JP3749555B2 - 易接着性水性塗剤及びこれを塗布したポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は保管安定性に優れた易接着性水性塗剤及びこれを塗布した易接着性、帯電防止性に優れた易接着性ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリエステルフィルムは種々の用途に用いられ、特に酸化チタン等の白色顔料を含有する芳香族ポリエステルからなる白色フィルムは磁気カード、印刷材料等に広く使用されているが、プラスチックフィルム共通の問題として静電気が発生しやすく、製膜工程、加工工程、さらに製品の使用時などにおいて種々のトラブルを発生しやすく、また磁気塗料や印刷インキの接着性に乏しいという欠点がある。
【0003】
特にテレホンカード、プリペイドカード等の磁気カードの基体フィルムに用いる白色ポリエステルフィルムについては、その製造工程、加工工程や最終製品としての帯電防止性や、UVインキ、磁気塗料に対する接着力の改善が求められている。
【0004】
従来より、帯電防止性および接着性を改良するための方法として、予めフィルム表面に帯電防止剤を配合した合成樹脂によるプライマー層を形成させる方法が知られている。この場合、帯電防止剤としてはアニオン性化合物やカチオン性化合物が用いられるが、これらは帯電防止性、とりわけ低湿度下での帯電防止性と、接着性のいずれも満足させることは困難であった。
【0005】
一般に、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物は低湿度下での帯電防止性に優れるものの熱安定性に劣り、塗布液として未延伸または一軸延伸のポリエステルフィルムに塗布した後、フィルムを延伸、熱処理する塗布延伸法(インラインコーティング法)においては性能を失活するものが多い。そこで、ポリカチオンポリマーがこの塗布延伸法においても優れた帯電防止性を発現するものとして、特開平1-146931号公報、特開平3-255139号公報や特開平4-288217号公報に開示されている。しかしながら、これらの公報に記載されていないことからも理解できるように、通常、カチオン系水溶液または水分散体に、アニオン系のものを添加すると沈殿が生じ、該水溶液または水分散体の安定性が損なわれる。このためアニオン系のものを用いることは困難と云われている。
【0006】
また、従来の方法ではカチオン系やノニオン系のバインダー成分の水溶液または水分散体との組み合わせを用いることは可能ではあったが、この場合でも帯電防止性、とりわけ低湿度下での帯電防止性と接着性のいずれも満足させることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み低湿度下でも優れた帯電防止性を発現する塗剤を開発すべく鋭意研究した結果、ある特定のアニオン性乳化剤を用いてエマルジョン重合したアクリル系共重合体とポリカチオンポリマーとの組み合わせにより、安定した水性塗布液を得ることができること、かつ該塗剤(水性塗布液)を用いて易接着性被膜を塗設した易接着性白色ポリエステルフィルムが優れた帯電防止性と接着性を有し、各種用途の基材として極めて有用であるを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
1 (1)アニオン性乳化剤を用いてエマルジョン重合したアクリル系共重合体及び(2)下記化学式で表わされるポリカチオンポリマーの組成を含む易接着性水性塗剤、
【化8】
(ただし、上記式において、R 9 、R 10 は各々水素または炭素数1〜10の1価の有機基、R 11 は炭素数2〜10の2価の有機基、R 12 〜R 15 は各々メチルまたはエチルである。)
並びに
2 上記水性塗剤を用いて、芳香族ポリエステルフィルム、特に白色顔料を含有する厚み20μm以上の白色芳香族ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易接着性被膜を塗設した易接着性ポリエステルフィルム
である。
【0009】
本発明において芳香族ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けるプライマー層(易接着性被膜)は、(1) アニオン性乳化剤を用いてエマルジョン重合したアクリル系共重合体及び(2) ポリカチオンポリマーの組成を含む水性塗剤を上記フィルムの所要面に塗布し、乾燥することによって形成される。
【0010】
本発明において、水性塗剤を構成するアクリル系共重合体(1) の構成成分としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。これらは1種以上を用いることができる。これらの成分の中で好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸であり、さらに好ましくは、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸である。
【0011】
また、これらのアクリル系成分に共重合可能な成分としては、例えばスチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、マレイン酸、フマル酸等をあげることができる。これらの成分は全構成成分の20モル%以下であることが好ましい。
【0012】
また前記アクリル系共重合体(1) としては本発明の目的を損なわないかぎり、例えばポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、フェノール樹脂等で変性したアクリル共重合体として用いることもできる。
【0013】
