JP3803144B2 - 半導体メモリ装置のデータ出力バッファ - Google Patents

半導体メモリ装置のデータ出力バッファ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体メモリ装置に関し、特に、高周波用半導体メモリ装置のデータ出力バッファに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体メモリ装置の高集積化に応じてトランジスタはますます極小化され、低電圧・高速化の動作を要求されてきている。例えば、4メガDRAMの場合はチップ内動作電圧は約5Vであったが、外部電源電圧を低めてチップ内動作電圧を供給する定電圧回路(内部電源電圧回路)を採用し始めた16メガDRAMになると電源電圧は約3.3Vに低くなり、そして高集積化が加速するに従ってこれは更に低くなっている。それにより、半導体メモリ装置からの出力データのレベルも徐々に変化してきている。
【0003】
即ち、5Vの電源電圧入力によって動作する半導体メモリ装置におけるデータ出力レベルは、論理“1”を出力するときには約2.4V以上で、論理“0”を出力するときには0.4V以下であった。しかし、高集積化されたメモリなどではトランジスタの信頼性の問題から動作電圧が5Vから3.3Vに低電圧化され、そしてデータ出力レベルの範囲は動作特性により次のように二つのレベルに分けられるようになった。第一に、高速にデータを出力する交流条件でのデータ出力レベルは、データ“1”を出力するときには2.0V以上、データ“0”を出力するときには0.8V以下に規定されている。第二に、データ出力が相当時間持続される直流条件、つまり低速にメモリセルのデータをアクセスする場合では5Vの規定を採用し、データ“1”の出力レベルは2.4V以上、データ“0”の出力レベルは0.4V以下に規定されている。
【0004】
上記のように動作電圧が低くなる高集積半導体メモリ装置の出力バッファは、データを安定したレベルで高速伝送するために、データのレベルを昇圧する昇圧手段が付加されている。この昇圧手段を付加したデータ出力バッファは、入力されるデータ信号のレベルを昇圧し、この昇圧レベルのデータでNMOSトランジスタのプルアップトランジスタとNMOSトランジスタのプルダウントランジスタで構成されたデータ出力ドライバを駆動するようになっている。図1に、高集積半導体メモリ装置で利用されるデータ出力バッファの構成を示す。
【0005】
このデータ出力バッファは、データライン対DB,DBB(相補)のうち第1データラインDBの活性論理、例えば論理“ハイ”に応答して電源電圧Vccを昇圧し、プルアップ制御信号DOKとして出力する昇圧回路(boosting circuit)12と、データライン対DB,DBBのうち第2データラインDBBが活性論理のデータを有するときにプルダウン制御信号DOKBを発生するドライバのインバータ14,15と、電源電圧Vccと基準電圧Vssとの間に接続され、プルアップ制御信号DOKに応答して出力端子Dout をプルアップ駆動し、プルダウン制御信号DOKBに応答して出力端子Dout をプルダウン駆動するデータ出力ドライバ16と、から構成されている。
【0006】
図2は、図1の回路の動作を説明するための出力端子Dout の波形図である。図1に示す回路が動作すると、まず電源電圧Vccと内部ノードN1との間にダイオード接続されたNMOSトランジスタ28が導通する。このNMOSトランジスタ28の導通により、MOSキャパシタ26の対応電極が電源電圧Vcc−Vtn(VtnはNMOSトランジスタ28のしきい値電圧)レベルにプリチャージされる。
【0007】
この状態で、第1データラインDBに論理“ハイ”、第2データラインDBBに論理“ロウ”のデータ信号が入力されると、インバータ22,34は、第1データラインDBの論理“ハイ”を反転してインバータ24の入力ノードとNMOSトランジスタ32のゲート端子にそれぞれ供給する。インバータ22による反転の論理“ロウ”信号は、内部ノードN1にソース接続されたPMOSトランジスタ30のゲート端子に供給されると共に、インバータ24により反転されてMOSキャパシタ26の対応電極へ供給される。すると、MOSキャパシタ26が昇圧動作して内部ノードN1の電圧を約2Vcc−Vtnのレベルへ昇圧し、PMOSトランジスタ30はインバータ22からの論理“ロウ”出力によって導通状態になる。一方、PMOSトランジスタ30のドレイン端子にドレイン接続され、ソース端子が基準電圧Vssへ接続されているNMOSトランジスタ32は、インバータ34から出力される論理“ロウ”信号によって非導通状態となる。従って、内部ノードN1の昇圧電圧2Vcc−VtnがPMOSトランジスタ30のチャネルを通じて接続ノードN2へ印加され、プルアップ制御信号DOKとしてデータ出力ドライバ16に供給される。
