JP5519161B2 - インモールド転写用フィルム - Google Patents

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Description

本発明はインモールド転写用フィルムに関し、詳しくは射出成形等において成形と同時に転写印刷するインモールド転写用の転写箔の支持フィルムとして有用なインモールド転写用フィルムに関する。
従来、インモールド用転写箔として、ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、そのうえに離型層(メジューム層)を設け、さらにこの離型層のうえに印刷層を塗工したものが用いられている(特許文献1)。
このインモールド用転写箔は、成形転写後に離型層面と印刷層面との間で剥がされ、分離される。すなわち、成形転写後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、離型層は転写箔のベースフィルムのうえに設けられた状態で製品から取り除かれる。また、インモールド用転写箔に適したフィルムとして、離型層とベースフィルムとの接着力を高めるために両層間に接着層を設けることも検討されている。
更に近年、インモールド転写を用いた加工に対し高い生産性が求められており、成型速度を向上させることが試みられている。一方、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着が発生し、生産性を落とすことがあり、例えば特許文献2では、帯電防止層を有する転写材用ポリエステルフィルムが検討されている。また、特許文献3において、インモールド用転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性を有し、かつ帯電防止層と印刷層とのはりつきがなく、転写の際に離型層とベースフィルムの剥離のないインモールド転写用フィルムとして、ポリエステルフィルムの一方の面に易接着層を有し、他方の面に離型成分を含む帯電防止層を有するフィルムが開示されている。
一方、特許文献3に開示されているような反応性基を有するシリコーン離型成分が帯電防止層に存在すると、背面へ移行し、帯電防止層の反対面に印刷を施す際にはじきによる印刷抜けが生じることがあった。
また、離型ポリエステルフィルムとして、従来より例えば硬化型シリコーン樹脂層を設けたフィルム(特許文献4、5など)、ポリジメチルシロキサンからなるシリコーン離型層を有するフィルム(特許文献6など)が用いられているが、インモールド用転写箔においては、帯電防止層とポリエステルベースフィルムの反対面側(背面)の印刷層とのはりつきを防止すべく、帯電防止層中に離型成分を含めるため、帯電防止剤と離型成分との相溶性も必要である。そのため、帯電防止剤との相溶性が良好でしかも帯電防止層の背面での印刷はじきを生じないような離型成分を用いたインモールド用転写箔が求められているのが現状である。
特開平6−115295号公報 特開2004−223800号公報 特開2006−187951号公報 特開平5−25303号公報 特開2001−47580号公報 国際公開第2003/099556号パンフレット
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、インモールド用転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性を有し、生産性を格段に向上させることができ、しかも帯電防止成分を含む塗布層(以下、帯電防止層と称することがある)の背面へ印刷する際の印刷はじきのない、インモールド用転写箔の基材フィルムとして有用なインモールド転写用フィルムを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムの少なくとも一方に設ける帯電防止成分を含む塗布層(帯電防止層)に含める離型成分として、炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分を用いた場合に帯電防止剤との相溶性がよく、しかも帯電防止層の反対面に印刷を施す際、印刷はじきが解消することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、本発明の目的は、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられた塗布層が炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分及び帯電防止成分を含有するインモールド転写用フィルムによって達成される。
また本発明のインモールド転写用フィルムは、好ましい態様として、炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分が下記式(I)で表わされる化合物であること、
Figure 0005519161
(式(I)中、Rは炭素数1〜5の飽和または不飽和の1価炭化水素基、Ryは炭素数6〜20の飽和または不飽和の1価炭化水素基、RxはR又はRyをそれぞれ表わし、mは0〜500の整数、nは1〜500の整数を表わす。)
炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分が反応性基を有していないものであること、該シリコーン成分における炭素数6以上の炭化水素基の含有率が5%以上50%以下であること、塗布層中のシリコーン成分の含有量が塗布層の重量を基準として1重量%以上50重量%以下であり、帯電防止成分の含有量が塗布層の重量を基準として20重量%以上90重量%以下であること、の少なくともいずれか1つを具備するものも包含する。
本発明のフィルムは帯電防止性及び離型性に優れるため、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生がなく、しかも離型成分に起因した印刷はじきがないことから、高速成形性および高品位な印刷性に適したインモールド転写用フィルムとして、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。