前記アクリル系共重合体(1) をエマルジョン重合する際に用いる乳化剤は、アニオン性乳化剤である。この乳化剤において、アニオン性を付与する官能基としては、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはこれらの塩等があげられる。このアニオン性乳化剤の具体例としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸リチウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸リチウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸リチウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸リチウム、アルキルリン酸エステルナトリウム、アルキルリン酸エステルリチウム、アルキルリン酸エステルカリウム、ジアルキルリン酸エステルナトリウム、ジアルキルリン酸エステルリチウム、ジアルキルリン酸エステルカリウム、ポリオキシエチレンリン酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンリン酸エステルリチウム、ポリオキシエチレンリン酸エステルカリウム等が挙げられる。これらの中で好ましくは、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸リチウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸リチウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸リチウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸リチウムであり、更に好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸リチウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸リチウムである。
【0014】
また、これらは単独、または複数を組合せて用いることができる。この場合、アニオン性の乳化剤だけでなくノニオン性の乳化剤と組合せることができる。ノニオン性の乳化剤としては、例えばポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。ノニオン性の乳化剤を組合せる場合、全乳化剤中に占めるノニオン性乳化剤の割合は30重量%以下であることが好ましい。
【0015】
かかるアニオン性乳化剤の割合は、前記アクリル共重合体を構成する全成分に対し、0.005〜5重量%、さらに0.01〜3重量%であることが好ましい。
【0016】
また、本発明において水性塗剤を構成するポリカチオンポリマー(2)としては、下記のごとき繰り返し単位を有するポリマーを用いる。
【0021】
【化3】
【0022】
上記式において、R9 、R10は各々水素または炭素数1〜10の1価の有機基、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等であり、R11は炭素数2〜10の2価の有機基、例えばアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、ヘテロ原子(O,N等)含有の2価の脂肪族基等であり、R12〜R15は各々メチルまたはエチルである。この脂肪族基としては、-CH2OCH2- 等を例示される。
【0023】
これらはホモポリマーでも、また他の不飽和モノマーと共重合して用いることもできる。他の不飽和モノマーと共重合して用いる場合、上記の繰り返し単位は3mol%以上で構成されていることが好ましい。3mol%未満では帯電防止性が不足する。他の不飽和モノマーとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、クロトン酸エチル、グリシジルメタクリレート、アクリルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。
【0024】
本発明においてフィルム、特に白色フィルムを構成する芳香族ポリエステルとは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示できる。これらは共重合体、またはこれらと小割合の他樹脂とのブレンド物などを包含する。これらの中、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい。
【0025】
そして、これら芳香族ポリエステルは白色顔料、例えば酸化チタン及び/または硫酸バリウムを含有することが好ましい。また、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等のような無機フィラー、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、架橋シリコーン樹脂等のような耐熱性樹脂からなる有機フィラー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ポリマー、オレフィン系アイオノマーのような他の樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、等を必要に応じて含有することもできる。
【0026】