【0008】
データ出力ドライバ16は、電源電圧Vccと基準電圧Vssとの間にチャネルが直列接続され、それぞれのソース端子とドレイン端子が出力端子Dout に接続されたNチャネル形のプルアップトランジスタ18及びプルダウントランジスタ20で構成され、各ゲートにそれぞれプルアップ制御信号DOKとプルダウン制御信号DOKBを入力するようにされている。プルダウン制御信号DOKBは、第2データラインDBBの信号を駆動するインバータ14,15から出力される信号である。従って、データライン対DB,DBBのうち第1データラインDBに活性論理を有するデータが入ると、データ出力ドライバ16内のプルアップトランジスタ18が昇圧回路12による昇圧電圧2Vcc−Vtnにより導通化されるので、電源電圧Vccのレベルを出力端子Dout に駆動してデータ“1”を出力する。もし、データライン対DB,DBBのうち第2データラインDBBに活性論理を有するデータが入ると、プルアップ制御信号DOKが基準電圧Vssとなり、プルダウン制御信号DOKBが電源電圧Vccのレベルになるので、データ出力ドライバ16内のプルアップトランジスタ18が非導通状態、プルダウントランジスタ20が導通状態となって、出力端子Dout のレベルは基準電圧Vssのレベルにプルダウンされる。このようなデータ出力バッファの出力波形を図2に示す。
【0009】
上述のように、高集積半導体メモリ装置に使用されるデータ出力バッファに対し、標準電源電圧Vcc、例えば3.3Vの動作電源電圧で規定された二つのデータ出力レベルを満足させるために、データ出力ドライバ16内のプルアップトランジスタ18のゲートノードの電圧を昇圧して論理“ハイ”のデータレベルの出力条件を満足させているものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1データラインDBの活性論理により常時昇圧電圧を発生してデータ出力ドライバ16内のプルアップトランジスタ18を駆動する従来のデータ出力バッファは、下記のような問題点がある。
【0011】
第一に、メモリを高速アクセスする交流条件のときに必要とするデータ出力レベルは約2.0Vであればよいが、昇圧回路の付加により補強された数値の2.4V以上の出力を常時得るようにしてあるため、実際に高速でデータをアクセスするときのデータ出力レベルは2.4Vを超過する。これは、データを高速アクセスするときにデータ出力レベルが必要以上に上昇することであり、論理“0”のデータを出力するときにチップに大きなノイズを発生する要因となって誤動作を誘発し得る。
【0012】
第二に、比較的消費電力の大きいデータ出力ドライバ内のプルアップトランジスタのゲート端子に昇圧回路の出力を印加するため、高速アクセス時に消費電力が増加し、また昇圧回路に必要なMOSキャパシタ用のレイアウト増加につながって集積性に影響がある。
【0013】
第三に、CMOS工程で形成されるMOSキャパシタの物理的反応速度の限界から、メモリの高速化に伴って非常に短い時間でデータ遷移(data transtion)が発生すると、昇圧回路が誤動作する可能性があり、所望の論理のデータが出力されない現象が起こり得る。
【0014】
このような従来技術に着目して本発明は、高速メモリアクセスで出力データが高速にトグル(toggle)する場合、データ出力レベルの必要以上の上昇を抑制し、消費電力を抑制すると共にノイズによる誤動作を防止できるような半導体メモリ装置のデータ出力バッファを提供する。このために、メモリのアクセス時間に対応してデータの出力レベルを選択的に調節出力することの可能なデータ出力バッファを提供する。即ち、メモリセルのデータが高速アクセスされるときには第1出力レベルのデータを出力し、メモリセルのデータが低速アクセスされるときには前記第1出力レベルより高い第2出力レベルを有するデータを出力するようにして、低消費電力で且つ安定したデータを出力することができる半導体メモリ装置のデータ出力バッファを提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、電源電圧と基準電圧との間に設けられ、プルアップ制御信号が第1レベルで提供されるときにはデータ出力端子のハイ電圧レベルとして第1出力レベルに駆動し、前記プルアップ制御信号が第2レベルで提供されるときは前記データ出力端子のハイ電圧レベルとして第2出力レベルに駆動し、そしてプルダウン制御信号に応答して前記データ出力端子をプルダウンするデータ出力ドライバと、前記データライン対の第1データラインの活性化信号の持続周期が所定の周期を超えないときには前記第1レベルのプルアップ制御信号を前記データ出力ドライバに提供し、前記第1データラインの活性化信号の持続周期が前記所定の周期を超えるときには前記第2レベルのプルアップ制御信号を前記データ出力ドライバに提供するプルアップ制御手段と、を備えてなることを特徴とした半導体メモリ装置のデータ出力バッファが提供される。