ポリエステルは、これらポリエステルのうちの1つを主たる成分とする共重合体であってもよく、またはブレンドしたものであってもよい。ここで「主たる成分」とは、ポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として80モル%以上である。また主たる成分の割合は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。また、共重合成分またはブレンド成分はポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として20モル%以下であり、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートが力学的物性と成形性のバランスがよいので特に好ましい。
ポリエステルフィルムは、実質的に滑剤粒子を含有しないことが好ましい。ここでいう滑剤粒子は、触媒に起因する微粒子としてポリエステル重合の際に必然的に含有される微粒子以外の粒子であり、フィルムの表面を粗くする目的で添加される粒子を意味する。ポリエステルフィルム中に実質的に滑剤粒子を含有しないことにより、インモールド成型による印刷で、より高精彩な印刷を得やすい。滑剤粒子がポリエステルフィルム中に存在すると、二軸製膜後のフィルム表面粗さが粗くなり、高精彩な印刷ができないことがある。滑剤粒子の含有量は、具体的にはフィルム重量を基準として0.1重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.001重量%以下である。
ポリエステルフィルムはインモールド用転写箔の印刷層を反対面から確認することがあるため、透明性が高い方が好ましい。なお、ポリエステルフィルムは、例えば着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤を含有してもよい。
ポリエステルフィルムは、例えば次の方法で製造することができる。すなわち、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて非晶未延伸フィルムとし、縦方向(以下、連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(以下、幅方向、TD方向と称することがある)に延伸する。縦方向の延伸は例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、縦方向に例えば2.0〜4.0倍、好ましくは2.5〜3.5倍に延伸する。横方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、横方向に例えば2.0〜4.0倍、好ましくは3.0〜4.0倍に延伸する。二軸延伸後の面積倍率は13以下とすることが好ましい。
なお、フィルムの延伸後には熱固定処理を行なうことが好ましい。熱固定処理は、最終延伸温度より高く融点以下の温度内で1〜30秒の時間内行なうことが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは150〜250℃の温度、2〜30秒の時間の範囲で選択して熱固定することが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行ない、また2段以上で行なってもよい。
ポリエステルフィルムの表面の中心線表面粗さは、好ましくは1〜50nmである。ポリエステルフィルムの表面の中心線表面粗さをこの範囲とすることにより、塗布層の表面の中心線平均表面粗さが1〜40nmであるインモールド転写用フィルムを得ることができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、インモールド転写として使用する場合にハンドリング性、成形性、透明性の点から必要な強度を得るために、好ましくは12〜100μm、さらに好ましくは25〜75μmである。
[塗布層]
本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分及び帯電防止成分を含有する塗布層(帯電防止層)を有する。かかる層を有することにより、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生を抑えつつ、同時に離型成分に起因した印刷はじきを抑制することができる。
(シリコーン成分)
炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分として、炭素数6以上のアルキル変性シリコーン、炭素数6以上のアラルキル変性シリコーン、炭素数6以上のアルキルアラルキル共変性シリコーン、アリール変性シリコーンが例示される。
かかる炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分として、下記式(I)で表わされる化合物が例示される。
Figure 0005519161
(式(I)中、Rは炭素数1〜5の飽和または不飽和の1価炭化水素基、Ryは炭素数6〜20の飽和または不飽和の1価炭化水素基、RxはR又はRyをそれぞれ表わし、mは0〜500の整数、nは1〜500の整数を表わす。)
上式中、Rは同一もしくは異種の炭素数1〜5の飽和または不飽和の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、などの飽和炭化水素基、シクロペンチル基などの飽和脂環式炭化水素基が例示され、特にメチル基が好ましい。
また、Ryは同一もしくは異種の炭素数6〜20の飽和または不飽和の1価炭化水素基であり、例えばアルキル基が挙げられ、具体的には、へキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基が例示され、特にドデシル基、テトラデシル基が好ましい。また、アルキル基以外のRyとしてアラルキル基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、4−メチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基が例示され、特に2−フェニルプロピル基が好ましい。またRyの他の例としてアリール基が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
