JP5494223B2 - 亜鉛系2層めっき鋼材およびその製造方法 - Google Patents

亜鉛系2層めっき鋼材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材表面に複層からなるめっきを有する耐食性と加工性・塗装性・耐疵付き性に優れる鉄鋼材料とその製造方法に関するものである。
近年、自動車、家電、建設、土木など分野を問わず、耐食性の向上を目的にZnやAl、もしくはそれらの合金をめっきした鋼材の使用が一般化している。一方で、鋼材には、その使用目的に応じて、曲げや成形などの加工性、塗装性、耐疵付き性など耐食性以外の特性も求められている。
しかしながら、耐食性を高めるためにめっきの付着量を増やしたり、合金化させたりすることは、必ずしも加工性や塗装性、耐疵付き性などに有利に働くとは限らない。ZnやAlは疵付きやすく、また塗装性に優れるとは言いがたい。また、界面に生成するFeとの合金層は硬く、加工性に劣る。
このように相反する特性を満たすために、いくつかの複層めっき方法が提案されている。
例えば、以下の特許文献1では、耐食性と電着塗装性を両立する、内層にZnが40%以上のZn−Fe層、表面層にはZnが40%以下のZn−Fe層を有するめっき鋼材が、提案されている。他にも、以下の特許文献2のように、内層を防食めっきとし、表層に電気めっきでFe系めっきを施すことで、電着塗装性を高めている方法がある。
また、以下の特許文献3および特許文献4のように、Feではなく、表層にNiを含む電気めっきを施すことで、加工性と耐食性を両立する方法も提案されている。Zn−Fe系以外では、内層がAlを0.15%から30%の範囲で含むZn系めっきであり、表層にTi、Mn、Ni、Alを含むZn系めっきを施すことで、耐食性と加工性を両立できることが、以下の特許文献5に示されている。
特性面からの必要性だけではなく、難製造性のめっきを施す方法としての複層めっきも存在する。例えば、以下の特許文献6には、溶融Al−Zn−Siめっきを溶融Znめっき上に施す方法が示されており、以下の特許文献7には、めっき層と地鉄層の界面に20μm以下のFe−Al−Mg−Zn合金層を形成する方法が示されている。
また、以下の特許文献8のように、明確に複層ではないものの、電気Zn−Feめっき上に溶融Zn−Al−Siめっきをすることで、Zn−Fe−Al−Si合金めっきとすることで耐食性と加工性を両立する方法があり、以下の特許文献9のように、電気Zn−Feめっき上にAl−Siを拡散さえる方法で、Zn−Fe−Al−Siめっきとして、耐食性と加工性を両立する方法もある。耐食性と加工性を両立させる方法としては、以下の特許文献10のような、下層をAl系合金、上層に高融点合金もしくは酸化物層を設けためっきも存在する。
これらの方法は、いずれも2回の被覆工程を経ることで複層もしくは合金層を形成することで特性の両立を達成している。
特開昭56−133488号公報 特開昭56−142885号公報 特開昭61−207597号公報 特開昭61−210198号公報 特開昭61−179861号公報 特開平5−148668号公報 特開2002−020850号公報 特開昭63−143269号公報 特開昭63−134690号公報 特開2000−345368号公報
複数の特性を満足させるためには、複層めっきは有効なめっきであり、実現する手法としては複数回被覆する方法が現実的である。しかしながら、上記特許文献1および特許文献2の方法は、カチオン電着などの塗装性の向上を目的としてFe%の高いFe−Znめっきを施すものであり、上下層の加工性や耐食性の差異は少なく、塗装終了後は単一層のZn−Feめっきと大差ない。
また、開示されている電気めっきは、溶融めっきに比べてコストがかかる、表層の耐食性を上げるためにアルミニウムやマグネシウムなどの元素を添加できない等の欠点があり、製造面でも汎用性は低いという欠点がある。
特許文献3及び特許文献4の方法は、Niを電気めっきするものであって、加工性と耐食性の両立が図られているが、電気めっきではコストがかかり、特許文献1および特許文献2の方法と同じように元素の自由度は低い。Niそのものも、非常に高価な元素である。
特許文献5の方法は、二層とも溶融めっきで行うために、電気めっき法のような欠点は無い。しかしながら、溶融めっきを繰り返すために、後からめっきする上層側めっきの融点が下層側めっきの融点よりも高いめっきを施すことは容易ではない。特許文献5に記載されているような添加元素範囲ならば問題はないが、例えばFeの比率を高めることは難しく、耐食性を高めるだけならば記載の方法でよいが、他の特性、例えば耐疵付き性、塗装性などを上層側めっきが担保するめっきは、得られない。