【0016】
データ出力ドライバは、電源電圧とデータ出力端子との間に接続され、ゲート端子にプルアップ制御信号を受けて該プルアップ制御信号のレベルに対応する電圧を前記データ出力端子へ出力するプルアップトランジスタと、前記データ出力端子と基準電圧との間に接続され、ゲート端子にプルダウン制御信号を受けて前記データ出力端子を基準電圧レベルにプルダウンするプルダウントランジスタと、から構成されるものとすることができ、また、プルダウン制御信号は、データライン対の第2データラインに接続したドライバからなるプルダウン制御手段により発生されるものとするとよい。
【0017】
プルアップ制御手段は、データライン対の第1データラインが第1論理から第2論理へ遷移すると第1レベルのプルアップ制御信号を出力し、そして該第1レベルのプルアップ制御信号よりも高いレベルのレベルシフト信号の入力に応答して出力抑止状態となる第1駆動部と、前記第1データラインの第2論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出部と、前記レベルシフト制御信号に応答して前記レベルシフト信号を発生するレベルシフタと、前記レベルシフト信号の入力により前記第1レベルよりも高い第2レベルのプルアップ制御信号を出力する昇圧回路と、から構成することができる。
【0018】
或いは、本発明によれば、電源電圧にドレイン接続されると共にデータ出力端子にソース接続され、プルアップ制御信号に制御されるNチャネル形プルアップトランジスタと、前記データ出力端子にドレイン接続されると共に基準電圧にソース接続され、プルダウン制御信号に制御されるNチャネル形プルダウントランジスタと、で構成されたデータ出力ドライバを備える半導体メモリ装置のデータ出力バッファにおいて、メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、該データライン対の第1データラインが活性論理に遷移するときに前記プルアップ制御信号を基準電圧レベルから電源電圧レベルにして出力し、そしてレベルシフト信号に応答して出力抑止状態となる第1プルアップ制御信号発生手段と、前記第1データラインの活性論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出手段と、前記レベルシフト制御信号に応答して電源電圧より高いレベルの前記レベルシフト信号を発生するレベルシフト手段と、前記レベルシフト信号に応答して電源電圧を昇圧し、該昇圧電圧を前記プルアップ制御信号として出力する第2プルアップ制御信号発生手段と、前記データライン対の第2データラインの非活性論理に応答して基準電圧レベルの前記プルダウン制御信号を出力するプルダウン制御信号発生手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
第1プルアップ制御信号発生手段は、プルアップトランジスタのゲート端子とデータライン対の第1データラインとの間にチャネル接続されて前記第1データラインの活性論理の電圧を伝送し、そしてレベルシフト信号に応答してオフ状態となるPMOSトランジスタを用いて構成することでき、また、持続時間検出手段は、データライン対の第1データラインの信号を遅延する遅延部と、該遅延部の出力信号及び前記第1データラインの信号を比較して両信号が活性論理を有するときにレベルシフト制御信号を発生するレベルシフト制御信号発生部と、から構成することができる。
【0020】
或いはまた、本発明によれば、電源電圧にドレイン接続されると共にデータ出力端子にソース接続され、プルアップ制御信号に制御されるNチャネル形プルアップトランジスタと、前記データ出力端子にドレイン接続されると共に基準電圧にソース接続され、プルダウン制御信号に制御されるNチャネル形プルダウントランジスタと、で構成されたデータ出力ドライバを備える半導体メモリ装置のデータ出力バッファにおいて、メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、該データライン対の第1データラインが活性論理に遷移するときに前記プルアップ制御信号を基準電圧レベルから電源電圧レベルにして出力し、そしてレベルシフト信号に応答して出力抑止状態となる第1プルアップ制御信号発生手段と、前記第1データラインの活性論