これらの中でも、Ryの炭素数6〜20の炭化水素基として、帯電防止剤との相溶性がより良好なフェニル基が最も好ましく用いることができる。
炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分における炭素数6以上の炭化水素基の含有率は、ケイ素原子に結合した全有機基数を基準として炭素数6以上の炭化水素基数の割合(%)で定義され、炭素数6以上の炭化水素基の含有率が5%以上50%以下であることが好ましい。炭素数6以上の炭化水素基の含有率は、更に好ましくは10%以上40%以下である。炭素数6以上の炭化水素基の含有率が下限に満たないと印刷はじきが発生することがあり一方、上限を超えると離型性が低下し、印刷層とのブロッキングが発生することがある。
これらのシリコーン成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分を用いることにより、印刷する際の印刷はじきが解消される。そのメカニズムは明らかではないが、帯電防止層中の帯電防止剤との相溶性がよくなり、帯電防止層表面へのシリコーン成分の移行が抑制されることが考えられる。また、シリコーン成分が帯電防止層表面に移行し、転写箔背面(反対面)への転写が発生した場合であっても、炭素数6以上の炭化水素基を含むことにより、印刷成分との親和性が高く印刷はじきが抑制され、印刷層の成型物への転写不具合が起こりにくくなることが考えられる。一方、炭素数6以上の炭化水素基を含まないシリコーン成分を用いた場合、帯電防止剤との相溶性が悪く、帯電防止層の表面へのシリコーン成分の移行が生じやすくなり、また転写箔の反対面に転写しやすくなる。また炭素数6以上の炭化水素基を含まないシリコーン成分自体の印刷成分との親和性が十分でなく、印刷はじきが発生しやすい。その他、炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分を用いることで帯電防止層中の帯電防止剤との相溶性が向上し、帯電防止層の塗布外観が良好になる効果も奏する。
また、炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分は、反応性基を有していないことが好ましい。反応性基を有している場合、塗液のポットライフが短くなったり、シリコーン成分同士が寄り集まりやすく、帯電防止剤との相溶性が低下し、塗布斑が目立ち易くなることがある。
炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分は、直鎖状であることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、一部に網目構成因子であるRSiO3/2を含む網目構造を部分的に有していてもよい。
該シリコーン成分は、帯電防止層中に帯電防止層の重量を基準として1重量%以上50重量%以下の範囲で含有されることが好ましい。該シリコーン成分の含有量の下限値は10重量%であることがさらに好ましく、20重量%であることが特に好ましい。また該シリコーン成分の含有量の好ましい上限値は、高々40重量%であり、さらには30重量%である。該シリコーン成分が下限値に満たないと印刷層との貼付きが発生することがあり、一方、上限値を超えると塗膜均一性が低下することがある。
(界面活性剤)
該シリコーン成分は、塗工時の取扱易さ、作業環境から水分散液あるいは乳化液の形態で使用するのが好ましい。良好な水分散、乳化液の形態を得るには、界面活性剤の使用が好ましく、塗液の他の成分との分散安定性のため、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤の含有量は、帯電防止層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5重量%以上12重量%以下の範囲である。
(帯電防止成分)
本発明の帯電防止層は、帯電防止成分としてカチオンポリマーを含有する。カチオンポリマーは下記式(II)で表されるモノマー成分(a)、非反応性モノマー成分(b)、および反応性モノマー(c)等から構成される。
Figure 0005519161
(上式(II)中、R1およびR2はそれぞれHまたは炭素数1〜3の飽和炭化水素基であり、R3は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜3の飽和炭化水素基であり、R6はHまたは炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基であり、Y-はハロゲンイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオンまたはアルキルスルホネートイオンである)
なお、R1およびR2の炭素数1〜3の飽和炭化水素基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基であり、R3の炭素数1〜10のアルキレン基は、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基であり、R4およびR5の炭素数1〜3の飽和炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基であり、R6の炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基は、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシトリメチレン基、ヒドロキシテトラメチレン基である。
式(II)で表わされるモノマー成分(a)は、カチオンポリマーあたり好ましくは30〜90モル%の範囲で用いることが好ましい。30モル%未満であると帯電防止性が1×1013Ω/□よりも高くなることがある。一方、90モル%を超えると塗膜の耐水性が悪くなり水洗浄後の帯電防止性が低下することがある。