特許文献6および特許文献7の方法は、二段めっきといわれる方法であり、上層側めっきで耐食性を向上させ、下層側めっきで密着性と上層めっきのめっき性を向上させためっきである。かかるめっきは、複数の機能を積極的に発揮するめっきではなく、また、一層めっきと特性は変わるところはなく、複数の機能を十分満足しためっきではない。
特許文献8および特許文献9の方法におけるめっきも、二回めっき後に拡散法で形成された難めっき材のめっきであり、その特性は、上層側めっきでのみで決まり、下層側めっきが重要な特性を担うめっきではなく、複層の特性を十分発揮するめっきではない。
特許文献10の方法におけるめっきは、複数の機能を持たせた画期的なものといえるが、上層側めっきの組成は、塗装性、抵抗溶接性などに有効な機能を発揮する元素とは言えない。また、酸化物は抵抗溶接ができないという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、経済的なめっき手法であり、耐食性と加工性・塗装性・耐疵付き性・抵抗溶接性に優れる鉄鋼材料を提供することにある。
本発明者らは、耐食性、加工性、塗装性、耐疵付き性に優れためっき層を持つ鉄鋼材料の製造技術に係り、種々の検討を行った。前述のように、耐食性と加工性、塗装性、疵付き性は相反する面が多く、両立しにくい特性である。
上記課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の(1)〜(8)を要旨とする発明に至った。これは、複層めっきとし、耐食性を維持しつつ、上層めっきに耐疵付き性を、下層めっきに加工性を付与するめっきを施す方法を見出したことによるものである。
(1)2層からなるめっきを有する鋼材であって、下層側めっき層がめっき成分として、質量%で、Al:5〜25%を含み、残部が亜鉛である亜鉛−アルミニウム合金めっきであり、上層側めっき層が、めっき層成分として、質量%で、Fe:2%以上30%以下、Al:0.1%以上10%以下を含み残部が亜鉛および不可避的不純物である亜鉛−鉄−アルミニウム合金めっきであることを特徴とする、亜鉛系2層めっき鋼材。
(2)前記下層側めっき層が、めっき成分として、さらに質量%で、Mg:0.01〜5%、Si:0.01〜3%の少なくとも一つを含むことを特徴とする、(1)に記載の亜鉛系2層めっき鋼材。
(3)前記下層側めっき層の融点が、前記上層側めっき層の融点未満であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の亜鉛系2層めっき鋼材。
(4)鋼板上に、Alを質量%で0.1〜10%含み、残部がZnおよび不可避的不純物であるめっき層(第一めっき)を設けたのち、さらに、Alを質量%で5〜25%含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる溶融めっき浴に浸漬してめっき(第二めっき)を施すことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
(5)前記第一めっきを、溶融めっき法によって形成することを特徴とする、(4)に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
(6)前記第一めっきを形成した後に、加熱合金化処理を施すことを特徴とする、(4)または(5)に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
(7)前記第二めっきの溶融めっき浴の浴温が、前記第一めっきの融点未満であることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
(8)前記第二めっきのめっき浴は、さらに、質量%で、Mg:0.01〜5%、Si:0.01〜3%の少なくとも一つを含むことを特徴とする、(4)〜(7)のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、耐食性と加工性・塗装性・耐疵付き性を同時に満足する鉄鋼材料を効率よく提供することができる。
本発明の実施形態に係る亜鉛系2層めっき鋼材の断面写真である。
以下に、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明で述べる融点とは、固相から液相が生じる温度である。単一元素から成るめっきの場合はその元素の融点であり、合金元素の場合には固相線の温度である。固相線を超えた場合には液相と固相が共存することになるが、本発明では、融点を超えた状態とみなす。
また、本発明で述べる上層めっきとは、表面に接するめっきを意味し、下層めっきとは、鋼材に接するめっきを意味する。
まず、本発明の実施形態に係る鋼材について説明する。本発明に供される鋼材は特に成分が規定されるものではなく、また形状も特に規定しない。本発明の実施形態では、鋼板、鋼管、形鋼、線材など、種々の形態をとることが可能である。