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出手段と、前記レベルシフト制御信号に応答して電源電圧より高いレベルの前記レベルシフト信号を発生するレベルシフト手段と、電源電圧より高いレベルの電圧をソース入力電圧とし、前記レベルシフト信号に応答して前記ソース入力電圧を前記プルアップ制御信号として出力するPMOSトランジスタの第2プルアップ制御信号発生手段と、前記データライン対の第2データラインの非活性論理に応答して基準電圧レベルの前記プルダウン制御信号を出力するプルダウン制御信号発生手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この場合、第2プルアップ制御信号発生手段のソース入力電圧を動作電圧とするインバータによりレベルシフト信号を駆動して前記第2プルアップ制御信号発生手段を制御するようにしておくとよく、また、第2プルアップ制御信号発生手段のソース入力電圧は、メモリ待機モードでも電源電圧の昇圧動作を行うチップ内昇圧回路から供給される昇圧電圧としておくとよい。
【0022】
このように構成される本発明のデータ出力バッファは、データ出力ドライバのデータ出力端子にデータ“1”を出力するときには、その出力持続時間に応じてデータ出力ドライバのプルアップ制御信号の電圧レベルを変化させて調整することにより、データ出力端子からのデータ出力レベルを高速アクセス、低速アクセスに合わせて最適制御することが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。尚、図中共通部分には同じ符号を使用して説明する。
【0024】
図3に、データ出力バッファの回路図を示す。プルアップ制御手段の第1駆動部36(第1プルアップ制御信号発生手段)は、データライン対DB,DBBのうち第1データラインDBが第1論理の例えば“ロウ”(非活性)から第2論理の例えば“ハイ”(活性)へ遷移するときに応答して第1レベルのプルアップ制御信号DOKを発生する。プルアップ制御手段の持続時間検出部38は、第1データラインDBで第2論理が所定時間持続するとこれを検出してレベルシフト制御信号を発生する。プルアップ制御手段のレベルシフタ40は、そのレベルシフト制御信号によりトリガされてレベルシフトさせたレベルシフト信号LTSを発生する。プルアップ制御手段の昇圧回路44(第2プルアップ制御信号発生手段)は、レベルシフト信号LTSの入力に応答して電源電圧Vccを昇圧し、第2レベルのプルアップ制御信号DOKを発生する。また、第2データラインDBBに接続されたプルダウン制御手段17(プルダウン制御信号発生手段)は、第2データラインDBBの活性論理のデータに応答してプルダウン制御信号DOKBを発生するドライバのインバータ14,15で構成される。そして、データ出力ドライバ16は、プルアップ制御信号DOK、プルダウン制御信号DOKBに従うプルアップ及びプルダウントランジスタ18,20で構成される。
【0025】
図3に示す回路に電源電圧Vccが供給され、データライン対DB,DBBにおいて第1データラインDBが論理“ハイ”、第2データラインDBBが論理“ロウ”の入力状態になると、まず最初にプルアップ制御信号DOKは、電源電圧Vccのレベルにセットされる。即ち、第1データラインDBに論理“ハイ”、第2データラインDBBに論理“ロウ”の信号が入ると、これら信号は、それぞれ第1駆動部36とプルダウン制御手段17へ入力される。そして、ゲート端子が昇圧電圧Vppに接続されて導通する第1駆動部36内のNMOSトランジスタ50及びこのときには論理“ロウ”のレベルシフト信号LTSをゲート端子に受けるPMOSトランジスタ52が、第1データラインDBの論理“ハイ”電圧をチャネルを通じて伝送し、プルアップ制御信号DOKとして供給する一方、プルダウン制御手段17が、第2データラインDBBの論理“ロウ”を直列接続の2つのインバータ14,15により駆動してプルダウントランジスタ20のプルダウン制御信号DOKBとして供給する。従って、データライン対DB,DBBにデータ“1”出力の信号が入力されると、NMOSトランジスタ50及びPMOSトランジスタ52によりプルアップ制御信号DOKの電圧は第1レベルである電源電圧Vccのレベルにセットされ、プルダウン制御信号DOKBの電圧は基準電圧Vssのレベルにセットされる。これによりプルアップトランジスタ18が導通状態となり、プルダウントランジスタ20が非導通状態となるので、データ出力ドライバ16の出力端子Dout のレベルは、電源電圧Vccからプルアップトランジスタ18のしきい値電圧Vtnを引いた第1出力レベルVcc−Vtnとなる。
【0026】
