JP4832138B2 - インモールド転写用フィルム - Google Patents
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このインモールド用転写箔は、成形転写後に離型層面と印刷層面との間で剥がされ、分離される。すなわち、成形転写後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、離型層はベースフィルムのうえに設けられた状態で製品から取り除かれる。
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。
30モル%≦a≦79モル%
20モル%≦b≦100−(a+c)モル%
1モル%≦c≦40モル%
カチオンポリマーが、これらの条件を満たす成分から構成されると、塗膜の造膜性、凝集力や塗膜の耐水性、耐薬品に優れる塗膜を得ることができる。
帯電防止層中には微粒子が含有されることが好ましい。微粒が含有される場合、好ましくは平均粒子径20〜100nm、さらに好ましくは40〜80nmのものが用いられる。20nm未満であるとフィルム巻き取った時のブロッキング性やフィルムの巻取り性が劣り、さらに、インモールド用転写箔の形態において、帯電防止層は印刷層と接触するがこのとき帯電防止層と印刷層のブロッキングが発生することがあり好ましくない。100nmを超えると微粒子の欠落や塗布層の透明性が悪化することがあり好ましくない。
帯電防止層は、さらに架橋剤が含有されていることが塗膜の凝集力向上や加熱時の析出オリゴマー抑制させるために好ましい。架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他のカップリング剤を用いることもできる。取り扱い易さや塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましく、カップリング剤を用いることも好ましい。
エポキシ化合物は、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられ、ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。低級アルコールとして、例えば、炭素数1〜3のアルコール、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールを用いる。
帯電防止層の表面固有抵抗は、好ましくは1×1013Ω/□以下、さらに好ましくは
1×1012/□以下である。表面固有抵抗が1×1013Ω/□を超えると、本発明で必要とする帯電防止性を得ることができず好ましくない。また、50℃の温水に10時間浸漬させた後の帯電防止性の塗布層表面の表面固有抵抗変化率は、好ましくは100以下、さらに好ましくは10以下である。なお、表面固有抵抗値の変化率とは50℃の純水に10時間浸漬処理後の帯電防止層表面の表面固有抵抗値を未処理の帯電防止層表面の表面固有抵抗値で割った値である。上記の表面固有抵抗変化率が100を超えるとインモールド用転写箔の印刷等の工程で洗浄水を用いて不要物を除去する際に帯電防止層が溶出することがあり好ましくない。
本発明においては、ポリエステルフィルムの帯電防止層とは反対側に易接着層が設けられることが好ましい。易接着層は塗布により設けられた易接着性の塗布層であることが好ましい。易接着層には、インモールド用転写箔として用いるときに設けられる離型層との高い接着性を得るために共重合ポリエステルを使用することが好ましい。
易接着層には好ましくは微粒子が含有される。微粒子としては、好ましくは平均粒子径20〜100nm、さらに好ましくは40〜80nmのものを用いる。平均粒子径が20nm未満であるとフィルム巻き取った時のブロッキング性やフィルムの巻取り性が劣り好ましくなく、100nmを超えると微粒子の欠落や塗布層の透明性が悪化することがあり好ましくない。
本発明において帯電防止層および易接着層の塗設に用いられる上記組成物は、塗布層を形成させるために水性塗液、例えば、水溶液、水分散液または乳化液の形態で使用されることが好ましい。塗膜を形成するために、必要に応じて、前記組成物以外の他の樹脂、例えば着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤を添加してもよい。
フィルムの帯電防止層の表面を指で10cm長を10往復擦りつけ、塗膜の欠落状態を観察し、帯電防止層密着性を下記の基準で評価した。
A+:変化無し
A :若干表面に変化有り
B :擦過面積の半分までが欠落
C :擦過面積の大部分が欠落
・表面固有抵抗値
サンプルフィルムの帯電防止層表面の表面固有抵抗を、タケダ理研社製・固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%の条件で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。
・表面固有抵抗値の変化率
サンプルフィルムを50℃の純水に10時間浸漬させた後の帯電防止層表面の表面固有抵抗値を上記同様に測定し、未処理の表面固有抵抗値と50℃の純水に10時間浸漬処理後の表面固有抵抗値の変化率を求めた。なお、表面固有抵抗値の変化率は、50℃の純水に10時間浸漬処理後の帯電防止層表面の表面固有抵抗値を未処理の帯電防止層表面の表面固有抵抗値で割った値である。
