JP3769199B2 - 高耐食性めっき鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物、護岸工事、魚網、フェンス等の屋外に暴露して使用する耐食性と加工性の優れためっき鋼材とその製造方法に関するものである。
ここで、めっき鋼材は、金網用鉄線、橋梁用ワイヤ、PWSワイヤ、PC鋼線、ロープ等のめっき鋼線、H型鋼、鋼矢板等の構造用鋼材、ねじ、ボルト、スプリングなどの機械用部品、鋼板等の鋼製品を包含するものである。
【0002】
【従来の技術】
めっき鋼材、特に、めっき鋼線としては、亜鉛めっき鋼線や、これよりも耐食性に優れた亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼線が使用されている。この亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼線は、一般に鋼線を洗浄、脱脂等により清浄化処理し、次いで、フラックス処理を行った後、第一段として、亜鉛を主体とする溶融めっきを施し、次いで、第二段として、Al添加量10%のZn−Al合金浴にて溶融めっきするか、または、直接Alを10%添加したZn−Al合金浴でめっきし、次いで、めっき浴から垂直に引き上げて、冷却後、巻取る方法で製造されている。
【0003】
この亜鉛−アルミニウム合金をめっきした鋼線は、耐食性が良好なものであるが、その耐食性をより高めるために、めっき厚を厚くするという方法がある。
所要のめっき厚を確保するための方法の一つに、鋼線の移動速度(線速)を上げて、鋼線をめっき浴から高速で引き上げ、溶融めっき合金の粘性により鋼線に付着するめっき合金量を増やすという方法がある。しかし、この方法では、高速化により、めっき鋼線の長手方向に直角な断面において、めっき厚みの不均一が生じ易くなるという問題点がある。このように、めっき設備の面で耐食性を改善するのには限界がある。そのため、現行のめっき設備による亜鉛めっきや、Zn−Al合金による溶融めっきにおいては、鋼線に対する耐食性の付与が十分とはいえず、めっき鋼線に対して長寿命化の要望が強い今日、この要望を完全に満足させ得ないという問題がある。
【0004】
この問題に対処すべく、めっき浴中にMgを添加して耐食性を高めたZn−Al−Mg合金系めっき組成が、特開平10−226865号公報に提案されている。このめっき組成に基づくめっき方法は、鋼板用の薄目付けを前提としており、この方法を建造物、護岸工事、魚網、フェンス等の屋外に暴露して使用する鋼線に代表される厚めっき鋼線に適用した場合、めっき鋼線の加工時に、めっき層に割れが発生するという問題がある。
【0005】
また、特開平7−207421号公報には、Zn−Al−Mg合金めっきを厚目付けする方法が記載されているが、この方法をそのまま鋼線のめっきに適用した場合には、Fe−Zn合金層が厚くなり、めっき鋼線の加工時にFe−Zn合金層が割れたり、剥離を起こす等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した様々な問題を踏まえ、溶融亜鉛合金めっきを施しためっき鋼材、特に、めっき鋼線において、耐食性に優れるとともに、めっき鋼線の加工時、めっき層および/または合金層に割れや剥離が起きない加工性に優れるめっき鋼線とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決する手段について種々検討した結果、本発明に至ったもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)めっき鋼材において、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下、残部Znからなるとともに、Mg2Siが層中に分散して存在するめっき層を有し、かつ、めっき層−地鉄界面に、質量%で、Fe:15%以上、Al:20%以上、Si:2%以上、Mg:0.8〜5%、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層、および、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層からなる合金層を有することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材。
(2)めっき鋼材において、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなるとともに、Mg2Siが層中に分散して存在するめっき層を有し、かつ、前記めっき層−地鉄界面に、質量%で、Fe:15%以上、Al:20%以上、Si:2%以上、Mg:0.8〜5%、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層、及び、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層からなる合金層を有することを特徴とする高耐食性めっき鋼材。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn
【0008】
(3)前記めっき層組織に、Al−Znを主成分とするα相、Zn単相またはMg−Zn合金相からなるβ相、および、Zn−Al−Mg三元共晶相のそれぞれが存在することを特徴とする前記(1)または(2)記載の高耐食性めっき鋼材。
(4)前記めっき層組織に、Al−Znを主成分とするα相、Zn単相またはMg−Zn合金相からなるβ相、および、Zn−Al−Mg三元共晶相のそれぞれが存在し、かつ、β相の体積率が20%以下であることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)記載の高耐食性めっき鋼材。