本発明における白色ポリエステルフィルムは、酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料を好ましくは5〜20重量%含んでおり、その表面光沢度は任意に選択することができる。 本発明においてポリエステルフィルム、特に白色ポリエステルフィルムは二軸延伸フィルムであることが好ましく、その厚さは20μm以上、更に50〜500 μm、特に75〜300 μmであることが好ましい。この厚さが20μm未満ではフィルムの腰が弱くて不適当である。一方フィルムが厚すぎ、例えば500 μmを超えると、製膜性が劣る傾向がみられる。
【0027】
本発明における水性塗剤は、前記したように、アニオン性乳化剤を用いてエマルジョン重合したアクリル系共重合体(1) 及びポリカチオンポリマー(2) の組成を含み、これらを水溶媒に溶解または微分散した水性塗剤である。この組成においてアクリル系共重合体(1) 及びポリカチオンポリマー(2) の割合(重量%比)は60:40〜97:3、さらに70:30〜95:5であることが好ましい。またこの水性塗剤には、少量の有機溶剤を含有させることができる。この有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、n−プロパンノール、イソプロパノール等を例示することができる。これらは単独で、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲において、水性塗剤に、例えば紫外線吸収剤、顔料、消泡剤、塗工性改良剤、有機フィラー、無機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤や、メラミン系、尿素系、グアナミン系、エポキシ系、アジリジン系、ブロックイソシアネート系等の架橋剤、カップリング剤等の他の添加剤を配合することができる。
【0029】
本発明における水性塗剤の調製方法としては、任意の方法を用いることができる。例えばポリカチオンポリマー(2) をあらかじめ水溶媒中に溶解し、これを撹拌しながら、アニオン性乳化剤を含むアクリル系共重合体(1) の水性エマルジョン液を徐々に滴下混合することによりコーティング用塗剤を調製することができる。
【0030】
また、水性塗剤には、塗剤の安定性または塗剤の塗工性を助ける目的で若干量の有機溶剤や界面活性剤を含ませてもよい。。
【0031】
本発明における水性塗剤の固形分濃度は、通常30重量%以下であり、20重量%以下が更に好ましい。
【0032】
本発明においては上述の各成分を含む(プライマー)水性塗剤をポリエステルフィルム、特に白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布するが、この場合塗布延伸法を適用するのが好ましく、従って該フィルムとしては結晶配向が完了する前のフィルムが好ましい。
【0033】
この結晶配向が完了する前のポリエステルフィルム、特に白色ポリエステルフィルムとしては、該ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を例示することができる。
【0034】
特に、一軸延伸フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合75〜130℃で2.0〜5.0倍延伸したもの)に前記水性塗剤を塗布し、塗膜の乾燥を行ない、あるいは乾燥を施さずに一軸延伸フィルムを先の延伸方向とは直角方向に延伸(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合80〜150℃で2.0〜5.0倍延伸)し、続いて熱処理(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合200〜250℃で熱処理)を行なう方法で製造するのが好ましい。
【0035】
ポリエステルフィルムへの水性塗剤の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、マイヤーバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ダイコート法等を単独または組み合わせて適用すると良い。
【0036】
塗布量は走行しているフィルム1m2 当たり0.5 〜50g、さらには5 〜30gが好ましい。最終乾燥塗膜(被膜)の厚さとしては、0.01〜1 μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.6 μmである。塗膜の厚さが0.01μm未満であると、十分な帯電防止性が得られない。他方1 μmを超えると、滑り性が低下するので好ましくない。
【0037】
塗布はフィルムの用途に応じて片面のみに行うことも両面に行うこともできる。塗布後、乾燥、好ましくはさらに延伸することにより、均一な塗膜となる。
【0038】
本発明における磁気記録層は、特に限定されないが、代表例としては以下のものを挙げることができる。すなわち、磁性粉として例えばγ−Fe2O3、CrO2、Co−γ−Fe2O3、Fe3O4、BaO・6FeO3、メタル磁性粉等の1種以上を、またバインダーとして例えばポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、PVCなどのビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体などのゴム系樹脂、ニトロセルロースなどの繊維素、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の1種以上を用い、これら及び必要に応じ配合される分散剤、滑剤、安定剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、可塑剤等を混合したものを挙げることができる。
【0039】