データライン対DB,DBBの各データレベルがフリップ(flip)して第1データラインDBが論理“ロウ”、第2データラインDBが論理“ハイ”に遷移すると、プルダウン制御信号DOKBは“ハイ”状態、一方プルアップ制御信号DOKの電圧は、PMOSトランジスタ52とNMOSトランジスタ50の各チャネルを通じて第1データラインDBへ放電されることにより、基準電圧Vssのレベルになる。従って、第1データラインDBが論理“ロウ”へ遷移すると、プルアップトランジスタ18の非導通及びプルダウントランジスタ20の導通により、出力端子Dout のレベルは基準電圧Vssレベルにプルダウンされる。その後、データライン対DB,DBBが再びフリップして遷移すると、上記のような動作が反復される。尚、NMOSトランジスタ50はより高速動作を実現するため補助的に設けられたものである。
【0027】
このような動作状態において、PMOSトランジスタ52のゲート電圧=レベルシフト信号LTSは、第1データラインDBが論理“ロウ”から論理“ハイ”に遷移した後に予め設定された持続時間が経つまでに再び“ロウ”遷移する場合は、論理“ロウ”を維持する。このときの持続時間は、持続時間検出部38内の遅延部をなすインバータチェーン54による遅延時間で設定される。従って、第1データラインDBの論理が“ロウ”から“ハイ”に遷移してインバータチェーン54による遅延時間を越えない範囲内で再び“ロウ”遷移する場合には、データ出力ドライバ16内のプルアップトランジスタ18は、PMOSトランジスタ52及びNMOSトランジスタ50の導通により伝達される第1レベルのプルアップ制御信号DOK、つまり第1データラインDBのフル電源電圧Vcc(Full voltage source) により制御され、データ出力端子Dout を、電源電圧Vccからプルアップトランジスタ18のしきい値電圧Vtnを引いた電圧Vcc−Vtnの第1出力レベルに駆動する。
【0028】
一方、第1データラインDBの論理“ハイ”が上記持続時間を越えて維持される場合には、次のように動作する。第1データラインDBの論理“ハイ”は持続時間検出部38内のインバータチェーン54の一番目のインバータへ供給されると同時にNANDゲート56へ入力される。そしてインバータチェーン54は、入力される信号を所定時間遅延した後にNANDゲート56のもう一方の入力として供給する。従って、第1データラインDBの論理“ハイ”がインバータチェーン54による遅延時間を越えて論理“ハイ”を維持し、レベルシフト制御信号発生部をなすNANDゲート56の両入力が論理“ハイ”となると、これにより初めてNANDゲート56の出力は論理“ハイ”から論理“ロウ”に遷移する。もし、第1データラインDBの論理“ハイ”持続時間がインバータチェーン54の遅延時間より短ければNANDゲート56の両入力論理は排他的になるので、NANDゲート56の出力は論理“ハイ”を継続して維持する。このようなNANDゲート56の出力がインバータ58で反転されてレベルシフタ40の制御端子に入力される。
【0029】
レベルシフタ40は、半導体チップの電源投入でメモリ内蔵のメモリ内昇圧回路(図示せず)から発生される昇圧電圧Vppを各ソース端子に入力するPMOSトランジスタ60,62と、各ドレイン端子がPMOSトランジスタ62,60のゲート端子に交差接続されると共にPMOSトランジスタ60,62の各ドレイン端子にそれぞれ接続され、ソース端子が基準電圧Vssに接続されたNMOSトランジスタ64,66と、NMOSトランジスタ64のゲート端子に入力されるレベルシフト制御信号を反転してNMOSトランジスタ66のゲート端子へ供給するインバータ68と、から構成されている。この回路に持続時間検出部38内のインバータ58から論理“ロウ”の信号が提供される場合には、NMOSトランジスタ66とPMOSトランジスタ60が導通し、論理“ロウ”のレベルシフト信号LTSが出力されてPMOSトランジスタ52のゲート端子へ供給される。一方、上述のように第1データラインDBの論理“ハイ”が上記持続時間以上継続し、持続時間検出部38内のインバータ58から論理“ハイ”のレベルシフト制御信号が出力されると、今度はNMOSトランジスタ64とPMOSトランジスタ62が導通し、昇圧電圧Vppのレベルを有するレベルシフト信号LTSが出力される。そしてこれに従いPMOSトランジスタ52が非導通化され、第1駆動部36は出力抑止状態となる。
【0030】