(5)前記めっき鋼材に、更に、塗装被覆、重防食被覆のいずれか1種の被覆を施すことを特徴とする前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の高耐食性めっき鋼材。
(6)前記重防食被覆が、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂から選ばれた少なくとも1種の高分子化合物の被覆であることを特徴とする前記(5)記載の高耐食性めっき鋼材。
(7)前記めっき鋼材が、めっき鋼線であることを特徴とする上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の高耐食性めっき鋼材。
【0009】
(8)めっき鋼材の製造方法において、鋼材に第一段として、亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:0〜2%、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れた前記(1)記載のめっき鋼材の製造方法。
(9)前記第一段としての溶融亜鉛めっきが、質量%で、Al:3%以下、Mg:0.5%以下を含む溶融亜鉛めっきであることを特徴とする前記(8)記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
(10)前記第一段としての溶融亜鉛めっきを施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施す工程において、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分を窒素ガスによりパージし、めっき浴表面およびめっき鋼材の酸化を防止することを特徴とする前記(8)記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
(11)前記第一段としての溶融亜鉛めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施すことを特徴とする前記(8)記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
(12)前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施し、めっき鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴から引き上げた直後に、水スプレー、気水噴霧または水流の何れか1種の手段による直接冷却により、めっき合金を凝固させることを特徴とする前記(8)記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
(13)前記めっき鋼線の冷却の際の冷却開始温度を、めっき合金の融点+20℃以下とすることを特徴とする前記(8)または(12)記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
【0010】
(14)めっき鋼材の製造方法において、鋼材に第一段として、亜鉛を主体とする電気亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:0〜2%、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
(15)めっき鋼材の製造方法において、鋼材に、第一段として、亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする前記(2)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn
【0011】
(16)前記第一段としての溶融亜鉛めっきが、質量%で、Al:3%以下、Mg:0.5%以下を含む溶融亜鉛めっきであることを特徴とする前記(15)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
(17)前記第一段としての溶融亜鉛めっきを施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施す工程において、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分を窒素ガスによりパージし、めっき浴表面およびめっき鋼材表面の酸化を防止することを特徴とする前記(15)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
(18)前記第一段としての溶融亜鉛めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施すことを特徴とする前記(15)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
(19)前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施し、めっき鋼材をめっき浴から引き上げた直後に、水スプレー、気水噴霧、または、水流の何れか1種の手段による直接冷却により、めっき合金を凝固させることを特徴とする前記(15)または(16)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
(20)前記めっき鋼材の冷却に際し、冷却開始温度をめっき合金の融点+20℃以下とすることを特徴とする前記(15)、(16)または(19)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