非反応性モノマー成分(b)としては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、スチレン、αーメチルスチレン等を例示することができる。また、ポリアルキレンオキシド鎖を有する非反応性モノマー成分が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたものを例示できる。ポリアルキレンオキシド鎖はポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰り返し単位は3〜100であることが好ましい。シリコーン成分との相溶性を向上させるには、ポリアルキレンオキシド鎖を有する非反応性モノマー成分が特に好ましい。
非反応性モノマー成分(b)は、カチオンポリマーあたり好ましくは70モル%以下の範囲で用いることが好ましい。70モル%を超えると帯電防止性が低下することがある。また、シリコーン成分との相溶性を向上させるに非反応性モノマー成分が10モル%以上含まれることが好ましい。
反応性モノマー成分(C)としては、2ーヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、2ーヒドロキシプロピルアクリレート、2ーヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、Nーアルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、 N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等のイソシアネート含有モノマーを例示することができる。
反応性モノマー成分(c)は、カチオンポリマーあたり好ましくは1〜40モル%の範囲で用いることが好ましい。1モル%未満であると耐水帯電防止性が低くなり、50℃温水に10時間浸漬した後の表面固有抵抗変化率が100を越えてしまうことがある。一方、40モル%を越えると架橋点が多くなり塗膜の造膜性が低下することがある。
帯電防止成分がこれらの条件を満たす成分から構成されることにより、特定の帯電防止性能を有するとともに、塗膜の造膜性、凝集力や塗膜の耐水性、耐薬品に優れる塗膜を得ることができる。
かかる成分を含む帯電防止成分は、帯電防止層の重量を基準として20重量%以上90重量%以下の範囲で含有することが好ましい。また帯電防止成分は、30重量%以上80重量%以下の範囲で含有することがさらに好ましく、40重量%以上70重量%以下の範囲で含有することが特に好ましい。帯電防止成分の含有量が下限に満たないと十分な帯電防止性能が発現しないことがあり、一方、帯電防止成分の含有量が上限を超えると離型剤の離型性が十分に発現しない場合がある。
(架橋剤)
また、帯電防止層には架橋剤を添加させることが塗膜の凝集力向上や加熱時の析出オリゴマー抑制させるために好ましい。架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他一般的にカップリング剤と称される化合物を用いることもできる。取り扱い易さや塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましく、カップリング剤を用いることも好ましい。
さらに具体的には、以下のように例示することができる。
エポキシ化合物は、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物などが挙げられ、さらに詳しくはそれらのグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物が例示される。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサンが挙げられる。またジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルが挙げられる。
オキサゾリン化合物として、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。具体的には付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等のア(メタ)クリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
メラミン化合物は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
カップリング剤は、例えばシランカップリング剤が挙げられ、一般式YRSiXで示される化合物である。ここで、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基といった有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン基といったアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基といった加水分解基及びアルキル基である。Y部分はエポキシ基であることが特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランである。
シランカップリング剤以外のカップリング剤としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウムといった金属を含む有機金属化合物を用いることができる。例えば、アルコキシド、キレート、アシレート系に分類されるものが好ましい。具体的には、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、チタンアセチルアセトネート、トリエタノールアミンチタネート、チタンラクテートを例示することができる。
架橋剤を用いる場合、架橋剤の添加量は帯電防止層の重量を基準として好ましくは5〜50重量%とする。また架橋剤の添加量の上限値は40重量%であることがより好ましく、30重量%であることがさらに好ましく、20重量%であることが特に好ましい。架橋剤の添加量が下限値に満たないと塗布層の凝集力が低くなり耐久性が悪化する場合がある。一方、架橋剤の添加量が上限値を超えると塗布層の造膜性が悪くなり塗布外観が悪化することがある。