従って、第1データラインDBの活性論理=論理“ハイ”の持続時間が持続時間検出部38に設定された遅延時間より短ければ、レベルシフタ40によるレベルシフト信号LTSは基準電圧Vssレベルで出力されてPMOSトランジスタ52を導通化させる。そして、第1データラインDBの論理“ハイ”持続時間が持続時間検出部38に設定された遅延時間より長くなると、レベルシフタ40によるレベルシフト信号LTSは昇圧電圧Vppのレベルで出力されてPMOSトランジスタ52を非導通化させる。これにより、第1データラインDBの論理“ハイ”持続時間に応じてプルアップ制御信号DOKのレベルが調整される。
【0031】
即ち、第1データラインDBの信号が持続時間検出部38の遅延時間より短い周期で高速遷移する交流条件で入力される場合には、データ出力ドライバ16の出力は図5の期間t1内のようにVcc−Vtnの第1出力レベルになる。一方で、データライン対DB,DBBの論理遷移が持続時間検出部38の遅延時間より長い周期で低速遷移する、即ちメモリセルからアクセスされるデータが直流条件で出力される場合には、データ出力ドライバ16は、昇圧回路44から出力される第2レベルの電圧つまり昇圧電圧Vppにより駆動される。
【0032】
更に言うと、第1データラインDBに論理“ハイ”の信号が入力されてプルアップ制御信号DOKが第1レベルの電圧で供給される状態で、そのまま第1データラインDBの信号が論理“ハイ”を一定時間以上持続すると、持続時間検出部38のNANDゲート56の出力が論理“ロウ”に遷移してインバータ58から論理“ハイ”のレベルシフト制御信号が出力されてレベルシフタ40のNMOSトランジスタ64が導通する。このNMOSトランジスタ64の導通によりPMOSトランジスタ62が導通し、レベルシフタ40の出力端子からレベルシフト信号LTSが昇圧電圧Vppのレベルで出力される。そして、レベルシフト信号LTSが昇圧電圧VppのレベルになるとPMOSトランジスタ52は、ゲート電圧がソース電圧よりも高くなるので非導通状態になる。従って、プルアップトランジスタ18は、第2レベルの電圧=昇圧電圧Vppにより駆動されることになる。
【0033】
昇圧回路44は例えば図4に示すように構成され、レベルシフタ40から出力されるレベルシフト信号LTSが昇圧電圧Vppレベルの論理“ハイ”になるとトリガされる。この例の昇圧回路44は、発振器83、NMOSトランジスタ80,82,84,86、MOSキャパシタ88,90、及びインバータ92,94,96で構成されている。レベルシフタ40から出力されるレベルシフト信号LTSが論理“ハイ”になると、NMOSトランジスタ80,82が導通してMOSキャパシタ88,90の対応電極を電源電圧Vccのレベルにプリチャージし、そして、発振器83は所定周期で発振してインバータ92,96の動作信号を供給する。発振器83の出力が論理“ロウ”である場合は、NMOSトランジスタ84のドレインノードのプリチャージ電圧が昇圧されてNMOSトランジスタ84のソース端子へ伝送され、一方、発振器83の出力が論理“ハイ”である場合は、NMOSトランジスタ86のゲートノードの電圧が電源電圧Vccの2倍程度(2Vcc−Vtn)に昇圧されることにより、NMOSトランジスタ86のドレインノードの昇圧電圧がプルアップ制御信号DOKとして出力される。
【0034】
昇圧回路44の動作によりプルアップ制御信号DOKの電圧が電源電圧Vccレベルよりも高い第2レベルの電圧に昇圧されると、プルアップトランジスタ18のゲート−ソース間電圧Vgsは、第1レベルのプルアップ制御電圧が印加されるときより大きくなる。つまり、メモリセルからのデータが比較的低速でアクセスされて第1データラインDBの論理遷移速度が持続時間検出部38のインバータチェーン54による遅延時間を超過する場合は、プルアップトランジスタ18のゲート−ソース間電圧Vgsが上昇することになり、プルアップトランジスタ18のソースから出力される電圧レベルは図5の期間t2におけるようにほぼ電源電圧Vccの第2出力レベルになる。従って、直流条件で要求されるデータ出力レベルを満足できる。
【0035】
このようにして電源電圧Vccの第2出力レベルでデータが出力される状態で第1データラインDBが論理“ロウ”になると、レベルシフタ40から出力されるレベルシフト信号LSTが論理“ロウ”へ変わり、昇圧回路44の動作が即座に中断されると共に、PMOSトランジスタ52のゲート電圧も“ロウ”状態になる。これにより、プルアップ制御信号DOKのレベルは、PMOSトランジスタ52及びNMOSトランジスタ50のチャネルを通じて基準電圧Vssのレベルへディスチャージされる。
【0036】
以上のように、図3に示すデータ出力バッファは、データを高速に出力するときにはデータ“1”の出力レベルを約2.0V以上の必要最小限として出力する一方、データを低速に出力するときにはデータ“1”の出力レベルを約2.4V以上の十分なレベルにして出力し得る。
【0037】