【0012】
(21)めっき鋼材の製造方法において、鋼材に、第一段として、亜鉛を主体とする電気亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする前記(2)記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のめっき鋼材について説明するが、特にめっき鋼線を中心にして詳細に説明する。
本発明に従うめっき鋼線は、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下に加えて、耐食性向上元素、めっき硬さ向上元素、めっき組織微細化元素、めっき加工性向上元素のいずれか一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなるとともに、Mg2Siが層中に分散して存在するめっき層を有し、かつ、前記めっき層−地鉄界面に、質量%で、Fe:15%以上、Al:2〜20%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層、及び、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層からなる合金層を有するものである。
【0015】
先ず、めっき層を形成する合金元素の役割りとその含有量について説明する。Alは、耐食性を高め、また、めっき層中の他の元素の酸化を防止する酸化防止効果を有するが、4%未満の添加では、めっき浴中におけるMgの酸化を防止する効果が得られない。また、Alを20%を超えて添加すると、形成されるめっき層が硬く脆くなり、このため加工が行えなくなる。そのため、めっき層中のAl添加量の範囲は4〜20%とする。鋼線のめっきの場合、厚目付けを行うので、望ましくは9〜14%とする。この範囲のAl添加量で安定しためっき層を得ることができる。
【0016】
Mgは、めっきの腐食生成物を均一に生成し、このMgを含有する腐食生成物には腐食の進行を妨げる作用があるので、Mgには、めっき層の耐食性を向上せしめる効果がある。しかし、0.8%未満の添加では、耐食性向上の効果を得ることができず、一方、5%を超えて添加すると、めっき浴表面に酸化物が生成し易くなり、ドロスを大量に発生してめっき操業が困難になる。耐食性とドロス発生量の両立のため、Mgの添加量範囲は0.8〜5%とする。
【0017】
Siは、めっき層中で、Mg2Si を生成せしめ、更に耐食性を高めるために添加する元素である。Mg2Si は、大きさが0.1〜20μm程度のものであり、めっき層中に均一に微細分散して、耐食性の向上に寄与する。0.01%未満の添加では、耐食性向上に充分な量のMg2Si が生成せず、所要の耐食性向上効果が得られない。Siは、Alの添加量が多い程、有効に作用し、Alの添加量が最大20%のとき、Siの最大添加量が2%である。それ故、Siの添加量範囲は、0.01〜2%とする。
【0018】
Feは、めっきをする際に鋼から溶出する場合、もしくは、めっき地金に不純物として存在する場合があるが、2%超のFeは耐食性の低下を引き起こすので、上限を2%とした。なお、Feの添加量の下限は特に設けないが、場合によっては、Feは含まれなくともよい。
Tiは、耐食性を高める効果を有し、他に、同様の効果を持つ元素としては、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Hf等がある。それらの元素のうち、1つまたは複数の元素を0.01〜1.0%添加することにより、耐食性を高めることができる。0.01%未満の添加は効果が認められず、一方、1.0%を超えて添加すると、めっきが凝固する際に相分離をおこす可能性があるので、添加量範囲を0.01〜1.0%とする。
【0019】
Moは、めっき層の硬さを高め、傷つき難くする効果を有し、他に、同様の効果を持つ元素としては、W、Nb、Ta等がある。それらの元素のうち、1つまたは複数の元素を0.01〜0.2%添加することにより、めっき層の硬さを高めて、傷つき難くすることができる。
PbとBiには、めっき表面の結晶を細かくする効果がある。めっき面の大きい板や形鋼などのめっき鋼材において、めっき表面にめっき合金の結晶が大きく成長して、模様のように見えることがある。この現象を回避するために、ZnおよびFeに固溶しないPb、Biを添加する。このPb、Biはめっき中にて凝固の核となり、微細な結晶成長を促進し、模様の発生を抑制する。この効果が得られるPbとBiの添加量範囲が0.01〜0.2%である。
【0020】
Sr、V、Cr、Mn、Snには、加工性を向上させる効果がある。添加量が0.01%未満では効果が認められず、0.5%を超えて添加すると、偏析が顕著となり、めっき鋼材を加工する際に割れ易くなるので、これら元素の添加量範囲を0.01〜0.5%とする。
次に、めっき層−地鉄界面に形成される合金層について説明する。図1は、本発明によるめっきの構造における、めっき層(図中、4)、合金外層(図中、3)、および、合金内層(図中、2)の関係を示す図である。本発明に従うめっき鋼線においては、上記めっき層−地鉄界面に、Fe−Zn−Al−Mg−Siからなる合金層が形成されるが、この合金層は、質量%で、Fe:15%以上、Al:20%以上、Si:2%以上、Mg:5%以下、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層(図中、2)、及び、質量%で、Fe:25%以下、Al:30%以下、Si:2%以上、Mg:5%以下、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層(図中、3)から構成されるものである。