本発明において、帯電防止層はポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられてなり、一方の面に設けられることが好ましい。また、帯電防止層は塗布により設けられることが好ましい。帯電防止層の厚みは、乾燥後の厚みとして好ましくは0.01〜0.1μm、さらに好ましくは0.01〜0.06μmである。帯電防止層の厚みが下限に満たない場合は帯電防止性が不十分となることがあり、また上限を超えるとインモールド用転写箔とのブロッキングを起こし易くなることがある。
[易接着層]
本発明において、ポリエステルフィルムの帯電防止層とは反対側に易接着層が設けられることが好ましい。易接着層は塗布により設けられた易接着性の塗布層であることが好ましい。
易接着層には、ポリエステルフィルムおよび易接着層上にさらに積層する離型層(メジューム層)との高い接着性を得るために、高分子バインダーとして共重合ポリエステルを使用することが好ましい。共重合ポリエステルとしては、例えば下記の多塩基酸成分とジオール成分から得られるポリエステルを用いることができる。
すなわち、多価塩基成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。高分子バインダーを構成するポリエステル樹脂としては、2種以上のジカルボン酸成分を用いた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。
ポリエステルには、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分が、或いはp−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
ポリエステルのジオール成分としては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
この共重合ポリエステルは、好ましくはガラス転移点(Tg)が40〜85℃、さらに好ましくは45〜80℃の特性を有する。共重合ポリエステルのTgが下限に満たないと得られるフィルムは耐熱性、耐ブロッキング性が低下することがあり、一方、共重合ポリエステルのTgが上限を超えると易接着性が低下する場合がある。
共重合ポリエステルは、被膜層を形成させるために水分散液あるいは乳化液の形態で使用するのが好ましい。塗膜層を形成するために、前記共重合ポリエステル以外に他の樹脂、着色剤、帯電防止剤、触媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を必要に応じて含有することもできる。
易接着性の塗布層中には、好ましくは粒子が含有される。粒子としては、好ましくは平均粒子径20〜100nm、さらに好ましくは40〜80nmのものを用いるとよい。平均粒子径が下限に満たないものであるとフィルムを巻き取った時のブロッキング性やフィルムの巻取り性が劣ることがあり、一方、上限を超えると粒子の欠落や塗布層の透明性が悪化することがある。
粒子を添加する場合、好ましくは易接着層の重量を基準として30重量%以下の割合で用いる。30重量%を超えると被膜層の強度が低下し、後の工程で塗膜削れ等のトラブルを生じることがある。
粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデンといった無機粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂といった耐熱性樹脂からなる有機粒子を例示することができる。これらの中で取り扱いや塗液中での安定性、塗膜中の分散性の点で、酸化ケイ素、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好ましい。
易接着層の塗設に際し、易接着層用組成物に界面活性剤を含有させてもよい。かかる界面活性剤は、ポリエステルフィルムへの水性塗布液の濡れを促進する機能や塗液の安定性を向上させるものであり、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗膜を形成する組成物中に、1〜10重量%含まれていることが好ましい。
易接着層の厚みは、乾燥後の最終厚みとして、好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.07〜0.2μmである。塗膜の厚さが下限に満たないと接着性が不十分となることがあり、また上限を超えるとブロッキングを起こし易くなることがある。
[帯電防止層および易接着層の製造方法]
本発明において帯電防止層および易接着層の塗設に用いられる上記組成物は、塗布層を形成させるために、水溶液、水分散液或いは乳化液等の水性塗液(以下、水性塗布液と称することがある)の形態で使用されることが好ましい。塗膜を形成するために、必要に応じて、前記組成物に着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明に用いる水性塗布液の固形分濃度は、該塗布液の重量を基準として通常20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。固形分濃度が下限に満たないとポリエステルフィルムへの塗れ性が不足することがある。また固形分濃度が上限を超えると塗液の安定性や塗布層の外観が悪化することがある。
水性塗布液のポリエステルフィルムへの塗布は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
水性塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは組成物と共に前述のような界面活性剤を併用することが好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。
[インモールド転写用フィルム]