次に、本発明の実施形態に係る二層めっきの効果について、説明する。
加工性に優れためっきとは、加工に追随して変形し、割れが発生しないことが望ましいが、そのようなめっきは柔らかく、耐疵付き性には不利である。耐疵付き性を上げるために硬くすると、めっきは割れやすく、加工部の耐食性が低下する。本発明に係る二層めっきは、これら相反する機能を、上層めっきの硬質で耐疵付き性に優れる亜鉛−鉄−アルミニウム合金めっきと、下層めっきの柔らかく加工追随性に優れる亜鉛−アルミニウム合金めっきとに分担させることで、同時に実現させることを可能としためっきである。
次に、本発明の実施形態に係るめっき中に存在する元素の機能について述べる。なお、本明細書において特に断りのない場合、%は質量%を表わす。
本発明の実施形態に係る上層側めっきは、めっき付着量の全量に対して、質量%で、Fe:2%以上30%以下、Al:0.1%以上10%以下を含み、残部が亜鉛および不可避的不純物である亜鉛−鉄−アルミニウム合金めっきである。
上層側めっきは、耐食性を持ちつつ、耐疵付き性、溶接性、塗装性に優れることが必要であり、このことから、耐食性に優れるZnを基本組成とする。
そして、Feは、ZnとFe−Zn合金を形成してめっき層の硬度を高くし、耐疵付き性を向上させる。また、めっきの融点が上昇し、スポット溶接などの溶接性も向上する。さらに、Fe−Zn合金は、純Znと比較して塗装との密着性もよく、加えて塗装後の耐食性も向上させる。そのため、上層めっき中にFe−Zn合金が存在することで、塗装後耐食性に優れ、耐疵付き性、溶接性にも優れる表面を実現することが出来る。
これらの効果は、めっき層中のFeが2%未満では現れないため、上層側めっき中におけるFeの濃度は、2%以上であることが必要である。また、めっき層中のFeの濃度が30%を超えると効果は飽和するため、上層側めっき中におけるFeの濃度は、30%以下であることが必要である。
Alは、耐食性向上のために必要な元素であり、耐食性向上効果を得るためには、めっき層中に0.1%以上含まれることが必要である。なお、めっき層中にAlが過度に存在すると加工性を悪化させるため、上層側めっき中におけるAlの濃度は、10%以下であることが必要である。
下層側めっきは、めっき付着量の全量に対して、質量%で、Al:5〜25%を含み、残部が亜鉛である亜鉛−アルミニウム合金めっきである。下層側めっきは、耐食性と加工性に優れるめっきであることが必要である。特に、硬質な上層側めっきに加工による割れが生じても、下層側めっきが加工に追従することで割れの成長を止め、かつ上層めっきの割れ部においても耐食性を維持できることが重要である。そのため、下層めっきには、耐食性に優れ、また延性にも優れる元素であるZnもしくはZn合金を主成分とする。
そして、Alは、耐食性を向上させる元素である。耐食性向上のためには、下層めっき中にAlを5%以上含有させることが必要である。しかし、Al濃度が高くなりすぎるとめっきの犠牲防食性が低下し、まためっきの融点が上昇することから、めっきの犠牲防食性を維持し、また融点上昇による取り扱いの不便さを考慮して、下層側めっき層のAl濃度は25%以下とすることが必要である。
さらに、耐食性を向上させる目的で、下層めっきには、Mg、Siを添加することが可能である。その場合には、Mgの機能を発現するために、質量%で、少なくとも、0.01%添加することが好ましい。Mgの増加と共に耐食性は向上するが、加工性がやや低下する。必要な加工性を維持するためには、Mgの上限濃度を5%とすることが好ましい。Siは、耐食性を向上させると共に、めっき層へのFeの拡散を抑制し、加工性の低下を防ぐ効果がある。Siの添加による効果を発現させるためには、少なくとも0.01%添加することが好ましい。また、Siの濃度が3%を超えると効果が飽和するので、Siの上限濃度は、3%とすることが好ましい。
なお、めっき成分の分析方法は限定されるものではないが、例えば、定量GDS(Glow Discharge emission Spectroscopy:グロー放電発光分光分析)により上層めっきおよび下層めっきの成分を定量することができる。
本発明の実施形態に係るめっきの膜厚は、特に限定するものではないが、上層めっきの膜厚については、耐疵付き性、塗装性を担保する目的から、少なくとも1μm以上とすることが好ましい。また、上層めっきの膜厚の上限は、加工時の剥離を防ぐために30μm以下とすることが好ましい。下層めっきの膜厚は、耐食性を維持する目的から、1μm以上とすることが好ましい。上限については特に必要とされる特性はないが、コスト、生産性の観点から、実質的に50μm程度を上限とすることが好ましい。
本発明の実施形態に係るめっきの製造方法は、特に限定するものではなく、上層めっき、下層めっきともに、溶融めっき法、電気めっき法、気相めっき法など既存の方法で製造することができ、また、これらを組み合わせてめっきを製造することも可能である。特に、溶融めっき法によって製造することがコスト面で有利であり、望ましいといえる。