【0021】
上記合金内層について説明する。
本発明者は、本発明に従う製造方法により製造しためっき鋼線において、めっき層4と地鉄1の界面に形成される合金層の組織を、光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、通常、めっき層と地鉄との界面において合金層と認識されている層の下に、即ち、地鉄と該合金層の界面に、合金組成および組織が合金層の組成および組織とは異なる、厚さ5μm以下程度の薄層(合金内層)が存在し、該薄層が存在する鋼線においては、該薄層を有しない鋼線に比べ、耐食性が極めて優れていることを見いだした。
【0022】
前記合金内層の存在で耐食性が極めて向上する理由は、今のところ明確ではないが、該層が、腐食の進行を遮断する作用をなすのではないかと推測される。
前記合金内層の厚さは5μm以下である。厚さが5μmを超えると、地鉄と外側の合金層との密着性が阻害され、めっき鋼線の加工性が低下する。
なお、上記合金内層の厚さは、所望の耐食性を得るうえで、0.05μm以上が好ましい。
【0023】
前記合金内層におけるMgは、めっき層におけるMgと同様に、0.8〜5%とするが、該合金内層において、Feが15%未満、Alが20%未満、もしくは、Siが2%未満であると、いずれかの元素量を多くしなければならず、そうすると相分離をおこし合金層が安定に存在せず、所望の耐食性が得られないので、上記合金内層において、Fe、AlおよびSiについては、Fe:15%以上、Al:20%以上、および、Si:2%以上を含有することが必要である。
【0024】
前記合金内層の外側に形成される、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層について説明する。
上記合金外層は、いくつかの合金組織が混合して形成されているもので、脆い性質があり、Feが25%を超えると、加工時に合金外層が割れ、めっき剥離を引き起こすので、Feの上限を25%とする。Feの好ましい量は2〜20%である。この合金外層中にAlが存在することにより、合金外層に延性が付与されるが、Alが30%を超えると硬化相が発生し、加工性が低下するので、Alの上限を30%とする。Alの好ましい量は2〜25%である。そこで、Alの下限を2%とする。
【0025】
上記合金外層において、Siが2%未満であると、所望の耐食性が得られないので、Siは2%以上とする。Siが多くなりすぎると、合金外層が硬化し、脆化する傾向があるので、Siは、15%以下程度が好ましい。
Mgには、合金層の耐食性を高める効果があるが、同時に、脆化をももたらすので、脆化を起こさない上限の5%をMgの上限とした。Mgの好ましい量は0.5〜5%である。そこで、Mgの下限を0.5%とした。
【0026】
上記合金外層が厚い場合には、合金層が割れたり、合金層と地鉄界面または合金層とめっき界面が割れ易くなる。
図2は、Zn−11%Al−1Mg−0.1%Si合金めっきの場合において、合金外層の厚みと、巻付け試験時の割れ(本数)との関係で、合金外層のめっき密着性を示したものである。この図2から分かるように、合金外層の厚みが30μmを超えると割れが顕著に多くなり、めっきとして実用に耐えないものとなる。
【0027】
この合金外層は、本来、めっき層より耐食性が劣るので、厚みが薄い方が望ましく、15μm以下、更に好ましくは5μm以下が望ましい。理想的には、この合金外層は存在しない方が望ましい。
上述した理由から、合金外層の厚みにおいては加工性を損なわない上限が30μmであるので、Fe−Al−Si−Zn合金外層の厚みは30μm以下とする。
【0028】
更に、本発明のめっき鋼材においては、Al、Mgを主成分とするので、めっき後の冷却により、めっき−地鉄界面に存在する合金外層の外側のめっき層中に、Al−Znを主成分とするα相と、Zn単相またはMg−Zn合金相からなるβ相、および、Zn−Al−Mg三元共晶相を共存させることができる。このうち、Zn−Al−Mg三元共晶相が存在することにより、腐食生成物の均一生成と腐食生成物による腐食の進展防止効果が得られる。また、β相は、他の相と比較して耐食性が劣るために、局部的な腐食を招き易い。そして、β相の体積率が20%を超えると耐食性の低下を招くので、その体積率は20%以下とする。
【0029】
本発明のめっき鋼材の製造方法としては、二段めっき法を採用する。第一段として、亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきまたは電気亜鉛めっきを施して、Fe−Zn合金(内外)層を形成し、次いで、第二段として、本発明で規定する平均組成を有する溶融亜鉛合金めっきを施すことにより、本発明のめっき鋼材を効率的に得ることができる。第一段としての溶融亜鉛めっきで用いる亜鉛として、純ZnまたはZnにめっき浴の酸化防止や流動性の改善の目的で微量のミッシュメタル、Si、Pb等を添加した亜鉛主体の溶融合金や、合金層の成長を目的として、質量%で、Al:3%以下、Mg:0.5%以下を含む溶融亜鉛合金なども使用できる。また、第一段としての溶融亜鉛めっきでFe−Zn合金層を得る場合、該Fe−Zn合金層中にAl、Mgが含まれていると、めっき合金中にAl、Mgが入り易くなるという効果がある。
【0030】