サンプルフィルムの帯電防止層面とインモールド用転写箔の印刷面との耐ブロッキング性を評価するためスタンピングホイルの顔料箔(COLORIT)Pタイプ(クルツ社製)を使用して、帯電防止面と印刷面を合わせ、温度60℃、圧力1kg/cm2を加えて、24時間その環境に保持した後、帯電防止層面とラベルのシール面のブロッキング状態を観察し、下記の基準で評価した。この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
A+:変化無し
A :若干表面に変化有り
B :一部分が剥離
C :全体的に剥離
フィルムの塗布面の上にメラミン樹脂のメチルエチルケトン/トルエン溶液を塗布し1μm厚さの離型層(メジューム層)の膜を形成させ、ホットプレス法により積層体として金型に乗せて成形したときの離型層の状況を観察し下記の基準で評価した。この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
A :変化無し
B :一部分が剥離
C :全体的に剥離
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
JIS Z8741に準じ、フィルムのインモールド転写箔加工面を光沢計(ミノルタ製GM−268)で60°の光沢度を測定した。但し、測定面と反対面は黒テープを貼って、裏面の反射を防いだ。フィルム表面の光沢度を測定することで、インモールド成型後の成型体表面の艶消し度合が評価できる。フィルム表面の光沢度が100〜150の範囲で適切な艶消し外観となる。なお、150よりも高い光沢度では成型体の表面は鏡面のようになり好ましくなく、100未満であると成型体の表面が荒れすぎ好ましくない。
ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、両面塗布の場合は塗膜形成面同士、片面塗布の場合は塗膜形成面と塗膜非形成面との静摩擦係数(μs)を測定した。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとした。この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
A+: 摩擦係数(μs)≦0.3 ……滑り性極めて良好
A :0.3<摩擦係数(μs)≦0.5 ……滑り性良好
B :0.5<摩擦係数(μs)≦0.8 ……滑り性やや不良
C :0.8<摩擦係数(μs) ……滑り性不良
JIS B0601に準じ、(株)小坂研究所製の高精度表面粗さ計 SE−3FATを使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.08mmの条件下にチャートを描かせ、表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向とY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わした時、次の式で与えられた値をnm単位で表わした。また、この測定は、基準長を1.25mmとして4個測定し、平均値で表わした。
平均粒子径が2μmの酸化ケイ素の微粒子を0.1wt%を含む溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、表に示す塗布層構成成分からなる塗布液(易接着層:5wt%、帯電防止層:3wt%)をそれぞれロールコーターで均一に塗布した。この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、140℃で3.5倍に延伸し、更に230℃で熱固定して表に示す塗膜を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ38μm)を得た。
なお、ポリエステルフィルムの中心線平均表面粗さRaは、比較例2で塗布層を設けずに作成したポリエステルフィルムを測定して得た中心線平均表面粗さRaを用いた。
フィルム内の平均粒子径が2μmの酸化ケイ素の微粒子量が0.01wt%を含む以外は実施例1と同様にして実施して塗布フィルムを得た。
塗布層を設けない以外は実施例1と同様にして実施して塗布フィルムを得た。
オキサゾリン(株式会社日本触媒製 商品名エポクロスWS−700)
界面活性剤:
ポリオキシエチレン(n=8.5)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−85)。
酸成分がテレフタル酸50モル%/イソフタル酸45モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=40℃)。なお、ポリエステルは、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソフタル酸ジメチル27部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。
Claims (5)
- カチオンポリマーが、モノマー成分(a)、非反応性モノマー成分(b)および反応性モノマー成分(c)をポリマーの構成成分としてなり、各成分の組成比率が下記式を満たす、請求項1記載のインモールド転写用フィルム。
30モル%≦a≦79モル%
20モル%≦b≦100−(a+c)モル%
1モル%≦c≦40モル% - 帯電防止層がさらに架橋剤を含有してなる、請求項1記載のインモールド転写用フィルム。
- 帯電防止層の表面固有抵抗が1×1013Ω/□以下、かつ50℃の温水に10時間浸漬させた後の帯電防止性の塗布層表面の表面固有抵抗変化率が100以下である、請求項1記載のインモールド転写用フィルム。
- ポリエステルフィルムの帯電防止層とは反対側に易接着層が設けられる、請求項1記載のインモールド転写用フィルム。
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