本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に特定のシリコーン成分及び帯電防止成分を含有してなる塗布層を有することにより、インモールド転写用フィルムとして用いた場合に、インモールド用転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性及び離型性を有しており、帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃などの付着を抑制することができ、生産性を格段に向上させることができる。また従来は、帯電防止層に使用されるシリコーン成分と帯電防止剤との相溶性が十分でないために、両成分を含む帯電防止層の塗布外観は十分なものといえないことがあったが、本発明の組成のシリコーン成分を用いることにより塗布外観が良好になり、さらに帯電防止層の背面に印刷する際の印刷はじきが生じない効果を奏するものである。
本発明のインモールド転写用フィルムは、帯電防止層と反対面に易接着層を有することが好ましく、易接着層上にさらに離型層(メジューム層)および印刷層を形成した態様で用いることができる。インモールド成形を行う際は、印刷層が成形品の表面と接するよう金型に配置し、通常用いられる方法によってインモールド成形を行い、印刷層を成形転写した後に印刷層は成形品表面に接着して製品として取り出され、その他の部分は製品から取り除かれる形で使用される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、各種物性は下記の方法により評価した。またwt%は重量%を表わす。
(1)帯電防止層密着性
フィルムの帯電防止層の表面を指で10cm長を10往復擦りつけ、塗膜の欠落状態を観察し、帯電防止層密着性を下記の基準で評価した。
A+:変化無し
A:若干表面に変化有り
B:擦過面積の半分までが欠落
C:擦過面積の大部分が欠落
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
(2)帯電防止性
サンプルフィルムの帯電防止層表面の表面固有抵抗を、タケダ理研社製・固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%の条件で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。尚、表面固有抵抗値は1×1013[Ω/□]以下が好ましく、1×1012以下が更に好ましい。
さらにサンプルフィルムを50℃の純水に10時間浸漬させた後の帯電防止層表面の表面固有抵抗値を上記同様に測定し、未処理の表面固有抵抗値と50℃の純水に10時間浸漬処理後の表面固有抵抗値の変化率を求める。尚、その変化率は100以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。ここで表面固有抵抗値の変化率とは、50℃の純水に10時間浸漬処理後の帯電防止層表面の表面固有抵抗値を未処理の帯電防止層表面の表面固有抵抗値で割った値である。
(3)耐ブロッキング性
サンプルフィルムの帯電防止層面とインモールド用転写箔の印刷面との耐ブロッキング性を評価するため、スタンピングホイルの顔料箔(COLORIT)Pタイプ(クルツ社製)を使用して、帯電防止面と印刷面を合わせ、
[条件1] 温度60℃、圧力1kg/cmおよび
[条件2] 温度80℃、圧力1kg/cm
を加えて、24時間その環境に保持した後、帯電防止層面とラベルのシール面のブロッキング状態を観察し、それぞれの条件について下記の基準で評価した。
A+:印刷層の剥離面積0%、印刷層表面に変化無し
A:印刷層の剥離面積0%、印刷層表面が白化
B:印刷層の剥離面積1〜30%
C:全体的に剥離面積31〜100%
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
(4)背面転写性
サンプルフィルムを易接着層面と帯電防止層面を重ね合わせ、温度50℃、圧力50kg/cm、時間24時間の処理を実施した後、はがした易接着層表面について38から40mN/mの濡れ張力を有するマジックを用いて濡れ状態を観察し、下記の基準で評価した。
A+:均一に塗れる
A:エッジのみ若干はじく(1%未満のはじき)
B:1〜10%はじく
C:10%以上はじく
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
(5)帯電防止層のヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して、下記式(2)より塗布層ヘーズを測定した。
帯電防止層のヘーズ=フィルムヘーズ−帯電防止層未塗工フィルムヘーズ ・・・(2)
A+:0.1%未満
A:0.1〜0.4%未満
B:0.4〜0.8%未満
C:0.9%以上
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
(6)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
[実施例1〜9、比較例1〜3]
平均粒子径が2μmの酸化ケイ素の粒子を0.01wt%を含む溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、表1に示す塗布層構成成分からなる表面用塗布液および裏面用塗布液、すなわち易接着層(8wt%塗布液)をフィルムの表面に、帯電防止層(4wt%塗布液)をフィルムの裏面にそれぞれロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、140℃で横方向に3.5倍に延伸し、更に220℃で熱固定して表1に示す塗膜を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を得た。
[比較例4]
帯電防止層を設けていない以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。
Figure 0005519161
(帯電防止層面組成)
シリコーン1:フェニル基変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名「SM8627EX」)