本発明における印刷インキ層は、特に限定されないが、従来より知られている紫外線硬化型印刷インキ、電子線硬化型インキ、さらには感熱記録型インキ等を挙げることができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお、例中の特性は、次の方法で求めた。
【0041】
1.塗剤の安定性
固形分濃度として10重量%の塗剤を調製し、これをガラス試験管に30ml分取し室温で24時間静置した後、その底部の凝集物を目視判定する。その性状に変化のないものを○、沈澱したりゲル化したものを×とする。
【0042】
2.磁気塗料の接着力
サンプルフィルムに下記評価用塗料をマイヤーバーで乾燥後の厚さが約4μmになるように塗布し、100 ℃で3分間乾燥する。その後60℃で24時間エージングし、次いでスコッチテープNo.600(3M社製)幅12.7mm、長さ15cmを気泡の入らないように粘着し、この上をJIS C2701(1975)記載の手動式荷重ロールでならし密着させ、テープ幅に切り出す。これを180 度剥離した時の強さを測定する。
【0043】
[評価用塗料]
固形分換算で、ウレタン樹脂 ニッポラン2304(日本ポリウレタン製)25重量部、塩・酢ビ樹脂 エスレックA(積水化学製)50重量部、分散剤 レシオンP(理研ビタミン製)1重量部及び磁性剤 CTX−860 (戸田化学製)500 重量部をメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン混合溶剤に溶解し、40%液とし、サンドグラインダーで2時間分散する。その後架橋剤のコロネートL 25重量部(固形分換算)を添加し、よく撹拌して磁性塗料を得る。
【0044】
3.UVインキの接着力
サンプルフィルムに、紫外線硬化型印刷インキ(東洋インキ製 フラッシュドライFDカルトンP紅ロ)をRIテスター(明製作所製)により印刷した後、中圧水銀灯(80W/cm、一灯式;日本電池製)UVキュア装置でキュアリングを行い、厚み4μmのUVインキ層を形成する。このUVインキ層上にセロテープ(18mm幅;ニチバン製)を15cmの長さに貼り、この上を2Kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与え、フィルムを固定してセロハンテープの一端を90゜方向に剥離することにより接着力を評価した。接着力は次の5段階の基準で評価した。
5:インキ層が全く剥離しない
4:3%未満のインキ層が剥離する
3:3〜10%のインキ層が剥離する
2:10〜30%のインキ層が剥離する
1:30%以上のインキ層が剥離する
【0045】
4.帯電防止性
帯電防止性はサンプルフィルムの表面固有抵抗を、タケダ理研社製 固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度65%および45%の条件で、印加電圧500Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。1×1011Ω/□以下が好ましいものである。
【0046】
[参考例1]
水性塗剤の調製:
メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びN−メチロールアクリルアミドからなり、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを乳化剤として用いたアクリル重合体(数平均分子量:331000)の固形分濃度10%の水分散液70重量%と、帯電防止剤である主鎖に下記構造のピロリジウム環を複数有するポリカチオンポリマー(数平均分子量:29000 )の水溶液(濃度10重量%)20重量%と、界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの水溶液(濃度10重量%)10重量%とを均一に混合してプライマー塗剤を調製した。
【0047】
【化4】
【0048】
プライマー被覆ポリエステルフィルムの製造:
テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分からなるポリエステル(固有粘度0.67)90重量%と酸化チタン10重量%からなる組成物を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押し出しして未延伸フィルムとし、次に該未延伸フィルムを機械軸方向に3.6倍延伸した後、上記プライマー塗剤を10g/m2 (wet)の量キスコート法にてフィルムの両面に塗布した。引き続き横方向に3.9倍延伸し、厚さ188 μmの二軸延伸ポリマー被覆フィルムを得た。
【0049】
このフィルムの処理面(プライマー層面)の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0050】
[実施例2]
水性塗剤の調製:
実施例1で用いたアクリル重合体をメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、アクリル酸エチル及びN−メチロールメタクリルアミドからなり、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムを乳化剤として用いたアクリル重合体(数平均分子量:222000)に、また帯電防止剤を下記構造単位
【0051】
【化5】
【0052】
とエチレンおよびアクリル酸メチル成分の共重合体からなるポリカチオンポリマー(数平均分子量:30000 )に変更する以外は実施例1と全く同様に行って同じ塗剤組成比のプライマー塗剤を調製した。
【0053】
プライマー被覆ポリエステルフィルムの製造:
上記プライマー塗剤を10g/m2 (wet)の量フィルムの両面に塗布する以外は実施例1と同様に実施して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0054】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0055】
[参考例3]
水性塗剤の調製:
帯電防止剤を下記構造のポリカチオンポリマー(数平均分子量:6000)に変更する以外は実施例2と同様にしてプライマー塗剤を調製した。
【0056】
【化6】
【0057】
プライマー被覆ポリエステルフィルムの製造:
上記プライマー塗剤を10g/m2 (wet)の量フィルムの両面に塗布する以外は実施例2と同様に実施して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0058】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0059】
[比較例1]
実施例1で用いたアクリル重合体の乳化剤をノニオン性のポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体に変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比で10g/m2 (wet)の量をフィルムの両面に塗布して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0060】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表.1にまとめて示す。
【0061】
[比較例2]
実施例1で用いたアクリル重合体をメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びメタリルスルホン酸ソーダからなるアクリル重合体(数平均分子量:259000)に変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比にしたところ、塗剤の安定性が不良のためにフィルムへの塗布が困難であった。塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0062】
[比較例3]
実施例1で用いたアクリル重合体を共重合ポリエステルをテレフタル酸、イソフタル酸、5−Naスルホイソフタル酸、1,4−ブタンジオール及びジエチレングリコールからつくられた固有粘度0.56の共重合ポリエステル(Tg=23℃)に変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比にしたところ、塗剤の安定性が不良のためにフィルムへの塗布が困難であった。塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0063】
[比較例4]
実施例1で用いた帯電防止剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比で10g/m2 (wet)の量をフィルムの両面に塗布して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0064】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0065】
[比較例5]
実施例1で用いた帯電防止剤をラウリルトリメチルアミンエチル硫酸塩に変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比で10g/m2 (wet)の量をフィルムの両面に塗布して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0066】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表1にまとめて示す。
【0067】
[比較例6]
実施例1で用いたアクリル重合体をメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレートからなる共重合体に変更する以外は実施例1と全く同様の塗剤組成比で10g/m2 (wet)の量をフィルムの両面に塗布して二軸延伸プライマー被覆ポリエステルフィルムを得た。
【0068】
このフィルムの処理面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性及び使用した塗剤の安定性を表.1にまとめて示す。
【0069】
[比較例7]
実施例1においてプライマーコーティングをせずに得た二軸配向ポリエステルフィルムの表面の磁気塗料の接着性、UVインキの接着力、帯電防止性を表1にまとめて示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】
本発明によるコーティング用水性塗剤は、従来のものに比べ保管安定性に優れており、特に該水性塗剤を用いた易接着性白色ポリエステルフィルムは、例えば磁気カード、磁気ディスク、印刷材料等に有用である。
Claims (4)
- 請求項1に記載の水性塗剤を用いて、芳香族ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易接着性被膜を塗設した易接着性ポリエステルフィルム。
- 芳香族ポリエステルフィルムが、白色顔料を含有する厚さ20μm以上の白色芳香族ポリエステルフィルムである請求項2に記載の易接着性ポリエステルフィルム。
- 請求項3に記載の易接着性ポリエステルフィルムの易接着性被膜の少なくとも一部の上に磁気記録層及び/または印刷インキ層を設けた積層フィルム。
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