図6に示すのは、データ出力バッファの他の構成例で、その実質的な動作過程は図3に示した回路と同様である。異なるのは、図3に示した昇圧回路44の代わりに、ソース端子をチップ内の昇圧回路(図示せず)から出力される昇圧電圧Vppに接続してドレイン端子からプルアップ制御信号DOKを出力するPMOSトランジスタ78を第2プルアップ制御信号発生手段として備え、レベルシフタ40によるレベルシフト信号LTSを反転駆動してPMOSトランジスタ78を制御するインバータ76を設けた点である。インバータ76は、チップ内昇圧回路から出力される昇圧電圧Vppを動作電圧として使用する。このような構成は、メモリセルのデータがアクセスされない待機モードでも電源電圧Vccレベルより高い電圧レベルを有する昇圧電圧Vppを利用することに特徴がある。そして、MOSキャパシタを用いないため、レイアウトに有利で動作も速い。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、データが高速アクセスされる場合には、例えば電源電圧Vccの第1レベルのプルアップ制御信号でデータ出力ドライバを制御することによりデータ出力レベルを交流条件に合わせる一方で、データが低速アクセスされる場合には、第1レベルより高い例えば昇圧電圧Vppの第2レベルのプルアップ制御信号でデータ出力ドライバを制御することによりデータ出力レベルを直流条件に合わせることが可能になる。このように、データの出力レベルを高速出力時と低速出力時とで調整することを可能にしたことにより、高速アクセスに際する半導体メモリ装置の消費電力を抑制し、そして電源ノイズによる誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のデータ出力バッファの回路図。
【図2】図1の回路による出力データの波形図。
【図3】本発明によるデータ出力バッファの第1実施形態を示す回路図。
【図4】図3中に示す昇圧回路44の回路図。
【図5】図3の回路による出力データの波形図。
【図6】本発明によるデータ出力バッファの第2実施形態を示す回路図。
【符号の説明】
16 データ出力ドライバ
17 プルダウン制御手段(プルダウン制御信号発生手段)
36 第1駆動部(第1プルアップ制御信号発生手段)
38 持続時間検出部
40 レベルシフタ
44 昇圧回路(第2プルアップ制御信号発生手段)
78 PMOSトランジスタ(第2プルアップ制御信号発生手段)

Claims (12)

  1. メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、電源電圧と基準電圧との間に設けられ、プルアップ制御信号が第1レベルで提供されるときにはデータ出力端子のハイ電圧レベルとして第1出力レベルに駆動し、前記プルアップ制御信号が第2レベルで提供されるときは前記データ出力端子のハイ電圧レベルとして第2出力レベルに駆動し、そしてプルダウン制御信号に応答して前記データ出力端子をプルダウンするデータ出力ドライバと、
    前記データライン対の第1データラインの活性化信号の持続周期が所定の周期を超えないときには前記第1レベルのプルアップ制御信号を前記データ出力ドライバに提供し、前記第1データラインの活性化信号の持続周期が前記所定の周期を超えるときには前記第2レベルのプルアップ制御信号を前記データ出力ドライバに提供するプルアップ制御手段と、
    を備えてなることを特徴とする半導体メモリ装置のデータ出力バッファ。
  2. 前記データ出力ドライバは、電源電圧とデータ出力端子との間に接続され、ゲート端子に前記プルアップ制御信号を受けて該プルアップ制御信号のレベルに対応する電圧を前記データ出力端子へ出力するプルアップトランジスタと、前記データ出力端子と基準電圧との間に接続され、ゲート端子に前記プルダウン制御信号を受けて前記データ出力端子を基準電圧レベルにプルダウンするプルダウントランジスタと、から構成される請求項1記載のデータ出力バッファ。
  3. 前記プルダウン制御信号は、前記データライン対の第2データラインに接続したドライバからなるプルダウン制御手段により発生される請求項2記載のデータ出力バッファ。
  4. 前記プルアップ制御手段は、前記データライン対の第1データラインが第1論理から第2論理へ遷移すると前記第1レベルのプルアップ制御信号を出力し、そして該第1レベルのプルアップ制御信号よりも高いレベルのレベルシフト信号の入力に応答して出力抑止状態となる第1駆動部と、前記第1データラインの第2論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出部と、前記シフトレベル制御信号に応答して前記レベルシフト信号を発生するレベルシフタと、前記レベルシフト信号の入力により前記第1レベルよりも高い第2レベルのプルアップ制御信号を出力する昇圧回路と、から構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ出力バッファ。