しかしながら、溶融めっき法で複層めっきを施す際、下層めっきが上層めっきよりも融点の低いめっきである場合には、下層めっきを施した後に、上層めっきを通常の溶融めっき法で施す方法では、上層めっきの融点が高く、下層めっきが再溶融してしまう、もしくは加工性を持たせるべき下層めっきが合金化し加工性が低下するなどの困難な問題があり、めっきの種類が自由に選定できない。
そこで、発明者は鋭意検討を行い、上層めっきとなる第一めっき層を形成した後に、下層めっきとなる第二めっきを溶融めっき法で行うことで、第二めっきの成分が第一めっき層の下部に浸透する現象により、目的とする亜鉛系2層めっきを製造することが可能であることを見出した。
例えば、まず、鋼材に、上層めっきとなる第一めっき層としてZnめっきを施す。このめっき方法は、電気めっき、溶融めっきいずれの方法でもよい。
電気めっきの場合には、めっき後加熱処理することで、第一めっき層中のFe濃度を所定の範囲になるようにする。
溶融めっき法で行う場合には、めっき浴温を通常のZnめっき(例えば450℃程度)より高めに設定する、めっき時間(通常3〜5sec程度)を長めにする、もしくは、めっき後加熱処理する、または、これらを組み合わせて処理することで、鋼材からのFeの拡散による合金化反応を促進させて、第一めっき層中のFe濃度を所定の範囲になるようにする。
その後、この鋼材を、Zn−Al合金、さらには必要に応じてMgやSi等の添加元素を所定の割合で含有する第二めっき浴に浸漬して、めっきを施す。ここで、第二めっき浴の浴温は、第一めっき層の融点よりも低くなっている。このとき、第一めっき層の融点よりも低い融点(第1めっき層の融点未満の融点)を持つ第二めっき浴に第一めっき層が設けられた鋼板を浸漬させることで、第一めっき層に生じたクラックから第二めっき浴の成分が第一めっき層と鋼材の界面に侵入して下層めっき層を形成し、その結果、第一めっき層が上層めっきとなる。また、このとき、上層となる第一めっき層には第二めっき浴からAlが拡散して、上層は、Zn−Fe−Al合金めっきとなる。なお、各めっき層の融点は、示唆熱測定装置を使用して、目的組成の合金の昇温時の吸熱ピークを測定することで決定可能である。
ここで、第二めっき浴は、めっき浴中の溶融成分全体に対して、質量%で、Al:5〜25%を含み、残部がZnおよび不可避的不純物を含む。また、第二めっき浴は、必要に応じて、Mg:0.01〜5%、Si:0.01〜3%の少なくとも一つを含んでもよい。
図1は、このような方法で作成された2層めっきの断面写真である。上層は、第一めっきで形成されたZn−Fe合金めっき中に第二めっきのAl成分が拡散して生成したZn−Fe−Al合金層である。下層は、第二めっきで形成されたZn−Al−Mgめっき層である。
最後に、最表層に残った第二めっき成分を凝固する前に除去する。めっき成分の除去は特に限定しないが、強力なガスワイピング、機械的にこすり落とすパッドワイピング、ロールによる絞り、もしくは遠心分離法によるたれ切り等の方法によって、行うことができる。
このような方法により、目的とする亜鉛系2層めっきを製造することができる。
なお、第一めっきが溶融めっき法で形成される場合、第一めっき後、急冷してクラックの発生を促進することで、本発明に係る亜鉛系2層めっきをより容易に製造することが可能である。また、下層めっきの厚みは、第二めっき浴への浸漬時間を調整することで制御できる。
本発明の実施形態に係る方法で製造された上層めっきの組織は、Zn−Fe合金めっき組織にAlが浸透してできたものであり、元素分析を実施すると、Zn、Fe、Alが微細に入り組んだ構造をしている。
下層めっきの組織は、冷却速度が遅い場合はAlの含有率によるが、Alの粒状組織がZnのマトリックス中に存在する形態をしている。
本発明に係る亜鉛系2層めっき鋼材は、耐食性、塗装後耐食性、耐疵付き性、溶接性、加工性を同時に満足する鋼材として、建材などに使用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるわけではない。
板厚1.6mmのSPCC(JIS G3141)を脱脂、酸洗後、7mass%NHCl水溶液(60℃)に10sec浸漬後、乾燥させた。その後、表1に示す条件で、溶融めっき法によりめっきを施し、めっき付着量を所定量に調整した。その後、直ちに表2に示す条件でめっきを施した。めっき後直ちにパッドの押し付けによるワイピングを行い、表層のめっきを除去した。
