出器が動作していることに応じて、前記ピット冠水退避運転よりも前記火災管制運転等の非常運転を優先して実行する管制運転制御装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の望ましい実施態様においては、前記ピット冠水退避運転に優先して前記火災管制運転等の非常運転を実行中に、ピット冠水に関する警報及び/又は退避案内を行う警報装置を備えたことを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様によれば、火災管制運転等の非常運転中に昇降路への冠水が発生した場合にも、可能な限り、すなわち、第2の冠水センサが動作しない限り退避活動を継続することができるエレベータを提供することができる。
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施例の説明の中で明らかにする。
本発明の実施例1によるエレベータの管制運転装置における昇降路の下方の概略構造図である。 本発明の実施例1によるエレベータの管制運転装置の処理フロー図である。 本発明の実施例2によるエレベータの管制運転装置の処理フロー図である。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施例1によるエレベータの管制運転装置における昇降路の下方の概略構造図である。
図において、1は、ビル内にある昇降路であり、2は、昇降路ピットである。また、3はエレベータのサービス階の最下階であり、4は冠水によりピットに溜まった水である。5は、エレベータの乗りかごである。
そして、6は、ピット内に設置され、ピットへの冠水を検出する第1の冠水検出器であり、7は、第1の冠水検出器が検出する第1の冠水水位よりも上方の第2の冠水水位を検出する第2の冠水検出器である。
また、8は、エレベータホール側に設置される警報装置であり、9は、乗りかご内に設置される警報装置である。
エレベータの昇降路は、雨天時にも冠水しないように設計される。
しかし、予期せぬ集中豪雨や消防活動による放水などにより冠水が発生した場合には、エレベータ機器が損傷することがないように、エレベータを特定階に待機させるピット冠水退避運転が行われる。
図2は、本発明の実施例1によるエレベータの管制運転装置におけるピット冠水時の、処理フロー図である。図は、図1に示すビルの昇降路1のピット2内に冠水した場合の動作を表すものであり、エレベータ制御装置(図示せず)に内蔵されたマイクロコンピュータで周期的に繰り返し実行されるプログラムとして実装される。
ここでは、正常な状態から、順を追って異常状態に進む形で、説明を進める。
(1)正常時:
まず、ステップ201では、昇降路1内のピット2に設置された第2の冠水検出器7が冠水を検出したかどうかを判断する。正常であるとの仮定により、冠水を検出していないので、ステップ202へ進み、火災管制運転などの非常運転指令があるか否かを判断する。正常時であり、非常運転指令は発生していないので、ステップ203へ進み、第1の冠水検出器6が冠水を検出したかどうかを判断する。やはり正常であり、冠水を検出していないので、ステップ204へ進み、平常運転を継続する。
(2)第1の冠水検出器6のみの動作時:
次に、第1の冠水検出器6のみが動作する程度に、ピットに冠水による水が溜まった状態を考える。
この場合、まず、前述のステップ201〜204のルートの中で、ステップ203でのみ、正常時とは異なり、第1の冠水検出器6が冠水を検出する。したがって、ステップ205に進み、例えば、特定の階に停止させ、待機させるピット冠水退避運転を開始する。この場合、ピット冠水退避運転とは、乗りかごを特定の階に向けて運転させるだけでなく、ピットが冠水したことおよびエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9(図1)を動作させる。そして、乗りかごを特定の階に停止させ、戸開して乗客を降ろしてピット冠水退避運転の処理を終了する。
(3)非常運転指令の発生時:
次に、火災管制運転などの非常運転指令が発せられた場合について述べる。
先のステップ201からステップ202に進んだとき、非常運転指令が発せられたことにより、ステップ206に進み、第1の冠水検出器6が冠水を検出したかどうかを判断する。冠水していない場合には、ステップ207へ進み、通常の火災管制運転など非常運転を開始し、所定の非常運転の終了によってこの処理を終了する。
(4)第1の冠水検出器6が動作し、かつ非常運転指令も発生した時:
次に、第1の冠水検出器6が動作し、かつ非常運転指令も発生している場合について述べる。先のステップ201からステップ202に進んだとき、非常運転指令が発せられたことにより、ステップ206に進み、第1の冠水検出器6が冠水を検出したかどうかを判断するところまでは、前記のケースと同じである。ここで、今度は、第1の冠水検出器6が冠水を検出しているので、ステップ208に進んで、ピットが冠水したことおよびエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9(図1)を動作させた後に、ステップ207に進んで、火災管制運転などの非常運転を実行させ、所定の非常運転の終了によってこの処理を終了する。
すなわち、火災管制運転などの非常運転指令が発せられた場合には、第1の冠水検出器6が動作していても、冠水に関する警報・退避案内を追加するだけで、非常運転を優先して実行させる。
(5)第2の冠水検出器7の動作時:
第2の冠水検出器7の動作時には、ステップ201の判断がYESとなり、ステップ209に進んで、エレベータを非常停止させ、ピットが冠水したことおよびエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9を動作させ、この処理を終了する。