本発明のめっき鋼材の製造方法においては、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分を窒素ガスによりパージし、めっき浴表面およびめっき鋼材表面の酸化を防止して、加工性の向上を図ることができる。めっき直後に、めっき表面に酸化物が生成したり、もしくは、めっき表面にめっき浴表面に生成した酸化物が付着したりした場合、めっき鋼材の加工時に、めっきが酸化物を核として割れることがある。それ故、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分において、めっき浴表面および鋼材表面の酸化を防止することは重要な要素である。
【0031】
図3は、本発明のめっき合金組成(Zn−10%Al−3Mg−0.1%Si)のめっき鋼線について、断気の有無で巻付け試験時の表面割れ(本数)を比較したものである。断気しない場合、表面に割れを生じるものが、許容限界本数を超えて発生する。酸化防止には、窒素の他に、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることも可能であるが、コスト面からは窒素が最も優れている。
【0032】
本発明のめっき鋼材を二段めっき法で得る場合において、めっき合金の成長を適切なものにするには、第一段としての亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施し、次いで、第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施すことが必要である。いずれも、20秒を超える長時間でめっきを施すと、合金層全体の厚みが厚くなり35μmを超えてしまうので、第一段としての亜鉛を主体とする溶融めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で、次いで、第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施す。
【0033】
本発明においては、めっき後に冷却処理を施すが、この冷却は緩冷却でも、急冷却でも差し支えない。すなわち、緩冷却であれば、めっきの凝固組織は粒状晶組織になるし、急冷却であれば、該組織は柱状晶組織になる。耐食性と加工性を兼ね備えためっき鋼材を要求するのであれば、凝固組織は粒状晶組織であることが好ましく、加工性を多少犠牲にしても耐食性のみを要求するのであれば柱状晶組織とすることもできる。前記冷却速度は100〜400℃/secの範囲内であることが好ましい。
【0034】
具体的な冷却手段としては、第二段としての溶融亜鉛合金めっきの後、めっき鋼線をめっき浴から引き上げた直後に、水スプレー、気水噴霧、または、水流の何れか1種の手段による直接冷却によりめっき合金を凝固させるが、好ましくは、水スプレーまたは気水噴霧を採用し、冷却時の冷却開始温度をめっき合金の融点+20℃以下とすると、より安定しためっき層を得ることができる。
【0035】
なお、本発明で使用するめっき鋼材としては、炭素を0.01質量%含有する低炭素鋼から1質量%程度含有する高炭素鋼まで、鋼材であれば使用可能であり、代表的には、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:1%以下、Mn:0.6%以下、P:0.04%以下、S:0.04%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材である。
【0036】
また、本発明においては、最終的に、めっき鋼材の表面に塗装被覆を施すか、もしくは、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物を重防食被覆として被覆することにより、更に耐食性を向上させることができる。
本発明は、めっき鋼材、特に鋼線を中心に説明したが、他に、鋼板を始めとして、鋼管や鋼構造物などにも十分適用が可能であることは勿論である。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
鋼線材“JIS G 3505 SWRM6”の表面に純Znめっきを施した4mm径の鋼線に、表1に示す条件で、Zn−Al−Mg系亜鉛めっきを施し、諸特性を評価した。比較例として、めっき組成、および、Fe−Zn合金層を変えたものを同様に評価した。めっき組織の観察は、めっき線のC断面を研磨した後、EPMAにて行った。合金層の組成分析については、ビーム径を2μmとして定量分析を行った。耐食性については、250時間、連続して塩水を噴霧し、試験前後の重量差から、単位面積当たりめっきが腐食された量を算出して腐食減量とした。本試験では、腐食減量20g/m2以下を合格として合否を判定した。
【0038】
加工性の評価は、作成しためっき鋼線を6mm径の鋼線に6回巻き付け、その表面を目視観察により、割れの有無を判定した。また、割れ判定後のサンプルにセロハンテープを張り付け、張り付け後剥がした際に、めっきの剥離の有無を観察し、割れが1本以下、または、剥離がないことを合格の条件とした。
表1に、めっき平均組成、合金内・外層の組成および厚み、および、めっき層の厚み、組織およびβ相体積率と、耐食性、加工性、および、めっき浴のドロス生成との関係を示す。
【0039】
発明例は、いずれも、良好な耐食性および加工性を示し、ドロス生成も少なかった。
比較例1〜7は、めっき合金組成が、本発明の範囲外のものである。比較例1〜3は、Al、MgまたはSi量が本発明の範囲の下限より低く、耐食性が劣っているものである。比較例4〜6は、Al、MgまたはSi量が本発明の範囲の上限より高く、耐食性が劣っているとともに、ドロスの生成量が多くて操業に支障をきたすものである。比較例8および9は、めっき合金の厚みが本発明の範囲外のものであり、加工性が劣る結果となっている。比較例10〜12は、めっき組織中のβ相が本発明の範囲外であり、耐食性が劣っているものである。
【0040】
【表1】
(実施例2)