めっき層の成分分析は、GDSにより全厚の分析を行い、並行して、めっき全層をインヒビター入りの10%塩酸で剥離し、ICP発光分光分析によって全めっき成分を定量した。ICP発光分光分析による各元素の成分比とGDSの全厚での各元素の積分強度から検量線を作成し、その後、上層めっきと下層めっきの成分を定量する方法によって求めた。また、めっき層の融点は、目的組成の合金を、示唆熱測定装置(セイコウ電子工業TG/DTA200)を使用して、昇温時の吸熱ピークを測定することで決定した。
めっき後の試験片は、平面部と90度曲げ部の耐食性については、塩水噴霧試験(JIS Z2371)を行い、赤錆発生までの時間を評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:赤錆発生までの時間が1440時間以上
○:赤錆発生までの時間が960時間以上、1440時間未満
×:赤錆発生までの時間が960時間未満
また、塗装後耐食性は、化成処理(日本ペイント:SD5350、膜厚2μm)後、電着塗装(日本ペイント:パワーニクス110、塗膜厚20μm)を行い、カット傷を付与した後、塩水噴霧試験(JIS Z2371)を960時間行って、その後に、膨れ幅を測定した。評価基準は、以下の通りである。
◎:膨れ幅が1.0mm未満
○:膨れ幅が1.0mm以上2.0mm未満
×:膨れ幅が2.0mm以上
表層の硬度は、めっき表面のビッカース硬度(JIS Z2244)を測定することで決定した。
スポット溶接試験は、以下に示す溶接条件によりスポット溶接時の連続打点数を調査して行った。電極は、先端径4.5mmφ、先端角120度、外径13mmφのCu−Cr製電極を使用した。50Hz電源により、10サイクルの通電を行った。1.7kNの加圧力で通電前30サイクル、通電後10サイクル、アップダウンスロープなしで加圧した。なお、連続打点性調査における溶接電流値は、板厚をt(mm)とした時の4(t)0.5で示されるナゲット径が得られる電流値I(kA)及び溶着電流値I(kA)の平均値を用い、4(t)0.5のナゲット径が維持された最大打点数を求めた。評価基準は、以下の通りである。
○:連続打点数=2000点以上
×:連続打点数=2000点未満


得られた結果を、表3に示す。表3より、本発明に従って複層めっきをすることで、耐食性と加工性・塗装性・耐疵付き性を同時に満足する鉄鋼材料が製造できることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (8)

  1. 2層からなるめっきを有する鋼材であって、
    下層側めっき層がめっき成分として、質量%で、Al:5〜25%を含み、残部が亜鉛である亜鉛−アルミニウム合金めっきであり、
    上層側めっき層が、めっき層成分として、質量%で、Fe:2%以上30%以下、Al:0.1%以上10%以下を含み、残部が亜鉛および不可避的不純物である亜鉛−鉄−アルミニウム合金めっきであることを特徴とする、亜鉛系2層めっき鋼材。
  2. 前記下層側めっき層が、めっき成分として、さらに質量%で、Mg:0.01〜5%、Si:0.01〜3%の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛系2層めっき鋼材。
  3. 前記下層側めっき層の融点が、前記上層側めっき層の融点未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の亜鉛系2層めっき鋼材。
  4. 鋼板上に、Alを質量%で0.1〜10%含み、残部がZnおよび不可避的不純物であるめっき層(第一めっき)を設けたのち、さらに、Alを質量%で5〜25%含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる溶融めっき浴に浸漬してめっき(第二めっき)を施すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
  5. 前記第一めっきを、溶融めっき法によって形成することを特徴とする、請求項4に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
  6. 前記第一めっきを形成した後に、加熱合金化処理を施すことを特徴とする、請求項4または5に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
  7. 前記第二めっきの溶融めっき浴の浴温が、前記第一めっきの融点未満であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
  8. 前記第二めっきのめっき浴は、さらに、質量%で、Mg:0.01〜5%、Si:0.01〜3%の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の亜鉛系2層めっき鋼材の製造方法。
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