すなわち、第2の冠水検出器7が動作するまで冠水による水位が上昇すると、エレベータの運転は危険であり、即時に、エレベータを非常停止させる。
図3は、本発明の実施例2によるエレベータの管制運転装置におけるピット冠水時の、処理フロー図である。図は、図1に示すビルの昇降路1のピット2内に冠水した場合の動作を表すものであり、エレベータ制御装置(図示せず)に内蔵されたマイクロコンピュータで周期的に繰り返し実行されるプログラムとして実装される。
さて、前記実施例1において、図2のステップ201で、第2の冠水検出器7が冠水を検出したかどうかを判断し、冠水を検出していない場合はステップ202に進んで、火災管制運転などの非常運転指令があるか否かを判断するものとしていた。
しかし、図3の実施例2においては、ステップ301で、第2の冠水検出器7が冠水を検出していない場合は、ステップ302に進んで、第1の冠水検出器6が冠水を検出したかどうかを判断する。第1の冠水検出器6が冠水を検出していない場合は、ステップ303に進んで、平常運転を継続し、この処理を終了する。
ステップ302で第1の冠水検出器6が冠水を検出した場合はステップ304へ進む。
次に、ステップ304では、火災管制運転など、ピット冠水退避運転以外の非常運転指令が発生しているかどうかを判断する。非常運転指令が発生していない場合は、ステップ305へ進み、例えば、特定の階に停止させ、待機させるピット冠水退避運転を開始する。この場合、ピット冠水退避運転とは、乗りかごを特定の階に向けて運転させるだけでなく、ピットが冠水したことおよびエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9(図1)を動作させる。そして、乗りかごを特定の階に停止させ、戸開して乗客を降ろしてピット冠水退避運転の処理を終了する。
ステップ304で、非常運転指令が発生していると判定した場合は、ステップ306で、ピットが冠水したこと、並びに火災管制運転などの非常運転指令が発生していることに基いてエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9の動作を開始させる。そして、ステップ307で、火災管制運転などの非常運転を実行させ、所定の非常運転の終了によってこの処理を終了する。
以上の実施例から明らかなように、第1の冠水検出器6が冠水を検出し、かつ、火災管制運転などの非常運転指令が発生している場合には、冠水退避運転に優先して、火災管制運転などの非常運転を優先して実行する。また、このとき、ピットが冠水したことおよびエレベータからの退避勧告を報知する警報装置8、9を動作させる。
以上の本発明の望ましい実施例によれば、火災管制運転等の非常運転中に昇降路への冠水が発生した場合にも、可能な限り、すなわち、第2の冠水センサが動作しない限り退避活動を継続することができるエレベータを提供することができる。
1…昇降路、2…ピット、3…最下階、4…冠水による水、5…乗りかご、6…第1の冠水検出器、7…第2の冠水検出器、8…冠水警報装置(エレベータ乗り場)、9…冠水警報装置(乗りかご内)。

Claims (6)

  1. 昇降路内を運行する乗りかごと、昇降路内に設置されて昇降路への冠水を検出する第1の冠水検出器と、この第1の冠水検出器の冠水水位よりも上方の第2の冠水水位を検出して動作する第2の冠水検出器と、乗りかご内及び/又は乗り場に設置された警報装置と、昇降路ピットへの冠水により前記第1,第2の冠水検出器のうち、前記第1の冠水検出器のみが動作しているとき、ピット冠水退避運転を実行する冠水退避運転装置とを備えたエレベータの管制運転装置において、
    火災管制運転等の非常運転指令が発生し、かつ前記第1の冠水検出器が動作していることに応じて、前記ピット冠水退避運転よりも前記火災管制運転等の非常運転を優先して実行する管制運転制御装置を備えたことを特徴とするエレベータの管制運転装置。
  2. 請求項1において、前記ピット冠水退避運転に優先して前記火災管制運転等の非常運転を実行中に、ピット冠水に関する警報及び/又は退避案内を行う警報装置を備えたことを特徴とするエレベータの管制運転装置。
  3. 請求項2において、前記警報装置は、第1の冠水検出器が動作しているとき、乗りかご内及び/又は乗り場へ、乗りかごからの退避案内及び/又は冠水を報知することを特徴とするエレベータの管制運転装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記管制運転制御装置は、前記第2の冠水検出器が動作したことに応じて、前記火災管制運転等の非常運転および冠水退避運転よりも優先して、乗りかごを非常停止させることを特徴とするエレベータの管制運転装置。
  5. 昇降路内を運行する乗りかごと、昇降路内に設置されて昇降路への冠水を検出する第1の冠水検出器と、この第1の冠水検出器の冠水水位よりも上方の第2の冠水水位を検出して動作する第2の冠水検出器と、乗りかご内及び/又は乗り場に設置された警報装置と、昇降路ピットへの冠水により前記第1,第2の冠水検出器のうち、前記第1の冠水検出器のみが動作しているとき、ピット冠水退避運転を実行するエレベータの管制運転方法において、
    火災管制運転等の非常運転指令が発生し、かつ前記第1の冠水検出器が動作していることに応じて、前記ピット冠水退避運転よりも前記火災管制運転等の非常運転を優先して実行することを特徴とするエレベータの管制運転方法。
  6. 請求項5において、前記ピット冠水退避運転に優先して前記火災管制運転等の非常運転を実行中に、ピット冠水に関する警報及び/又は退避案内を行うことを特徴とするエレベータの管制運転方法。
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