鋼線材JIS G 3505 SWRM6の表面に純Znめっき施した4mm径の鋼線に、表1に示す条件にてZn−Al−Mg系亜鉛合金めっきを施し評価した。比較として、めっき組成、Fe−Zn合金層を変えたものを同様に評価した。めっき組織の観察は、めっき線のC断面を研磨した後、EPMAにて観察した。合金層の組成分析については、ビーム径を2μmとして定量分析を行った。耐食性は、250時間の連続塩水噴霧試験を行い、試験前後の重量差から単位面積あたりめっきが腐食された量を算出し腐食減量とした。本試験では20g/m2以下を合格として合否を判定した。
【0041】
加工性の評価は、作製しためっき鋼線を6mm径の鋼線に6回巻き付け、その表面を目視観察して、割れの有無を判定した。また、割れ判定後のサンプルにセロハンテープを張り付け、それをはがした際のめっきの剥離の有無を観察し、割れが1本以下、剥離がないことを合格の条件とした。
表2に、めっき平均組成、合金内・外層の組成および厚み、および、めっき層の厚み、組織およびβ相体積率と、耐食性、加工性、および、めっき浴のドロス生成との関係を示す。発明例はいずれも良好な耐食性、および、加工性を示し、ドロス生成も少なかった。
【0042】
比較例の13〜19は、めっき合金の組成が本発明の範囲外のものである。比較例13〜15は、Al、MgまたはSi量が本発明の下限よりも低く耐食性が劣るものである。比較例16〜18および19はAl、MgまたはSi量が本発明の上限より高く、その結果、加工性が劣るもので、また、めっき浴におけるドロスの生成が多く操業に支障を来すものである。比較例の20および21は、めっき合金層の厚みが本発明の範囲外のものであり、加工性が劣る結果となっている。比較例の22〜24は、めっき組織中のβ相体積率が本発明の範囲外であり、その結果耐食性が劣るものである。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば高耐食性を有する加工性に優れた亜鉛めっき鋼材、特に、亜鉛めっき鋼線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るめっき構造と、この構造を形成するめっき層、合金外層、および、合金内層の関係を示す図である。
【図2】Zn−11%Al−1Mg−0.1%Si合金をめっきした場合における合金層厚みと巻き付け試験時の割れ(本数)との関係で、合金外層のめっき密着性を示す図である。
【図3】Zn−10%Al−3Mg−0.1%Si合金をめっきしためっき鋼線について、断気の有無で、巻き付け試験時の表面割れ(本数)を比較した図である。
【符号の説明】
1…地鉄
2…合金内層
3…合金外層
4…めっき層
Claims (21)
- めっき鋼材において、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下、残部Znからなるとともに、Mg2Siが層中に分散して存在するめっき層を有し、かつ、めっき層−地鉄界面に、質量%で、Fe:15%以上、Al:20%以上、Si:2%以上、Mg:0.8〜5%、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層、および、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層からなる合金層を有することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材。
- めっき鋼材において、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなるとともに、Mg2Siが層中に分散して存在するめっき層を有し、かつ、前記めっき層−地鉄界面に、質量%で、Fe:15%以上、Al:20%以上、Si:2%以上、Mg:0.8〜5%、残部Znからなる厚さ5μm以下の合金内層、及び、質量%で、Fe:25%以下、Al:2〜30%、Si:2%以上、Mg:0.5〜5%、残部Znからなる厚さ30μm以下の合金外層からなる合金層を有することを特徴とする高耐食性めっき鋼材。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn - 前記めっき層組織に、Al−Znを主成分とするα相、Zn単相またはMg−Zn合金相からなるβ相、および、Zn−Al−Mg三元共晶相のそれぞれが存在することを特徴とする請求項1または2記載の高耐食性めっき鋼材。
- 前記めっき層組織に、Al−Znを主成分とするα相、Zn単相またはMg−Zn合金相からなるβ相、および、Zn−Al−Mg三元共晶相のそれぞれが存在し、かつ、β相の体積率が20%以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の高耐食性めっき鋼材。
- 前記めっき鋼材に、更に、塗装被覆、重防食被覆のいずれか1種の被覆を有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の高耐食性めっき鋼材。
- 前記重防食被覆が、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂から選ばれた少なくとも1種の高分子化合物による被覆であることを特徴とする請求項5記載の高耐食性めっき鋼材。
- 前記めっき鋼材が、めっき鋼線であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の高耐食性めっき鋼材。
- めっき鋼材の製造方法において、鋼材に第一段として、亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:0〜2%、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れた請求項1記載のめっき鋼材の製造方法。