  5. 電源電圧にドレイン接続されると共にデータ出力端子にソース接続され、プルアップ制御信号に制御されるNチャネル形プルアップトランジスタと、前記データ出力端子にドレイン接続されると共に基準電圧にソース接続され、プルダウン制御信号に制御されるNチャネル形プルダウントランジスタと、で構成されたデータ出力ドライバを備える半導体メモリ装置のデータ出力バッファにおいて、
    メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、該データライン対の第1データラインが活性論理に遷移するときに前記プルアップ制御信号を基準電圧レベルから電源電圧レベルにして出力し、そしてレベルシフト信号に応答して出力抑止状態となる第1プルアップ制御信号発生手段と、前記第1データラインの活性論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出手段と、前記レベルシフト制御信号に応答して電源電圧より高いレベルの前記レベルシフト信号を発生するレベルシフト手段と、前記レベルシフト信号に応答して電源電圧を昇圧し、該昇圧電圧を前記プルアップ制御信号として出力する第2プルアップ制御信号発生手段と、前記データライン対の第2データラインの非活性論理に応答して基準電圧レベルの前記プルダウン制御信号を出力するプルダウン制御信号発生手段と、を備えることを特徴とするデータ出力バッファ。
  6. 前記第1プルアップ制御信号発生手段は、前記プルアップトランジスタのゲート端子と前記データライン対の第1データラインとの間にチャネル接続されて前記第1データラインの活性論理の電圧を伝送し、そしてレベルシフト信号に応答してオフ状態となるPMOSトランジスタを用いて構成される請求項5記載のデータ出力バッファ。
  7. 前記持続時間検出手段は、前記データライン対の第1データラインの信号を遅延する遅延部と、該遅延部の出力信号及び前記第1データラインの信号を比較して両信号が活性論理を有するときに前記レベルシフト制御信号を発生するレベルシフト制御信号発生部と、から構成される請求項5又は請求項6記載のデータ出力バッファ。
  8. 電源電圧にドレイン接続されると共にデータ出力端子にソース接続され、プルアップ制御信号に制御されるNチャネル形プルアップトランジスタと、前記データ出力端子にドレイン接続されると共に基準電圧にソース接続され、プルダウン制御信号に制御されるNチャネル形プルダウントランジスタで構成されたデータ出力ドライバを備える半導体メモリ装置のデータ出力バッファにおいて、
    メモリセルから出力されるデータを入力するためのデータライン対と、該データライン対の第1データラインが活性論理に遷移するときに前記プルアップ制御信号を基準電圧レベルから電源電圧レベルにして出力し、そしてレベルシフト信号に応答して出力抑止状態となる第1プルアップ制御信号発生手段と、前記第1データラインの活性論理が所定時間持続するとレベルシフト制御信号を発生する持続時間検出手段と、前記レベルシフト制御信号に応答して電源電圧より高いレベルの前記レベルシフト信号を発生するレベルシフト手段と、電源電圧より高いレベルの電圧をソース入力電圧とし、前記レベルシフト信号に応答して前記ソース入力電圧を前記プルアップ制御信号として出力するPMOSトランジスタの第2プルアップ制御信号発生手段と、前記データライン対の第2データラインの非活性論理に応答して基準電圧レベルの前記プルダウン制御信号を出力するプルダウン制御信号発生手段と、を備えることを特徴とするデータ出力バッファ。
  9. 前記第2プルアップ制御信号発生手段のソース入力電圧を動作電圧とするインバータによりレベルシフト信号を駆動して前記第2プルアップ制御信号発生手段を制御する請求項8記載のデータ出力バッファ。
  10. 前記第2プルアップ制御信号発生手段のソース入力電圧は、メモリ待機モードでも電源電圧の昇圧動作を行うチップ内昇圧回路から供給される昇圧電圧である請求項9記載のデータ出力バッファ。
  11. 前記第2レベルのプルアップ制御信号は、前記第1レベルのプルアップ制御信号よりも高いことを特徴とする請求項1記載の半導体メモリ装置のデータ出力バッファ。
  12. 前記データ出力端子の前記第2出力レベルは、前記第1出力レベルよりも高いことを特徴とする請求項1記載の半導体メモリ装置のデータ出力バッファ。
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