シリコーン2:炭素数6以上の長鎖アルキル基変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 商品名「X−52−8046」)
シリコーン3:アラルキル基変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名「TSM6362」)
シリコーン4:エポキシ基変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名「FZ−4602」)
シリコーン5:アミノ基変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名「FZ−4640」)
シリコーン6:ジメチルシリコーン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 商品名「TSM630」)
カチオンポリマー1:下記式(III)に示す構造が65モル%/メチルアクリレート20モル%/N−メチロールアクリルアミド15モル%からなる共重合体である。
Figure 0005519161
(上式(III)中、R、RはそれぞれHであり、Rは炭素数が3のアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ炭素数が1の飽和炭化水素基であり、Rは炭素数が3のヒドロキシアルキレン基であり、Yはメチルスルホネートイオンである。)
カチオンポリマー2:下記式(III)に示す構造が65モル%/メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート20モル%/N−メチロールアクリルアミド15モル%からなる共重合体である。
Figure 0005519161
(上式(III)中、R、RはそれぞれHであり、Rは炭素数が3のアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ炭素数が1の飽和炭化水素基であり、Rは炭素数が3のヒドロキシアルキレン基であり、Yはメチルスルホネートイオンである。)
カチオンポリマー3:下記式(III)に示す構造が85モル%/N−メチロールアクリルアミド15モル%からなる共重合体である。
Figure 0005519161
(上式(III)中、R、RはそれぞれHであり、Rは炭素数が3のアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ炭素数が1の飽和炭化水素基であり、Rは炭素数が3のヒドロキシアルキレン基であり、Yはメチルスルホネートイオンである。)
架橋剤1:オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製 商品名「エポクロスWS−700」)
架橋剤2:グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製 商品名「デナコールEX−313」)
架橋剤3:ジルコニウムアセテート(松本製薬工業株式会社製 商品名「オルガチックスZB−115」)
界面活性剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名「ナロアクティーN−70」)
(易接着層組成)
共重合ポリエステル:酸成分がテレフタル酸50モル%/イソフタル酸45モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=40℃)。ポリエステルは、下記の通り製造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソフタル酸ジメチル27部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。なおかかる共重合ポリエステルの製造方法は、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じたものである。
界面活性剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名「ナロアクティーN−70」)
本発明のフィルムは帯電防止性及び離型性に優れるため、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生がなく、しかも離型成分に起因した印刷はじきがないことから、高速成形性および高品位な印刷性に適したインモールド転写用フィルムとして、その工業的価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられた塗布層が炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分及び帯電防止成分を含有することを特徴とするインモールド転写用フィルム。
  2. 炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分が下記式(I)で表わされる化合物である請求項1記載のインモールド転写用フィルム。
    Figure 0005519161
    (式(I)中、Rは炭素数1〜5の飽和または不飽和の1価炭化水素基、Ryは炭素数6〜20の飽和または不飽和の1価炭化水素基、RxはR又はRyをそれぞれ表わし、mは0〜500の整数、nは1〜500の整数を表わす。)
  3. 炭素数6以上の炭化水素基を有するシリコーン成分が反応性基を有していないものである請求項1または2に記載のインモールド転写用フィルム。
  4. 該シリコーン成分における炭素数6以上の炭化水素基の含有率が5%以上50%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインモールド転写用フィルム。
  5. 塗布層中のシリコーン成分の含有量が塗布層の重量を基準として1重量%以上50重量%以下であり、帯電防止成分の含有量が塗布層の重量を基準として20重量%以上90重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のインモールド転写用フィルム。
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