- 前記第一段としての溶融亜鉛めっきが、質量%で、Al:3%以下、Mg:0.5%以下を含む溶融亜鉛めっきであることを特徴とする請求項8記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- 前記第一段としての溶融亜鉛めっきを施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施す工程において、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分を窒素ガスによりパージし、めっき浴表面およびめっき鋼材の酸化を防止することを特徴とする請求項8記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- 前記第一段としての溶融亜鉛めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施すことを特徴とする請求項8記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- 前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施し、めっき鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴から引き上げた直後に、水スプレー、気水噴霧または水流の何れか1種の手段による直接冷却により、めっき合金を凝固させることを特徴とする請求項8記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- 前記めっき鋼線の冷却の際の冷却開始温度を、めっき合金の融点+20℃以下とすることを特徴とする請求項8または12記載の高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- めっき鋼材の製造方法において、鋼材に第一段として、亜鉛を主体とする電気亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:0〜2%、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする高耐食性を有し加工性に優れためっき鋼材の製造方法。
- めっき鋼材の製造方法において、鋼材に、第一段として、亜鉛を主体とする溶融亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする請求項2記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn - 前記第一段としての溶融亜鉛めっきが、質量%で、Al:3%以下、Mg:0.5%以下を含む溶融亜鉛めっきであることを特徴とする請求項15記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
- 前記第一段としての溶融亜鉛めっきを施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施す工程において、めっき鋼材をめっき浴から引き上げる部分を窒素ガスによりパージし、めっき浴表面およびめっき鋼材表面の酸化を防止することを特徴とする請求項15記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
- 前記第一段としての溶融亜鉛めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施し、次いで、前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを、めっき浴浸漬時間20秒以下で施すことを特徴とする請求項15記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
- 前記第二段としての溶融亜鉛合金めっきを施し、めっき鋼材をめっき浴から引き上げた直後に、水スプレー、気水噴霧、または、水流の何れか1種の手段による直接冷却により、めっき合金を凝固させることを特徴とする請求項15または16記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
- 前記めっき鋼材の冷却に際し、冷却開始温度をめっき合金の融点+20℃以下とすることを特徴とする請求項15、16または19記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
- めっき鋼材の製造方法において、鋼材に、第一段として、亜鉛を主体とする電気亜鉛めっきを施し、次いで、第二段として、平均組成が、質量%で、Al:4〜20%、Mg:0.8〜5%、Si:0.01〜2%、Fe:2%以下を含み、かつ、下記a、b、c、dの群のうちの一つまたは複数の群から選ばれた一つまたは複数の元素を含み、残部Znからなる溶融亜鉛合金めっきを施し、その後、Mg 2 Siが分散しためっき層を冷却することを特徴とする請求項2記載の高耐食性めっき鋼材の製造方法。
a:それぞれ0.01〜1.0質量%のTi、Li、Be、Na、K、Ca、Cu、
La、および、Hf
b:それぞれ0.01〜0.2質量%のMo、W、Nb、および、Ta
c:それぞれ0.01〜0.2質量%のPb、および、Bi
d:それぞれ0.01〜0.5質量%のSr、V、Cr、Mn、および、Sn
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